JP3307869B2 - 多槽式超音波洗浄装置 - Google Patents

多槽式超音波洗浄装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多槽式超音波洗浄
装置に関し、さらに詳細には、半導体ウエハや液晶ガラ
ス基板のような電子部品などの被洗浄物を洗浄液に浸漬
し、超音波を利用して被洗浄物の洗浄を行うようにした
多槽式超音波洗浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の超音波洗浄装置として、例えば、
図1に示すように、下面に超音波振動子12を固定した
振動板14を、洗浄液16を満たした洗浄槽18の底面
18aに取り付け、被洗浄物20を洗浄液16に浸漬し
て超音波振動子12を所定の周波数により発振させ、こ
の超音波振動子12の発振により振動板14を振動させ
て被洗浄物20の洗浄を行うようにした超音波洗浄装置
10が知られている。
【0003】また、図2(a)に示すように、上記した
図1に示す超音波洗浄装置10を複数並置するようにし
た多槽式超音波洗浄装置も知られている。
【0004】こうした多槽式超音波洗浄装置において
は、図2(a)上矢印Aで示すように、第1槽の超音波
洗浄装置10から第2槽の超音波洗浄装置10へ、第2
槽の超音波洗浄装置10から第3槽の超音波洗浄装置1
0へというように、被洗浄物20を後続する超音波洗浄
装置10へ次々に移動させて洗浄を行うものである。
【0005】そして、図2(b)には、図2(a)に示
す多槽式超音波洗浄装置の概略上面説明図が示されてお
り、破線斜線部分は振動板14が存在する領域を示して
いる。この図2(b)に示す例においては、洗浄槽18
の底面18aの全面に振動板14が配設されている。
【0006】また、図3(a)は、図2(a)ならびに
図2(b)に示す多槽式超音波洗浄装置と同様な多槽式
超音波洗浄装置であるが、大型の被洗浄物200を洗浄
するために、洗浄槽18を大型化した場合の構成を示し
ている。
【0007】図3(a)に示すように、洗浄槽18が大
型化した場合には、当然のことながら洗浄槽18の底面
18aの面積も拡大するものであって、底面18aの拡
大に伴って振動板14の面積も拡大する必要がある。
【0008】ところが、振動板14は、一般には厚さ1
〜2mm程度の薄いステンレス板を用いて製造されてい
るために、大面積の振動板14を製造することが困難で
あるとともに、また、補修や交換などのメンテナンス性
の観点からも、洗浄槽18の底面18aが拡大した場合
には、底面18aの全面にわたって1枚の振動板14を
取り付けるのではなく、図3(a)に示すように底面1
8aの全面の領域を複数に分割して(図3(a)におい
ては2分割している。)、それぞれの領域に小型の振動
板14を取り付けるようにしていた(図3(a)におい
て、破線斜線部分が振動板14の存在する領域を示
す。)。
【0009】しかしながら、洗浄槽18の底面18aに
複数枚(図3(a)に示す例においては、2枚であ
る。)の振動板14を取り付けるようにした場合には、
各振動板14が互いの振動を阻害することがないように
するために、図3(a)に示すように多少の隙間Gを設
けざるを得ないものであった(図3(a)に示す例にお
いては、幅Wの隙間Gを設けている。なお、本発明の理
解を容易にするために、図3(a)においては隙間Gを
強調して図示している。)。
【0010】そして、こうした隙間Gを備えた超音波洗
浄装置10により被洗浄物200を洗浄した場合には、
図3(a)ならびに図3(b)に示すように、被洗浄物
200に隙間Gに相当する超音波振動が伝達されない部
位200a(図3(a)ならびに図3(b)において実
線斜線で示す領域)が生じることとなり、洗浄ムラが発
生してしまい、洗浄不良が多発していたという問題点が
あった。
【0011】また、従来は、複数の振動板14をそれぞ
れ振動させる超音波振動子12を発振させる周波数とし
ては、共通の周波数(28KHz±5KHzまたは39
KHz±5KHzのいずれか一方の周波数を選択してい
た。)を用いていたため、被洗浄物200に洗浄ムラが
なお一層発生しやすいという問題点があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記したよ
うな従来の技術の有する種々の問題点に鑑みてなされた
ものであり、その目的とするところは、洗浄槽に複数の
振動板を隙間をあけて取り付ける場合においても、被洗
浄物に洗浄ムラを生じさせることがないようにした多槽
