以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るエンジン始動装置を搭載した車両20のスマートエントリーシステムの構成を示す。まず、このスマートエントリーシステムは、走行するための機器を搭載した車両20を、複数(本実施形態では4個)の電子キー(以下「携帯機」と称する)10A〜10Dにより物理的なメカキーを使用することなく使用可能とするものである。
まず、携帯機10A〜10Dは、大略、受信手段11と、送信手段14と、電池電源部17と、記憶手段である携帯機用メモリ18と、マイコンからなる制御部19とを備えている。
前記受信手段11は、コイルアンテナ12を接続したLF(低周波数)受信回路13からなる。このLF受信回路13は、車両20から送信された起動信号によってコイルアンテナ12が電磁誘導されることにより起電力を発生させて、後述する制御部19を起動させる。また、車両20から送信されたリクエスト信号を受信し、制御部19に出力するものである。
前記送信手段14は、送信アンテナ15を接続したRF(ラジオ周波数)送信回路16からなる。このRF送信回路16は、車両20に対する返信である識別信号を作成し、前記送信アンテナ15から送信させるものである。
前記電池電源部17は、電池を搭載した電池回路からなり、制御部19の作動信号により電力を通電可能な作動状態に起動するものである。
前記携帯機用メモリ18は、予め携帯機10A〜10D毎に割り当てられた異なるリクエスト信号および識別信号が記憶されたものである。
前記制御部19は、受信手段11から入力される起電力により一時的に起動することにより、まず、電池電源部17に対して作動信号を出力し、該電池電源部17からの電力で以後作動する。そして、車両20からの起動信号の後に受信したリクエスト信号を、携帯機用メモリ18に記憶されたリクエストデータと比較し、一致している場合には、送信手段14を介して携帯機10A〜10D毎に割り当てられている自己の識別信号を出力する。また、送信が完了すると、所定時間後に電池電源部17からの電力を遮断するものである。
次に、車両20は、大略、車載機器であるドアロック装置22、エンジン制御部23およびステアリングロック装置26と、運転者による車載機器の作動意思を検出するための複数の検出手段30〜35と、携帯機10A〜10Dとの無線通信手段36,40,45と、車両用電源部48と、メイン制御部50とを備え、これらをコントロールエリアネットワーク(以下「CAN」と称する。)21により接続したものである。なお、このCAN21は、車両20の各車載機器および検出手段をメイン制御部50と接続し、内外の諸情報をメイン制御部50に多重通信可能とするものである。
前記ドアロック装置22は、車外側のアウターハンドル37(図2参照)または車内側のインナーハンドル(図示せず)の操作により開放可能としたドアを、開放不可能に施錠および開放可能に解錠することにより、車両20のドアをロックおよびアンロック制御するドアロック制御機構である。このドアロック装置22は、駆動装置であるアクチュエータの作動により施錠(ロック)状態および解錠(アンロック)状態に切り換えられる。また、バッテリ49の蓄電力不足による電気的解錠が不可能な状況を加味して、ドアには従来と同様のシリンダ錠(図示せず)が設けられ、物理的なメカキー(図示せず)を差し込んで操作することにより、ロックおよびアンロックすることも可能に構成されている。そして、このドアロック装置22には、ロック状態およびアンロック状態のいずれの状態であるかを検出するためのドアロック状態検出部(車両不使用状態検出部)であるロックリンクスイッチが搭載されている。
前記エンジン制御部23は、メイン制御部50からの作動信号に基づいてエンジンの始動制御および停止制御を行う駆動装置である。なお、始動制御時には、メイン制御部50からCAN21を介して受信した作動信号により、セルモータ24を作動させる信号をリレー25に対して出力する。但し、セルモータ24は、エンジン制御部23からの作動信号が入力され、且つ、メイン制御部50が車両用電源部48に作動信号を出力することにより、該車両用電源部48からリレー25に電力が供給されなければ作動しない(AND処理)。また、停止制御時には、エンジンの燃料系や電気系等を遮断させる信号を出力する。さらに、エンジンの駆動系や冷却系等により、該エンジンの作動状態や停止状態を検出するエンジン状態検出部(車両不使用状態検出部)の役割をなす。
前記ステアリングロック装置26は、ステアリングシャフトに対してロックボルトを進退させることにより、該ステアリングシャフトを回転不可能にロックおよび回転可能にアンロックするものである。前記ロックボルトは、モータ等の駆動装置によって電気的に進退されるもので、誤作動防止のために、メイン制御部50から作動信号が入力され、且つ、車両用電源部からの電力が供給されなければ作動しない(AND処理)。また、このステアリングロック装置26は、ステアリングシャフトのロック状態を検出するロックセンサ、および、アンロック状態を検出するアンロックセンサが搭載されている。
なお、その他の車載機器(負荷)としては、後述するイグニッションスイッチ33が「ACC」状態に操作された場合に作動されるオーディオ27、「ON」状態に操作された場合に新たに作動される車内空調装置28およびエンジン制御部23を含む走行制御装置29を有し、イグニッションスイッチ33が「START」状態に操作された場合には、電圧の低下を防止するために走行制御装置29のみ作動されるようになっている。
運転者による車載機器の作動意思を検出するための検出手段としては、ハンドルタッチセンサ30、ドアロックスイッチ31、ドアスイッチ32、イグニッションスイッチ33、ブレーキペダルスイッチ34およびギヤシフトスイッチ35が搭載されている。
前記ハンドルタッチセンサ30は、ドアのアウターハンドル37内に設けられ、ハンドルに人体が接触することにより人体の乗車意思を検知する。また、前記ドアロックスイッチ31は、ドアのアウターハンドル37の車外側に設けられ、人体の降車意思(ドアの施錠意思)を検出する。さらに、前記ドアスイッチ32は、ドアを閉めるとオンし、開けるとオフするスイッチであり、人体の乗車意思(状態)および降車意思(状態)を検出する。
エンジン始動スイッチであるイグニッションスイッチ33は、操作が継続されている間だけオン(短絡)するプッシュスイッチであり、人体(運転者)によるオーディオ27や車内空調装置28などの車載装置の作動意思と、エンジンの始動意思および停止意思を検出し、その操作(オン)信号をメイン制御部50に出力するものである。
前記ブレーキペダルスイッチ34は、ブレーキを踏み込むとオンし、踏み込まなければオフする常開スイッチであり、エンジンが作動していない状態では運転者のエンジンの始動意思を検出する。また、前記ギヤシフトスイッチ35は、ギヤシフトが「P(パーキング)」位置に操作された状態でのみオンするスイッチであり、運転者のエンジンの始動意思または停止意思を検出する。
