JP3292085B2 - 炊飯器 - Google Patents

炊飯器

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JP3292085B2
JP3292085B2 JP07309297A JP7309297A JP3292085B2 JP 3292085 B2 JP3292085 B2 JP 3292085B2 JP 07309297 A JP07309297 A JP 07309297A JP 7309297 A JP7309297 A JP 7309297A JP 3292085 B2 JP3292085 B2 JP 3292085B2
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恵美 宮後
弘 大矢
和宏 浮田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に家庭で使用さ
れる炊飯器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、消費者の嗜好が多様化し、よりお
いしいご飯を炊き上げることに対するニーズが高まり、
マイクロコンピューターによって制御するハイパワーの
炊飯器が主流になっている。
【0003】以下に従来の炊飯器について説明する。図
3は従来の炊飯器の断面図である。図3において、8は
加熱手段で、この加熱手段8は、鍋底面部に対向して設
けられた内コイル8aおよび鍋底側面部に対向して設け
られた外コイル8bを直列に接続している。
【0004】図4は、従来の炊飯器における炊飯工程の
温度と時間と電力と通電サイクルと通電時間の関係を示
す図である。図4に示すようにこの炊飯工程は、鍋内の
温度を適温に上げ、米に水を吸わせる吸水工程、鍋内を
沸騰させ、同時に鍋内の炊飯量を判定する炊き上げ工
程、炊飯量に応じていったんパワーを引いてふきこぼれ
を防ぐパワーダウン工程、判定された炊飯量に応じたパ
ワーで鍋内の水がなくなるまで沸騰を維持し、米を吸水
糊化させる沸騰維持工程、炊飯量に応じたパワーで糊化
を促進させる追い炊き工程からなり、一定の通電サイク
ルの間に、工程ごと、あるいは炊飯量に応じて所定の時
間通電する、というサイクルの繰り返しをもって加熱制
御をおこなっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来の構成の炊飯器では、内コイルと外コイルに同時に
誘導電力が印可され鍋を加熱することから、内コイルか
らの加熱によって生じる鍋内の被調理物の対流と、外コ
イルからの加熱によって生じる被調理物の対流が阻害し
あい、鍋内が均一な温度になりにくいため被調理物に炊
きむらが生じやすいという課題があった。また、鍋底面
と底側面全体から同じ電力で鍋を加熱することから、最
大量の炊飯時などに熱が回りきらない部分が発生し、ご
はんの中層部が硬くなり、底部がべちゃになるという炊
きむらが発生しやすかった。さらに、炊飯の各工程にお
いても、そのときの鍋内の調理物の状況に応じて熱を対
流させるのに適切なパワーを入れることができず、炊き
むらの原因になっていた。
【0006】本発明は上記課題を解決するためになされ
たもので、鍋内の被調理物全体の対流を向上させ、炊き
むらを改善するとともに、吸水工程初期の温度上昇と対
流の発生状態を向上させ、以降の吸水段階で効率的な温
度上昇を図り、十分に吸水して火通りも良いふっくらし
た良好な食味のごはんを得ることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の炊飯器は、被調理物を入れる鍋と、前記鍋
の底面部を加熱する第一の加熱手段と、前記第一の加熱
手段の外側に位置し前記鍋の底側面部または底面外周部
を加熱する第二の加熱手段と、前記第一、第二の加熱手
段の通電を制御する制御手段とを備え、前記制御手段
は、少なくとも炊飯工程において前記第一、第二の加熱
手段を排他的に通電制御するとともに、その吸水工程に
おいて鍋の温度が第1の所定値以上となるまで第二の加
熱手段のみを連続通電し、鍋の温度が前記第1の所定値
以上となった後、所定時間、鍋の温度を第2の所定値に
保つとき、第二の加熱手段の通電比率を第一の加熱手段
の通電比率より大とする通電サイクルの繰り返しをもっ
て制御してなるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】請求項1記載の発明は、被調理物
を入れる鍋と、前記鍋の底面部を加熱する第一の加熱手
段と、前記第一の加熱手段の外側に位置し前記鍋の底側
面部または底面外周部を加熱する第二の加熱手段と、前
記第一、第二の加熱手段の通電を制御する制御手段とを
備え、前記制御手段は、少なくとも炊飯工程において前
記第一、第二の加熱手段を排他的に通電制御することに
より、第二の加熱手段の通電により、鍋底部から表面ま
