JP3314765B2 - 生砂型と鋳物素材の分離方法およびその装置 - Google Patents
生砂型と鋳物素材の分離方法およびその装置Info
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鋳物素材を分離するのに好適な方法およびその装置に関
する。
崩壊させて生砂型と鋳物素材を分離する方法としては、
鋳枠内から生砂型を抜き出すとともに、生砂型を重力
落下させることによる落下衝撃や振動機を使用して生砂
型の重量と振動により生砂型を崩壊し、分離するもの、
鋳枠内から生砂型を抜き出す際、クサビ状の突起物を
生砂型に差し込む等、機械的な外力を加えるなどの衝撃
を利用して生砂型を崩壊し、分離するもの、鋳枠内か
ら生砂型を抜き出し、その後、生砂型を回転ドラムまた
は振動ドラムに投入して生砂型の重量と落差あるいは振
動および鋳物素材の熱を利用して崩壊させ、分離するも
の、などが一般に知られている。
生砂型と鋳物素材の分離方法は、どれも生砂型や鋳物素
材に大きな衝撃を加えて分離を行うものであり、また、
他の鋳物素材との接触も重なって鋳物素材に割れ、欠
け、打痕、変形等の不良を発生させる原因となってい
る。また、近年、鋳物素材の形状の複雑化や寸法の高精
度化等の要求から、高硬度で高強度の生砂型が造型され
て鋳造が行われるため、より大きな力により生砂型と鋳
物素材を分離する必要性が出てきている。
壊性が悪いため、鋳物素材は生砂との分離が十分に成さ
れず生砂を付着させたまま後工程へ送り出されることに
なり、このため、生砂を繰り返し使用する生砂型鋳造プ
ラントでは砂回収が悪くなる。さらに、生砂に関係する
費用の増大や回収砂の中に中子砂が混入してしまうこと
から、砂処理が困難になる。また複数の鋳物素材が同時
に後処理工程に流れていくため、各鋳物素材の履歴が不
明確になる。このため、鋳物素材に不良が発生した場
合、各種条件の特定が難しく、対策を十分に実行するこ
とが困難である。
で、その目的は、鋳物素材と生砂型との分離および生砂
型の崩壊を確実に成し得る方法およびその装置を提供す
ることにある。
めに請求項1における生砂型と鋳物素材の分離方法は、
注湯済みの生砂型から鋳物素材を分離する方法であっ
て、注湯済みの鋳枠無しの生砂型を気密に包囲する工程
と、この生砂型を気密に包囲する構造体の内部を時間
0.5sec以内に圧力−200mmHg以下に急激に
吸引減圧してこの構造体内部を最終的には圧力−360
mmHgより低く減圧し、これにより前記生砂型内の鋳
物素材の周囲に形成された水分凝縮層の水分を含む前記
生砂型全体の水分の沸騰点を下げてこの水分を沸騰さ
せ、前記生砂型を崩壊させて鋳物素材から分離する工程
と、前記気密に包囲された状態を解いた後鋳物素材を取
り出す工程と、を有することを特徴とする。
は、鋳物素材の熱により生砂型の他の個所よりも高温な
水分が多量に集まった層、いわゆる水分凝縮層が形成さ
れ、この水分凝縮層は強度が弱い。このため、本発明に
おいて、注湯済みの鋳枠無しの生砂型を気密に包囲し、
この生砂型を気密に包囲する構造体の内部を、時間0.
5sec以内に圧力−200mmHg以下に急激に吸引
減圧して前記構造体内部を最終的には圧力−360mm
Hgより低く減圧すると、前述した水分の沸騰点が下が
るため、鋳物素材に加熱された高温状態の水分は沸騰
し、この結果、生砂型は崩壊されるとともに鋳物素材か
ら分離されることになる。その後、負圧状態を解き、鋳
物素材を取り出す。
材の分離方法において、注湯済みの鋳枠無しの生砂型と
は、造型直後の状態が鋳枠付きである鋳枠付き生砂型の
鋳枠内から分離されたもの、または造型直後の状態が鋳
枠無しであるものをいう。また、生砂型を気密に包囲す
る構造体の内部の負圧度は、水分凝縮層の水分を含む生
砂型全体の水分の沸騰点を下げてこの水分を沸騰させ、
これにより生砂型を崩壊させるとともに鋳物素材から分
離させることが可能な高さにすることであって、具体的
には図3に示すように、時間0.5sec以内に圧力−
200mmHg以下に急激に吸引減圧して前記構造体内
部を最終的には圧力−360mmHgより低く減圧する
ことをいう。また、ゆっくりと吸引減圧を行うと、沸騰
によるガスが緩やかに生砂型中より発散して、生砂型を
急激に崩壊させる力が発生しない。そのため、時間0.
