JP2023119215A - チップ状電子部品用キャリアテープ台紙及びその製造方法 - Google Patents

チップ状電子部品用キャリアテープ台紙及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ピーリング強度が高く、ピーリング強度のばらつきが少なく、ピールテープを剥がした際の毛羽立ちが少なく、紙粉が少なく、金型で打ち抜いた際の打ち抜き粕が少なく、スリップが少なく、ロール等でしごかれても原紙内で剥離を起こしにくいチップ状電子部品用キャリアテープ台紙及びその製造方法を提供すること。【解決手段】 パルプを主成分とする基紙を有するチップ状電子部品用キャリアテープ台紙であって、前記基紙はセルロースナノファイバーを含有することを特徴とするチップ状電子部品用キャリアテープ台紙。【選択図】図1

Description

本開示は、チップ状電子部品用キャリアテープ台紙及びその製造方法に関する。更に詳しくは、ピーリング強度が高く、ピーリング強度のばらつきが少なく、ピールテープを剥がした際の毛羽立ちが少なく、紙粉が少なく、金型で打ち抜いた際の打ち抜き粕が少なく、スリップが少なく、加速負荷試験に耐えうるチップ状電子部品用キャリアテープ台紙及びその製造方法に関する。
従来より各種の電子機器の自動生産化を図るために、プリント基板に対してチップ状電子部品の自動装着が行われている。チップ状電子部品の自動装着工程では、チップ部品実装機などを用いて、プリント配線板にチップ状電子部品を1つずつ供給し、プリント配線板に自動装着している。この自動装着工程において、チップ状電子部品の取り扱いを容易に行うために、個々のチップ状電子部品をテープ状の搬送体(以下、「キャリアテープ」と表現することがある)で包装したテーピング包装体が使用されている。
このようなテーピング包装体は、一例として次のように製造される。はじめに、キャリアテープ台紙を使用する際の幅に断裁し、チップ状電子部品装填用の凹状又は穿孔の角型穴(以下、「チップ装填用穴」と表現することがある)をキャリアテープの幅方向略中央に、キャリアテープ搬送用の円型穴(以下、「キャリアテープ搬送用穴」と表現することがある)をチップ装填用穴よりもキャリアテープの幅方向外側に、それぞれ金型で打設して一定の間隔で設ける。次いで、チップ装填用穴にチップ状電子部品を収納し、キャリアテープ表面の開口部をピールテープで接着することでチップ状電子部品が封入されたテーピング包装体が得られる。このようなテーピング包装体は、一例としてリールで巻き取られ、キャリアテープ搬送用穴を用いて工程内を搬送され、チップ状電子部品の装填直前にピールテープが剥がされてチップ状電子部品が取り出される。
ここで使用されるチップ状電子部品用キャリアテープ台紙に求められる特性は多岐にわたっている。例えば、ピールテープに関連する項目としては、ピールテープを剥がした際の剥離強度(以下、「ピーリング強度」と表現することがある。)のばらつきが小さいこと、ピールテープを剥がした際の毛羽立ちが少ないこと、などがある。断裁や打ち抜きに関連する項目としては、スリット時の紙粉発生量が少ないこと、チップ装填用穴やキャリアテープ搬送用穴をに打ち抜く若しくはポケット状に押し込む際に発生する繊維の飛び出し(バリ)が少ないこと、打ち抜きで使用する金型が摩耗しにくいこと、などがある。キャリアテープの走行に関連する項目としては、キャリアテープ加工工程の走行中にロール等でしごかれても原紙内で剥離をしないこと、工程内での走行時にスリップによる蛇行や走行カウンター不良を起こしにくいこと、などがある。
このようなチップ状電子部品用キャリアテープ台紙について、様々な提案がなされている(例えば、特許文献1~8を参照。)。
特開2002-211507号公報 特開平10-218281号公報 特開平09-188385号公報 特開2005-313946号公報 特開2008-230651号公報 特開2006-143227号公報 特開2009-57114号公報 特開2012-96804号公報
前述の通り、チップ状電子部品用キャリアテープ台紙には様々な特性が求められるが、複数の課題を一手に解決するには至っていない。また、走行時のスリップを抑制するために台紙の平滑度を低くすると、ピーリング強度のばらつきが大きくなるなど、一方の特性を満たせば、他方の特性を失うなどトレードオフの関係にあるものもあり、複数要求される特性をバランスよく備えることは困難であった。
