JP2632603B2 - ヒト抗DerfIIIgE抗体が結合するペプチド - Google Patents

ヒト抗DerfIIIgE抗体が結合するペプチド

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JP2632603B2
JP2632603B2 JP3070336A JP7033691A JP2632603B2 JP 2632603 B2 JP2632603 B2 JP 2632603B2 JP 3070336 A JP3070336 A JP 3070336A JP 7033691 A JP7033691 A JP 7033691A JP 2632603 B2 JP2632603 B2 JP 2632603B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ダニの主要アレルゲ
ン、DerfIIのヒト抗DerfII IgE抗体結合部位およびこの
結合部位関連のペプチド、タンパク質およびこのペプチ
ドをコードするDNA並びにそのDNAに関連した複製
ベクター、プラスミド、宿主細胞、およびその用途に関
する。
【0002】
【従来の技術】アレルギー疾患の多くは、その疾患の原
因抗原に感作されることにより、血清および組織でアレ
ルゲンに特異的なIgE 抗体(レアギン抗体)が産生さ
れ、再びその抗原に暴露されることにより、各組織上で
抗原とIgE 抗体が抗原抗体反応を起こし、その際、生じ
る種々の症状によるものと考えられている。
【0003】このアレルギー疾患を根本的に治療する方
法として、減感作療法がある。この方法は、その原因抗
原を少量ずつ、また、症状に応じて投与量を徐々に増量
しながら、反復投与する方法である。この療法により遮
断抗体産生、IgE 抗体産生抑制、マスト細胞から遊離す
るヒスタミン量の低下が起こり、治療効果が得られると
考えられている。
【0004】この減感作療法で使用する抗原として、ア
レルゲン分子全体を用いる場合とアレルゲン分子の中の
特異的IgE 抗体が結合する部位(エピトープ部位)を用
いる場合が考えられる。アレルゲン分子全体を用いる場
合、吸収されるためには蛋白分解酵素で低分子化される
必要がある。この分解は非特異的に起こるため有効投与
量を正確に調整することが困難であり、効果を発揮する
までに時間がかかる。一方、エピトープ部位を用いる場
合は、既に低分子化されているために吸収が速い。ま
た、エピトープ部位はアレルゲン分子全体と異なり多価
抗原ではないため投与によるアレルギー反応を起こす可
能性がほとんどなく、経口投与のみならず即効的に効果
を示す吸入などの投与法が可能である。体内へ吸収され
たエピトープ部位はアレルゲン分子と競合的にIgE 抗体
と結合してアレルゲン分子の結合を抑制し結果としてア
レルギー反応を抑制する。
【0005】一方、気管支喘息、小児喘息、アトピー性
皮膚炎などのアレルギー性疾患は、室内塵中に生息して
いるダニに対するアレルギーが主な原因であることが明
らかになっており、既にいくつかのダニ主要アレルゲン
タンパク質が同定されている(プラッツミルズ(Platts-
Mills) ら、ザ・ジャーナル・オブ・アレルギー・アン
ド・クリニカル・イムノロジー(J. Allergy Clin. Imm
unol.)、80巻、755 頁1987年) 。従って、この主要アレ
ルゲン、特にそのエピトープ部位を用いた上記アレルギ
ー疾患の対処的治療さらには減感作療法は、きわめて有
効であるが、精製アレルゲンおよびアレルゲン中のエピ
トープ部位の多量調製が必要である。精製ダニ主要アレ
ルゲンを多量に調製する方法は、結城らにより既に開示
されている(アレルギー(JPN. J. Allergol.)、39巻、
557 頁、1990年)。しかし主要アレルゲンのエピトープ
部位はこれまで特定されておらず、従ってその多量調製
は不可能であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、既に開
示されているダニ主要アレルゲンDerfIIに対応する遺伝
子を遺伝子操作によって種々改変して発現させた後、ア
レルギー患者血清との反応性を検討することにより、エ
ピトープ部位の特定、並びにその多量調製が可能となる
