JP3994667B2 - 方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として小型トランスの鉄心として使用されるEI型コアに適用して好適な方向性電磁鋼板の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電磁鋼板を積層して使用する小型トランスの代表的な形状として、図1に示すような、EI型コアが知られている。このEI型コアは、打抜き加工により製造されているが、打ち抜く際に発生するスクラップの量が少ない効率的な加工方法が用いられている。
【0003】
かようなEI型コア用の鉄心材料としては、現在、無方向性電磁鋼板と方向性電磁鋼板の両方が用いられている。
無方向性電磁鋼板を使用した場合には、方向性電磁鋼板を使用した場合に比較して磁気特性のレベルが低いために、コアの磁気特性は劣っている。しかしながら、無方向性電磁鋼板は方向性電磁鋼板に比較して、製造プロセスが単純なため価格が低いので、経済的な観点から判断して使用されている。
一方、方向性電磁鋼板は圧延方向の磁気特性は良好であるが、圧延直角方向の磁気特性は著しく劣っている。しかしながら、EIコア内での磁束の流れの向きは、圧延直角方向となる領域が2割程度あるものの、8割程度の領域は圧延方向であるため、EI型コアの鉄心材料として方向性電磁鋼板を使用した場合には、無方向性電磁鋼板よりもはるかに良好な特性が得られる。そのため、鉄損を重視する場合の多くは方向性電磁鋼板が用いられている。
【0004】
上述したとおり、EI型コアは、鋼板を金型によって打抜き加工することによって製造されている。
方向性電磁鋼板の表面には、通常、フォルステライト(Mg2SiO4) を主体とした下地被膜(グラス被膜)が形成されているが、このフォルステライト被膜は、無方向性電磁鋼板に被覆されている有機樹脂系の被膜に比べると著しく硬質なため、打抜き金型の磨耗が大きい。そのため、金型の再研磨または交換が必要となり、需要家における鉄心加工時の作業効率の低下とコストアップをもたらすことになる。また、スリット性、切断性もフォルステライト被膜の存在により、劣化する。
【0005】
さらに、方向性電磁鋼板の結晶粒は通常10〜50mm程度の粗大粒であり、通常0.03〜0.20mmの微細結晶粒からなる無方向性電磁鋼板に比較して粗大であるため、打抜き加工時にダレ等の形状変化が大きいという問題もある。
【0006】
方向性電磁鋼板の打抜き加工性を改善する方法としては、フォルステライト被膜を酸洗や研削などの方法で除去することが考えられるが、この方法は、コスト高になるだけでなく、表面性状が悪化し、磁気特性も劣化する等、大きな問題がある。
なお、特公平6−49948 号および特公平6−49949 号公報には、仕上焼鈍時に適用するMgOを主体とする焼鈍分離剤中に薬剤を配合することによって、フォルステライト被膜の形成を抑制する技術が、また特開平8−134542号公報には、Mnを含有する素材に対しシリカ、アルミナを主体とする焼鈍分離剤を適用することによって、フォルステライト被膜の形成を抑制する技術が、それぞれ提案されている。しかしながら、これらの方法では、フォルステライト被膜の悪影響は排除できるものの、結晶粒径が粗大であることによる加工性の劣化については改善は望み得ない。
このように、方向性電磁鋼板は、圧延方向の磁気特性は良好ではあるものの、圧延直角方向の磁気特性は著しく劣っているので、圧延直角方向にも磁束が流れるEI型コアに適用することは、方向性電磁鋼板の特長を十分に活かしているとは言えない。
【0007】
その他、二次再結晶により(100)<001>組織(正キューブ組織)を発達させる、いわゆる二方向性電磁鋼板の製造方法も古くから検討されている。
例えば、特公昭35−2657号公報には、一方向に冷間圧延したのち、さらにこの方向と交差する方向に冷間圧延を加え、短時間焼鈍と 900〜1300℃の高温焼鈍を行う、クロス圧延によって、正キューブ方位粒をインヒビタを利用して二次再結晶させる方法が、また特開平4−362132号公報には、熱延方向に対して直角の方向に50〜90%の圧下率で冷延し、ついで一次再結晶を目的とする焼鈍を施したのち、二次再結晶と純化を目的とする最終仕上焼鈍を施すことによって、AlNを利用して正キューブ方位粒に二次再結晶させる方法が開示されている。
磁気特性的には、圧延方向と圧延直角方向の両方の磁気特性が良好な二方向性電磁鋼板が最も有利であると考えられるけれども、通常、二方向性電磁鋼板の製造には生産性が極めて低いクロス圧延を必要とするため、かかる二方向性電磁鋼板は未だかつて工業的に大量生産されたことはない。
