JP3305025B2 - 磁束密度の良好な超高珪素電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
磁束密度の良好な超高珪素電磁鋼板の製造方法Info
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Description
機器の鉄芯に用いられる超高珪素電磁鋼板を効率的に、
かつ得られた製品の磁性が優れている超高珪素電磁鋼板
を安定して製造する方法に関する。
を有するため、電力用変圧器或いは回転機鉄芯として用
いられている。この種軟磁性材料においては、Si含有
量が増加すると鉄損特性が向上する(鉄損値が低くな
る)。特に、Si含有量が6.5%近傍では鉄損特性が
良好である上に磁歪が零に近づくところから、透磁率も
一段と向上し、従来にない新しい機能を持つ磁性材料と
なり得る。
低くかつ、電気機器の多様な磁気特性上の要求を満足せ
しめ得る新しい磁性材料として、Siを6.5%或いは
その近傍含有する超高珪素鋼板が見直され始めた。しか
しながら、超高珪素鋼板は飽和磁束密度が従来の3%S
iの2.03Tにくらべ、1.80Tと低く、鉄芯に使
用した場合にサイズが大きくなる欠点がある。又、超高
珪素鋼板は極めて脆いため、工業的に量産する上で多く
の問題があり、未だ実用されるに至っていない。
し、工業的量産を行う上での問題点は、第1に、冷間圧
延する時に発生する材料(ストリップ)破断、或いは耳
荒れと呼ばれるストリップエッヂクラックである。この
問題を解決すべく、例えば特開昭61−166923号
公報は、冷間圧延の素材である熱間圧延板について、連
続仕上熱間圧延条件を規定することによって、金属組織
が圧延方向に繊維状に伸びた状態となるようにする方法
を提案している。又、特開昭62−103321号公報
は連続仕上熱間圧延前の材料の結晶粒を規定することに
よって、熱間圧延板の金属組織が圧延方向に延伸した繊
維状組織となるようにする方法を提案している。これら
の方法は、連続仕上熱間圧延条件を限定することによっ
て、冷間圧延を可能ならしめようとするものである。
に亙って繊維状組織を得るには苛酷な仕上熱間圧延条件
を必要とする。即ち、熱間圧延板表面は熱間圧延中の複
雑な強加工と加工発熱の組み合わせ効果によって再結晶
する傾向が強く、等軸晶となり易い。図1に仕上熱間圧
延開始温度:1090℃、終了温度:1000℃として
圧延した熱間圧延板の厚さ方向の結晶組織を示す。
繊維伏組織である熱間圧延板を冷間圧延すると、特開平
03−207815号公報に開示されているように、前
記二層組織の境界部で剥離を生じ、冷間圧延板表面にさ
ざ波状の欠陥を生じる。従って、表面部に等軸晶組織を
残すような中途半端な熱間圧延では、かえって悪影響を
もたらす。そこで、全板厚を繊維状組織にする必要があ
るが、そのためには、仕上熱間圧延温度を大幅に低下せ
しめる必要があり、特開昭61−166923号公報に
開示されている実施例においては、仕上熱間圧延開始温
度を800℃まで低下させている。800℃程度の低い
温度で仕上熱間圧延を開始すると、熱間圧延終了温度は
700℃前後まで降下してしまい、熱間圧延というより
は冷間圧延に近い加工形態となる。
大なものとなり、圧延ロール摩耗量の増大を招くのみな
らず熱間圧延板の形状(平坦)が不良なものとなり、か
かる熱間圧延板を冷間圧延すると平坦不良部では局所的
に大きな曲げ応力を受けることになり、材料に割れが頻
発するという問題が生じる。さらに、熱間圧延板を薄く
することが困難であるから、後述するように各種処理ラ
インを通板することに致命的な障害となる。又、最近実
用化に至っている革新的なプロセスである、溶鋼から2
mm程度の厚さのストリップを鋳造によって直接に得る
