JP3299127B2 - エンジン点火制御装置 - Google Patents

エンジン点火制御装置

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JP3299127B2 JP27552096A JP27552096A JP3299127B2 JP 3299127 B2 JP3299127 B2 JP 3299127B2 JP 27552096 A JP27552096 A JP 27552096A JP 27552096 A JP27552096 A JP 27552096A JP 3299127 B2 JP3299127 B2 JP 3299127B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジン点火制御
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車において、盗難防止などの
観点から、エンジン始動用キーにコード信号送信手段及
び送信スイッチを設けると共に車両側にキーから送信さ
れるコード信号を受信して認識し得る点火制御装置を設
けたものがある。例えば、エンジン始動時に、キーをシ
リンダ錠に差し込み、任意のタイミングでキーに設けた
送信スイッチを操作して、キーに設けたコード信号送信
手段からそのキー固有のコード信号を送信し、その受信
したコード信号の正否を、車両側の点火制御装置に設け
られているCPUなどにより判断して、正しい場合のみ
点火装置を動作可能にしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、小型二輪自
動車にあっては、通常は車載バッテリの充電電圧により
スタータを回してエンジンを始動しているが、一般にバ
ッテリ容量の小さいものが用いられており、バッテリ上
がりを考慮してキッキングによるエンジン始動を可能に
している。そのような小型二輪自動車に上記キー装置を
装着したものにおいて、バッテリが機能しない状態にあ
っては、上記CPUがキッキングによるエンジン回転に
伴う発電中にのみ動作可能であり、その動作中にコード
信号の受信及び判別を行わなければならない。
【0004】上記バッテリ上がり時には、1回のキッキ
ング動作による発電時間の間でコード信号を受信しかつ
認識して点火許可状態にならなければならない。しかし
ながら、その発電時間は極めて短い(例えば150〜2
00msec程度)ものであり、その間における点火タイミ
ングの回数も少ない。したがって、点火許可状態になっ
ても、その次の点火タイミング時には発電状態が終了し
てCPUがダウンしてしまう場合があり、その場合には
次回のキック始動時にも改めてコード信号の認識の一連
の処理を行わなければならない。
【0005】また、バッテリが機能しない状態で運転中
に電波ノイズなどによりエンジンが停止した場合には、
改めてキック始動を行うことになるが、その際には再度
コード認識の上記一連の処理を行うことになる。しかし
ながら正規ユーザが運転している場合には、そのような
コード認識は不必要であることから、一度正しいコード
認識を行った場合にはコード認識を行わずに、速やかに
再始動可能にしたいという要望もある。
【0006】従来の上記したようなCPU制御点火装置
にあっては、セカンドバッテリを内蔵しておき、メイン
バッテリから電源電圧が供給されなくなった場合でも、
CPUの状態を保持しておくようにしたものがあった。
しかしながら、コストが高騰化するという問題がある。
【0007】また、CPUが電波ノイズなどにより誤動
作した場合に、誤った点火処理を行って円滑な運転を行
えなくなってしまうことを防止するために、CPUの異
常を判別するためのウォッチドッグタイマ回路を設けて
いるCPU回路があるが、そのような回路では、一般に
上記異常時にはCPUをリセットして初期状態にしてい
る。したがって、前記したようにCPUによりコード認
識を行うようにしたキー装置にあっては、ウォッチドッ
グタイマ回路で異常が検出されたら、CPUが初期状態
になるためコード認識も初期の未認識状態になり、エン
ジン点火制御が行われなくなるという問題もある。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決し
て、キック始動失敗時や運転中のエンジン停止時におい
て再キック始動を行う際に、一旦正規のコード認識を行
った場合には、その後に何らかの原因によりCPUがリ
セットされても、所定時間内であれば改めてコード認識