【0008】
また、モータの分割型鉄心に適用するために、インヒビタ成分を減少させて集積度の低いゴス方位を発達させ、方向性電磁鋼板の磁気特性の異方性を低下させる技術が、特開2000−87139 号公報に開示されている。しかしながら、この技術は、ゴス方位集積度を低下させていること、またSi量を 3.0mass%未満に制限していることから、実施例における鉄損は圧延方向のW15/50 で2.1 W/kg以上と最良の値でも高級無方向性電磁鋼板程度の値しかなく、方向性電磁鋼板のレベルであるW15/50 <1.4 W/kgに比べて大きく劣っており、需要家の要求を満足させるには到っていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の実状に鑑み開発されたもので、EI型コア用材料に求められる磁気特性と加工性を満足し、また経済的にも有利な、全く新しい方向性電磁鋼板製造方法提案することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、先に、インヒビタ成分を含有しない素材において、ゴス方位結晶粒を二次再結晶により発達させる技術を提案した(特開2000−129356号公報)が、本発明は、上記の技術を、EI型コア用材料に適用すべく鋭意研究を重ねた末に、開発されたものである。
【0011】
以下、本発明を成功に至らしめた実験について説明する。
質量%で、C:0.0025%、Si:3.4 %およびMn:0.06%を含有し、かつAlを30ppm 、Nを12 ppm、その他の成分を 30ppm以下に低減し、しかもインヒビタ成分を含まない組成になる鋼スラブを、連続鋳造にて製造した。ついで、1200℃に加熱後、熱間圧延により 2.5mm厚とした熱延板を窒素雰囲気中にて 950℃, 1分間均熱したのち、急冷した。
ついで、冷間圧延により0.35mmの最終板厚としたのち、水素:50 vol%、窒素:50 vol%、露点:−30℃の雰囲気中にて 930℃で均熱20秒の再結晶焼鈍を行った。その後、焼鈍分離剤を適用しないサンプルおよび焼鈍分離剤としてMgOを水と混合してスラリーとして適用したサンプルを作成した。
ついで、最終仕上焼鈍を施した。この最終仕上焼鈍は、露点:−20℃の窒素雰囲気中にて、常温から 875℃まで50℃/hの速度で昇温し、この温度に50時間保定し、さらに25℃/hの速度で種々の温度まで昇温した。
かくして得られた製品板の鉄損 (W15/50)を測定した。また、比較のため、市販の同じ板厚の方向性電磁鋼板の鉄損(W15/50 )についても測定した。
【0012】
図2に、最終仕上焼鈍到達温度と圧延方向および圧延直角方向の各鉄損との関係について調べた結果を示す。なお、市販の方向性電磁鋼板の最終仕上焼鈍到達温度は不明であるが、比較のため同図中に併せて示す(以下、図3,4についても同様)。
同図に示されたように、焼鈍分離剤を適用しないサンプルでは、仕上焼鈍到達温度が 875℃以上で、圧延方向はほぼ一定の鉄損を示したが、圧延直角方向の鉄損は最終仕上焼鈍の到達温度が 875〜975 ℃の範囲で特に良好な鉄損が得られ、975 ℃を超えると急激に劣化することが判明した。しかしながら、劣化した場合においても市販の方向性電磁鋼板に比べると良好な鉄損を示していた。
これに対し、焼鈍分離剤としてMgOを適用したサンプルでは、焼鈍分離剤を適用しない場合に比べて特に圧延直角方向の鉄損が劣っており、最終仕上焼鈍の到達温度が 950℃を超えると急激に劣化し、市販の方向性電磁鋼板に近い鉄損しか得られなかった。
【0013】
また、図3に、圧延方向と圧延直角方向の鉄損の比を、焼鈍分離剤の適用の有無で比較して示す。
同図に示したとおり、市販の方向性電磁鋼板の鉄損の比は4程度と異方性が極めて大きいのに対して、焼鈍分離剤を適用せず仕上焼鈍を 975℃以下で行った場合には鉄損の比は 2.6以下となり、市販の方向性電磁鋼板に比べて異方性は格段に低減していた。このように圧延直角方向の鉄損が大きく改善されることは、圧延直角方向の鉄損も影響するEIコア用の材料として、既存の方向性電磁鋼板に比べて極めて有利であることを示唆している。
【0014】
次に、焼鈍分離剤を適用しない場合に、特に圧延直角方向で良好な鉄損が得られ、その結果鉄損の異方性が低下する理由を解明するために、焼鈍分離剤を適用したサンプルおよび市販の方向性電磁鋼板の表面酸化被膜を酸洗除去した後、電解研磨により表面を平滑化して鉄損を測定した結果を、図4に整理して示す。