というプロセスを採る場合、冷間圧延素材に繊維状組織
を得ることが全くできない。図6に鋳造薄板(ストリッ
プ)の結晶組織を示す。図6から明らかなように板厚方
向全域に亙って比較的大きな結晶粒からなる等軸組織で
ある。
易さ)を向上せしめる手段として、6.5%Si鉄中に
第三元素を合金化することが発表されている。例えば、
C.A.ClarkらはIEE.113(1966),
p345にNiを添加することを、K.Naritaら
はIEEE Trans.Mag.14(1978),
p258にMnを添加することを提案している。又、特
開平01−299702号公報は鋼板温度を350〜4
50℃として圧延する方法及び装置を開示している。以
上のように、超高珪素鋼板の冷延性を改善するための手
段が種々提案されているが、超高珪素鋼板を工業的に量
産するためには解決されるべき第2の問題点がある。
ラインにおいて走行させるときに、ストリップに曲げが
加えられる場合、例えばストリップがロールに巻き掛け
られる場合にストリップに折損、割れを発生するという
問題である。従来、電磁鋼板を工業的に量産するには、
熱間圧延板或いは鋳造薄帯を製造プロセスにおける各工
程例えば酸洗ライン、冷間圧延機、脱脂ライン、焼鈍ラ
イン、絶縁皮膜コーティングラインといった一連の処理
ラインを通板させることによってなされる。これら処理
ラインの通板能力、構成は極限まで生産効率を高くする
ように設計されている。
を通板することができて始めて工業的な量産が可能とな
る。ところで、これら処理ラインにはストリップに曲げ
が加えられる箇所が多数存在し、これら曲げ部において
ストリップに曲げ応力が発生する。超高珪素鋼板は室温
での伸びが0.5%程度しかなく、前記曲げが加えられ
る箇所で折損、割れが発生して処理ラインに通板するこ
とが極めて困難なものとなる。上記問題以外に、略6.
5%Siを含有する超高珪素電磁鋼板における問題は、
飽和磁束密度が低く、鉄芯に使用された場合にサイズが
大きくなる欠点がある。そこで、磁束密度をできるだけ
高くする製造工程の開発が必要である。
高珪素鋼板を各種ラインで連続通板可能にするととも
に、冷間圧延を可能ならしめ、工業的量産を可能ならし
めると同時に、その製品が優れた磁束密度と、低鉄損が
得られる製造方法を提供することを目的とする。
である。 重量比でC:0.006%以下、Si:3.7〜7.
1%、S:0.007%以下、total N:0.0
035%以下、残部:Fe及び不可避的不純物からなる
熱延板或いは鋳造薄板を、表面酸化物(スケール)が付
着したままの状態で板温度150℃以上の温度域で1.
2mm厚以下に圧延し、コイル状態で箱型焼鈍を行った
後、表面酸化物を除去し、150〜450℃で圧延し、
しかる後に再結晶と粒成長を目的とした焼鈍を施すこと
からなる磁束密度の良好な超高珪素電磁鋼板の製造方
法。
3.7〜7.1%、S:0.007%以下、total
N:0.0035%以下、残部:Fe及び不可避的不
純物からなる熱延板或いは鋳造薄板を、表面酸化物(ス
ケール)が付着したままの状態で板温度150℃以上の
温度域で0.6mm厚以下に圧延し、コイル状態で箱型
焼鈍を行った後、表面酸化物を除去し、450℃以下の
温度域で圧延し、しかる後に再結晶と粒成長を目的とし
た焼鈍を施すことからなる磁束密度の良好な超高珪素電
磁鋼板の製造方法。 コイル状態での箱型焼鈍工程の後、表面酸化物の除去
工程の前に板端部の割れ部分を除去することを目的とし
たサイド・トリムを行うことを特徴とする又は項記
載の磁束密度の良好な超高珪素電磁鋼板の製造方法。 箱型焼鈍後の圧延時の圧下率を30〜81%とするこ
とを特徴とする,又は項記載の磁束密度の良好な
超高珪素電磁鋼板の製造方法。
い超高珪素鋼板を工業的に量産するに際し、解決されね
ばならない第1の技術課題は、冷間圧延において材料