を行うことなく速やかな再キック始動を可能にすること
を実現するために、本発明に於いては、キック始動可能
なエンジンにおいて、エンジン始動時に所定のコード信
号を送信可能なコード信号送信手段を設けると共に、前
記コード信号送信手段から送信された前記コード信号を
認識するためのCPUを車両に設けたエンジン点火制御
装置であって、前記CPUから前記コード信号を認識し
た際に出力されるコード信号認識済み結果を認識済み保
持コンデンサを用いて所定時間保持し得るコード信号認
識保持手段を設けると共に、前記CPUが、リセットさ
れる度に前記コード信号認識保持手段による前記コード
認識済み結果の保持状態を検出し、前記コード認識済み
結果が保持されていた場合には前記コード信号を認識す
るステップを省略するものとした。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に添付の図面に示された具体
例に基づいて本発明の実施の形態について詳細に説明す
る。
【0010】図1は、本発明が適用されたキー装置の構
成の概略を示す図であり、エンジン始動用のキー1を例
えば小型二輪車の車両のボディパネル2に取り付けられ
たキーシリンダ錠3に差し込んだ状態を示している。
【0011】図1に示されるように、キー1の把持部1
aには、送信時に操作する送信スイッチ4と、送信スイ
ッチ4をオンすることにより例えば赤外線の信号を発す
る赤外線発光部5と、送信中の状態を表示するための送
信確認LED6とが設けられている。車両側であるボデ
ィパネル2には、キー1をキーシリンダ錠3に差し込ん
でONの位置に回した状態で上記赤外線発光部5からの
赤外線信号を受信するための赤外線受光部7が取り付け
られており、ボディパネル2内には、赤外線受光部7に
リード線を介して接続されていると共に図示されないブ
ラケットにより固定されたCDIユニット8が設けられ
ている。
【0012】図2に示されるように、上記キー1内には
コード信号の送信制御用のCPU9と、コード信号とし
てのユーザIDを記憶されたID記憶部10とが設けら
れている。上記送信スイッチ4のオン信号が入力される
と、CPU9により、ID記憶部10からユーザIDを
読み取り、そのコード信号を赤外線発光部5から赤外線
の信号として発すると共に、その送信中をLED6によ
り表示する。
【0013】上記CDIユニット8内にはCPU12
と、上記キー1と同一のユーザIDを記憶されたID記
憶部13と、点火制御用のCDI基本回路部14と、電
源回路部15とが設けられている。そのCPU12で
は、赤外線受光部11により受信したキー側のユーザI
Dのコード信号と、ID記憶部13に記憶された車両側
のユーザIDのコード信号とを照合し、その正否を判別
すると共に、デジタル点火制御を行うようになってい
る。
【0014】CDIユニット8の電源電圧供給用の電源
回路15にはバッテリBTと、図示されないエンジンに
より駆動される発電機としてのACG16とがそれぞれ
並列に接続されている。これにより、バッテリBTの充
電量が十分な場合にはバッテリBTから電源電圧が供給
され、バッテリBTの充電量が不十分あるいは放電また
は未接続状態の場合にはACG16の発電により電源電
圧が供給される。
【0015】また、本CDIユニット8のCPU12に
は、電波ノイズなどによりCPU12に異常が生じた場
合にはCPU12が誤動作するため、その異常を検出し
CPU12をリセットするためのウォッチドッグタイマ
回路17が接続されていると共に、本発明に基づくコー
ド信号認識保持手段18が接続されている。なお、CD
Iユニット8に、ユーザIDを認識した結果の表示用と
して何らかの可視発光部を設けても良い。
【0016】このようにして構成されたエンジン点火制
御装置において、運転開始時には、キー1をキーシリン
ダ錠3に差し込んでONの位置まで回しかつ送信スイッ
チ4をオンすることになり、それによりキー1の赤外線
発光部5からコード信号が送信される。バッテリBTの
充電状態が十分な場合には、キー1をONの位置まで回
すと電源回路15が作動し、CDIユニット8に電源電
圧が供給されて、コード信号を常に受信可能な状態にな
り、この状態で送信スイッチ4をオンするとコード信号
が所定の間隔で数回送信され、CPU12により、コー
ド信号の正否の判別を行って、正しいと認識した場合に
はCDI基本回路部14を介して通常のスタータ始動に
よるエンジンの点火制御を行うことができる。
【0017】次に、本エンジン点火制御装置における本
発明に基づくCPU12による制御を図3のフロー図を