同図によれば、焼鈍分離剤を適用したサンプルおよび市販の方向性電磁鋼板の双方とも表面の酸化被膜を除去し、さらに表面を平滑化することにより、圧延直角方向の鉄損が大幅に改善されることが新たに判明した。
なお、同様の処理を焼鈍分離剤を適用しなかったサンプルについても行ったが、鉄損の変化はほとんど生じなかった。
この結果は、鋼板表面に形成されるフォルステライト被膜が圧延直角方向の鉄損を大幅に劣化させていることを示唆している。
【0015】
次に、焼鈍分離剤を適用せず、良好かつ異方性の小さい鉄損が得られたサンプルについて、その結晶組織調査を行った。
図5に、最終仕上焼鈍後の結晶組織を示す。
同図によれば、数cmもの粗大な二次再結晶粒内部に、粒径が0.15〜0.50mm程度の微細結晶粒が散在していることが分かる。なお、微細粒の存在頻度は鋼板表面の3cm角の領域内での微細結晶粒の数を計測することによって求めた。
このように、粒径:0.15〜0.50mmの微細結晶粒の存在頻度と圧延直角方向の鉄損との間には強い相関があることが判明した。
なお、微細粒は仕上焼鈍における到達温度が高くなるほど減少し、ほぼ1050℃で消滅した。
【0016】
また、図6に、微細粒の存在頻度と圧延方向および圧延直角方向の鉄損の比との関係について調べた結果を示す。
同図に示したとおり、微細結晶粒の頻度が高くなるほど、圧延直角方向の鉄損が改善することが分かる。
【0017】
次に、磁束密度の改善に関する知見を得るために、熱延板焼鈍条件を種々に変更して冷延前の粒径を変更する実験を行った。
質量%で、C:0.023 %、Si:3.4 %およびMn:0.06%を含有し、かつAlを50ppm 、Nを22 ppm、その他の成分を 30ppm以下に低減し、しかもインヒビタ成分を含まない組成になる鋼スラブを、連続鋳造にて製造した。ついで、1200℃に加熱後、熱間圧延により 3.2mm厚の熱延板とした。この熱延板を、窒素雰囲気中にて種々の温度および均熱時間で焼鈍したのち、急冷した。
ついで、200 ℃の温度で冷間圧延を行って0.30mmの最終板厚としたのち、水素:50 vol%、窒素:50 vol%、露点:35℃の雰囲気中にて 930℃で均熱45秒の脱炭を兼ねる再結晶焼鈍を行った。その後、焼鈍分離剤を適用せずに最終仕上焼鈍を施した。この最終仕上焼鈍は、露点:−20℃の窒素雰囲気中にて、常温から875 ℃まで50℃/hrの速度で昇熱し、この温度に50時間保定する条件で行った。
かくして得られた製品板の磁束密度 (B50) および鉄損 (W15/50)について調査した。
【0018】
図7、図8に、最終冷延前の粒径(円相当径)と圧延方向および圧延直角方向の磁気特性(磁束密度および鉄損)との関係について調べた結果を示す。
図7に示したように、冷延前粒径が粗大化するに従い圧延直角方向の磁束密度は改善され、圧延方向と圧延直角方向の磁束密度の異方性が小さくなり、BL50≧1.85TかつBC50 ≧1.70Tとなる。また、図8に示したように、圧延直角方向の鉄損も改善されて、鉄損の異方性も小さくなり、EI型コア用の材料として理想的な磁気特性が得られることが新たに判明した。
【0019】
以上、述べたように、焼鈍分離剤を用いないことでフォルステライト被膜の形成を抑制し、また最終仕上焼鈍における到達温度を 975℃以下に抑えて微細結晶粒を残存させることによって、圧延直角方向の鉄損が大幅に改善されることが新たに知見された。
また、最終冷延前の粒径を粗大化させることにより、圧延直角方向の磁束密度および鉄損を向上させ得ることが新規に知見された。
そして、上記のような特長を有する方向性電磁鋼板は、圧延直角方向に磁束の流れを生じるEI型コアの鉄損を低減する点で有利なだけでなく、フォルステライト(Mg2SiO4) を主体とする下地被膜(グラス被膜) を有しないので、従来の方向性電磁鋼板に比べて打抜き加工性も格段に優れることも、EI型コア用材料として極めて有利である。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
【0023】
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.質量%で、C:0.08%以下、Si:2.0〜8.0 %およびMn:0.005〜3.0 %を含み、かつAlを 100 ppm以下、Nを 50ppm以下に低減し、残部は Fe および不可避的不純物からなる鋼スラブを、熱間圧延し、ついで熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施し、ついで再結晶焼鈍を施して、該焼鈍後の粒径を30〜80μm とし、その後必要に応じてMgOを含有しない焼鈍分離剤を塗布してから、最終仕上焼鈍を 975℃以下の温度で行うことを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