式超音波洗浄装置を提供しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のうち請求項1に記載の発明は、超音波振動
子により振動される振動板を取り付けた洗浄槽を少なく
とも2以上有する多槽式超音波洗浄装置において、超音
波振動子により振動される少なくとも2以上の振動板を
洗浄槽に取り付け、上記少なくとも2以上の振動板の間
に形成される隙間の位置が少なくとも2つの洗浄槽間に
おいて異なるようにしたものである。
【0014】従って、本発明のうち請求項1に記載の発
明によれば、洗浄槽に取り付けられた少なくとも2以上
の振動板の間の隙間の位置が、少なくとも2つの洗浄槽
間において異なるようになるので、洗浄槽内に満たされ
た洗浄液に浸漬された被洗浄物における洗浄ムラの発生
する部位が、少なくとも2つの洗浄槽間においてずらさ
れることになり、結果として被洗浄物の全面をムラなく
洗浄することができる。
【0015】ここで、上記超音波振動子は、例えば、本
発明のうち請求項2に記載の発明のように、第1の周波
数と第2の周波数との2種類の周波数で発振するもので
あり、所定時間毎に上記第1の周波数と上記第2の周波
数とにより交互に発振するようにしたものである。
【0016】このように、超音波振動子を2種類の周波
数で交互に発振させるようにすると、被洗浄物における
洗浄ムラの発生をなお一層抑止することができる。
【0017】また、例えば、本発明のうち請求項3に記
載の発明のように、上記少なくとも2以上の振動板の一
部を振動させる超音波振動子を第1の周波数により発振
させ、上記少なくとも2以上の振動板の残部を振動させ
る超音波振動子を第2の周波数により発振させるように
してもよい。
【0018】このように、少なくとも2以上の振動板の
一部を振動させる超音波振動子と少なくとも2以上の振
動板の残部を振動させる超音波振動子とを、それぞれ異
なる周波数により同時発振させるようにしても、被洗浄
物における洗浄ムラの発生をなお一層抑止することがで
きる。
【0019】また、例えば、本発明のうち請求項4に記
載の発明のように、上記少なくとも2以上の振動板の一
部を振動させる超音波振動子を第1の周波数と第2の周
波数とにより交互に発振させるとともに、上記少なくと
も2以上の振動板の一部を振動させる超音波振動子を上
記第1の周波数により発振させるときに、上記少なくと
も2以上の振動板の残部を振動させる超音波振動子を上
記第2の周波数により発振させ、上記少なくとも2以上
の振動板の一部を振動させる超音波振動子を上記第2の
周波数により発振させるときに、上記少なくとも2以上
の振動板の残部を振動させる超音波振動子を上記第1の
周波数により発振させるようにしてもよい。
【0020】このように、少なくとも2以上の振動板の
一部を振動させる超音波振動子と少なくとも2以上の振
動板の残部を振動させる超音波振動子とを、それぞれ異
なる周波数により同時発振させるとともに、互いの周波
数をそれぞれ切り替えるようにしても、被洗浄物におけ
る洗浄ムラの発生をなお一層抑止することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて、本発明に
よる多槽式超音波洗浄装置の実施の形態の一例を詳細に
説明するものとする。
【0022】図4(a)は本発明による多槽式超音波洗
浄装置を示す図3(a)に対応する概略上面説明図であ
り、図4(b−1)、図4(b−2)ならびに図4(b
−3)は図4(a)に示す多槽式超音波洗浄装置により
洗浄された被洗浄物の正面説明図である。
【0023】なお、図4(a)、図4(b−1)、図4
(b−2)ならびに図4(b−3)において図1乃至図
3に示す構成と同一または相当する構成には、図1乃至
図3に用いた符号と同一の符号を付して示すことによ
り、その詳細な説明は省略するものとする。
【0024】図4(a)に示す多槽式超音波洗浄装置に
おいては、洗浄槽18の底面18aに取り付けられた2
枚の振動板14の間の隙間の位置が、多槽式超音波洗浄
装置を構成する各超音波洗浄装置10間でそれぞれ異な
るように設定されている。
【0025】即ち、第1槽の超音波洗浄装置10におけ
る2枚の振動板14の間の隙間G1の位置と、第2槽の
超音波洗浄装置10における2枚の振動板14の間の隙
間G2の位置と、第3槽の超音波洗浄装置10における
2枚の振動板14の間の隙間G3の位置とが、それぞれ
異なるように設定されている。この際に、隙間G1と隙
間G2と隙間G3とが互いに重なることがないように、
これら隙間G1、G2、G3の位置設定することが好ま
しい。
【0026】以上の構成において、本発明による多槽式
超音波洗浄装置においては、図4(a)上矢印Bで示す