参照して以下に示す。まず、運転開始時にキー1をキー
シリンダ錠3に差し込んでONの位置まで回すと、スイ
ッチ・オン状態になり、CDIユニット8がパワーオン
状態になってCPU12が作動状態になる。CPU12
が作動し始めると、図3の第1ステップST1に示され
るように、先ずリセット処理される。次の第2ステップ
ST2では、コード信号認識済みの結果が保持されてい
るか否かを判別するが、その判別は、CPU12からコ
ード信号認識保持手段18に対して行う。
【0018】なお、図4にコード信号認識保持手段18
の一具体例を示す。図4に示される回路では、CPU1
2のコード信号認識済み出力端子0UTからダイオード
D1を介して出力されるラインに認識済み保持コンデン
サC1が接続されており、認識済み保持コンデンサC1
には抵抗R1が並列に接続されている。この抵抗R1
は、認識済み保持コンデンサC1の放電時間(認識済み
の保持時間)の調整用であり、他のループからの放電や
認識済み保持コンデンサC1の容量の設定により省略し
ても良い。そして、認識済み保持コンデンサC1の正側
端子がFETのゲートに接続され、そのFETのオン/
オフ状態を入力端子INで検出するようになっている。
キック始動時のCPU12の出力端子OUTからの出力
により、認識済み保持コンデンサC1が充電されると共
にFETがオンするため、そのFETのオン状態を検出
することにより、一旦出力端子OUTから認識済み信号
が出力されたことを確認できる。
【0019】このように構成されたコード信号認識保持
手段18の回路では、コード信号を受信して照合結果か
ら正規のユーザコードであることを認識したら、コード
信号認識済みとして端子OUTからハイレベル信号が出
力される。それにより認識済み保持コンデンサC1が充
電され、その充電電圧を入力端子INで検出し、その検
出電圧(充電電圧)が閾値以上になっていれば、前記第
2ステップST2でコード信号認識済みであると判断す
る。
【0020】運転開始時にスイッチ・オンした直後から
コード信号受信前までの状態では認識済み保持コンデン
サC1は未充電であることから、上記検出電圧が閾値以
下であり、第2ステップST2でコード信号認識済みで
ないと判断されて、第3ステップST3に進む。その第
3ステップST3でコード信号の受信処理を行い、次の
第4ステップST4でコード信号の認識処理を行って、
正規のユーザコードあるか否かの判別を行う。そして、
上記したように、正規のユーザコードであることが認識
されたら、第5ステップST5で、端子OUTからコー
ド信号認識済み出力としてハイレベル信号が出力され
る。
【0021】次の第6ステップST6ではCPU12に
よりCDI基本回路部14に対して点火制御を許可し、
第7ステップST7に進む。第7ステップST7では、
CPU12の異常をチェックする。この異常には、前記
したウォッチドッグタイマ回路17によるウォッチドッ
グ信号に異常が生じた場合である。そして、正常であれ
ば、第6ステップST6に戻り、点火制御を継続する。
【0022】第7ステップST7で異常が生じていると
判断された場合には第1ステップST1に戻り、その第
1ステップST1でCPU12をリセットする。この時
には、CPU12が異常であることから、必然的にコー
ド信号認識済み出力のオフが生じて第1ステップST1
に戻ることになる。そして、第2ステップST2に進
み、再度コード信号認識済みの確認を行う。
【0023】また、バッテリが機能しない状態で運転中
にエンジンが停止した場合にも、CPU12が電源オフ
状態になるため、上記と同様に第7ステップST7でC
PU異常と判断される。この場合にも上記同様にコード
信号認識済み出力のオフが生じて第1ステップST1に
戻ることになる。
【0024】次に、図5のタイムチャートを参照してバ
ッテリ上がりやバッテリ未接続などのバッテリが機能し
ない状態での運転開始の際のキック始動時の作動要領に
ついて以下に示す。まず、キッキングの強さに応じた時
間だけACG16が回転して、それに応じて発生する電
圧により回路電圧が生じ、回路電圧が回路動作に必要な
定電圧Vccになっている間、CPU12が動作可能にな
る。
【0025】この時、例えば図5に示される各点火タイ
ミングT1・T2・T3で点火制御を行うとすると、図
における最初の点火タイミングT1ではCPU12がオ
フ状態であり、次の点火タイミングT2までに回路電圧
の上昇に伴ってCPU12が作動状態になる。すると、
前記したフローで示したように、まず第2ステップST
2にて、コード信号認識済みの有無を認識済み保持コン
