JP2007311379A - 超音波洗浄装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】一素子で低周波と高周波とを発振きる超音波洗浄用振動子を利用した超精密洗浄が可能な超音波洗浄装置を提供する。
【解決手段】超音波洗浄装置において、同一の超音波振動子13により低い周波数の超音波とそれより高い周波数の超音波とを発振させる際に、超音波振動子13に供給される駆動周波数の共振周波数を低い周波数に対し高次共振周波数とし、少なくとも低高2周波の超音波を切り替えて洗浄する。
【選択図】図1

Description

本発明は、超音波振動子に次数の異なる共振周波数を加えて超音波を発振させて洗浄する超音波洗浄装置に関し、詳しくは低い周波と1MHz以上の高い周波を発振するようにした超音波振動子を用い、洗浄力が強く、しかも微細パーティクルの除去に優れた超精密洗浄を可能にした超音波洗浄装置に関するものである。
近年、半導体集装置ではそのパターンの微細化に伴って、ウエハパターンに付着する微細なパーティクルの除去が可能な洗浄装置の開発が必要になり、微細パーティクルを除去できる超音波洗浄装置とし、1MHz以上の高い周波数帯域を利用した超精密洗浄装置が開発されている。しかし、微細パーティクルの除去には高周波が有効であるが、有機溶剤や油性等の汚れの洗浄には高周波よりも低周波の方が良好な洗浄効果が得られる。
従来から単一周波数の超音波による超音波洗浄装置では、被洗浄物によっては汚れが落ち難いことが課題となっており、その洗浄槽に異なった超音波振動を発生させる振動子を装着し、それぞれの振動子から高低2周波の超音波を出力して洗浄する洗浄方法が行われていた。例えば、図7に示すように、洗浄装置1に高低2周波の超音波振動子2,3を交互に配列して設けられ、これらの超音波振動子2,3に発振器4a,4bからの周波数を切替機構5により交互に加えて高低2周波の超音波を発生させている。超音波振動子2,3には、π型フェライト振動子が使用され、捲線Wが全体を通して捲き回されている。(例えば、特許文献1参照)
また、従来の超音波装置には、図8に示すように、1つの振動子で異なった周波数の超音波を出力して洗浄効果を高めるようにしたマルチ周波数超音波洗浄装置がある。振動子6には、ランジュバン型振動子が用いられ、発振手段8からの異なった複数の周波数の出力を、高速スイッチ7により微小時間(0.01〜20ms)毎に切り換えて出力するようにしたものであり、微小時間毎に切り換えと、前の超音波振動の残留振動が後の超音波振動を破壊して、離散的な共振周波数の周波数を補う周波数が発生し、連続した周波数の超音波が出力される。このようなランジュバン型振動子を用いて異なった周波数の超音波を出力する超音波洗浄装置がある。(例えば、特許文献2参照)
実開昭58−190482号公報(明細書全文,図面全図) 特開平2−144181号公報(明細書全文,図面全図)
従来例(特許文献1)では、低周波と高周波とを発振する異なる超音波振動子を交互に配置して設け、洗浄槽が大型になる傾向があるとともに超音波振動子の分布密度が低下する欠点があった。また、高低2周波の超音波振動子のそれぞれの共振周波数の超音波しか出力できないので、0.1μm以下の微細パーティクル等の汚れを十分に落とすことはできなかった。さらに、二種の異なった超音波振動子を用意する必要があり、超音波洗浄装置が高価なものになる欠点があった。このようなことから被洗浄物に対応した複数の超音波洗浄装置を用意して洗浄するのが一般的であった。
また、従来例(特許文献2)では、ランジュバン型振動子が用いられ、比較的低い周波数を利用する超音波洗浄装置に用いられ、1素子で低周波と1MHz以上の高周波とを発振可能なものではなく、共振周波数以外の広範囲(0〜200kHz)にわたって周波数が連続して発振するようにしたものであり、洗浄効果を改善することを課題としているものの0.1μm以下の微細パーティクルの汚れを洗浄できる洗浄装置ではない。