また、車両20の無線通信手段としては、一対の車外送信手段36A,36B、一対の車内送信手段40A,40Bおよび車内外受信手段45が搭載されている。
前記車外送信手段36A,36Bは、図2に示す前側左右のドアのアウターハンドル37A,37B内にそれぞれ配設した車外用コイルアンテナ38と、各車外用コイルアンテナ38にそれぞれ接続された車外用LF(低周波数)送信回路39とからなる。この車外用LF送信回路39は、携帯機10A〜10Dに対する起動信号およびリクエスト信号を作成し、前記車外用コイルアンテナ38から送信させるものである。
前記車内送信手段40A,40Bは、図2に示す車内のインストルメントパネル41およびセンターコンソール42にそれぞれ配設した車内用コイルアンテナ43と、各車内用コイルアンテナ43にそれぞれ接続された車外用LF送信回路39と同様の車内用LF送信回路44とからなる。そして、イグニッションスイッチ33が操作されることによるメイン制御部50からの送信要求信号に基づいて、各携帯機10A〜10Dに対して起動信号およびリクエスト信号を送信するものである。
前記車内外受信手段45は、図2に示すセンターコンソール42に配設した受信アンテナ46と、該受信アンテナ46に接続されたRF(ラジオ周波数)受信回路47とからなる。このRF受信回路47は、リクエスト信号を受信した携帯機10A〜10Dからの識別信号を受信し、メイン制御部50に出力するものである。
前記車両用電源部48はバッテリ49に接続され、メイン制御部50からの信号により電源モードが「START」、「ACC」、「IG(ON)」および「OFF」位置に切り換えられ、車両20の所定の電源経路を接続および遮断する。これにより、各車載機器へ供給する電源を制御するものである。なお、この車両用電源部48は、後述するメイン制御部50から電源制御信号がCAN21およびダイレクト回線(以下「COM」と称する。)を介して2系列で入力され、その2系列の制御信号を検出しなければ電源経路の切換作動はしない(AND処理)。また、車載機器であるリレー25およびステアリングロック装置26には、メイン制御部50からの制御信号の入力により、予め設定された時間のみ電力を供給する。
前記メイン制御部50はマイコンであり、CAN21および直接接続したCOMにより、前記各検出手段30〜35の検出信号(情報)、および、車内外受信手段45による受信信号(情報)を受信し、その各情報に基づいて各車載機器および送信手段36A,36B,40A,40Bを制御するものである。なお、各情報に基づいた制御プログラム、該プログラムで使用する認証データ(ID)、および、判断結果等は、書換可能な記憶手段である車両用メモリ51に記憶されている。
このメイン制御部50は、各検出手段30〜35および携帯機10A〜10Dとの無線通信手段36,40,45とCOMによって接続されている。また、ドアロック装置22とCOMによって接続され、運転者の解錠意思または乗車意思を検出するとアンロック信号を出力する一方、運転者の施錠意思または降車意思を検出するとロック信号を出力する。さらに、車両用電源部48とCAN21およびCOMの両方で接続され、ブレーキペダルスイッチ34がオフ状態で、イグニッションスイッチ33が0.5秒未満で操作されると、その操作の度に電源モードを「ACC」、「IG(ON)」および「OFF」に切り換えるように制御信号を2系列で出力する。一方、ブレーキペダルスイッチ34がオン状態で、イグニッションスイッチ33が操作されると、CAN21を介してエンジン制御部23に作動信号を出力するとともに、COMを介して車両用電源部48に作動信号を2系列で出力する。さらにまた、ステアリングロック装置26とは直接的なCOM接続と、車両用電源部48を介した間接的なCOM接続の2系列で接続され、ステアリングロック装置26に対して直接ロックまたはアンロックさせる作動信号を出力するとともに、車両用電源部48にステアリングロック装置26に対して電力を供給させる制御信号を2系列で出力する。
そして、これらの制御は、運転者の降車時、降車後の不使用状態、人体の乗車時、および、エンジンの始動時に、キー(携帯機10A〜10D)探査処理を伴う確認処理を実行し、不使用状態で車内に存在しない(置き忘れていない)携帯機10A〜10Dが存在する場合のみ、所定の作動信号を出力する。具体的には、運転者の降車時にはドアロック処理に係る作動信号を出力し、人体の乗車時にはドアアンロック処理に係る作動信号を出力し、エンジンの始動時にはエンジン作動処理に係る作動信号を出力する。また、降車後の不使用状態では定期車内キー探査処理を実行し、前記各処理での無効キーを設定する。
なお、前記不使用状態は、エンジン制御部23を介してエンジンの停止状態を検出し、且つ、ドアロック装置22を介してドアがロック状態であるときに、車両20が不使用状態であると判断するものである。また、車外キー探査処理は、車外送信手段36A,36Bより車外に向けて起動信号および携帯機10A〜10D毎に異なるリクエスト信号を順次送信する。さらに、車内キー探査処理は、車内送信手段40A,40Bより車内に向けて起動信号および携帯機10A〜10D毎に異なるリクエスト信号を順次送信する。そして、これらのキー探査処理は、車内外受信手段45で受信した携帯機10A〜10D毎に異なる識別信号と、車両用メモリ51に予め記憶された認証コードとを比較して、一致する携帯機10A〜10Dが存在するか否かを判断するものである。
具体的には、本実施形態のメイン制御部50は、運転者の降車時には、降車意思検出手段であるドアロックスイッチ31またはドアスイッチ32により降車意思を検出すると、車外および車内のキー探査処理(車内外携帯機位置検出処理)を実行し、各携帯機10A〜10Dの有無を示すフラグを車両用メモリ51に記憶(セット)する。そして、車外に認証した携帯機10A〜10Dが存在する場合には、ドアロック装置22によるロック作動を実行するとともに、車内に存在する認証した特定の携帯機10A〜10Dが存在する場合には、その携帯機10A〜10Dが置き忘れを意味するキー閉込フラグをセットし、その携帯機10A〜10Dによるアンロック作動を禁止する。また、車外に認証した携帯機10A〜10Dが存在しない場合には、ドアロック装置22によるロック作動を実行しない。
降車後(不使用状態)には、所定時間毎に、車内のキー探査処理を実行することにより、置き忘れ携帯機10A〜10Dの有無を確認する確認処理を実行する。そして、検出した携帯機10A〜10Dを車両用メモリ51に記憶し、その記憶した特定の携帯機10A〜10Dによるドアロック装置22の解錠作動、および、イグニッションスイッチ33の操作に伴う作動全てを禁止する作動禁止設定処理を行う。
人体の乗車時には、車外キー探査処理および車内キー探査処理を実行し、車両用メモリ51に記憶された特定の携帯機10A〜10Dを除く別の携帯機10A〜10Dが車外に存在する場合には、その携帯機10A〜10Dの識別信号によって、ドアのアンロック作動を実行する。そして、このアンロック作動を実行すると、車両用メモリ51に記憶した特定の携帯機10A〜10Dによるドアのアンロック禁止設定を解除する。