デンサC1の充電電圧を検出することで確認する。
【0026】ある程度の時間経過後にキック始動する場
合には、認識済み保持コンデンサC1は放電しており、
次の第3ステップST3に進むことから、コード信号の
受信・認識の処理を行う。このコード信号受信・認識処
理を行っていて、点火許可の状態(認識済み保持コンデ
ンサC1の充電電圧が閾値Vth以上)になっていない場
合には、次の点火タイミングT2になっても点火制御は
行われない。
【0027】その後、コード信号受信・認識処理が終了
して正規のIDコードを確認できたら点火許可処理を行
うと共に、コード信号認識済みの信号を出力端子OUT
から出力し、それに伴って認識済み保持コンデンサC1
が充電される。そして、次の点火タイミングT3の前に
ACG16が停止するが、その場合であっても電源回路
のコンデンサにより、ある程度回路電圧が定電圧Vccに
保たれており、その間、CPU12が動作し続け、上記
IDコードの確認により点火制御を許可する。
【0028】しかしながら、その点火制御許可後の点火
タイミングT3時には上記したようにACG16が停
止、すなわちエンジンが停止しているため、点火制御が
許可されたにもかかわらず点火されないことになる。ま
た、ACGが充電電圧を発生しないため、回路電圧の低
下によりCPU12がオフしてしまい、第7ステップS
T7で始動失敗となって第8ステップST8を経て、パ
ワーオン前に戻り、CPU12が初期状態になる。
【0029】上記したように1回目のキック始動で点火
が行われなかった場合には、運転者は2回目のキック始
動を試みる。この2回目のキック始動におけるCPU1
2の作動時には、上記と同様にコード信号認識済みの有
無を確認する。この時、前回のキック始動時においてコ
ード信号の認識が行われていた場合であって比較的短い
間隔でキック始動を行った場合には、図5に示されるよ
うに認識済み保持コンデンサC1の放電途中であって、
その充電電圧が閾値Vth以下まで降下しないようにされ
ている。
【0030】したがって、この2回目のキック始動にお
けるコード信号認識済みの有無の確認にあっては、認識
済みであることを確認することから、制御フローにおけ
る第2ステップST2から第5ステップST5に進む。
そのため、即座に点火制御を開始することになり、1回
目のキック始動における点火タイミングT2に相当する
図に示される点火タイミングT5にて点火することがで
きる。このようにして、比較的短い間隔でキック始動を
繰り返す場合には、毎回コード信号認識済みの有無を確
認する必要が無く、確認に時間を要しても、2回目以降
のキッキングによる始動の確実性が向上する。
【0031】なお、バッテリが機能しない状態での運転
中にエンジンストップしてCPUが停止してしまった場
合においても、比較的短い時間内での再始動を行うの
は、正規ユーザによるものであると判断でき、盗難防止
に対して何ら不都合を生じることがない。この時、保持
時間を長く設定し過ぎると、通常の使用時に正規ユーザ
がキースイッチをオフしてキーを抜き取って車両を離れ
た直後に不正使用者がキースイッチをバイパスして、電
源回路を直結することによりエンジンを始動しようとす
ると、保持手段がコード認識済みの状態であるとCPU
が判断して、コード入力無しに始動できてしまう。した
がって、コード認識済み保持時間は正規ユーザが再キッ
ク始動するまでに十分な時間(例えば15〜120se
c)に設定すると良い。
【0032】また、キースイッチをオフすることによ
り、キーシリンダに連動した電源スイッチがオフするた
め、それに連動して保持用コンデンサを放電させるなど
して、保持状態を強制的に速やかにキャンセルするキャ
ンセル手段を追加しても良い。
【0033】また、本発明によれば、CPU12の異常
時におけるウォッチドッグタイマ回路17によるリセッ
ト処理に対しても有効である。電波ノイズなどの何らか
の障害によりCPU12が誤動作した場合に、その誤動
作による異常をウォッチドッグタイマ回路17により検
出したら、CPU12がリセットされるため、CPU1
2は初期状態になってしまう。
【0034】制御フローの第8ステップST8にてCP
U12が異常になったことを判別して第1ステップST
1に戻ってCPU12がリセットされて、第2ステップ
ST2でコード信号認識済みの結果が保持されていない
と判別された場合には、再度、第3ステップST3・第
4ステップST4のコード信号受信・認識処理を行うこ
とになる。
【0035】本発明によれば、一旦行われたコード信号
認識済みの結果はコード信号認識保持手段18により、
