JPH06296942A - 超音波洗浄における超音波振動子の発振方法及びその装置 - Google Patents

超音波洗浄における超音波振動子の発振方法及びその装置

Info

Publication number
JPH06296942A
JPH06296942A JP2102594A JP2102594A JPH06296942A JP H06296942 A JPH06296942 A JP H06296942A JP 2102594 A JP2102594 A JP 2102594A JP 2102594 A JP2102594 A JP 2102594A JP H06296942 A JPH06296942 A JP H06296942A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ultrasonic
frequency
signal
oscillation
oscillator
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2102594A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshihide Shibano
佳英 柴野
Tsutae Saito
傳 齋藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP2102594A priority Critical patent/JPH06296942A/ja
Publication of JPH06296942A publication Critical patent/JPH06296942A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】単一の固有振動数を有する超音波振動子を用い
て洗浄液中の各所に均一的なキャビテーションを容易に
発生させることができる超音波振動子の発振方法を提供
する。 【構成】超音波振動子の固有振動数の整数倍の互いに異
なる周波数を有する複数種類の発振信号a,b,cを生
成する工程と、複数種類の発振信号a,b,cを所定時
間t1 ,t2 ,t3 づつ切り換えて出力することによ
り、発振信号a,b,cが時系列的に混在してなる複合
信号dを生成する工程と、複合信号dを超音波振動子の
駆動用信号として超音波振動子を発振せしめる工程とか
ら成る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、洗浄液中におけるワー
クの超音波洗浄(バリ取り等を含む)に用いる超音波振
動子の発振方法に関する。
【0002】
【発明の背景】通常、超音波洗浄においては、圧電素子
を備えた超音波振動子にその固有振動数の周波数を有す
る周期信号(電圧信号)を印加して該超音波振動子をそ
の固有振動数で発振せしめ、これにより洗浄液中に超音
波を放射するようにしている。そして、その超音波の放
射により、洗浄液中にキャビテーションを発生させ、該
キャビテーションの衝撃力により、洗浄液中に浸漬させ
たワークの洗浄やバリ取りを行うようにしている。
【0003】ところで、かかる超音波洗浄においては、
洗浄液中に生じるキャビテーションは、放射した超音波
の周波数、換言すれば、超音波振動子の圧電素子の固有
振動数(共振周波数)に応じた深度に現れることが一般
に知られている。すなわち、キャビテーションは、洗浄
槽に収納した洗浄液の底側から液面に向かって超音波を
放射した場合、液面から、1/4波長の深度の位置に顕
著に発生し、さらに、その深度から底側に向かって半波
長毎の深度に分散して顕著に現れることが一般に知られ
ている。
【0004】一方、洗浄液中に浸漬したワークの洗浄や
バリ取りを均一的に行うためには、キャビテーションを
洗浄液中に分散させることなく均一的に発生させること
が望ましい。このためには、上記のことから明らかなよ
うに超音波の周波数を高周波とすることが好ましい。し
かし、一般に、超音波の周波数が高い程、洗浄液中での
超音波の減衰が大きなものとなって、キャビテーション
効果が低下することが知られている。このため、ワーク
の洗浄やバリ取りを効果的に行うためには、超音波の周
波数を低周波とすることが好ましい。従って、このよう
に、キャビテーションの発生状態やその効果が超音波の
周波数によって変化するために、使用する超音波の周波
数の選定は、洗浄目的や望まれる洗浄程度等に応じて行
うことが好ましい。例えば強い洗浄力が要求される場合
には、低周波の超音波を使用する。また、ワークが脆弱
なものである場合には、キャビテーションによるワーク
の損傷を防止するために、高周波の超音波を使用する。
【0005】しかるに、単一の固有振動数を有する超音
波振動子をその固有振動数で発振せしめるような技術で
は、種々の状況において上記のような好ましい条件を満
たすことができない。このため、このような不都合を解
消するものとして、従来、例えば次のような技術が知ら
れている。
【0006】すなわち、この技術は、互いに固有振動数
の異なる複数の圧電素子を備えた超音波振動子を用い、
各圧電素子に順次、その固有振動数の周波数を有する信
号を適当な時間づつ印加すると共にこれを繰り返す。こ
れにより、洗浄液中に互いに周波数の異なる超音波を単
一の振動子から放射するようにしたものである。
【0007】このようにすることにより、洗浄液中に
は、比較的近接した深度毎にキャビテーションが発生
し、該キャビテーションの分布が比較的均一になると共
に、周波数の低い超音波を主体として有効なキャビテー
ション効果を得ることが可能となる。また、各周波数の
超音波の放射時間等を適切に設定すれば、種々の洗浄目
的等に対応することが可能となる。
【0008】しかしながら、かかる超音波振動子におい
ては、互いに固有振動数の異なる複数の圧電素子を備え
るために、その製造が難しく、高価なものとなるという
不都合があった。また、発振時の発熱により各圧電素子
の固有振動数が各別に変動を生じるため、キャビテーシ
ョン分布が不安定なものとなる。このため、キャビテー
ションによる洗浄やバリ取りを均一に行うことが困難で
あった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は超音波振動子
の発振方法の改良を目的とし、単一の固有振動数を有す
る超音波振動子を用いて洗浄液中の各所に均一的なキャ
ビテーションを容易に発生させることができる超音波振
動子の発振方法及びその装置を提供することを目的とす
る。また、ワークの種別や洗浄目的等に応じた適切なキ
ャビテーション分布を得ることができる超音波振動子の
発振方法を提供することを目的とする。また、超音波振
動子を効率よく発振させることができる超音波振動子の
発振方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決する手段】本発明の発明者等は、種々の検
討の結果、単一の固有振動数を有する超音波振動子であ
っても、その固有振動数はもちろん、該固有振動数の整
数倍の周波数を有する信号を駆動用信号として該超音波
振動子を発振せしめた場合には、十分に効果的に洗浄液
中にキャビテーションを発生させることが可能であると
いうことを知見した。さらに詳細には、超音波振動子の
固有振動数の整数倍の互いに異なる周波数を有する複数
種類の信号を適当な時間づつ切り換えて超音波振動子に
付与する。このようにすると、該超音波振動子は各周波
数の超音波を放射し、これにより、各周波数の超音波に
対応して洗浄液中に発生するキャビテーションの分布が
