JP3307640B2 - 線状減摩軸受及びその保持器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 いわゆるＭ−Ｖ字形の線状減摩軸受は、線状ころ軸受
としてよく知られている。Ｍ−Ｖ字形の線状減摩軸受
は、Ｍ字形の断面を有するレールとＶ字形の断面を有す
るレールとを備えている。そして、２種のレールの間に
複数のころが２列に配され、Ｖ字形の断面を有する保持
器に保持されている。これらのＭ−Ｖ字形の軸受は、大
きな負荷容量を有しているが、製造コストがかなりかか
る。

一方、いわゆる十字形のころ軸受がよく知られてお
り、これは、２本のレールのそれぞれに、２本の軌道を
備えたＶ字形の溝がついている。略矩形の複数のころ
は、交互に方向を変えて配されている。保持器は側面で
ころを取り囲んでいる。その結果、ころの長さは、直径
よりはるかに短くなければならない。これらの十字形の
軸受では、ひとつの側面を向いたころの数が、別の側面
を向いたころの数と異なっている。このように、この種
の軸受は横軸方向に及ぶ負荷に適応させることができ
る。

しかし、この軸受には、比較的費用のかかる保持器の
設計が必要である。保持器を設計する場合、保持器は数
多くのプラスチック部品から構成され、それらのプラス
チック部品を連結して、保持器の長手軸のまわりに回転
するようにする。各プラスチック部品が、１つのころを
支えている。十字形のころ軸受はＭ−Ｖ字形の軸受より
も製造費は安くすむが、寸法が同じ場合には負荷容量が
小さくなる。

この発明は、上記した２つの種類の線状減摩軸受の不
利な点を除去しながら両者の利点を組み合わせ、さらに
は経済的な保持器を造るという課題をもとにしている。
この課題は、請求の範囲に記載する特徴の組み合わせに
より達成することができる。

請求項５記載の線状減摩軸受は、負荷が同じ十字形こ
ろ軸受より断面をかなり小さく、負荷が同じＭ−Ｖ字形
軸受より安く製造できる。なぜならば、２つの同一のレ
ールを使用することができるからである。公知の線状軸
受と比べ、この発明の線状軸受は、さらに寿命がかなり
長いという利点がある。軌道の１組が摩耗した場合は、
ころを収めた保持器を回転させることができ、まだ摩耗
していない２番目の軌道にころを回転させる。かくし
て、レールの寿命を実質的に２倍長くすることができ
る。

請求項１による保持器は、かなり経済的であり、公知
の十字形ころ軸受の保持器より幅の広いころを使用する
ことができ、Ｍ−Ｖ字形の軸受より安い費用で製造する
ことができる。なぜならば、１つの平坦な帯体を打ち抜
いて製造できるからである。

この発明の実施例を、下に示す図面を参照しながら説
明する。

図１は、線状ころ軸受の断面を示す。

図２は、図１の表示の拡大図を示す。

図３と図４とは、保持器の２つの変形例の平面図であ
る。

図５は、保持器の開口部に挿入したころの斜視図であ
る。

図６、図７は、線状玉軸受の２つの変形例を示す。

図１による線状軸受は、同一の２つのレール２、３、
複数のころ４及び所定の間隔でころ４を保持する保持器
５からなる。それぞれのレール２、３は、断面形状が略
矩形であって平坦に研磨された表面６、７、８、９を有
している。長手方向に伸びる２つのＶ字形の溝10は、互
いに向き合い、互いに平行な表面９を持つように研磨さ
れている。２つのＶ字形の溝10は、ころ４のための２つ
の互いに垂直な軌道11を備えている。２本のレール２、
３の２つの対向する溝10は、一緒になって矩形断面を形
成する。レール２、３はさらに、固着用に皿穴11を備え
た一連の貫通孔12を有する。

保持器５（図３−５）は、一定の間隔をおいて並ぶ２
列の開口部15を有し、この開口部15には、ころが挿入さ
れる。それぞれの開口部15には２つの当接肩部17があ
り、当接肩部17は、保持器５の長手方向の端16に平行に
形成されている。当接肩部17は、ころ４の対向する両面
に形成された前面18に、予めわずかに張力が加えられた
状態で当接している。

