JP2002126668A - 超音波洗浄装置 - Google Patents

超音波洗浄装置

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JP2002126668A
JP2002126668A JP2000332290A JP2000332290A JP2002126668A JP 2002126668 A JP2002126668 A JP 2002126668A JP 2000332290 A JP2000332290 A JP 2000332290A JP 2000332290 A JP2000332290 A JP 2000332290A JP 2002126668 A JP2002126668 A JP 2002126668A
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ultrasonic
cleaning tank
vibrator
cleaning apparatus
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Keiji Morozumi
慶治 両角
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SND KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンパクトに纏められ、強力な洗浄力で均一
に被洗浄物を洗浄できる超音波洗浄装置を提供する。 【解決手段】 ほぼ方形な洗浄槽20の底壁25の外面
に加え、さらに側壁26、27、28および29の外面
にも、複数の薄板状の電歪振動子51が分散配置して取
り付けられた超音波洗浄装置10を提供する。薄い板状
の電歪振動子51を側壁26〜29の外面に取り付ける
ことにより、洗浄槽20とそれを囲うハウジング12と
の間の幅(隙間)Wを小さくすることが可能となり、大
容量の洗浄槽20を備え、さらに側壁26〜29からも
超音波が照射され均一で強力な洗浄力を得ることができ
るコンパクトな超音波洗浄装置10を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工業用品および医
療器具類などの洗浄に適した超音波洗浄装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】超音波洗浄装置は、水やアルカリ水溶液
などの洗浄液と被洗浄物と洗浄槽に入れ、洗浄槽に取り
付けた超音波発振源を駆動して、洗浄液中の被洗浄物を
超音波で振動させるものであり、細部の落ちにくい汚れ
も容易かつ確実に洗浄することができる。このため、超
音波洗浄装置は、精密部品などの工業用部品の洗浄およ
び脱脂、医療器具類の洗浄、理化学器具類の洗浄などに
用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】超音波洗浄装置では、
特に、工業用品の洗浄などに用いられるような槽容量が
数10L程度の大型の超音波洗浄装置では、切削油や埃
などの汚れを落とせるような高い洗浄力(洗浄能力)が
要求されている。このため、大出力の超音波発振源(振
動子)を洗浄槽の底に取付けたり、取り付ける振動子の
数を増やすようにして、所望の洗浄力を得るようにして
いる。
【0004】このために、複数の振動子を取り付ける際
は、同一周波数および位相の超音波を発生して共振させ
るために振動子を限られた領域に集中して設けることが
望ましく、大容量の洗浄槽では、洗浄槽の底の中心の狭
い面積に複数の振動子が配置される。したがって、洗浄
槽の中央部分の洗浄力は、非常に大きくなり、十分に要
求を満たすことが可能である。しかしながら、洗浄槽の
中央部分にパワーが集中するので、洗浄槽の特にコーナ
部分では、十分な洗浄力が得られにくい。一方、コーナ
部分でも十分な洗浄力が得られるように、さらに振動子
の数を増やして超音波の出力を上げると、洗浄槽の中央
に置かれた被洗浄物には、超音波の影響が強すぎて、ダ