複合されて該洗浄液中に均一的なキャビテーションを得
ることが可能であるということを知見した。そして、特
に、超音波振動子に付与する各信号の周波数を該超音波
振動子の固有振動数の奇数倍としたときに、洗浄液中に
均一的なキャビテーションを得る上で効果的であるとい
うことを知見した。
【0011】そこで、本発明の超音波振動子の発振方法
は、前記の目的を達成するために、洗浄液中に超音波を
放射する単一の固有振動数を有する超音波振動子を発振
せしめる方法において、前記超音波振動子の固有振動数
の整数倍の互いに異なる周波数を有する複数種類の発振
信号を生成する第1の工程と、該複数種類の発振信号を
所定時間づつ切り換えて出力することにより、該複数種
類の発振信号が時系列的に混在してなる複合信号を生成
する第2の工程と、該複合信号を前記超音波振動子の駆
動用信号として該超音波振動子を発振せしめる第3の工
程とから成ることを特徴とする。
【0012】そして、前記第2の工程は、前記各種類の
発振信号を順次前記所定時間づつ連続的に出力すること
を特徴とする。
【0013】あるいは、前記第2の工程は、一つの種類
の前記発振信号を前記所定時間だけ出力した後、所定の
休止時間の経過後に次の発振信号を出力することを特徴
とする。
【0014】また、特に、前記第2の工程において前記
各種類の発振信号を順次前記所定時間づつ連続的に出力
する場合において、前記第3の工程は、前記第2の工程
において生成された前記複合信号を増幅して前記超音波
振動子に付与することにより該超音波振動子を発振せし
める工程と、該複合信号に含まれる前記発振信号の周波
数の切換時に該複合信号の増幅度を一旦低下させた後に
漸次所定の増幅度まで増加させる工程とを備えたことを
特徴とする。
【0015】また、前記第3の工程は、前記第2の工程
において生成された前記複合信号を増幅する工程と、該
複合信号の増幅度を該複合信号に含まれている前記発振
信号の周波数に応じて制御する工程と、増幅された前記
複合信号を前記超音波振動子に付与して該超音波振動子
を発振せしめる工程とから成り、前記複合信号の増幅度
を制御する工程は、前記発振信号の周波数が高い程、該
増幅度を低減させるよう制御することを特徴とする。
【0016】この場合、特に、前記第2の工程において
前記各種類の発振信号を順次前記所定時間づつ連続的に
出力し、前記第3の工程が、前記第2の工程において生
成された前記複合信号を増幅して前記超音波振動子に付
与することにより該超音波振動子を発振せしめる工程
と、該複合信号に含まれる前記発振信号の周波数の切換
時に該複合信号の増幅度を一旦低下させた後に漸次所定
の増幅度まで増加させる工程とを備えたときには、前記
所定の増幅度は前記複合信号に含まれている前記発振信
号の周波数が高い程、小さくなるよう設定されているこ
とを特徴とする。
【0017】また、前記第2の工程において前記各種類
の発振信号を出力する前記所定時間は、各種類の発振信
号の1周期を単位とする時間であることを特徴とする。
【0018】また、前記第2の工程において前記各種類
の発振信号を出力する前記所定時間を各種類の発振信号
毎に変更することを特徴とする。
【0019】また、前記第3の工程は、前記第2の工程
において生成された前記複合信号と同一周波数を有する
矩形波信号を前記超音波振動子に付与することにより該
超音波振動子を発振せしめることを特徴とする。
【0020】また、前記各種類の発振信号の周波数は前
記超音波振動子の固有振動数の奇数倍であることを特徴
とする。
【0021】また、前記第1の工程は、前記超音波振動
子の固有振動数の略整数倍の単一周波数を有する基準信
号を生成する工程と、該基準信号の周波数を前記超音波
振動子の固有振動数の整数倍に合致させるべく前記超音
波振動子への通電電流のレベルに応じて該基準信号の周
波数を調整する工程と、その周波数を調整された該基準
信号を分周することにより前記各種類の発振信号を生成
する工程とから成ることを特徴とする。
【0022】また、本発明の超音波振動子の発振装置
は、前記の目的を達成するために、洗浄液中に超音波を
放射する単一の固有振動数を有する超音波振動子を発振
せしめる装置において、前記超音波振動子の固有振動数
の整数倍の互いに異なる周波数を有する複数種類の発振
信号を生成する発振信号生成手段と、該複数種類の発振
信号を所定時間づつ切り換えて出力することにより、該
複数種類の発振信号が時系列的に混在してなる複合信号
を生成する複合信号生成手段とを備え、該複合信号を前
記超音波振動子の駆動用信号として該超音波振動子を発
振せしめることを特徴とする。
【0023】
【作用】かかる本発明の超音波振動子発振方法及びその
装置によれば、前記超音波振動子は、その駆動用信号で
ある前記複合信号に時系列的に含まれる複数種類の発振
信号の周波数に対応して、複数種類の周波数の超音波を
前記所定時間づつ時系列的に放射し、これにより、各周
波数の超音波に対応して洗浄液中に発生するキャビテー
ションの分布が複合されて該洗浄液中に均一的なキャビ
テーションを得ることが可能となる。
【0024】このとき、前記複合信号を生成するための
前記各種類の発振信号の出力は、所定時間づつ連続的に
行ってもよく、あるいは、一つの種類の周波数の発振信
号を所定時間だけ出力した後、適当な休止時間の経過後
に次の発振信号を出力するようにしてもよい。いずれの
場合であっても、各種類の発振信号の周波数を有する超
音波が超音波振動子から支障なく切り換え放射される。
【0025】また、特に、前記各種類の発振信号を連続
的に出力して前記複合信号を生成し、それを増幅して超
音波振動子に付与する場合に、各種類の発振信号に対応
する前記複合信号の増幅度を定レベルとしておくと、各
種類の発振信号の周波数の切換時に、超音波振動子に付
与される信号の周波数が急変するため、該超音波振動子
の発振が乱れて異音を生じることがある。そこで、前記
複合信号に含まれる前記発振信号の周波数の切換時には
該複合信号の増幅度を一旦低下させた後に漸次所定の増
幅度まで増加させることが好ましい。このようにするこ
とにより、超音波振動子に付与される信号のレベルは、
各種類の発振信号の周波数の切換時に低レベルから漸次
増加していくこととなり、各種類の発振信号の周波数に
対応した超音波振動子の発振が円滑に得られる。尚、各
種類の発振信号の出力の間に休止時間を設ける場合に
は、上記のように複合信号の増幅度を一旦低下させる必
要はない。
【0026】また、一般に、超音波振動子に固有振動数
の整数倍の周波数の信号を付与したとき、その信号の周
波数が高くなる程、該超音波振動子等に大電流が流れ易
くなる。そこで、前記第3の工程が、前記複合信号を増
幅して前記超音波振動子に付与することにより該超音波
振動子を発振せしめる場合に、該複合信号の増幅度を、
前記発振信号の周波数が高い程、該増幅度が低減するよ
う制御しておくことが好ましい。このようにすることに
より、超音波振動子や、これに信号を付与するアンプ等
に過剰な電流が流れるのが防止され、該超音波振動子等
の損傷を回避することが可能となる。尚、このことは、
各種類の発振信号を連続的に出力して前記複合信号を生
成する場合に、該発振信号の出力の切換時に複合信号の
増幅度を一旦低下させるときにも同様である。
【0027】また、前記各種類の発振信号を出力する所
定時間は、各種類の発振信号の1周期を単位とする時間
とすることが好ましい。このようにすることにより、超
音波振動子は、各種類の発振信号に対応した周波数の超
音波を前記所定時間内において円滑に放射する。
【0028】また、各種類の発振信号を出力する所定時
間は、各種類の発振信号毎に変更することが好ましい。
