JPH10192801A - 超音波洗浄装置と超音波振動体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 洗浄槽または振動板を補強することにより強
度を上げ、製作が容易な超音波洗浄装置を提供する。 【解決手段】 振動板６を補強するための共振型補強板
４をその材質中の音速から求められる共振長の板厚とし
ているので振動子３の負荷とならい。そのため、発生す
る超音波に影響を与えずに振動板６の補強をすることが
でき、超音波洗浄装置の製作が容易となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、超音波洗浄装置の
振動板構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】図３は従来の洗浄槽振動板一体型の超音
波洗浄装置の縦断面図、図４は従来の洗浄槽振動板分離
型の超音波洗浄装置の縦断面図である。

【０００３】図３の従来の超音波洗浄装置は洗浄槽振動
板一体型の超音波洗浄装置であり、底部の板厚がその材
質中の音速から求められる共振長である洗浄槽２と、洗
浄槽２の外側底部に密着して設けられた振動子３とで構
成される。

【０００４】この従来の超音波洗浄装置は、被洗浄物を
洗浄液５の中に浸した後、高周波電源１より振動子３に
電力を供給し振動子３を振動させることにより洗浄槽２
の底部を振動させる。洗浄槽２の底部から発生した超音
波は、洗浄液５を振動させ被洗浄物を洗浄する。

【０００５】また、図４の従来の超音波洗浄装置は洗浄
槽振動板分離型の超音波洗浄装置であり、底部に穴が設
けられた洗浄槽８と、洗浄槽８の外側底部にパッキン７
を介して前記洗浄槽８の穴をふさぐようにして設けられ
た振動板６と、振動板６の下に密着して設けられた振動
子３とで構成される。

【０００６】この従来の超音波洗浄装置は、被洗浄物を
洗浄液５の中に浸した後、高周波電源１より振動子３に
電力を供給し振動子３を振動させることにより振動板６
を振動させる。振動板６発生した超音波は、洗浄液５を
振動させ被洗浄物を洗浄する。

【０００７】この上記２形態の従来の超音波洗浄装置に
おいて、超音波の透過をよくするため、振動板６および
洗浄槽２の底部の板厚は、使用する超音波の共振長であ
るλ／２（λは超音波の波長）とする必要がある。

【０００８】例えば、振動周波数ｆ₀＝３ＭＨｚとし、
ステンレス中の音速Ｃ≒５０００ｍ／ｓｅｃとすると、
洗浄槽２の底部または振動板６の材質をステンレスとし
た場合の共振長を求めると、λ／２＝Ｃ／ｆ₀／２≒
０．８３ｍｍとなる。

【０００９】また、超音波洗浄装置の洗浄度と均一性を
高めるためには超音波の高周波数化が必要となるが、超
音波が２ＭＨｚ以上のメガソニック帯域となると、洗浄
槽２の底部および振動板６の板厚はそれにつれ薄くなり
強度が低下してしまう。

【００１０】また、被洗浄物であるシリコンウェハや液
晶ガラス基板の大型化に対応するため、より大型の洗浄
槽２または振動板６を製作しなければならないため、さ
らに接着等の作業性、板加工性の悪化により超音波洗浄
装置の製作が困難になっていた。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】上述した従来の超音波
洗浄装置では、超音波洗浄装置の大型化、使用する超音
波の高周波数化により、洗浄槽の底部および振動板の板
厚を薄くすると、洗浄槽の底部および振動板の強度が低
下することにより、接着等の作業性が悪化し、超音波洗
浄装置の製作が困難になるという問題点があった。

【００１２】本発明の目的は、洗浄槽または振動板を補
強することにより強度を上げ、製作が容易な超音波洗浄
装置を提供することである。

【００１３】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の超音波洗浄装置は、底部の板厚がその材質
中の音速から求められる共振長である洗浄槽と、前記洗
浄槽の外側底部に密着して設けられた振動子とを有する
超音波洗浄装置において、板厚がその材質中の音速から
求められる共振長である共振型補強板が前記振動子に密
着して設けられていることを特徴とする。

