JP3301662B2 - 被覆層除去剤、基材の回収方法、及び被覆層を有する物品の製造方法 - Google Patents

被覆層除去剤、基材の回収方法、及び被覆層を有する物品の製造方法

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JP3301662B2
JP3301662B2 JP32627193A JP32627193A JP3301662B2 JP 3301662 B2 JP3301662 B2 JP 3301662B2 JP 32627193 A JP32627193 A JP 32627193A JP 32627193 A JP32627193 A JP 32627193A JP 3301662 B2 JP3301662 B2 JP 3301662B2
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organosilicon
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    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
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    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
    • Y02W30/62Plastics recycling; Rubber recycling

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  • Separation, Recovery Or Treatment Of Waste Materials Containing Plastics (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機ケイ素系被覆層又
は酸化物被覆層の除去剤、この除去剤により被覆層を除
去して基材を回収する方法、及び回収された基材に被覆
層を設ける被覆層を有する物品の製造方法に関する。特
に本発明は、樹脂製物品に付着した不必要な硬化被膜の
除去に用いる除去剤、この除去剤を用い、欠陥のある被
覆層を除去して基材を回収する方法に関する。さらに、
本発明は、回収した基材を再利用して、資源の有効活用
と製品のコストダウンを図ることを目的とするものであ
る。
【0002】
【従来の技術】樹脂製物品は、軽量、透明性、易加工性
等の利点を生かして多くの用途に用いられている。そし
て、樹脂製物品を更に高機能化する目的で、各種の表面
加工が試みられている。例えば、樹脂製物品は、一般に
耐磨耗性に劣るが、表面硬度を上げて耐磨耗性を向上さ
せることを目的として、その表面に有機ケイ素系の硬化
被膜を施すことが行われている。また、樹脂製物品表面
の光の反射を防止する目的で金属酸化物からなる単層又
は多層の反射防止膜が設られることもある。ところが、
これらの硬化被膜や反射防止膜を形成する過程で、膜に
欠陥が生じることがある。その場合、欠陥が生じた膜を
除去して、基材である樹脂製物品(以下、樹脂製基材又
は基材と呼ぶことがある)を再生使用することは、コス
トを低減し、かつ資源を有効利用するという観点から大
きなメリットがある。従来、樹脂製基材に付着した硬化
被膜を化学的に除去する方法が知られている。例えば、
水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液中への樹脂製基材
を浸漬する方法、樹脂製物品を酸化処理した後にアルカ
リ水溶液へ浸漬する方法、界面活性剤を入れたアルカリ
水溶液への樹脂製基材を浸漬する方法等がある。(特公
平2−36309号公報、特公平3−5227号公
報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】アルカリ水溶液及び界
面活性剤を含むアルカリ水溶液に浸漬する方法は、有機
ケイ素系(ポリシロキサン系)硬化被膜には、ある程度
有効である。しかし、処理時間が長いという問題があっ
た。さらには、金属酸化物膜は容易に除去できなかっ
た。また、樹脂製基材を酸化処理した後にアルカリ水溶
液へ浸漬する方法では、酸化処理工程を加えることで、
工程が複雑化するという問題が生じ、かつアルカリ水溶
液での除去も大幅に短縮できるものではなかった。そこ
で本発明の目的は、樹脂製基材に設けられた有機ケイ素
系被覆層又は酸化物被覆層を容易に除去できる除去剤を
提供することにある。さらに本発明の目的は、上記の除
去剤により被覆層を除去して容易に基材を回収する方法
を提供することにある。また、本発明の別の目的は、上
記の回収された基材に、新たな被覆層を設ける被覆層を
有する物品の製造方法を提供することにある。
【0004】
【問題点を解決するための手段】そこで本発明は、フッ
化水素化合物と過酸化水素とを含有することを特徴とす
る有機ケイ素系被覆層又は酸化物被覆層の除去剤に関す
る。
【0005】さらに本発明は、フッ化水素化合物と過酸
化水素とを含有する水溶液に、基材上に有機ケイ素系被
覆層、酸化物被覆層、又は有機ケイ素系被覆層及び酸化
物被覆層を設けた物品を浸漬して、前記被覆層を除去し
て、前記基材を回収することを特徴とする、基材の回収
方法に関する。
【0006】また、本発明は、上記の方法により回収し
た基材上に、有機ケイ素系被覆層、酸化物被覆層、又は
有機ケイ素系被覆層及び酸化物被覆層を設けることを特
徴とする、被覆層を有する物品の製造方法に関する。
【0007】本発明の除去剤は、フッ化水素化合物と過
酸化水素水とを含む水溶液である。フッ化水素化合物と
しては例えば、フッ化水素酸、フッ化水素アンモニウム
等を挙げることができる。水溶液中のフッ化水素化合物
と過酸化水素水の濃度には、特に限定はないが、フッ化