運転者によるエンジン始動時には、車内キー探査処理を実行し、車両用メモリ51に記憶された特定の携帯機10A〜10Dを除く別の携帯機10A〜10Dが車内に存在する場合には、その携帯機10A〜10Dの識別信号によってイグニッションスイッチ33の操作を有効とし、所定の電源モードに切り換える。なお、エンジンの停止時には車内キー探査処理は実行せず、携帯機10A〜10Dの有無に拘わらず停止操作を許可する。
また、本実施形態では、エンジン制御部23へエンジンの始動を許可する作動信号を出力したにも拘わらず、バッテリ電圧の低下や、エンジンの不調等の理由により、エンジン制御部23を介してエンジンが始動していないことを検出すると、そのエンジン始動許可の判断結果(以下「エンストフラグ」と称する。)を車両用メモリ51に記憶させる。そして、以後にイグニッションスイッチ33の操作を検出すると、車内送信手段40からのリクエスト信号の送信から比較判断までの動作(車内キー探査処理)をスキップし、エンジン制御部23に対して直接エンジンの作動信号を出力する構成としている。即ち、イグニッションスイッチ33からのオン信号を検出すると、車両用メモリ51にエンストフラグがセットされているか否かを検出し、セットされていない場合には、車内キー探査処理を実行して許可する場合にはエンジン制御部23に対して作動信号を出力する一方、セットされている場合には、車内キー探査処理を実行することなく、直接エンジン制御部23に対して作動信号を出力する構成としている。なお、前記エンストフラグは、エンジンの始動を検出した場合、および、ドアの開放を検出した場合に、クリアされる。また、エンジンが始動されると、車両用メモリ51に記憶した特定の携帯機10A〜10Dによるイグニッションスイッチ33の操作の禁止設定を解除する。即ち、車両用メモリ51に記憶されていない他の携帯機10A〜10Dの信号またはメカキーによりイグニッションスイッチ33を操作すると、車両用メモリ51に記憶された特定の携帯機10A〜10Dによる操作禁止設定を解除する。
前記構成の車両20において、乗車意思および降車意思の検出手段であるハンドルタッチセンサ30、ドアロックスイッチ31、ドアスイッチ32、駆動装置および車両不使用状態検出部であるドアロック装置22およびエンジン制御部23、無線通信手段である車内送信手段40A,40B、車外送信手段36A,36B、車内外受信手段45、制御手段であるメイン制御部50、および、記憶手段である車両用メモリ51は、メカキーを使用することなく、携帯機10A〜10Dによってドアの施錠および解錠を制御する車両用キーレスエントリー装置を構成する。また、イグニッションスイッチ33、ドアの開閉状態を検出するドアスイッチ32、無線通信手段である車内送信手段40A,40B、車内外受信手段45、エンジンの作動を制御するエンジン制御部23、制御手段であるメイン制御部50、記憶手段である車両用メモリ51は、メカキーを使用することなく、携帯機10A〜10Dによってエンジンの始動を制御するエンジン始動装置を構成する。
次に、車両20のメイン制御部50によるキーレスエントリー装置およびエンジン始動装置を含む、スマートエントリーシステムの制御について具体的に説明する。
このスマートエントリーシステムでは、車両20が使用状態である場合には、ドアロック処理、ドアアンロック処理、エンジン作動処理および車両走行制御処理が並行して実行され、不使用状態である場合には、ドアアンロック処理および定期車内キー探査処理が並行して実行される。そのうち、車両走行制御処理は、携帯機10A〜10Dの有無に拘わらない車両本来の走行に係る制御であるため、詳細な説明は省略する。
まず、ドアロック処理では、メイン制御部50は、図3に示すように、ステップS1−1で、ドアが開放されたか否かをドアスイッチ32により検出する。そして、ドアの開放を検出しない場合にはステップS1−2に進み、ドアの開放を検出した場合にはステップS1−3に進む。
ステップS1−2では、運転者によってドアロックスイッチ31がオンされたか否かを検出する。そして、オン操作を検出しない場合にはステップS1−1に戻り、オン操作を検出した場合にはステップS1−5に進む。
ステップS1−3では、エンジンを始動させるための作動信号を出力したにも拘わらずエンジンが始動しなかったことを意味するエンストフラグをクリアする。ここで、このエンストフラグとは、後述するエンジン作動処理において、エンジンを始動させる作動信号を出力したにも拘わらず、エンジンの不調により始動しない状況を記憶するためのものである。
その後、ステップS1−4で、ドアスイッチ32によりドアの閉塞を検出するまで待機し、ドアの閉塞を検出するとステップS1−5で、車内の全キー探査処理を実行する。そして、ステップS1−6で、車内に認証0K(一致)の携帯機10A〜10Dがあるか否かを検出し、認証キーが存在する場合にはステップS1−7に進み、認証キーが存在しない場合にはステップS1−9に進む。
ステップS1−7では、車内に認証した携帯機10A〜10Dが存在することを意味する車内キー有りフラグをセットした後、ステップS1−8で、その特定の携帯機10A〜10Dによるアンロック作動を禁止するように設定して、ステップS1−10に進む。また、ステップS1−9では、車内に認証した携帯機10A〜10Dが存在しないことを意味する車内キー無しフラグをセットして、ステップS1−10に進む。
ステップS1−10では、車外のキー探査処理を実行した後、ステップS1−11で、車外に認証0Kの携帯機10A〜10Dがあるか否かを検出する。そして、認証キーが存在する場合にはステップS1−12に進み、車外に認証した携帯機10A〜10Dが存在することを意味する車外キー有りフラグをセットして図4に示すステップS1−14に進む。また、認証キーが存在しない場合にはステップS1−13に進み、車外に認証した携帯機10A〜10Dが存在しないことを意味する車外キー無しフラグをセットして図4に示すステップS1−14に進む。
図4に示すように、ステップS1−14では、エンジン制御部23によってエンジンが作動中であるか否かを検出する。そして、エンジンが作動中である場合にはステップS1−15に進み、エンジンが作動中でない場合にはステップS1−17に進む。
ステップS1−15では、メモリ51の情報を読み込んで車内キー有りフラグが無し状態(車内に携帯機10A〜10Dが存在しない状態)であるか否かを検出する。そして、車内キー有りフラグが無し状態の場合にはステップS1−16に進み、車内キー有りフラグが有り状態の場合にはステップS1−17に進む。
ステップS1−16では、エンジン再始動許可フラグをセットしてステップS1−17に進む。ここで、この再始動許可フラグとは、エンジンの作動中に意図せず同乗者等がキーを持ち出したときに、1度エンジンを停止させると2度とエンジンの始動ができなくなる。その不都合を防止するため、1度キーの承認動作によってキーがあると判断されると、エンジン作動中にドアが開放されて閉塞されても、その後のキーの承認動作を不要とするためのものである。
