JP3288692B2 - レスピラトリイ・シンシチアル・ウイルス:ワクチンおよび診断法 - Google Patents

レスピラトリイ・シンシチアル・ウイルス:ワクチンおよび診断法

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    • C12N2760/18011Paramyxoviridae
    • C12N2760/18511Pneumovirus, e.g. human respiratory syncytial virus
    • C12N2760/18522New viral proteins or individual genes, new structural or functional aspects of known viral proteins or genes

Description

【発明の詳細な説明】 1.発明の分野 レスピラトリイ・シンシチアル(RS)ウイルスは幼児
期や幼年期における下部呼吸器疾患の主な原因物質であ
る。このウイルスに対する安全かつ効果的なワクチンを
開発することは、医学的、科学的に大いに興味をそそる
事である。
RSウイルスはエエンベロープ(表面膜)を有するRNA
ウイルスである。主な外側エンベロープ蛋白の、F蛋白
(融合蛋白または融合糖蛋白としても知られている)お
よびG蛋白は、これらの蛋白に対する抗体がこのウイル
スを中和できるので、RSウイルス感染において重要な役
割を演じている。
本明細書において、ウイルス蛋白の中和エピトープと
は、エピトープへの抗体結合がウイルスを中和するとい
う事実によって明確に示されるように、ウイルスの伝染
性にとって不可欠なエピトープである。同様に、ウイル
ス蛋白の融合エピトープとは、そのエピトープへの抗体
結合が融合を妨げるという事実によって明確に示される
ように、ウイルス−細胞融合または感染細胞と未感染細
胞との融合による感染の細胞間伝播にとって不可欠なエ
ピトープである。
本発明は、RSウイルスの外側エンベロープと関連した
蛋白およびポリペプチドの組成物並びに生産方法に関す
る。より詳細には、本発明の1つの実施態様は、RSウイ
ルスの融合蛋白に関連した蛋白およびポリペプチドの組
成物並びに生産方法に関する。本発明のこの実施態様の
蛋白およびポリペプチドは、融合蛋白の中和エピトープ
または融合エピトープもしくはこれらの両方に関係して
おり、能動免疫に使用する多価ワクチンを含むワクチン
製剤において、および受動免疫に使用する抗体並びに診
断検定用の試薬の生産に、免疫原として用いられる。
本発明の別の実施態様は、RSウイルスのG蛋白に関連
した蛋白およびポリペプチドの組成物並びに生産方法に
関するる。本発明のこの実施態様の蛋白およびポリペプ
チドは、G蛋白の中和エピトープに関係しており、能動
免疫に使用する多価ワクチンを含むワクチン製剤におい
て、並びに受動免疫の抗体および診断検定用の試薬の生
産に、免疫原として用いられる。
中和エピトープ、融合エピトープ、またはこれらの両
方に関連した新規な蛋白およびポリペプチドは、組換え
DNA技術または化学的合成法により得られる。さらに、
本発明は、RSウイルス関連蛋白およびポリペプチドの発
現に有用な新規DNA配列およびベクター、並びに前記の
新規DNA配列およびベクターを保有する細胞に関する。
エピトープは基礎となる分子物質の分子配置により生
ずる三次元構造であることに留意すべきである。本発明
において、基礎となる分子物質はポリペプチドである。
ポリペプチドの構造特性(三次元配置がその1つであ
る)は、1個またはそれ以上のアミノ酸の置換、挿入、
欠失のようなわずかな修飾の導入により、ほんの少し変
更し得ることがよく知られている。一般に、ポリペプチ
ドのアミノ酸配列におけるこのような置換は20パーセン
トより少なく、より一般的には10パーセントより少ない
量で行われる。一般に、保存的置換は非保存的置換ほど
顕著にその構造を変更せず、まして挿入や欠失ほど顕著
にその構造を変更しないであろう。保存的置換の例はア
ラニンの代わりにグリシン;イソロイシンの代わりにバ
リン;グルタミン酸の代わりにアスパラギン酸;グルタ
