JP3289245B2 - チップ状電子部品用キャリアテープ紙 - Google Patents

チップ状電子部品用キャリアテープ紙

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チップ状電子部品
用キャリアテープ紙に関する。
【0002】
【従来の技術】各種の電子機器の自動生産化を図るため
に、回路基板に対してチップ状電子部品の自動装着がな
されるようになっている。このチップ状電子部品の自動
装着の工程での電子部品の取り扱いを容易に行い得るよ
うに、個々のチップ状電子部品をテープ状の搬送体で包
装したテーピング包装体(キャリアテープ)が利用され
ており、テーピング包装体の形態で順次送り出されてく
るチップ状電子部品を、自動的に所定の回路基板に装着
させる自動装着が行われている。
【0003】係るチップ状電子部品用キャリアテープに
は、プラスチック製のものと紙製のものがあるが、製造
コスト、テープの重量による取り扱い容易性、使用後の
廃棄処理容易性及び帯電防止等の点において、紙製のキ
ャリアテープ(キャリアテープ紙)の方が優れている。
【0004】キャリアテープ紙は、以下のように加工処
理及び使用をすることで、キャリアとしての役割を持
つ。(1)スリッターにて原紙を幅8mmにスリット(裁
断)してテープを作る。(2)チップ状電子部品収納用の
角穴(キャビティー)及びキャリアテープの充填機内送
り用の丸穴をテープに開ける。これらの作業をパンチン
グと呼ぶ。(3)テープの裏面(ボトム側)にカバーテー
プを接着する。(4)前記角穴(キャビティー)にチップ
状電子部品を収納する。(5)テープの表面(トップ側)
にカバーテープを接着する。(6)カセットリールに巻付
けて出荷する。(7)ユーザーにてトップ側カバーテープ
を剥がし、チップ状電子部品を取り出す。
【0005】キャリアテープ紙によって、チップ状電子
部品の搬送及び回路基板への装着は、従来のバルク包装
(バラ詰め)あるいはマガジン詰め包装(重畳整列状)
に比べ、効率化されコストダウンされた。しかし更なる
効率化並びにコストダウンを図るべく、キャリアテープ
紙に角穴の代わりにエンボス等の型付けにより凹部を形
成せしめ、この凹部にチップ状電子部品を収納する方法
が試みられている。
【0006】係る凹部を形成せしめる方法によれば、従
来のキャリアテープ紙における、ボトム側のカバーテー
プを接着する工程を省くことができ、一層の効率化とコ
ストダウンが可能となる。また、チップ状電子部品収納
用の角穴の穿孔による紙カスの発生がなくなり、発生す
る廃棄物の量を格段に低減せしめることができる。しか
し、従来のキャリアテープ紙にエンボス等の型付けによ
り凹部を形成せしめた場合には、該凹部の内壁に毛羽が
出やすいため、チップ状電子部品収納時に、この毛羽に
チップ状電子部品が引っ掛かり収納不良が発生し易いと
いう難点があった。また、チップ状電子部品の回路基板
への装着に際し、チップ状電子部品を取り出すときに
も、毛羽が障害となってチップ状電子部品の取り出し不
良が発生し易いという難点もある。また、係る凹部内壁
の毛羽によるチップ状電子部品の収納及び取り出し不良
等の不具合は、対象となるチップ状電子部品が小型にな
るほど発生しやすくなる。そして、係る小型のチップ状
電子部品を収納するキャリアテープ紙としては、チップ
状電子部品の収納効率等の観点から、一般に、厚さ0.