ように、第1槽の超音波洗浄装置10から第2槽の超音
波洗浄装置10へ、第2槽の超音波洗浄装置10から第
3槽の超音波洗浄装置10へというように、被洗浄物2
00を後続する超音波洗浄装置10へ次々に移動させて
洗浄を行うものである。
【0027】従って、まず、第1槽の超音波洗浄装置1
0の洗浄においては、図4(b−1)に示すように、被
洗浄物200の隙間G1に相当する超音波振動が伝達さ
れない部位200a−1(図4(a)ならびに図4(b
−1)において実線斜線で示す領域)が生じることとな
り、洗浄ムラが発生することになる。
【0028】次に、被洗浄物200が第1槽の超音波洗
浄装置10から第2槽の超音波洗浄装置10へ移動され
ると、第2槽の超音波洗浄装置10の洗浄においては、
図4(b−2)に示すように、第1槽の超音波洗浄装置
10で洗浄ムラが発生した被洗浄物200の部位200
a−1に超音波振動が伝達されて洗浄されるので洗浄ム
ラがなくなるが、被洗浄物200の隙間G2に相当する
超音波振動が伝達されない部位200a−2(図4
(a)ならびに図4(b−2)において実線斜線で示す
領域)が生じることとなり、洗浄ムラが発生することに
なる。
【0029】しかしながら、被洗浄物200の部位20
0a−2は、第1槽の超音波洗浄装置10によって既に
ムラなく洗浄されている部位であるので、結果として洗
浄ムラを生じることはない。
【0030】同様に、被洗浄物200が第2槽の超音波
洗浄装置10から第3槽の超音波洗浄装置10へ移動さ
れると、第3槽の超音波洗浄装置10の洗浄において
は、図4(b−3)に示すように、第1槽ならびに第2
槽の超音波洗浄装置10で洗浄ムラが発生した被洗浄物
200の部位200a−1ならびに部位200a−2に
超音波振動が伝達されて洗浄されるので洗浄ムラがなく
なるが、被洗浄物200の隙間G3に相当する超音波振
動が伝達されない部位200a−3(図4(a)ならび
に図4(b−3)において実線斜線で示す領域)が生じ
ることとなり、洗浄ムラが発生することになる。
【0031】しかしながら、被洗浄物200の部位20
0a−3は、第1槽ならびに第2槽の超音波洗浄装置1
0によって既にムラなく洗浄されている部位であるの
で、結果として洗浄ムラとなることはない。
【0032】このように、洗浄槽18の底面18aに取
り付けられた2枚の振動板14の間の隙間G1、G2、
G3の位置を、多槽式超音波洗浄装置を構成する各超音
波洗浄装置10間でそれぞれ異なるように設定している
ので。被洗浄物200における洗浄ムラの発生する部位
が、多槽式超音波洗浄装置を構成する各超音波洗浄装置
10間においてずらされることになり、結果として被洗
浄物200の全面をムラなく洗浄することができる。
【0033】即ち、大型の被洗浄物200を洗浄する場
合に、大型の洗浄槽18の底面18aに合わせた大型の
振動板14を製造することなく、小型の振動板14を複
数用いることによって、洗浄ムラを発生することなく被
洗浄物200を超音波洗浄することができるものであ
る。
【0034】ここで、多槽式超音波洗浄装置を構成する
各超音波洗浄装置10に設けられている超音波振動子1
2は、28KHz±5KHzと39KHz±5KHzと
の両方の周波数で発振できるものとする。
【0035】そして、各超音波洗浄装置10において、
全ての超音波振動子12に関して所定時間毎に28KH
z±5KHzと39KHz±5KHzとの両方の周波数
を交互に共通に用いて、全ての超音波振動子12を28
KHz±5KHzと39KHz±5KHzとの周波数で
交互に発振させるようにしてもよいし、あるいは、一方
の振動板14を振動させる超音波振動子12を28KH
z±5KHの周波数により発振するとともに、他方の振
動板14を振動させる超音波振動子12を39KHz±
5KHzの周波数により発振するようにしてもよい。
【0036】また、一方の振動板14を振動させる超音
波振動子12を28KHz±5KHの周波数により発振
するとともに、他方の振動板14を振動させる超音波振
動子12を39KHz±5KHzの周波数により発振す
るサイクルと、一方の振動板14を振動させる超音波振
動子12を39KHz±5KHの周波数により発振する
とともに、他方の振動板14を振動させる超音波振動子
12を28KHz±5KHzの周波数により発振するサ
イクルとを、所定時間毎に交互に繰り返すようにしても
よい。
【0037】このようにすることにより、洗浄液16に
より伝達される超音波振動が変化されて、洗浄液16全
体に超音波振動が伝達されるようになるので、洗浄槽1
8の底面18aに取り付けられた2枚の振動板14の間