こうした目的から当接肩部17は短いばね型のつまみ19
に形成されている。２つの肩部17と相互に連なる、開口
15のアーチ型の縁部20が２つずつ形成されている。各縁
部20には、２つの肩部17に隣接する２つの当接点21があ
る。これらの当接点で保持器５は、ころ４の円筒状の外
周面22に当接する。このような設計により、ころ４は開
口部15にしっかりと保持され、外れないように固着され
ている。すなわち、ころ４は開口部15にはめこまれてい
る。

図４、図５による変形は、図３の実施例とは、当接点
21が可塑的および／または弾性的に変形したつまみ23を
形成する点で異なっている。これにより、当接表面が広
くなり、摩耗を少なくする。つまみ19、23を貫通する肩
部17及び当接点21の可塑的圧力は、ころ４にブレーキ効
果を与え、これは多くの用途に好適である。

１列のころ４は、すべて同じ方向を向き、他の列のこ
ろの向きに直交するのが好ましい。このような配列によ
り、軌道11が摩耗すると、ころ４を備えた保持器５を18
0度回転することができる。かくして、ころ４は別の摩
耗していない軌道11を走る。レール２、３の寿命はこの
ような方法で２倍になる。

もう一方で、線状軸受は、かなりの横軸方向の力を一
方向に伝達しなければならないとすれば、これらの横軸
方向からの応力を受けない反対方向へ向いた列のころ４
のいくつかを設置することが適切である。このように、
線状軸受は、伝達すべき負荷に容易に適合させることが
できる。

この発明による線状軸受は同じ負荷容量をもつ十字形
軸受よりはるかに小型である。

保持器５は、単に平坦な帯体から打ち抜くものであ
り、経済的に製造することができる。金属製が好適であ
るが、プラスチックから製造してもよい。この発明によ
る保持器は、十字形軸受において有効に利用することが
できる。すなわち、単一の列のころ４を備えた線状軸受
に対して有利に使用することができる。

図６と図７の変形実施例では、類似する部分は同じ参
照番号で示し、これらの部分については詳細に記載する
必要はない。これらの変形例では、転動体は複数の玉24
である。これらの玉は、可塑的および／または弾性的に
変形されたつまみ23により、保持器５にしっかりと搭載
することが可能である。

図６による線状玉軸受25では、玉24は溝10の中に４点
の当接点を有している。図７による線状軸受26におい
て、溝10'は断面が円形の形状をなし、玉24は２点の当
接点を有している。

フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−256018（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−190621（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−139912（ＪＰ，Ａ) 実開 昭59−4818（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭57−93621（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭60−52418（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭59−79628（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭60−108820（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭60−84820（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭58−109626（ＪＰ，Ｕ) 西独国特許出願公開3626174（ＤＥ, Ａ１) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) F16C 29/04 - 29/06

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】保持器と、第１のレール（２）と、第２の
   レール（３）と、ころ（４）とを備え、両レール（2,
   3）は、互いに対向する面（９）において少なくとも２
   本の平行な溝部（10,10）を有し、２本のレール（2,3）
   のそれぞれの溝部（10）は互いに対向するように配置さ
   れ、溝部（10）は、Ｖ形で互いに直角に開く軌道（11）
   を形成し、２本の互いに対向する溝部（10）は正方形の
   断面を形成し、ころ（４）は、その軸方向の長さがその
   直径よりも小さく、その円筒状外周部（22）が軌道（1
   1）上を転動し、保持器（５）が、ころ（４）を保持
   し、かつ、平坦な平帯体からなり、平帯体は開口部（1
   5）を等間隔に有し、各開口部（15）にはころ（４）が
   それぞれ嵌着され、ころ（４）の軸方向の長さは直径よ
   りも小さく、各開口部（15）は、保持器（５）の長手方
   向に平行に延びる２つの当接肩部（17）を有してころ
   （４）の両端面（18）と、当接肩部（17）に連なる２つ
   のアーチ型縁部（20）とでころ（４）を支持し、かつ、
   ころ（４）を円筒状外周部（22）で支持する２つの当接
   点（21）を有し、当接肩部（17）は、平帯体の平面に設
   けられた突起部（19）上に形成され、１本の溝部（10）
   の中で転動するすべてのころ（４）は、ころを有する保
   持器を180度だけ反転させ得るために、同じ向きを有
   し、他の列のころの向きと直角である線状減摩軸受。
2. 【請求項２】２本のレール（2,3）は、少なくとも２本
   の平行な溝部（10）を有している請求項１に記載の線状
   減摩軸受。
3. 【請求項３】２本のレール（2,3）が、同じ寸法を有し
   ている請求項１に記載の線状減摩軸受。