このようにすることにより、洗浄目的やワークの種別等
に応じて適切なキャビテーション分布を得ることが可能
となる。
【0029】また、超音波振動子を発振せしめるに際し
ては、前記複合信号と同一周波数を有する矩形波信号を
前記超音波振動子に付与することにより該超音波振動子
を発振せしめることが好ましい。このように超音波振動
子を矩形波信号により駆動することにより、該超音波振
動子に効率よく駆動エネルギーが付与され、該超音波振
動子が安定して発振する。また、このような超音波振動
子の駆動信号を生成するための回路構成をデジタル回路
等を用いて簡単に構成することが可能となる。
【0030】また、前記各種類の発振信号の周波数は前
記超音波振動子の固有振動数の奇数倍とすることが好ま
しい。このようにすることにより、洗浄液中のキャビテ
ーション分布をより均一的なものとすることが可能とな
る。
【0031】また、前記第1の工程における前記各種類
の発振信号の生成は、例えば超音波振動子の固有振動数
の略整数倍の単一周波数の基準信号を生成し、これを分
周することにより行われる。このとき、基準信号の周波
数を常に一定としておくと、超音波振動子の固有振動数
が発熱等により変動した場合に、超音波振動子に流れる
電流が変動し、該超音波振動子の出力が不安定なものと
なり易い。そこで、該基準信号の周波数を前記超音波振
動子の固有振動数の整数倍に合致させるように、該基準
信号の周波数を超音波振動子への通電電流のレベルに応
じて調整することが好ましい。このようにすることによ
り、超音波振動子に付与される前記複合信号に含まれる
各発振信号の周波数が超音波振動子の実際の固有振動数
の整数倍に合致し、該超音波振動子の出力を各発振信号
の周波数において安定したものとすることが可能とな
る。
【0032】
【実施例】本発明の一例を図1乃至図4を参照して説明
する。図1は本実施例の超音波振動子の発振装置のブロ
ック構成図、図2乃至図4は該発振装置の作動を説明す
るための線図である。
【0033】図1を参照して、1は単一の固有振動数
(本実施例では25kHz)を有する超音波振動子、2
は振動子1を発振せしめる超音波発振回路である。振動
子1は、例えば単一の圧電素子(図示省略)を有するラ
ンジュバン型のものであり、洗浄槽3内に貯蔵された洗
浄液4に振動面1aを臨ませて該洗浄槽3の底部に固設
されている。
【0034】超音波発振回路2は、本実施例の装置の主
要部を構成するものであり、高周波(例えば数百kH
z)の基準信号(矩形波信号)を生成する基準信号発振
回路5と、該基準信号発振回路5の基準信号を分周する
複数(本実施例では3個)の分周回路6,7,8と、こ
れらの分周回路6,7,8の出力信号を時系列的に繰り
返し切り換えて出力する切換回路9(複合信号生成手
段)と、該切換回路9の出力信号を増幅して振動子1に
付与する増幅回路10と、切換回路9の出力信号の周波
数に応じて増幅回路10のゲインを調整する出力制御回
路11と、増幅回路10の出力電流(振動子1への通電
電流)に応じて基準信号生成回路5の発振周波数を微調
整する周波数調整回路12とにより構成されている。基
準信号発振回路5及び分周回路6,7,8は発振信号生
成手段を構成する。
【0035】各分周回路6,7,8は、発振回路5の基
準信号から振動子1の固有振動数の整数倍の互いに異な
る周波数f1 ,f2 ,f3 の発振信号a,b,c(図2
参照)を生成するものである。例えば分周回路6は、発
振回路5の基準信号を振動子1の固有振動数と同一の周
波数(f1 =25kHz)に分周して図2(a)に示す
ような矩形波の発振信号aを生成し、分周回路7,8は
それぞれ発振回路5の基準信号を振動子1の固有振動数
の3倍、5倍の周波数(f2 =75kHz、f 3 =12
5kHz)に分周して図2(b),(c)に示すような
矩形波の発振信号b,cを生成するようにしている。こ
れらの分周回路6,7,8により生成される発振信号
a,b,cは互いに同期した信号である。
【0036】切換回路9は、各分周回路6,7,8によ
り生成される発振信号a,b,cを順次、あらかじめ設
定された所定時間づつ連続的に出力し、これを繰り返す
ことにより図2(d)に示すような振動子1を駆動する
ための複合信号dを生成するものである。さらに詳細に
は、切換回路9は、まず、発振信号aの立ち上がり時点
から該発振信号aの周期の整数倍の所定時間t1 だけ出
力する。そして、これに続いて発振信号bをその周期の
整数倍の所定時間t2 だけ切換出力する。さらに、これ
に続いて発振信号cをその周期の整数倍の所定時間t3
だけ切換出力し、以下、かかる切り換えを連続的に繰り
返すことにより複合信号dを生成するようにしている。
従って、切換回路9により生成される複合信号dは、1
周期(t 1 +t2 +t3 )内に発振信号a,b,cを所
定時間t1 ,t2 ,t3 づつ時系列的に整列したような
形の信号となる。そして、各発振信号a,b,cの出力
時間である所定時間t1 ,t2 ,t3 はこれらの発振信
号a,b,cの1周期を単位とする時間であるので、各
発振信号a,b,cの切換時点において、これらの信号
a,b,cの立ち上がりが合致することとなる。
【0037】本実施例では、各発振信号a,b,cの出
力時間である所定時間t1 ,t2 ,t3 は、所定の操作
により適宜、変更可能とされている。すなわち、切換回
路9は、各発振信号a,b,c毎に所定時間t1
2 ,t3 を設定するための可変抵抗13,14,15
(図1参照)を備えており、これらの可変抵抗13,1
4,15を図示しない操作子を介してボリューム調整す
ることにより、所定時間t 1 ,t2 ,t3 を任意に設定
可能としている。この場合、各所定時間t1 ,t2,t
3 は、“0”に設定することも可能とされており、
“0”に設定した場合には、これに対応する発振信号
a,b,cは切換回路9から出力されないこととなる。
【0038】尚、本実施例では、前記所定時間t1 ,t
2 ,t3 は、例えば1秒、0.5秒、0.25秒という
ように、高々数秒程度の短い時間に設定されるようにな
っている。
【0039】次に、かかる超音波発振装置の作動を説明
する。
【0040】前述したように切換回路9から出力される
複合信号dは、前記増幅回路10により増幅された後
に、振動子1に付与される。この時、複合信号dは、そ
の1周期内に周波数の異なる発振信号a,b,cを所定
時間t1 ,t2 ,t3 (以下、出力時間t1 ,t2 ,t
3 という)づつ時系列的に整列したような形の信号であ
るので、振動子1は、発振信号a,b,cの周波数で順
次発振し、これを複合信号dの周期で繰り返すこととな
る。この場合、前述したように、発振信号a,b,cの
周波数を振動子1の固有振動数の整数倍とし、また、そ
れぞれの1周期を単位とする出力時間t1 ,t2 ,t3
づつ時系列的に整列して周期信号dを生成しておくこと
により、振動子1は、各発振信号a,b,cの周波数で
円滑に発振する。これにより、図3(a)〜(c)に示
すように洗浄液4中には、周波数の異なる超音波e,
f,gが順次、比較的短い周期で繰り返し放射される。
【0041】ここで、図3(a)〜(c)は、各発振信
号a,b,cの周波数f1 ,f2 ,f3 をそれぞれ例え
ば25kHz、75kHz、125kHzとした場合
に、各発振信号a,b,cに対応する超音波e,f,g
を説明的に示したものである。これらの超音波e,f,
gの周波数は対応する発振信号a,b,cの周波数と同
一である。そして、図中、λ1 ,λ2 ,λ3 はそれぞれ
超音波e,f,gの波長であり、これらの波長λ1 ,λ
