JP3304516B2 - 乗用田植機 - Google Patents

乗用田植機

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JP3304516B2
JP3304516B2 JP18636293A JP18636293A JP3304516B2 JP 3304516 B2 JP3304516 B2 JP 3304516B2 JP 18636293 A JP18636293 A JP 18636293A JP 18636293 A JP18636293 A JP 18636293A JP 3304516 B2 JP3304516 B2 JP 3304516B2
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野村  勝
裕之 新山
清家  理伯
仁史 山崎
神谷  寿
英之 草本
宏 鈴木
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、3条植えの乗用田植
機に関する。
【0002】
【従来の技術】特開昭56−51913号公報、特開昭
56−51917号公報、特開昭57−22605号公
報、特開昭62−208号公報に3条植え乗用田植機が
開示されているが、3条植えの苗移植機の伝動部構成は
具体的に開示されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】農業経営形態が大規模
化と小規模化との2極化が進みつつある現在、小規模経
営向けとして更に軽量でコンパクトな乗用田植機が要望
されてきている。そこで、3条植えの乗用田植機の実用
化がにわかに注目されてきた。しかし従来は、上記のよ
うに3条植えの乗用田植機については着想段階までしか
考えられていなかった。よって、今後実用化を図る上
で、3条植えの苗移植機の伝動部構成をバランス良く且
つ簡単に構成する必要がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、この発明は、乗用走行車体に3条植えの苗移植
植付部ローリング軸21b回りに左右ローリング
動可能に装着し、該苗移植機2に左右移動自在の苗載せ
台30に載せた苗を一株づつ圃場に植付ける苗植付装置
31・31・31を設けた乗用田植機において、苗移
植機2に左右両側に苗植付装置31・31を設けた第一
フレーム38と左右外方一側にのみ苗植付装置31を設
けた第二フレーム39とを設け、前記第一フレーム38
に設けた苗植付装置31・31のうちの左右一方が3条
植えの中央の植付条PL2に苗を植え付ける構成とし、
前記第二フレーム39を前記中央の植付条PL2に対し
て前記第一フレーム38とは左右反対側に設け、更に、
第二フレーム39よりも機体外側方に苗載台横送り変速
機構59を設けると共に、左右方向で前記中央の植付条
PL2と同位置に前記植付部ローリング軸21bを配置
したことを特徴とする乗用田植機とした。
【0005】
【発明の作用及び効果】この発明は、乗用走行車体
3条植えの苗移植機植付部ローリング軸21b回り
に左右ローリング動可能に装着し、該苗移植機2に左右
移動自在の苗載せ台30に載せた苗を一株づつ圃場に植
付ける苗植付装置31・31・31を設けた乗用田植機
において、苗移植機2に左右両側に苗植付装置31・
31を設けた第一フレーム38と左右外方一側にのみ苗
植付装置31を設けた第二フレーム39とを設け、前記
第一フレーム38に設けた苗植付装置31・31のうち
の左右一方が3条植えの中央の植付条PL2に苗を植え
付ける構成とし、前記第二フレーム39を前記中央の植
付条PL2に対して前記第一フレーム38とは左右反対
側に設け、更に、第二フレーム39よりも機体外側方に
苗載台横送り変速機構59を設けると共に、左右方向で
前記中央の植付条PL2と同位置に前記植付部ローリン
グ軸21bを配置したので、左右方向において植付部ロ
ーリング軸 1bに対して左右に略等しい距離で第一フ
レーム38と第二フレーム39とが配置され、3条植え
の苗移植機を簡単に構成できると共に、更に、苗載台
横送り変速機構59が左右両側に苗植付装置31・31
を設けた第一伝動フレーム38とは左右反対側の左右外
方一側にのみ苗植付装置31を設けた第二伝動フレーム
39よりも機体外側方に設けられているから、左右両側
に苗植付装置31・31を設けた第一伝動フレーム38
と左右外方一側にのみ苗植付装置31を設けた第二伝動
フレーム39とを設けた該苗移植機の植付部ローリン
グ軸21bに対する左右バランスが良好となり、苗移植