メージを与えてしまう場合もある。また、定在波によっ
て洗浄される部分とされにくい部分が発生する可能性が
あり、さらに、複数の振動子から出力される同一周波数
の超音波の共振によって洗浄力が非常に強くなる部分で
はエロージョンが生じ、被洗浄物にダメージを与えやす
くなる。
【0005】このように、超音波洗浄装置として、大容
量の洗浄槽を備えており、大量の製品(被洗浄物)を短
時間で洗浄できる洗浄能力の高いものが要望されている
が、洗浄槽の中心から周囲にわたり均等な洗浄力が得ら
れる超音波洗浄装置を実現することが難しい。
【0006】また、従来の超音波洗浄装置では、強力な
洗浄力を得るためにランジュバン型振動子が採用されて
いるが、このランジュバン型振動子は、電歪振動子を機
械的に組み込んだものであり、電歪振動子を金属板で挟
んでそれをボルト止めしたボルト締めランジュバン型振
動子が多く用いられている。このようなランジュバン型
振動子は機械的な構造を備えているので、長さが少なく
とも5〜10cm程度ある。このため、例えば、超音波
の干渉によるパワー低下があっても、均一な洗浄力を得
ようとするために複数の振動子を洗浄槽の側壁の外面に
配置して多方向照射する場合、ランジュバン型振動子で
は、洗浄槽のサイズに対して、この洗浄槽を内蔵する超
音波洗浄装置のハウジングが大きくなり過ぎてしまう。
すなわち、洗浄槽の側壁とハウジングの側壁との間に、
ランジュバン振動子を設置し、それらに対し駆動電力を
供給するためのケーブルを繋ぎ込むだけのスペースが少
なくとも確保できる隙間を設ける必要があるので、洗浄
槽の開口面積に対してハウジングの外周サイズが非常に
大きくなる。
【0007】また、ランジュバン型振動子は、細長い円
筒状なので、洗浄槽の側壁の外面に接着剤などで安定し
て取り付けることが難しい。すなわち、ランジュバン型
振動子は、円筒状の端面を洗浄槽に密着する必要があ
り、洗浄液の漏れなどを考慮すると接着剤で取り付ける
ことが最も望ましいが、円筒状で機械的な構造を内部に
含む重いランジュバン型の振動子を端面だけで支持する
ことは難しい。一方、ハウジングで振動子を支持すると
ハウジングが振動するので、それも不可能である。さら
に、超音波によりランジュバン型振動子および洗浄槽の
壁面が微小振動することを考えると、接着剤で取り付け
たのでは側面から振動子がずれ落ちやすい。このよう
に、多方向照射型の洗浄槽を実現するとしてもランジュ
バン型振動子では信頼性の高い超音波洗浄装置を設ける
ことは難しい。
【0008】そこで、本発明においては、大容量の洗浄
槽を備えた超音波洗浄装置をコンパクトに纏め、強力な
洗浄力で均一に被洗浄物を洗浄できるともに、信頼性の
高い超音波洗浄装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】このため、超音波の発振
源となる振動子に、板状の電歪振動子を用いて、これら
を洗浄槽の底壁の外面に加え、さらに側壁の外面にも分
散配置することで、多方向から洗浄槽内へ超音波を照射
できるようにしている。すなわち、本発明の超音波洗浄
装置は、被洗浄物および洗浄用の液体を保持可能な洗浄
槽と、この洗浄槽の少なくとも側方を覆うハウジング
と、この洗浄槽の底壁の外面および少なくとも側壁の外
面の一部に取り付けられた複数の板状の電歪振動子と、
これらの電歪振動子を駆動する駆動装置とを有すること
を特徴としている。本発明の超音波洗浄装置は、電歪振
動子をさらに金属板で挟んでボルト締めしたボルト締ラ
ンジュバン型振動子ではなく、板状の電歪振動子、たと
えばチタン酸バリウムやチタン酸ジルコン酸鉛などを含
む圧電セラミックの薄板を電極で挟んだ電歪振動子その
ものを複数用い、これらを洗浄槽の底壁に加え、側壁の
外面にも取り付けている。したがって、本発明の超音波
洗浄装置の洗浄槽に取り付けられる振動子は板状なの
で、洗浄槽の側壁の外面に取り付けても、側面をカバー
するハウジングとの間の隙間を非常に小さくすることが
できる。このため、洗浄槽の開口とハウジングとの幅、
すなわち、洗浄槽の開口の周囲の縁の幅を大きくするこ