2 ,λ3 に対応して図3(a)〜(c)にそれぞれ破線
で示した深度にキャビテーションが顕著に現れる。
【0042】この場合、各発振信号a,b,cに対応す
る超音波e,f,gは波長λ1 ,λ 2 ,λ3 が互いに相
違しているので、キャビテーションが発生する深度も相
違する。また、前記出力時間t1 ,t2 ,t3 を比較的
短い時間に設定しておくことにより、各超音波e,f,
gに対応するキャビテーションが短い時間間隔で繰り返
し発生する。従って、出力時間t1 ,t2 ,t3 よりも
十分に長い時間で見れば、これらのキャビテーションが
合わさって洗浄液4中の多数の深度にキャビテーション
が生じることとなり、洗浄液4中に生じるキャビテーシ
ョンの分布が比較的均一なものとなる。これにより、洗
浄液4中にワーク(図示しない)を浸漬させた場合、そ
の表面の各所にキャビテーションが作用し、ワークの洗
浄効果を高めることができる。また、仮に、同一周波数
の超音波を比較的長い時間にわたって洗浄液4中に放射
した場合には、該洗浄液4中に浸漬させたワークの表面
に気泡が付着し、その気泡がワークの洗浄を妨げること
がある。しかるに、本実施例のように超音波の周波数を
周期的に切り換えることにより、ワークの表面に気泡が
付着したままの状態になるのを防止することができる。
これによっても、ワークの洗浄効果を高めることができ
る。
【0043】また、本実施例の超音波発振装置において
は、周波数の異なる超音波e,f,gを放射せしめるた
めの各発振信号a,b,cの出力時間t1 ,t2 ,t3
を適宜、変更することにより、種々のワークや洗浄目的
に対応することができる。
【0044】すなわち、一般に超音波の周波数が低い
程、大きなキャビテーション効果が得られるので、例え
ば比較的脆弱なワークの洗浄を行う場合、キャビテーシ
ョンによるワークの損傷を避けるために、高周波の超音
波を使用することが好ましい。従って、本実施例の装置
を用いて、このような脆弱なワークの洗浄を行う場合に
は、例えば最も周波数の低い発振信号aの出力時間t1
を十分、短いものとし、あるいは“0”とすることによ
り、ワークの損傷を避けつつ洗浄を行うことができる。
【0045】また、上記のように、超音波の周波数が低
い程、大きなキャビテーション効果が得られるので、例
えば強力な洗浄効果が要求されるワークを洗浄する場合
には、例えば最も周波数の低い発振信号aや、その次に
周波数の低い発振信号bの出力時間t1 ,t2 を比較的
長めに設定しておくことにより、このようなワークの洗
浄を効果的に行うことができる。
【0046】尚、本実施例の装置においては、振動子1
の駆動用信号である各発振信号a,b,c及びこれらを
複合してなる複合信号dを矩形波信号とし、それを増幅
して振動子1に付与することにより該振動子1を発振さ
せているので、各発振信号a,b,cに応じた振動子1
の発振の応答を円滑なものとすることができる。これに
より、振動子1の各発振信号a,b,cに応じた発振を
効率よく安定して行うことができる。また、矩形波信号
を使用することにより、発振装置の回路構成も簡略なも
のとすることができる。
【0047】また、本実施例の装置においては、前記出
力制御回路11(図1参照)は、切換回路9から順次出
力される発振信号a,b,cの周波数に応じて増幅回路
10のゲイン(増幅度)を次のように調整する。すなわ
ち、一般に振動子1に入力する信号の周波数が高い程、
該振動子1や増幅回路10に流れる電流が大きなものと
なる。このような過剰な電流が流れると、該振動子1や
増幅回路10が損傷する。そこで、本実施例において
は、切換回路9から出力される発振信号a,b,cの周
波数が高いもの程、増幅回路10のゲインを低減させる
ようにしている。これにより、振動子1や増幅回路10
に過剰な電流が流れるのが回避され、それらの損傷を防
止することができる。
【0048】また、前記出力制御回路11は、前記増幅
回路10に入力される発振信号a,b,cが切換えられ
る際には、増幅回路10のゲインを一旦、略“0”まで
低下させた後に、各発振信号a,b,cの周波数に対応
したレベルの増幅度まで増幅回路10のゲインを漸次増
加させる。すなわち、発振信号a,b,cの切換時から
増幅回路10のゲインをその周波数に対応した一定レベ
ルとしておくと、振動子1に付与される信号の周波数が
急変するため、該振動子1の発振が乱れて異音を生じる
ことがある。そこで、上記のように発振信号a,b,c
の切換時に増幅回路1のゲインを一旦下げることによ
り、切換直後に振動子1に付与される信号のレベルは低
レベルから徐々に増加していくこととなり、該振動子1
は切換後の発振信号a,b,cの周波数でもって円滑に
発振を開始する。
【0049】また、本実施例の装置においては、前記周
波数調整回路12(図1参照)は、増幅回路10から振
動子1に流れる電流に応じて前記基準信号発振回路5の
発振周波数(基準信号の周波数)を微調整するようにし
ている。すなわち、一般に、振動子1の発振時には、そ
の発熱等によりその固有振動数が若干、変化し、このた
め、発振信号a,b,cの周波数を常に一定に維持して
おくと、振動子1に流れる電流が変化し、該振動子1の
出力が不安定なものとなり易い。そこで、本実施例にお
いては、振動子1に流れる電流が最適なレベルに維持さ
れるように基準信号発振回路5の発振周波数を微調整す
る。これにより、発振信号a,b,cの周波数を振動子
1の実際の固有振動数の整数倍に合致させるようにして
いる。尚、このような周波数調整においては、例えば、
適当な時間間隔で基準信号発振回路5の発振周波数を前
後に変化させる。この時、振動子1への通電電流が所定
の最適レベル(例えば最大レベル)となるような発振周
波数を検出することにより上記のような周波数の調整が
行われる。また、このような周波数調整は、例えば振動
子1から洗浄液4中に放射される超音波の音圧に応じて
行うようにすることも可能である。
【0050】尚、本実施例においては、発振信号a,
b,cを切換回路9により、前記出力時間t1 ,t2
3 づつ連続的に切り換えて出力するようにしたが、例
えば図6に示すように、各発振信号a,b,cの出力時
間t1 ,t2 ,t3 の間に適宜の休止時間t4 を設け、
これを増幅して振動子1に付与するようにしてもよい。
このようにした場合には、振動子1は各発振信号a,
b,cの周波数を有する超音波を出力時間t1 ,t2
3 づつ断続的に放射する。そして、この場合であって
も、洗浄液中には、各発振信号a,b,cの周波数に対
応する互いに異なる深度にキャビテーションが発生す
る。これにより、洗浄液中のキャビテーション分布を比
較的均一的なものとすることができる。尚、このように
各発振信号a,b,cを断続的に出力する場合には、前
述のように、発振信号a,b,cが切換えられる際に、
増幅回路10のゲインを一旦、略“0”まで低下させる
ことは必ずしも必要はない。これは、各発振信号a,
b,cを断続的に出力する場合には、振動子1の発振周
波数がある周波数から他の周波数に急変することがない
からである。
【0051】また、本実施例においては、発振信号a,
b,cをこの順に周期的に振動子1に付与して該振動子
1を発振させるようにしたが、該振動子に付与する順番
は任意であってよく、あるいはランダムであってもよ
い。
【0052】ところで、本実施例の装置において、発振
信号a,b,cの周波数は、基本的には振動子1の固有
振動数の整数倍であればよいが、より好ましくは、振動
子1の固有振動数の奇数倍とすることが好ましい。
【0053】この理由は図4(a),(b)を参照して
次のように考えられる。