【0024】
2.質量%で、C:0.08%以下、Si:2.0〜8.0 %およびMn:0.005〜3.0 %を含み、かつAlを 100 ppm以下、Nを 50ppm以下に低減し、残部は Fe および不可避的不純物からなる鋼スラブを、熱間圧延し、ついで熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を、最終冷延前の粒径を 150μm 以上として施し、ついで再結晶焼鈍を施して、該焼鈍後の粒径を30〜80μm とし、その後必要に応じてMgOを含有しない焼鈍分離剤を塗布してから、最終仕上焼鈍を 975℃以下の温度で行うことを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
【0025】
.上記またはにおいて、鋼スラブが、質量%で、さらに、Ni:0.005〜1.50%、Sn:0.01〜1.50%、Sb:0.005〜0.50%、Cu:0.01〜1.50%、P:0.005〜0.50%およびCr:0.01〜1.50%のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
【0026】
【作用】
本発明を完成させるに至った新規知見の一点目、すなわち焼鈍分離剤にMgOを適用しないことでフォルステライト被膜の形成を排除することによって、圧延直角方向の鉄損が大幅に改善される理由については必ずしも明らかではないが、本発明者らは、次のように考えている。
方向性電磁鋼板の二次再結晶粒の結晶方位はゴス方位に高度に集積しており、圧延方向およびその逆方向に磁化成分を持つ 0.1〜1.0mm 幅の領域からなる180°磁区が形成されていること、および磁化過程がこれらの磁区の境界である磁区の移動によって担われていることは良く知られている。
ところで、鋼板表面に圧延方向に張力を付与することにより圧延方向の鉄損が低減することはよく知られていて、この張力付与のために、高温でガラス化するリン酸塩等を主体とした張力コーティングを施すことが方向性電磁鋼板の製造法において極めて一般的である。また、焼鈍分離剤として一般的に適用されるMgOは脱炭焼鈍および最終仕上焼鈍時に形成されるSiO2と高温で反応してフォルステライト(Mg2SiO4) 下地被膜を鋼板表面に形成させ、前述した張力コーティングとの密着性を確保する役割を有している。このフォルステライト下地被膜自体も張力を付与していることも良く知られている。鋼板の反り量を測定して張力を評価すると、ほぼ3〜5 MPa程度と見積もられている。
【0027】
しかしながら、 180°磁区は、圧延方向の磁化成分しか持っておらず、180 °磁区の磁壁移動によっては圧延直角方向の磁化を行うことができない。張力コーティングやフォルステライト被膜により鋼板表面に張力が付加されている場合には、 180°磁区構造が安定しており、その結果、圧延直角方向への磁化が妨げられるため、圧延直角方向の鉄損が劣化するものと推定される。
従って、フォルステライト被膜の形成を排除すれば、 180°磁区構造は不安定となり、圧延直角方向への磁化が促進されることから、圧延直角方向の鉄損が改善されるものと考えられる。
【0028】
次に、最終仕上焼鈍における到達温度を 975℃以下に抑えて微細結晶粒を残存させることが、鉄損低減に寄与する理由については必ずしも明らかではないが、本発明者らは、以下のように考えている。
すなわち、二次再結晶粒の内部の微細結晶粒の存在は、磁区を細分化して渦電流損失を低減するものと考えられる。通常のインヒビタを用いる技術では、975℃を超える高温焼鈍でインヒビタ成分(S, Se, N等)を純化しなければ低鉄損が得られないが、本発明のようにインヒビタを使用しない方法では、純化を行わなくとも二次再結晶が完了すれば低鉄損が得られるため、仕上焼鈍における到達温度を低めに抑え、微細粒を残存させる方法が有効に作用するものと考えられる。
【0029】
また、最終冷延前の粒径を粗大化させることにより、圧延直角方向の磁束密度が向上することに関しては、冷延前粒径が粗大化するにつれ、一次再結晶集合組織の{111}組織が減少し、替わって{100}〜{411}成分が増加し、{100}<001>方位を持つ二次再結晶粒が混合してくるためであると考えられる。
【0030】