となく、洗浄槽の側方にも超音波発振子を装着すること
ができ、コンパクトでありながら洗浄槽の多方向から超
音波を放出する超音波洗浄装置を提供できる。したがっ
て、強力で均一な洗浄力を備えた大容量で、コンパクト
な超音波洗浄装置を提供できる。
【0010】さらに、板状の振動子であれば、洗浄槽に
接着剤で貼り付ける面積を大きく確保でき、また、重量
も軽い。したがって、洗浄槽に貼り付けるだけで十分な
強度で洗浄槽に取り付けることが可能であり、ハウジン
グに振動が伝達されたり、振動によってずれ落ちる心配
もない。このため、コンパクトで洗浄力が均一で強くむ
らのない洗浄が可能であり、さらに信頼性の高い超音波
洗浄装置を提供することができる。そして、大容量の洗
浄槽の超音波洗浄装置でも、コンパクトに纏めることが
でき、さらに強力で均一な洗浄力を供給することによ
り、油汚れなどを容易に洗浄するとともに、洗浄ムラも
防止できる。
【0011】底面に加えて側面にも振動子を取り付ける
ことにより多方向から超音波を照射できるが、方形の洗
浄槽では底壁の他に、少なくとも1の側壁の外面に、板
状の複数の電歪振動子を取り付けることで、超音波の照
射方向を増やすことができる。さらに、超音波の照射方
向は1つの側面に限らず、複数の側面からの照射される
ことが望ましく、洗浄槽の各コーナ部分でも十分な洗浄
力を保持するには、四方の側壁のうち、少なくとも三方
の側壁の外面に振動子を取り付けることが望ましい。超
音波を多方向から照射するには、四方の側壁の外面の全
てに振動子を取り付けることが最も望ましい。しかしな
がら、洗浄液を加温して洗浄に適した温度に維持するこ
とも重要であり、一方の側壁をヒータなどの加温機器を
装着するために用いられるようにすることにより、多方
向からの超音波振動による洗浄力の向上と、洗浄液を加
温することによる洗浄力の向上とにより相乗的に洗浄力
が非常に向上した超音波洗浄装置を提供することができ
る。
【0012】さらに、本発明の超音波洗浄装置において
は、駆動装置には複数の発振回路を設け、複数の電歪振
動子の少なくとも一部を独立して発振可能なようにする
ことが望ましい。独立の発振回路を設けることにより、
各々の発振回路で発振周波数および位相が微小に異なる
ように調整でき、複数の振動子の位相および周波数が完
全に一致してしまうことを防止できる。さらに、複数の
振動子をそれぞれ独立して発振可能な複数の発振回路を
設ければ、各々の振動子の位相および/または周波数を
制御することができる。したがって、複数の振動子を配
置したときに、それらからの超音波が共振して洗浄槽に
強く安定した定在波が発生したり、あるいはそのような
定在波による影響を小さくでき、洗浄ムラを防止でき
る。また、共振によってパワーが異常に大きくなりエロ
ージョンが発生するような事態も未然に防止できるの
で、振動子の数を増やして超音波出力を上げても被洗浄
物にダメージを与えることがない。このため、底壁だけ
ではなく側壁にも振動子を配置してその数を増やし、超
音波の出力を上げて洗浄力の向上を図ることが容易とな
る。
【0013】また、独立した発振回路を設けることによ
りコンデンサや抵抗などの値を微小に変えることによ
り、振動子から照射される超音波の周波数および位相が
微小に変動するように制御あるいは設定できる。このよ
うに設定すると、複数の振動子を分散して配置している
にも関わらず、振動子の効率が大幅に悪化することはな
く、また、定在波による洗浄ムラやキャビテーションに
よるエロージョンなども防止できることが発明者らによ
り確認されている。その詳しい原理は明確になってはい
ないが、複数の振動子を洗浄槽の側壁の外面および底壁
の外面に分散して配置した本発明の超音波洗浄装置で
は、洗浄槽の周辺部、すなわち、各々の振動子の近傍で
はその振動子からの超音波により主に洗浄され、その
際、複数の振動子の基本的な周波数および位相はほぼ同
一なので、他の振動子からの超音波の影響をそれほど受
けずに被洗浄物を洗浄でき、洗浄槽の周辺でも十分な強
度の洗浄力が得られると考えられる。一方、各々の振動