本発明は、このような問題を鑑み、ピーリング強度が高く、ピーリング強度のばらつきが少なく、ピールテープを剥がした際の毛羽立ちが少なく、紙粉が少なく、チップ装填用穴やキャリアテープ搬送用穴を設けるために金型で打ち抜いた際の余分な打ち抜き粕(以下、単に「打ち抜き粕」と表現することがある。)が少なく、スリップが少なく、ロール等でしごかれても原紙内で剥離を起こしにくいチップ状電子部品用キャリアテープ台紙及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の他の目的並びに作用効果については、以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
上記課題を解決するため、本発明に係るチップ状電子部品用キャリアテープ台紙は、パルプを主成分とする基紙を有するチップ状電子部品用キャリアテープ台紙であって、前記基紙はセルロースナノファイバーを含有することを特徴とする。
このような構成とすることで、チップ装填用穴を形成する際に発生する余分な打ち抜き粕が少ないチップ状電子部品用キャリアテープ台紙とすることができる。
また、本願発明は、チップ状電子部品用キャリアテープ台紙の製造方法としても捉えることができる。
本発明に係るチップ状電子部品用キャリアテープ台紙の製造方法は、パルプを主成分として2層以上の層を有する多層抄きの基紙を用意するステップを有し、前記基紙の各層間の少なくとも1つにはセルロースナノファイバーを付着させることを特徴とする。このような構成とすることで、打ち抜き粕が少なく、ロール等でしごかれても原紙内で剥離を起こしにくいチップ状電子部品用キャリアテープ台紙が得られる。
本発明に係るチップ状電子部品用キャリアテープ台紙の別の製造方法は、パルプを主成分とする基紙を用意するステップと、前記基紙の少なくとも一方の面にセルロースナノファイバーを塗布するステップとを有することを特徴とする。このような構成とすることで、ピーリング強度が高く、ピーリング強度のばらつきが少なく、ピールテープを剥がした際の毛羽立ちが少なく、工程内での走行中のスリップが少ないチップ状電子部品用キャリアテープ台紙が得られる。
本発明に係るチップ状電子部品用キャリアテープ台紙の別の製造方法は、ことを特徴とする。このような構成とすることで、金型で打ち抜いた際のバリや打ち抜き粕が少なく、紙粉の発生が少ないチップ状電子部品用キャリアテープ台紙が得られる。
本発明に係るチップ状電子部品用キャリアテープ台紙は、金型で打ち抜いた際のバリや打ち抜き粕が少なく、ロール等でしごかれても原紙内で剥離をしにくく、ピーリング強度が高く、ピーリング強度のばらつきが少なく、ピールテープを剥がした際の毛羽立ちが少なく、工程内での走行中のスリップが少なく、紙粉の発生が少ないチップ状電子部品用キャリアテープ台紙とすることができる。
実施例及び比較例により得られたチップ状電子部品用キャリアテープ台紙の物性を示す図表である。
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
本実施形態に係るチップ状電子部品用キャリアテープ台紙は、基紙にセルロースナノファイバーを含む。セルロースナノファイバーは木材パルプを基に製造され、その製造方法は化学的解繊と機械的解繊に大別できる。化学的解繊としてはTEMPO酸化法やリン酸エステル化法、酵素加水分解法などが提案されており、機械的解繊はグラインダー方式、ホモジナイザー方式、水中対向衝突方式など様々な方式が提案されているが、本発明においてはいずれの方式により製造されたセルロースナノファイバーでも特に限定なく使用できる。
また、ここでセルロースナノファイバーの原料として用いることが可能な木材パルプとしては、針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)や針葉樹未晒しクラフトパルプ(NUKP)、広葉樹晒しクラフトパルプ(LBKP)、広葉樹未晒しクラフトパルプ(LUKP)などの化学パルプ、砕木パルプ(GP)やサーモメカニカルパルプ(TMP)などの機械パルプ、脱墨パルプなどの古紙パルプが挙げられ、これらの原料パルプから選択した1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。なお、本発明に用いるセルロースナノファイバーの繊維幅は100nm以下である。