の左右ローリングの適正化を図ることができて、良
好な苗植作業が行える。
【0006】
【実施例】以下に、本発明の一実施例を図面に基づき詳
細に説明する。この乗用田植機は、左右一対の前輪4・
4と左右一対の後輪5・5を備えた四輪駆動型の乗用走
行車体1と、その後側に油圧機構により昇降作動するリ
ンク27を介して装着される苗移植機2とを備えた構成
となっている。
【0007】まず、乗用走行車体1を具体的に説明す
る。まず、エンジン3が、前後方向で前輪4・4と後輪
5・5の間で、ミッションケース6の後側部から後方に
向けて固着された1本のフレーム7a上に搭載されてい
る。そのエンジン3の上側はステップフロア8と一体の
エンジンカバー部8aで覆われ、そのカバー8a上に座
席9が配設されている。また、座席9の前側下方及び左
右側下方、更に機体前部上の左右側に渡ってフロア面が
連続するステップフロア8が設けられている。更に、座
席9の後側に左右に渡ってリヤステップ部8bが設けら
れている。また、ハンドル15の下側には、案内表示用
の各種ラベルやランプ等が設けられた表示ボックス8c
とその下側のポストカバー8d、そしてその下側でステ
ップフロア8の前部に取り付けられたフロントカバー8
eが設けられている。
【0008】エンジン3の動力は以下のように伝動構成
されている。まず、エンジン出力軸3aに一体のプーリ
ー3bと油圧ポンプ11のポンプ駆動軸11aに一体の
プーリー11b(のポンプ駆動プーリー部11b−1)
とに伝動ベルト10が巻き掛けられていて、エンジン3
から油圧ポンプ11に動力が伝達される。(ところで、
油圧ポンプ11はミッションケース6の上部に固定され
ている。)そして、ポンプ11からミッション6には無
段変速ベルト伝動機構12を介して無段変速可能に動力
が伝達される。無段変速ベルト伝動機構12の構成は、
ポンプ駆動軸11aに一体のプーリー11b(の副変速
駆動プーリー部11b−2)とミッション6の入力軸6
aに一体の入力プーリー6b(割プーリー構成)に伝動
ベルト12aが巻き掛けられ、更に、入力プーリー6b
のプーリー幅を走行レバー13にて変更操作できるよう
に構成されている。よって、走行レバー13の操作によ
り入力プーリー6bのプーリー幅が変わるとベルト巻き
付き径が変わり入力軸6aへの伝動回転数が変更操作さ
れて変速される。入力プーリー6bのミッションケース
6側には主クラッチ機構が取り付けられている。尚、走
行レバー13は、ハンドル15の左側に設けられてい
る。
【0009】上記のようなエンジン3から油圧ポンプ1
1を介してミッション6へ伝動する構成において、座席
9下側のエンジン3のエンジン出力軸3aを側面視で前
輪外周より外側に配置し、座席9の前側下方位置のステ
ップ8の下側の油圧ポンプ11のポンプ駆動軸11aを
側面視で前輪外周より内側に配置し、更にフロントカバ
ー8e下側のミッション6の入力軸6aを側面視で前輪
外周より外側に配置する。これにより、ミッション6等
を左右にずらして配置することなく前輪4・4の回向作
動空間を確保することができ、3条植えの場合に要求さ
れる畦際での小さい旋回半径での機体旋回が可能となり
作業性が向上する。且つ、ステップ8面が高くなること
もないので、安定した操縦が可能でまたステップ上への
乗り降りが妨げられることもない。
【0010】次に、ミッションケース6内に伝達された
動力は、ケース6内において、伝動ギヤや変速ギヤを経
た後、前輪デフを介してミッションケース6の左右に固
着された前輪ファイナルケース14・14内の伝動機構
に伝動し、最終的に前輪軸14c・14cに伝動して、
左右の前輪4・4を駆動する。また、ミッションケース
6内のサイドクラッチ機構、ブレーキ機構を介してケー
ス6の後部から後方に向けて2本左右に並べて突出させ
た後輪駆動軸16・16に伝動し、更にその軸16・1
6にユニバーサルジョイントを介して軸方向に伸縮自在
の後輪伝動軸17・17を連結し、そして、その後輪伝
動軸17・17の後端部にユニバーサルジョイントを介
して左右の後輪伝動ケース18・18の入力軸18a・
18aに連結して後輪伝動ケース18・18内に伝動
し、そのケース18・18内の伝動ギヤを経て、最終的
に後輪軸18b・18bに伝動して、左右の後輪5・5
を駆動する。
【0011】また、一方で、伝動ギヤや株間切替ギヤを
経てミッションケース6の右側部から後方に向けて突出
した移植機駆動軸19に伝動し、その軸19に第1移植
機伝動軸20aが連結し、更にリンクベース27cに固
定された軸受部で軸受された移植機駆動軸19の後端部