子から離れた、たとえば洗浄槽の中央付近では、複数の
振動子からの超音波が合成されるが、それぞれの振動子
から照射される超音波振動の基本的な周波数は変わらな
いので、振動子の能率悪化はそれほどなく、むしろ共振
により十分な洗浄力が得られると考えられる。それとと
もに、各々の振動子から照射される超音波は、多少の周
波数および位相の違いがあるので、洗浄槽の中央および
周辺部でも定在波が安定して存在することはなく、定在
波による洗浄ムラも防止でき、また、多方向から超音波
が照射されるので、大型の被洗浄物や複雑な形状の被洗
浄物であっても効率良く洗浄することができると考えら
れる。
【0014】さらに、本発明の超音波洗浄装置は、洗浄
槽に貯留される洗浄用の液体を加熱可能なヒータと、こ
の洗浄槽の内部の洗浄用の液体の水位を検出し、その水
位が所定のレベル以下になるとヒータを強制的に停止す
る制御回路とをさらに設けることが望ましい。上述した
ように、洗浄液の温度を適温に保つことにより相乗的に
洗浄力を強化でき、水位を監視してヒータの加熱を自動
的に止めることで、洗浄槽の空焚きを防止でき、安全性
も確保できる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。図1(a)および図1(b)に、
本発明に係る超音波洗浄装置の概要を示してある。ま
た、図2に、本例の超音波洗浄装置10の洗浄槽20を
断面を用いて模式的に示してある。本例の超音波洗浄装
置10は、SUS430等のステンレス製でほぼ箱型の
ハウジング12と、その中の上方の半分程度を占めるよ
うに取り付けられた、SUS304製のほぼ方形な洗浄
槽20と、この洗浄槽20の底壁25の外面、および側
壁26〜29の外面、すなわちハウジング12の側に取
り付けられた超音波発振源となる複数の電歪振動子51
と、これらの振動子51に動力を供給する駆動装置58
とを備えている。この超音波洗浄装置10は、この洗浄
槽20の中に、水やアルカリ水溶液などの洗浄液70を
入れ、精密器具などの被洗浄物(不図示)をバスケット
などに入れて洗浄液70に浸し、電歪振動子51を駆動
させることにより、洗浄液70の中の被洗浄物を超音波
で振動させ、細部の落ちにくい汚れを含めて洗浄するこ
とができる。
【0016】本例の洗浄槽20は、操作スイッチ5など
が配置されている前方(図1(a)の左側)の3/4程
度が洗浄スペース21となっている。一方、残りのほぼ
1/4程度の後方のスペース22は、洗浄槽20の内部
に設置されたヒータ40によって洗浄スペース21から
仕切られており、洗浄槽20の水温を検出するセンサー
(熱電対)41と、水位(洗浄液のレベル)を検出する
フロートスイッチ42とが配置されている。ヒータ40
は、水平方向に延びた細長い棒状で、2kw程度の出力
となっており、洗浄液70に水没した状態で洗浄液70
を加熱する。このヒータ40の制御回路49は、駆動装
置58と共に洗浄槽20の下方に配置されており、制御
回路49によりフロートスイッチ42により検出される
洗浄槽20の水位が所定のレベル以下になるとヒータ4
0の電源は強制的に停止されるようになっている。した
がって、本例の超音波洗浄装置10では、ヒータ40に
より洗浄液70を適当な温度に加熱することでも洗浄力
を向上でき、さらに水位によりヒータ40をオフするこ
とにより空焚きを防止して安全に洗浄できるようになっ
ている。
【0017】本例の超音波洗浄装置10は、また、洗浄
槽20の上部から排水するオーバーフロー配管24a、
底面25の目皿で覆われた排水口23から排水する配管
24bなどの排水機構も設けられている。
【0018】本例の超音波洗浄装置10では、図2に拡
大して示すように、ほぼ方形な洗浄槽20の底壁25の
外面に加え、側壁26、27、28および29の外面に
も薄い板状のPZTなどの圧電セラミックからなる電歪
振動子51が接着されている。本例の電歪振動子51
は、図2の右下の振動子51で示してあるように、薄い
円盤状の圧電セラミック板51bが2つの電極51aに
より挟まれて一体となった薄いディスク状の振動子であ