本実施形態のチップ状電子部品用キャリアテープ台紙は、パルプを主成分とする基紙を有する。ここで、主成分とは、基紙を構成する成分のうち質量基準で最も含有量の多い成分をいう。本実施形態では、基紙を構成する成分のうちパルプが50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であればより好ましく、98質量%以上であれば更に好ましい。基紙に使用する原料パルプとしては特に限定するものではないが、木材パルプを好適に使用することができる。このような木材パルプとしては、針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)や針葉樹未晒しクラフトパルプ(NUKP)、広葉樹晒しクラフトパルプ(LBKP)、広葉樹未晒しクラフトパルプ(LUKP)などの化学パルプ、砕木パルプ(GP)やサーモメカニカルパルプ(TMP)などの機械パルプ、脱墨パルプなどの古紙パルプが挙げられ、これらの原料パルプから選択した1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。これらの中でも、特に、NBKPとLBKPを単独または併用することが好ましい。例えば、LBKPをパルプスラリー中70~100質量%または90~100質量%含むものを使用することができる。なお、本発明において古紙パルプを採用することも可能であるが、古紙パルプは異物を含むことが多く、基紙への石英の混入の増加に繋がる可能性がある。従って、本発明で古紙パルプを採用する場合には、古紙パルプの製造工程においてクリーナー等での異物除去を高レベルで行うことが望ましい。
基紙用の原料パルプは、離解機及び叩解機を使用して適切な叩解度を有するパルプスラリーとすることが望ましい。本発明においては、カナダ標準濾水度(JIS P 8121:1995 パルプのろ水度試験方法)でCSF300~800mlとすることが好ましい。より好ましくは、CSF350~650mlであり、更に好ましくはCSF410~580mlである。
適切な叩解度に調整したパルプスラリーを原料スラリーとし、抄紙機にて抄紙してキャリアテープ台紙の基紙を形成する。抄紙機は公知の抄紙機を用いることができる。例えば、長網式抄紙機、円網式抄紙機、ハイブリッドフォーマー、ギャップフォーマー等で抄紙することができる。基紙の構成は単層でも2層以上の多層抄きでもよい。
本発明において、基紙にセルロースナノファイバーを含有させる方法としては、
(1)基紙の層間の少なくとも1つにセルロースナノファイバーを付着させる方法
(2)基紙の少なくとも一方の面にセルロースナノファイバーを塗布する方法
(3)パルプスラリーを含む原料スラリー中にセルロースナノファイバーを添加して基紙を抄紙する方法
があげられるが、これらの方法は1つのみを採用してもよいし、2つ以上の方法を採用してもよい。以下においてそれぞれの方法を詳細に説明する。
(1)基紙の層間の少なくとも1つにセルロースナノファイバーを付着させる方法
基紙として2層以上の層を有する多層抄きの基紙を用いる場合には、基紙の各層間の少なくとも1つにセルロースナノファイバーを付着させることでセルロースナノファイバーを含有させることができる。チップ状電子部品用キャリアテープ台紙は、その加工工程などで曲げられたりロールでしごかれたりすることで負荷がかかることがあり、このような負荷に耐えられない場合には層間で剥離を生じることがある。層間での剥離を防ぐために単純に基紙の層間剥離強度を向上させるためには、例えば接着剤として澱粉を層間に付着させる方法があるが、澱粉は紙を硬くしやすく、ロールでしごかれたりすることでかかる負荷による層間の剥離を抑えるには不向きであった。しかしながら、本発明で用いるセルロースナノファイバーは基紙の主成分であるパルプと化学的組成が同じであるためか馴染みが良く、また、澱粉のように紙を殆ど硬化させることなくロール等で曲げたりしごいたりした際の層間での剥離に対する抵抗力(以下、「加速負荷抵抗力」と言う)を向上させることができる。