5sec以内に圧力−200mmHg以下という急激な
減圧速度が必要となる。さらに、圧力−360mmHg
より高い減圧圧力では、生砂型を崩壊させうるに充分な
沸騰が起こらないため、圧力−360mmHgより低く
減圧した雰囲気に生砂型を置く必要がある。
2に基づき詳細に説明する。図1に示すように、注湯済
みの生砂型から鋳物素材を分離する装置は、注湯済みの
鋳枠無しの生砂型を気密に包囲する気密包囲手段1と、
気密包囲手段で画成された空間を時間0.5sec以内
に圧力−200mmHg以下に急激に吸引減圧して前記
空間を最終的には圧力−360mmHgより低く減圧す
る吸引手段2と、負圧状態を解かれるとともに崩壊した
生砂型から鋳物素材を取り出す鋳物素材取り出し手段3
と、で構成してある。
すように、上向きのシリンダ4により昇降可能に構成さ
れた箱状のトレイ5と、このトレイ5の真上に固定配設
された逆置箱状のカバー6とで構成してあり、前記トレ
イ5内には、複数の帯板材を左右方向へ向けて並べて成
る、生砂型を載せる鋳型載せ部材7が設けてある。そし
て、トレイ5および鋳型載せ部材7は反時計回り方向へ
回動して生砂型等が滑降する角度まで傾動するようにな
っている。また、前記カバー6には内部の圧力を検出す
る圧力検出機構8が装着してあり、さらに前記カバー6
の下端にはシール部材9が埋設してある。
連通接続してあり、吸引手段2は開閉弁10と、導管1
1と、真空源12とで構成してある。
右動可能、昇降可能および水平回転可能に構成されたフ
ォーク部材13を備えている。
いて説明する。図示しない鋳造ラインの冷却ライン上を
間欠的に流れている注湯済みの上下鋳枠から上下生砂型
14から抜き出し、続いて、抜き出された上下生砂型1
4を図示しない押出装置により気密包囲手段1の鋳型載
せ部材7上に押し出し、続いて、気密包囲手段1のシリ
ンダ4を伸長作動して上下生砂型14の載った鋳型載せ
部材7等を上昇させ、シール部材9をトレイ5に当接さ
せて、図2の(イ)に示すように、上下生砂型14をト
レイ5とカバー6とで気密に包囲する。
うに、上下生砂型14内の鋳物素材15の周囲には、鋳
物素材15の熱により上下生砂型14の他の個所よりも
高温な水分が多量に集まった層(水分凝縮層)16が形
成されており、この水分凝縮層16は強度が弱い。この
ため、圧力検出機構8でカバー6内の圧力を検出しなが
ら、吸引手段2の開閉弁10を所要開口開き、トレイ5
とカバー6とで画成する気密状態の空間を、時間0.5
sec以内に圧力−200mmHg以下に急激に吸引減
圧して前記空間を最終的には圧力−360mmHgより
低く減圧すると、上下生砂型14内の鋳物素材15の周
囲に形成された水分凝縮層16の水分を含む上下生砂型
14全体の水分の沸騰点が下がりこの水分が沸騰され
る。この結果、上下生砂型14は崩壊さるとともに鋳物
素材15から分離される(図2の(ロ)参照)。
生じた生砂型片はトレイ5上に堆積する。なお、中子
は、水分の沸騰による崩壊が生じないため、鋳物素材1
5内に残留していて生砂型片に混入することはない。
に付設された図示しない大気圧復帰バルブを開放してカ
バー6内を大気圧に復帰させ、続いて、シリンダ4を収
縮作動してトレイ5、上下生砂型14・鋳物素材15等
を下降させる。次いで、鋳物素材取り出し手段3のフォ
ーク部材13を鋳物素材15の下に進入させ、続いて、
フォーク部材13を上昇させ鋳物素材15を鋳型載せ部
材7から持ち上げる。次いで、フォーク部材13により
鋳物素材15を右方へ移動させ、続いて、鋳物素材15
を後処理工程に搬送する。そして、トレイ5および鋳型
載せ部材7を傾動させてトレイ5および鋳型載せ部材7
上に堆積した生砂型片を排出して砂処理ラインに搬送す
る。
無しの生砂型は、造型直後の状態が鋳枠付きであって、
注湯後に、上下鋳枠付き上下生砂型が上下鋳枠内から抜
き出されて分離されたものであるが、これに限定される
