JP3309597B2 - アンチスキッド制御装置 - Google Patents

アンチスキッド制御装置

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JP3309597B2
JP3309597B2 JP28377394A JP28377394A JP3309597B2 JP 3309597 B2 JP3309597 B2 JP 3309597B2 JP 28377394 A JP28377394 A JP 28377394A JP 28377394 A JP28377394 A JP 28377394A JP 3309597 B2 JP3309597 B2 JP 3309597B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両における制動時の
車輪ロックを防止するアンチスキッド制御装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来のアンチスキッド制御装置として
は、例えば、本出願人が先に提案した特開平1−218
954号公報に記載されているものが知られている。こ
の従来例は、各車輪に設けた車輪速検出手段の車輪速検
出値のうち最も高い車輪速度検出値が実際の車体速度に
最も近いことから、これをセレクトハイ車輪速として選
択すると共に、前後加速度センサで検出した車体前後加
速度に所定のオフセット値を加算した前後加速度補正値
を積分回路に供給して、セレクトハイ車輪速を初期値と
してこれから前後加速度補正値の積分値を減算すること
により、推定車体速度を算出し、且つ各車輪速度検出値
を微分して車輪加減速度を算出し、推定車体速度と目標
スリップ率とから目標車輪速度を算出し、これらに基づ
いて、制動状態となったときに、先ず急増圧モードを設
定し、これによって車輪速度が低下して、車輪加減速度
が予め設定した減速度閾値以下となったときに保持モー
ドとし、その後、車輪スリップ率が目標スリップ率以上
となったときに減圧モードを設定してアンチスキッド制
御を開始し、車輪加減速度が加速度閾値以上となったと
きに低圧側の保持モードを設定し、次いで車輪加減速度
が加速度閾値未満で且つ車輪スリップ率が目標スリップ
率未満となったときに緩増圧モードを設定することによ
り、ホイールシリンダ圧を制御するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例のアンチスキッド制御装置にあっては、減圧後の再
増圧モードとするための条件が、車輪スリップ率が目標
スリップ率未満で且つ車輪加速度が加速度閾値未満であ
るときに設定されているので、車輪スリップ量が小さく
なっても、車輪の加速が収まるまでは再増圧が開始され
ないことになり、特に乾燥した舗装路等の高摩擦係数路
を走行している場合には、十分な車両減速度を確保する
ことができないと共に、ホイールシリンダ圧の低い時間
が長くなるため、減速加速度変動やピッチングを生じて
乗心地が悪化するという未解決の課題がある。
【0004】すなわち、図13に示すように、制動開始
時点t0 では急増圧モードが設定されているため、ホイ
ールシリンダ圧が図13(c)に示すようにマスタシリ
ンダ圧の急増に伴って急増し、これに応じて車輪速度V
wが図13(a)に示すように急激に低下し、車輪加減
速度Vw′が図13(b)に示すように早い時点t1
減速度閾値−α2 以下となることにより保持モードとな
って、ホイールシリンダ圧は図13(c)に示すように
保持状態となり、その後時点t2 で車輪速度Vwが目標
車輪速度Vw* 以下となって車輪スリップ率が目標スリ
ップ率以上となると、減圧モードが設定されてホイール
シリンダ圧が図13(c)に示すように急減し、これに
応じて車輪速度Vwが図13(a)に示すように回復し
て、車輪加減速度Vw′が加速度閾値+α1 以上となる
時点t3 で、低圧側の保持モードが設定され、ホイール
シリンダ圧が図13(c)に示すように保持状態とな
り、この保持モードが車輪速度Vwが目標車輪速度Vw
* を越えて車輪スリップ率が目標スリップ率未満となり
且つ車輪加減速度Vw′が加速度閾値+α1 未満となる
時点t4 まで継続され、時点t3 で始めて緩増圧モード
が設定されてホイールシリンダ圧が図13(c)に示す
ようにステップ状に増加し、これに応じて車輪速度Vw
が図13(a)に示すように減少する。
【0005】ところが、車両減速度は、図13(d)に
示すように、時点t0 で急増圧モードによるホイールシ
リンダ圧の急増によって急峻に増加し、その後時点t1
で保持モードが設定されることにより、増加傾向から一
定値に保持される状態となるが、その後時点t2 で減圧
モードとなった後に時点t3 で保持モードが設定される
が、この保持モードが緩増圧モードが開始される時点t
4 まで維持されることにより、ホイールシリンダ圧が低
い時間が長くなり、この状態ではホイールシリンダで発
生する制動力が小さい状態となっているため車両減速度
が図13(d)に示すように小さくなり、特に乾燥した
舗装路等の高摩擦係数路を走行している場合には、車両
減速度の低下量が大きくなって大きな減速度変動を発生
させ、この状態が緩増圧モードの開始時点t5 ,t6
…で繰り返されることにより、車両にピッチングが生じ
て乗心地が低下する。
【0006】そこで、本発明は、上記従来例の未解決の
課題に着目してなされたものであり、アンチスキッド制
御時の車両減速度の変動を抑制して乗心地を向上させる
ことができるアンチスキッド制御装置を提供することを
目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係るアンチスキッド制御装置は、図1の
基本構成図に示すように、複数の車輪の速度を検出する
車輪速度検出手段と、該車輪速検出手段の車輪速検出値
から車輪加減速度を演算する車輪加減速度演算手段と、
少なくとも前記車輪速度検出手段の車輪速度に基づいて
推定車体速度を演算する推定車体速度演算手段と、前記
車輪速度検出手段の車輪速度、前記車輪加減速度演算手
段の車輪加減速度及び前記推定車体速度演算手段の推定
車体速度に基づいて各車輪に配設された制動用シリンダ
の流体圧を少なくとも減圧、保持及び増圧状態の何れか
に制御する制動圧制御手段とを備えたアンチスキッド制
御装置において、車体速度勾配を検出又は推定する車体
速度勾配検出又は推定手段を備えると共に、前記制動圧
制御手段は、減圧開始後の経過時間を計測する経過時間
計測手段と、前記推定車体速度演算手段の推定車体速度
及び前記車輪速度検出手段の車輪速度に基づいて車輪ス
リップ率を算出する車輪スリップ率算出手段と、前記車
輪加減速度演算手段の車輪加減速度が加速度閾値以下で
且つ前記車輪スリップ率算出手段の車輪スリップ率が目
標スリップ率以下である第1の条件と、前記車体速度勾
配検出又は推定手段の車体速度勾配が設定値以上で且つ
前記経過時間計測手段の経過時間が設定値以下で且つ前
記車輪スリップ率算出手段の車輪スリップ率が目標スリ
ップ率以下である第2の条件との何れかを満足したとき
に減圧後の再増圧を開始する再増圧モード実行手段とを
有することを特徴としている。
【0008】また、請求項2に係るアンチスキッド制御
装置は、請求項1の発明において、前記再増圧モード実
行手段は、最初の緩増圧モード開始時には第1の条件の
みで開始判断を行うように構成されていることを特徴と
している。さらに、請求項3に係るアンチスキッド制御
装置は、請求項1の発明において、前記車体速度勾配検
出又は推定手段が、各車輪中の最も車輪速度が高い車輪
の車輪減速度が設定値以下に変換するときの経過時間と
そのときの車速度差とに基づいて車体速度勾配を推定
するように構成されていることを特徴としているもので
ある。
【0009】さらにまた、請求項4に係るアンチスキッ
ド制御装置は、請求項1の発明において、前記車体速度
勾配検出又は推定手段が、車体の前後方向加速度を検出
する前後方向加速度検出手段の前後方向加速度に基づい
て車体速度勾配を検出するように構成されていることを
特徴としている。
【0010】
【作用】請求項1に係るアンチスキッド制御装置におい
ては、制動状態となって減圧モードが設定された後の緩
増圧モードが従来例と同様の車輪スリップ率が目標車輪
スリップ率未満で且つ車輪加減速度が加速度閾値未満で
ある第1の条件を満足したときに開始される外、乾燥し
た舗装路等の高摩擦係数路での減速状態のように車体速
度勾配が設定値以上で且つ減圧モードの開始時点からの
経過時間が短い状態で車輪スリップ率が目標スリップ率
を未満であるときにも緩増圧モードが開始されることに
より、高摩擦係数路での減圧直後の保持時間を短縮して
車両減速度の低下を抑制する。しかも、高摩擦係数路を
走行している状態から急に降雨路、凍結路、雪路等の低
摩擦係数路を走行する状態となった場合のように、減速
開始時から車輪スリップ率が目標スリップ率未満となる
までの経過時間が長い場合には、緩増圧モードの開始が