上記コード信号認識済みの結果が、CPU12の制御動
作開始してウォッチドッグタイマによるリセット後から
保持状態検出に至るまでの時間以上保持されるため、制
御フローの処理で第1ステップST1に戻ってリセット
されて第2ステップST2に進んだ場合には、十分に上
記保持中に認識済みの確認を行うことができる。したが
って、第2ステップST2から第5ステップST5に進
むことになり、瞬間的なノイズの場合には速やかに点火
制御を続行し得る。
【0036】コード信号認識保持手段18は、上記図4
の回路に限定されるものではなく、その他の回路例につ
いて以下に示す。なお、前記図示例と同様の部分には同
一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0037】図6に示される第2の具体例では、CPU
12のコード信号認識済み出力端子0UTからダイオー
ドD1を介して出力されるラインに認識済み保持コンデ
ンサC1が接続されており、回路の定電圧端子Vccに向
けて接続されたダイオードD2に認識済み保持コンデン
サC1の正側端子が接続されている。また、認識済み保
持コンデンサC1には図4と同様に抵抗R1が並列に接
続されている。そして、認識済み保持コンデンサC1の
正側端子が、抵抗R2を介してCPU12の入力端子I
Nに接続されている。
【0038】この第2の具体例では、バッテリ上がりの
心配のない大型バッテリ搭載車やCPU12の一時的な
ノイズ発生に対処し得る。例えば、正規のコード認識済
み保持状態になったら、CPU12の端子OUTからの
信号出力によりコンデンサC1が満充電されてコード認
識済み保持状態になると共に、点火制御が開始される
が、その点火制御中にノイズによりCPU12が異常状
態になると、ウォッチドッグタイマ回路17によりCP
U12がリセットされて、点火制御が行われなくなり、
端子OUTからの出力もオフ状態になる。
【0039】すると、コンデンサC1が放電を開始する
が、閾値Vth以下になるまでに上記リセット信号が解除
されると、CPU12が再び作動状態になる。通常のウ
ォッチドッグタイマ回路17によるリセット信号の比較
的短い出力時間であれば、コンデンサC1の充電電圧が
閾値Vth以下にはならず、制御再開に伴うコード認識済
みチェックではコード認識済みであると判断される。し
たがって、点火制御中断状態を極力短い時間にすること
ができ、CPU瞬断時の制御停止状態を認識する程では
ない。
【0040】次に、第3の具体例を図7を参照して示
す。この図7では、認識済み保持コンデンサC1の正側
端子をオペアンプであって良いコンパレータCPの一方
の入力端子に接続し、コンパレータCPの他方の端子に
は定電圧Vccを分圧した基準電圧を入力することによ
り、認識済み保持コンデンサC1の充電電圧が基準電圧
以上の場合にはコンパレータCPから出力信号がCPU
12の入力端子INに出力されるようになっている。
【0041】この第3の具体例のものでは、前記第1の
具体例で示したものと同様に、コンデンサC1の放電が
緩やかに行われるため、バッテリ上がりや外れ時におい
て始動失敗して電源電圧が消失しても、コンデンサC1
によるコード認識済み保持状態が即座に消失せず、続け
て行われるキック始動時にコード認識処理をやり直すこ
となく、速やかなキック始動時の点火制御処理を行うこ
とができる。また、ハイ・インピーダンスでの検出を行
うことができ、CPU12にとって好都合である。
【0042】同様にハイ・インピーダンスでの検出を行
う場合の第4の具体例を図8に示す。この図8では、上
記第3の具体例のコンパレータCPの代わりにデジタル
ICを用いている。また、図9の第5の具体例も同様で
あり、この図9では、上記第4の具体例のデジタルIC
の代わりにオペアンプOPを用いている。これら具体例
においても、前記第1の具体例と同様の効果を奏し得
る。
【0043】なお、以上述べた各具体例におけるダイオ
ードD1は、定電圧Vccが消失する時の逆流を制限する
ものであり、抵抗に代えても良い。
【0044】次に、CPU12の出力端子OUTからパ
ルス波が出力する場合の実施の形態としての第6の具体
例について図10に示す。この第6の具体例にあって
は、CPU12の出力端子OUTに、コンデンサC2を
介して、例えばウォッチドッグタイマ回路からなる保持
回路19の入力端子PINが接続されており、その出力端
子OがCPU12の入力端子INと接続されている。C
PU12がオン状態になると出力端子OUTから上記し
たようにパルス波が出力され、そのパルス波の入力を受