り、上下の電極51aに適当な周波数の電位を加えるこ
とにより振動させることができる。他の振動子51も同
様の構成であるが、簡単のために図面では省略して一体
の振動子として記載している。本例の超音波洗浄装置1
0では、洗浄槽20の外面に、ディスク状の振動子51
の一方の面が密着するように接着剤により取り付けられ
ている。このため、駆動装置58から各々の振動子51
に適当な周波数で発振した信号が供給されると、振動子
51が振動する。そして、振動子51の振動が底壁25
や側壁26などを介して洗浄槽20の内部の洗浄液70
に伝達され、洗浄槽20の内部の被洗浄物に伝達され、
洗浄される。
【0019】図3に、本例の超音波洗浄装置10の駆動
装置58の概略構成を示してある。本例の駆動装置58
は、洗浄槽20の底壁25および側壁26から29に取
り付けられた複数の振動子51と同数の発振回路(発振
基板)52を備えており、振動子51と発振回路52と
が独立した配線54で接続されている。そして、各々の
発振回路52は、分配装置53を介して外部の交流電源
と接続されており、各々の発振回路52が配線54によ
り接続された振動子51に対し駆動電圧を印加し、振動
子51を発振回路52を構成する回路素子(振動子も含
めて)をパラメータとする適当な周波数で振動させる。
したがって、本例の超音波洗浄装置10においては、発
振回路52を構成する抵抗、コンデンサあるいはコイル
といった回路素子のパラメータを調整することにより振
動子51の発振周波数および位相をそれぞれ独立して微
小に異なるように調整できるようになっている。
【0020】このような構成の本例の超音波洗浄装置1
0で洗浄槽20に被洗浄物を入れて洗浄すると、洗浄槽
20の中央20aの部分だけでなく、コーナ部分20b
でも十分な洗浄力が得られ、さらに、定在波が存在する
ことによる洗浄ムラも防止できることが本願の発明者ら
の実験によって判明している。その要因としては、ま
ず、円盤状で比較的接触面の大きな板状の電歪振動子5
1を底壁25だけでなく、側壁26から29にも複数取
り付けたことである。これらの振動子51によって多方
向から超音波を洗浄槽20に供給できるので、大容量の
洗浄槽20であっても、中心部20aからコーナ部20
bにわたり、様々な角度でほぼ均等な強度で超音波を照
射することができる。
【0021】さらに、要因としては、各々の振動子51
が異なる発振回路52により駆動されていることであ
る。異なる発振回路52を用いると、それらを構成する
回路素子のパラメータは同一規格で同じ値の素子を用い
たとしても、少なくとも規格の公差の範囲内で微妙に異
なる。したがって、各々の発振回路52の固有の発振周
波数は微妙に異なり、発振を開始するタイミングも異な
るので位相も異なる。もちろん、各々の発振回路52の
素子のパラメータを調整することにより周波数が故意に
微小に異なるように調整することも可能である。そし
て、微小に異なる周波数および位相で各々の振動子51
が駆動されることにより、次のような現象が生じている
と考えられている。
【0022】まず、洗浄槽20のコーナ20bを含む底
壁25および側壁26から29の近傍においては、各々
の振動子51の周波数および位相で超音波が照射される
ので、それによって十分な強度の洗浄力が得られる。こ
の領域においては、他の振動子51からの超音波の影響
は小さく、さらに、他の振動子51から発振される超音
波の周波数との差は微小なので、共振したとしても振動
子の能率の低下はほとんどない。その一方で、周波数が
微小に異なる他の振動子からの超音波振動の影響を受け
るので定在波が安定して存在することはなく、洗浄ムラ
を防止できる。
【0023】一方、洗浄槽20の中央付近20aでは、
複数の振動子51から出射された超音波によって洗浄力
が得られる。各々の振動子51から出射される超音波の
周波数はほぼ近いので、共振しやすく洗浄槽20の容量
が大きな場合でも、十分な洗浄力を得ることができる。
そして、各々の振動子51の周波数は微妙に異なってい
るので、中央付近20aでも定在波が安定して存在する