ミンの代わりにアスパラギン;トレオニンの代わりにセ
リン;アルギニンの代わりにリシン;トレオニンの代わ
りにフェニルアラニン;およびこれらの逆である。従っ
て、本発明は、エピトープが変更されないという条件
で、修飾ポリペプチドを包含することと理解すべきであ
る。
ウイルスエピトープは株間変位を示すことがよく知ら
れている。先に示した修飾による調節は実際に有利に用
いることができる。
最後に、融合蛋白およびG蛋白に関連した本発明の蛋
白またはポリペプチドは、真正ウイルス蛋白と同様に、
それらの用途に応じて、標識されてもされなくてもよ
く、表面に結合されていてもよく、担体などに接合され
てもよい。
2.発明の背景 2.1.レスピラトリイ・シンシチアル・ウイルスによる疾
患 RSウイルスは幼児期や幼年期における下部呼吸器疾患
の主な原因物質である(McIntosh and Chanock,1985,in
Virology,Fields,B.(ed),Raven,NY,p.1285−130
4)。全地域において、それは幼児および子供の細気管
支炎や肺炎の主な原因となっている。この原因物質は幼
年期にしばしば再感染を起こすが、再感染による病状は
初期感染のときよりも一般的に緩和であり、めったに重
大問題を起こすことはない。
RSウイルスはパラミクソウイルス(Paramyxovirida
e)科、肺炎ウイルス(pneumovirus)属の、エンベロー
プを有するRNAウイルスである。2つの主なエンベロー
プ蛋白は、宿主細胞膜へのウイルスの付着に関与するG
蛋白、およびウイルスと細胞膜との融合に関与する融合
蛋白である。ウイルス−細胞融合は感染に必要なステッ
プである。融合蛋白は細胞−細胞融合(感染細胞から未
感染細胞へ感染を広げるためのもう一つの経路である)
にも必要とされる。
融合蛋白またはG蛋白に対する抗体はこのウイルスを
中和することができる。しかしながら、融合蛋白に対す
る抗体のみが細胞間のウイルスの伝播を阻止し、すなわ
ち抗融合活性を有する。従って、融合蛋白に対する抗体
はウイルスが循環することから保護し、また確立された
感染の細胞間の広がりを抑えるであろう。融合蛋白に対
する抗体(精製された融合蛋白に対するポリクローナル
抗血清、および中和活性と抗融合活性の両方を含むモノ
クローナル抗体)は、動物実験において、感染に対して
防御作用を有することが見いだされた(Walsh et al.,1
984,Infect.Immun.43:756−758)。
2.2.RSウイルス感染を予防するための免疫学的手法 幼児や子供の上部および下部呼吸器疾患からの実際的
な防御手段は、RSウイルスに対するワクチン注射であろ
う。妊婦のワクチン注射(能動免疫)は、免疫の受動性
転移により、経胎盤的にまたは母乳を通して、小さい子
供を保護するであろう。RSウイルスワクチンに関して、
いくつかの研究法が可能であるが、そのうちの一部は過
去において不成功に終わった。
死滅RSウイルスワクチンを用いた予防接種が試みら
れ、効果的でないと判明した(Kim et al.,1969,Am.J.E
pid.89:422)。子供が保護されなかったばかりでなく、
いくつかの場合には、RSウイルスにその後感染した際
に、免疫しなかった対照よりも重症で非定型の症状が現
れた。この現象はRSウイルスに特異なことではなく、麻
疹ウイルスワクチンのような死滅パラミクソウイルスワ
クチンにも見られた。過去の不活性RSウイルスワクチン
が失敗した理由は、ウイルスエンベロープ糖蛋白のいず
れか一方または両方の生物学的に機能するエピトープが
不活化されたためであることが示唆された。言い換える
と、死滅ウイルスワクチンの中和および融合エピトープ
に“変性”が起こった。その結果、接種者は生物学的に
機能する中和および融合エピトープを経験しなかった。
それゆえに、接種者が生存ウイルスに接触した場合に、
生ずる抗体応答は防御免疫をもたらさなかった。その代
わりに、抗体により媒介される炎症反応(往々にして、
より重症である)が起こった(Choppon and Scheid,198
0,Rev.Inf.Dis.,:40−61)。
RSウイルスワクチンの2番目の研究法は生存ウイルス
を弱毒化することであった。温度感受性変位株(Wright