けて、保持回路19の上記出力端子OUTからコード認
識保持信号が出力される。
【0045】また、CPU12には正常時に所定のパル
ス波を出力するウォッチドッグ端子WDTが設けられて
おり、そのウォッチドッグ端子WDTにはコンデンサC
3を介して、ウォッチドッグタイマ回路20の入力端子
PINが接続されており、その出力端子OがCPU12の
リセット端子Rと接続されている。なお、保持回路19
及びウォッチドッグタイマ回路20の各時間設定端子T
には、コンデンサ・抵抗により構成された時間設定回路
が接続されているが、保持回路19の時間設定をウォッ
チドッグタイマ回路20よりも長く設定してある。
【0046】この第6の具体例の回路における作動要領
を図11のタイムチャートを参照して以下に示す。スイ
ッチ・オン状態になると、CPU12にあってはリセッ
ト信号が入力された場合と同じであり、リセット端子R
における信号入力状態は図の上段に示されるようにな
る。前記した制御フローによりコード信号受信・認識処
理を行い、正規のIDコードであることを認識したら、
CPU12の出力端子OUTからは、図の中段に示され
るように所定のパルス波が出力され、そのパルス波の入
力により保持回路19の出力端子Oからコード認識保持
信号が出力されて、CPU12の入力端子INの状態が
図の下段に示されるようにローレベル(L)状態からハ
イレベル(H)状態になる。
【0047】その後、ノイズなどによりCPU12がタ
イミングT1で異常状態になり、その異常をウォッチド
ッグタイマ回路20により検出して、タイミングT2で
CPU12がリセットされると、タイミングT1からリ
セットが解除されるまで出力端子OUTからのパルス波
が消失する。このようなリセット時の短い間では保持回
路19の出力が保持され得るように設定されており、リ
セット処理後のCPU12の立ち上がり時に前記したよ
うに即座にコード認識済みを確認でき、点火制御を続行
し得るものであり、前記図6で示した第2の具体例と同
様の効果を奏し得る。
【0048】また、パルス波に対応した別の実施の形態
としての第7の具体例を図12により示す。この第7の
具体例では、CPU12の出力端子OUTにコンデンサ
C4を介してトランジスタQ1のベースが接続されてい
る。このトランジスタQ1がオンすると認識済み保持コ
ンデンサC1が充電されるようになっている。そして、
認識済み保持コンデンサC1の正側端子がCPU12の
入力端子INに接続されていると共に放電時間調整用抵
抗R1が認識済み保持コンデンサC1に並列に接続され
ている。
【0049】この第7の具体例の回路における作動要領
を図13のタイムチャートを参照して以下に示す。スイ
ッチ・オン状態になると、定電圧Vccが発生し、CPU
12が作動状態になり、前記制御フローに基づいてコー
ド信号受信・認識処理を行い、正規のIDコードである
ことを認識したら、CPU12の出力端子OUTから図
に示されるように所定のパルス波が出力され、そのパル
ス波の入力によりトランジスタQ1がオンして認識済み
保持コンデンサC1が充電される。その充電電圧は入力
端子INにより検出でき、その状態を図13の最下段に
示す。
【0050】そして、上記と同様にノイズなどにより異
常状態になったCPU12がリセットされて一時停止し
た場合には、出力端子OUTからパルス波が出力されな
くなるため、認識済み保持コンデンサC1が放電状態に
なる。この時、例えば充電状態すなわちコード認識済み
の有無の判断を入力端子の入力電圧値に閾値Vthを設け
て判断している。したがって、CPU12の停止状態が
比較的短い間であれば、図13に示されるように放電が
少しのため、入力端子INでの検出電圧値が閾値以下に
ならず、CPU12が復帰した時に閾値よりも入力端子
INの検出電圧値が上回っていることにより、上記具体
例と同様に即座にコード認識済みを確認でき、点火制御
を続行し得る。
【0051】このようにして構成されたエンジン点火制
御装置にあっては、そのコード信号認識保持手段18に
よる保持時間は、ウォッチドッグタイマ設定時間と、ウ
ォッチドッグタイマによるリセット時間と、CPU12
の起動時間と、第2ステップST2による認識済みの確
認に要する時間との合計時間以上であれば良い。通常そ
の時間は、数msec〜数百msec程度である。また、前記し
たように、始動失敗やエンジンストップしてから次のキ
ック始動を行うまでコード信号認識済みを保持する場合
には再始動動作を行うのに十分であると思われる約30
secから、正規ユーザがエンジンを停止して車両から離