(ストリップ)に破断を生ぜしめないことである。第2
の技術課題は、ストリップに折れ、割れを生起せしめる
ことなく各種処理ラインに通板できるようにすることで
ある。先に述べた先行技術、例えば特開昭61−166
923号公報に開示されている技術においては、繊維状
の金属組織にするために仕上熱間圧延を低い温度で行う
ことを要件にしているために、熱間圧延板が必然的に厚
くなる。本発明者等は各種処理ラインを安定して通板す
るためには板厚を薄くする必要があると考え、6.5%
Si含有鋼板について、室温(約25℃)で割れが発生
するまでの曲げ回数に及ぼす熱間圧延板の厚さと曲げ直
径の影響を調べた。図2にその結果を示す。なお、この
時の熱間圧延は板厚を薄く仕上げるために圧延温度を比
較的に高めとし、仕上熱間圧延開始温度を1090℃、
仕上熱間圧延終了温度を1000℃で行った。
表面近傍は繊維伏組織にはならず等軸結晶組織をしてい
る。図2から明らかなように、ストリップ曲げ部の直径
が大きくなるほど、又熱間圧延板の板厚が薄くなるほど
割れが発生するまでの曲げ回数が増加する。曲げ直径を
大きくすることは、曲げ部を多数有する長大な処理ライ
ンのスペース(空間)を極めて大きなものとし、工場建
屋も必然的に大きなものを必要とし、設備コストの面で
問題となる。従来の一般的なストリップ処理設備におい
ては、多くの場合、200mm程度である。かかる状況
に鑑み、本発明者等は超高珪素鋼ストリップの曲げ回数
≧30回程度が確保され、設備的効率をも考慮して曲げ
部の直径:200mm、板厚:1.2mmの諸元でスト
リップを通板できるようにすることを目標にした。
間圧延板の圧延形状(平坦度)が悪くなり、又圧延完了
後の走行中にストリップが上下にばたつき、安定した通
板が困難となる等の問題がある。従来の熱間圧延では
1.3mm前後の板厚が安定生産の限界である。ところ
で、通常の薄板製造プロセスにおいては、熱間圧延板は
酸洗によって表面のスケールを除去された後冷間圧延さ
れる。本発明者等は熱間圧延板をスケールのついたまま
直接に冷間圧延して板厚を薄くすることにより、その後
の酸洗ラインの通板を安定させることを考えた。
熱間圧延板を直接冷間圧延してみた。驚くべきことに、
材料温度をわずか150℃程度まで高めることによっ
て、Siを多く含む超高珪素鋼板の場合、スケールの破
砕、剥離を全く生じることなく冷間圧延ができた。従来
の知見によれば、例えば特公昭59−289号公報、特
公昭60−40921号公報に開示されているように、
表面にスケールが付着したままの熱間圧延板を直接的に
冷間圧延すると、スケールが破砕、剥離して問題とな
り、これまで工業的量産規模でかかる冷間圧延は行われ
ていない。本発明者等は超高珪素含有熱間圧延板を15
0℃を超える温度で圧延すると、表面のスケールが全く
剥離することなく圧延できるという画期的な現象を発見
した。以下、この知見について詳細に説明する。
52%、Mn:0.16%、P:0.005%、S:
0.001%、total N:0.0013%、残
部:Fe及び不可避的不純物からなる50kg鋼塊を1
200℃に加熱し35mm厚の粗熱間圧延板とし、これ
を再度加熱後、2.3mm厚の熱間圧延板にした(Aコ
イル)。この時の仕上熱間圧延開始温度は1100℃、
仕上温度は980℃であった。比較のため、仕上熱間圧
延を800℃で開始し、完了温度を690℃で行った
(Bコイル)。この鋼板について、表面酸化物(スケー
ル)が付着したまま材料温度:1)室温(約23℃)、
2)150℃、3)270℃、4)440℃で圧延し
た。この時の材料の割れ状況と表面酸化物の剥離程度を
表1に示す。
図3(b)に270℃で圧延した表面を示す。冷間圧延
における材料の割れの発生に関して説明すると、表面酸