75mm以下の薄型品が用いられる。よって、凹部内壁
の毛羽によるチップ状電子部品の収納及び取り出し不良
等の不具合は、厚さ0.75mm以下の薄型のキャリア
テープ紙において特に問題となると言える。
【0007】従って、毛羽のない、所定間隔をおいた部
品収納用の凹部が形成されたチップ状電子部品用キャリ
アテープ紙の開発が急務となった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の課題を解決するためになされたもので、原料パルプ種
類及び多層抄板紙の密度規定することにより、部品収納
用の凹部を形成する際に、加工方法によらず、容易に凹
部内壁の毛羽を極めて少なくすることが可能なチップ状
電子部品用キャリアテープ紙を提供することである。
【0009】本発明の第二の目的は、上記チップ状電子
部品用キャリアテープ紙を用いて、エンボス加工等によ
り部品収納用の凹部内壁に毛羽がほとんどないように形
成することにより、チップ状電子部品収納時の毛羽によ
るチップ状電子部品の引っ掛かりをなくして収納不良を
防止することが可能なチップ状電子部品用キャリアテー
プ紙を提供することである。また、チップ状電子部品の
回路基板への装着に際し、チップ状電子部品を取り出す
ときにも毛羽による障害をなくして取り出し不良を防止
することが可能なチップ状電子部品用キャリアテープ紙
を提供することである。
【0010】本発明の第三の目的は、収納及び取り出し
不良等の不具合が発生しやすい小型のチップ状電子部品
を対象とした厚さ0.75mm以下の薄型のキャリアテ
ープ紙を提供することである。
【0011】本発明の第四の目的は、パルプ原料の叩解
の指標となるカナダ標準濾水度(CSF)を規定するこ
とにより、パルプ繊維を短縮するとともに、パルプ繊維
のフィブリル化を促進し、繊維間結合力を強めて、部品
収納用の凹部内壁に毛羽がほとんどないように凹部を形
成することが可能なキャリアテープ紙を提供することで
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係るチップ状電
子部品用キャリアテープ紙は、チップ状電子部品の運搬
のため、所定間隔をおいて、該チップ状電子部品の収納
用凹部をエンボス加工により形成した、多層抄板紙から
なるチップ状電子部品用キャリアテープ紙において、前
記多層抄板紙は、針葉樹系晒クラフトパルプを固形分で
0〜40質量%及び広葉樹系晒クラフトパルプを固形分
で100〜60質量%の割合からなるパルプを主とした
繊維原料から形成し、かつ該多層抄板紙は、密度が0.
95〜1.30g/cmであることを特徴とする。
【0013】本発明に係る多層抄板紙中の針葉樹系晒ク
ラフトパルプの含有率は、固形分で0〜40質量%、好
ましくは0〜30質量%である。その含有率が40質量
%を超えた場合は、エンボス等の型付けにより凹部を形
成せしめた際に、該凹部の内壁に毛羽が出やすく、チッ
プ状電子部品の収納及び取り出し不良等の不具合を発生
しやすい。なお、針葉樹系晒クラフトパルプの含有率を
0〜30質量%とすることで、一層凹部内壁の毛羽発生
を抑えることができる。
【0014】本発明に係る多層抄板紙中の広葉樹系晒ク
ラフトパルプの含有率は、固形分で100〜60質量
%、好ましくは100〜70質量%である。その含有率
が60質量%未満の場合は、エンボス等の型付けにより
凹部を形成せしめた際に、該凹部の内壁に毛羽が出やす
く、チップ状電子部品の収納及び取り出し不良等の不具
合を発生しやすい。なお、広葉樹系晒クラフトパルプの
含有率を100〜70質量%とすることで、一層凹部内
壁の毛羽発生を抑えやすくなる。
【0015】本発明に係る多層抄板紙の密度は、0.9
5〜1.30g/cm、好ましくは1.00〜1.2
0g/cmである。密度が0.95g/cm未満の
場合は、エンボス等の型付けにより凹部を形成せしめた
際に、該凹部の内壁に毛羽が出やすく、チップ状電子部
品の収納及び取り出し不良等の不具合を発生しやすい。
反対に、密度が1.30g/cmを超えた場合は、剛
度が強くなりすぎて柔軟性が失われ、カセットリール巻
付け時等に折れじわを発生しやすくなるとともに、キャ
リアテープ紙の米坪が大きくなりすぎて、コストが上昇
する。なお、密度を1.00〜1.20g/cmとす
ることで、一層凹部内壁の毛羽発生を抑えやすくすると
ともに、カセットリール巻付け時等における折れじわの
発生も防止しやすくなり、コストも妥当な範囲とするこ
とができる。
【0016】本発明に係るチップ状電子部品用キャリア
テープ紙では、チップ状電子部品の前記収納用凹部は、
毛羽がほとんどない内壁に形成することが好ましい。チ
ップ状電子部品の収納用凹部について内壁に毛羽がほと
んどないように形成するためには、エンボス加工等によ