水素化合物は1〜40重量%の範囲、過酸化水素水は1
〜50重量%の範囲であり、両者の合計が5〜50重量
%の範囲であることが適当である。
【0008】本発明の処理剤及び基材の回収方法におい
て除去処理対象となる膜は、有機ケイ素系被覆層又は酸
化物被覆層である。但し、有機ケイ素系被覆層と酸化物
被覆層の両者を積層したものであっても良い。有機ケイ
素系被覆層は、例えば、下記一般式で示される有機ケイ
素化合物および/若しくはその加水分解物を含むコーテ
ィング液、又は下記一般式で示される有機ケイ素化合物
および/若しくはその加水分解物と酸化物微粒子とを含
むコーティング液を基材上に塗布、硬化したものであ
る。 R1 a 2 b Si(OR3 4-a-b (ここで、R1 ,R2 は各アルキル基、アルケニル基、
アリール基、またはハロゲン基、グリシドキシ基、エポ
キシ基、アミノ基、メルカプト基、メタクリルオキシ基
あるいはシアノ基を有する炭化水素基、R3 は炭素数が
1〜8のアルキル基、アルコキシアルキル基、アシル
基、フェニル基、アリルアルキル基であり、aおよびb
は0または1である。)
【0009】前記一般式(1)で表される有機ケイ素化
合物の具体的な代表例としては、メチルシリケート、エ
チルシリケート、n−プロピルシリケート、i−プロピ
ルシリケート、n−ブチルシリケート、sec−ブチル
シリケート、t−ブチルシリケート、四アセトキシシラ
ン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシ
ラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリ
アセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチル
トリプロポキシシラン、メチルトリアミロキシシラン、
メチルトリフエノキシシラン、メチルトリベンジルオキ
シシラン、メチルトリフエネチルオキシシラン、グリシ
ドキシメチルトリトキシシラン、グリシドキシメチルト
リエトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキ
シシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシラ
ン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−
グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリシド
キシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプ
ロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシエトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルトリフエノキシシラ
ン、α−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α−
グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−グリシド
キシブチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシブチ
ルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメ
トキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエトキシシ
ラン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ
−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、(3,4−
エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、
(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキ
シシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エ
チルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシク
ロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4
−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラ
ン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)エチルトリメトキシエトキシシラン、β−(3,
4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリフエノキシシ
ラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピ
ルトリメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロ
ヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、δ−(3,4
−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラ
ン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルト
リエトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジメトキ
シシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラ
ン、α−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、
α−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β−
グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β−グリ
シドキシエチルメチルジエトキシシラン、α−グリシド
キシプロピルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキ
シプロピルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシ
プロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピ
ルメチルジプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピ
ルメチルジブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル
メチルジメトキシエトキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルメチルジフエノキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピ
ルビニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル
ビニルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフ
エニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフ
エニルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、
エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシ
シラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フエニル
トリメトキシシラン、フエニルトリエトキシシラン、フ
エニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリ
メトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、3,
3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、γ−
メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メ
ルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプト
プロピルトリエトキシシラン、β−シアノエチルトリエ
トキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロ
ロメチルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチ
ル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β
−アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシ
シラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−
アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−ア
ミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、
N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジ
エトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フエニル
メチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、
フエニルメチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピル
メチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジ
エトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−メ
タクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−
メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ
−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メ
ルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニ
ルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシランな
どがある。これらの有機ケイ素化合物は、1種のみなら
ず2種以上を併用して使用することも充分可能である。
【0010】また、前記コーティング液に含まれるる酸
化物微粒子には、とくに制限はないが、例えば、ケイ
素、アンチモン、チタン、アルミニウム、スズ、タング
ステン、ジルコニウム等が挙げられる。これらの酸化物
微粒子は粒径が、例えば1〜300nmであり、該微粒
子を水、有機溶媒またはこれらの混合溶媒に分散させた
コロイド溶液の形で用いられ、硬化膜の屈折率、耐擦傷
性を高め、さらに耐水性を向上させるためのものであ