遅れることになるので、車輪速度を車体速度まで十分回
復させることが可能となる。
【0011】また、請求項2に係るアンチスキッド制御
装置においては、制動状態となって減圧モードが設定さ
れた後の最初の緩増圧モードでは第1の条件のみで緩増
圧開始を判断するので、緩増圧開始を遅らせて車輪速度
を実際の車体速度近傍まで確実に回復させる。さらに、
請求項3に係るアンチスキッド制御装置においては、車
体速度勾配を各車輪中の最も車輪速度が高い車輪を選択
し、その車輪減速度が設定値以下に変化するときの経過
時間とそのときの車速度差とに基づいて推定すること
により、別途車体速度勾配を算出するためのセンサを必
要とすることなく車体速度勾配を求めることができる。
【0012】さらにまた、請求項4に係るアンチスキッ
ド制御装置においては、前後方向加速度検出手段で車体
の前後方向加速度を検出してこれを車体速度勾配とする
ことにより、正確な車体速度勾配を検出することができ
る。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図2は本発明の一実施例を示すブロック図であ
る。図中、1FL,1FRは前輪、1RL,1RRは後
輪であって、後輪1RL,1RRにエンジンEGからの
回転駆動力が変速機T、プロペラシャフトPS及びディ
ファレンシャルギヤDGを介して伝達され、各車輪1F
L〜1RRには、それぞれ制動用シリンダとしてのホイ
ールシリンダ2FL〜2RRが取付けられ、さらに前輪
1FL,1FRにこれらの車輪回転数に応じたパルス信
号PFL,PFRを出力する車輪速度検出手段としての車輪
速センサ3FL,3FRが取付けられ、プロペラシャフ
トPSに後輪の平均回転数に応じたパルス信号PR を出
力する車輪速度検出手段としての車輪速センサ3Rが取
付けられている。
【0014】各前輪側ホイールシリンダ2FL,2FR
には、ブレーキペダル4の踏込みに応じて前輪側及び後
輪側の2系統のマスタシリンダ圧を発生するマスタシリ
ンダ5からのマスタシリンダ圧が前輪側アクチュエータ
6FL,6FRを介して個別に供給されると共に、後輪
側ホイールシリンダ2RL,2RRには、マスタシリン
ダ5からのマスタシリンダ圧が共通の後輪側アクチュエ
ータ6Rを介して供給され、全体として3センサ3チャ
ンネルシステムに構成されている。
【0015】アクチュエータ6FL〜6Rのそれぞれ
は、図3に示すように、マスタシリンダ5に接続される
油圧配管7とホイールシリンダ2FL〜2RRとの間に
介装された電磁流入弁8と、この電磁流入弁8と並列に
接続された電磁流出弁9、油圧ポンプ10及び逆止弁1
1の直列回路と、流出弁9及び油圧ポンプ10間の油圧
配管に接続されたアキュムレータ12とを備えている。
【0016】そして、各アクチュエータ6FL〜6Rの
電磁流入弁8、電磁流出弁9及び油圧ポンプ10は、車
輪速センサ3FL〜3Rからの車輪速パルス信号PFL
Rが入力されるコントローラCRからの液圧制御信号
EV、AV及びMRによって制御される。コントローラ
CRは、車輪速センサ3FL〜3Rからの車輪速パルス
信号PFL〜PR が入力され、これらと各車輪1FL〜1
RRの回転半径とから車輪の周速度でなる車輪速度Vw
FL〜VwR を演算する車輪速演算回路15FL〜15R
と、これら車輪速演算回路15FL〜15Rの車輪速度
VwFL〜VwR が入力され、これらに対して時間制限フ
ィルタ処理を行う車輪速フィルタ16FL〜16Rと、
これら車輪速フィルタ16FL〜16Rのフィルタ出力
がこれらの内最も高い車輪速度をセレクトハイ車輪速度
VwH として選択するセレクトハイスイッチ18を介し
て供給され、これに基づいて推定車体速度VX を演算す
る推定車体速度演算回路19と、車輪速演算回路15F
L〜15Rの車輪速度VwFL〜VwRと車体速度演算回
路19の推定車体速度VX とが入力されてこれらに基づ
いてアクチュエータ6FL〜6Rに対する制御信号E
V,AV,MRを出力する制動圧制御手段としてのマイ
クロコンピュータ20とを備えており、マイクロコンピ
ュータ20から出力される制御信号AVFL〜AVR 、E
FL〜EVR 及びMRFL〜MRR が駆動回路22aFL
22aR 、22bFL〜22bR 及び22cFL〜22cR
を介してアクチュエータ6FL〜6Rに供給される。
【0017】そして、車輪速フィルタ16FL〜16R
の夫々は、図4に示すように、車輪速演算回路15i
(i=FL,FR,R)からの車輪速度Vwi を車輪速
サンプリング値VS として保持するサンプルホールド回
路161と、オペアンプで構成され入力電圧Eを積分す
る積分回路162と、この積分回路162の積分出力V
e とサンプルホールド回路161の車輪速サンプリング
値VS とを加算してフィルタ出力Vfi を算出する加算
回路163と、車輪速度Vwi がフィルタ出力Vfi
対して予め設定した所定の不感帯幅内即ちVfi −1km
/h<Vwi <Vf i +1km/hであるか否かを検出し、V
i −1km/h<Vwi <Vfi +1km/hであるときに出
力C1及びC2を共に低レベルとし、Vwi ≧Vfi
1km/hであるときに、出力C1を高レベルとし、Vwi
≦Vfi −1km/hであるときに出力C2を高レベルとす
る不感帯検出回路164と、この不感帯検出回路164
で車輪速度Vwi が不感帯内となったとき及びイグニッ
ションスイッチのオン信号IGが入力されたときに、前
記サンプルホールド回路161で車輪速度Vwi を保持
させると共に、積分回路162をリセットするリセット
信号SRを出力するリセット回路165と、車体速度V
i が不感帯幅内にあるとき及び不感帯幅外となってか
らオフディレータイマ166で設定された所定時間T3
の間積分入力電圧Eとして零電圧を積分回路162に供
給し、Vwi >Vfi +1km/hとなってから所定時間T
3 経過後に非アンチスキッド制御中は+0.4Gに対応
する負の電圧を、アンチスキッド制御中は+10Gに対
応する負の電圧をそれぞれ積分入力電圧Eとして積分回
路162に供給し、さらにVwi <Vfi −1km/hとな
ってから所定時間T3 経過後に−1.2Gに対応する正
の電圧を積分入力電圧Eとして積分回路162に供給す
る選択回路167とを備えている。
【0018】この車輪速フィルタ15iによれば、図6
に示すように、時点t0 で定速走行しているものとする
と、この状態では、図6(a)に示すように、車輪速度
Vw i の変動が殆どないので、不感帯検出回路164で
加算回路163から出力されるフィルタ出力Vfi に対
して設けられた不感帯内に車輪速度Vwi が収まること
になり、この不感帯検出回路164からの出力C1及び
C2が共に低レベルとなり、これによってリセット回路
165のNORゲートO1 の出力S5が高レベルとなっ
ており、選択回路167で“0”の電圧が選択されてこ
れが積分回路162に供給されることにより、その積分
出力Veが“0”となって、加算回路163から前回の
サンプルホールド回路161で保持されたサンプル車輪
速度VSがフィルタ出力Vfi として出力されることに
なり、フィルタ出力Vfi も一定値となっている。
【0019】この状態から時点t1 でブレーキペダル4
を踏込んで制動状態とし、これによってホイールシリン
ダ2iの圧力が高くなって車輪速度Vwi が減少して、
その直前のフィルタ出力Vfi に対して1km/h分低
下すると、不感帯検出回路164の出力C2が高レベル
となり、これによってリセット回路165のNORゲー
トの出力S5が低レベルとなるが、選択回路167のオ
フディレータイマ166が所定時間T3 分オン状態を継
続するので、この選択回路167の出力電圧Eは“0”
の状態を維持し、フィルタ出力Vfi も図6(a)で破
線図示のように前回値を維持する。
【0020】そして、時点t2 でオフディレータイマ1
66の遅延時間T3 が経過することにより、オフディレ
ータイマ166の出力が低レベルに反転すると、選択回
路167でANDゲートA1 の出力S4が高レベルとな
って、減速度−1.2Gに相当する電圧Eが積分回路1
62に出力されることにより、負の積分出力Veが加算
回路163に出力され、これによってフィルタ出力Vf
i が図6(a)で示すように減速度−1.2Gに対応す
る勾配で減少する。
【0021】その後、車輪速度Vwi が回復して、時点
3 で車輪速度Vwi がフィルタ出力Vfi の不感帯内
にとなると、不感帯検出回路164の出力C1及びC2
が共に“0”となり、これによって選択回路167で
“0”の出力電圧Eが選択されることにより保持状態と
なり、その直後に車輪速度Vwi がフィルタ出力Vfi
に対して1km/h以上増加すると不感帯保持回路16
4の出力C1が高レベルに反転し、これによってNOR
ゲートO1 の出力S5が低レベルとなるが、オフディレ
ータイマ166の出力が高レベルを継続するので、フィ
ルタ出力Vfi は保持状態を継続する。
【0022】その後、時点t4 で、オフディレータイマ