れている間に第三者により電源線の短絡などによりエン
ジンを不正に始動されてしまうことを防止し得る2分程
度までの保持時間を設定すれば良い。
【0052】
【発明の効果】このように本発明によれば、盗難防止の
ためにエンジン始動の度にコード認識を行うようにした
エンジン点火制御装置において、バッテリ上がり状態な
どにおいてキック始動する際に、運転開始時に1回で始
動できない場合や運転中のエンジンストップ時の再キッ
ク始動する場合にはCPUがリセットされてしまうが、
一旦行われた正規コードの認識済みの結果を保持すると
共にコード信号の受信・認識の処理を行う前にコード認
識済みの結果が保持されていることをリセットする度に
確認することから、再始動時にコード信号受信・認識処
理を行わずに即座に始動処理を行うことができ、再始動
を即座に行う正規ユーザにとって好適なエンジン再始動
処理を行うことができる。また、一時的なノイズなどに
よりCPUが誤動作して初期化された場合にも同様に速
やかに点火制御を続行できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたエンジン点火制御装置の構
成の概略を示す図。
【図2】本装置の要部回路を示すブロック図。
【図3】本発明に基づく制御フロー図。
【図4】コード信号認識保持手段18の第1の具体例を
示す図。
【図5】本発明に基づく制御によるタイムチャート。
【図6】コード信号認識保持手段18の第2の具体例を
示す図。
【図7】コード信号認識保持手段18の第3の具体例を
示す図。
【図8】コード信号認識保持手段18の第4の具体例を
示す図。
【図9】コード信号認識保持手段18の第5の具体例を
示す図。
【図10】コード信号認識保持手段18の第6の具体例
を示す図。
【図11】第6の具体例の回路における作動要領を示す
タイムチャート。
【図12】コード信号認識保持手段18の第7の具体例
を示す図。
【図13】第7の具体例の回路における作動要領を示す
タイムチャート。
【符号の説明】
1 キー 1a 把持部 2 ボディパネル 3 キーシリンダ錠 4 送信スイッチ 5 赤外線発光部 6 LED 7 赤外線受光部 8 CDIユニット 9 CPU 10 ID記憶部 12 CPU 13 ID記憶部 14 CDI基本回路部 15 電源回路部 16 ACG 17 ウォッチドッグタイマ回路 18 コード信号認識手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤石 毅 群馬県桐生市広沢町1丁目2681番地 株 式会社三ツ葉電機製作所内 (56)参考文献 特開 平8−150901(JP,A) 特開 昭64−56248(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02P 11/04 B60R 25/04 - 25/10 B62H 5/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キック始動可能なエンジンにおいて、
    エンジン始動時に所定のコード信号を送信可能なコード
    信号送信手段を設けると共に、前記コード信号送信手段
    から送信された前記コード信号を認識するためのCPU
    を車両に設けたエンジン点火制御装置であって、 前記CPUから前記コード信号を認識した際に出力され
    るコード信号認識済み結果を認識済み保持コンデンサを
    用いて所定時間保持し得るコード信号認識保持手段を設
    けると共に、 前記CPUが、リセットされる度に前記コード信号認識
    保持手段による前記コード認識済み結果の保持状態を検
    出し、前記コード認識済み結果が保持されていた場合に
    は前記コード信号を認識するステップを省略することを
    特徴とするエンジン点火制御装置。
  2. 【請求項2】 前記コード信号認識済み結果を保持す
    る所定時間が、前記CPUの誤動作によるウォッチドッ
    グリセット後から前記保持状態の検出に至る時間以上で
    あることを特徴とする請求項1に記載のエンジン点火制
    御装置。
  3. 【請求項3】 前記コード信号認識保持手段による前
    記コード認識済み結果の保持状態が、キーシリンダに連
    動した電源スイッチがオフされたことによりキャンセル
    されることを特徴とする請求項1に記載のエンジン点火
    制御装置。
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