ことはなく、洗浄ムラを防止することができる。同時
に、共振して超音波の出力が大きくなった場合でも、定
在しないので、キャビテーションやエロージョンは発生
しにくく、被洗浄物にダメージを与えることはない。
【0024】したがって、本例の超音波洗浄装置10に
おいては、強力で均一な洗浄力を得ることができるの
で、数10Lから100L程度の大容量の洗浄槽20を
備えている超音波洗浄装置であっても、洗浄槽20の中
央20aとコーナ部分20bとで格差なく被洗浄物をム
ラ無く強力に洗浄することができ、さらに、被洗浄物に
ダメージを与えてしまう等のトラブルも回避できる。そ
して、洗浄槽20が大型になり、十分な洗浄力を得るた
めに底壁や側壁に取り付ける電歪振動子51の数を増や
しても、洗浄ムラやダメージが発生するといった心配が
ないので、安心して超音波の出力を上げることが簡単に
できる。
【0025】このような作用は、複数の電歪振動子51
を適当なグループに分けて、それらに対してそれぞれ独
立した発振回路を設けて、周波数あるいは位相を変える
ことによっても得られると考えられる。しかしながら、
本例のように、全ての電歪振動子51に対して独立した
発振回路52を設けて、周波数などを変えられるように
した方が、ランダムになり、定在波が発生する可能性を
さらに低くできるので好ましい。
【0026】さらに、本例の超音波洗浄装置10では、
板状の電歪振動子51を用いており、これにより、側壁
26から29にこれらの振動子51を配置しても、洗浄
槽20と外側を覆っているハウジング12との間の幅W
をほとんど広げる必要がない。すなわち、洗浄槽20は
超音波振動するので、ハウジング12にその振動が伝達
されないようにするには洗浄槽20とハウジング12と
の間にある程度の間隔、たとえば、数cm程度の間隔が
必要である。本例の振動子51の厚みは、数mmから2
0mm程度あるので、その程度の隙間があれば洗浄槽2
0とハウジング12との間にこれらの振動子51を取り
付け、さらに配線54を設置することも可能である。し
たがって、洗浄槽20の側壁に振動子が配置されていな
い超音波洗浄装置とほぼ同様のサイズで、隙間Wを広げ
ることなく、さらに、洗浄槽20の回りの縁12aの部
分を広げることもなく、洗浄能力の高い大容量の超音波
洗浄装置10を提供することができる。
【0027】これに対して、上述したように、従来のラ
ンジュバン型振動子を用いて、洗浄槽の側面にも振動子
を配置した超音波洗浄装置を仮定すると、各振動子は機
械的な機構が内部にあるために少なくとも長さが5〜1
0cmほどであり、これらを各側壁の外側にそれぞれ配
置すると、数10cm以上の幅が洗浄槽20とハウジン
グ12の間に必要となる。したがって、洗浄槽20の四
方の縁の幅が広がり、側壁の底面だけに振動子を配置し
た超音波洗浄装置に対しハウジングのサイズを大きくし
なくてはならない。したがって、超音波洗浄装置が大型
になってしまい経済的なメリットがなく、また、設置も
難しくなる。
【0028】さらに、本例の電歪振動子51は、薄板状
であり、洗浄槽20の底壁25および側壁26から29
に接着する面積も厚みに対して十分に確保できる。した
がって、細長いボルト締めランジュバン型振動子と異な
り、側壁に接着したときに安定しており自重でずれるこ
とはない。また、振動子から出力された超音波により洗
浄槽20の壁面が微小振動しても、それぞれの電歪振動
子51が所定の場所からずれ落ちる心配もない。したが
って、振動子51はそれぞれの接着個所に極めて安定し
た状態で取り付けることができ、信頼性が高く、大容量
の洗浄槽を備えたコンパクトで洗浄能力の高い超音波洗
浄装置10を提供できる。
【0029】さらに、本例の超音波洗浄装置10では、
図1(a)に示したように、細長い棒状のヒータ40を
洗浄槽20の内部に、側壁28から対峙する側壁26に
槽内を横切るように配置している。したがって、ほぼ方
形な洗浄槽20の全側壁(四方の側壁)26〜29に、
電歪振動子51を分散配置することができる。これに限
らず、電歪振動子51を、洗浄槽20の底壁25に加
