JP3305462B2 - フェノール樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents

フェノール樹脂組成物及びその成形品

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正典 小久保
広 秋本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アスベストフリーで、
耐熱性、機械的および電気的特性に優れたフェノール樹
脂組成物、及びそれを成形したフェノール樹脂成形品に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、フェノール樹脂は基材、可塑
剤、着色剤、離型剤等と混合・混練して、成形材料とし
て幅広く用いられている。こうして得られたフェノール
樹脂成形材料は、耐熱性、機械的および電気的特性にバ
ランスのとれた材料である。最近、その用途の拡大から
種々の電気的特性においてレベルアップが必要となって
きている。
【0003】このような多くの特性を満足させるフェノ
ール樹脂成形材料には、これまでアスベストが使用され
てきた。アスベストは耐熱性、電気特性、機械的強度な
どに優れており、バランスのとれた特性が得られるた
め、好適な充填材として用いられた。しかし、最近では
アスベストが作業環境を悪化させ、かつ人体に対して有
害であるという理由からその使用が禁止されている。こ
れらの理由からアスベストフリー材料として種々の方法
が検討されているが、満足すべきものは得られていな
い。こうしたことから、アスベストフリーで、特性上バ
ランスのとれたフェノール樹脂成形材料の開発が要望さ
れていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の事情
に鑑みてなされたもので、アスベストフリーで、耐熱
性、機械的・電気的特性に優れ、それら特性バランスの
良いフェノール樹脂組成物及びその成形品を提供しよう
とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成しようと鋭意研究を重ねた結果、特定の縮合型
フェノールアラルキル樹脂を用いることによって、上記
目的が達成されることを見いだし、本発明を完成したも
のである。
【0006】即ち、本発明は、(A)次式で示される縮
合型フェノールアラルキル樹脂、及び
【0007】
【化3】 (但し、式中Rは水素原子又はアルキル基を、Zは水素
原子、−CH2 −又は−CH2 OCH2 −を、x ,y は
(x +y )≠ 0であって 0又は 1〜2 の整数を、n は 1
以上の整数を、それぞれ表す) (B)フェノール樹脂 を必須成分とし、組成物全体に対して前記(A)のフェ
ノールアラルキル樹脂を5〜70重量%含有してなるとと
もに、ヘキサメチレンテトラミンを配合せずにアンモニ
アフリーであることを特徴とするアスベストフリーの
ェノール樹脂組成物およびそれを成形してなることを特
徴とするフェノール樹脂成形品である。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】本発明に用いる(A)縮合型フェノールア
ラルキル樹脂としては、前記の一般式化3で示されるも
のでフェノールアラルキル樹脂とホルマリン又はパラホ
ルムアルデヒドとを、適宜のモル比に配合し、触媒下で
反応して得られる樹脂及びその縮合物である。この縮合
物フェノールアルキル樹脂の配合割合は、フェノール樹
脂組成物全体に対して 5〜70重量%含有するように配合
することが望ましい。配合割合がこの範囲を外れると流
動特性に劣り好ましくない。
【0010】本発明に用いる(B)フェノール樹脂とし
ては、フェノール、クレゾール等のフェノール類または
糖密、リグニン、キシレン、ナフタレン、石油系芳香族
炭化水素による変性フェノール類と、ホルマリン、パラ
ホルム等のアルデヒド類とを適宜のモル比に配合し、触
媒下で反応させたレゾール型フェノール樹脂初期縮合物
が挙げられ、特に限定されるものではない。これらは単
独又は 2種以上混合して使用することができる。
【0011】本発明のフェノール樹脂組成物は、前述し
た特定の縮合型フェノールアラルキル樹脂とフェノール
樹脂とを必須成分とするが、本発明の目的に反しない限
度において、また必要に応じて、充填材、硬化剤、硬化
促進剤、離型剤、難燃剤、滑剤、カップリング剤等の添
加剤を適宜添加配合することができる。
【0012】本発明をフェノール樹脂成形材料として製
造する場合、通常次のようにして製造される。前述した
特定の縮合型フェノールアラルキル樹脂、フェノール樹
脂およびその他の添加剤を加えて混合し、均一に分散さ
せた後、混練機で加熱混練し、次いで冷却固化させ適当
な大きさに粉砕して成形材料とする。またこのフェノー
ル樹脂成形材料を圧縮成形、トランスファー成形あるい
は射出成形して成形品とすることができる。
【0013】
【作用】本発明のフェノール樹脂組成物は、特定の縮合
型フェノールアラルキル樹脂とフェノール樹脂を用いた
ことによって、耐熱性、機械的特性を向上させ、かつ電
気特性を保持させるとともに、アスベストフリーでバラ
ンスのとれた特性を有するフェノール樹脂組成物および
そ成形品を得ることができた。
【0014】
【実施例】次に本発明を実施例によって説明するが、本
発明はこれらの実施例によって限定されるものではな
い。以下の実施例および比較例において「%」とは「重
量%」を意味する。
【0015】参考例1 化3の縮合型フェノールアラルキル樹脂(MEP−72
00、明和化成社製、商品名)30%、ガラス繊維60%、
その他の添加剤10%(ステアリン酸 1%、カルナバワッ
クス 1%、消石灰 5%、着色剤 1%、赤燐 2%)を常温
で混合し、さらに90〜110 ℃で混練冷却した後、粉砕し
てフェノール樹脂成形材を製造した。
【0016】参考例2 化3の縮合型フェノールアラルキル樹脂(MEP−72
00、明和化成社製、商品名)20%、ノボラック型フェ
ノール樹脂(BRG−556、昭和高分子社製、商品
名)10%、ヘキサメチレンテトラミン 1.5%、ガラス繊
維60%、その他の添加剤 8.5%(ステアリン酸 1%、カ
ルナバワックス 1%、消石灰 4%、着色剤1%、赤燐 1.