の隙間G1、G2、G3に基づく洗浄ムラの発生を、よ
り一層効果的に防止することができるようになる。
【0038】また、上記した実施の形態においては、小
型の振動板14に超音波振動子12設けるようにしてい
るので、振動板14や超音波振動子12の補修ならびに
交換が容易であり、メンテナンス性の向上も図ることが
できる。
【0039】なお、上記した実施の形態においては、洗
浄槽18の底面18aに振動板14を取り付けるように
したが、振動板14の洗浄槽18への取り付け位置は底
面18aに限られるものではないことは勿論であり、例
えば、洗浄槽18の側面に取り付けるようにしてもよ
い。
【0040】また、上記した実施の形態においては、超
音波振動子12の周波数を28KHz±5KHzと39
KHz±5KHzとにしたが、これに限られるものでな
いことは勿論であり、他の任意の周波数とすることがで
きる。
【0041】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、洗浄槽に複数の振動板を隙間をあけて取り
付ける場合においても、被洗浄物に洗浄ムラを生じさせ
ることがないという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の超音波洗浄装置の概略構成を示す正面断
面説明図である。
【図2】(a)は従来の多槽式超音波洗浄装置の概略構
成を示す正面断面説明図であり、(b)は(a)の概略
上面説明図である。
【図3】(a)は大型の被洗浄物を洗浄するために洗浄
槽を大型化した従来の多槽式超音波洗浄装置を示す図2
(b)に対応する概略上面説明図であり、(b)は
(a)に示す多槽式超音波洗浄装置により洗浄された被
洗浄物の正面説明図である。
【図4】 (a)は本発明による多槽式超音波洗浄装置
を示す図3(a)に対応する概略上面説明図であり、
(b−1)乃至(b−3)は(a)に示す多槽式超音波
洗浄装置により洗浄された被洗浄物の正面説明図であ
る。
【符号の説明】
10 超音波洗浄装置 12 超音波振動子 14 振動板 16 洗浄液 18 洗浄槽 18a 底面 20、200 被洗浄物 200a 超音波振動が伝達されない部
位 G、G1、G2、G3 隙間

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超音波振動子により振動される振動板を
    取り付けた洗浄槽を少なくとも2以上有する多槽式超音
    波洗浄装置において、 超音波振動子により振動される少なくとも2以上の振動
    板を洗浄槽に取り付け、 前記少なくとも2以上の振動板の間に形成される隙間の
    位置が少なくとも2つの洗浄槽間において異なるように
    したことを特徴とする多槽式超音波洗浄装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の多槽式超音波洗浄装置
    において、 前記超音波振動子は、第1の周波数と第2の周波数との
    2種類の周波数で発振するものであり、所定時間毎に前
    記第1の周波数と前記第2の周波数とにより交互に発振
    することを特徴とする多槽式超音波洗浄装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の多槽式超音波洗浄装置
    において、 前記少なくとも2以上の振動板の一部を振動させる超音
    波振動子を第1の周波数により発振させ、 前記少なくとも2以上の振動板の残部を振動させる超音
    波振動子を第2の周波数により発振させることを特徴と
    する多槽式超音波洗浄装置。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の多槽式超音波洗浄装置
    において、 前記少なくとも2以上の振動板の一部を振動させる超音
    波振動子を第1の周波数と第2の周波数とにより交互に
    発振させるとともに、 前記少なくとも2以上の振動板の一部を振動させる超音
    波振動子を前記第1の周波数により発振させるときに、
    前記少なくとも2以上の振動板の残部を振動させる超音
    波振動子を前記第2の周波数により発振させ、 前記少なくとも2以上の振動板の一部を振動させる超音
    波振動子を前記第2の周波数により発振させるときに、
    前記少なくとも2以上の振動板の残部を振動させる超音
    波振動子を前記第1の周波数により発振させることを特
    徴とする多槽式超音波洗浄装置。
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