え、少なくとも1つまたは2つの側壁に取り付けること
でも、底壁25だけに振動子51を配置した場合と比較
すると、洗浄力が大きく、ムラのない洗浄が可能な超音
波洗浄装置を提供することができる。たとえば、底壁に
加えて三方の側壁に振動子51を配置し、残りの側壁の
外面にヒータを配置することにより、洗浄槽内部のスペ
ースを使用しないで洗浄液を適当な温度に加温すること
ができ、さらに高い洗浄力を得ることができる。このよ
うにヒータを配置すると洗浄槽内のスペースを有効に利
用できるので、中型から小型の超音波洗浄装置に適して
いる。そして、上記の例と同様に水あるいはアルカリ溶
液などの洗浄液の水位によってヒータによる加熱を停止
することにより空焚きを防止できる安全な超音波洗浄装
置を提供できる。
【0030】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の超音波
洗浄装置は、超音波発振源である振動子(電歪振動子)
を、洗浄槽の底壁に加え、さらに側壁にも分散配置する
ことで、多数の方向から被洗浄物に対して超音波を照射
することが可能となっており、さらに、薄い板状の振動
子を取り付けることによりハウジングと洗浄槽の間のス
ペースを小さくできる。したがって、本発明により、大
容量の洗浄槽を備え、強力および均一な洗浄力を得るこ
とができるコンパクトな超音波洗浄装置を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る超音波洗浄装置の概要を示す図で
あり、図1(a)は上から見た平面図であり、図1(b)
は側面図である。
【図2】図1に示す超音波洗浄装置の洗浄槽の概略構成
を断面を用いて模式的に示す図である。
【図3】図1に示す超音波洗浄装置の駆動装置の概略構
成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 超音波洗浄装置 12 ハウジング 20 洗浄槽 24 排水ホース 25 洗浄槽の底壁 26、27、28、29 洗浄槽の側壁 40 加熱ヒータ、41 センサー(熱電対)、4
2 フロートスイッチ 49 制御機構 51 電歪振動子 52 発振回路基板 58 駆動装置

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被洗浄物および洗浄用の液体を保持可能
    な洗浄槽と、 この洗浄槽の少なくとも側方を覆うハウジングと、 この洗浄槽の底壁の外面および少なくとも側壁の外面の
    一部に取り付けられた複数の板状の電歪振動子と、 これらの電歪振動子を駆動する駆動装置とを有する超音
    波洗浄装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記洗浄槽は方形で
    あり、四方の側壁のうち、少なくとも3方の側壁の外面
    に前記複数の電歪振動子が取り付けられている超音波洗
    浄装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、前記駆動装
    置は、前記複数の電歪振動子の少なくとも一部を独立し
    て発振可能な複数の発振回路を備えている超音波洗浄装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項1または2において、前記駆動装
    置は、前記複数の電歪振動子をそれぞれ独立して発振可
    能な複数の発振回路を備えている超音波洗浄装置。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかにおいて、
    前記洗浄槽に貯留される前記洗浄用の液体を加熱可能な
    ヒータと、 前記洗浄槽の内部の前記洗浄用の液体の水位を検出し、
    その水位が所定のレベル以下になると前記ヒータによる
    加熱を強制的に停止する制御回路とをさらに有する超音
    波洗浄装置。
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