166の遅延時間T3 が経過すると、ORゲートO2
出力S3が低レベルとなることにより、ANDゲートA
2 の出力が高レベルとなり、この状態では、後述するよ
うにアンチスキッド制御が開始されて、車輪速度Vwi
が目標車輪速度Vwi 以下となった時点t2 ′でモータ
制御信号MRがオン状態となるので、選択スイッチSW
で+10Gに対応する電圧が選択され、これが出力電圧
Eとして積分回路162に出力される。このため、フィ
ルタ出力Vfi が図6(a)に示すように急激に上昇
し、このフィルタ出力Vf1 の不感帯内に車輪速度Vw
i が入る時点t5 でフィルタ出力Vfi が保持状態とな
る。
【0023】その後、上記動作を繰り返してフィルタ車
輪速度Vfi が増加し、その後車輪速度Vwi が減少を
開始すると、フィルタ出力Vfi は時点t6 、t7 及び
8で時点t2 と同様に所定勾配でフィルタ出力が減少
し、その後時点t9 で時点t 3 と同様に保持状態とな
り、時点t10で減少状態となる。また、推定車体速度演
算回路19は、図5に示すように、セレクトハイスイッ
チ18から出力されるセレクトハイ車輪速度VwH をサ
ンプルホールドするサンプルホールド回路191a,1
91bと、所定周期でインクリメントされるタイマカウ
ンタ192のカウント値をサンプルホールドするサンプ
ルホールド回路191c,191dとを有する。
【0024】これらサンプルホールド回路191a,1
91b及び191c,191dは、ホールド信号形成回
路193からのホールド信号H1 及びH2 がハイレベル
となったときにサンプル値をホールドする。ホールド信
号形成回路193は、セレクトハイ車輪速度VwH を微
分してセレクトハイ車輪加減速度VwH ′を算出する微
分回路193aと、この微分回路193aから出力され
るセレクトハイ車輪加減速度VwH ′と予め設定された
減速度閾値−b2 とを比較し、VwH ′<−b 2 である
ときにハイレベルの比較出力をホールド信号H2 として
出力する比較回路193bと、後述するマイクロコンピ
ュータ20から出力されるモータ駆動信号MRFL〜MR
R が入力されるリトリガブルタイマ193cと、比較回
路193bのホールド信号H2 とリトリガブルタイマ1
93cの出力がインバータ193dで反転された反転信
号とが入力され、これらの論理積でなるホールド信号H
1を出力するANDゲート193eとを備えている。
【0025】また、推定車体速度演算回路19は、サン
プルホール回路191aから出力されるサンプリング車
輪速度V0 からサンプルホールド回路191bから出力
されるサンプリング車輪速度Vb を減算する減算回路1
95と、サンプルホールド回路191cから出力される
サンプリング値T0 からサンプルホールド回路191d
から出力されるサンプリング値Tb を減算する減算回路
196と、減算回路195の減算出力(V0 −Vb )を
減算回路196の減算出力(T0 −Tb )で除算して車
体速度勾配VXK〔=(V0 −Vb )/(T0 −Tb )〕
を出力する除算回路197と、この除算回路197の車
体速度勾配と勾配発生回路198から出力される予め設
定された車体速度勾配VXK0 とを選択する選択回路19
9と、タイマカウンタ192のカウント値Tからサンプ
ルホールド回路191dのサンプリング値Tb を減算す
る減算回路200と、選択回路199から出力される選
択出力と減算回路200から出力される減算出力(T−
b )を乗算する乗算回路201と、前記サンプリング
ホールド回路191bのサンプリング車輪速度Vbから
乗算回路201の乗算出力を減算する減算回路202
と、この減算回路202の減算出力とセレクトハイ車輪
速度VwH との何れかを選択する選択回路205と、こ
の選択回路205の選択出力とセレクトハイ車輪速度V
H との何れか大きい方を選択して出力するセレクトハ
イスイッチ206とを備えており、選択回路199で選
択された選択出力が車体速度勾配VXKとしてマイクロコ
ンピュータ20に出力されると共に、セレクトハイスイ
ッチ206で選択された選択出力が推定車体速度VX
してマイクロコンピュータ20に出力される。
【0026】ここで、選択回路199は、ホールド信号
形成回路193のホールド信号H2とリトリガブルマル
チバイブレータ193cの出力信号とが入力されるAN
Dゲート207の出力信号によってセットされ、リトリ
ガブルマルチバイブレータ193cの出力信号のハイレ
ベルの反転によってリセットされるRS型フリップフロ
ップ208の肯定出力がハイレベルであるときに除算回
路197の出力を選択し、ローレベルであるときに勾配
発生回路198の出力を選択するように構成されてい
る。
【0027】一方、選択回路205は、ホールド信号形
成回路193の比較回路193bから出力されるホール
ド信号H2 が入力されてその立ち上がりから所定時間Δ
T(例えば2秒程度)だけハイレベルを維持するリトリ
ガブルタイマ209の出力がハイレベルにあるときに減
算回路202の出力を選択し、ローレベルにあるときに
セレクトハイ車輪速度VwH を選択するように構成され
ている。
【0028】この推定車体速度演算回路19によると、
説明を簡単にするために、車輪速フィルタ15iのセレ
クトハイ車輪速度Vwi が図6(a)に示すものである
とすると、時点t2 でフィルタ出力Vfi の勾配が−
1.2Gに対応した値となることにより、比較回路19
3bのホールド信号H2 が高レベルに反転する。このと
き、マイクロコンピュータ20から出力されるモータ駆
動信号MRi が図6(c)に示すように、論理値“0”
を維持しているため、リトリガブルタイマ193cの出
力も低レベルを維持しており、これがインバータ193
dで反転されてアンドANDゲート193eに供給され
るので、このANDゲート193eから出力されるホー
ルド信号H1 も同時に高レベルに反転する。
【0029】このため、サンプルホールド回路191a
及び191bでそのときのセレクトハイ車輪速度VwH
をサンプル値V0 及びVb として夫々保持すると共に、
サンプルホールド回路191c及び191dでそのとき
のタイマカウンタ192のカウント値Tをサンプル値T
0 及びTb として夫々保持する。一方、リトリガブルタ
イマ193cの出力が低レベルを維持しているので、A
NDゲート207の出力は低レベルを維持し、これによ
ってフリップフロップ208はリセット状態を維持して
その肯定出力は低レベルを維持するので、選択回路19
9では勾配発生回路198の出力VXK0 が車体速度勾配
XKとして選択され、これが乗算回路201及びコント
ローラCRに出力される。
【0030】このため、時点t2 では、選択回路199
から所定値VXK0 の車体速度勾配V XKが出力され、一
方、減算回路200ではサンプルホールド回路191d
のサンプル値Tb とタイマカウンタ192のカウント値
Tとが一致しているのでホールド信号H2 によるサンプ
リング時点からの経過時間Tc (=T−Tb )は“0”
となっており、したがって、乗算回路201から出力さ
れるホールド信号H2 によるサンプリング時点からの車
体速度変化量ΔVXKを表す乗算出力も“0”となってお
り、これとサンプルホールド回路191bのホールド信
号H2 によるサンプリング車輪速度Vb とが減算回路2
02に供給されるので、この減算回路202から出力さ
れる車体速度推定値VX1(=Vb −ΔVXK)はサンプリ
ング車輪速度Vb となり、これが選択回路205を介し
てセレクトハイスイッチ206に供給され、このときセ
レクトハイ車輪速度VwH より車体速度推定値VX1の方
が大きいので、図6(b)に示すように、車体速度推定
値Vx1が推定車体速度VX としてコントローラCRに出
力される。
【0031】その後、時間の経過と共に、減算回路20
0から出力される経過時間TC が増加することにより、
乗算回路201から出力される車体速度変化量ΔVXK
増加、これによって減算回路202から出力される車体
速度推定値VX1が図6(a)で一点鎖線図示のように所
定値VXK0 の車体速度勾配で減少することになり、これ
に応じて推定車体速度VX も図6(b)に示すように減
少する。
【0032】その後、時点t4 及び時点t5 の中間点で
車体速度推定値VX1よりセレクトハイ車輪速度VwH
してのフィルタ車輪速度Vfi が大きな値となるので、
選択回路206で車体速度推定値VX1に代えてセレクト
ハイ車輪速度VwH が選択されので、推定車体速度VX
が図6(b)に示すように、セレクトハイ車輪速度Vw
H に応じて増加する。
【0033】その後、時点t5 ′でリトリガブルタイマ
209の設定時間ΔTがタイムアップすると、これに応
じて選択回路205が車体速度推定値VX1からセレクト
ハイ車輪速度VwH に切換えられるが、前述したよう
に、時点t4 後に既に推定車体速度VX としてセレクト
ハイ車輪速度VwH が選択されているので、継続してセ