【0054】図4(a)は、例えば発振信号a,bをそ
れぞれ25kHz(振動子1の固有振動数)、50kH
z(固有振動数の2倍)とした場合に、それぞれの発振
信号a,bに対応して洗浄液4中に生じる超音波e,f
の波形を、横軸に洗浄液4の深度をとって説明的に示し
たものである。尚、ここでは、深度D0 において超音波
e,fの波形の山と山とが重なると仮定している。
【0055】同図を参照して判るように、発振信号bの
周波数が固有振動数の2倍(偶数倍)である場合には、
超音波eの波形の山と超音波fの波形の谷とが重なる部
分(例えば深度D1 ,D2 の部分)が生じる。このた
め、これらの波形e,fを合成してなる波形xは振幅中
心となる横軸の上下に非対称的な波形となる。従って、
超音波e,fを合わせて得られるキャビテーションの分
布が不均一なものとなり易いと考えられる。このこと
は、さらに、発振信号cの周波数を例えば固有振動数の
4倍の100kHzとした場合も同様である。
【0056】一方、図4(b)は、例えば発振信号a,
bをそれぞれ25kHz(振動子1の固有振動数)、7
5kHz(固有振動数の3倍)とした場合に、それぞれ
の発振信号a,bに対応して洗浄液4中に生じる超音波
e,fの波形を、横軸に洗浄液4の深度をとって説明的
に示したものである。尚、ここでは、図4(a)の場合
と同様に、深度D0 において超音波e,fの波形の山と
山とが重なると仮定している。
【0057】同図を参照して判るように、発振信号bの
周波数が固有振動数の3倍(奇数倍)である場合には、
超音波eの波形の山と山、谷と谷とが重なり合うように
なる。このため、これらの波形e,fを合成してなる波
形yは振幅中心となる横軸の上下に対称的な波形とな
る。従って、超音波e,fを合わせて得られるキャビテ
ーションの分布が均一なものとなり易いと考えられる。
そして、このことは、さらに、発振信号cの周波数を例
えば固有振動数の5倍の125kHzとした場合も同様
である。
【0058】以上のことから、発振信号a,b,cの周
波数は、振動子1の固有振動数の奇数倍とすることが好
ましいと。
【0059】尚、以上説明した実施例においては、発振
信号の種類を3種類としたが、さらに多くの周波数の異
なる発振信号を用いるようにしてもよいことはもちろん
である。
【0060】次に、前述の実施例の振動子1に固有振動
数の整数倍の周波数を有する信号を付与した場合の実際
のキャビテーション効果について図5(a),(b)を
参照して説明する。
【0061】本発明の発明者等は、洗浄液4中に厚さ7
μmのアルミ箔を垂直姿勢で浸漬させた状態で、振動子
1にその固有振動数と同一の周波数(25kHz)を有
する矩形波信号と、該固有振動数の2倍の周波数(50
kHz)を有する矩形波信号とをそれぞれ各別に付与し
た。そして、そのそれぞれの場合についてアルミ箔に生
じるエロージョンを観察した。この場合、洗浄液4は、
DO値5.0ppmの水を用い、その液温を24°C、
液深を232mmとした。それぞれの実験によるアルミ
箔の表面状態を図5(a),(b)に示した。
【0062】これらの図において、参照符号Aを付した
斜線部分はアルミ箔に明いた穴を示すものであり、参照
符号Bを付した点描部分はアルミ箔のエロージョンがあ
る程度進行した部分を示すものである。これらの部分
A,B(以下、これらをエロージョン部分A,Bとい
う)は、これに対応する深度でキャビテーションが発生
したことを示している。
【0063】図5(a)を参照して判るように、振動子
1をその固有振動数と同一の周波数(25kHz)で駆
動した場合には、ほぼ超音波の半波長毎の深度にエロー
ジョン部分A,Bが現れた。このことはほぼ半波長毎の
深度でキャビテーションが顕著に現れることを示してい
る。
【0064】一方、図5(b)を参照して判るように、
振動子1をその固有振動数の2倍の周波数(50kH
z)で駆動した場合においても、超音波の半波長毎の深
度にエロージョン部分A,Bが現れ、ほぼ半波長毎の深
度でキャビテーションが顕著に現れることが判る。この
場合、エロージョンの程度は、周波数を25kHzとし
た場合に比べて若干低下はするものの、アルミ箔に穴が
明く程度のエロージョンは十分に見られ、十分に洗浄効
果を発揮し得るキャビテーションが発生することが判
る。また、この場合、超音波の波長は、周波数を25k
Hzとした場合の超音波の波長の半分となるので、キャ
ビテーションの現れる深度間隔が周波数を25kHzと
した場合のほぼ半分となり、より近接した深度間隔でキ
ャビテーションが現れることが判る。
【0065】従って、振動子1をその固有振動数の2倍
の周波数で駆動しても、十分に洗浄に必要なキャビテー
ションを洗浄液4中に発生させることができ、また、振
動子1をその固有振動数で駆動した場合と異なる深度で
キャビテーションを発生させることができる。
【0066】そして、このことから、前述した実施例の
ように、振動子1の固有振動数の整数倍の互いに異なる
周波数を時系列的に複合させて振動子1を駆動すれば、
ワークの洗浄に要する洗浄液中のキャビテーションの分
布を比較的均一なものとして洗浄効果を高めることがで
きるということが判る。
【0067】
【発明の効果】上記の説明から明らかなように、本発明
の超音波振動子の発振方法及びその装置によれば、超音
波振動子の固有振動数の整数倍の互いに異なる周波数を
有する複数種類の発振信号を所定時間づつ切り換えて出
力することにより、該複数種類の発振信号が時系列的に
混在してなる複合信号を生成し、該複合信号を超音波振
動子の駆動用信号として該超音波振動子を発振せしめる
ことによって、超音波振動子は、その駆動用信号である
前記複合信号に時系列的に含まれる複数種類の発振信号
の周波数に対応して、複数種類の周波数の超音波を前記
所定時間づつ時系列的に放射し、これにより、各周波数
の超音波に対応して洗浄液中に発生するキャビテーショ
ンの分布が複合されて該洗浄液中に均一的なキャビテー
ションを得ることができる。
【0068】このとき、前記複合信号を生成するための
前記各種類の発振信号の出力を所定時間づつ連続的に行
う場合と、一つの種類の周波数の発振信号を所定時間だ
け出力した後、適当な休止時間の経過後に次の発振信号
を出力するようにする場合とのいずれの場合であって
も、各種類の発振信号の周波数を有する超音波を超音波
振動子から支障なく切り換えて放射させることができ、
洗浄液中に均一的なキャビテーションを得ることができ
る。
【0069】また、特に、前記各種類の発振信号を連続
的に出力して前記複合信号を生成し、それを増幅して超
音波振動子に付与する場合に、発振信号の周波数の切換
時に前記複合信号の増幅度を一旦低下させた後に漸次所
定の増幅度まで増加させることにより、各種類の発振信
号の周波数に対応した超音波振動子の発振を円滑に得る
ことができ、該超音波振動子を各種類の発振信号の周波
数で安定して効率よく発振させることができる。
【0070】また、前記複合信号を増幅して超音波振動
子に付与する場合に、該複合信号の増幅度を、前記発振
信号の周波数が高い程、低減させることにより、超音波
振動子や、これに信号を付与するアンプ等に過剰な電流
が流れるのを防止することができ、該超音波振動子等の
損傷を回避することができる。
【0071】また、各種類の発振信号を出力する所定時
間を、各種類の発振信号の1周期を単位とする時間とす
ることにより、超音波振動子は、各種類の発振信号に対
応した周波数の超音波を前記所定時間内において円滑に
放射することができ、従って、均一的なビテーションを
効率よく得ることができる。
【0072】また、各種類の発振信号を出力する所定時