ステップS1−17では、既に(ステップS1−2)ドアロックスイッチ31がオンされているか否か、また、新たにオン操作されたか否かを検出する。即ち、このドアロック処理がドアの開閉によるものか、ドアロックスイッチ31の操作によるものかを判断する。そして、オン操作を検出している場合にはステップS1−18に進み、オン操作を検出していない場合にはステップS1−22に進む。
ステップS1−18では、メモリ51の情報を読み込んで車外キー有りフラグが有り状態(車外に携帯機10A〜10Dが存在する状態)であるか否かを検出する。そして、車外キー有りフラグが有り状態の場合にはステップS1−19に進み、車外キー有りフラグが無し状態の場合にはドアロック処理を終了する(ステップS1−1に戻る)。
ステップS1−19では、運転者がドアロックスイッチ31を操作することにより正規手順でドアの施錠を希望していると判断し、ドアロック装置22のアクチュエータに対してドアロック信号を出力してステップS1−20に進む。
ステップS1−20では、ドアロック装置22のロックリンクスイッチからロック状態としたことを意味する返信を受信したか否かを検出する。そして、返信を受信した場合にはステップS1−21に進み、後述するドアロック時車内キー探査処理を実行してドアロック処理を終了する。また、返信を受信しない場合にはそのままドアロック処理を終了する。
一方、ステップS1−17でドアロックスイッチ31のオン操作を検出しない場合には、ステップS1−22で、メモリ51の情報を読み込んで車外キー有りフラグが有り状態(車外に携帯機10A〜10Dが存在する状態)であるか否かを検出する。そして、車外キー有りフラグが有り状態の場合にはステップS1−23に進み、車外キー有りフラグが無し状態の場合にはドアロック処理を終了する。
ステップS1−23では、後述する車外全キー探査処理を実行した後、ステップS1−24で、車外で検出した携帯機10A〜10Dの情報をメモリ51に記憶してステップS1−25に進む。
ステップS1−25では、待機タイマー(約0.2秒)をリセットしてスタートさせた後、ステップS1−26で、この待機タイマーがカウントアップするまで待機する。そして、待機タイマーがカウントアップすると、ステップS1−27で、再び車外全キー探査処理を実行した後、ステップS1−28で、ステップS1−24で記憶した前回の探査結果と比較する。
そして、ステップS1−29で、検出不可能になった携帯機10A〜10Dが存在するか否か、即ち、携帯機10A〜10Dを持った運転者が、無線通信可能な範囲から離れたか否かを判断する。そして、検出不可能になった携帯機10A〜10Dが存在する場合にはステップS1−19に進み、検出不可能になった携帯機10A〜10Dが存在しない場合にはステップS1−25に戻る。即ち、検出不可能な携帯機10A〜10Dが生じるまで、車外全キー探査処理を所定時間毎に実行する。
なお、ステップS1−29〜ステップS1−19に至った場合、メイン制御部50は、運転者がドアロックスイッチ31を操作することなく何らかの要因で車両20から離れたと判断し、ドアロック装置22のアクチュエータに対してドアロック信号を出力した後、前記と同様にステップS1−20およびステップS1−21を行ってドアロック処理を終了する。
このように、ドアロック処理では、メイン制御部50は、乗員の降車意思を意味する車両20のドアが開状態から閉状態になると、または、ドアロックスイッチ31が操作された場合に、複数の携帯機毎に異なるリクエスト信号を車内キー探査処理および車外キー探査処理を順次送信する車内外携帯機位置検出処理を実行する。そのため、各携帯機10A〜10Dの位置を認識することができる。
そして、車内に正規の携帯機10A〜10Dが存在する場合には、「車内キー有りフラグ」をセットして、その特定の携帯機10A〜10Dでのドアのアンロックを禁止する設定を行う。そして、エンジンが作動中で、車内に携帯機10A〜10Dがなければ、「エンジン再始動許可フラグ」をセットする。また、ドアロックスイッチ31が操作されている場合には、車外に認証する他の携帯機10A〜10Dが存在すれば、ドアロックアクチュエータにドアロック信号を送信し、ドアをロックする。一方、ドアが開閉されドアロックスイッチ31が操作されない場合には、車外に認証する携帯機10A〜10Dが存在する場合には、1以上の携帯機10A〜10Dの検出が不可能になると、ドアロックアクチュエータにドアロック信号を送信し、ドアをロックする。そのため、盗難に係る安全性および使用上の利便性を確実に向上できる。
そして、キーレスエントリー装置としてのメイン制御部50は、ロックリンクスイッチによりドアのロック状態を検出すると、車内の携帯機10A〜10Dの有無の確認処理を実行する。そのため、メカキーを使用してロックした場合や、降車時にドアロックノブでロックして車外のハンドルを開操作したままドアを閉めることによるキーレスロックした場合でも、車内への携帯機10A〜10Dの置き忘れを検知することができる。
次に、ステップS1−21のドアロック時車内キー探査処理について説明する。
このドアロック時車内キー探査処理では、メイン制御部50は、図5に示すように、ステップS2−1で、エンジン制御部23によってエンジンが停止中であるか否かを検出する。そして、エンジンが停止中である場合にはステップS2−2に進み、エンジンが作動中である場合にはリターンする。
ステップS2−2では、エンジン再始動許可フラグをクリアした後、ステップS2−3で、車内全キー探査処理を実行する。そして、ステップS2−4で、認証した携帯機10A〜10Dを検出したか否かを判断し、認証キーが存在しない場合にはステップS2−5に進み、キー閉込フラグをクリアしてリターンする。また、認証キーが存在する場合にはステップS2−6に進む。
ステップS2−6では、車内に存在する全ての認証キーに対してキー閉込フラグをセットした後、ステップS2−7で、警告音を出力する。そして、ステップS2−8で、3秒タイマーをリセットしてスタートさせた後、ステップS2−9で、この3秒タイマーがカウントアップするまで待機し、カウントアップするとステップS2−10に進む。
ステップS2−10では、イグニッションスイッチ33の操作等、運転者の動作によるアンサーの有無を各検出手段等によって検出する。そして、アンサーを検出した場合にはそのままリターンする。また、アンサーを検出しない場合にはステップS2−11に進み、ステップS2−3で検出した携帯機10A〜10Dによるドアアンロック作動およびイグニッションスイッチ33の操作による車両用電源部48の切換作動を禁止するように設定してリターンする。