また、圧電振動子による超音波振動子では、一次共振周波数を利用して超音波振動を発生させているために、共振周波数と圧電振動子の厚さとの関係が反比例しており、図4(a),(b)に示すように、例えば、3MHzの超音波振動子では、圧電振動子の厚さが0.8±0.1mmであり、1MHzの超音波振動子では、圧電振動子の厚さが2.4±0.1mmとなる。複数の超音波振動を発生させるのに際し、圧電素子の厚さを調整することは不可能であり、1つの圧電素子で複数の超音波を発生させるのは困難であった。
本発明は、上述の課題に鑑みなされたものであって、一素子で低い周波数と高い周波数の超音波を発振することができる超音波振動子を利用した超精密洗浄が可能な超音波洗浄装置を提供することを目的とするものである。
本発明では、上記課題を達成したものであり、請求項1の発明は、超音波洗浄装置において、同一の超音波振動子により低い周波数の超音波とそれより高い周波数の超音波とを発振させる際に、該超音波振動子に供給される駆動周波数の共振周波数を低い周波数に対し高次共振周波数とし、少なくとも低高2周波の超音波を切り替えて洗浄することを特徴とする超音波洗浄装置である。
また、請求項2の発明は、前記超音波振動子の駆動周波数が、前記低い周波数を1次共振周波数とし、前記高い周波数を3次共振振周波数としたことを特徴とする請求項1に記載の超音波洗浄装置である。
また、請求項3の発明は、前記駆動周波数を発振する発振器が、前記超音波振動子に供給する駆動周波数を切り替える切替手段を有し、該切替手段により低い周波数に対して高い周波数の駆動周波数を高次共振周波数に設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波洗浄装置である。
また、請求項4の発明は、前記超音波洗浄装置の洗浄槽に前記超音波振動子を底部に配置した中間槽が設けられ、該中間槽を介して超音波により該洗浄槽を間接照射することを特徴とする請求項1,2又は3に記載の超音波洗浄装置である。
請求項1の発明では、超音波洗浄装置において、同一の超音波振動子により低い周波数の超音波とそれより高い周波数の超音波とを発振させる際に、該超音波振動子に供給される駆動周波数の共振周波数を低い周波数に対し高次共振周波数とし、少なくとも低高2周波の超音波を切り替えて洗浄することを特徴とする超音波洗浄装置であるので、低い周波数及び高い周波数を発振する際の超音波振動子の厚さが同じでよく、高い周波数であっても薄くする必要がないし、薄くすることによる超音波振動子が扱い難く取り扱い時又は超音波発振時に破損するといったおそれを解消することができる。また、低い周波数の超音波を利用して被洗浄物を粗洗浄をした後、高い周波数の超音波に切り替えて精密洗浄することが可能になり、被洗浄物を複数の超音波洗浄装置を用意して洗浄する必要がなく、超精密洗浄が可能になる利点がある。
また、請求項2の発明では、前記超音波振動子の駆動周波数が、前記低い周波数を1次共振周波数とし、前記高い周波数を3次共振振周波数としたことを特徴とする請求項1に記載の超音波洗浄装置であるので、同一の超音波振動子によって、1次共振の駆動周波数により低周波の超音波を発振し、さらに3次共振周波数を駆動周波数(3倍波)として高い周波数の超音波を発生させることが可能であり、被洗浄物を複数の超音波洗浄装置を用意することなく、超精密洗浄が可能になる利点がある。
また、請求項3の発明では、前記駆動周波数を発振する発振器が、前記超音波振動子に供給する駆動周波数を切り替える切替手段を有し、該切替手段により低い周波数に対して高い周波数の駆動周波数を高次共振周波数に設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波洗浄装置であるので、切替手段を操作して低い周波数から高い周波数に最適な共振周波数に切り替えて超音波を発振させることができ、洗浄力が強く、しかも微細パーティクルの除去に優れた超音波洗浄装置を提供できる利点がある。