ものではなく、例えば、いわゆる抜枠式鋳型造型機によ
り造型されて造型直後の状態が鋳枠無しである生砂型で
も、同様の作用効果を得ることができる。この場合、上
下生砂型は、一般に注湯時にジャケットが装着される。
また、上記の実施例では、注湯済みの鋳枠無しの生砂型
は、水平割の上下生砂型であるが、これに限定されるも
のではなく、例えば、上述の上下生砂型を立てた状態に
して注湯を行うように構成されたものでも同様の作用効
果が得られる。また、生砂型は鋳物素材を含んだ上型だ
けでもよい。
の発明は、注湯済みの生砂型から鋳物素材を分離する方
法であって、注湯済みの鋳枠無しの生砂型を気密に包囲
する工程と、この生砂型を気密に包囲する構造体の内部
を時間0.5sec以内に圧力−200mmHg以下に
急激に吸引減圧してこの構造体内部を最終的には圧力−
360mmHgより低く減圧し、これにより前記生砂型
内の鋳物素材の周囲に形成された水分凝縮層の水分を含
む前記生砂型全体の水分の沸騰点を下げてこの水分を沸
騰させ、前記生砂型を崩壊させて鋳物素材から分離する
工程と、前記気密に包囲された状態を解いた後鋳物素材
を取り出す工程と、を有するから、鋳物素材に打痕等を
生じさせたりすることなく、鋳物素材と生砂型との分離
および生砂型の崩壊を容易にして確実に行うことができ
るなどの優れた効果を奏する。
を示すグラフである。
Claims (5)
- 【請求項1】 注湯済みの生砂型から鋳物素材を分離す
る方法であって、注湯済みの鋳枠無しの生砂型を気密に
包囲する工程と、この生砂型を気密に包囲する構造体の
内部を時間0.5sec以内に圧力−200mmHg以
下に急激に吸引減圧してこの構造体内部を最終的には圧
力−360mmHgより低く減圧し、これにより前記生
砂型内の鋳物素材の周囲に形成された水分凝縮層の水分
を含む前記生砂型全体の水分の沸騰点を下げてこの水分
を沸騰させ、前記生砂型を崩壊させて鋳物素材から分離
する工程と、前記気密に包囲された状態を解いた後鋳物
素材を取り出す工程と、を有することを特徴とする生砂
型と鋳物素材の分離方法。 - 【請求項2】 請求項1に記載の生砂型と鋳物素材の分
離方法において、前記注湯済みの鋳枠無しの生砂型は、
造型直後の状態が鋳枠付きである鋳枠付き生砂型の鋳枠
内から分離されたものであることを特徴とする生砂型と
鋳物素材の分離方法。 - 【請求項3】 請求項1に記載の生砂型と鋳物素材の分
離方法において、前記注湯済みの鋳枠無しの生砂型は、
造型直後の状態が鋳枠の付かないものであることを特徴
とする生砂型と鋳物素材の分離方法。 - 【請求項4】 請求項1〜請求項3のうち1項に記載の
生砂型と鋳物素材の分離方法において、前記注湯済みの
鋳枠無しの生砂型は、半割の状態のものであることを特
徴とする生砂型と鋳物素材の分離方法。 - 【請求項5】 注湯済みの生砂型から鋳物素材を分離す
る装置であって、注湯済みの鋳枠無しの生砂型を気密に
包囲する気密包囲手段と、気密包囲手段で画成された空
間を時間0.5sec以内に圧力−200mmHg以下
に急激に吸引減圧してこの空間を最終的には圧力−36
0mmHgより低く減圧する吸引手段と、負圧状態が解
かれるとともに崩壊した生砂型から鋳物素材を取り出す
鋳物素材取り出し手段と、を具備したことを特徴とする
生砂型と鋳物素材の分離装置。
Priority Applications (3)
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---|---|---|---|
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Applications Claiming Priority (1)
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