ことを見出した。
【0007】それゆえ、本発明の目的は遺伝子工学を使
ってダニ主要アレルゲンタンパク質中のエピトープ部位
をコードするDNA配列を得ることであり、かつそのD
NAがコードしているダニ主要アレルゲンエピトープ部
位を発現して、目的とするアレルゲンエピトープ部位を
大量に製造する方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、ヒョウヒダニ
主要アレルゲン(DerfII)のアレルギー患者IgE 抗体が
結合する部位をコードするDNAおよび結合部位を含む
ペプチドである。ダニ主要アレルゲンDerfIIをコードす
る遺伝子およびその調製法は、既に結城らにより開示さ
れている(アレルギー(JPN. J. Allergol.)、39巻、55
7 頁、1990年)。アレルゲンタンパク質中のエピトープ
部位の特定は種々の方法を用いることができるが、当該
タンパク質をコードする遺伝子を用いることができる本
発明の場合は、その遺伝子を改変し適当なベクターを用
いて適当な宿主中で発現させ、発現タンパク質と患者血
清との反応で検索する方法が有利である。この一連の操
作には従来用いられている種々の方法を使うことが可能
である(マニアティス(Maniatis)ら、モレキュラー・
クローニング(Molecular Cloning)、コールド・スプリ
ング・ハーバー・ラボラトリー (Cold Spring Harbor L
aboratory)、1982年) 。
【0009】DerfII遺伝子は単独あるいは適当なベクタ
ーへ挿入した後に種々の改変を加えることができるが、
特に発現ベクター、例えばpUEX1、のクローニングサイ
トへ挿入した状態で改変する方法が有利である。本ベク
ターを用いる場合、当該遺伝子はβ−ガラクトシダーゼ
との融合タンパク質として発現し、その発現量が多いこ
とから検出は容易である。
【0010】DerfII遺伝子は結城らが開示した方法(ア
レルギー(JPN. J. Allergol.)、39巻、557 頁、1990
年)に従って調製した。得られたDerfII遺伝子を含むプ
ラスミドは、種々の制限酵素で改変を行った。まず制限
酵素PstI およびSalI で切断した。しかして得られた
DerfII遺伝子を含む直鎖状のプラスミドをキロ・シーク
エンス用デリーションキット(Kilo-Sequence 用deleti
on Kit, 宝酒造株式会社製、カタログ番号6030) などの
エクソヌクレアーゼで3’末端より欠失させた。反応時
間を加減することにより順次欠失の程度の異なるDerfII
遺伝子を含む直鎖状のプラスミドが得られた。得られた
プラスミドをT4リガーゼを用いてセルフライゲーション
して環状プラスミドとした。得られた欠失程度の異なる
DerfII遺伝子を含むプラスミドで大腸菌を形質転換し
た。プラスミドとしてpUEX1を用いる場合は以下に示し
た方法で検索できる。
【0011】形質転換した大腸菌をLブロス寒天培地
(1%バクトトリプトン、 0.5%イーストエキストラク
ト、0.5 %塩化ナトリウム、 1.5%バクトアガー、50μ
g/mlアンピシリン、pH7.4)上に生育させた後、生じた
コロニーを適宜Lブロス液体培地(Lブロス寒天培地か
ら寒天を除いたもの)へ接種した。30℃で約3時間培養
した後、培養温度を42℃に上げて、更に約3時間培養を
継続した。菌体を集めて緩衝液(トリス塩酸緩衝液、10
mM、pH7)にて洗浄した後、マルストン(Marston)および
キャロル(Carroll) らの方法(DNAクローニング(DN
A Cloning)、IRLプレス、3巻、4章、1985年) で融合
タンパク質を抽出した。抽出したタンパク質をSDS−
ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した。電気泳動し
た後、ゲルをクマシー染色し、DerfIIタンパク質の欠失
程度の異なるコロニーを約20株選択した。また電気泳動
後のゲルをウエスタンブロッティング法(トゥビン(Tow
bin,H.) ら、プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル
・アカデミー・オブ・サイエンス (Proc. Natl. Acad.