にユニバーサルジョイントを介して第2作業機伝動軸2
0bが連結し、その後端部が苗移植機2の植付部伝動ケ
ース21の入力軸21aにユニバーサルジョイントを介
して連結して苗移植機2の植付部伝動ケース21内に伝
動する。
【0012】尚、前記前輪ファイナルケース14・14
は、その下部ケース14b・14bがミッションケース
6の側部に固定の上部ケース14a・14aに対して回
動自在に組まれている。そして、ハンドル15の回動操
作に連動して下部ケース14b・14bが回動するよう
になっている。即ち、ハンドル15と一体回動するよう
設けられているステアリング入力軸15aがミッション
ケース6内に嵌入し、その入力軸15aの回動がケース
6内の減速ギヤを介してミッションケース6cの底部外
側に突出したステアリング出力軸に伝動するように設け
られ、更に、その出力軸下端部にステアリングアーム1
6が一体的に取り付けられている。更に、ステアリング
アーム22の前端部と左右の前輪ファイナルケース14
・14の下部ケース14b・14bの形成されたアーム
部14d・14dとがロッド23・23で連結されて、
ハンドル15の回動操作により前輪4・4を回向するよ
うになっている。
【0013】また、後輪5・5を後輪軸18b・18b
で支持する後輪伝動ケース18・18は、フレーム7a
の後端の横フレーム7bの機体左右中央位置に後方へ向
けて固着された後輪ローリング軸24にローリング自在
に取り付けられた後輪フレーム25の左右両端部に固着
されている。よって、後輪5・5はローリング軸24周
りにローリング可能な構成になっている。
【0014】前輪4・4及び後輪5・5は、後側に装着
される3条植えの苗移植機2による苗植付条PL1・P
L2・PL3に対して、前輪4・4は中央条PL2をま
たぐ1条またぎのトレッドに設定され、後輪5・5は全
条PL1・PL2・PL3をまたぐ3条またぎのトレッ
ドに設定されている。更に、前輪4・4は、中央条中央
条PL2と外端条PL1・PL3との間の条間におい
て、外端条PL1・PL3寄りの位置を通過するように
設けられている。後輪5・5は、外端条PL1・PL3
と前行程及び次行程での植付条における本行程外端条に
隣接する隣接条PLNとの間の条間において、本行程外
端条PL1・PL3寄りの位置を通過するように設けら
れている。また、後輪5・5のリム部の全周はゴムでモ
ールドされ、そのモールドしているゴムによりリム外周
部にブロック状に突出するスパイクラグ5a…が多数一
定間隔で形成され、更に、リム部左右外側部に板状に張
り出した推進ラグ5b…が一定間隔で多数枚形成されて
いる。一方、前輪4・4のリム部の全周もゴムでモール
ドされ、そのモールドしているゴムによりリム外周部に
ハ字状に隆起したラグ4a…が多数一定間隔で形成され
ている。ただし、前輪4・4には板状の推進ラグは設け
られていない。以上のように、前輪4・4を1条またぎ
で後輪5・5を3条またぎとしているので、3条植え乗
用田植機としてのコンパクト性を有しながら車体の安定
性が高く(左右の車輪接地位置の上下変動に対する機体
の左右傾きが小さく)、また、次行程に移るときの畦際
での機体旋回において旋回半径を小さくできて作業性が
向上する。更に、後輪5・5の後側に接近して整地フロ
ート26を設けていても、後輪5・5の推進ラグ5b…
を左右外側にのみ設けているので、その推進ラグ5b…
により持ち上げられる泥が整地フロート26上へ落ちる
ことが少ない(整地フロート26の左右外端前部のコー
ナー部が平面視円弧に角を落した形状となっていて、そ
の角落としされている分だけ後輪5・5の左右外側にお
いて後輪5・5とフロート26が離れているので、推進
ラグ5b…を後輪5・5の左右外側に設けても、その推
進ラグ5b…により持ち上げられ落ちる泥はフロート上
に載りにくい。)尚、前輪4・4及び後輪5・5の車輪
跡は苗移植機2に設けられた整地フロート26により整
地されるようになっている。
【0015】次に、リンク27の構成を説明する。この
リンク27は、前後方向に軸芯が向いた植付部ローリン
グ軸27dでローリング自在に苗移植機2を装着し、ま
た、油圧シリンダ28の作動により上下作動して苗移植
機2を走行車体1に対して昇降動させられるようになっ
ている。油圧シリンダ28は、シリンダ基部がエンジン
3の下側でフレーム7aに固着されたブラケットに枢着
され、ピストンロッドの先端がリンク27のアッパーリ
ンク27aに一体のアーム27a’に枢着されている。
また、アッパーリンク27aとロアーリンク27b・2