レクトハイ車輪速度VwH が推定車体速度VX として選
択される。
【0034】その後、時点t6 でフィルタ出力Vfi
減少し始めると、これに応じて比較回路191bから出
力されるホールド信号H2 が高レベルとなり、これによ
ってサンプルホールド回路191b及び191dでその
時点でのセレクトハイ車輪速度VwH のサンプリング値
b 及び経過時間Tのサンプリング値Tb が保持される
が、前述したように時点t2 ′でモータ駆動信号MRi
が高レベルとなっているので、ホールド信号H1 は低レ
ベルを維持しているので、サンプルホールド回路191
a及び191bでは制動開始時の初期サンプリング値V
0 及びT0 を維持する。
【0035】一方、比較回路193bから出力されるホ
ールド信号H2 が高レベルに反転すると、モータ駆動信
号MRi が高レベルを維持しているので、ANDゲート
207から高レベルの出力が得られ、これによってフリ
ップフロップ208がセットされてその肯定出力が高レ
ベルとなるので、選択回路199が勾配発生回路198
側から除算回路197側に切換えられる。
【0036】このため、減算回路195で初期サンプリ
ング値V0 から時点t6 でのサンプリング値Vb を減算
して初期サンプリング時点からのセレクトハイ車輪速度
Vw H の変化量を算出すると共に、減算回路196で初
期サンプリング値T0 から時点t6 でのサンプリング値
b を減算して初期サンプリング時点からの経過時間T
P を算出し、これらをを除算回路197に供給すること
により実際のセレクトハイ車輪速度変化に対応した車体
速度勾配VXKを算出し、これを除算回路201に供給す
ることにより車体速度変化量ΔVXKを算出するが、この
時点t6 では減算回路200での経過時間TC が“0”
であるので、サンプリング車輪速度Vbがそのまま車体
速度推定値VX1となり、これが推定車体速度VX として
出力される。
【0037】その後、時間の経過と共に、減算回路20
0のから出力される経過時間TC が増加することによ
り、乗算回路201から出力される車体速度変化量ΔV
XKが増加し、これによって減算回路202から出力され
る車体速度推定値VX1が減少する。その後、時点t7,
8 で順次フィルタ出力Vfi が減少するので、これによ
って比較回路193bから出力されるホールド信号H2
が高レベルに反転し、これによってサンプルホールド回
路191b及び191dでセレクトハイ車輪速度VwH
のサンプリング値Vb 及び経過時間Tのサンプリング値
b を保持し、これに基づいて車体速度勾配VXKを算出
し、これに基づいて推定車体速度VX を算出する。
【0038】さらに、マイクロコンピュータ20は、図
2に示すように、例えばA/D変換機能を有する入力イ
ンタフェース回路20a、出力インタフェース回路20
d、演算処理装置20b及び記憶装置20cを少なくと
も有し、演算処理装置20bで、車輪速度VwFL〜Vw
R を微分して車輪加速度VwFL′〜VwR ′を算出し、
推定車体速度演算回路19からの推定車体速度VX に基
づく目標車輪速度Vw * と車輪速度VwFL〜VwR との
偏差及び車輪加減速度VwFL′〜VwR ′と設定値例え
ば減速度閾値−α2 との偏差の和でなる目標増減圧量Δ
Pを算出すると共に、推定車体速度VX と車輪速度Vw
FL〜VwR とに基づいてスリップ率SFL〜SR を算出
し、車輪速度VwFL〜VwR 、車輪加速度VwFL′〜V
R ′、スリップ率SFL〜SR 及び車体速度勾配VX
基づいてアクチュエータ6FL〜6Rに対する制御信号
AVFL〜AVR ,EVFL〜EVR ,MRFL〜MRR を出
力する。
【0039】次に、上記実施例の動作をマイクロコンピ
ュータ20の制動圧制御処理を示す図7を伴って説明す
る。この制動圧制御処理は、所定時間例えば10msec毎
のタイマ割込処理として実行され、この処理において、
ASはアンチスキッド制御フラグ、Lは減圧タイマ、T
は減圧開始時からの経過時間を示し、これらは前回のア
ンチスキッド制御の終了時にステップS9からステップ
S10,S11に移行して“0”にクリアされている。
また、T0 は再増圧を許可する閾値、CY は繰り返し周
期を示すフラグである。
【0040】すなわち、第7図の処理が開始されると、
先ずステップS1で、各車輪速演算回路15i(i=F
L,FR,R)から出力される現在の車輪速検出値Vw
iNを読込み、次いでステップS2に移行して、前回の処
理時に読込んだ車輪速検出値VwiN-1からステップS1
で読込んだ車輪速検出値VwiNを減算して単位時間当た
りの車輪速変化量即ち車輪加減速度Vwi ′を算出して
これを記憶装置20cの所定記憶領域に記憶し、次いで
ステップS3に移行して、推定車体速度演算回路19か
らの推定車体速度VX 及び車体速度勾配VXKを読込み、
次いでステップS4に移行して下記(1)式の演算を行
って各輪毎のスリップ率Si を算出する。
【0041】 Si ={(VX −Vwi )/VX }×100 …………(1) 次いで、ステップS5に移行して、減圧開始時からの経
過時間Tが正であるか否かを判定し、T>0であるとき
にはステップS6に移行して、経過時間Tを“1”だけ
インクリメントしてからステップS7に移行し、CT=
0であるときにはそのままステップS7に移行する。
【0042】このステップS7では、スリップ率Si
予め設定された所定値S0 (例えば20%)以上である
か否かを判定し、Si <S0 であるときには、ステップ
S8に移行し、減圧タイマLを“0”にクリアしてから
ステップS9に移行する。このステップS9では、ブレ
ーキペダル4が解放されているとき、車両が停止近傍の
速度となったとき、緩増圧モードの選択回数が所定値以
上となったとき等の制御終了条件を満足するか否かを判
定し、制御終了条件を満足する場合には、ステップS1
0に移行して、減圧タイマLを“0”にクリアし、且つ
アンチスキッド制御フラグASを“0”にリセットし、
さらに周期フラグCY を“1”にセットし、次いでステ
ップS11に移行して、減圧開始時からの経過時間Tを
“0”にクリアしてからステップS12に移行する。
【0043】このステップS12では、アクチュエータ
6iの圧力をマスタシリンダ5の圧力に応じた圧力とす
る急増圧モードに設定してからタイマ割込処理を終了し
て所定のメインプログラムに復帰する。この急増圧モー
ドでは、アクチュエータ6iに対する制御信号EV及び
AVを共に論理値“0”として、アクチュエータ6iの
流入弁8を開状態に、流出弁9を閉状態にそれぞれ制御
する。
【0044】一方、ステップS9の判定結果が、制御終
了条件を満足しないときには、ステップS13に移行し
て、減圧タイマLが“1”にセットされているか否かを
判定し、L=1であるときにはステップS14に移行し
て、ホイールシリンダ2iを減圧する減圧モードに設定
してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログ
ラムに復帰する。この減圧モードでは、アクチュエータ
6iに対する制御信号EVi 、AVi 及びMRi を共に
論理値“1”として、アクチュエータ6iの流入弁8を
閉状態、流出弁9を開状態として、ホイールシリンダ2
iに保持されている圧力を流出弁9、油圧ポンプ10及
び逆止弁11を介してマスタシリンダ5側に戻し、ホイ
ールシリンダ2iの内圧を減少させる。
【0045】また、ステップS13の判定結果が、減圧
タイマLが“0”にクリアされているときには、ステッ
プS15に移行して、ステップS2で算出した車輪加減
速度Vwi ′が予め設定された加速度閾値+α1 以上で
あるか否かを判定し、Vwi′<+α1 であるときに
は、ステップS16に移行して、車輪加減速度Vwi
が予め設定された減速度閾値−α2 以下であるか否かを
判定し、Vwi ′≦−α 2 であるときにはステップS1
7に移行して、アクチュエータ6iをホイールシリンダ
2iの内圧を一定値に保持する高圧側の保持モードに設
定してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプロ
グラムに復帰する。この高圧側の保持モードでは、アク
チュエータ6iに対する制御信号EVi を論理値“1”
とすると共に制御信号AVi を論理値“0”として、ア
クチュエータ6iの流入弁8を閉状態に、流出弁9を閉
状態にそれぞれ制御し、ホイールシリンダ2iの内圧を
その直前の圧力に保持する。
【0046】一方、ステップS16の判定結果がV
i ′>−α2 であるときにはステップS18に移行し
て、アンチスキッド制御フラグASが“0”にリセット
されているか否かを判定し、これが“0”にリセットさ
れているときには、前記ステップS11に移行し、
“1”にセットされているときにはステップS19に移
行する。
【0047】このステップS19では、周期フラグCY
を“2”にセットし、次いでステップS20に移行し
て、減圧開始時からの経過時間Tを“0”にクリアして