Sci. U. S. A.) , 76 巻、4350頁、1979年) で産生され
たタンパク質をニトロセルロースフィルターに転写し
た。タンパク質が転写されたフィルターを0.1 %ツイー
ン20(Tween 20)でブロッキングし、アレルギー患者血清
を反応させた。その後、緩衝液(トリス塩酸緩衝液、10
mM、pH7.4 、塩化ナトリウム、150mM 、Tween 20、0.05
%)で洗浄した。洗浄したフィルターをパーオキシダー
ゼで標識した抗ヒトIgE 抗体(ICN 社製)と反応させ
た。しかる後に、反応しないで残存しているパーオキシ
ダーゼ標識抗体を除去した。さらに、このフィルターを
過酸化水素および色素4−クロロ−1−ナフトールを用
いて反応させた。
【0012】その結果、DerfII遺伝子の欠失の程度によ
って、アレルギー患者IgE と反応しなくなったDerfIIタ
ンパク質が確認された。この反応しなくなったDerfIIタ
ンパク質を発現しているコロニーを選択した。選択した
コロニーの菌体を前述した培養によって集め、常法のア
ルカリ抽出によってプラスミドを回収した。続いて、得
られたプラスミドを種々の制限酵素で消化した後、ある
いは消化せずに、アガロースゲル電気泳動に供し、挿入
されているDerfII遺伝子の欠失の程度を分析した。さら
に、その欠失の程度が最も少ないDerfII遺伝子を含むプ
ラスミドを選択した。DerfII遺伝子は制限酵素BamHIお
よびXbaIによる完全分解で切り出すことができる。切
り出されたDNA断片は、ダイデオキシ法(サンガー
(Sanger)ら、ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイ
オロジー(J. Mol. Biol.) 162巻、729 頁、1982年) な
どを用いてその塩基配列を決定することができる。しか
して最も欠失が少なく且つアレルギー患者IgE と結合し
ないDerfIIタンパク質をコードする遺伝子の欠失した塩
基配列が決定された。その塩基配列は次式III およびIV
で示される。この式III およびIVに対応するアミノ酸配
列を式IおよびIIで示した。
【0013】 式III : GAT-AAT-GGT-GTT-TTG-GCT-TGC-GCT-ATT-GCT-ACC-CAT-GGT-AAA-ATC-CGT-GAT 式I: Asp-Asn-Gly-Val-Leu-Ala-Cys-Ala-Ile-Ala-Thr-His-Gly-Lys-Ile-Arg-Asp 式IV: GAT-AAT-GGT-GTT-TTG-GCT-TGC-GCT-ATT-GCT-ACC-CAC-GCT-AAA-ATC-CGT-GAT 式II: Asp-Asn-Gly-Val-Leu-Ala-Cys-Ala-Ile-Ala-Thr-His-Ala-Lys-Ile-Arg-Asp 本DNA断片および本DNA配列を含むDNA断片は、
DerfII遺伝子から適当な制限酵素やエクソヌクレアーゼ
処理によって得ることができるが、DNA合成機を用い
て合成することもできる。しかる後に適当なベクターお
よび適当な宿主を用いて発現させ、目的とするペプチド
を製造することができる。このペプチドは適当なタンパ
ク質、例えばβ−ガラクトシダーゼとの融合状態でも作
製しうるが、当該ペプチドだけを作製するにはプロテイ
ン・フュージョン・アンド・ピュリフィケーション・シ
ステム(Protein Fusion & Purification System, New E
ngland Biolabs社製)を用いることができる。
【0014】遺伝子工学により調製した、本発明に従う
ダニアレルゲンタンパク質DerfIIのエピトープ部位、そ
の一部およびそれらが他のペプチド、タンパク質などと
融合した形のもので、生化学的、免疫学的にダニ主要ア
レルゲンDerfIIエピトープの性質を有するペプチドは、
ダニに起因する各種のアレルギー疾患の予防、治療ある
いは診断に使用できる。
【0015】
【発明の効果】本発明によれば、遺伝子工学を使ってヒ
ョウヒダニ主要アレルゲンタンパク質DerfIIエピトープ
部位を決定したことにより、エピトープ部位ペプチドを
コードするDNA断片を得ることができた。それ故、こ
のDNAがコードしているダニ主要アレルゲンタンパク
質のエピトープを発現、生産してエピトープを大量に製