って凹部を形成することが好ましい。
【0017】本発明に係るチップ状電子部品用キャリア
テープ紙では、前記多層抄板紙は、厚さが0.75mm
以下であることが好ましい。
【0018】本発明に係るチップ状電子部品用キャリア
テープ紙では、前記多層抄板紙は、パルプ原料のカナダ
標準濾水度(CSF)が450ml以下であることが好
ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明について説明する
が、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されな
い。本発明に係るキャリアテープ紙1は、例えば図1の
平面図及び図2の部分拡大断面図に示したような形態を
有する。本発明に係る多層抄板紙2を製造するには、上
記した配合によるパルプ原料を、カナダ標準濾水度(C
SF)が、好ましくは450ml以下、さらに好ましく
は400ml以下、最も好ましくは350ml以下とな
るように、叩解し、多層円網抄紙機あるいは各種コンビ
ネーション網抄紙機等で抄造し、適宜、オンカレンダー
もしくはオフカレンダー処理すればよい。パルプ原料を
上述のように叩解することで、パルプ繊維の短縮化を図
るとともに、パルプ繊維のフィブリル化を促進し、繊維
間結合力を強めて、部品5収納用の凹部3の内壁6に毛
羽がほとんどないように凹部3を形成することが可能と
なる。
【0020】充分な層間強度の確保と折れじわの発生防
止のため、澱粉、変性澱粉、ポリアクリルアミド等の紙
力増強剤を内添するのが望ましい。しかし、多量に用い
すぎると剛度が強くなりすぎて、充分な層間強度を有し
ているにもかかわらず、カセットリール巻付け時等に曲
げ、しごき等の力を受けて、層間剥離や折れじわを発生
しやすくなる。このため、紙力増強剤の添加量は、その
種類により異なるが、パルプに対して固形分で1〜10
質量%程度が好ましい。
【0021】また、ドライパートの中間に設置されるサ
イズプレス装置で澱粉を主体とする表面サイズ処理を行
なうのが好ましい。通常の2ロールサイズプレスの他、
ゲートロールサイズプレスやメタリングサイズプレスも
使用できるが、表面強度、紙層強度向上効果とカバーテ
ープの接着性の観点からは2ロールサイズプレスの使用
が好ましい。
【0022】表面サイズ処理用の澱粉としては、酸化澱
粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、酵素変性澱粉な
どが使用できる。その他の薬品としてポリビニルアルコ
ール、ポリアクリルアマイド、樹脂ポリマーなどを添加
しても良い。サイズプレスでの塗布量は両面で乾燥固形
分質量0.5〜4g/m、好ましくは1〜3g/m
の範囲である。
【0023】本発明に係る多層抄板紙の厚さは特に限定
されるものではないが、近年、チップ状電子部品が一段
と小型化される傾向にあり、係る小型のチップ状電子部
品を効率良く収納するには、多層抄板紙の厚さを0.7
5mm以下とするのが好ましく、0.60mm以下とす
ればさらに好ましい。キャリアテープ紙の表層はテープ
と接着されるため、表面強度と適度な平滑性が必要であ
る。表面強度はwax強度(TAPPI T459)として2A以
上、平滑性はベック平滑度で5秒以上が好ましい。
【0024】次に、本発明に係る多層抄板紙に、所定間
隔をおいて、部品収納用の凹部を形成せしめる方法につ
いて説明する。本発明に係る多層抄板紙に、所定間隔を
おいて、部品収納用の凹部を形成せしめるには、エンボ
ス加工法等によればよい。エンボス等による型付けの方
法としては、エンボスロール機、油圧式プレス機、レシ
プロ型押しプレス機など通常使用される形式の型付け方
法を適用できる。また、本発明に係る多層抄板紙に、所
定間隔をおいて、部品収納用の凹部を形成せしめるに
は、ハーフカットとそれに続くプレス加工によってもよ
い。すなわち、凹部の形状をした金型の外周先端につい
た刃によって、凹部の深さに相当する深さまで多層抄板
紙に切込みを入れ、これと同時あるいは引続きプレスに
よって凹部を形成せしめる。
【0025】
【実施例】次に、本発明を以下の実施例に基づいてさら
に具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定し
て解釈されない。
【0026】全ての例について、抄造した多層抄板紙は
JIS P−8111に準じて前処理した後、紙質試験
を行なった。各試験は次の方法によった。 (1)米坪:JIS P−8124 (2)厚さ及び密度:JIS P−8118 (3)凹部形成適性:多層抄板紙を幅8mmにスリット
した後、送り用丸穴4を開けるとともに、縦1mm、横
0.5mmの金型を用いてエンボス型付けを行ない、深