7bが、走行車体1の横フレーム7bに固着されたリン
クベース27c・27cにリンク回動支点として回動自
在に取り付けられ、アッパーリンク27aとロアーリン
ク27b・27bの後端部は連結リンク27dで枢着さ
れている。そして、連結リンク27dの下部に設けられ
た軸受部に植付伝動ケース27に固着の植付部ローリン
グ軸21bが回動自在に軸受されて、苗移植機2が走行
車体1に対してローリング動可能に装着される。また、
油圧シリンダ28のシリンダ内へオイルが流入或は流出
することによって、ピストンロッドが突出或は引込み作
動して、リンク27が走行車体1側を回動支点として上
下動し苗移植機2が昇降作動する。油圧シリンダ28
は、油圧バルブ29が切替操作されることにより作動す
る。油圧バルブ29は、バルブケース側が植付伝動ケー
ス21に支持され、バルブスプール側が整地フロート2
6の前部中央上面と連結し、整地フロート26前部の上
下動に連動してバルブスプールが摺動され油圧シリンダ
28が作動するようになっている。これにより、整地フ
ロート26を表土面に接地させて機体を植付走行させた
とき、整地フロート26が表土面位置を検出するセンサ
ーフロートとしても作用する。即ち、表土面の上下位置
の変化に追従して整地フロート26の前部が上下動する
と、それに連動して油圧バルブ29が切り替わり、それ
により油圧シリンダ28が伸縮作動して苗移植機2を表
土面に対して所定の高さを維持するようにリンク27が
昇降作動する。また、油圧バルブ29のバルブスプール
側は走行車体2のハンドル15の右側に設けられた作業
機昇降レバーとワイヤーを介して連結していて、操縦者
が任意に苗移植機2を昇降作動させることもできる。
尚、作業機昇降レバーは、植付クラッチの入り切り操作
も連動して操作されるように構成され、作業機昇降レバ
ーが苗移植機2を「上昇」或は「上下固定」或は「下
降」させる位置にあるときは植付クラッチを「切り」状
態とするように連動操作され、作業機昇降レバーが整地
フロート26の表土面位置検出によって苗移植機2を
「自動昇降」させる位置にあるときは植付クラッチを
「入り」状態とするように連動操作されるように設けら
れている。
【0016】さて、苗移植機2の構成について説明す
る。苗移植機2は、3条分の苗を載せる苗載せ台30
と、その苗載せ台30から苗を一株づつ取って圃場に植
付ける苗植付装置31・31・31と、その苗植付装置
31…で植付ける表土面を整地する整地フロート26を
備えている。以下に各部の具体構成を述べる。苗載せ台
30は、その上面側には左右両端と中央2個所に左右を
仕切る仕切壁が設けられて各条左右幅約30cmの苗載
せ面が3条分区画されて形成されている。その各苗載せ
面に60cm×30cmの大きさの苗箱で育苗されたマ
ット状の苗をその苗の長手方向が前後方向となるように
して載せられる。また、この苗載せ台30は苗載せ面に
載せられた苗が後側に滑り落ちるように前側が上位に後
側が下位になるよう傾斜させた状態で設けられている。
更に、苗載せ台30の裏側上部にコ字状レールが設けら
れ、そのレール内に、植付部伝動ケース21の左右側部
に基部が固着された苗載せ台支持フレーム32・32の
上端部に設けられた支持ローラー32a・32aが左右
摺動自在に係合し、苗載せ台30の裏側下端部に固着さ
れたレールが植付部伝動ケース21上に固定されてた横
長で断面口状のスライドレール33上に左右摺動自在に
係合して、苗載せ台30が左右スライド可能に取り付け
られている。そして、苗載せ台30の左右両側部が植付
部伝動ケース21内の左右往復機構34により左右往復
動する横移動棒35の左右両端部と連結アーム36・3
6で連結して、苗載せ台30は苗植付装置31…に苗植
付け作動に合わせて左右に往復移動するよう作動する。
ところで、苗載せ台30に載せられた苗の下端部は、前
記スライドレール33に一体的に形成されている断
面”」”字状の苗受け部33aに受け止められ、その苗
受け部33aに左右30cm等間隔で苗取り口33b・
33b・33bが3個所切り欠かれて設けられている。
その苗取り口33b…内に苗植付装置31…の植付爪3
1a…が苗植付作動時に侵入して、その苗取り口33b
…上の一株分の苗を植付爪31a…が分割していく。そ
の後、次の苗植付装置31…の植付爪31a…が苗取り
口33b…に侵入するまでに、苗載せ台30の左右横移
動により苗取り口33b…上に新たな一株分の苗が移動
して、苗載せ台30上の苗が苗植付装置31により連続
的に一株づつ分離されていって植付けられていく。尚、