る。
【0011】前記コーティング液は、反応を促進し、低
温で硬化させるために、さらに硬化剤を含有することも
できる。そのような硬化剤としては、たとえばアリルア
ミン、エチルアミン等のアミン類、またルイス酸やルイ
ス塩基を含む各種酸や塩基、例えば有機カルボン酸、ク
ロム酸、次亜塩素酸、ホウ酸、臭素酸、亜セレン酸、チ
オ硫酸、オルトケイ酸、チオシアン酸、亜硝酸、アルミ
ン酸、炭酸などの金属塩、さらにアルミニウム、ジルコ
ニウム、チタニウムのアルコキシドまたはこれらの錯化
合物などが挙げられる。
【0012】酸化物被覆層は、単層または2層以上の金
属酸化物被覆層である。酸化物を構成する金属成分とし
ては、例えば、アルミニウム、セリウム、ハフニウム、
インジウム、ランタン、ネオヂウム、アンチモン、スカ
ンチウム、ケイ素、タンタル、チタン、イットリウム、
亜鉛、ジルコニウム等が挙げられるがこれらに限定され
るものではない。さらに、酸化物被覆層は、基材上に直
接設けられたものでも、前記有機ケイ素系被覆層上に施
されたものであっても良い。尚、本発明で除去対象であ
る酸化物被覆層及び有機ケイ素系被覆層は、通常欠陥品
であるが、欠陥品に限定されることはなく、理由の如何
を問わず不必要になった被覆層である。
【0013】前記の酸化物被覆層及び有機ケイ素系被覆
層を設けた基材は、例えば、メチルメタクリレート単独
重合体、メチルメタクリレートと1種以上の他のモノマ
ーをモノマー成分とする共重合体、ジエチレングリコー
ルビスアリルカーボネート単独重合体、ジエチレングリ
コールビスアリルカーボネートと1種以上の他のモノマ
ーとをモノマー成分とする共重合体、ポリカーボネー
ト、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリウレタンなどのプラスチックであり、
特にCR−39、シリアルイソ(テレ)フタレート、ベ
ンジルメタクリレートの3元共重合体、m−キシリレン
ジイソシアネート、ペンタエリスリト−ルテトラキス
(メルカプトプロピオネート)の反応物を挙げることが
できる。
【0014】本発明の基材の回収方法は、前記除去剤の
水溶液に、前記の酸化物被覆層及び/又は有機ケイ素系
被覆層を設けた基材を浸漬することにより行う。除去水
溶液の濃度、除去水溶液への浸漬時間及び除去水溶液の
温度等は、除去液の種類や濃度及び除去対象である被覆
層の種類及び厚み等により適宜決定変更することができ
る。例えば、除去水溶液の濃度は前記のように、フッ化
水素化合物と過酸化水素との合計で5〜50重量%の範
囲とし、浸漬時間は30秒〜8時間、除去水溶液の温度
は5〜40℃の範囲とすることが適当である。さらに、
上記除去水溶液への浸漬中に処理物品を揺動させること
は、被覆層の除去の促進に有効である。また、物品を除
去水溶液から取り出した後、流水による洗浄後、洗剤に
よる洗浄、乾燥および/または手拭きによる清浄乾燥を
行うことで、被覆層を設ける前と同様の基材を回収する
ことができる。
【0015】本発明は、上記のようにして回収された基
材に、前記の酸化物被覆層及び/又は有機ケイ素系被覆
層を設けることで、被覆層を有する物品を製造すること
ができる。酸化物被覆層及び有機ケイ素系被覆層の形成
は常法により行うことができる。例えば、酸化物被覆層
は、基材上に真空蒸着法、イオンビーム蒸着法、スパッ
タリング法、イオンプレーティング、イオンクラスター
ビーム蒸着等により設けることができる。この酸化物被
覆層は単層または2層以上の金属酸化物被覆層であるこ
とができ、金属酸化物としては、前記の酸化物を例示で
きる。また、有機ケイ素系被覆層は、常法により、前記
と同様のコーティング液を基材上に塗布し、次いで硬化
させることにより形成することができる。
【0016】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。 実施例1〜18 ポリウレタン系(以下αと呼ぶ)プラスチックレンズ、
アリル系(以下βと呼ぶ)プラスチックレンズ又はCR
−39(以下γと呼ぶ)プラスチックレンズを基材と
し、その上に被覆層として、以下に作製方法を示す硬化
被膜(有機ケイ素系被覆層)及び多層反射防止膜(酸化
物被覆層)の一方又は両方を表1に示す組み合わせで設
けて、実施例1〜18のプラスチックレンズをそれぞれ
作成した。得られた実施例1〜18のプラスチックレン
ズは、表1に示す組成を有する各種の除去水溶液に液温
23℃で表1に示す時間浸漬した。浸漬後、水道水流水
にて洗浄後、清浄乾燥を行った。その結果、いずれのレ
ンズについても、被覆層は完全に除去されており、ハガ
レ状態は良好であり基材が回収された。その結果は表1
に示す。
【0017】さらに、被覆層を除去し、回収したレンズ
に、再度、表1に示す同じ被覆層を前記と同様の条件で
形成した。その結果、回収した基材はいずれも、新品の
基材と同様に被覆層を形成でき、得られた被覆層は優れ
た性能を有する良好なものであった。さらに、実施例3
及び4については、回収した基材上に、回収前とは異な
る表1に示す被覆層も形成した。その結果、新品の基材
と同様に被覆層を形成でき、得られた被覆層は優れた性
能を有する良好なものであった。
【0018】(コーティング液の調製および硬化被膜の
形成) コーティング液Aの調製および硬化被膜の形成 マグネッティックスターラーを備えたガラス製の容器
に、γ−グリシドキシプロピルメトキシシラン142重
量部を加え、攪拌しながら、0.01規定塩酸1.4重
量部、水32重量部を滴下した。滴下終了後、24時間
攪拌を行いγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ンの加水分解物を得た。次に酸化第二スズ−酸化ジルコ
ニウム複合体ゾル(エタノール分散、全金属酸化物3
1.5重量%、平均粒子径10〜15ミリミクロン)4
60重量部、エチルセロソルブ300重量部、さらに滑