間を、各種類の発振信号毎に変更することにより、各種
類の発振信号を適宜適切に設定することで、洗浄目的や
ワークの種別等に応じて適切なキャビテーション分布を
得ることができる。
【0073】また、前記複合信号と同一周波数を有する
矩形波信号を超音波振動子に付与して該超音波振動子を
発振せしめることにより、該超音波振動子に効率よく駆
動エネルギーを付与して該超音波振動子を安定して発振
させることができ、また、このような超音波振動子の駆
動信号を生成するための回路構成をデジタル回路等を用
いて簡単に構成することができる。従って、洗浄液中に
効率よく均一的なビテーションを発生させることができ
ると共に、そのような効果を奏する装置を簡略且つ安価
に提供することができる。
【0074】また、前記各種類の発振信号の周波数を超
音波振動子の固有振動数の奇数倍とすることにより、洗
浄液中のキャビテーション分布をより均一的なものとす
ることができる。
【0075】また、前記超音波振動子の固有振動数の略
整数倍の単一周波数の基準信号を生成し、これを分周す
ることにより前記各種類の発振信号を生成する場合に、
該基準信号の周波数を超音波振動子の固有振動数の整数
倍に合致させるように、該基準信号の周波数を超音波振
動子への通電電流のレベルに応じて調整することによ
り、超音波振動子の実際の固有振動数が発熱等により変
動しても、超音波振動子に付与される前記複合信号に含
まれる各発振信号の周波数を超音波振動子の実際の固有
振動数の整数倍に合致させることができ、該超音波振動
子の出力を各発振信号の周波数において安定したものと
して該超音波振動子を効率よく発振させることができ
る。従って、洗浄液中に均一的なキャビテーション分布
を安定して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例を適用した超音波発振装置のブロ
ック構成図。
【図2】図1の超音波発振装置の作動を説明するための
線図。
【図3】図1の超音波発振装置の作動を説明するための
線図。
【図4】図1の超音波発振装置の作動を説明するための
線図。
【図5】図1の超音波発振装置の超音波振動子を所定周
波数で駆動した場合のアルミ箔のエロージョン発生状態
を示す平面図。
【図6】超音波振動子に付与する信号の他の例を示す線
図。
【符号の説明】
1…超音波振動子、5〜8…発振信号生成手段、9…切
換回路(複合信号生成手段)。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】洗浄液中に超音波を放射する単一の固有振
    動数を有する超音波振動子を発振せしめる方法におい
    て、前記超音波振動子の固有振動数の整数倍の互いに異
    なる周波数を有する複数種類の発振信号を生成する第1
    の工程と、該複数種類の発振信号を所定時間づつ切り換
    えて出力することにより、該複数種類の発振信号が時系
    列的に混在してなる複合信号を生成する第2の工程と、
    該複合信号を前記超音波振動子の駆動用信号として該超
    音波振動子を発振せしめる第3の工程とから成ることを
    特徴とする超音波洗浄における超音波振動子の発振方
    法。
  2. 【請求項2】前記第2の工程は、前記各種類の発振信号
    を順次前記所定時間づつ連続的に出力することを特徴と
    する請求項1記載の超音波洗浄における超音波振動子の
    発振方法。
  3. 【請求項3】前記第2の工程は、一つの種類の前記発振
    信号を前記所定時間だけ出力した後、所定の休止時間の
    経過後に次の発振信号を出力することを特徴とする請求
    項1記載の超音波洗浄における超音波振動子の発振方
    法。
  4. 【請求項4】前記第3の工程は、前記第2の工程におい
    て生成された前記複合信号を増幅して前記超音波振動子
    に付与することにより該超音波振動子を発振せしめる工
    程と、該複合信号に含まれる前記発振信号の周波数の切
    換時に該複合信号の増幅度を一旦低下させた後に漸次所
    定の増幅度まで増加させる工程とを備えたことを特徴と
    する請求項2記載の超音波洗浄における超音波振動子の
    発振方法。
  5. 【請求項5】前記第3の工程は、前記第2の工程におい
    て生成された前記複合信号を増幅する工程と、該複合信
    号の増幅度を該複合信号に含まれている前記発振信号の
    周波数に応じて制御する工程と、増幅された前記複合信
    号を前記超音波振動子に付与して該超音波振動子を発振
    せしめる工程とから成り、前記複合信号の増幅度を制御
    する工程は、前記発振信号の周波数が高い程、該増幅度
    を低減させるよう制御することを特徴とする請求項1乃
    至3のいずれかに記載の超音波洗浄における超音波振動
    子の発振方法。
  6. 【請求項6】前記所定の増幅度は前記複合信号に含まれ
    ている前記発振信号の周波数が高い程、小さくなるよう
    設定されていることを特徴とする請求項4記載の超音波
    洗浄における超音波振動子の発振方法。
  7. 【請求項7】前記第2の工程において前記各種類の発振
    信号を出力する前記所定時間は、各種類の発振信号の1
    周期を単位とする時間であることを特徴とする請求項1
    乃至6のいずれかに記載の超音波洗浄における超音波振
    動子の発振方法。
  8. 【請求項8】前記第2の工程において前記各種類の発振
    信号を出力する前記所定時間を各種類の発振信号毎に変
    更することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記
    載の超音波洗浄における超音波振動子の発振方法。
  9. 【請求項9】前記第3の工程は、前記第2の工程におい
    て生成された前記複合信号と同一周波数を有する矩形波
    信号を前記超音波振動子に付与することにより該超音波
    振動子を発振せしめることを特徴とする請求項1乃至8
    のいずれかに記載の超音波洗浄における超音波振動子の
    発振方法。
  10. 【請求項10】前記各種類の発振信号の周波数は前記超
    音波振動子の固有振動数の奇数倍であることを特徴とす
    る請求項1乃至9のいずれかに記載の超音波洗浄におけ
    る超音波振動子の発振方法。
  11. 【請求項11】前記第1の工程は、前記超音波振動子の
    固有振動数の略整数倍の単一周波数を有する基準信号を
    生成する工程と、該基準信号の周波数を前記超音波振動
    子の固有振動数の整数倍に合致させるべく前記超音波振
    動子への通電電流のレベルに応じて該基準信号の周波数
    を調整する工程と、その周波数を調整された該基準信号
    を分周することにより前記各種類の発振信号を生成する
    工程とから成ることを特徴とする請求項1乃至10のい
    ずれかに記載の超音波洗浄における超音波振動子の発振
    方法。
  12. 【請求項12】洗浄液中に超音波を放射する単一の固有
    振動数を有する超音波振動子を発振せしめる装置におい
    て、前記超音波振動子の固有振動数の整数倍の互いに異
    なる周波数を有する複数種類の発振信号を生成する発振
    信号生成手段と、該複数種類の発振信号を所定時間づつ
    切り換えて出力することにより、該複数種類の発振信号
    が時系列的に混在してなる複合信号を生成する複合信号
    生成手段とを備え、該複合信号を前記超音波振動子の駆
    動用信号として該超音波振動子を発振せしめることを特