さ0.35mmの凹部を所定間隔をおいて形成せしめ、
得られた凹部内壁の毛羽の出具合を目視で観察した。評
価は次に示す評価基準に基づいて行なった。 ○:毛羽の発生はほとんどなし。 △:毛羽の発生がわずかにあり。 ×:毛羽の発生がかなりあり。 (4)凹部へのチップ状電子部品の収納及び取り出し適
性:凹部形成適性の欄で記載した方法で得たキャリアテ
ープ紙、すなわち所定間隔をおいて、部品収納用の凹部
を形成せしめたキャリアテープ紙をチップ状電子部品の
自動収納用装置に通してチップ状電子部品の収納試験を
実施し、次いでチップ状電子部品を収納せしめたキャリ
アテープ紙にトップ側カバーテープを貼合した後、チッ
プ状電子部品の自動取り出し装置を通してチップ状電子
部品の取り出し試験を実施した。評価は次に示す評価基
準に基づいて行なった。 ○:チップ状電子部品の収納及び取り出し不具合の発生
はほとんどなし。 △:チップ状電子部品の収納及び取り出し不具合の発生
がわずかにあり。 ×:チップ状電子部品の収納及び取り出し不具合の発生
がかなりあり。
【0027】(実施例1)針葉樹系晒クラフトパルプを
固形分で15質量%と、広葉樹系晒クラフトパルプを固
形分で85質量%とを配合した原料をリファイナーにて
カナダ標準濾水度(CSF)で300mlまで叩解し、
両性澱粉系紙力増強剤を対原料2質量%、合成サイズ剤
を対原料0.2質量%添加した後、5層抄合わせ抄造
し、2本ロールサイズプレスにて、濃度5質量%の酸化
澱粉を両面で2〜3g/m(固形分)となるように塗
布し、オンラインキャレンダー処理して、実施例1の多
層抄板紙を得た。実施例1について、米坪、厚さ、密
度、凹部形成適性及び凹部へのチップ状電子部品の収納
及び取り出し適性をそれぞれ試験し、その結果を表2に
示した。
【0028】(実施例2)実施例1において、原料配合
は針葉樹系晒クラフトパルプを固形分で0質量%、広葉
樹系晒クラフトパルプを固形分で100質量%とした以
外は、実施例1と同様にして、実施例2の多層抄板紙を
得た。実施例2について、米坪、厚さ、密度、凹部形成
適性及び凹部へのチップ状電子部品の収納及び取り出し
適性をそれぞれ試験し、その結果を表2に示した。
【0029】(実施例3)実施例1において、原料のカ
ナダ標準濾水度(CSF)を200mlとした以外は、
実施例1と同様にして、実施例3の多層抄板紙を得た。
実施例3について、米坪、厚さ、密度、凹部形成適性及
び凹部へのチップ状電子部品の収納及び取り出し適性を
それぞれ試験し、その結果を表2に示した。
【0030】(実施例4)実施例1において、原料配合
を針葉樹系晒クラフトパルプを固形分で30質量%と、
広葉樹系晒クラフトパルプを固形分で70質量%とし、
原料のカナダ標準濾水度(CSF)を250mlとした
以外は、実施例1と同様にして、実施例4の多層抄板紙
を得た。実施例4について、米坪、厚さ、密度、凹部形
成適性及び凹部へのチップ状電子部品の収納及び取り出
し適性をそれぞれ試験し、その結果を表2に示した。
【0031】(比較例1)実施例1において、原料配合
を針葉樹系晒クラフトパルプを固形分で50質量%と、
広葉樹系晒クラフトパルプを固形分で50質量%とし、
原料のカナダ標準濾水度(CSF)を500mlとした
以外は、実施例1と同様にして、比較例1の多層抄板紙
を得た。比較例1について、米坪、厚さ、密度、凹部形
成適性及び凹部へのチップ状電子部品の収納及び取り出
し適性をそれぞれ試験し、その結果を表2に示した。
【0032】(比較例2)実施例1において、原料のカ
ナダ標準濾水度(CSF)を600mlとした以外は、
実施例1と同様にして、比較例2の多層抄板紙を得た。
比較例2について、米坪、厚さ、密度、凹部形成適性及
び凹部へのチップ状電子部品の収納及び取り出し適性を
それぞれ試験し、その結果を表2に示した。
【0033】実施例1〜4及び比較例1、2について条
件を表1にまとめた。
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】実施例1〜4は、凹部形成適性と凹部への
チップ状電子部品の収納及び取り出し適性について良好
であった。一方、比較例1では、針葉樹系晒クラフトパ
ルプ固形分の質量割合が多く、カナダ標準濾水度(CS
F)も高いため、密度も小さくなり、凹部形成適性と凹
部へのチップ状電子部品の収納及び取り出し適性につい
て共に不良であった。また、比較例2では、針葉樹系晒
クラフトパルプ固形分と広葉樹系晒クラフトパルプ固形
分の質量割合は適切であったが、カナダ標準濾水度(C
SF)が高いため、密度も小さくなり、凹部形成適性と
凹部へのチップ状電子部品の収納及び取り出し適性につ
いて共に不良であった。
【0036】上記実施例等は、多層抄板紙の厚さが0.