このように、ドアロック時車内キー探査処理では、ドアがロックされ、エンジンが停止中であれば、エンジン再始動許可フラグをクリアし、携帯機10A〜10Dの置き忘れを確認するために車内全キー探査処理を行う。そして、車内での携帯機10A〜10Dの存在を検出すると、運転者に知らせるためにキー忘れワーニングを発生させ、運転者からのアンサーがなければ、置き忘れキーであると判断して、その携帯機10A〜10Dによる以後の作動を禁止する。勿論、この処理は、従来のメカキーによるドアロック時にも実行される。そのため、車両20の盗難防止性を向上できる。
次に、エンジンの停止状態で前記ドアロック処理によってドアをロックした不使用状態では、メイン制御部50は、図6に示す定期車内キー探査処理を実行する。
この定期車内キー探査処理では、メイン制御部50は、図6に示すように、ステップS3−1で、ドアロック装置22のロックリンクスイッチによってドアがロック状態になるまで待機する。そして、ロック状態になると、ステップS3−2で、イグニッションスイッチ33がオフ状態であるか否かを検出する。そして、オフ状態である場合にはステップS3−3に進み、オン状態(ACC,IG1,IG2のいずれか)の場合にはステップS3−1に戻る。
ステップS3−3では、1時間タイマーをリセットしてスタートさせた後、ステップS3−4で、1時間タイマーがカウントアップするまで待機し、カウントアップするとステップS3−5に進む。なお、待機時間であるタイマーは1時間に限られず、希望に応じて変更が可能である。
ステップS3−5では、ドアロック装置22によって未だドアがロック状態であるか否かを検出し、ロック状態である場合にはステップS3−6に進み、アンロック状態である場合にはステップS3−7に進む。
ステップS3−6では、イグニッションスイッチ33が未だオフ状態であるか否かを検出する。そして、オン状態である場合にはステップS3−7に進み、オフ状態である場合にはステップS3−8に進む。
ステップS3−7では、車両20の不使用状態が解除されたと判断して、1時間タイマーをストップさせてステップS3−1に戻る。
一方、ステップS3−8では、後述する車内全キー探査処理を実行した後、ステップS3−9で、認証する携帯機10A〜10Dが存在するか否かを検出する。そして、認証キーが存在する場合にはステップS3−10に進み、認証キーが存在しない場合にはステップS3−12に進む。
ステップS3−10では、ステップS3−8で検出した車内に置き忘れられている全ての携帯機10A〜10Dに対してキー閉込フラグをセットした後、ステップS3−11で、そのセットした特定の携帯機10A〜10Dによるドアアンロック作動およびイグニッションスイッチ33の操作に基づく車両用電源部48の作動を、携帯機10A〜10D毎に禁止するように設定してステップS3−3に戻る。
一方、ステップS3−12では、車内に置き忘れた携帯機10A〜10Dが存在しないことを意味するようにキー閉込フラグをクリアしてステップS3−3に戻る。
このように、定期車内キー探査処理では、ドアがロック状態で、イグニッションスイッチ33がオフ状態である場合、1時間毎に確認処理実行し、車内に認証する携帯機10A〜10Dが存在すれば、その特定の携帯機10A〜10Dでのアンロック作動およびイグニッションスイッチ33の操作による車両用電源部48の作動を禁止する。そのため、車両20の盗難防止性を向上できる。
即ち、キーレスエントリー装置としてのメイン制御部50は、車両20の不使用状態を検出すると、所定時間毎に車内の携帯機10A〜10Dの有無の確認処理を実行する。そのため、この車両20の不使用中のドア開閉等の操作を伴わない携帯機10A〜10Dの移動があっても、その状態を確実に検出することができる。そのため、携帯機10A〜10Dの所在位置を的確に把握でき、誤作動のない制御を行うことができる。また、その不使用状態の判断は、1つの操作に依存するのではなく、ドアロック装置22のロック状態と、エンジンの動作状態による2つの条件に依存するものであるため、確実に不使用状態となる場合のみ、確認処理を実行できる。そのため、不要なバッテリ消費を抑制できる。
次に、ドアのロック状態では、メイン制御部50は、図7に示すドアアンロック処理を実行する。
このドアアンロック処理では、メイン制御部50は、図7に示すように、ステップS4−1で、ハンドルタッチセンサ30がオンすることによる運転者の乗車意思を検出するまで待機し、オン状態を検出するとステップS4−2に進む。
ステップS4−2では、ドアスイッチ32によってドアが閉状態であるか否かを検出する。そして、ドアが閉状態である場合にはステップS4−3に進み、ドアが開状態である場合にはこのドアアンロック処理を終了する(ステップS4−1に戻る)。
ステップS4−3では、エンジン制御部23を介してエンジンの駆動系から車両20が停止中であるか否かを検出する。そして、車両停止中である場合にはステップS4−4に進み、車両走行中である場合にはこのドアアンロック処理を終了する。
ステップS4−4では、車外送信手段36A,36Bから携帯機10A〜10Dを起動させる起動信号を発信した後、ステップS4−5で、探査する携帯機10A〜10Dの順番nを1とする。
そして、図8に示すように、ステップS4−6で、メモリ51に記憶したキー探査順番データよりn番目の携帯機10A〜10DのIDデータを取得した後、ステップS4−7で、車外送信手段36A,36Bから特定の携帯機10A〜10Dのリクエスト信号を発信した後、ステップS4−8に進む。
ステップS4−8では、携帯機10A〜10Dの応答の有無を車内外受信手段45からの識別信号の入力の有無で検出する。そして、応答が有った場合にはステップS4−9に進み、応答が無い場合にはステップS4−15に進む。
ステップS4−9では、入力された携帯機10A〜10Dの識別信号が送信した携帯機10A〜10DのIDデータと一致しているか否かを解析する。そして、一致している場合にはステップS4−10に進み、一致していない場合にはステップS4−15に進む。
ステップS4−10では、返信された識別信号が一致している携帯機10A〜10Dが、ドアのアンロック作動を禁止しているものか否かをメモリ51に記憶された情報で判断する。そして、禁止キーである場合にはステップS4−11に進み、禁止キーでない場合にはステップS4−13に進む。または、認証した携帯機10A〜10Dにキー閉込フラグがセットされているか否かを検出する。そして、キー閉込フラグがセットされている場合にはステップS4−11に進み、キー閉込フラグがセットされていない場合にはステップS4−13に進む。
ステップS4−11では、車内特定キー探査処理を実行した後、ステップS4−12で、ステップS4−9で認証した携帯機10A〜10Dと同一の携帯機10A〜10Dが存在するか否かを判断する。そして、同一の携帯機10A〜10Dでない場合にはステップS4−13に進み、同一の携帯機10A〜10Dである場合にはステップS4−15に進む。
ステップS4−13では、ドアロック装置22に対してドアアンロック信号を出力した後、ステップS4−14で、ドアのアンロック作動の禁止している携帯機10A〜10Dの禁止設定を全てクリアして、このドアアンロック処理を終了する(ステップS4−1に戻る)。
