JP2001071121A - 注湯済生砂鋳型からの鋳物素材取出し方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】鋳物素材を損傷させることなく生砂鋳型から取
り出すと共に鋳物素材を鋳型造型あるいは注湯等の順序
に従って取り出して送り出すことができる注湯済生砂鋳
型からの鋳物素材取出し方法を提供することを目的とす
る。 【解決手段】注湯済の枠無し生砂鋳型を一個づつ型バラ
シ位置に搬入する工程と、該型バラシ位置に搬入した生
砂鋳型の見切面と交差する面を押圧して見切面面積を減
ずるように押し潰す工程と、該押し潰された生砂鋳型に
外力を加えて生砂鋳型を崩壊させて鋳物素材から鋳型砂
を分離させると共に鋳物素材を型バラシ位置から搬出す
る工程と、を有することを特徴とする注湯済生砂鋳型か
らの鋳物素材取出し方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は溶湯を注入した注湯
済の枠無し生砂鋳型から鋳物素材を損傷なく取り出し順
序よく送り出す方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、注湯済の生砂鋳型から鋳物素材を
取り出す方法としては、抜枠された状態の注湯済の生砂
鋳型を回転ドラム又は振動ドラムに投入して生砂鋳型の
重量と落下あるいは振動および鋳物素材の熱を利用して
生砂鋳型を崩壊させ、鋳物素材を取り出す方法が一般に
知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし上記のような方
法により注湯済の生砂鋳型から鋳物素材を取り出す場
合、生砂鋳型に大きな衝突衝撃を与えながら鋳型を崩壊
させるため鋳物素材に割れ、打痕あるいは変形等の損傷
を生じさせる問題があった。さらに回転ドラム又は振動
ドラムに次々と投入されて崩壊された生型砂の中から取
り出される鋳物素材は、ドラム内で撹拌され、送り込ま
れた順序を狂わせて取り出されることが多くなり１個１
個の鋳物素材の製造履歴の把握ができなくなり、各鋳物
素材に対する最適な処理ができない問題もあった。本発
明は上記の問題に鑑みて成されたもので、鋳物素材を損
傷させることなく生砂鋳型から取り出すと共に鋳物素材
を鋳型造型あるいは注湯等の順序に従って取り出して送
り出すことができる注湯済生砂鋳型からの鋳物素材取出
し方法を提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明における注湯済生砂鋳型からの鋳物素材取出
し方法は、注湯済の枠無し生砂鋳型を一個づつ型バラシ
位置に搬入する工程と、該型バラシ位置に搬入した生砂
鋳型の見切面と交差する面を押圧して見切面面積を減ず
るように押し潰す工程と、該押し潰された生砂鋳型に外
力を加えて生砂鋳型を崩壊させて鋳物素材から鋳型砂を
分離させると共に鋳物素材を型バラシ位置から搬出する
工程と、を有することを特徴とするものである。また前
記押し潰された生砂鋳型に外力を加える方法が、前記注
湯済の枠無し生砂鋳型を気密に包囲する工程と、該気密
に包囲した気密空間の内部を急激に減圧して前記枠無し
生砂鋳型の水分凝縮層の高温状態の水分を沸騰させて生
砂鋳型を崩壊させる工程と、から成ることを特徴とする
ものである。

【０００５】一般に注湯済の生砂鋳型における鋳物素材
の近辺周囲には、熱により鋳型の他の部分よりも高温状
態にされた水分が多く集まった層（以下水分凝縮層とい
う）が生じる。本発明者逹はこの水分凝縮層の強度が弱
いこと及び高温状態の多量の水分が集まっているいるこ
とに鑑み、この部分から生砂鋳型を崩壊させることを模
索した。その結果生砂鋳型を減圧空間内に入れることに
より生砂鋳型の水分の沸騰点が下がり、鋳物素材により
加熱されている高温状態の水分凝縮層の水分が沸騰し
て、減圧状態にある鋳型外側との間に大きな圧力差が生
じることにより生砂鋳型を崩壊させ得ることを見い出し
た。