5%)を常温で混合し、さらに90〜110 ℃で混練冷却し
た後、粉砕してフェノール樹脂成形材を製造した。
【0017】実施例1 化3の縮合型フェノールアラルキル樹脂(MEP−72
00、明和化成社製、商品名)20%、レゾール型フェノ
ール樹脂(BRG−406、昭和高分子社製、商品名)
10%、ガラス繊維60%、その他の添加剤10%(ステアリ
ン酸 1%、カルナバワックス 1%、消石灰 5%、着色剤
1%、赤燐 2%)を常温で混合し、さらに90〜110 ℃で
混練冷却した後、粉砕してフェノール樹脂成形材を製造
した。
【0018】実施例2 化3の縮合型フェノールアラルキル樹脂(MEP−72
00、明和化成社製、商品名)20%、レゾール型フェノ
ール樹脂(BRG−406、昭和高分子社製、商品名)
10%、カオリンクレー25%、ガラス繊維35%、その他の
添加剤10%(ステアリン酸 1%、カルナバワックス 1
%、消石灰 5%、着色剤 1%、赤燐 2%)を常温で混合
し、さらに90〜110 ℃で混練冷却した後、粉砕してフェ
ノール樹脂成形材を製造した。
【0019】比較例1 レゾール型フェノール樹脂(BRG−406、昭和高分
子社製、商品名)30%、ガラス繊維60%、その他の添加
剤10%(ステアリン酸 1%、カルナバワックス1%、消
石灰 5%、着色剤 1%、赤燐 2%)を常温で混合し、さ
らに90〜110 ℃で混練冷却した後、粉砕してフェノール
樹脂成形材料を製造した。
【0020】比較例2 レゾール型フェノール樹脂(BRG−406、昭和高分
子社製、商品名)30%、パルプフロック10%、カオリン
クレー25%、ガラス繊維25%、その他の添加剤10%(ス
テアリン酸 1%、カルナバワックス 1%、消石灰 5%、
着色剤 1%、赤燐 2%)を常温で混合し、さらに90〜11
0 ℃で混練冷却した後、粉砕してフェノール樹脂成形材
を製造した。
【0021】比較例3 レゾール型フェノール樹脂(BRG−406、昭和高分
子社製、商品名)30%、アスベスト25%、ガラス繊維35
%、その他の添加剤10%(ステアリン酸 1%、カルナバ
ワックス 1%、消石灰 5%、着色剤 1%、赤燐 2%)
常温で混合し、さらに90〜110 ℃で混練冷却した後、粉
砕してフェノール樹脂成形材を製造した。
【0022】比較例4 ノボラック型フェノール樹脂(BRG−556、昭和高
分子社製、商品名)30%、ヘキサメチレンテトラミン
4.5%、ガラス繊維60%、その他の添加剤 5.5%(ステ
アリン酸 0.7%、カルナバワックス 0.8%、消石灰 2
%、着色剤 1%、赤燐 1%)を常温で混合し、さらに90
〜110 ℃で混練冷却した後、粉砕してフェノール樹脂成
形材を製造した。
【0023】参考例1〜2、実施例1〜2及び比較例1
〜4で製造したフェノール樹脂成形材料を用いて、圧縮
成形及び射出成形で 170℃に加熱した金型中に成形硬化
させて成形部品とした。得られた成形部品について機械
的特性、電気的特性、加熱分解温度、加熱後の外観を試
験したのでその結果を表1に示したが、本発明は諸特性
に優れ、かつバランスのとれた特性を示し、本発明の効
果を確認することができた。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】以上の説明および表1から明らかなよう
に、本発明のフェノール樹脂組成物およびその成形品
は、アスベストフリーで、耐熱性、機械的・電気的特性
および、外観に優れ特性バランスの良いものであり、電
子・電気部品、自動車部品等として好適なものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−115794(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 61/06 - 61/16 C08L 65/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)次式で示される縮合型フェノール
    アラルキル樹脂、及び 【化1】 (但し、式中Rは水素原子又はアルキル基を、Zは水素
    原子、−CH2 −又は−CH2 OCH2 −を、x ,y は
    (x +y )≠ 0であって 0又は 1〜2 の整数を、n は 1
    以上の整数を、それぞれ表す) (B)フェノール樹脂 を必須成分とし、組成物全体に対して前記(A)のフェ
    ノールアラルキル樹脂を5〜70重量%含有してなるとと
    もに、ヘキサメチレンテトラミンを配合せずにアンモニ
    アフリーであることを特徴とするアスベストフリーの
    ェノール樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (A)次式で示される縮合型フェノール
    アラルキル樹脂、及び 【化2】 (但し、式中Rは水素原子又はアルキル基を、Zは水素
    原子、−CH2 −又は−CH2 OCH2 −を、x ,y は
    (x +y )≠ 0であって 0又は 1〜2 の整数を、n は 1
    以上の整数を、それぞれ表す) (B)フェノール樹脂 を必須成分とし、組成物全体に対して前記(A)のフェ
    ノールアラルキル樹脂を5〜70重量%含有してなるとと
    もに、ヘキサメチレンテトラミンを配合せずにアンモニ
    アフリーである、アスベストフリーのフェノール樹脂組
    成物を成形してなることを特徴とするフェノール樹脂成
    形品。
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