化物を付着したままでも、圧延温度に関しては室温で圧
延すると割れ発生は甚だしく、最終板厚に至る以前の途
中板厚の段階から圧延が不可能になった。しかし、圧延
温度を高くすると材料割れの発生もなく良好な圧延が可
能となった。表面酸化物の状況は、室温で圧延したもの
は表面酸化物の破砕、剥離が生じ、剥離したスケールが
圧延油に混入したり、圧延ロールに付着したりして圧延
材表面に傷を発生する等の問題を生じた。圧延温度を1
50℃、270℃、440℃と高めていくと、表面酸化
物の破砕、剥離は全くなく、圧延は順調に行われた。こ
の超高珪素鋼板を300℃前後の温度で圧延すれば、表
面、スケールを破砕、剥離することなく酸化物が付着し
たままで圧延できるという知見は全く知られておらず、
新規な知見である。
して冷間圧延すると、熱間圧延工程において歩留まり低
下を余儀なくされる苛酷な低温熱延を行わなくても、通
常の量産普通鋼熱間圧延条件で圧延した超高珪素鋼板で
も割れを発生することなく、安定した圧延が可能であ
る。しかも、本発明の冷間圧延条件によれば、材料の表
面酸化物(スケール)が付着したままでも、その剥離、
破砕がなく、問題なく圧延できることを見いだした。こ
のような比較的に低い温度での圧延でも、スケールを破
砕、剥離せしめることなく圧延できる詳細なメカニズム
は不明であるが、図4(a)に示す熱間圧延板の表面酸
化物の断面組織、図4(b)に示す冷間圧延板の表面酸
化物の断面組織、図5(a)に示す熱間圧延板の表面酸
化物のSEM像、図5(b)に示す冷間圧延板の表面酸
化物のSEM像から明らかなように、冷間圧延板の表面
酸化物は均一に、薄く延伸しており、割れもなく鋼板に
密着している。
酸化物の除去処理ラインを通板することができる。しか
しながら、時によって圧延で発生した鋼板の端部にある
耳割れ部から破断することがあった。そこで、本発明者
等は圧延した鋼板を展開することなく、コイル状態のま
まで箱型焼鈍を行って、鋼板を軟化させ、その後に端部
をトリミングして、耳割れ部を除去した。かくすること
によって、板破断することなく表面酸化物除去のための
連続酸洗ラインを通板できた。さらに、有利なことに磁
気特性的に見るとこの箱型焼鈍を行うことにより、磁化
特性(B50−Tで示す)が良好になることが見いださ
れた。以上のような新知見を組み合わせることにより安
定的な製造と合わせて、磁化特性の優れた超高珪素電磁
鋼板を量産工業化できる技術を発明した。
付着したままの温間圧延と中間箱型焼鈍を挟んで二回の
圧延を行った超高珪素鋼板の磁気特性を説明する。重量
比で、C:0.003%、Si:6.52%、Mn:
0.16%、P:0.005%、S:0.001%、t
otal N:0.0013%、残部:Fe及び不可避
的不純物からなる50kg鋼塊を1200℃に加熱し3
5mm厚の粗熱間圧延板とし、これを引き続き2.3m
m厚、1.8mm厚の熱間圧延板とした。この時の仕上
熱間圧延開始温度は1120℃、仕上終了温度は985
℃であった。この鋼板について、切板の単板で表面酸化
物が付着したまま280℃で2.3mm厚材は1.2m
mと0.80mm厚に、1.8mm厚材は0.55mm
厚に圧延し、800℃で10hrの箱型焼鈍をし、次い
で酸洗により表面酸化物を除去した。その後に、150
℃で圧下率約10〜89%の範囲で圧延した。そして、
850℃で60secの連続焼鈍を行い、その後に有機
成分からなる絶縁皮膜をコーティングし、最終製品とし
た。
面酸化物を酸洗で除去し、切板の単板とし、280℃で
圧下率約61〜90%の範囲で圧延し、850℃で60
secの連続焼鈍を行い、有機成分からなる絶縁皮膜を
コーティングした。この時の磁束密度に及ぼす圧下率の
影響を、比較工程材の値と一緒に図7に示した。この値
から分かるように、二回圧延したものは、一回圧延材に