苗載せ台30下端の苗が横一列分苗植付装置31に分離
されたら、次の一列分が苗取り口33b…上に位置する
ように強制的に苗を移動させる苗送り装置37・37・
37が各苗載せ面に設けられている。この苗送り装置3
7…は、ベルト式で苗載せ面上に載せられた苗の底面に
送り作用を与えるように設けられている。
【0017】苗植付装置31・31・31は、植付部伝
動ケース21の後側面に後方に向かって延びる2本の伝
動フレーム(第一伝動フレーム38と第二伝動フレーム
39)の後側に装着されている。第一伝動フレーム38
には、その左右両側に突出する第一植付駆動軸40の左
右両端部に各1つづつで計2つの苗植付装置31・31
が装着され、第二伝動フレーム39には、その左右外方
一側にのみ突出する第二植付駆動軸41の外端部に一つ
の苗植付装置31が装着されて、全体で3条植え分の苗
植付装置31…が装着されている。各条の苗植付装置3
1…は、植付部伝動ケース21内の動力が伝動フレーム
38・39内を経て植付駆動軸40・41に伝動されて
駆動されている。また、各苗植付装置31は、回転ケー
ス31bとそれに装着された2つの植付具31c・31
cから構成されている。この2つの植付具31c・31
cには植付爪31a・31aと植付時に植付爪が保持し
た苗を土中に押出し作用する苗押出しロッドがそれぞれ
設けられている。これより、この苗植付装置31は、植
付駆動軸40・41により回転ケース31bが回転する
とともにその回転に伴う回転ケース内のギヤ群の回転伝
動によって植付具31c・31cが略同方向に向くよう
に自転しながら公転して植付爪31a・31aが楕円状
の軌跡を描くように運動し、その植付爪31a…が運動
軌跡中で苗取り口33b…上の一株分の苗を分割し、そ
の分割保持した苗を表土中に運び、土中に到って前記苗
押出しロッドにて苗を放出して、苗植付け作動する。
【0018】整地フロート26は、合成樹脂でブロー成
形した一体フロートである。この整地フロート26は、
第一伝動フレーム38及び第二伝動フレーム39の下部
に植付深さ調節レバー42により回動調節可能に取り付
けられたフロート支持パイプ43に固着の支持アーム4
4・44に、フロート上面に固着の取付け部材45・4
5が左右方向に軸芯が向く取付けピン46・46を介し
て枢着され、この取付けピン46・46廻りに整地フロ
ート26前部側が上下に揺動可能となっている。そし
て、前述のように、上下に揺動可能な整地フロート26
の前部中央上面に油圧バルブ29のバルブスプールが連
結して、この整地フロート26は表土面の位置を検出す
るセンサーフロートとしても作用する。
【0019】また、この整地フロート26は、3条の苗
植付装置31・31・31による苗植付位置P1・P2
・P3を整地し、そのフロート形状及び配置は、図に示
されるように設けられている。即ち、整地フロート26
の後部は、平面視で、各条植付位置P1・P2・P3に
対応して後方に開放する凹部26a・26b・26cが
形成されていて、その各凹部26a・26b・26c内
に各条の苗植付位置P1・P2・P3が位置するように
設けられている。また、各条の苗植付位置P1・P2・
P3の前方に位置する左側整地部26d・中央整地部2
6e・右側整地部26fは底面が接地するように設けら
れていて、その整地部で各条の苗植付位置P1・P2・
P3が整地されるようになっている。また、前輪4・4
の車輪跡は左側及び右側整地部26d・26fの左右内
側の前後に長い整地部分で整地され、後輪5・5の車輪
跡はフロート左右両端部の前後に長い板状の車輪跡整地
部26g・26hにより整地される。更に、中央整地部
26eは、整地フロート26の左右両端側より前方に突
出し後輪5・5の後端位置より前側まで延びている。こ
れにより、フロート後部の回動支軸(取付けピン46・
46)位置からフロート接地部前端位置までの間隔が長
くなり、フロート前端部が表土面から受ける押し上げ作
用が小さくてもフロート前端部が表土中にもぐり込むこ
となく敏感に上下動することができ、3条の植付位置を
単一のフロートで整地する大型のフロートであっても、
センサーフロートとしての表土面検出能は低下しない。
【0020】尚、この整地フロート26は、3条の植付
位置を単一のフロートで整地する大型のフロートである
ため、表土の泥水を左右の隣接条PLN側に押し流さな
いよう工夫されている。即ち、整地フロート26の苗植
付位置P1とP2の間とP2とP3の間の条間部で中央
整地部26eの左右両側に泥水をフロート前側から後側
に通り抜けさせる泥水抜き溝26i・26jがフロート