最後に、本発明において、インヒビタ成分を含まない鋼において二次再結晶が発現する理由は、以下のように考えている。
発明者らは、ゴス方位粒が二次再結晶する理由について鋭意研究を重ねた結果、一次再結晶組織における方位差角が20〜45°である粒界が重要な役割を果たしていることを見出し、Acta Materia1 45巻(1997)1285ページに報告した。
方向性電磁鋼板の二次再結晶直前の状態である一次再結晶組織を解析し、様々な結晶方位を持つ各々の結晶粒周囲の粒界について、粒界方位差角が20〜45°である粒界の全体に対する割合(%)を調査した結果を図9に示す。図9において、結晶方位空間はオイラー角(Φ1 、Φ、Φ2 )のΦ2 =45°断面を用いて表示しており、ゴス方位など主な方位を模式的に表示してある。
【0031】
図9は、方向性電磁鋼板の一次再結晶組織における方位差角が20〜45°である粒界の存在頻度を示したものであるが、ゴス方位が最も高い頻度を持つ。方位差角:20〜45°の粒界は、C.G.Dunnらによる実験データ(AIME Transaction 188巻 (1949) P.368 )によれば、高エネルギー粒界である。高エネルギー粒界は、粒界内の自由空間が大きく乱雑な構造をしている。粒界拡散は、粒界を通じて原子が移動する過程であるので、粒界中の自由空間の大きい高エネルギー粒界の方が粒界拡散が速い。
二次再結晶は、インヒビタと呼ばれる析出物の拡散律速による成長・粗大化に伴って発現することが知られている。高エネルギー粒界上の析出物は、仕上焼鈍中に優先的に粗大化が進行するので、ゴス方位となる粒の粒界が優先的にピン止めがはずれて、粒界移動を開始しゴス方位粒が成長すると考えられる。
【0032】
発明者らは、上記の研究をさらに発展させて、二次再結晶におけるゴス方位粒の優先的成長の本質的要因は、一次再結晶組織中の高エネルギー粒界の分布状態にあり、インヒビタの役割は、高エネルギー粒界であるゴス方位粒の粒界と他の粒界との移動速度差を生じさせることにあることを突き止めた。
従って、この理論に従えば、インヒビタを用いなくとも、粒界の移動速度差を生じさせることができれば、ゴス方位に二次再結晶させることが可能となる。
【0033】
鋼中に存在する不純物元素は、粒界とくに高エネルギー粒界に偏析し易いため、不純物元素を多く含む場合には、高エネルギー粒界と他の粒界の移動速度に差がなくなっているものと考えられる。
従って、素材の高純度化によって、上記のような不純物元素の影響を排除することにより、高エネルギー粒界の構造に依存する本来的な移動速度差が顕在化して、ゴス方位粒に二次再結晶させることが可能になる。
【0034】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の構成用件の限定理由について述べる。
まず、本発明で得られる電磁鋼板の成分としては、質量%でSi:2 %〜8.0 %を含有する必要がある。
というのは、Siが2%に満たないと十分な鉄損改善効果が得られず、一方8%を超えると加工性が劣化するからである。
【0035】
また、本発明で得られる鋼板では、圧延方向の鉄損(WL15/50) を 1.40 W/kg以下とする必要がある。というのは、これを超える鉄損では、EI型コアの鉄損が既存の無方向性電磁鋼板を用いた場合と同様になってしまい、本発明による電磁鋼板の優位性がなくなるからである。
また、圧延直角方向の鉄損(WC15/50) が圧延方向の鉄損(WL15/50) の2.6 倍以下であることも必須条件である。というのは、この比が 2.6倍を超えると、EI型コアの鉄損がやはり既存の方向性電磁鋼板を用いた場合と同様になってしまい、本発明による電磁鋼板の優位性がなくなるからである。
【0036】
さらに、良好な打抜き性を確保するためには、鋼板表面にはフォルステライト(Mg2SiO4) を主体とした下地被膜を生成させないことが大前提である。
【0037】
次に、本発明の電磁鋼板を製造する際の素材スラブ成分の限定理由をについて説明する。なお、以下に示す成分組成の%表示は「質量%」である。
C:0.08%以下
素材段階でC量が0.08%を超えていると、脱炭焼鈍を施してもCを磁気時効が起こらない 50ppm以下まで低減することが困難になるので、C量は0.08%以下に制限しておく必要がある。特に、素材段階で 60ppm以下に低減しておくことが、再結晶焼鈍を乾燥雰囲気中で行い脱炭を省略して平滑な製品表面を得る上で望ましい。
【0038】
Mn:0.005 〜3.0 %
Mnは、熱間加工性を良好にするために必要な元素であるが、0.005 %に満たないその添加効果に乏しく、一方 3.0%を超えると磁束密度が低下するので、Mn量は0.005 〜3.0 %とする。