セルロースナノファイバーの基紙の層間への付着方法は特に限定するものではないが、例えば、セルロースナノファイバーを含有する水溶液を抄紙工程上で基紙の層間に噴霧することで付着させることができる。基紙へのセルロースナノファイバーの付着量は、特に限定するものではないが、TEMPO酸化法に代表される化学的解繊セルロースナノファイバーを用いる場合には、1層間当たり固形分で0.001~0.1g/m2の範囲であることが好ましい。一方、機械的解繊セルロースナノファイバーを用いる場合には、1層間当たり固形分で0.01~1g/m2の範囲であることが好ましい。セルロースナノファイバーの付着量が少なすぎると加速負荷抵抗力の向上効果が得られ難く、逆に多すぎると加速負荷抵抗力の向上効果が頭打ちとなる。なお、加速負荷抵抗力は、加速負荷試験により評価することができる。加速負荷試験は8mm幅テープ状にスリットしたチップ状電子部品用キャリアテープ台紙を、荷重を掛けてφ20mm径のロールでしごき、層間から剥離するまでの回数で評価するものである。回数が多いほど加速負荷抵抗力が強いことを示し、実際の加工工程でもロールのリターンが各所にあるため重要な品質項目となる。
(2)基紙の少なくとも一方の面にセルロースナノファイバーを塗布する方法
基紙にセルロースナノファイバーを含有させる他の方法として、基紙の少なくとも一方の面にセルロースナノファイバーを塗布することでも実現できる。例えば、セルロースナノファイバーを含む水溶液を2本ロールサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、メタリングサイズプレス等、各種公知の塗工機を用いて塗布又は含浸すればよい。チップ状電子部品用キャリアテープ台紙は、金型で設けられたチップ装填用穴にチップが装填された後、開口部にピールテープが貼られた上で運送や保管がなされ、再びチップを取り出す際にはピールテープが剥がされる。従って、運送や保管時に剥がれないよう台紙とピールテープとは十分に接着されている必要があるが、台紙とピールテープとの接着強度(以下、「ピーリング強度」ということがある。)が強すぎると剥がす際になめらかに剥がれず、台紙が波打ったり暴れたりするような剥がれ方となり、装填したチップがチップ装填用穴から飛び出てしまうなどのトラブルの原因となる。
本実施形態では、セルロースナノファイバーを基紙の少なくとも一方の面(ピールテープの貼付面)に塗布することで、ピーリング強度と剥がす際のなめらかさを両立させる。その作用は定かではないが、台紙表面に存在するパルプ繊維間の凹凸をセルロースナノファイバーが埋めることで台紙表面が平滑化され、ピーリング強度とピールテープを剥がす際のなめらかさがバランスよく向上するものと推測される。特に、ピールテープを剥がす際のなめらかさについては、単に台紙が平滑になることだけが寄与しているのではなく、台紙の凹凸を台紙の主成分であるパルプと同じ化学組成であるセルロースナノファイバーで埋めることで台紙表面の化学組成がほぼ同一となり、その結果、ピーリング強度の局所的なバラツキが小さくなるためではないかと考えられる。なお、ピーリング強度とピールテープを剥がす際のなめらかさについては次の方法で評価できる。8mm幅テープ状にスリットしたチップ状電子部品用キャリアテープ台紙にピールテープを接着し、剥離強度計測器により剥離強度を測定し、得られた剥離強度の最大値と最小値よりバラツキRを算出する。ばらつきRが大きいとピールテープを剥がす際に前述したチップが装填部から飛び出すようなトラブルが生じやすくなる。
また、基紙の少なくとも一方の面にセルロースナノファイバーを塗布することによる他の効果としては、ピールテープを剥がした際の台紙面の毛羽立ちの抑制があげられる。ピールテープを剥がした際に台紙表面の繊維が毛羽立つと紙粉となりやすく、微小なチップにとっては致命的な異物混入の原因となることがある。また、更なる別の効果としては、加工時等での走行中の蛇行抑制があげられる。これは台紙表面が平滑になることが寄与しているものと考えられる。