底部側に形成されている。この泥水抜き溝26i・26
jの溝幅は前側が左右に幅広に形成されている。これに
より、整地フロート26の中央側から左右外側に向けて
押し流されようとする泥水は、泥水抜き溝26i・26
jを通ってフロート後方に通りぬけていく。また、後輪
5・5の回転により泥水の波が発生するが、その波がフ
ロート中央側に押し寄せても後輪5・5の後端位置より
前側まで延びた中央整地部26eの側部に当たりその後
泥水抜き溝26i・26jを通ってフロート後方に通り
ぬけていく。よって、整地フロートの中央整地部26e
により押される泥水や後輪5・5の回転で起る泥水の波
は、左右の隣接条PLN側に拡がることなくフロート後
方に通り抜けさせることができる。また、これにより、
後輪5・5の後側に接近させた状態で整地フロート26
を配置でき機体全長を短く構成できる。
【0021】更に、後輪5・5の後側に接近して位置す
るフロート左右両端部の車輪跡整地部26g・26h
は、その底面上下位置が他の整地部26d・26e・2
6fの底面上下位置より若干高位に設けている。また、
この整地部26g・26hの左右外端の側部を下方に向
けての折り返し部26g’・26h’を形成している。
これにより、この車輪跡整地部26g・26hにより後
輪5・5の車輪跡が整地されると共に、その整地部26
g・26hの下側を泥水が後方に向けてある程度通り抜
けられ、また、折り返し部26g’・26h’により、
整地部26g・26hの下側を通り抜ける泥水が左右外
方に流れ出ることが防止される。よって、後輪5・5の
後側に位置する車輪整地部26g・26hにより泥水が
左右外側(隣接条側)へ押し流されるのを少なくでき
る。また、これにより、後輪5・5の後側に接近させた
状態で整地フロート26を配置でき機体全長を短く構成
できる。
【0022】苗移植機2の伝動部の構成は以下のように
なっている。即ち、左右両側に苗植付装置31・31を
設けた第一伝動フレーム38と左右外方一側にのみ苗植
付装置31を設けた第二伝動フレーム39の各前端部
を、苗載せ台30を左右往復動させる左右往復機構34
のリードカム軸63を内装した植付部伝動ケース21の
後側部に連結して3条植えの構成となっている。また、
植付部伝動ケース21内の伝動構成は、ミッション6か
ら植付部伝動ケース21の平面視右側に設けられた入力
軸21aに伝動された動力は、ケース21内において入
力軸21aに一体回転するよう組まれたベベルギヤ47
からそれに噛み合うベベルギヤ49を介して該ベベルギ
ヤ49が一体回転するように組まれた植付軸48に伝動
する。そして、ベベルギヤ49の一側に設けられたクラ
ッチ爪49aと第一植付クラッチ体50の爪50aが係
脱操作可能に噛み合い、その第一植付クラッチ体50に
一体に設けられた第一植付伝動スプロケット50bを伝
動回転する。第一植付伝動スプロケット50bから第一
伝動フレーム38の後端部の第一植付駆動スプロケット
40aにチェン51を介して伝動し、そのスプロケット
40aを一体に設けた第一植付駆動軸40を駆動回転し
て、その第一植付駆動軸40の左右両端に装着された苗
植付装置31・31を作動する。また、植付軸48の左
側に一体回転するよう回転体52が設けられ、その一側
に設けられたクラッチ爪52aと第二植付クラッチ体5
3の爪53aが係脱操作可能に噛み合い、その第二植付
クラッチ体53に一体に設けられた第一植付伝動スプロ
ケット53bを伝動回転する。第二植付伝動スプロケッ
ト53bから第二伝動フレーム39の後端部の第二植付
駆動スプロケット41aにチェン54を介して伝動し、
そのスプロケット41aを一体に設けた第二植付駆動軸
41を駆動回転して、その第二植付駆動軸41の左右外
側一端に装着された苗植付装置31を作動する。
【0023】尚、スプリング55・56が、その一端側
が止め輪57・58で受け止められ他端側が第一植付ク
ラッチ体50及び第二植付クラッチ体53に圧接するよ
うに設けられ、第一植付クラッチ体50の爪50a(第
二植付クラッチ体53の爪53a)がベベルギヤ49の
クラッチ爪49a(回転体52のクラッチ爪52a)に
係合する方向に付勢する。第一植付クラッチ体50及び
第二植付クラッチ体53のクラッチ操作は、各独立に操
作可能で、別に設けられるクラッチ操作ピンがケース2
1外から操作されて、そのクラッチピンが第一植付クラ
ッチ体50或は第二植付クラッチ体53に作用し、その
クラッチ体50・53をスプリング55・56を圧縮す
る軸心方向に移動させると、クラッチ体の爪50a・5
3aがクラッチ爪49a・52aから外れ、非伝動状態