なお、Siは、製品板である電磁鋼板について、上述したところと同じである。
【0039】
Al:100 ppm 以下、N:50 ppm以下
Alは 100 ppm以下、またNは 50ppm以下好ましくは 30ppm以下まで低減することが、良好に二次再結晶を発現させる上で必要である。
さらに、インヒビタ形成元素であるSやSeについても 50ppm以下、好ましくは30 ppm以下に低減することが有利である。
その他、窒化物形成元素であるTi, Nb, B, Ta, V等についても、それぞれ50ppm 以下に低減することが鉄損の劣化を防ぎ、加工性を確保する上で有効である。
【0040】
以上、必須成分および抑制成分について説明したが、本発明では、その他にも以下に述べる元素を適宜含有させることができる。
すなわち、熱延板組織を改善して磁気特性を向上させる目的で、Niを添加することができる。しかしながら、添加量が 0.005%未満では磁気特性の向上量が小さく、一方1.50%を超えると二次再結晶が不安定になり磁気特性が劣化するので、Ni添加量は 0.005〜1.50%とすることが好ましい。
また、鉄損を向上させる目的で、Sn:0.01〜1.50%、Sb:0.005 〜0.50%、Cu:0.01〜1.50%、P:0.005 〜0.50%およびCr:0.01〜1.5 %等を単独または複合して添加することができる。しかしながら、それぞれの添加量が下限に満たないと鉄損向上効果が小さく、一方上限を超えると二次再結晶粒の発達が抑制されるので、いずれも上記の範囲で添加する必要がある。
【0041】
次に、本発明の製造方法について説明する。
上記の好適成分組成に調整した溶鋼から、通常、造塊法や連続鋳造法を用いてスラブを製造する。また、直接鋳造法を用いて 100mm以下の厚さの薄鋳片を直接製造してもよい。
スラブは、通常の方法で加熱して熱間圧延するが、鋳造後、加熱せずに直ちに熱延に供してもよい。また、薄鋳片の場合には、熱間圧延を行っても良いし、熱間圧延を省略してそのまま以後の工程に進めてもよい。
【0042】
ついで、熱延板焼鈍を施す。熱延板焼鈍の温度は再結晶が進行する 800℃以上が有利であるが、圧延直角方向の磁束密度を向上させるためには、冷延前粒径を150 μm 以上とすることが、現行の無方向性電磁鋼板のレベルを超えるBC50 ≧1.70Tを得る上で有効である。ここに、冷延前粒径を 150μm 以上とするためには、熱延板焼鈍または中間焼鈍の温度を1050℃以上とすることが好適である。
【0043】
熱延板焼鈍後、必要に応じて中間焼鈍を挟む1回以上の冷延を施したのち、再結晶焼鈍を行い、Cを磁気時効の起こらない 50ppm以下好ましくは 30ppm以下に低減する。
なお、冷間圧延に際しては、圧延温度を 100〜250 ℃に上昇させて行うこと、および冷間圧延途中で 100〜250 ℃の範囲での時効処理を1回または複数回行うことが、ゴス組織を発達させる点で有効である。
【0044】
最終冷延後の再結晶焼鈍では、再結晶焼鈍後の粒径を30〜80μm の範囲に制御する必要がある。というのは、再結晶焼鈍後の粒径が30μm に満たないと、方位集積度の低い二次再結晶粒が発生して、圧延方向と圧延直角方向の鉄損がともに劣化し、一方再結晶焼鈍後の粒径が80μm を超えると、二次再結晶が起こらなくなるため鉄損、磁束密度ともに大きく劣化するからである。ここに、再結晶焼鈍後の粒径を30〜80μm に制御するためには、再結晶焼鈍は 850〜975 ℃の温度範囲の短時間均熱処理を連続焼鈍で行うことが経済的に有利である。
なお、最終冷間圧延後あるいは再結晶焼鈍後に浸珪法によってSi量を増加させる技術を併用してもよい。
【0045】
その後、必要に応じて焼鈍分離剤を適用するが、その際にはシリカと反応してフォルステライトを形成するMgOは使用しないことが、本発明において肝要な点である。
そのためには、焼鈍分離剤を適用しないことが最も望ましいが、焼鈍分離剤を適用する場合には、コロイド状シリカ、アルミナ粉末およびBN粉末など、シリカと反応しない物質を用いる。
【0046】
ついで、最終仕上焼鈍を施すことにより二次再結晶組織を発達させる。この最終仕上焼鈍は二次再結晶発現のために 800℃以上で行う必要があるが、 800℃までの加熱速度は、磁気特性に大きな影響を与えないので任意の条件でよい。一方、最高到達温度は 975℃以下とすることが、二次再結晶粒内部に粒径が0.15mm以上、0.50mm以下の微細結晶粒を散在させることにより、圧延直角方向の鉄損を改善する上で必要である。