比べ磁束密度が優れている。圧延率が30〜81%の範
囲で特に良好な磁束密度が得られる。
不純物として最終製品に残存すると、磁気特性を劣化さ
せるからできるだけ少ない方が良い。特に、C含有量が
0.006%を超えると、製品の磁気特性を大きく劣化
させる。又、冷間圧延性(冷間圧延し易さ)の観点から
も、C含有量は少ない方が良い。Siは、本発明の目的
が磁歪の最小となる略6.5%Si鉄の薄板製品を工業
的に量産し得るプロセスにあることから、6.5%を中
心に上下幅を持つ範囲内であれば良い。下限は従来市販
されていない珪素鋼板の範囲として3.7%とし可及的
に6.5%に近い量であることが本発明の目的に合う。
上限は7.1%である。Si含有量が7.1%を超えて
も、冷間加工性が劣化するだけで、製品の磁気特性は良
くならない。
性を良好ならしめる。又、Sが不純物として最終製品に
残存すると磁性を劣化させるから、この観点からもSは
可及的に少ない方が良い。かかる理由から0.007%
以下を制限範囲とする。Nは不純物として最終製品に残
存すると、製品の磁気特性を劣化させるからその含有量
は可及的に少ない方が良い。又、冷間圧延性の観点から
もN含有量は少ない方が良い。一般的な工業的精錬技術
で可能な0.0035%を上限とした。上記以外の成分
については、特に限定せずFe及び不可避的不純物とす
る。
明する。上記成分を含有する溶鋼は鋳造され、得られた
スラブは熱間圧延される。熱間圧延については特に限定
されない。一般的な量産普通鋼における熱間圧延条件、
例えば仕上熱間圧延開始温度:1070℃、仕上熱間終
了温度:980℃というように比較的高温での熱間圧延
で良い。このように本発明においては、材料が軟らかい
高温域で圧延して差し支えないので、形状(平坦性)の
良好な薄い熱間圧延板を製造することができる。
ては特に限定されない。一般的な連続鋳造プロセスを採
用することができる。一方、最近その実用化技術が開発
されつつある薄板鋳造法、即ち、溶鋼を直接的に2.0
mm前後の薄帯に連続鋳造し、熱間圧延を省略或いは形
状矯正程度の軽圧下圧延を施し、冷間圧延素材とする鋳
造プロセスによって得られた鋳造薄板も、本発明におけ
る冷間圧延素材とすることができる。薄帯鋳造法によっ
て得られた薄帯は、等軸粒からなっており、熱間圧延に
よって得られた鋼板に比し結晶粒が大きく、冷間圧延性
が若干劣る。
が付着したままの状態で150℃以上の範囲で温間圧延
される。この時の圧延板厚が1.2mm以下であると、
その後の表面酸化物の除去ラインを通板する際に板割れ
もなく安定して処理できるので、本発明の限定範囲とし
た。ところで、従来から一般的に圧延については、その
圧延温度が再結晶温度以上である場合を熱間圧延、室温
で行う場合を冷間圧延、その両者の中間で行う場合を温
間圧延とされており、本発明でもこの定義を踏襲する
と、温間圧延が磁気特性的には望ましい。又、圧延温度
が高くなると表面酸化物が地鉄に食い込み、除去後の地
鉄表面が荒れることからも、圧延温度は最低限で良い。
しかしながら、本発明の狙いとする本質からは直接はず
れるので限定はしない。
との関係を示す図8の結果からも分かるように、720
℃を超える温度で表面酸化物を付着したまま圧延した場
合、表面酸化物が板母材に食い込み、その後の酸洗の効
率が悪く、又板表面粗度が粗くなる。これは温度が略7
20℃で表面酸化物の硬さが母材の硬度と同じになった
ため、表面酸化物が母材中に食い込んだために、酸洗効
率が悪くなり表面粗度が粗くなったと理解できる。
型焼鈍を行い、再結晶と粒成長を生じさせ軟化させる。
この時の再結晶させるに必要な720℃を下限、又鋼板
が焼き付かない850℃を上限温度とする。焼鈍時間は
できるだけ短い方が生産効率が良い。所期の温度に10
分もあれば再結晶に充分である。その後に表面酸化物を