一方、ステップS4−15では、全ての携帯機10A〜10Dの探査が完了したか否かを検出する。そして、全キーの探査が完了している場合にはドアアンロック処理を終了する。また、全キーの探査が完了していない場合にはステップS4−16に進み、探査する携帯機10A〜10Dの順番nに1を加算(n=n+1)する。
このように、ドアアンロック処理では、携帯機10A〜10Dを持った運転者が車両20に近づき、ドアハンドルに手を触れると、ハンドルタッチセンサ30が人体を検出して、その信号をメイン制御部50に送信する。その時、ドアが閉状態で車両20が停止していれば、車外送信手段36A,36Bから、起動信号およびリクエスト信号を送信して、車外に正規キーがあるか否の確認処理を行う。そして、正規キーがあり、そのキーがドアアンロック禁止キーとして設定されているか否かを確認する。禁止設定されていない場合には、置き忘れを意味するキー閉込フラグがセットされているか否かを確認する。そして、キー閉込フラグがセットされていなければ、ドアのアンロック処理を実行する。一方、ドアアンロック禁止キー設定またはキー閉込フラグがセットされていれば、車内特定キー探査処理を行い、そのキーが車内にあるか否かの確認を行い、そのキーが車内にあれば、車外に置き忘れていた携帯機10A〜10Dが車外送信手段36A,36Bのリクエスト信号に反応したとみなし、ドアのアンロック処理を実行しない。勿論、ドアアンロック解除可能な携帯機10A〜10Dキーが見つかるまで、全部の携帯機10A〜10Dの確認処理を実行し、置き忘れでない携帯機10A〜10Dが検出されれば、ドアロック装置22のアンロック処理を実行する。
また、ドアのアンロック作動を行うか否かの確認処理は、車内に携帯機10A〜10Dの置き忘れがあると判断した場合のみ実行(ステップS4−11)し、置き忘れた携帯機10A〜10Dが存在しない通常時には、車内送信手段40A,40Bによる確認処理を実行しない(ステップS4−10)。そのため、不要なバッテリ49の消費電力を抑制できるとともに、乗車意思検出からドアアンロックまでの時間を短縮でき、利便性を向上できる。なお、本実施形態においては、ドアアンロック禁止キー設定またはキー閉込フラグが存在する場合に、車内特定キー探査処理を行うようにしたが、例えば、ドアアンロック禁止キーの設定がされているキーであれば、車内特定キー探査処理を行うことなく、無条件にドアのアンロックを禁止してもよい。即ち、ドアアンロック禁止キーであれば、例えそのキーが車外にあってもドアのアンロックを禁止するようにしてもよい。また、キー閉込フラグを携帯機10A〜10D毎に設定し、車外キー探査で検出された正規キーのキー閉込フラグの有無を確認して、車内キー探査を行うか否かの判断を行ったが、これに限定されることなく、ドアロック時車内キー探査処理、および、前記定期車内キー探査処理において、携帯機10A〜10Dが1つでも車内に置き忘れられている場合に、1つのキー閉込フラグをセットし、そのキー閉込フラグを上述したドアアンロック時の車内のキー探査を行うか否かの判断に使用してもよい。
次に、車両用電源部48を作動させるイグニッションスイッチ33が操作された場合には、メイン制御部50は、図9に示すエンジン作動処理を実行する。
このエンジン作動処理では、メイン制御部50は、図9に示すように、ステップS5−1で、エンジン始動スイッチであるイグニッションスイッチ33の操作を検出するまで待機し、操作を検出するとステップS5−2に進む。
ステップS5−2では、現状でエンジンが作動中であるか否かを検出する。そして、作動中である場合にはステップS5−3に進み、停止中である場合にはステップS5−6に進む。
ステップS5−3では、ギヤシフトスイッチ35によって運転者がシフトを「P」位置に操作しているか否かを検出する。そして、「P」位置に操作している場合にはステップS5−4に進み、「P」位置に操作していない場合にはそのままエンジン作動処理を終了する(ステップS5−1に戻る)。ステップS5−4では、エンジン制御部23に対してエンジン停止信号を出力した後、ステップS5−5で、ステアリングロック装置26に対してロック信号を出力して、エンジン作動処理を終了する。
一方、エンジンが停止中の場合、ステップS5−6で、ドアスイッチ32によってドアが閉状態になっているか否かを検出する。そして、ドアが閉状態である場合にはステップS5−7に進み、ドアが開状態である場合にはそのままエンジン作動処理を終了する。
ステップS5−7では、メモリ51を読み込んでエンジン再始動許可フラグがセットされているか否かを検出する。そして、エンジン再始動許可フラグがセットされていない場合にはステップS5−8に進み、フラグがセットされている場合には後述するステップS5−8からステップS5−11をスキップして図10に示すステップS5−12に進む。
ステップS5−8では、メモリ51を読み込んでエンストフラグがセットされているか否かを検出する。そして、エンストフラグがセットされていない場合にはステップS5−9に進み、フラグがセットされている場合には後述するステップS5−9からステップS5−11をスキップして図10に示すステップS5−12に進む。
ステップS5−9では、後述する車内全キー探査処理を実行した後、ステップS5−10で、メモリ51を読み込んでイグニッションスイッチ33の操作禁止設定を確認する。そして、車内にIG操作が禁止されていない正規な携帯機10A〜10Dである認証OKキーが存在している場合には図10に示すステップS5−12に進み、認証OKキーが存在していない場合にはそのままエンジン作動処理を終了する。
図10に示すように、ステップS5−12では、運転者がブレーキペダルを踏み込んでいるか否かを、ブレーキペダルスイッチ34がオン状態になっているか否かによって検出する。そして、ブレーキペダルスイッチ34がオン状態(運転者がブレーキペダルを踏み込んでいる状態)の場合にはステップS5−13に進み、ブレーキペダルスイッチ34がオフ状態(運転者がブレーキペダルを踏み込んでいない状態)の場合にはステップS5−21に進む。
ステップS5−13では、ステアリングロック装置26に対してアンロック信号を出力した後、ステップS5−14で、再びブレーキペダルスイッチ34がオン状態になっているか否かを検出する。そして、ブレーキペダルスイッチ34がオン状態の場合にはステップS5−15に進み、ブレーキペダルスイッチ34がオフ状態の場合にはそのままエンジン作動処理を終了する。
ステップS5−15では、ギヤシフトスイッチ35によって運転者がシフトを「P」位置に操作しているか否かを検出する。そして、「P」位置に操作している場合にはステップS5−16に進み、「P」位置に操作していない場合にはそのままエンジン作動処理を終了する。
ステップS5−16では、エンジン制御部23に対してエンジン作動信号を出力するとともに、車両用電源部48に対してエンジンを作動させるためにスタートモードに切り換えるように作動信号を出力する。