【０００６】

【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面に
基づいて詳しく説明する。図１において注湯済の鋳型造
型用鋳枠１、２付生砂鋳型３を搬送する定盤台車４が鋳
造ライン５上に載置されており、該鋳造ライン５の外側
には前記定盤台車４の上面と同じ高さレベルにした枠載
せ台６が配置されている。該枠載せ台６には、前記鋳型
造型用鋳枠１、２の開口とほぼ同じ大きさの開口６Ａが
上下に貫通して設けられており、該枠載せ台６の下方に
は前記開口６Ａ及び鋳型造型用鋳枠１、２の開口を上下
に貫通移動可能にされた抜上げ板７が上昇シリンダ８の
ピストンロッド８Ａに固着されて全体として枠抜き機構
にされている。

【０００７】前記鋳造ライン５における枠載せ台６と反
対になる外側及び枠載せ台６における鋳造ライン５と反
対になる外側には、前記鋳型造型用鋳枠１、２を鋳造ラ
イン５と枠載せ台６との間を移動させる図示されない押
出しシリンダがそれぞれ配置されている。また前記枠載
せ台６の上方における前記鋳型造型用鋳枠１、２の重合
高さよりも若干高い位置には、鋳型造型用鋳枠１、２の
上昇を阻止する枠ストッパ９が設けられている。

【０００８】前記枠抜き機構の外側には昇降シリンダ１
０が配設されていて、そのピストンロッド１０Ａ先端に
は取付プレ−ト１１が固定して設けられている。該取付
プレ−ト１１の上部にはトレイ１２が連結ピン１３を中
心にして傾動可能にして取付けられていると共に該トレ
イ１２の上面中央部にはＴ字形の鋳型載せ台１４が固着
されている。なお鋳型載せ台１４は多数のＩ形鋼材を前
後方向に間隔をおいて平行に配列させて複数の凹み列を
構成している。また該鋳型載せ台１４における枠載せ台
６と反対になる外側には図示されないシリンダにより該
鋳型載せ台１４の上端位置に搬入搬出移動される圧縮固
定板治具１５が配置されている。

【０００９】さらに該鋳型載せ台１４の上方には真空レ
シ−バタンク１６に開閉弁１７を介して連通する逆Ｕ字
形の減圧箱１８が固定配置されており、該減圧箱１８の
下端開口周縁には前記トレイ１２の上面に当接してシ−
ルする環状シ−ル１９が設けられて全体として鋳型崩壊
機構にされている。

【００１０】前記減圧箱１８の外側にはレ−ル２０が敷
設され、該レ−ル２０にはシリンダ２１により昇降され
る水平回転機構２２を吊設した取出し台車２３が載置さ
れており、該水平回転機構２２にはア−ム２４を介して
前記鋳型載せ台１４の凹み列に挿入可能にされたフォ−
ク爪２５が水平に取付けられている。なお図中符号２６
は枠抜き機構により抜き上げられた枠無し生砂鋳型３を
前記鋳型載せ台１４上へ押出し移動させると共に該枠無
し生砂鋳型３を前記圧縮固定板治具１５とにより圧縮す
る押出し圧縮板であって、前記鋳造ライン５の外方に配
設した横向シリンダ２７のピストンロッド２８に固着さ
れている。また符号２９は上昇された前記抜上げ板７と
下降された鋳型載せ台１４との間を掛け渡すための渡し
板であり、その下部には生型砂の落下を案内する砂シュ
−ト３０が設けられている。

【００１１】このように構成されたものは図１の状態で
鋳造ライン５上の定盤台車４に注湯済の鋳型造型用鋳枠
１、２付生砂鋳型３が載置され、順次移送されるように
なっている。図示されないシリンダが作動して注湯済の
鋳型造型用鋳枠１、２付生砂鋳型３を枠載せ台６と枠ス
トッパ９との間位置に図１のようにして移動させた後上
昇シリンダ８が作動して抜上げ板７により生砂鋳型３を
鋳型造型用鋳枠１、２から抜き上げて図１の状態にされ
る。この際鋳型造型用鋳枠１、２は枠ストッパ９により
その上昇が阻止される。