除去するために、連続処理ラインを通板するわけである
が、圧延時に鋼板端部に大きな割れを生じている場合
は、この処理ラインを通板する前段階で割れ除去のため
のサイド・トリムを行う必要がある。しかし、小さな割
れで通板に問題のない場合は表面酸化物の除去後に、サ
イド・トリムを行い、その後の安定した冷間圧延の実行
に備えることも可能である。
法、機械的に研削する方法、熱的に除去する方法等が採
用できるが、高い生産性から酸洗法が有利である。この
表面酸化物を除去した後に、最終製品板厚まで冷間圧延
される。150〜450℃の温度域にすると、圧延速度
を上げても割れの発生がなく、生産効率が上がり工業生
産としては望ましい。しかし、圧延速度を慎重に、ゆっ
くり行えば必ずしも圧延温度を上げることは必須ではな
い。特に、一次圧延時の板厚を0.60mm以下にして
おけば圧延は容易になり、圧延温度を高くすることの効
果は少ない。
磁束密度が高くなるので、最終製品厚みによって、この
一次圧延後の板厚を選択し、併せて圧延容易性を考慮し
て最終的な一次圧延後の板厚を決めることが最適であ
る。最終焼鈍は再結晶と粒成長を目的としており、温度
として800〜1000℃で、時間として温度が低い時
は長く、温度が高い時は短くなり、10〜120sec
程度が採用される。最終焼鈍の終わった板は場合によっ
ては、絶縁を主目的としたコーティングを行い製品とす
る。
n:0.16%、P:0.007%、S:0.001
%、N:0.0018%、残部:Fe及び不可避的不純
物を含む溶鋼を連続鋳造片とし、1200℃で加熱後、
30mmの粗熱延板とし、仕上熱延開始温度1110
℃、仕上熱延完了温度1020℃で1.75mm厚に熱
延した。その後、表面酸化物の付着した状態で320℃
で圧延した。その時の圧延板厚は1.50mm、0.8
0mm、0.55mmの3種類行った。いずれの場合
も、表面酸化物の剥離もなく、板破断もなく圧延でき
た。
を行った。その焼鈍板を連続酸洗ラインを通板した。板
厚1.5mm厚の板はラインの最初の直径200mmの
曲げ部で破断し、通板が不可能であった。0.80mm
と0.55mm厚の板はほぼ順調に通板できたが、板端
部に圧延時に生じた割れが存在した箇所から破断した。
そこで、ライン通板前にその不良部をトリミングした結
果、安定して酸洗ラインの通板ができた。
m厚と0.30mm厚を目標に圧延を開始した。圧延温
度210℃の場合はほぼ問題なく圧延できた。70℃の
圧延温度の場合に、板厚0.80mmの板は圧延の加速
時に板破断を起こし、安定した作業ができなかった。板
厚0.55mmの板は圧延効率は落ちるが、圧延速度を
遅くすれば圧延可能であった。この圧延完了した板は、
圧延油を洗浄の後に、820℃で0.23mm厚材は4
0sec、0.30mm厚材は60secの焼鈍を行
い、有機成分を主とした絶縁コーティングを550℃で
焼き付け最終製品とした。この時の磁気特性を表2に示
す。
損については、最終焼鈍温度を高くすればさらに改良さ
れる。なお、測定は縦、横半数ずつのエプスタイン試料
によった。
おける材料割れ、処理ラインに通板する時の曲げ部にお
ける材料折損、割れを惹起するために工業的量産が困難
であった略6.5%Si含有鋼を、熱間圧延条件に厳し
い条件を付けることなく冷間圧延可能にするとともに、
従来電磁鋼板製造のために一般的に用いられている処理
ラインで工業的に量産できる。又、得られた製品は磁束
密度が高く、鉄損が低い、極めて優れた磁気特性であ
る。
仕上熱間圧延開始温度:1090℃、仕上熱間圧延終了
温度:1000℃として熱間圧延した熱間圧延板の厚さ
方向における結晶組織を示す顕微鏡写真である。
おける曲げ部で材料に折損或いは割れが発生するまでの
曲げ回数の関係を、曲げ部直径水準別に示す図表であ
る。