その後、ステップS5−17で、エンジン制御部23によってエンジンが作動したか否かを検出する。そして、エンジンが作動した場合にはステップS5−18に進み、エンストフラグをクリアした後、ステップS5−19で、全ての携帯機10A〜10Dに対するイグニッションスイッチ33の操作禁止設定をクリアして、エンジン作動処理を終了する。また、エンジンが作動していない場合にはステップS5−20に進み、エンストフラグをセットして、エンジン作動処理を終了する。
一方、ステップS5−12でブレーキペダルスイッチ34がオフ状態であった場合、ステップS5−21では、電源モードを「ACC」に設定した後、ステップS5−22で、イグニッションスイッチ33の操作が停止されたか否かを検出する。そして、操作が停止されている場合にはステップS5−23に進み、操作が継続されている場合にはステップS5−24に進む。
ステップS5−23では、車両用電源部48の電源モードを現状で選択されているモードに決定(設定)してエンジン作動処理を終了する。
一方、ステップS5−24では、0.5秒タイマーがカウントアップしたか否かを検出する。そして、0.5秒タイマーがカウントアップした場合にはステップS5−25に進み、カウントアップしていない場合にはステップS5−22に戻る。
ステップS5−25では、0.5秒タイマーをリセットしてスタートさせた後、ステップS5−26で、モード切換処理を実行してステップS5−22に戻る。ここで、このモード切換処理とは、最初に設定された「ACC」から、「IG」→「OFF」→「ACC」→…と順番に電源モードを切り換えるものである。
このように、エンジン作動処理では、イグニッションスイッチ33がオン操作されると、エンジンが作動していなければエンジン始動処理、エンジンが作動中であれば、エンジンを停止させる処理を実行する。そして、エンジン始動処理では、ドア閉状態で、エンジン再始動許可フラグおよびエンストフラグがなければ、車内全キー探査を行い、検出した携帯機10A〜10Dが、正規キーで且つ操作禁止設定されていなければ次の処理に進む。この場合、ブレーキペダルが踏み込まれていれば、エンジン始動処理に移行し、スイッチのみの操作であれば、電源切換モードへ移行する。そして、エンジン始動処理では、ステアリングロック装置26にアンロック信号を送信し、ステアリングシャフトのロックを解除し、再びブレーキペダルスイッチ34、ギヤシフトスイッチ35の状態を確認し、エンジン作動信号を送信し、エンジンが始動される。また、電源切換モードでは、イグニッションスイッチ33の押圧時間によって、電源モードが切り換わる。
即ち、本発明のエンジン始動装置としてのメイン制御部50は、イグニッションスイッチ33からオン信号が入力され、メモリ51にエンストフラグが記憶されていない場合には、リクエスト信号の送信から比較判断までの認証動作を実行し、正規信号である場合には、エンジン制御部23へエンジン始動許可の作動信号を出力する。一方、メモリ51にエンストフラグが記憶されている場合には、認証動作をスキップして直ぐにエンジン制御部23へエンジン始動許可の作動信号を出力する。そのため、バッテリ電圧の低下や、エンジンの不調等の理由により、エンジンが始動しない場合でも、以後の再始動を迅速に行うことができる。
また、記憶手段に記憶したエンジン始動許可の判断結果データ(エンストフラグ)は、運転者の降車意思を意味するドアの開状態を検出するとクリア(ステップS1−3)されるため、運転車が一旦車を降り、車外に出ている間に他人が始動させようとしてもエンジンを始動させることはできない。そのため、盗難防止に係る安全性を確実に確保できる。
なお、前記ドアロック時車内キー探査処理および定期車内キー探査処理では、車内に置き忘れたと判断した携帯機10A〜10Dが存在すると判断した場合、ドアのアンロック作動とイグニッションスイッチ33の操作による車両用電源部48のモード変更作動の両方を一度に禁止する。しかし、その禁止設定の解除は、ドアが他の携帯機10A〜10Dまたはメカキーによりアンロックされた場合に、ドアアンロックの禁止設定のみ解除し、他の携帯機10A〜10Dによってイグニッションスイッチ33の操作を受け入れた場合に、イグニッションスイッチの操作の禁止設定を解除する。そのため、例えば車両20の窓を不審者が破壊して乗車した場合において、車内に置き忘れた携帯機10A〜10Dによって不意にエンジンが作動されることを確実に防止できるため、盗難防止性を向上できる。
次に、ステップS1−5,S2−3,S3−8,S5−9の車内全キー探査処理について説明する。
この車内全キー探査処理では、メイン制御部50は、図11に示すように、まず、ステップS6−1で、車内送信手段40A,40Bから携帯機10A〜10Dを起動させる起動信号を発信した後、ステップS6−2で、探査する携帯機10A〜10Dの順番nを1とする。
そして、ステップS6−3で、メモリ51に記憶したキー探査順番データよりn番目の携帯機10A〜10DのIDデータを取得した後、ステップS6−4で、車内送信手段40A,40Bから特定の携帯機10A〜10Dのリクエスト信号を発信して、ステップS6−5に進む。
ステップS6−5では、携帯機10A〜10Dからの応答の有無を車内外受信手段45からの識別信号の入力の有無で検出する。そして、応答が有った場合にはステップS6−6に進み、応答が無い場合にはステップS6−8に進む。
ステップS6−6では、入力された携帯機10A〜10Dの識別信号が送信した携帯機10A〜10DのIDデータと一致しているか否かを解析する。そして、一致している場合にはステップS6−7に進み、一致していない場合にはステップS6−8に進む。
ステップS6−7では、その検出したn番目の携帯機10A〜10Dのキー有り情報をメモリ51に保存した後、ステップS6−8に進む。
ステップS6−8では、全ての携帯機10A〜10Dに対するキー探査が完了したか否かを検出する。そして、全キーの探査が完了していない場合にはステップS6−9に進み、探査する携帯機10A〜10Dの順番nに1を加算(n=n+1)して、ステップS6−3に戻る。また、全キーの探査が完了している場合にはリターンする。
このように、車内全キー探査処理では、車内送信手段40A,40Bより起動信号を発信して全てのキーを作動させる。そして、メモリ51に記憶されたキー探査順番データを参照して、1番目キーに対応する携帯機10A〜10Dのリクエスト信号を送信する。そして、その1番目の携帯機10A〜10Dからの識別信号の返信があり、その信号が正規の信号であれば、1番目の携帯機10A〜10Dのキー有り情報をメモリ51に保存する。この工程を4個の携帯機10A〜10Dの全てに対して行う。