    徴とする超音波洗浄における超音波振動子の発振装置。
JP2102594A 1993-02-22 1994-02-18 超音波洗浄における超音波振動子の発振方法及びその装置 Pending JPH06296942A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2102594A JPH06296942A (ja) 1993-02-22 1994-02-18 超音波洗浄における超音波振動子の発振方法及びその装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3214093 1993-02-22
JP5-32140 1993-02-22
JP2102594A JPH06296942A (ja) 1993-02-22 1994-02-18 超音波洗浄における超音波振動子の発振方法及びその装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06296942A true JPH06296942A (ja) 1994-10-25

Family

ID=26358033

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2102594A Pending JPH06296942A (ja) 1993-02-22 1994-02-18 超音波洗浄における超音波振動子の発振方法及びその装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06296942A (ja)

Cited By (20)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100455688B1 (ko) * 2000-09-11 2004-11-15 가부시끼가이샤 도시바 세정 방법
JP2004337800A (ja) * 2003-05-19 2004-12-02 Hitachi Ltd 超音波キャビテーション発生装置
JP2007311379A (ja) * 2006-05-16 2007-11-29 Kaijo Corp 超音波洗浄装置
JP2008147296A (ja) * 2006-12-07 2008-06-26 Fujitsu Ltd 洗浄装置および洗浄方法
WO2010035560A1 (ja) * 2008-09-26 2010-04-01 株式会社カイジョー 出力調整回路、超音波振動装置用部品及び超音波振動装置
JP2011218259A (ja) * 2010-04-06 2011-11-04 Honda Electronic Co Ltd 超音波発生装置
JP2013516797A (ja) * 2010-05-31 2013-05-13 コリア・インスティテュート・オブ・マシナリー・アンド・マテリアルズ 超音波精密洗浄装置
JP2013247185A (ja) * 2012-05-24 2013-12-09 Siltronic Ag 超音波洗浄方法および超音波洗浄装置
JP2016096508A (ja) * 2014-11-17 2016-05-26 株式会社プレテック 超音波放射器
JP2016137456A (ja) * 2015-01-28 2016-08-04 Necネットワーク・センサ株式会社 圧電素子駆動装置及び圧電素子駆動方法
KR20180010232A (ko) * 2015-05-20 2018-01-30 에이씨엠 리서치 (상하이) 인코포레이티드 반도체 웨이퍼를 세정하는 방법 및 장치
CN109789450A (zh) * 2016-09-19 2019-05-21 盛美半导体设备(上海)有限公司 清洗衬底的方法和装置
JP2019124608A (ja) * 2018-01-17 2019-07-25 株式会社日立ハイテクノロジーズ 化学分析装置、及び、当該化学分析装置に用いる音波攪拌機構
US11037804B2 (en) 2016-09-20 2021-06-15 Acm Research, Inc. Methods and apparatus for cleaning substrates
US20210245304A1 (en) * 2020-02-07 2021-08-12 Disco Corporation Wafer forming method
US11141762B2 (en) 2015-05-15 2021-10-12 Acm Research (Shanghai), Inc. System for cleaning semiconductor wafers
US11257667B2 (en) 2016-04-06 2022-02-22 Acm Research (Shanghai) Inc. Methods and apparatus for cleaning semiconductor wafers
US11581205B2 (en) 2017-11-20 2023-02-14 Acm Research, Inc. Methods and system for cleaning semiconductor wafers
WO2023084843A1 (ja) * 2021-11-10 2023-05-19 株式会社村田製作所 励振装置、振動装置、車両、制御方法およびコンピュータプログラム
US11967497B2 (en) 2022-01-13 2024-04-23 Acm Research (Shanghai) Inc. Methods and apparatus for cleaning semiconductor wafers

Cited By (31)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100455688B1 (ko) * 2000-09-11 2004-11-15 가부시끼가이샤 도시바 세정 방법
JP2004337800A (ja) * 2003-05-19 2004-12-02 Hitachi Ltd 超音波キャビテーション発生装置
JP2007311379A (ja) * 2006-05-16 2007-11-29 Kaijo Corp 超音波洗浄装置
JP2008147296A (ja) * 2006-12-07 2008-06-26 Fujitsu Ltd 洗浄装置および洗浄方法
US8680747B2 (en) 2008-09-26 2014-03-25 Kaijo Corporation Output adjustment circuit, ultrasonic transducer device component, and ultrasonic transducer device
US8558431B2 (en) 2008-09-26 2013-10-15 Kaijo Corporation Output adjustment circuit, ultrasonic transducer device component, and ultrasonic transducer device
WO2010035560A1 (ja) * 2008-09-26 2010-04-01 株式会社カイジョー 出力調整回路、超音波振動装置用部品及び超音波振動装置
JP2011218259A (ja) * 2010-04-06 2011-11-04 Honda Electronic Co Ltd 超音波発生装置
JP2013516797A (ja) * 2010-05-31 2013-05-13 コリア・インスティテュート・オブ・マシナリー・アンド・マテリアルズ 超音波精密洗浄装置