条件で圧延した超高珪素鋼板ストリップを表面酸化物
(スケール)が付着したままの状態で、室温で圧延した
時のストリップ表面性状を示す写真である。(b)は、
従来の量産普通鋼における熱間圧延条件で圧延した超高
珪素鋼板ストリップを表面酸化物(スケール)が付着し
たままの伏態で、材料温度を270℃として圧延して得
られた冷間圧延板の表面性状を示す写真である。
ル)の断面組織を示す写真である。(b)は、本発明に
よる方法によって冷間圧延された超高珪素鋼板の表面酸
化物(スケール)の断面組織を示す写真である。
ル)のSEM像を示す写真である。(b)は本発明によ
る方法によって冷間圧延された超高珪素鋼板の表面酸化
物(スケール)のSEM像を示す写真である。
ップの断面の結晶組織を示す写真である。
図表である。
た後に、酸洗した鋼板表面粗度(Ra,Rmax)に及
ぼす圧延温度の影響を示す図表である。
Claims (4)
- 【請求項1】 重量比で C :0.006%以下、 Si:3.7〜7.1%、 S :0.007%以下、 total N:0.0035%以下、 残部:Fe及び不可避的不純物からなる熱延板或いは鋳
造薄板を、表面酸化物(スケール)が付着したままの状
態で板温度150℃以上の温度域で1.2mm厚以下に
圧延し、コイル状態で箱型焼鈍を行った後、表面酸化物
を除去し、150〜450℃で圧延し、しかる後に再結
晶と粒成長を目的とした焼鈍を施すことからなる磁束密
度の良好な超高珪素電磁鋼板の製造方法。 - 【請求項2】 表面酸化物(スケール)が付着したまま
の状態で板温度150℃以上の温度域で0.6mm厚以
下に圧延し、コイル状態で箱型焼鈍を行った後、表面酸
化物を除去し、450℃以下の温度域で圧延し、しかる
後に再結晶と粒成長を目的とした焼鈍を施すことからな
る請求項1記載の磁束密度の良好な超高珪素電磁鋼板の
製造方法。 - 【請求項3】 コイル状態での箱型焼鈍工程の後、表面
酸化物の除去工程の前に板端部の割れ部分を除去するサ
イド・トリムを行う請求項1又は2記載の磁束密度の良
好な超高珪素電磁鋼板の製造方法。 - 【請求項4】 箱型焼鈍後の圧延時の圧下率を30〜8
1%とする請求項1,2又は3記載の磁束密度の良好な
超高珪素電磁鋼板の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36070992A JP3305025B2 (ja) | 1992-12-11 | 1992-12-11 | 磁束密度の良好な超高珪素電磁鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP36070992A JP3305025B2 (ja) | 1992-12-11 | 1992-12-11 | 磁束密度の良好な超高珪素電磁鋼板の製造方法 |
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JPH06179914A JPH06179914A (ja) | 1994-06-28 |
JP3305025B2 true JP3305025B2 (ja) | 2002-07-22 |
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KR102012610B1 (ko) * | 2012-03-29 | 2019-08-20 | 닛폰세이테츠 가부시키가이샤 | 무방향성 전자 강판 및 그 제조 방법 |
-
1992
- 1992-12-11 JP JP36070992A patent/JP3305025B2/ja not_active Expired - Fee Related
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