剤としてシリコーン系界面活性剤0.7重量部、硬化剤
として、アルミニウムアルミニウムアセトネート8重量
部を、上記γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ンの加水分解物中に加え、充分に攪拌した後、濾過を行
ってコーティング液を作製した。プラスチックレンズを
アルカリ水溶液に浸漬処理し、充分に洗浄を行った後、
上記コーティング液の中に浸漬させ、ディップ法(引き
上げ速度14cm/分)により塗布した。塗布後、プラス
チックレンズを130℃で2時間加熱して有機ケイ素系
被覆層を有するプラスチックレンズを得た。
【0019】コーティング液Bの調製および硬化被膜の
形成 マグネティックスターラーを備えたガラス製の容器にγ
−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン120重量
部を加え、攪拌しながら、0.1規定塩酸27重量部を
滴下した。滴下終了後、24時間攪拌を行い加水分解物
を得た。ついで、水分散シリカ微粒子(固形分20%、
平均粒子径15ミリミクロン)200重量部、溶媒とし
てイソプロピルアルコール100重量部、エチルセルソ
ルブ100重量部、さらに滑剤としてシリコーン系界面
活性剤1重量部、硬化剤としてアルミニウムアセチルア
セトネート5重量部、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛
1重量部を加え、十分攪拌した後、濾過を行い、コーテ
ィング液を得た。次に、プラスチックレンズを50℃の
10%NaOH水溶液に5分間浸漬して十分に洗浄を行った
後、上記のコーティング液を用いて、ディップ法(引き
上げ速度14cm/分)によりコーティングを行い、さら
に130℃で2時間加熱して有機ケイ素系被覆層を有す
るプラスチックレンズを得た。
【0020】コーティング液Cの調製および硬化被膜の
形成 γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン200重
量部に0.06規定塩酸水溶46重量部を攪拌しながら
滴下した。滴下終了後、24時間攪拌を行い加水分解物
を得た。ついで、五酸化アンチモンゾル(メタノール分
散状ゾル、平均粒子径10nm、固形分30%)440重
量部と、エポキシ化合物としてデナコールEX−521
(ナガセ化成株式会社製、ポリグリセロールポリグリシ
ジルエーテル)55重量部とブチルセルソルブ180重
量部とを添加し、5時間攪拌した後、硬化触媒としてジ
ブチルスズラウレートを6.0重量部添加して、さらに
100時間熟成することによりコーティング液を得た。
プラスチックレンズを50℃の10%NaOH水溶液に5分
間浸漬し、十分に洗浄を行った後、上記のコーティング
液を用いて、ディップ法(引き上げ速度12cm/分)に
よりコーティングを行い、さらに120℃で1時間加熱
して硬化させたのち徐冷して有機ケイ素系被覆層を有す
るプラスチックレンズを得た。
【0021】(多層反射防止膜(酸化物被覆層)の形
成) コート プラスチックレンズ上に有機ケイ素系被覆層を施した
後、または直接に先ず真空蒸着法(真空度2×10-5To
rr)により二酸化ケイ素膜からなる第1層〔屈折率1.
47、膜厚3/2λ(λは550nmである)〕を形成し
た。次にこの第1層の上に、真空蒸着法(真空度2×1
-5Torr)により酸化ジルコニウムと二酸化ケイ素の2
層等価膜からなる第2層(屈折率1.80、膜厚λ/
4)を形成した。次にプラスチックレンズを加熱した状
態でレンズに酸素イオンビームを照射しながら二酸化チ
タンを蒸発させた後、これを第2層上に蒸着させること
により、二酸化チタン膜からなる第3層(屈折率2.4
0、膜厚λ/2)を形成した。この酸素イオンビーム照
射蒸着法による第3層の形成に際して、プラスチックレ
ンズの加熱温度を77℃とした。次に、上で得られた第
3層上に、真空蒸着法(真空度2×10-5Torr)により
二酸化ケイ素からなる第4層(屈折率1.47、膜厚λ
/4)を形成して、酸化物被覆層である反射防止膜を有
するプラスチックレンズを得た。
【0022】コート プラスチックレンズを洗浄し、その表面に有機ケイ素系
被覆層を施した後、または直接に5×10-5Torr以下の
圧力でSiO2を1.5μの膜厚まで真空蒸着し、その上に
ZrO2を約λ/17(λは550mμ)蒸着してから、そ
の上にSiO2を、2物質の合計膜厚が約λ/4になるまで
蒸着した。そしてその上にZrO2をλ/2蒸着した後、そ
の上にSiO2をλ/4の膜厚になるまで蒸着して、酸化物
被覆層である反射防止膜を有するプラスチックレンズを
得た。
【0023】コート 有機ケイ素系被覆層を施したプラスチックレンズ、又は
基材レンズを80℃に加熱し、真空蒸着法(真空度2×
10-5Torr)によりSiO2からなる下地層〔屈折率1.4
6、膜厚0.75λ(λは500nmである。)〕を形成
した。次にTa2O5 粉末、Y2O3粉末、およびAl2O3 粉末を
混合し、300Kg/cm2でプレス加圧し、焼結温度130
0℃で焼結して得られた蒸着組成物(モル比:Ta2O5−Z
rO2−Y2O3−Al2O3 =1:1:0.5:0.1Al2O3
有率)を電子銃出力電流170mAにて加熱して形成され
る混合層(屈折率2.08、膜厚0.075λ)と、Si
O2層(屈折率1.46、膜厚0.056λ)よりなる第
一の低屈折率層を形成した。この第一の低屈折率層の上
に前記蒸着組成物と同じ蒸着組成物にて4成分光屈折率
層(屈折率2.08、膜厚0.46λ)を形成し、さら
にその層の上にSiO2からなる第2の低屈折率層(屈折率
1.46、膜厚0.25λ)を形成して酸化物被覆層で
ある反射防止膜を有するプラスチックレンズを得た。な
お、前記低屈折率層および高屈折率層は、前記下地層を
形成した同様の真空蒸着法により形成した。
【0024】コート 下地層膜厚0.5λ、上記蒸着組成物の混合層膜厚0.