【００１４】本発明は、洗浄槽の底部を補強するための
共振型補強板をその材質中の音速から求められる共振長
の板厚としているので、振動子の負荷とならないように
したものである。

【００１５】したがって、発生する超音波に影響を与え
ずに洗浄槽の底部を補強することができ超音波洗浄装置
の製作が容易となる。

【００１６】また、本発明の超音波洗浄装置は、底部に
穴が設けられた洗浄槽と、前記洗浄槽の外側底部にパッ
キンを介して前記穴をふさぐようにして設けられた振動
板と、前記振動板の下に密着して設けられた振動子とを
有する超音波洗浄装置において、板厚がその材質中の音
速から求められる共振長である共振型補強板が前記振動
子に密着して設けられたことを特徴とする。

【００１７】本発明は、振動板を補強するための共振型
補強板をその材質中の音速から求められる共振長の板厚
としているので、振動子の負荷とならないようにしたも
のである。

【００１８】したがって、発生する超音波に影響を与え
ずに振動板を補強することができ超音波洗浄装置の製作
が容易となる。

【００１９】また、本発明の超音波振動体は、厚さがそ
の材質中の音速から求められる共振長である被振動物
と、前記被振動物に密着して設けられた振動子とを有す
る超音波振動体において、板厚がその材質中の音速から
求められる共振長である共振型補強板が前記振動子に密
着して設けられたことを特徴とする。

【００２０】本発明は、被振動物を補強するための共振
型補強板をその材質中の音速から求められる共振長の板
厚としているので、振動子の負荷とならないようにした
ものである。

【００２１】したがって、発生する超音波に影響を与え
ずに被振動物を補強することができ振動体の強度を上げ
ることができる。

【００２２】

【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について
図面を参照して説明する。

【００２３】（第１の実施形態）図１は本発明の第１の
実施形態の超音波洗浄装置の縦断面図である。図３中と
同番号は同じ構成要素を示す。

【００２４】本実施形態の超音波洗浄装置は、図３の従
来の超音波洗浄装置に対して、板厚がその材質中の音速
から求められる共振長である共振型補強板４が振動子３
に密着して設けられたものである。

【００２５】本実施形態の超音波洗浄装置は、まず底部
が使用する超音波の共振長の板厚である洗浄槽２に振動
子３を接着等により貼り付ける。そして、さらに接着さ
れた振動子３に共振形補強板６を貼り付けることにより
製作される。

【００２６】次に、本実施形態の動作について図１を参
照して説明する。

【００２７】本実施形態の超音波洗浄装置は、被洗浄物
を洗浄液５の中に浸した後、高周波電源１より振動子３
に電力を供給し振動子３を振動させることにより洗浄槽
２の底部を振動させる。このとき共振型補強板４はその
材質中の音速から求められる共振長の板厚を有している
ため、振動子３の負荷になることなく共に振動する。

【００２８】洗浄槽２の底部から発生した超音波は、洗
浄液５を振動させ被洗浄物を洗浄する。

【００２９】ここで、共振型補強板４は振動子３を介し
て洗浄槽２の底部と密着されているため洗浄槽２の底部
を補強する役割を果たす。これにより共振型補強板４を
有した超音波洗浄装置の洗浄槽２は、共振型補強板４を
有さない超音波洗浄装置の洗浄槽２に比較して大きな強
度を有することができる。

【００３０】このため、振動子３と洗浄槽２の底部との
接着等の作業性が向上し、超音波洗浄装置の製作が容易
になる。

【００３１】（第２の実施形態）図２は本発明の第２の
実施形態の超音波洗浄装置の縦断面図である。図４中と
同番号は同じ構成要素を示す。

【００３２】本実施形態は、図４の従来の超音波洗浄装
置に対して、共振型補強板４が振動子３に密着して設け
られたものである。

【００３３】本実施形態の超音波洗浄装置は次の方法に
より製作される。先ず、その板厚が使用する超音波の共
振長である振動板６に振動子３を接着等により貼り付け
る。そして、さらに接着された振動子３に共振形補強板
６を貼り付ける。最後に、洗浄液５が漏れないようにパ
ッキン７を挟んで洗浄槽８の底部に設けられた穴をふさ
ぐように取り付けて完成する。