et al.,1982,Infect.Immun.37:397−400)および継代
弱毒化ウイルス(Belshe et al.,1982,J.Inf.Dis.145:3
11−319)は、感染性が低く、RSウイルスワクチンにお
いて免疫原として使用した場合に病気を効果的に予防し
ないことが照明された。しかしながら、これらの場合に
はワクチン注射の結果として非定型の症状が現れなかっ
た。
RSウイルスの構造および感染に対する免疫反応の我々
の最近の知識に基づくと、このウイルスに対して有用な
ワクチンは、融合蛋白および/またはG蛋白に対する抗
体の生産を誘導する上で効果的でなければならないこと
が明らかである。融合を妨げ、それゆえに気道でのウイ
ルスの細胞間伝播を阻止できる抗体の生産は、防御免疫
にとって特に重要である。さらに、RSウイルス感染細胞
に対して有用な細胞障害性T細胞の刺激を含めて、細胞
媒介免疫反応を誘起することが有用でありうる。本発明
による種々のワクチン製剤はこれら両方の目標を達成す
るものである。
2.3.組換えDNA技術および遺伝子発現 組換えDNA技術は、宿主細胞内で複製しうる組換えDNA
分子を作製するために、DNA運搬体(ベクター)に特定
のDNA配列を挿入することを含んでいる。一般的に、し
かし必ずしもそうではないが、挿入DNA配列は受容DNA運
搬体にとって異種(外来性)である;すなわち、挿入DN
A配列とDNA運搬体とは自然界において遺伝情報を交換し
ない生物に由来するか、あるいは挿入DNA配列は全部ま
たは一部が人工的な情報を含むものである。組換えDNA
分子の構築を可能にする一般方法がいくつか開発されて
いる。例えば、CohenおよびBoyerの米国特許第4237224
号は、制限酵素によるDNAの切断および既知連結方法に
よるDNA断片の連結の各プロセスを用いた組換えプラス
ミドの作製を開示している。
これらの組換えプラスミドはその後形質転換の手法に
より導入され、組織培養により増殖された単細胞培養物
(原核および真核細胞を含む)内で複製される。そこに
記載される技術の利用可能性ゆえに、米国特許第423722
4号は参照として本明細書にとり込まれるものとする。
組換えDNA分子を単細胞生物に導入する別の方法は、Col
linsおよびHohnの米国特許第4304863号(これも参照と
してここにとり込まれる)に開示されている。この方法
はバクテリオファージベクター(コスミド)を用いたパ
ッケージング形質導入系を利用している。
DNA配列はウイルス(例えば、ワクシニアウイルス)
に挿入することもできる。このような組換えウイルス
は、例えば、ウイルスに感染した細胞にプラスミドをト
ランスフェクションすることにより得られる(Chakraba
rti et al.,1985,Mol.Cell.Biol.:3403−3409)。
用いる構築法にかかわらず、組換えDNA分子は好まし
くは宿主細胞と適合しうるもの、すなわち宿主染色体の
一部としてまたは染色体外要素として宿主細胞内で複製
する能力をもつものである。組換えDNA分子または組換
えウイルスは、目的の組換えDNA分子またはウイルスの
選択を可能にするマーカー機能をもつことが好ましい。
さらに、適切な複製、転写および翻訳シグナルのすべて
が組換えDNA分子に正しく配置された場合、形質転換ま
たはトランスフェクションされた宿主細胞により異種遺
伝子が適切に発現されるだろう。
異なる遺伝子シグナルおよびプロセッシング現象は異
なるレベルで遺伝子発現を制御する。例えば、DNA転写
レベルとメッセンジャーRNA(mRNA)翻訳レベルとは異
なっている。DNAの転写は、RNAポリメラーゼを結合させ
ることによりRNA合成を促進するDNA配列から成るプロモ
ーターの存在に左右される。真核生物プロモーターのDN
A配列は原核生物プロモーターの配列と相違している。
さらに、真核生物プロモーターとそれに付随する遺伝子
シグナルは原核生物系において認識されなかったり、機
能しなかったりする。
同様に、原核生物によるmRNAの翻訳は、真核生物のそ
れとは異なる適切な原核生物シグナルの存在に左右され
る。原核生物によるmRNAの効率のよい翻訳は、mRNA上の