063λ、次のSiO2層膜厚0.086λ、次の4成分光
屈折率層膜厚0.5λ、最終の低屈折率層膜厚0.25
λとした以外は、コートと同様の方法で酸化物被覆層
である反射防止膜を有するプラスチックレンズを得た。
【0025】コート 下地層膜厚0.5λ、上記蒸着組成物の混合層膜厚0.
118λ、次のSiO2層膜厚0.056λ、次の4成分光
屈折率層膜厚0.25λ、最終の低屈折率層膜厚0.2
5λとした以外は、コートと同様の方法で酸化物被覆
層である反射防止膜を有するプラスチックレンズを得
た。
【0026】比較例1〜6 表1に示した被覆層を有するレンズを実施例と同様に作
成した。次いで得られたレンズを、水酸化ナトリウム1
0%水溶液に液温23℃で10、30又は60分間浸漬
した。次いで、実施例と同様の洗浄乾燥処理を行った。
その結果、実施例9に対応する比較例1〜3では、浸漬
時間が10分の場合(比較例1)、被覆層に変化はな
く、浸漬時間が30分及び60分でも、レンズの周辺プ
ラスチックに有機ケイ素系被覆層が残っており、完全な
除去はできなかった。また、実施例2に対応する比較例
4〜6では、浸漬時間が10分及び30分の場合(比較
例4、5)、被覆層に変化はなく、浸漬時間が60分で
も、有機ケイ素系被覆層に点状の剥がれは見られたが、
有機ケイ素系被覆層及び酸化物被覆層ともに完全には除
去されていなかった。結果は、表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】本発明の除去剤、及び基材の回収方法に
より得られる効果は以下とおりである。 1)酸化物被覆層の除去が比較的容易に行える。 2)浸漬除去処理時間が短くてすむ。 3)基材に損傷を与えずに膜の除去ができる。そのた
め、再度、その上に有機ケイ素系被覆層および/または
酸化物被覆層を付けても、新品の基材を用いた直行品と
同等の性能を有する製品が得られる。 4)基材に損傷を与えずに膜の除去ができる。そのた
め、再塗布において、初めに施したものと異なる被覆層
を付けても、新しい基材にそれを付けた場合と同等の性
能を有する製品が得られる。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フッ化水素化合物と過酸化水素とを含有
    することを特徴とする有機ケイ素系被覆層又は酸化物被
    覆層の除去剤。
  2. 【請求項2】 フッ化水素化合物と過酸化水素とを含有
    する水溶液に、基材上に有機ケイ素系被覆層、酸化物被
    覆層、又は有機ケイ素系被覆層及び酸化物被覆層を設け
    た物品を浸漬して、前記被覆層を除去して、前記基材を
    回収することを特徴とする、基材の回収方法。
  3. 【請求項3】 有機ケイ素系被覆層が、酸化物微粒子を
    含有する有機ケイ素化合物の硬化被覆層である、請求項
    2記載の方法。
  4. 【請求項4】 酸化物被覆層が、2層以上の酸化物被覆
    層からなる多層被覆層である、請求項2記載の方法。
  5. 【請求項5】 有機ケイ素系被覆層又は酸化物被覆層が
    欠陥品である、請求項2記載の方法。
  6. 【請求項6】 基材がプラスチックレンズである、請求
    項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 【請求項7】 請求項2〜6のいずれか1項に記載の方
    法により回収した基材上に、有機ケイ素系被覆層、酸化
    物被覆層、又は有機ケイ素系被覆層及び酸化物被覆層を
    設けることを特徴とする、被覆層を有する物品の製造方
    法。
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