造する方法を提供することができ、このエピトープを用
いて各種のアレルギー疾患の予防、治療あるいは診断に
使用することができる。
【0016】
【実施例】次に、実施例に基づき本発明をさらに具体的
に説明する。 実施例1Derf II発現プラスミドpFL11 の改変 既に開示されているところの、ダニ主要アレルゲンDerf
IIのcDNAを保持しているプラスミドpFL11 (アレル
ギー(JPN. J. Allergol.. 39 巻、557 頁、1990年)を
改変してエピトープ部位を探索するためのプラスミドpF
L502を構築した(図1、図2)。
【0017】pFL11 は発現用プラスミドpUEX1(アマシ
ャム社)を基にして構築されたものであって、その制限
酵素BamHI部位にDerfIIのcDNA遺伝子が合成ヌクレ
オチドのアダプター(アマシャム社)を介して挿入され
ている。この結果、DerfIIタンパク質をβ−ガラクトシ
ダーゼとの融合タンパク質として発現させることが可能
である。またその発現量は上流のラムダ(λ)PRプロ
モーターにより決定され、培養温度を42℃にシフトする
ことによって大きく増大させることができる。
【0018】このpFL11 を制限酵素MluI およびSmaI
で切断し、DNAブランティングキット(宝酒造株式会
社製)を用いてMluI 切断部位の突出末端を平滑化した
後、最長断片(5.5Kb)をDNAリガーゼによって連結環
化し大腸菌MC1061(遺伝子型araD139, Δ〔ara, leu〕7
697, ΔlacX74, galU- , galK- , hsr - , hsm + ,str
A, mcrA -, mcrB- ) を形質転換した。この時、制限酵
素処理、ライゲーション反応は既知の方法(マニアティ
ス(Maniatis)ら、モレキュラー・クローニング(Mole
cular Cloning)、コールド・スプリング・ハーバー・プ
レス 104 頁、146 頁、1982年) に準拠した。また大腸
菌の形質転換には電気パルス法(バイオラッド社、ジー
ン パルサー)を用いた。アンピシリン耐性のコロニー
より、プラスミドをアルカリ法(バーンボイム(Birnboi
m)等、ヌクレイック アシッドリサーチ(Nucl. Acids R
es.)、7巻、1513頁、1979年) にて分離した。得られた
プラスミドを制限酵素XbaI により消化し、5.5Kb の大
きさであることを確認した(pFL501)。
【0019】次に、pFL501のXbaI 部位を消失させた。
まず、pFL501をXbaI で消化して、直鎖状にした後、D
NAブランティングキット(宝酒造株式会社製)を用い
て、XbaI 切断部位の突出末端を平滑化した。ライゲー
ション反応してプラスミドを環状化した後に、大腸菌MC
1061を形質転換した。このようにして得られた菌株をpF
L502/MC1061 とした。
【0020】実施例2Derf II遺伝子の3’末端領域欠失遺伝子の作製 前記のpFL502を用いて、DerfII遺伝子の3’末端が段階
的に欠失しているプラスミドシリーズを作製した(図
2)。この段階的欠失はエキソヌクレアーゼIII(Exonuc
lease III) とムング ビーン ヌクレアーゼ(Mung Bea
n Nuclease)を併用するヘニコフ(Henikoff)の方法(ジ
ーン(Gene)、28巻、351 頁、1984年) で行った。この方
法の利点はエキソヌクレアーゼIII が3’突出末端を持
つ制限酵素切断部位には作用しないため、プラスミドを
適当な2種の制限酵素で切断した後に欠失を行えば、一
方向のみの欠失を作製できるところにある。
【0021】pFL502を制限酵素SalI (5’突出末端)
およびPstI (3’突出末端)で消化し直鎖状にしたも
の5μg を105 μl のExolII緩衝液 (50mM Tris-HCl pH
8.0,100mM NaCl, 5mM MgCl2, 10mM 2−メルカプトエタ
ノール) に溶解し、180unitのエキソヌクレアーゼ1μl
を加え、37℃で反応を開始した。30秒毎に7.5 μlずつ
サンプリングして、反応を止めるために、100 μl のMB
ヌクレアーゼ緩衝液(40mM酢酸ナトリウム pH4.5, 100m
M NaCl, 2mM ZnCl2, 10 %グリセロール) の中へ順次加