【００３４】次に、本実施形態の動作について図２を参
照して説明する。

【００３５】本実施形態の超音波洗浄装置は、被洗浄物
を洗浄液５の中に浸した後、高周波電源１より振動子３
に電力を供給し振動子３を振動させることにより振動板
６を振動させる。このとき共振型補強板４はその材質中
の音速から求められる共振長の板厚を有しているため、
振動子３の負荷になることなく共に振動する。

【００３６】振動板６から発生した超音波は、洗浄液５
を振動させ被洗浄物を洗浄する。

【００３７】ここで、共振型補強板４は振動子３を介し
て振動板６と密着されているため振動板６を補強する役
割を果たす。これにより共振型補強板４を有した超音波
洗浄装置の振動板６は、共振型補強板４を有さない超音
波洗浄装置の振動板６に比較して大きな強度を有するこ
とができる。

【００３８】このため、振動子３と振動板６との接着等
の作業性が向上し、超音波洗浄装置の製作が容易にな
る。

【００３９】また、本実施形態において振動板６と共振
型補強板４を同じ構造にすれば、振動板６と振動子３と
共振型補強板４とからなる振動体は上下対称な構造とな
るため、高周波電源１からの電力供給のリード線の配線
方法を工夫することにより上下どちらの面でも使用する
ことができる。

【００４０】上記第１と第２の実施形態においては、本
発明を超音波洗浄装置に適用した場合を説明したが、振
動子により振動される被振動物が超音波洗浄装置の振動
板や洗浄槽以外の場合にも適用できるものである。

【００４１】

【発明の効果】以上説明したように、本発明は、下記の
ような効果を有する。 （１）板厚が薄くなった洗浄槽または振動板を共振型補
強板により補強して強度を上げるため、超音波洗浄装置
の製作が容易となる。 （２）洗浄槽振動板分離型の超音波洗浄槽において、振
動板、振動子、共振型補強板を上下対称構造とすると、
上下を反対にしても使用できるため、振動板がエロージ
ョン（腐食）等により傷ついた場合に、上下を反対にし
て取り付けることにより耐久時間を倍にすることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施形態の超音波洗浄装置の縦
断面図である。

【図２】本発明の第２の実施形態の超音波洗浄装置の縦
断面図である。

【図３】従来の洗浄槽振動板一体型の超音波洗浄装置の
縦断面図である。

【図４】従来の洗浄槽振動板分離型の超音波洗浄装置の
縦断面図である。

【符号の説明】

１ 高周波電源 ２ 洗浄槽 ３ 振動子 ４ 共振形補強板 ５ 洗浄液 ６ 振動板 ７ パッキン ８ 洗浄槽

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 底部の板厚がその材質中の音速から求め
   られる共振長である洗浄槽と、前記洗浄槽の外側底部に
   密着して設けられた振動子とを有する超音波洗浄装置に
   おいて、 板厚がその材質中の音速から求められる共振長である共
   振型補強板が前記振動子に密着して設けられていること
   を特徴とする超音波洗浄装置。
2. 【請求項２】 底部に穴が設けられた洗浄槽と、前記洗
   浄槽の外側底部にパッキンを介して前記穴をふさぐよう
   にして設けられた振動板と、前記振動板の下に密着して
   設けられた振動子とを有する超音波洗浄装置において、 板厚がその材質中の音速から求められる共振長である共
   振型補強板が前記振動子に密着して設けられたことを特
   徴とする超音波洗浄装置。
3. 【請求項３】 厚さがその材質中の音速から求められる
   共振長である被振動物と、前記被振動物に密着して設け
   られた振動子とを有する超音波振動体において、 板厚がその材質中の音速から求められる共振長である共
   振型補強板が前記振動子に密着して設けられたことを特
   徴とする超音波振動体。