からステップS21に移行してホイールシリンダ2iの
圧力を緩増圧させる緩増圧モードに設定してからタイマ
割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰す
る。この緩増圧モードでは、アクチュエータ6iに対す
る制御信号EVi を論理値“0”及び論理値“1”に所
定間隔で交互に繰り返すと共に、制御信号AVi を論理
値“0”として、アクチュエータ6iの流入弁8を所定
間隔で開閉し、流出弁9を閉状態とすることにより、ホ
イールシリンダ2iの内圧を徐々にステップ状に増圧す
る。
【0048】一方、前記ステップS15の判定結果が、
Vwi ′≧+α1 であるときには、ステップS22に移
行して、アンチスキッド制御フラグASが“0”にリセ
ットされているか否かを判定し、制御フラグASが
“0”にリセットされているときには前記ステップS1
1に移行し、制御フラグASが“1”にセットされてい
るときにはステップS23に移行して車輪スリップ率S
i が目標スリップ率S0 以上であるか否かを判定し、S
i ≧S0 であるときには後述するステップS27にジャ
ンプし、Si <S0 であるときにはステップS24に移
行する。
【0049】このステップS24では、車体速度勾配V
XKが予め設定した前述した勾配発生回路198から出力
される所定値VXK0 より小さい設定値VXKS 未満である
か否かを判定する。この判定は、車両の減速度が大きい
か否かを判定するものであり、乾燥した舗装路等の高摩
擦係数路での急制動時にはVXK≧VXKS となり、降雨
路、凍結路、雪路等の低摩擦係数路では急制動時であっ
てもVXK<VXKS となる。
【0050】したがって、VXK<VXKS であるときには
低摩擦係数路を走行していると判断して後述するステッ
プS27にジャンプし、VXK≧VXKS であるときには高
摩擦係数路を走行していると判断してステップS25に
移行する。このステップS25では、減圧開始時からの
経過時間Tが予め設定した再増圧を許可する閾値T0
越えているか否かを判定し、T>T0 であるときには、
再増圧を許可できないものと判断して後述するステップ
S27に移行し、T≦T0であるときには、再増圧を許
可できるとものと判断してステップS26に移行し、周
期フラグCY が“2”にセットされているか否かを判定
し、CY =2であるときには前記ステップS20,S2
1に移行して、緩増圧モードを設定し、CY=1である
ときにはステップS27に移行する。
【0051】このステップS27では、ホイールシリン
ダ2iの圧力を低圧側でその直前の値に保持する低圧側
の保持モードに設定してからタイマ割込処理を終了して
所定のメインプログラムに復帰する。この低圧側の保持
モードでは、前述したステップS17の高圧側の保持モ
ードと同様に、アクチュエータ6iに対する制御信号E
i を論理値“1”とすると共に制御信号AVi を論理
値“0”として、アクチュエータ6iの流入弁8を閉状
態に、流出弁9を閉状態に夫々制御し、ホイールシリン
ダ2iの内圧をその直前の圧力に保持する。
【0052】また、前記ステップS7の判定結果が、S
i ≧S0 であるときにはステップS28に移行して、車
輪加減速度Vwi ′が予め設定された加速度閾値+α1
以上であるか否かを判定し、Vwi ′≧+α1 であると
きにはステップS29に移行して減圧タイマLを“0”
にクリアしてから前記ステップS9に移行し、Vwi
+α1 であるときにはステップS30に移行して、減圧
開始時からの経過時間Tが正の値であるか否かを判定
し、T=0であるときにはステップS31に移行してア
ンチスキッド制御フラグASを“1”にセットし、経過
時間Tを“1”にセットし、さらに減圧タイマLを
“1”にセットしてから前記ステップS9に移行し、T
>0であるときにはそのまま前記ステップS9に移行す
る。
【0053】この図7の処理が制動圧制御手段に対応
し、この内ステップS5,S6,S31の処理が減圧開
始時からの経過時間Tを計測する経過時間計測手段に対
応し、S15,S22〜S27の処理が緩増圧モード実
行手段に対応している。したがって、図8に示すよう
に、時点t0 で車両が乾燥した舗装路等の高摩擦係数路
を非制動状態で定速走行しているものとすると、この状
態では、推定車体速度VX と車輪速度Vwi とが一致し
ているので、ステップS3で算出されるスリップ率Si
が“0”となり、非制動状態であり、減圧開始時からの
経過時間Tが“0”にクリアされているので、ステップ
S5からステップS7を経てステップS8に移行して、
減圧タイマLを“0”にクリアしてからステップS9に
移行して、ブレーキペダル4が踏込まれていないので制
御終了条件を満たしており、ステップS10に移行し
て、減圧タイマL及びアンチスキッド制御フラグASを
“0”にクリアし、且つ周期フラグCY を“1”にセッ
トし、次いでステップS11に移行して、経過時間Tを
“0”にクリアしてからステップS12に移行して急増
圧モードを設定する。
【0054】この急増圧モードでは、アクチュエータ6
iによってマスターシリンダ5と各ホイールシリンダ2
iとが連通状態となっているが、ブレーキペダル4を踏
込まない非制動状態であることにより、マスターシリン
ダ5の圧力が略零であるので、ホイールシリンダ2jの
圧力も略零を維持し、非制動状態を維持する。この非制
動状態では、推定車体速度演算回路19で前述したよう
にフリップフロップ208がリセット状態にあって、選
択回路199で勾配発生回路198の勾配出力VXK0
選択されていることにより、車体速度勾配VXKは図8
(e)に示すように設定値VXK0 を維持している。
【0055】この非制動状態から時点t1 でブレーキペ
ダル4を踏込んで制動状態とすると、これによってマス
ターシリンダ5の圧力が急増することにより、ホイール
シリンダ2iのホイールシリンダ圧も図8(c)に示す
ように急増し、これに応じて車輪速度Vwi が図8
(a)で実線図示のように減少を開始し、これに応じて
ステップS2で算出される車輪加減速度Vwi ′が図8
(b)に示すように負方向に増加する。
【0056】この状態では、前回の処理時に経過時間T
が“0”にクリアされているので、ステップS5からス
テップS7に移行し、スリップ率Si が設定スリップ率
0に達しないので、ステップS7からステップS8を
経てステップS9に移行し、ブレーキペダルが踏込まれ
ているので、ステップS9からステップS13に移行す
る。
【0057】このとき、ステップS8で減圧タイマLが
“0”にクリアされているので、ステップS15に移行
するが、車輪加減速度Vwi ′が図8(b)に示すよう
に加速度閾値+α1 以上ではないので、ステップS16
に移行し、同様に車輪加減速度Vwi が減速度閾値−α
2 以下ではないので、ステップS18に移行し、アンチ
スキッド制御フラグASが“0”にクリアされているの
で、ステップS11に移行して、経過時間Tを“0”に
クリアしてからステップS12に移行して急増圧モード
を維持する。
【0058】その後、時点t2 で、車輪加減速度Vwi
が図8(b)に示すように減速度閾値−α2 以上となる
と、ステップS16からステップS17に移行して、高
圧側の保持モードが設定され、これによって、アクチュ
エータ6iの流入弁8及び流出弁9が共に閉状態となっ
て、ホイールシリンダ2iのホイールシリンダ圧が図8
(c)に示すように高圧側の保持状態となる。
【0059】この高圧側の保持状態でも車輪に対して制
動力が作用しているので、車輪速度Vwi は図8(a)
に示すように減少し続け、車輪加減速度Vwi ′も図8
(b)に示すように負方向に増加し続ける。この車輪速
度Vwi の減少によって、ステップS4で算出されるス
リップ率S i が増加し、時点t3 でスリップ率Si が設
定スリップ率S0 以上となって、車輪速度Vwi が図8
(a)に示すように設定スリップ率S0 に対応する目標
車輪速度Vw* 以下となると、ステップS7からステッ
プS28に移行し、車輪加減速度Vwi ′が図8(b)
に示すように加速度閾値+α1 未満であるので、ステッ
プS30に移行し、経過時間Tが“0”にクリアされて
いるので、ステップS31に移行して、アンチスキッド
制御フラグAS、減圧開始時からの経過時間T及び減圧
タイマLを夫々“1”にセットしてからステップS9を
経てステップS13に移行する。
【0060】このステップS13では、減圧タイマLが
“1”にセットされたことにより、ステップS14に移
行して減圧モードに設定し、これによってアクチュエー
タ6iの流入弁8を閉状態、流出弁9を開状態とし、且
つモータを駆動して油圧ポンプ10を回転駆動すること
により、ホイールシリンダ2i内の作動油をマスターシ
リンダ5側に排出することにより、ホイールシリンダ2
iのホイールシリンダ圧が図8(c)に示すように減少
し始める。このホイールシリンダ圧の減少に応じて、車
輪速度Vwi が減少傾向から増加傾向に反転し、これに