えていった。ムング ビーン ヌクレアーゼ処理を行っ
た後、アガロース電気泳動で欠失の程度を確認した。
【0022】クレノウ フラグメントによる末端修復
後、ライゲーション反応を行った。この一連の操作はキ
ロ シークエンス用デリーションキット(宝酒造株式会
社製)を用いた。また、欠失したDerfII遺伝子の3’末
端に終止コドンを作製するために、ライゲーション反応
時に合成ヌクレオチド リンカー(XbaI, Amber Stop,
ファルマシア社製 27-7222) をプラスミド1μg に対し
て6pmol加えた。ライゲーション後の反応液を用い大腸
菌MC1061を形質転換し、得られた形質転換株からプラス
ミドを抽出しXbaI で消化されるもの、すなわち合成リ
ンカーが挿入されているものを選択し、その大きさをア
ガロースもしくはアクリルアミドゲル電気泳動で調べ
た。
【0023】一方、得られた形質転換株はDerfIIタンパ
ク質のC末端が欠失した融合タンパク質を発現すると考
えられる。そこで、各々の形質転換株が発現する融合タ
ンパク質の分子量を比較した。形質転換株を50μg/mlア
ンピシリンを含むL液体培地(1%トリプトン(Trypto
ne, ディフコ社製) 、0.5 %イーストイクストラクト(Y
east Extract, ディフコ社製) 、0.5 %塩化ナトリウ
ム)に接種し、30℃で振盪培養し、OD660nm が0.6 にな
ったところで、培養温度を42℃に上げ、さらに2時間培
養した。
【0024】培養後の菌体を遠心分離で回収した後、サ
ンプル バッファー(10%(V/V) グリセリン、5%(V/
V) 2-メルカプトエタノール、3%(W/V) SDS (ドデ
シル硫酸ナトリウム) 、62mM Tris-HCl pH6.8)に懸濁
し、100 ℃で5分間、加熱処理することで全菌体タンパ
ク質を抽出した。得られた蛋白サンプルをSDS−ポリ
アクリルアミドゲル電気泳動(テフコ株式会社製、電気
泳動装置、ゲル濃度8%)で分離し、クマシー ブリア
ント ブルーで染色した。分子量5〜7万付近に多量の
タンパク質を発現している形質転換株を、DerfII融合タ
ンパク質生産株とした。それぞれの形質転換株が発現す
る融合タンパク質はプラスミドの欠失している長さに比
例して、その分子量が小さくなっていることが確認され
た。
【0025】このようにして、DerfII遺伝子の3’末端
が約50〜400bp 、順次欠失しているプラスミドおよびそ
れぞれのプラスミドを保持し、C末端欠失DerfII融合タ
ンパク質を発現する大腸菌MC1061を16種類得た。 実施例3 C末端欠失DerfII融合タンパク質のIgE 抗体結合能の検
出 実施例2で得られた16種の形質転換株が発現するC末端
欠失DerfII融合タンパク質のIgE 抗体との結合能をウエ
スタン プロット法(トゥビン(Towbin)等、プロシーデ
ィング・イン・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエ
ンス(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.)、69巻、1409
頁、1972年) を用いて調べた。
【0026】前述したように、形質転換株が発現する全
タンパク質をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
で分離した。泳動後のゲルからニトロセルロース(バイ
オラッド社製)もしくは合成ポリマー(ミリポア社製、
イモビロン)のメンブランフィルター上にタンパク質を
電気的に転写した。この転写はセミ ドライ型タンパク
質転写装置(アトー社製、ホライズ プロット)を用い
て行った。転写後のメンブランを抗体の非特異的吸着を
防ぐためのブロッキング操作として、0.1 %ツイーン20
(Tween 20)を含むPBS緩衝液(ダルベッコ(Dulbecco)
等、ジャーナルオブ イクスペリメンタル メディシン
(J. Exp. Med.)、99巻、167 頁、1954年) で1時間、振
盪した。一次抗体としては、ダニに対してアレルギーを
持つ患者の血清(RAST試験でIgE 量の多い一人の患者の
血清もしくは数人のアレルギー患者の血清を混ぜたプー
ル血清) を用いた。血清をPBS緩衝液で4倍に希釈し
た溶液にメンブランを浸し一晩、振盪した。その後、0.