【００１２】次に横向シリンダ２７が作動して抜き上げ
られている注湯済の枠無し生砂鋳型３を押出し圧縮板２
６により渡し板２９を介して前記鋳型載せ台１４の上部
に押出し、図１のように圧縮固定板治具１５に当たるま
で移動させる。さらに横向シリンダ２７が伸長作動して
枠無し生砂鋳型３の見切面Ｘに対し垂直に交差する面を
形成する押出し圧縮板２６により生砂鋳型３を図２に示
すように圧縮固定板治具１５に押しつけ圧縮して見切面
Ｘ面積を減じるように押し潰して生砂鋳型３内にクラッ
クを生じさせる。これにより枠無し生砂鋳型３は予備崩
壊された状態になる。

【００１３】次に横向きシリンダ２７及び上昇シリンダ
８が逆作動して押出し圧縮板２６が実線位置に、また抜
上げ板７が枠載せ台６の下方位置に戻されると共に圧縮
固定板治具１５が鋳型載せ台１４の上部から除去移動さ
れた後枠載せ台６上の空の鋳型造型用鋳枠１、２が図示
されないシリンダにより定盤台車４上に戻される。次に
昇降シリンダ１０が作動して取付けプレ−ト１１、トレ
イ１２、鋳型載せ台１４及び枠無し生砂鋳型３を上昇さ
せて減圧箱１８の開口周縁の環状シ−ル１９がトレイ１
２上面に当接し、図３のように気密状態にされる。この
状態で開閉弁１７を開き、真空レシ−バタンク１６と減
圧箱１８内を連通して気密空間内を急激に減圧させる。

【００１４】上記減圧保持により鋳物素材３Ａの近辺周
囲に存在する水分凝縮層の高温状態の多量の水分が、減
圧箱１８内の減圧により沸騰点を下げられるとことによ
り沸騰して蒸発圧力を発生し、減圧状態にある鋳型外側
との間に大きな圧力差が生じて生砂鋳型３が水分凝縮層
を境に崩壊（破砕）される。

【００１５】次に開閉弁１７が閉じられ、図示されない
給気弁が開かれて減圧箱１８内が大気圧に戻された後、
昇降シリンダ１０が逆作動して取付プレ−ト１１、トレ
イ１２、鋳型載せ台１４及び崩壊された生型砂と鋳物素
材３Ａ等を図１の位置まで下降させる。次に取出し台車
２３が作動してフォ−ク爪２５を鋳型載せ台１４の凹み
列に挿入して鋳物素材３Ａの下方に位置させた後シリン
ダ２１の作動により若干上昇させて鋳物素材３Ａをフォ
−ク爪２５により掬い上げると共に取出し台車２３の作
動により後退して図１、３の状態にされる。この状態で
水平回転機構２２が作動してフォ−ク爪２５を１８０度
水平回転して鋳物素材３Ａを次の工程へ順序よく送り出
す。

【００１６】一方鋳物素材３Ａを取り出された鋳型載せ
台１４の位置においては、トレイ１２が連結ピン１３を
中心にして上昇傾動されて、トレイ１２及び鋳型載せ台
１４上にある崩壊された生型砂を傾斜滑落させて砂シュ
−ト３０を介して図示されない砂処理ラインに回収され
る。したがって鋳物素材３Ａは他の部材との衝突衝撃を
受けることなく取り出されるため鋳物素材３Ａに割れ、
打痕、変形等の損傷を受けずに取り出されると共に１個
づつ順序よく取り出されて後工程に送り出されるように
なる。

【００１７】なお上記実施例においては抜枠された生砂
鋳型３は押出し圧縮板２６と圧縮固定板治具１５とによ
り予備崩壊された後減圧保持により崩壊されるようにな
っているが崩壊性がよい生砂鋳型においては、鋳型載せ
台１４を振動させたり、生砂鋳型３に圧縮力を加えた
り、あるいは生砂鋳型３に突起物を挿入する等の方法に
よって生砂鋳型３を崩壊させてもよい。