基紙へのセルロースナノファイバーの塗布量は特に限定するものではないが、TEMPO酸化法に代表される化学的解繊セルロースナノファイバーを用いる場合には、固形で基紙の片面当たり0.001~0.1g/m2の範囲であることが好ましい。一方、機械的解繊セルロースナノファイバーを用いる場合には、固形で基紙の片面当たり0.01~10g/m2の範囲であることが好ましい。セルロースナノファイバーの塗布量が少なすぎると、ピーリング強度と、剥がす際のなめらかさを両立することが難しくなる。逆にセルロースナノファイバーの塗布量が多すぎると基紙の表面に皮膜状の層ができてしまい、紙粉の発生などのトラブルの原因となるおそれがある。
基紙の表面には、セルロースナノファイバーのほか、必要に応じて澱粉類、各種ポリビニルアルコール、各種ポリアクリルアマイド等の表面紙力増強剤を塗布してもよい。表面紙力増強剤の基紙への塗布方法は限定するものではなく、2本ロールサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、メタリングサイズプレス等の塗工機を用いて塗布することができる。表面紙力増強剤を用いる場合の塗布量は、基紙の両面当たり固形分換算で0.5~5g/m2の範囲であることであることが好ましく、1~3.5g/m2の範囲であればより好ましい。
(3)パルプスラリーを含む原料スラリー中にセルロースナノファイバーを添加して基紙を抄紙する方法
基紙にセルロースナノファイバーを含有させる他の方法として、パルプスラリーを含む原料スラリー中にセルロースナノファイバーを添加することで、セルロースナノファイバーを含む基紙を抄紙することもできる。具体的には、一般的な製紙薬品の添加と同様に、セルロースナノファイバーをパルプスラリー中に添加して原料スラリーとし、この原料スラリーを用いて基紙を抄紙する方法である。このような構成とすることで打ち抜き粕の発生を抑制することができる。この作用は定かではないが、セルロースナノファイバーを含むことで基紙が緻密になり、打ち抜き刃の入りがよくなるのではないかと推察される。
チップ状電子部品用キャリアテープ台紙の加工の一例としては、チップを挿入する角穴とテープ走行用の丸穴を金型によって打ち抜いて形成する。良好に打ち抜かれた場合は、基紙から打ち抜き部分のみが抜かれるが、打ち抜きが良好でない場合にはバリ状のものが発生したり、層間から引き抜かれた繊維が発生したりすることがある。このような余分な抜き粕を本実施形態では打ち抜き粕という。打ち抜き粕は、丸穴から発生するものはリング状であることが多く、角穴から発生するものはL字状のものが多い。打ち抜き粕は後工程を汚したり、角穴又は丸穴の中に残留してチップ挿入不良やチップを取り出す際の工程不良を引き起こしたりする可能性がある。また、打ち抜き粕の発生を抑制する効果の他に、紙粉の発生も抑制することができる。
原料スラリー中へのセルロースナノファイバーの添加量は、TEMPO酸化法に代表される化学的解繊セルロースナノファイバーを用いる場合には、パルプ100質量部に対して0.01~1質量部の範囲であることが好ましい。一方、機械的解繊セルロースナノファイバーを用いる場合には0.1~10質量部の範囲であることが好ましい。セルロースナノファイバーの添加量が少なすぎると、打ち抜き粕抑制等の所望する効果が得られにくく、逆に多すぎると抄紙時の濾水性が悪くなり、基紙を抄造し難くなるおそれがある。
原料スラリーには、セルロースナノファイバーの他、本発明の目的とする効果を損なわない範囲で、填料、紙力剤、サイズ剤、歩留まり向上剤、着色染料、着色顔料などの製紙用添加剤を適宜添加してもよい。ただし、加速負荷抵抗力の低下や紙粉発生の懸念が生じるため、填料、特に無機填料の含有量は基紙の1質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以下である。無機填料には、原料パルプに由来して意図せずに混入する灰分も含まれるが、この灰分の含有を考慮しても、無機填料の基紙中への含有量は0.01~0.5質量%とすることが好ましい。
本実施形態においては、抄紙後の基紙を、必要に応じて平滑化処理してもよい。平滑化処理の方法は特に限定するものではなく、マシンキャンダー、ソフトキャレンダ-、スーパーキャレンダ-などを用いることができる。
基紙の厚さは、装填されるチップ状電子部品の大きさによって設定すればよいが、150~1500μmとすることが好ましく、より好ましくは300~1200μmである。また、基紙全体の坪量は150~1200g/m2とすることが好ましく、より好ましくは250~1000g/m2である。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」、「%」は、特に断らない限りそれぞれ「質量部」、「質量%」を示す。なお、添加部数は、固形分換算の値である。