シャイン−ダルガノ(SD)配列と呼ばれるリボソーム結
合部位を必要とする。遺伝子発現を最大限に高める論評
については、Roberts and Lauer,1979,Methods in Enzy
mology 68:473を参照されたい。
適切なシグナルが挿入されて、正しく配置されたとし
ても、原核生物による異種遺伝子の発現は他の多くの要
因のために複雑になっている。この種の要因の1つは大
腸菌(E.coli)や他の細菌に存在する活動的な蛋白質加
水分解系である。この蛋白質分解系は異種蛋白を選択的
に破壊すると思われる。従って、細菌により発現された
真核生物蛋白を加水分解から保護する手段が開発される
ならば、大いに役に立つであろう。1つの戦略は、異種
配列が原核生物構造遺伝子と合致して(すなわち、正し
い読み枠で)連結されているハイブリッド遺伝子を構築
することである。このハイブリッド遺伝子の発現は組換
え蛋白生産物(原核生物アミノ酸配列と異種アミノ酸配
列とのハイブリッドである蛋白)をもたらす。
真核生物系による遺伝子発現の同様の考察は、Enhanc
ers & Eukaryotic Gene Expression(エンハンサー&
真核生物遺伝子発現),Gluzman & Shenk(Eds.),コ
ールド・スプリング・ハーバー研究所,コールド・スプ
リング・ハーバー・ニューヨーク1983およびEukaryotic
Viral Vectors(真核生物のウイルスベクター),Gluzm
an(Ed.),コールド・スプリング・ハーバー研究所,
コールド・スプリング・ハーバー・ニューヨーク1982に
論じられている。
クローン化遺伝子の発現を成功させるには、効率のよ
いDNA転写、mRNAの翻訳、いくつかの場合には蛋白の翻
訳後修飾が必要である。発現ベクターはクローン化遺伝
子からの蛋白生産を高めるように開発されている。発現
ベクター内において、クローン化遺伝子はしばしば必要
に応じて転写を刺激できるように制御しうる強力プロモ
ーターの隣に配置される。細胞は高密度となるまで増殖
され、その後プロモーターは転写物の数を増すように誘
導されうる。これらは、効率よく翻訳されるならば、高
収量の蛋白をもたらすであろう。これは、異種蛋白が宿
主細胞に有害である場合に、とりわけ価値のある発現系
である。
いくつかの組換えDNA発現系が例示のみのために以下
で説明されるが、これらの例は本発明の範囲を制限する
ものと解釈されるべきではない。
2.3.1.発現ベクターとしての大腸菌 多くの大腸菌プラスミドが知られており、異種遺伝子
を発現させるために用いられている。経済的理由のため
に、高レベルの発現を達成できることが非常に望まし
い。所定の遺伝子産物を大量に得るための1つの方法
は、細菌細胞内で非常に高いコピー数を有するプラスミ
ドに遺伝子をクローン化することである。特定遺伝子の
コピー数を増すことにより、一般にmRNAレベルも高ま
り、ひいては目的蛋白の生産増加へと導く。
2.3.2.発現ベクターとしてのワクシニアウイルス(vacc
inia virus) ワクシニアウイルスはクローニングおよび発現ベクタ
ーとして用いられる。このウイルスは約187kb対の線状
二本鎖DNAゲノムを含み、感染細胞の細胞質内で複製す
る。これらのウイルスはウイルスコアに完全な転写酵素
系(キャッピング、メチル化、およびポリアデニル化酵
素を含む)をもっている。この系は、ワクシニアウイル
ス転写調節配列(プロモーター)がワクシニアRNAポリ
メラーゼによって転写を開始できるが、細胞RNAポリメ
ラーゼでは転写を開始できないので、ウイルスの感染性
にとって必要である。
組換えウイルスによる異種DNAの発現には、ワクシニ
アプロモーターへ異種遺伝子の蛋白コード配列を融合さ
せることが必要である。ワクシニアウイルス内へキメラ
遺伝子を挿入するためのプラスミドベクター(挿入ベク
ターとも呼ばれる)が構築されている。このような挿入
ベクターの1つのタイプは:(1)転写開始部位を含む
ワクシニアウイルスプロモーター;(2)異種DNA断片
を挿入するための、転写開始部位の下流にある唯一の制
限エンドヌクレアーゼクローニング部位数箇所;(3)
ウイルスゲノムの相同な非必須領域にキメラ遺伝子を挿