での外回りの大きな対流を発生させ、第一の加熱手段の
通電により、鍋の内側にも対流を起こすことが可能とな
り、第二の加熱手段と第一の加熱手段の対流がお互いに
阻害しあわず、鍋内が均一な温度になり、炊きむらが改
善される。また、全体の温度上昇が速いため、吸水、糊
化も促進され、良好な食味のごはんを得ることができ
る。また、吸水工程初期に第二の加熱手段のみを連続通
電することにより、鍋内に大きな対流が発生し、速く所
定の温度に達するため、米の内部まで良く吸水したごは
んを得ることができる。また、鍋の温度が前記第1の所
定値以上となった後、所定時間、鍋の温度を第2の所定
値に保つとき、第二の加熱手段の通電比率を第一の加熱
手段の通電比率より大とする通電サイクルの繰り返しを
もって制御してなることにより、第一の加熱手段が優先
的に通電した場合に発生しやすい鍋底中央部のべちゃを
防ぎ、対流を規則的に発生させることができるため、安
定してむらなく良く吸水したごはんを得ることができ
る。
【0009】
【実施例】図1は本発明の第一の実施の形態における炊
飯器の断面図を示したものである。鍋1と、鍋1の底面
部に配置された第一の加熱手段2と、鍋1の底側面部に
配置された第2の加熱手段3と、鍋1の温度を検知する
鍋温度検知手段4と、鍋1の上部に載置された蓋5と、
蓋5の温度を検知する蓋温度検知手段6と、鍋温度検知
手段4と蓋温度検知手段6からの出力を入力として第一
の加熱手段2と第二の加熱手段3を制御する制御手段7
によって構成されている。図2は炊飯工程による温度、
時間、通電サイクル、通電比率、通電時間と電力の状態
を示すものである。
【0010】以上のように構成された炊飯器において、
炊飯をおこなう動作について説明する。まず、鍋1に米
と水を入れた状態で、前記鍋1を図1に示すように載置
する。炊飯を開始すると、図2に示すように鍋内の温度
を適温に上げ、米に水を吸わせる吸水工程をおこなう。
吸水工程は、鍋底の温度が所定温度θ1に達するまで、
誘導加熱式炊飯器の例では外コイルとされる第二の加熱
手段を連続通電し、その後は工程開始から一定時間t1
の間、鍋底の温度を常にθ2に保つ。このとき、所定の
通電サイクルs1の間に、誘導加熱式炊飯器の例では内
コイルとされる第一の加熱手段、前記の第二の加熱手段
をそれぞれ所定時間d1、l1の間、第二の加熱手段、
第一の加熱手段の順で連続して通電し、この繰り返しを
もって制御する。ここで、鍋底の温度がθ2よりも下が
ったことを検知したとき、第二の加熱手段が第一の加熱
手段より優先的に通電される。また、第二の加熱手段の
通電中に鍋底の温度がθ2に達したことを検知しても、
第二の加熱手段の通電設定時間中は強制的に通電し続け
る。本実施例においては、θ1=50℃、θ2=58
℃、t1=18分、s1=32秒、d1=6秒、l1=
22秒である。一定時間t1経過後、吸水工程を終了
し、鍋内を沸騰させる炊き上げ工程にはいる。
【0011】炊き上げ工程では、蓋温度検知手段が所定
の沸騰温度φ1を検知するまで、所定の通電サイクルs
2の間に第一の加熱手段、第二の加熱手段をそれぞれ所
定時間d2、l2の間、第二の加熱手段、第一の加熱手
段の順で連続して通電し、この繰り返しをもって制御す
る。この際の工程経過時間より炊飯量を判定し、炊飯量
に応じて通電時間を変えて以下に続くパワーダウン工
程、沸騰維持工程、追い炊き工程をおこなう。
【0012】また、これらの工程では炊飯量に応じて第
一の加熱手段と第二の加熱手段の通電比率、通電サイク
ルも変化させることができる。ここでいう通電比率と
は、一通電サイクルにおける各々の加熱手段の通電量の
比のことであり、第一の加熱手段の通電時間と入力電力
の積:第二の加熱手段の通電時間と入力電力の積、と表
す。本実施例においては、φ1=70℃、s2=32
秒、d2=12秒、l2=20秒である。
【0013】いったんパワーを引いてふきこぼれを防ぐ
パワーダウン工程では、一定時間t2の間、所定の通電
サイクルs3の間に第一の加熱手段、第二の加熱手段を
それぞれ炊飯量に応じた通電時間、1:1の通電比率
で、第二の加熱手段、第一の加熱手段の順で連続して通
電し、この繰り返しをもって制御する。本実施例におい
ては、t2=1分40秒、s3=16秒である。
【0014】続く米を吸水糊化させる沸騰維持工程で
は、鍋温度検知手段が所定の温度θ3を検知するまで、
所定の通電サイクルs4の間に第一の加熱手段、第二の
加熱手段をそれぞれ炊飯量に応じた通電時間、1:2の
通電比率で、第二の加熱手段、第一の加熱手段の順で連
続して通電し、この繰り返しをもって制御する。ここ
で、第一の加熱手段と第二の加熱手段の通電時間は、炊
飯量が多くなるほど長くなる。また、炊飯量によって第
一の加熱手段と第二の加熱手段の通電比率、通電サイク
ルを変化させる場合、炊飯量が多くなるほど第二の加熱
手段の通電比率が高くなり、通電サイクルは長くなる。