<実施例1>
基紙として表層(1層目)、中間層(2~4層目)、裏層(5層目)の5層抄きの紙を次の通り抄造した。カナディアンスタンダードフリーネス(CSF)450mlのLBKP100部からなるパルプスラリーに、硫酸バンドを0.3部、カチオン性デンプン(商品名:ネオタック#30T/日本食品加工社製)1部、ロジンエマルジョンサイズ剤(商品名:CC-1404/星光PMC社製)0.4部、TEMPO酸化セルロースナノファイバー(商品名:レオクリスタC-2SP、第一工業製薬社製)0.1部を添加し原料スラリーを得た。得られた原料スラリーを用い、円網抄紙機によって表層、中間層、裏層からなる5層の湿紙を抄き合わせて抄紙し基紙を得た。その後、プレスパートで窄水し、乾燥後、2本ロールサイズプレスにて酸化澱粉(SK-20/日本コーンスターチ社製)6%のサイズ液を基紙の両面あたり3g/m2となるように塗布し、水分含有率が9%となるようにシリンダードライヤーで乾燥、多段キャレンダーにより平滑化処理をさせて目的とするチップ状電子部品用キャリアテープ台紙を得た。なお、各層の坪量は、表層を100g/m2、中間層を100g/m2を3層、裏層を100g/m2として、基紙全体の坪量を、500g/m2とした。チップ状電子部品用キャリアテープ台紙中の灰分は、0.4質量%であった。この灰分は、パルプ由来と考えられる。
<実施例2>
実施例1において、原料スラリー中のTEMPO酸化セルロースナノファイバーを機械解繊式セルロースナノファイバー(商品名:セリッシュKY100G、ダイセル社製)に変更し、添加率を0.1部から1部に変更した以外は同様にしてチップ状電子部品用キャリアテープ台紙を得た。
<実施例3>
実施例1において、原料スラリーに添加しているTEMPO酸化セルロースナノファイバーを無添加とし、TEMPO酸化セルロースナノファイバーを基紙の各層間4カ所に固形分で0.01g/m2ずつ噴霧して付着させた以外は同様にしてチップ状電子部品用キャリアテープ台紙を得た。
<実施例4>
実施例3において、基紙の各層間に用いるTEMPO酸化セルロースナノファイバーを機械解繊式セルロースナノファイバー(商品名:セリッシュKY100G、ダイセル社製)に変更し、その付着量を0.01g/m2から0.1g/m2ずつに変更した以外は同様にしてチップ状電子部品用キャリアテープ台紙を得た。
<実施例5>
実施例1において、原料スラリーに添加しているTEMPO酸化セルロースナノファイバーを無添加とし、TEMPO酸化セルロースナノファイバーをサイズ液に添加して基紙の両面に塗布した以外は同様にしてチップ状電子部品用キャリアテープ台紙を得た。TEMPO酸化セルロースナノファイバーの基紙への塗布量は、片面あたり固形分換算で0.01g/m2であった。
<実施例6>
実施例5において、TEMPO酸化セルロースナノファイバーを機械解繊式セルロースナノファイバー(商品名:セリッシュKY100G、ダイセル社製)に変更し、基紙への塗布量を片面あたり固形分換算で0.01g/m2から0.1g/m2に変更した以外は同様にしてチップ状電子部品用キャリアテープ台紙を得た。
<実施例7>
実施例5において、サイズ液に添加している酸化澱粉(SK-20/日本コーンスターチ社製)を無添加とし、TEMPO酸化セルロースナノファイバーの塗布量を基紙の片面あたり固形分で0.01g/m2から0.1g/m2に変更した以外は同様にしてチップ状電子部品用キャリアテープ台紙を得た。
<実施例8>
実施例1において、TEMPO酸化セルロースナノファイバーを各層間4カ所に固形分で0.01g/m2ずつ噴霧して付着させ、TEMPO酸化セルロースナノファイバーをサイズ剤に添加し、基紙への塗布量が固形分で片面あたり0.01g/m2になるようにした以外は同様にしてチップ状電子部品用キャリアテープ台紙を得た。
<実施例9>
実施例1において、TEMPO酸化セルロースナノファイバーを全て機械解繊式セルロースナノファイバー(商品名:セリッシュKY100G、ダイセル社製)に変更し、各層間4カ所への機械解繊式セルロースナノファイバーの付着量を固形分で各層0.1g/m2ずつとし、基紙への塗布量を片面あたり0.1g/m2となるようにサイズ液に機械解繊式セルロースナノファイバーを添加した以外は同様にしてチップ状電子部品用キャリアテープ台紙を得た。