となる。よって、第一伝動フレーム38の第一植付駆動
軸40に装着される2つの苗植付装置31・31の作動
と第二伝動フレーム39の第二植付駆動軸41に装着さ
れる1つの苗植付装置31の作動とを任意に独立して停
止操作可能な構成となっている。
【0024】また、植付軸48の左端側に苗載台横送り
変速機構59が設けられている。即ち、植付軸48に3
つの横送り変速ギヤ60・61・62が遊転自在に組ま
れ、一方、リードカム軸63にも3つの横送り変速ギヤ
64・65・66が一体回転するように組まれ、前記植
付軸48側の横送り変速ギヤ60・61・62とリード
カム軸63側の横送り変速ギヤ64・65・66が常時
噛み合うようになっている。そして、植付軸48側の3
つの横送り変速ギヤ60・61・62のいずれか一つの
ギヤを植付軸48と一体回転させられるよう切り換えら
れるようになっている。即ち、植付軸48の左端に形成
されたキー溝48a内にスライド自在に係合しキーシフ
ト時に軸中心方向に撓み可能な部材で構成されたシフト
キー67が、植付軸48左端部に遊転自在且つ摺動自在
に設けられたキーシフター68に取り付けられ、そのキ
ーシフター68には苗載台横送り切替つまみ69のケー
ス21内側でそのつまみ69の回動中心から偏位した位
置に設けられたシフター係合ピン69aが係合してい
る。よって、苗載台横送り切替つまみ69をケース21
外から回動操作することで、キーシフター68が植付軸
48軸心方向にスライドし、それと一体的にシフトキー
67がスライドして、シフトキー67の先端部のギヤ係
合部が横送り変速ギヤ60・61・62のいずれか一つ
のギヤと係合するように切り換えられる。
【0025】尚、苗載台横送り変速機構59を苗植付装
置31へ伝動する伝動部材(第二植付クラッチ体53、
回転体52等)より左右外側に設けたので、苗載台横送
り変速機構59を構成する常時噛み合いの横送り変速ギ
ヤ60・61・62,64・65・66の位相を合わせ
ての組付けが容易に行える。更にまた、このとき、植付
部伝動ケース21のケースが本体ケース部21’と苗載
台横送り変速機構59がある左側部ケース部21”に分
割構成されていているので、前記苗載台横送り変速機構
59の組付けが容易となっている。
【0026】また、苗載台横送り変速機構59を、左右
両側に苗植付装置31・31を設けた第一伝動フレーム
38とは左右反対側(左右外方一側にのみ苗植付装置3
1を設けた第二伝動フレーム39の側)に設けているの
で、左右両側に苗植付装置31・31を設けた第一伝動
フレーム38と左右外方一側にのみ苗植付装置31を設
けた第二伝動フレーム39を植付部伝動ケース21の後
側部に連結して3条植えの構成とした苗移植機2の伝動
部の左右重量バランスが良好となる。
【0027】そして、植付軸48から苗載台横送り変速
機構59を介して左右往復動機構34のリードカム軸6
3に動力が伝動する。リードカム軸63は、その軸外周
にタスキがけ状にラセン溝が往復して無限軌道となるよ
うにリード溝63aが形成され、その溝が形成された軸
部に、リード溝63aに係合するリード溝係合メタル7
0を内装した左右往復体71が外嵌する。左右往復体7
1はケース21に左右摺動自在に支持されてケース21
の左右両側部から突出する横移動棒35と一体的に連結
している。よって、リードカム軸63が回転すると、そ
の溝に係合するリード溝係合メタル70がリード溝63
aに沿って左右方向に往復移動作用を受け、そのメタル
70を内装する左右往復体71がリードカム軸63上で
軸心方向に左右往復スライドし、その左右往復体71と
一体的に横移動棒35が左右に往復移動するようになっ
ている。尚、横移動棒35の左右両端部は連結アーム3
6・36で苗載せ台30両端部と連結する。また、リー
ドカム軸63の左右両端は、ケース21の左右両側部か
ら突出し、その両端部に苗送り装置37…を駆動する駆
動アーム72・72が一体的に取り付けられている。
【0028】尚、予備苗載せ台は、図示していないが、
機体前部のハンドル15の左右両側位置に設けられ、そ
の予備苗載せ台での重量は機体前部側にかかるようにな
っている。以上のように、この乗用田植機は、その苗移
植機2の伝動部を、左右両側に苗植付装置31・31を
設けた第一伝動フレーム38と左右外方一側にのみ苗植
付装置31を設けた第二伝動フレーム39の各前端部
を、苗載せ台30を左右往復動させるリードカム軸63
を内装した植付部伝動ケース21の後側部に連結して3
条植えの構成とした。
【0029】従って、乗用走行車体1に3条植えの苗移