また、請求項4の発明では、前記超音波洗浄装置の洗浄槽に前記超音波振動子を底部に配置した中間槽が設けられ、該中間槽を介して超音波により該洗浄槽を間接照射することを特徴とする請求項1,2又は3に記載の超音波洗浄装置であるので、1MHz以上の高い周波数の超音波に対して可能な限り洗浄槽の厚さを薄くして、超音波震動の周波数のバラツキが抑えられ、素子から発生する超音波の強度をより均一なものにすることができ、洗浄ムラを低減するのに効果的であり、効率良く振動エネルギーを伝搬させることができる利点があり、しかも同一の振動子が利用でき安価なものとすることができる。
以下、本発明に係る超音波洗浄装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、図1は、本発明の超音波洗浄装置の一実施形態を示す斜視図であり、図2は本実施形態の超音波振動子の底面部斜視図であり、図3(a),(b)は本実施形態の超音波振動子の側面図とその共振モードを示す説明図である。図5、図6は洗浄装置内の音圧分布を示す図である。
本実施形態は、図1に示すように、ウエハ9が保持された状態で洗浄液に浸漬され、ウエハ9を超音波震動により洗浄する洗浄槽10と、洗浄槽10の上部に設けられ、オーバーフローした洗浄液を受ける外槽11と、洗浄槽10の下部を浸漬する純水等の振動伝播用液体を貯留する中間槽12と、中間槽12の底部に設けられた超音波振動子13と、超音波振動子13を駆動する発振器14とからなる。超音波振動子13は、図2に示すように、例えば矩形状のセラミック製板状に形成された振動子13a,13b,13cが中間槽12の底部に実装されている。または、これら振動子を振動伝達板に装着し、中間槽12の底部に開口部を設け、開口部を塞ぐように振動子を下側にして振動伝達板を設けてもよい。
発振器14は、低周波から1MHz以上の高周波まで連続した周波数を発生することができる発振手段16が設けられ、切替手段15により予め設定された振動モードにより、低い周波数と高い周波数の少なくとも高低2周波の振動モードに切り替えることにより高低2周波の発振周波数が発生し、超音波振動子13の駆動周波数として供給することができる。この駆動周波数は、振動モードに切り替えると、超音波振動子13に供給した場合、低い周波数が1次共振周波数であり、高い周波数は、例えば、3次等の高次共振周波数に設定されている。
以下、本発明の理解を容易とするために、図3,図4を参照して説明する。超音波洗浄装置に使用される超音波振動子は、図4(a),(b)に示すように、通常、超音波振動子の厚み方向に中間位置に振動の節が発生し、振動放射面が最大振幅となるように駆動周波数を設定して超音波振動を放射している。この状態を1次共振とし、このような振動を1次共振周波数とする。
一方、超音波振動子の1次共振周波数は、素子の厚みに反比例する。超音波振動子の厚みtをAとし、そのときの駆動周波数fをF[MHz]とし、厚さAの超音波振動子に1次共振した状態で超音波を発生する。この超音波振動子を駆動周波数fを3F[MHz]とし、1次共振状態で発振させるには、超音波振動子の厚みtをA/3とする必要がある。しかし、1MHzの場合の素子の厚さtは、2.4mm±0.1mmであり、駆動周波数fを3MHzとするには、素子の厚さtを0.8mm±0.033mmとする必要があり、極薄い厚さとなり、このように薄い振動子は3MHz以上の振動に耐えうるものではないし、取り扱いが困難になる。さらに、低周波のものと比べて、素子容積が小さいため、駆動時の耐熱性が悪くなり、素子の耐久性を下げる原因になる。また、電気的特性についても、素子の静電容量が増してインピーダンスが低下し、駆動負荷が大きくなる欠点がある。
そこで、本発明では、超精密洗浄を可能にするため3MHz程度の超音波を、超音波振動子の厚さを薄くすることなく実現したものであり、図4(a),(b)に示すように、超音波振動子の駆動周波数fを1MHzとし、1次共振状態で発振させる際の超音波振動子の厚みtは、A=2.4mm±0.1mmである。この超音波振動子に最大振幅で超音波を発振させるには、振動子の厚さ方向に節が3個存在する共振状態とし、この状態の駆動周波数が3次共振周波数である。このように超音波振動子の厚みtが、A=2.4mm±0.1mmであっても3次共振周波数である3MHzの駆動周波数を加えることにより、最大振幅で超音波を洗浄槽に加えることができる。