因みに、携帯機10A〜10Dの探査順番は、図12(A)に示すように、メイン制御部50による制御の開始時には携帯機10A,10B,10C,10Dの順番である。そして、例えば乗車時(ドアアンロック処理時)に、運転者が携帯機10Cを持っており、その携帯機10Cの認証により、ドアをアンロックさせて乗車した場合、その携帯機10A〜10Dの探査順番は、図12(B)に示すように、携帯機10Cが1番目になり、携帯機10C,10A,10B,10Dの順番になるように構成している。これは、乗車時に使用した携帯機10A〜10Dが、そのエンジン始動およびドアロック処理時、または、日常的に使用される確率が高いため、乗車時に使用した携帯機10A〜10Dを1番目にすることにより、キー探査処理に係る無駄なキー探査を減らすことができる。その結果、キー探査の処理速度を向上することができる。
次に、ステップS4−11の車内特定キー探査処理について説明する。
この車内特定キー探査処理では、メイン制御部50は、図13に示すように、まず、ステップS7−1で、前処理で検出した特定の携帯機10A〜10DのIDデータを取得した後、ステップS7−2で、車内送信手段40A,40Bから携帯機10A〜10Dを起動させる起動信号を発信する。
そして、ステップS7−3で、車内送信手段40A,40Bから特定の携帯機10A〜10Dのリクエスト信号を発信して、ステップS7−4に進む。
ステップS7−4では、携帯機10A〜10Dからの応答の有無を車内外受信手段45からの識別信号の入力の有無で検出する。そして、応答が有った場合にはステップS7−5に進み、応答が無い場合にはリターンする。
ステップS7−5では、入力された携帯機10A〜10Dの識別信号が送信した携帯機10A〜10DのIDデータと一致しているか否かを解析する。そして、一致している場合にはステップS7−6に進み、一致していない場合にはリターンする。
ステップS7−6では、その検出した特定の携帯機10A〜10Dのキー有り情報をメモリ51に保存した後、リターンする。
即ち、前記車内全キー探査処理では、全ての携帯機10A〜10Dの車内への有無を検出したのに対し、この車内特定キー探査処理では、特定の携帯機10A〜10Dのみ、車内での有無を検出するものである。
次に、ステップS1−23,S1−27の車外全キー探査処理について説明する。
この車外全キー探査処理では、メイン制御部50は、図14に示すように、まず、ステップS8−1で、車外送信手段36A,36Bから携帯機10A〜10Dを起動させる起動信号を発信した後、ステップS8−2で、探査する携帯機10A〜10Dの順番nを1とする。
そして、ステップS8−3で、メモリ51に記憶したキー探査順番データよりn番目の携帯機10A〜10DのIDデータを取得した後、ステップS8−4で、車外送信手段36A,36Bから特定の携帯機10A〜10Dのリクエスト信号を発信して、ステップS8−5に進む。
ステップS8−5では、携帯機10A〜10Dからの応答の有無を車内外受信手段45からの識別信号の入力の有無で検出する。そして、応答が有った場合にはステップS8−6に進み、応答が無い場合にはステップS8−9に進む。
ステップS8−6では、入力された携帯機10A〜10Dの識別信号が送信した携帯機10A〜10DのIDデータと一致しているか否かを解析する。そして、一致している場合にはステップS8−7に進み、一致していない場合にはステップS8−9に進む。
ステップS8−7では、その認証したn番目の携帯機10A〜10Dが、その時点で車内側で認証されている携帯機10A〜10Dと同一であるか否かを検出する。そして、同一キーでない場合にはステップS8−8に進み、同一キーである場合にはステップS8−9に進む。
ステップS8−8では、その検出したn番目の携帯機10A〜10Dのキー有り情報をメモリ51に保存した後、ステップS8−9に進む。
ステップS8−9では、全ての携帯機10A〜10Dに対するキー探査が完了したか否かを検出する。そして、全キーの探査が完了していない場合にはステップS8−10に進み、探査する携帯機10A〜10Dの順番nに1を加算(n=n+1)して、ステップS8−3に戻る。また、全キーの探査が完了している場合にはリターンする。
このように、車外全キー探査処理では、車外送信手段36A,36Bより起動信号を発信して全てのキーを作動させる。そして、メモリ51に記憶されたキー探査順番データを参照して、1番目の携帯機10A〜10Dに対応するリクエスト信号を送信する。1番目の携帯機10A〜10Dから識別信号の返信があり、その信号が正規の信号であれば、メモリ51に記憶されている室内キーの存在情報と比較し、今回検出した携帯機10A〜10Dが室内で検出されていなければ、認証キーであると判断して、その携帯機10A〜10Dのキーあり情報をメモリ51に保存する。この工程を4個の携帯機10A〜10Dの全てに対して行う。
次に、ステップS1−10の車外キー探査処理について説明する。
この車外キー探査処理では、メイン制御部50は、図15に示すように、まず、ステップS9−1からステップS9−7は、車外全キー探査処理のステップS8−1からステップS8−7と同様に、車外送信手段36A,36Bから携帯機10A〜10Dを起動させる起動信号を発信した後、ステップS9−2で、探査する携帯機10A〜10Dの順番nを1とする。
そして、ステップS9−3で、メモリ51に記憶したキー探査順番データよりn番目の携帯機10A〜10DのIDデータを取得した後、ステップS9−4で、車外送信手段36A,36Bから特定の携帯機10A〜10Dのリクエスト信号を発信して、ステップS9−5に進む。
ステップS9−5では、携帯機10A〜10Dからの応答の有無を車内外受信手段45からの識別信号の入力の有無で検出する。そして、応答が有った場合にはステップS9−6に進み、応答が無い場合にはステップS9−9に進む。
ステップS9−6では、入力された携帯機10A〜10Dの識別信号が送信した携帯機10A〜10DのIDデータと一致しているか否かを解析する。そして、一致している場合にはステップS9−7に進み、一致していない場合にはステップS9−9に進む。
ステップS9−7では、その認証したn番目の携帯機10A〜10Dが、その時点で車内側で認証されている携帯機10A〜10Dと同一であるか否かを検出する。そして、同一キーでない場合にはステップS9−8に進み、同一キーである場合にはステップS9−9に進む。
ステップS9−8では、その検出したn番目の携帯機10A〜10Dのキー有り情報をメモリ51に保存した後、リターンする。
一方、ステップS9−9では、全ての携帯機10A〜10Dに対するキー探査が完了したか否かを検出する。そして、全キーの探査が完了していない場合にはステップS9−10に進み、探査する携帯機10A〜10Dの順番nに1を加算(n=n+1)して、ステップS9−3に戻る。また、全キーの探査が完了している場合にはリターンする。
即ち、前記車外全キー探査処理では、全ての携帯機10A〜10Dの車外への有無を検出したのに対し、この車外キー探査処理では、携帯機10A〜10Dのうち、1つでも存在を検出した場合には、その探査処理を終了する。
なお、本発明のエンジン始動装置は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。