【0047】
なお、鋼板を積層して使用する場合には、鉄損を改善するために、鋼板表面に絶縁コーティングを施すことが有効である。良好な打抜き性を確保するために樹脂を含有する有機系コーティングが望ましいが、溶接性を重視する場合には無機系コーティングを適用する。
【0048】
【実施例】
実施例1
C:0.005 %、Si:3.4 %、Mn:0.07%およびSb:0.03%を含み、かつAlを20ppm 、Nを19 ppmに低減した組成になる鋼スラブを、連続鋳造にて製造した。ついで、1100℃で20分加熱後、熱間圧延により 2.6mm厚の熱延板としたのち、1000℃, 60秒間均熱の熱延板焼鈍を行った。その後、常温の冷間圧延にて0.35mmの最終板厚に仕上げた。なお、熱延板焼鈍後、最終冷延前の粒径は 130μm であった。
ついで、水素:75 vol%、窒素:25 vol%の雰囲気中にて、表1に示す条件で再結晶焼鈍を行った。再結晶焼鈍後の結晶粒径を測定したのち、焼鈍分離剤を適用せず露点:−25℃、窒素:25 vol%, 水素:75 vol%の混合雰囲気中にて 800℃までを50℃/hで加熱し、800 ℃以上を10℃/hで 860℃まで加熱し、この温度に20時間保持する条件で最終仕上焼鈍を行った。
その後、重クロム酸アルミニウム、エマルジョン樹脂およびエチレングリコールを混合したコーティング液を塗布し 300℃で焼き付けて製品とした。
【0049】
かくして得られた製品板の磁気特性を測定すると共に、得られた製品板を用いて打抜き加工にてEI型コアを作製し、窒素中にて 750℃, 2時間の歪取り焼鈍を行った後のコアの鉄損(W15/50 )を測定した。
得られた結果を表1に併記する。
また、比較のため、同じ板厚:0.35mmの従来の方向性電磁鋼板と無方向性電磁鋼板を用いて同様にEI型コアを作製して測定したコアの鉄損(W15/50 )も、表1に併せて示す。
【0050】
【表1】
Figure 0003994667
【0051】
同表に示したとおり、再結晶焼鈍後の粒径を30〜80μm の範囲に制御することにより、圧延方向の鉄損(WL15/50) が 1.40 W/kg以下で、かつ圧延直角方向の鉄損(WC15/50) が圧延方向のそれ(WL15/50) の 2.6倍以下の製品を得ることができ、EI型コアに適用することにより良好な鉄損が得られることが判る。
【0052】
実施例2
C:0.023 %、Si:3.3 %およびMn:0.12%を含み、かつAlを40 ppm、Nを14ppm に低減した組成になる鋼スラブを、連続鋳造にて製造した。ついで、1200℃で20分加熱後、熱間圧延により 2.2mmの熱延板としたのち、1100℃, 20秒の熱延板焼鈍を行った。その後、 240℃にて冷間圧延を行い、途中板厚:0.90mmの時に200 ℃で5時間の時効処理を挟んで0.35mmの最終板厚に仕上げた。なお、最終冷延前の粒径は 280μm であった。
ついで、水素:75 vol%、窒素:25 vol%、露点:50℃の雰囲気中にて、表2に示す条件で脱炭を兼ねる再結晶焼鈍を行った。再結晶焼鈍後の粒径を測定したのち、コロイド状シリカを焼鈍分離剤として塗布してから、常温から 900℃まで30℃/hの速度で 900℃まで昇温し、この温度に50時間保持する最終仕上焼鈍を行った。
その後、重クロム酸アルミニウム、エマルジョン樹脂およびエチレングリコールを混合したコーティング液を塗布し 300℃で焼き付けて製品とした。
【0053】
かくして得られた製品板の磁気特性、および得られた製品板を用いて作製したEI型コアの歪取り焼鈍(窒素中にて 750℃, 2時間)後のコアの鉄損(W15/50 )について調べた結果を表2に併記する。
【0054】
【表2】
Figure 0003994667
【0055】
同表によれば、再結晶焼鈍後の粒径が30〜80μm の範囲で、圧延方向の鉄損(WL15/50) が 1.40 W/kg以下で、かつ圧延直角方向の鉄損(WC15/50) が圧延方向のそれ(WL15/50) の 2.6倍以下の製品が得られ、EI型コアに適用することにより良好な鉄損が得られることが分かる。
【0056】
実施例3
表3に示す成分組成になる鋼スラブを、1160℃に加熱後、熱間圧延により2.6mm厚の熱延板とした。ついで、熱延板焼鈍を1000℃、均熱30秒の条件で行った。その後、冷間圧延により0.30mmの最終板厚に仕上げた。ついで、水素:50 vol%、窒素:50 vol%、露点:−30℃の雰囲気中にて 980℃で均熱20秒の再結晶焼鈍を行った。再結晶焼鈍後の粒径を測定したのち、焼鈍分離剤を適用せずに、850℃まで10℃/hの速度で昇温し、この温度に75時間保持する最終仕上焼鈍を露点:−40℃の窒素雰囲気中で行った。