05%ツイーン20を含むPBS緩衝液で3回洗浄して吸着
しなかった一次抗体を洗い流した。二次抗体はパーオキ
シダーゼ標識した抗ヒトIgE 抗体(ICN社製)を用
い、一次抗体のときと同様にPBSで希釈(500倍) し、
吸着(8時間)、洗浄操作を行った。発色試薬の4−クロ
ロ−1−ナフトールを0.5mg/mlの濃度でPBS緩衝液に
溶解し、過酸化水素水を最終濃度 0.015%になるように
添加した後、メンブランを浸し発色を行った。
【0027】この方法で欠失操作前のpFL502/MC1061 の
発現する融合タンパク質は明らかに患者血清中のIgE 抗
体と反応した。それに対して、C末端欠失DerfII融合タ
ンパク質は欠失程度が少ないうちはIgE 抗体と反応する
が、ある程度以上欠失するとその反応性を急に失った
(図3)。ここで、IgE 抗体と反応しない融合タンパク
質のなかから分子量の最も大きいものを発現する株、す
なわちそのプラスミドの欠失が最も少ない株を選択し、
その塩基配列の決定を試みた。
【0028】実施例4 欠失プラスミドの塩基配列の決定 前述したIgE 抗体と反応しない最も分子量の大きい融合
タンパク質をコードしているプラスミドの塩基配列を決
定した。得られたプラスミドを、制限酵素BamHIおよび
XbaI で切断し、同様に処理したサンガー (Sanger) の
塩基配列決定法(サイエンス (Science)、214 巻、1205
〜1210頁、1981年) に適したベクターpUC119(メッシン
グ(Messing)等、メソッズ イン エンザイモロジー
(Methods in Enzymology) 101巻 20〜78頁 1987年)
に挿入した後に、大腸菌宿主MV1184(宝酒造社製、遺伝
子型 ara, thi, strA, Δ(lac-proAB),(φ80 lacZ Δ
M15) Δ(srl-recA)306::Tn10 (tetr ) 〔F', proAB, l
acI q Z ΔDM15, traD36〕)を形質転換した。この組換
えプラスミドの一本鎖DNAを単離、精製し、サンガー
(Sanger) の方法に従い、塩基配列を決定した。配列決
定には蛍光式自動DNAシークエンサー(アプライド
バイオシステム社製、Model 373A) を用いた。その結
果、欠失プラスミドはDerfII遺伝子の3’末端から前記
式III で示される塩基配列を欠失しており、且つその直
後に合成ヌクレオチド リンカーによる終止コドンが存
在することが判明した。このことは翻訳タンパク質も式
Iで示されたアミノ酸のみが欠失していることを示唆し
ている。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において、ダニ主要アレルゲンDerfII
のcDNAを保持しているプラスミドpFL11 を改変して
エピトープ部位を探索するためのプラスミドpFL502を構
築するまでの工程のうち途中までを示す図、
【図2】図1に続き、実施例1から実施例2を経て、プ
ラスミドpFL502を構築し、これを用いてDerfII遺伝子の
3’末端が段階的に欠失しているプラスミドシリーズを
作製する工程を示す図、
【図3】実施例3において、実施例2で得られた16種の
形質転換株が発現するC末端欠失DerfII融合タンパク質
のIgE 抗体との結合能の検出結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/53 G01N 33/569 A 9282−4B C12N 15/00 ZNAA 33/569 A61K 37/02 ABF (72)発明者 奥村 康 東京都大田区大森北2−13−1 アサヒ ビール株式会社応用技術研究所内 (72)発明者 山川 洋志 千葉県市川市南八幡3丁目14番3号 (72)発明者 杉山 哲資 千葉県市川市南八幡3丁目14番3号 (56)参考文献 JAPANESE J.ALLERG OLOGY,VOL.39,P.557−561 (1990)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒョウヒダニ主要アレルゲンDerf
    I中のヒト抗DerfII IgE抗体が結合するペプ
    チドで以下の式Iまたは式IIのアミノ酸配列で示され
    るペプチド。 式I: 式II:
  2. 【請求項2】 次の式III: または次の式IV: の塩基配列で示される請求項1記載のアミノ酸配列をコ
    ードするDNA。
JP3070336A 1991-03-12 1991-03-12 ヒト抗DerfIIIgE抗体が結合するペプチド Expired - Fee Related JP2632603B2 (ja)

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