応じて車輪加減速度Vwi ′も図8(b)に示すように
正方向に増加することになる。
【0061】次に、図7の制動圧制御処理が開始される
と、前回の処理時に経過時間Tが“1”にセットされて
いることにより、ステップS5からステップS6に移行
して、経過時間Tがインクリメントされて、図8(d)
に示すように増加し、次いでステップS7からステップ
S28を経てステップS30に移行し、経過時間Tが
“2”となっているので、T>0となりそのままステッ
プS9,S13を経てステップS14に移行して減圧モ
ードを継続する。この結果、減圧モードを継続している
間は、経過時間Tが図8(d)に示すように制動圧制御
処理が実行される毎に増加する。
【0062】その後、時点t4 で車輪加減速度Vwi
が加速度閾値+α1 以上となると、この時点では車輪ス
リップ率Si が目標スリップ率S0 以上の状態を継続し
ているので、ステップS7からステップS28を経てス
テップS29に移行して減圧タイマLが“0”にクリア
されるので、ステップS13からステップS15に移行
し、このステップS15からステップS22を経てステ
ップS23に移行し、Si ≧S0 であるので、直接ステ
ップS27に移行して、低圧側の保持モードに設定され
る。この低圧側の保持モードでは、ホイールシリンダ2
iのホイールシリンダ圧が図8(c)に示すように低い
状態を保持するので、これによって車輪速度Vwi が増
加状態を継続する。
【0063】そして、時点t5 で車輪スリップ率Si
目標スリップ率S0 未満となると、ステップS7からス
テップS8,S9,S13,S15,S22,S23を
経てステップS24に移行するが、この時点では、図8
(e)に示すように車体速度勾配VXKが設定値VXKS
上の状態を継続しているので、ステップS25に移行
し、経過時間Tが図8(d)に示すように、許可閾値T
0 に達していないので、緩増圧が許可されてステップS
26に移行するが、周期フラグCY が“1”にセットさ
れたままであるので、ステップS27に移行して、保持
モードを継続する。
【0064】この低圧側の保持モードを継続しているこ
とにより、車輪速度Vwi が回復して車体速度近傍とな
って、時点t6 で車輪加減速度Vwi が加速度閾値+α
1 未満となる第1の緩増圧開始条件を満足すると、ステ
ップS15からステップS16、S18を経てステップ
S19に移行し、周期フラグCY を“2”にセットし、
次いでステップS20に移行して、経過時間Tを“0”
にクリアしてからステップS21に移行して、緩増圧モ
ードを設定する。
【0065】この緩増圧モードによって、ホイールシリ
ンダ2iのシリンダ圧が図8(c)に示すようにステッ
プ状に増加し、これによって車輪速度Vwi が減少を開
始する。このため、時点t7 で推定車体速度演算回路1
9でフリップフロップ208がセットされることによ
り、選択回路199が除算回路197側に切換えられて
実際の車体速度に応じた車体速度勾配VXKが算出される
と、この車体速度勾配V XKは勾配発生回路198で設定
された設定車体速度勾配VXK0 に対して小さい値となる
が、高摩擦係数路を走行しているので、設定値VXKS
りは大きい値を維持している。
【0066】このように、初回の緩増圧モードだけは開
始条件が車体加減速度Vwi ′が加速度閾値+α1 未満
のみとなるので、低圧側の保持時間が長くなり、図8
(f)に示すように、車両減速度が低下する変動を生じ
ることになるが、これは緩増圧モードの開始を早めたと
きには車輪速度Vwi が車体速度まで回復しなくなるこ
とにより、推定車体速度演算回路19での車体速度勾配
XK及び推定車体速度V X に誤差を生じることを防止す
るためである。
【0067】その後、時点t8 で車輪加減速度Vwi
が再度減速度閾値−α1 以下となると、ステップS16
からステップS17に移行して、高圧側の保持モードと
なり、ホイールシリンダ2iのシリンダ圧が図8(c)
に示すように高圧状態で保持され、次いで時点t9 でス
リップ率Si が設定スリップ率S0 以上となると、前述
した時点t3 と同様に減圧モードが設定され、これによ
ってホイールシリンダ2iのシリンダ圧が減少すると共
に、経過時間Tのインクリメントが開始される。
【0068】この減圧モードによって車輪速度Vwi
回復し、時点t10で車輪加減速度Vwi が加速度閾値+
α1 以上となると、ステップS15からステップS22
を経てステップS23に移行し、この時点では図8
(a)に示すように車輪速度VWi が目標車輪速度Vw
* 以下で、車輪スリップ率Si が目標スリップ率S0
上の状態を継続しているので、そのままステップS27
に移行して、低圧側の保持モードとなり、車輪速度Vw
i の増加傾向が継続される。
【0069】ところが、この保持モードでは、前回の緩
増圧モードで周期フラグCY が“2”にセットされてい
るので、時点t11で車輪速度Vwi が目標車輪速度Vw
* 未満となって車輪スリップ率Si が目標スリップ率S
0 未満となると、ステップS23からステップS24に
移行し、この時点では図8(e)に示すように車体速度
勾配VXKが設定値VXKS 以上であるので、ステップS2
5に移行し、減圧開始時からの経過時間Tが図8(d)
に示すように緩増圧許可閾値T0 を越えておらず緩増圧
が許可されるので、ステップS26に移行し、周期フラ
グCY が“2”にセットされているので、ステップS2
0に移行し、経過時間Tを“0”にクリアしてからステ
ップS21に移行して緩増圧モードが設定され、図8
(c)に示すように、ホイールシリンダ圧がステップ状
に増加する。
【0070】このように、緩増圧モードが、前述した時
点t6 のように、車輪加減速度Vw i ′が加速度閾値+
α1 未満となる時点t12から開始されるのではなく、そ
の前に車輪スリップ率Si が目標スリップ率未満で、且
つ車体速度勾配VXKが設定値VXKS 以上であり、さらに
減圧開始時からの経過時間Tが緩増圧許可閾値T0 を越
えていない緩増圧許可状態である時点t11で開始される
ことになるので、低圧側の保持時間を短縮することがで
き、これによって車両減速度が、図8(f)に示すよう
に、前述した時点t4 〜t7 のような大きな変動を生じ
ることがなく、車両減速度変動によるピッチングを確実
に抑制することができ、車両の乗心地を向上させること
ができる。
【0071】その後、時点t13で推定車体速度演算回路
19で車体速度勾配VXKの演算が行われるが、この時点
でも引き続き高摩擦係数路を走行しているので、図8
(e)に示すように、車体速度勾配VXKが設定値VXKS
以上の状態を継続するので、時点t14で図8(b)に示
すように車輪加減速度Vwi ′が減速度閾値−α2 以下
となって高圧側の保持モードが設定され、次いで時点t
15で車輪速度VWi が目標車輪速度Vw* 以下となって
車輪スリップ率Si が目標スリップ率S0 以上となって
減圧モードが設定され、次いで時点t16で車輪加減速度
Vwi ′が加速度閾値+α1 以上となって低圧側の保持
モードが設定された後に、時点t17で車輪スリップ率S
i が目標スリップ率S0 以上となり、且つ車体速度勾配
XKが設定値VXKS 以上となり、さらに減圧開始後の経
過時間Tが緩増圧許可閾値T0 を越えない状態となった
ときに、前記時点t11と同様に早めに再度緩増圧モード
が設定されて車両減速度の変動が抑制され、同様に時点
18でも上記時点t17と同様の緩増圧開始条件を満足す
るので、緩増圧モードが設定される。
【0072】このように、高摩擦係数路を走行している
状態での制動状態では、車体速度勾配VXKが設定値V
XKS 以上の状態を継続することから、車輪スリップ率S
i が目標スリップ率S0 以上となり、且つ減圧開始時か
らの経過時間Tが緩増圧許可閾値T0 を越えない緩増圧
許可状態となる第2の緩増圧開始条件を満足したとき
に、通常時における車輪スリップ率Si が目標スリップ
率S0 未満で且つ車輪加減速度Vwi ′が加速度閾値+
α1 未満となる第1の緩増圧開始条件を満足する以前に
緩増圧が開始されることになり、車両減速度変動を抑制
して、乗心地を向上させることができる。
【0073】一方、車両が降雨路、凍結路、雪路等の低
摩擦係数路を走行している状態では、図9に示すよう
に、時点t1 でブレーキペダルを踏込んで制動状態とし
たときに、時点t2 で車輪加減速度Vwi が減速度閾値
−α2 以下となったときに高圧側の保持モードが設定さ
れ、次いで時点t3 で車輪速度Vwi が目標車輪速度V
* 以下となって、車輪スリップ率Si が目標スリップ
率S0 以上となると、減圧モードが設定されるが、この
場合には保持モードでのホイールシリンダ圧が図9
(c)に示すように前述した高摩擦係数路走行時に比較
して低いので、ホイールシリンダ2iのシリンダ圧の減
少速度も緩やかとなる。
【0074】この状態では、車体速度勾配VXKは、図9
(d)に示すように前述した高摩擦係数路の走行時と同