JP2013247185A (ja) * 2012-05-24 2013-12-09 Siltronic Ag 超音波洗浄方法および超音波洗浄装置
US9457385B2 (en) 2012-05-24 2016-10-04 Siltronic Ag Ultrasonic cleaning method and ultrasonic cleaning apparatus
JP2016096508A (ja) * 2014-11-17 2016-05-26 株式会社プレテック 超音波放射器
JP2016137456A (ja) * 2015-01-28 2016-08-04 Necネットワーク・センサ株式会社 圧電素子駆動装置及び圧電素子駆動方法
US11141762B2 (en) 2015-05-15 2021-10-12 Acm Research (Shanghai), Inc. System for cleaning semiconductor wafers
US11633765B2 (en) 2015-05-15 2023-04-25 Acm Research (Shanghai) Inc. System for cleaning semiconductor wafers
US11911808B2 (en) 2015-05-15 2024-02-27 Acm Research (Shanghai) Inc. System for cleaning semiconductor wafers
US11752529B2 (en) 2015-05-15 2023-09-12 Acm Research (Shanghai) Inc. Method for cleaning semiconductor wafers
US10910244B2 (en) 2015-05-20 2021-02-02 Acm Research, Inc. Methods and system for cleaning semiconductor wafers
JP2018514953A (ja) * 2015-05-20 2018-06-07 エーシーエム リサーチ (シャンハイ) インコーポレーテッド 半導体ウエハの洗浄方法および洗浄装置
KR20180010232A (ko) * 2015-05-20 2018-01-30 에이씨엠 리서치 (상하이) 인코포레이티드 반도체 웨이퍼를 세정하는 방법 및 장치
US11257667B2 (en) 2016-04-06 2022-02-22 Acm Research (Shanghai) Inc. Methods and apparatus for cleaning semiconductor wafers
CN109789450A (zh) * 2016-09-19 2019-05-21 盛美半导体设备(上海)有限公司 清洗衬底的方法和装置
US11103898B2 (en) 2016-09-19 2021-08-31 Acm Research, Inc. Methods and apparatus for cleaning substrates
US11638937B2 (en) 2016-09-19 2023-05-02 Acm Research, Inc. Methods and apparatus for cleaning substrates
US11037804B2 (en) 2016-09-20 2021-06-15 Acm Research, Inc. Methods and apparatus for cleaning substrates
US11848217B2 (en) 2016-09-20 2023-12-19 Acm Research (Shanghai) Inc. Methods and apparatus for cleaning substrates
US11581205B2 (en) 2017-11-20 2023-02-14 Acm Research, Inc. Methods and system for cleaning semiconductor wafers
JP2019124608A (ja) * 2018-01-17 2019-07-25 株式会社日立ハイテクノロジーズ 化学分析装置、及び、当該化学分析装置に用いる音波攪拌機構
US20210245304A1 (en) * 2020-02-07 2021-08-12 Disco Corporation Wafer forming method
WO2023084843A1 (ja) * 2021-11-10 2023-05-19 株式会社村田製作所 励振装置、振動装置、車両、制御方法およびコンピュータプログラム
US11967497B2 (en) 2022-01-13 2024-04-23 Acm Research (Shanghai) Inc. Methods and apparatus for cleaning semiconductor wafers

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH06296942A (ja) 超音波洗浄における超音波振動子の発振方法及びその装置
US5462604A (en) Method of oscillating ultrasonic vibrator for ultrasonic cleaning
KR101095912B1 (ko) 두께 모드 변환기의 주파수 스윕핑을 구비한 메가소닉 처리장치
JP2832443B2 (ja) マルチ周波数超音波洗浄方法及び洗浄装置
JP4776689B2 (ja) 超音波洗浄装置
JP2794438B2 (ja) キャビテーションを利用した洗浄方法
JP3336323B2 (ja) 超音波洗浄方法及びその装置
US11065644B2 (en) Method for exciting piezoelectric transducers and sound-producing arrangement
JP2003320328A (ja) 超音波洗浄装置
JP2007311379A (ja) 超音波洗浄装置
JPH05317820A (ja) 超音波洗浄方法及び装置
KR20220030718A (ko) 초음파 파동의 변화를 이용한 초음파 세척방법 및 그 장치
JP7298098B2 (ja) 超音波振動子駆動回路及び超音波溶着装置
KR20040089162A (ko) 공진 주파수 분배기능을 갖는 초음파 발생장치
EP1507603B1 (en) Acoustic alarm having a piezo-electric element driven at multiple frequencies
JPH08131978A (ja) 超音波洗浄装置
KR100935911B1 (ko) 음향광학소자의 1차 회절을 이용하여 레이저 출력을안정화시킨 가공장치 및 가공 방법
JP2008126099A (ja) 脱気装置及び方法
JPS59142885A (ja) 超音波処理方法およびその装置
JP3309749B2 (ja) 超音波洗浄装置
JP2785022B2 (ja) キャビテーションを利用した洗浄方法
JPH11137159A (ja) 水田における雑草の発生・繁殖防止方法および雑草の発生・繁殖防止装置並びに雑草の発生・繁殖防止装置を搭載した水田用栽培管理ビークル
JPH01306347A (ja) 水滴除去装置
KR200264944Y1 (ko) 초음파 변환자에 진동자를 부착하여 제작 및 구동방법
JPH0994544A (ja) 超音波洗浄装置