【００１８】さらに上記実施例においては、鋳造ライン
５上の定盤台車４上には注湯済の鋳型造型用鋳枠１、２
付生砂鋳型３が載置され、枠抜き機構部分で抜枠される
ようになっているが、抜枠鋳型造型機により造型されて
鋳型造型用鋳枠から抜き出して送り出され、その後に注
湯される生砂鋳型においては枠抜き機構部分を省略して
注湯済の枠無し生砂鋳型３を定盤台車４上から直接鋳型
載せ台１４上に移し替えるようにする。

【００１９】

【発明の効果】本発明は上記の説明から明らかなよう
に、注湯済の枠無し生砂鋳型を一個づつ型バラシ位置に
搬入する工程と、該型バラシ位置に搬入した生砂鋳型の
見切面と交差する面を押圧して見切面面積を減ずるよう
に押し潰す工程と、該押し潰された生砂鋳型に外力を加
えて生砂鋳型を崩壊させて鋳物素材から鋳型砂を分離さ
せると共に鋳物素材を型バラシ位置から搬出する工程
と、を有することを特徴とするものであるから、鋳物素
材を衝突衝撃による割れ、打痕、変形等の損傷を発生さ
せることなく生砂鋳型から取り出すことができるように
なる。また鋳物素材の取出しは、移送されてくる順序に
従って行われるため製造履歴を明確に把握でき、後処理
を最適に行うことができる等種々の効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態を示す概要構成図である。

【図２】生砂鋳型の鋳型崩壊機構位置における予備崩壊
の状態を示す拡大図である。

【図３】生砂鋳型の包囲気密状態を示す概要構成図であ
る。

【符号の説明】

１ ２ 鋳型造型用鋳枠 ３ 生砂鋳型 ３Ａ 鋳物素材 ５ 鋳造ライン １４ 鋳型載せ台 １５ 圧縮固定板治具 １６ 真空レシ−バタンク １８ 減圧箱 ２５ フォ−ク爪 ２６ 押出し圧縮板 ２７ 横向シリンダ

フロントページの続き (72)発明者 松本 武彦 愛知県豊川市穂ノ原３丁目１番地 新東工 業株式会社豊川製作所内 (72)発明者 吉田 恭典 愛知県豊川市穂ノ原３丁目１番地 新東工 業株式会社豊川製作所内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 注湯済の枠無し生砂鋳型を一個づつ型バ
   ラシ位置に搬入する工程と、該型バラシ位置に搬入した
   生砂鋳型の見切面と交差する面を押圧して見切面面積を
   減ずるように押し潰す工程と、該押し潰された生砂鋳型
   に外力を加えて生砂鋳型を崩壊させて鋳物素材から鋳型
   砂を分離させると共に鋳物素材を型バラシ位置から搬出
   する工程と、を有することを特徴とする注湯済生砂鋳型
   からの鋳物素材取出し方法。
2. 【請求項２】前記押し潰された生砂鋳型に外力を加える
   方法が、前記注湯済の枠無し生砂鋳型を気密に包囲する
   工程と、該気密に包囲した気密空間の内部を急激に減圧
   して前記枠無し生砂鋳型の水分凝縮層の高温状態の水分
   を沸騰させて生砂鋳型を崩壊させる工程と、から成るこ
   とを特徴とする請求項１記載の注湯済生砂鋳型からの鋳
   物素材取出し方法。
3. 【請求項３】 前記枠無し生砂鋳型が、注湯後に鋳型造
   型用鋳枠から抜き出されたものであることを特徴とする
   請求項１又は２記載の注湯済生砂鋳型からの鋳物素材取
   出し方法。
4. 【請求項４】 前記枠無し生砂鋳型が、注湯前に鋳型造
   型用鋳枠から抜き出されたものであることを特徴とする
   請求項１又は２記載の注湯済生砂鋳型からの鋳物素材取
   出し方法。