75mm以下である場合を示したが、凹部内壁の毛羽に
よるチップ状電子部品の収納及び取り出し不良等の不具
合は、厚さ0.75mm以下の薄型のキャリアテープ紙
において特に問題となるため、多層抄板紙の厚さが0.
75mmを超える場合には凹部へのチップ状電子部品の
収納及び取り出し適性は表2の評価結果よりも良好とな
る。従って、本発明においては多層抄板紙の厚さが0.
75mm以下の場合に特に良好な結果を得るが、大きな
チップ状電子部品に適用すべく、厚さが0.75mmを
超える場合においても充分に使用できるものである。
【0037】
【発明の効果】請求項1記載の発明では、原料パルプ種
類及び多層抄板紙の密度規定したので、部品収納用の凹
部を形成する際に、加工方法によらず、容易に凹部内壁
の毛羽を極めて少なくすることが可能なチップ状電子部
品用キャリアテープ紙を提供することができた。
【0038】請求項2記載の発明では、上記チップ状電
子部品用キャリアテープ紙を用いて、エンボス加工等に
より部品収納用の凹部内壁に毛羽がほとんどないように
形成したので、チップ状電子部品収納時の毛羽によるチ
ップ状電子部品の引っ掛かりをなくして収納不良を防止
することが可能なチップ状電子部品用キャリアテープ紙
を提供することができた。また、チップ状電子部品の回
路基板への装着に際し、チップ状電子部品を取り出すと
きにも毛羽による障害をなくして取り出し不良を防止す
ることが可能なチップ状電子部品用キャリアテープ紙を
提供することができた。
【0039】請求項3記載の発明では、収納及び取り出
し不良等の不具合が発生しやすい小型のチップ状電子部
品を対象とした厚さ0.75mm以下の薄型のキャリア
テープ紙を提供することができた。
【0040】請求項4記載の発明では、パルプ原料の叩
解の指標となるカナダ標準濾水度(CSF)を規定した
ので、パルプ繊維を短縮するとともに、パルプ繊維のフ
ィブリル化を促進し、繊維間結合力を強めて、部品収納
用の凹部内壁に毛羽がほとんどないように凹部を形成す
ることが可能なキャリアテープ紙を提供することができ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るチップ状電子部品用キャリアテー
プ紙の平面図を表わす概念図である(但し、トップ側カ
バーテープの表示を省略した)。
【図2】図1のA-A’部分拡大断面図を表した概念図で
ある。
【符号の説明】
1 キャリアテープ紙 2 多層抄板紙 3 凹部 4 送り用丸穴 5 チップ状電子部品 6 内壁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開2000−203521(JP,A) 特開 平7−271308(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B65D 85/86 B65D 73/02 D21H 27/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チップ状電子部品の運搬のため、所定間隔
    をおいて、該チップ状電子部品の収納用凹部をエンボス
    加工により形成した、多層抄板紙からなるチップ状電子
    部品用キャリアテープ紙において、前記多層抄板紙は、
    針葉樹系晒クラフトパルプを固形分で0〜40質量%及
    び広葉樹系晒クラフトパルプを固形分で100〜60質
    量%の割合からなるパルプを主とした繊維原料から形成
    し、かつ該多層抄板紙は、密度が0.95〜1.30g
    /cmであることを特徴とするチップ状電子部品用キ
    ャリアテープ紙。
  2. 【請求項2】チップ状電子部品の前記収納用凹部は、毛
    羽がほとんどない内壁に形成したことを特徴とする請求
    項1記載のチップ状電子部品用キャリアテープ紙。
  3. 【請求項3】前記多層抄板紙は、厚さが0.75mm以
    下であることを特徴とする請求項1又は2記載のチップ
    状電子部品用キャリアテープ紙。
  4. 【請求項4】前記多層抄板紙は、パルプ原料のカナダ標
    準濾水度(CSF)が450ml以下であることを特徴
    とする請求項1、2又は3記載のチップ状電子部品用キ
    ャリアテープ紙。
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