ついで、リン酸アルミニウム、重クロム酸がカリウムおよびホウ酸を浪合したコーティング液を塗布し 300℃で焼き付けて製品とした。
かくして得られた製品板の磁気特性、および得られた製品板を用いて作製したEI型コアの歪取り焼鈍(窒素中にて 750℃, 2時間)後のコアの鉄損(W15/50 )について調べた結果を表3に併記する。
【0057】
【表3】
Figure 0003994667
【0058】
同表によれば、C:0.003 〜0.08%、Si:2.0 %〜8.0 %、Al:100ppm以下、N:30 ppm以下を満足する成分系のスラブを用いることにより、圧延方向の鉄損(WL15/50) が 1.40 W/kg以下で、かつ圧延直角方向の鉄損(WC15/50) が圧延方向のそれ(WL15/50) の 2.6倍以下の製品が得られることが分かる。
【0059】
【発明の効果】
かくして、本発明によれば、インヒビタを含有しない高純度成分の素材を用いて、磁気特性に優れ、かつその異方性が小さい方向性電磁鋼板を安定して得ることができる。
また、この発明では、素材中にインヒビター成分を含有しないので、スラブの高温加熱や脱炭焼鈍、高温純化焼鈍などを施す必要がないので、低コストにて大量生産可能であるという大きな利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 小型トランスしとて代表的なEI型コアの形状を示した図である。
【図2】 最終仕上焼鈍到達温度と圧延方向および圧延直角方向の各鉄損との関係を示したグラフである。
【図3】 最終仕上焼鈍到達温度と圧延方向および圧延直角方向の鉄損の比との関係を示したグラフである。
【図4】 方向性電磁鋼板の表面被膜の除去前後における、最終仕上焼鈍到達温度と圧延方向および圧延直角方向の各鉄損の推移を比較して示したグラフである。
【図5】 875 ℃に保定後の電磁鋼板の結晶組織を示した写真である。
【図6】 微細粒の存在頻度と圧延方向および圧延直角方向の鉄損の比との関係を示したグラフである。
【図7】 最終冷延前粒径と圧延方向および圧延直角方向の磁束密度との関係を示したグラフである。
【図8】 最終冷延前粒径と圧延方向および圧延直角方向の鉄損との関係を示したグラフである。
【図9】 方向性電磁鋼板の一次再結晶組織における方位差角が20〜45°である粒界の存在頻度を示した図である。

Claims (3)

  1. 質量%で、C:0.08%以下、Si:2.0〜8.0 %およびMn:0.005〜3.0 %を含み、かつAlを 100 ppm以下、Nを 50ppm以下に低減し、残部は Fe および不可避的不純物からなる鋼スラブを、熱間圧延し、ついで熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施し、ついで再結晶焼鈍を施して、該焼鈍後の粒径を30〜80μm とし、その後必要に応じてMgOを含有しない焼鈍分離剤を塗布してから、最終仕上焼鈍を 975℃以下の温度で行うことを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 質量%で、C:0.08%以下、Si:2.0〜8.0 %およびMn:0.005〜3.0 %を含み、かつAlを 100 ppm以下、Nを 50ppm以下に低減し、残部は Fe および不可避的不純物からなる鋼スラブを、熱間圧延し、ついで熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を、最終冷延前の粒径を 150μm 以上として施し、ついで再結晶焼鈍を施して、該焼鈍後の粒径を30〜80μm とし、その後必要に応じてMgOを含有しない焼鈍分離剤を塗布してから、最終仕上焼鈍を 975℃以下の温度で行うことを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 請求項1または2において、鋼スラブが、質量%で、さらに、Ni:0.005〜1.50%、Sn:0.01〜1.50%、Sb:0.005〜0.50%、Cu:0.01〜1.50%、P:0.005〜0.50%およびCr:0.01〜1.50%のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
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