本実施例においては、θ3=133℃、s4=32秒で
ある。
【0015】また、その後、糊化を促進させる追い炊き
工程に入り、一定時間t3の間に休止と加熱を所定回数
繰り返す。加熱時は、所定の通電サイクルs5の間に第
一の加熱手段、第二の加熱手段をそれぞれ炊飯量に応じ
た通電時間、1:1の通電比率で、第二の加熱手段、第
一の加熱手段の順で連続して通電し、この繰り返しをも
って制御する。ここで、第一の加熱手段と第二の加熱手
段の通電時間は、炊飯量が多くなるほど長くなる。
【0016】本実施例においては、t3=13分、s5
=16秒である。また、休止と加熱の繰り返し回数は2
回である。以上の炊飯工程を通して、炊飯量によらず炊
きむらのない、十分に吸水して火通りも良い、ふっくら
とした良好な食味のごはんを得ることができる。なお、
本実施の形態でのθ1、θ2、θ3、φ1、t1、t
2、t3、s1、s2、s3、s4、s5、d1、d
2、l1、l2の値は、炊きわけメニューでふつうコー
スを選択した場合の一例であり、状況に応じて数値を設
定できることはいうまでもない。ただし、本発明での目
的を達成するために、d1≧6秒、d2≧8秒、l1≧
10秒、l2≧16秒とする。
【0017】
【発明の効果】以上のように、請求項1記載の発明によ
れば、被調理物を入れる鍋と、前記鍋の底面部を加熱す
る第一の加熱手段と、前記第一の加熱手段の外側に位置
し前記鍋の底側面部または底面外周部を加熱する第二の
加熱手段と、前記第一、第二の加熱手段の通電を制御す
る制御手段とを備え、前記制御手段は、少なくとも炊飯
工程において前記第一、第二の加熱手段を排他的に通電
してことにより、第二の加熱手段の通電により、鍋底部
から表面までの外回りの大きな対流を発生させ、第一の
加熱手段の通電により、鍋の内側にも対流を起こすこと
が可能となり、第二の加熱手段と第一の加熱手段の対流
がお互いに阻害しあわず、鍋内が均一な温度になり、炊
きむらが改善される。また、全体の温度上昇が速いた
め、吸水、糊化も促進され、良好な食味のごはんを得る
ことができる。また、吸水工程初期に第二の加熱手段の
みを連続通電することにより、鍋内に大きな対流が発生
し、速く所定の温度に達するため、米の内部まで良く吸
水したごはんを得ることができる。また、鍋の温度が前
記第1の所定値以上となった後、所定時間、鍋の温度を
第2の所定値に保つとき、第二の加熱手段の通電比率を
第一の加熱手段の通電比率より大とする通電サイクルの
繰り返しをもって制御してなることにより、第一の加熱
手段が優先的に通電した場合に発生しやすい鍋底中央部
のべちゃを防ぎ、対流を規則的に発生させることができ
るため、安定してむらなく良く吸水したご はんを得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の炊飯器の断面図
【図2】同、炊飯器の各炊飯工程の温度及び電力特性図
【図3】従来例の炊飯器の断面図
【図4】同、炊飯器の各炊飯工程の温度及び電力特性図
【符号の説明】
1 鍋 2 第一の加熱手段 3 第二の加熱手段 4 鍋温度検知手段 5 蓋 6 蓋温度検知手段 7 制御手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浮田 和宏 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 有久 慈 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−121608(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A47J 27/00 109 A47J 27/00 103

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被調理物を入れる鍋と、前記鍋の底面部
    を加熱する第一の加熱手段と、前記第一の加熱手段の外
    側に位置し前記鍋の底側面部または底面外周部を加熱す
    る第二の加熱手段と、前記第一、第二の加熱手段の通電
    を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、少なく
    とも炊飯工程において前記第一、第二の加熱手段を排他
    的に通電制御するとともに、その吸水工程において鍋の
    温度が第1の所定値以上となるまで第二の加熱手段のみ
    を連続通電し、鍋の温度が前記第1の所定値以上となっ
    た後、所定時間、鍋の温度を第2の所定値に保つとき、
    第二の加熱手段の通電比率を第一の加熱手段の通電比率
    より大とする通電サイクルの繰り返しをもって制御して
    なる炊飯器。
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