様に、推定車体速度演算回路19におけるフリップフロ
ップ208がリセット状態を維持していることから、選
択回路199で勾配発生回路198の勾配出力VXK0
選択していることにより、設定値VXKS 以上となってい
る。
【0075】その後、時点t4 で車輪加減速度Vwi
が加速度閾値+α1 以上となることにより、高圧側の保
持モードが設定され、次いで時点t5 で車輪加減速度V
i′が加速度閾値+α1 未満となって第1の緩増圧開
始条件を満足するので、緩増圧モードが設定され、これ
に応じてホイールシリンダ圧が図9(c)に示すように
ステップ状に増加される。
【0076】その後、時点t6 で推定車体速演算回路1
9におけるフリップフロップ208がセットされて、選
択回路199で除算回路197の勾配出力が選択される
ことにより、車体速度勾配VXKが低摩擦係数路に応じた
車体速度勾配VXKとなり、図9(d)に示すように、設
定値VXKS 未満となる。このため、時点t7 で保持モー
ドが、時点t8 で減圧モードが夫々設定され、時点t9
で車輪加減速度Vwi′が加速度閾値+α1 以上となっ
て、図7の処理が実行されたときに、ステップS15か
らステップS22を経てステップS23に移行し、この
時点では車輪スリップ率Si が目標スリップ率S0 以上
であるので、そのままステップS27に移行して低圧側
の保持モードが設定される。
【0077】その後、時点t10で車輪スリップ率Si
目標スリップ率S0 未満となると、ステップS23から
ステップS24に移行するが、前述したように、車体速
度勾配VXKが図9(d)に示すように設定値VXKS 未満
となっているので、ステップS24からステップS2
5,S26に移行することなく直接ステップS27に移
行することになり、前述した高摩擦係数路走行時におけ
る第2の緩増圧開始条件の判断を行わず、通常のアンチ
スキッド制御と同様に第1の緩増圧開始条件のみで緩増
圧の開始を判断することになり、再増圧を遅らせるの
で、車輪速度Vwiの回復を十分に行うことができ、推
定車体速度演算回路19で推定車体速度勾配VXK及び推
定車体速度VX を高精度で演算することができ、これに
基づく図7の制動圧制御処理を良好に行って、車輪スリ
ップ量を適切に制御することができる。
【0078】因みに、図7の処理におけるステップS2
4の処理を省略して、低摩擦係数路を走行時に前述した
高摩擦係数路と同様に緩増圧開始時を早めた場合には、
図10に示すように、時点t1 で第1回目の緩増圧モー
ドが終了して高圧側の保持モードとなり、時点t2 で車
輪速度Vwi が図10(a)に示すように目標車輪速度
Vw* 以下となって車輪スリップ率Si が目標スリップ
率S0 以上となると、減圧モードとなって、ホイールシ
リンダ圧が図10(c)に示すように減少し、これによ
って車輪速度が回復して、車輪加減速度Vwi ′が図1
0(b)に示すように加速度閾値+α1 以上となった時
点t3 で低圧側の保持モードとなり、その直後の時点t
4 で緩増圧モードとすると、ホイールシリンダ2iのシ
リンダ圧が低い状態が短くなるため、車輪速度Vwi
図10(a)に示すように実際の車体速度まで回復しな
い状態となる。このため、推定車体速度演算回路19で
演算される推定車体速度VX はセレクトハイ車輪速度V
H に基づいて算出されるので、図10(a)で一点鎖
線図示のように、車輪速度の減少に応じて減少して実際
の車体速度とはかけ離れた値となって、推定車体速度V
X の演算精度が大幅に悪化することになり、この推定車
体速度VX を使用する図7の制動圧制御処理を実行した
ときに早期に車輪ロック状態となり、安定性が低下する
という問題点がある。
【0079】次に、車両が高摩擦係数路を走行しながら
良好なアンチスキッド制御を行っている状態で、低摩擦
係数路を走行する状態となる場合の動作を図11を伴っ
て説明する。今、車両が高摩擦係数路を定速走行してい
る状態で、時点t1 でブレーキペダル4を踏込んで制動
状態とすると、前述した図8と同様の制動圧制御処理が
実行されて、第1回目の緩増圧モードが実行された後の
時点t2 で第2の緩増圧開始条件を満足することによ
り、緩増圧モードが早めに設定されて、車両減速度の変
動が抑制され、その後減圧モードが設定される時点t3
で高摩擦係数路の走行状態から低摩擦係数路の走行状態
に変化したとすると、低摩擦係数路で路面抵抗が小さい
と共に、ホイールシリンダ圧が図11(c)に示すよう
に高圧側の保持モードで比較的高い圧力保持されていた
ため、減圧モードによってホイールシリンダ圧が急減し
ても車輪速度Vwi は図11(a)に示すように時点t
4 で一時的にロック状態となる。
【0080】この状態では、車輪速度Vwi が図11
(a)に示すように目標車輪速度Vw * を大きく下回っ
て車輪スリップ率Si が目標スリップ率S0 以上の状態
を継続し、且つ車輪加減速度Vwi ′が図11(b)に
示すように零の状態を維持して、加速度閾値+α1 より
小さい値であるので、ステップS7からステップS28
を経てステップS30に移行し、経過時間Tが図11
(d)に示すように正の値であるので、直接ステップS
9に移行するため、減圧タイマLが“1”にセットされ
たままとなり、ステップS14に移行して減圧モードを
継続する。
【0081】このように、減圧モードが長い時間保持さ
れることにより、図7の処理が実行される毎にステップ
S6で経過時間Tがインクリメントされ、これが時点t
5 で緩増圧許可閾値T0 以上となる。そして、時点t6
で車輪速度Vwi が回復して増加し、その後の時点t7
で車輪加減速度Vwi ′が加速度閾値+α1 以上となる
と、図7の処理が実行されたときにステップS7からス
テップS28を経てステップS29に移行し、減圧タイ
マLが“0”にクリアされることにより、ステップS1
3からステップS15,S22を経てステップS23に
移行し、この時点では車輪スリップ率Si が目標スリッ
プ率S0 以上の状態を継続しているので、そのままステ
ップS27に移行して低圧側の保持モードとなるが、こ
の状態ではホイールシリンダ圧が図11(c)に示すよ
うに零の状態を維持するので、車輪速度Vwi は増加を
続け、時点t8 で車輪スリップ率Si が目標スリップ率
0 未満となると、ステップS23からステップS24
に移行する。
【0082】このとき、推定車体速度演算回路19で算
出される車体速度勾配VXKは、高摩擦係数路における時
点t2 ′で算出した値が更新されずに保持されているの
で、図11(e)に示すように、設定値VXKS 以上の状
態を維持するため、ステップS25に移行するが、前述
したように減圧開始時からの経過時間Tが図11(d)
に示すように緩増圧許可閾値T0 を越えているので、ス
テップS25からステップS27に移行して低圧側の保
持モードを継続する。
【0083】このため、車輪速度Vwi が図11(a)
に示すように更に増加して、実際の車体速度近傍まで回
復する。そして、車輪速度Vwi が実際の車体速度近傍
に達すると、車輪加減速度Vwi ′が図11(b)に示
すように低下し、時点t9 で加速度閾値+α1 未満とな
ると、図7の処理が実行されたときに、ステップS7か
らステップS8,S9,S13を経てステップS15に
移行し、Vwi ′<+α1 であるので、ステップS1
6,S18〜S20を経てステップS21に移行するこ
とにより、緩増圧モードが設定され、これによりホイー
ルシリンダ圧がステップ状に増加することになる。
【0084】その後、低摩擦係数路の走行状態を継続す
ると、図9の場合と同様に第1の緩増圧開始条件のみに
よる緩増圧開始判断が行われて、良好なアンチスキッド
制御を継続することができる。このように、高摩擦係数
路でのアンチスキッド制御状態で低摩擦係数路を走行す
る状態となったときには、減圧モードが長引くことによ
り、減圧開始時からの経過時間Tが設定値T0 以上とな
り、低圧側の保持モードに移行した後に緩増圧モードへ
の移行が阻止されて低圧側の保持モードを継続すること
になって緩増圧モードの開始が遅れるので、この分車輪
速度Vwi の回復を十分に行って、実際の車体速度近傍
にまで回復させることができるので、推定車体速度演算
回路19で算出される車体速度勾配VXK及び推定車体速
度VX を高精度で求めることができ、図7の制動圧制御
処理を良好に行って車輪スリップ量を適切な状態に制御
することができる。
【0085】因みに、図7の処理においてステップS2
5の処理を省略することにより、高摩擦係数路の走行状
態から低摩擦係数路への走行状態に変化したときに、高
摩擦係数の走行時と同様に緩増圧モードの開始を早める
と、図12に示すように、時点t1 で路面が高摩擦係数
路から低摩擦係数路に変化したものとすると、時点t 2
で減圧モードから保持モードに移行した直後の時点t3
で緩増圧モードが設定されることになり、これによって
車輪速度Vwi の増加が抑制されることになるため、車
輪速度Vwi が実際の車体速度近傍まで回復せずかなり