<比較例1>
実施襟1において、原料スラリーに添加しているTEMPO酸化セルロースナノファイバーを無添加とした以外は同様にしてチップ状電子部品用キャリアテープ台紙を得た。
各実施例及び比較例で得られたチップ状電子部品用キャリアテープ台紙の主な構成と評価を表1に示す。なお、各評価方法は下記のとおりとした。
<ピーリング強度のバラツキ>
実施例及び比較例で得られたキャリアテープ台紙に、テーピング装置(PST-150Air、PALMEC社製)を用いてピールテープ(No381H-14A:日東電工製)を接着し、剥離強度テスター(PFT-50、PALMEC社製)を用いて剥離強度を測定した。テーピング条件:接着温度140℃、4mm×50回スタンプ/シール長200mm、剥離強度測定条件:剥離速度300mm/30秒、剥離角度170度とした。得られた剥離強度の最大値と最小値よりバラツキRを算出した。評価基準は次のとおりである。バラツキRが大きいほどなめらかにピールテープを剥がすことが難しくなり、チップが装填部から飛び出すようなトラブルが生じやすくなる。
〇:バラツキRが0.2未満であり、実用レベル
△:バラツキRが0.2~0.3であり、実用下限レベル
×:バラツキRが0.3を超え、実用不可レベル
<加速負荷抵抗力>
チップ状電子部品用キャリアテープ台紙を8mm幅×1800mmのテープ状にスリットし、1580gの荷重を掛けてφ20mm径のロールに巻き付けてしごき、層間が剥離長5mmとなるまでのしごき回数を測定した。評価基準は次のとおりである。
〇:200回以上しごいても剥離せず。(実用レベル)
△:100~200回で剥離が発生する。(実用下限レベル)
×:100回未満で剥離が発生する。(実用不可レベル)
<打ち抜き粕評価>
チップ状電子部品用キャリアテープ台紙を8mm幅のテープ状にスリットして、JIS C 0806-3:2014「自動実装部品の包装-第3部:表面実装部品の連続テープによる包装」に準拠し、プレスポケット形装填部成形機(TWA-6507:東京ウエルズ社製)を用いて、幅方向0.7mm×流れ方向0.4mmの貫通した装填部を2mm間隔、テープ走行用φ2mm丸穴を2mm間隔で各々1000万ショット成形した。この際の打ち抜き粕の発生量を目視で評価した。評価基準は次のとおり。
〇:打ち抜き粕があまりなく、良好。合格。
△:打ち抜き粕がやや生じるが、良好。合格。
×:打ち抜き粕が多く生じ、不良。不合格。
図1には各実施例及び比較例の構成と物性評価結果が示されている。なお、同図において、CNFはセルロースナノファイバーの略記、CNF使用箇所の「塗工」は表面塗工、CNF使用箇所の「3箇所全て」は、原料スラリー、層間塗工、表面塗工の3箇所への適用を意味する。
図1に示すとおり、実施例1~9で得られたチップ状電子部品用キャリアテープ台紙は、すべての課題について改善が見られた。一方で、比較例1で得られたチップ状電子部品用キャリアテープ台紙は、セルロースナノファイバーを使用していないため改善は見られなかった。

Claims (4)

  1. パルプを主成分とする基紙を有するチップ状電子部品用キャリアテープ台紙であって、前記基紙はセルロースナノファイバーを含有することを特徴とするチップ状電子部品用キャリアテープ台紙。
  2. パルプを主成分として2層以上の層を有する多層抄きの基紙を用意するステップを有し、前記基紙の各層間の少なくとも1つにはセルロースナノファイバーを付着させることを特徴とするチップ状電子部品用キャリアテープ台紙の製造方法。
  3. パルプを主成分とする基紙を用意するステップと、前記基紙の少なくとも一方の面にセルロースナノファイバーを塗布するステップとを有することを特徴とするチップ状電子部品用キャリアテープ台紙の製造方法。
  4. パルプスラリーにセルロースナノファイバーを添加するステップと、前記パルプスラリーを用いてパルプを主成分とする基紙を抄紙するステップとを有することを特徴とするチップ状電子部品用キャリアテープ台紙の製造方法。
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