また、1次共振による3MHz用の超音波振動子の厚さtは、0.8mm±0.8mmであり、この振動子の共振周波数は3MHz±375kHzになる。一方、1MHz用の超音波振動子の厚さtは、2.4mm±0.1mmであり、この振動子を3共振周波数で駆動すると、周波数は、3MHz±125kHzになる。即ち、1MHz用の超音波振動子は、3MHz用の超音波振動子と比較し、周波数のバラツキが抑えられることを表しており、素子から発生する超音波の強度をより均一なものにすることができ、洗浄ムラを低減するのに効果的である。しかも同一振動子が使用できるので安価になる利点がある。
図5,図6は、本実施形態における超音波震動子を1次と3次共振にて駆動させたときの洗浄槽の音圧分布を示し、図5は1次共振時の音圧分布を示し、(イ)(ロ)(ハ)(ニ)の音圧が複雑に分布している。図6は3次共振時の音圧分布を示し、概ね(イ)(ロ)で示した音圧分布であり、洗浄槽内の超音波の強度が1次共振に対して比較的均一できることを示している。
以上のように、本発明は、取り扱いの容易な厚さを有し、同じ厚さの超音波振動子を用いて、発振器の発振モードを切り替えて、低い周波数と高い周波数をそれぞれ発振させるようにしたものであり、低い周波数を1次共振状態で発振させるのに対し、高い周波数は高次共振周波数で発振させることにより、エネルギーの損失を抑えて超音波振動を発生して振動板を振動させることによって、洗浄力が強く、しかも微細パーティクルの除去に優れた超精密洗浄が可能な超音波洗浄装置を提供することができる。
本発明の活用例としては、半導体集積回路装置などの高度に集積化されたものやアスペクト比が大きい値のパターンを有する半導体装置の洗浄に利用することができる。
本発明の超音波洗浄装置の一実施形態を示す斜視図である。 本実施形態の超音波振動子の底面部斜視図である。 (a),(b)は本実施形態の超音波振動子の側面図とその共振モードを示す説明図である。 (a),(b)は従来の超音波振動子の使用形態を説明する超音波振動子の側面図とその共振モードを示す説明図である。 本実施形態における超音波震動子を1次共振にて駆動させたときの洗浄槽の音圧分布を示す図である。 本実施形態における超音波震動子を3次共振にて駆動させたときの洗浄槽の音圧分布を示す図である。 (a)は従来の超音波洗浄装置の底面図であり、(b)は発振器の回路図である。 従来の超音波洗浄装置を示す図である。
符号の説明
10 洗浄槽
11 外槽
12 中間槽
13(13a,13b,13c) 超音波振動子
14 発振器
15 切替手段
16 発振手段

Claims (4)

  1. 超音波洗浄装置において、同一の超音波振動子により低い周波数の超音波とそれより高い周波数の超音波とを発振させる際に、該超音波振動子に供給される駆動周波数の共振周波数を低い周波数に対し高次共振周波数とし、少なくとも低高2周波の超音波を切り替えて洗浄することを特徴とする超音波洗浄装置。
  2. 前記超音波振動子の駆動周波数が、前記低い周波数を1次共振周波数とし、前記高い周波数を3次共振振周波数としたことを特徴とする請求項1に記載の超音波洗浄装置。
  3. 前記駆動周波数を発振する発振器が、前記超音波振動子に供給する駆動周波数を切り替える切替手段を有し、該切替手段により低い周波数に対して高い周波数の駆動周波数を高次共振周波数に設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波洗浄装置。
  4. 前記超音波洗浄装置の洗浄槽に前記超音波振動子を底部に配置した中間槽が設けられ、該中間槽を介して超音波により該洗浄槽を間接照射することを特徴とする請求項1,2又は3に記載の超音波洗浄装置。
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