低い速度となり、前述したように推定車体速度演算回路
19での推定車体速度VX の精度低下による早期に車輪
ロックを引き起こすという問題点がある。
【0086】なお、上記実施例においては、推定車体速
度演算回路19でセレクトハイスイッチ18によって車
輪速フィルタ16FL〜16Rのフィルタ出力VfFL
Vf R のうち最も大きい値を選択して車体速度勾配VXK
及び推定車体速度VX を算出する場合について説明した
が、これに限定されるものではなく、車輪速フィルタ1
6FL〜16Rを省略して、車輪速演算回路15FL〜
15Rの車輪速度Vw FL〜VwR を使用して車体速度勾
配VXK及び推定車体速度VX を演算するようにしてもよ
く、さらには、車両の前後方向の加速度を検出する前後
方向加速度センサを設けて、その前後方向加速度検出値
を積分した値と車輪速度サンプリング値とに基づいて推
定車体速度VX 及び車体速度勾配VXKを算出するように
してもよい。
【0087】また、上記実施例においては、推定車体速
度演算回路19を電子回路で構成する場合について説明
したが、これに限定されるものではなく、マイクロコン
ピュータ20で演算処理するようにしてもよい。さら
に、上記実施例においては、3センサ3チャンネル方式
のアンチスキッド制御装置に本発明に適用した場合につ
いて説明したが、これに限定されるものてはなく、後輪
側の左右輪についても個別に車輪速センサを設けて4セ
ンサ4チャンネル方式のアンチスキッド制御装置やその
他の方式のアンチスキッド制御装置にも本発明を適用す
ることができる。
【0088】さらにまた、上記実施例においては、後輪
駆動車について説明したが、これに限らず前輪駆動車、
四輪駆動車にもこの発明を適用し得る。なおさらに、前
記実施例においては、制動圧制御手段としてマイクロコ
ンピュータ20を適用した場合について説明したが、こ
れに限定されるものではなく、比較回路、演算回路、論
理回路等の電子回路を組み合わせて制動圧制御手段を構
成することもできる。
【0089】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る発
明によれば、制動状態となって減圧モードが設定された
後の緩増圧モードが従来例と同様の車輪スリップ率が目
標車輪スリップ率未満で且つ車輪加減速度が加速度閾値
未満である第1の条件を満足したときに開始される外、
乾燥した舗装路等の高摩擦係数路での減速状態のように
車体速度勾配が設定値以上で且つ減圧モードの開始時点
からの経過時間が短い状態で車輪スリップ率が目標スリ
ップ率を未満であるときにも緩増圧モードが開始される
ことにより、高摩擦係数路での減圧直後の保持時間を短
縮して車両減速度の変動を抑制することができると共
に、降雨路、凍結路、雪路等の低摩擦係数路を走行する
場合には車体速度勾配が設定値以下となることにより第
1条件のみで緩増圧モードの判断が行われ、車輪速度を
実際の車体速度近傍まで十分に回復させることができ、
車輪速度に基づいて算出する推定車体速度を正確に求め
ることができ、車輪スリップ量を適正値に維持すること
ができるという効果が得られる。
【0090】また、請求項2に係る発明によれば、制動
開始後の最初の緩増圧モードについては第1の条件のみ
によって緩増圧モードの開始を判断するようにしている
ので、制動初期における車輪速度を実際の車体速度近傍
まで十分に回復させることができ、推定車体速度を高精
度で求めることができるという効果が得られる。さら
に、請求項に係る発明によれば、車体速度勾配を各車
輪中の最も車輪速度が高い車輪を選択し、その車輪減速
度が設定値以下に変化するときの経過時間とそのときの
速度差とに基づいて推定するようにしているので、
別途車体速度勾配を算出するためのセンサを必要とする
ことなく車体速度勾配を求めることができるという効果
が得られる。
【0091】さらに、請求項4に係る発明によれば、前
後方向加速度検出手段で車体の前後方向加速度を検出し
てこれを車体速度勾配とすることにより、正確な車体速
度勾配を検出することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアンチスキッド制御装置の概略構成を
示す基本構成図である。
【図2】本発明のアンチスキッド制御装置の一実施例を
示すブロック図である。
【図3】図2のアンチスキッド制御装置に適用し得るア
クチュエータの一例を示す構成図である。
【図4】図2のアンチスキッド制御装置に適用し得る車
輪速フィルタの一例を示すブロック図である。
【図5】図2のアンチスキッド制御装置に適用し得る推
定車体速度演算回路の一例を示すブロック図である。
【図6】図4及び図5の車輪速フィルタ及び推定車体速
度演算回路の動作の説明に供するタイムチャートであ
る。
【図7】図2に示すアンチスキッド制御装置で実行され
る制動圧制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】図7に示す制動圧制御処理の高摩擦係数路での
動作の説明に供するタイムチャートである。
【図9】図7に示す制動圧制御処理の低摩擦係数路での
動作の説明に供するタイムチャートである。
【図10】図10に対応する緩増圧モードを早めた場合
の動作の説明に供するタイムチャートである。
【図11】図7に示す制動圧制御処理の高摩擦係数路か
ら低摩擦係数路に変化した場合の動作の説明に供するタ
イムチャートである。
【図12】図12に対応する緩増圧モードを早めた場合
の動作の説明に供するタイムチャートである。
【図13】従来例の動作の説明に供するタイムチャート
である。
【符号の説明】
1FL〜1RR 車輪 2FL〜2RR ホイールシリンダ 3FL〜3R 車輪速センサ 4 ブレーキペダル 5 マスタシリンダ 6FL〜6R アクチュエータ CR コントローラ 15FL〜15R 車輪速演算回路 16FL〜16R 車輪速フィルタ 19 推定車体速度演算回路 20 マイクロコンピュータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60T 7/12 - 8/96

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の車輪の速度を検出する車輪速度検
    出手段と、該車輪速検出手段の車輪速検出値から車輪加
    減速度を演算する車輪加減速度演算手段と、少なくとも
    前記車輪速度検出手段の車輪速度に基づいて推定車体速
    度を演算する推定車体速度演算手段と、前記車輪速度検
    出手段の車輪速度、前記車輪加減速度演算手段の車輪加
    減速度及び前記推定車体速度演算手段の推定車体速度に
    基づいて各車輪に配設された制動用シリンダの流体圧を
    少なくとも減圧、保持及び増圧状態の何れかに制御する
    制動圧制御手段とを備えたアンチスキッド制御装置にお
    いて、車体速度勾配を検出又は推定する車体速度勾配検
    出又は推定手段を備えると共に、前記制動圧制御手段
    は、減圧開始後の経過時間を計測する経過時間計測手段
    と、前記推定車体速度演算手段の推定車体速度及び前記
    車輪速度検出手段の車輪速度に基づいて車輪スリップ率
    を算出する車輪スリップ率算出手段と、前記車輪加減速
    度演算手段の車輪加減速度が加速度閾値以下で且つ前記
    車輪スリップ率算出手段の車輪スリップ率が目標スリッ
    プ率以下である第1の条件と、前記車体速度勾配検出又
    は推定手段の車体速度勾配が設定値以上で且つ前記経過
    時間計測手段の経過時間が設定値以下で且つ前記車輪ス
    リップ率算出手段の車輪スリップ率が目標スリップ率以
    下である第2の条件との何れかを満足したときに減圧後
    の再増圧を開始する再増圧モード実行手段とを有するこ
    とを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  2. 【請求項2】 前記再増圧モード実行手段は、最初の緩
    増圧モード開始時には第1の条件のみで開始判断を行う
    ように構成されていることを特徴とする請求項1記載の
    アンチスキッド制御装置。
  3. 【請求項3】 前記車体速度勾配検出又は推定手段は、
    各車輪中の最も車輪速度が高い車輪の車輪減速度が設定
    値以下に変化するときの経過時間とそのときの車速度
    差とに基づいて車体速度勾配を推定するように構成され
    ていることを特徴とする請求項1記載のアンチスキッド
    制御装置。
  4. 【請求項4】 前記車体速度勾配検出又は推定手段は、
    車体の前後方向加速度を検出する前後方向加速度検出手
    段の前後方向加速度に基づいて車体速度勾配を検出する
    ように構成されていることを特徴とする請求項1記載の
    アンチスキッド制御装置。
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