植機2を装着した乗用田植機において、3条植えの苗移
植機2の伝動部構成をバランス良く且つ簡単に構成する
ことができる。また、図2に示されるように、この乗用
田植機は、苗移植機2を乗用走行車体1に対して植付部
ローリング軸21b回りに左右ローリング動可能に装着
し、苗移植機2を左右両側に苗植付装置31・31を設
けた第一伝動フレーム38と左右外方一側にのみ苗植付
装置31を設けた第二伝動フレーム39とを備えて構成
すると共に、前記第一伝動フレーム38に設けた苗植付
装置31・31のうちの左右一方31が3条植えの中央
の植付条PL2に苗を植え付ける構成とし、前記第二伝
動フレーム39を前記中央の植付条PL2に対して前記
第一伝動フレーム38とは左右反対側に設け、左右方向
で前記中央の植付条PL2と同位置に前記植付部ローリ
ング軸21bを配置している。
【0030】従って、左右方向において植付部ローリン
グ軸21bに対して左右に等距離で第一伝動フレーム3
8と第二支持フレーム39とが配置され、3条植えの苗
移植機2を簡単に構成できると共に該苗移植機2の植付
部ローリング軸21bに対する左右バランスが良好とな
り、苗移植機2の左右ローリングの適正化を図ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】乗用田植機を示す側面図。
【図2】乗用田植機を示す平面図。
【図3】苗移植機の伝動部の構成を示す断面平面図。
【図4】整地フロートの構成を示す平面図。
【符号の説明】
1:走行車体 2:苗移植機 21:植付部伝動ケース 21b:植付部ローリング軸 30:苗載せ台 31…:苗植付装置 38:第一伝動フレーム 39:第二伝動フレーム59:苗載台横送り変速機構 63:リードカム軸 PL2:中央の植付条
フロントページの続き (72)発明者 新山 裕之 愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農 機株式会社 技術部内 (72)発明者 清家 理伯 愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農 機株式会社 技術部内 (72)発明者 山崎 仁史 愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農 機株式会社 技術部内 (72)発明者 神谷 寿 愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農 機株式会社 技術部内 (72)発明者 草本 英之 愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農 機株式会社 技術部内 (72)発明者 鈴木 宏 愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農 機株式会社 技術部内 審査官 西田 秀彦 (56)参考文献 特開 昭56−151403(JP,A) 特開 昭62−208(JP,A) 特開 平3−103109(JP,A) 特開 昭60−118108(JP,A) 特開 昭63−177723(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01C 11/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乗用走行車体に3条植えの苗移植機
    植付部ローリング軸21b回りに左右ローリング動可
    能に装着し、該苗移植機2に左右移動自在の苗載せ台3
    0に載せた苗を一株づつ圃場に植付ける苗植付装置31
    ・31・31を設けた乗用田植機において、苗移植機
    2に左右両側に苗植付装置31・31を設けた第一フレ
    ーム38と左右外方一側にのみ苗植付装置31を設けた
    第二フレーム39とを設け、前記第一フレーム38に設
    けた苗植付装置31・31のうちの左右一方が3条植え
    の中央の植付条PL2に苗を植え付ける構成とし、前記
    第二フレーム39を前記中央の植付条PL2に対して前
    記第一フレーム38とは左右反対側に設け、更に、第二
    フレーム39よりも機体外側方に苗載台横送り変速機構
    59を設けると共に、左右方向で前記中央の植付条PL
    と同位置に前記植付部ローリング軸21bを配置した
    ことを特徴とする乗用田植機。
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