入させるための、プロモーターおよびクローニング部位
に隣接した非必須ワクシニアウイルスDNA(例えば、チ
ミジンキナーゼ遺伝子);および(4)大腸菌による複
製および選択を可能にする細菌の複製起点および抗生物
質耐性マーカー;を含んでいる。この種のベクターの例
はMacKett(1984,J.Virol.49:857−864)に開示されて
いる。
組換えウイルスは、異種遺伝子を含む組換え細菌挿入
ベクターを、ワクシニアウイルス感染細胞にトランスフ
ェクションすることにより得られる。相同組換えが感染
細胞内で起こり、その結果異種遺伝子がウイルスゲノム
に挿入される。目的の組換えウイルスを同定・単離する
ために、免疫学的手法、DNAプラークハイブリダイゼー
ション、または遺伝子選択を用いることができる。これ
らのワクシニア組換え体は感染に必要な機能を保持し、
しかも約35kbまでの異種DNAを収容するように構築でき
る。
異種遺伝子の発現は酵素検定または免疫検定(例え
ば、免疫沈降、酵素結合免疫吸着検定(ELISA)、ラジ
オイムノアッセイ、またはイムノブロッティング)によ
り検出できる。さらに、組換えワクシニア感染細胞から
生産された自然界に存在する膜糖蛋白はグリコシル化さ
れて、細胞表面に輸送される。高発現レベルは強力プロ
モーターを使用するか、多コピー数の単一遺伝子をクロ
ーニングすることにより得られる。
2.3.3.発現ベクターとしてのバキュロウイルス(baculo
virus) オートグラフィカ・カリフォルニカ(Autographica c
alifornica)核多面体ウイルス(AcNPV)のようなバキ
ュロウイルスもクローニングまたは発現ベクターとして
用いられている。AcNPVの感染形は、通常は発現ベクタ
ーに見出される。この構造は大部分がポリヘドリンポリ
ペプチド(この中にウイルス粒子が包埋される)から構
成されている。ポリヘドリン遺伝子の発現は、成熟ウイ
ルス粒子が形成された後で、感染周期の後期に起こる。
従って、ポリヘドリン遺伝子の発現は無くてもよい機能
であり、ポリヘドリン遺伝子発現の不在下で形成された
非包埋ウイルス粒子は十分に活動的であって培養細胞に
感染することができる。Smithらの欧州特許出願第84105
841.5号によれば、組換えバキュロウイルス発現ベクタ
ーは2段階で作製される。初めに、バキュロウイルスDN
Aを切断してポリヘドリン遺伝子またはその一部を含む
断片を生成し、この断片をクローニングベクターに挿入
する。発現される遺伝子もこのクローニングベクターに
挿入される;ただし、それはポリヘドリン遺伝子プロモ
ーターの制御下に置かれるように挿入される。この組換
え分子は組換えトランスファーベクターと呼ばれる。通
常、組換えトランスファーベクターは適当な宿主細胞内
で増幅される。次に、このようにして作製された組換え
トランスファーベクターはバキュロウイルスヘルパーDN
Aと混合し、これを培養下の昆虫細胞にトランスフェク
ションして、バキュロウイルスゲノムのポリヘドリン遺
伝子座へのクローン化遺伝子の組込みを行わせる。得ら
れた組換えバキュロウイルスは感染性昆虫または培養昆
虫細胞を感染させるために用いられる。
3.発明の要約 本発明は、レスピラトリイ・シンシチアル(RS)・ウ
イルス糖蛋白(融合蛋白およびG蛋白を含む)の中和エ
ピトープ、融合エピトープ、またはこれらの両方に関連
したポリペプチドおよび蛋白、並びにこの種のポリペプ
チドおよび蛋白をコードする分子クローン化遺伝子また
は遺伝子断片に関する。
本発明の1つの実施態様は、レスピラトリイRSウイル
スの融合蛋白の中和エピトープ、融合エピトープ、また
はこれらの両方に関連したポリペプチドおよび蛋白、並
びにこれらのポリペプチドまたは蛋白をコードする分子
クローン化遺伝子もしくは遺伝子断片に関する。本発明
の別の実施態様は、RSウイルスのG蛋白の中和エピトー
プに関連したポリペプチドおよび蛋白、並びにこれらの
ポリペプチドまたは蛋白をコードする分子クローン化遺
伝子もしくは遺伝子断片に関する。本発明のポリペプチ
ドまたは蛋白は、RSウイルス用のサブユニットワクチン
製剤において免疫原として、あるいはRSウイルスの診断
イムノアッセイにおいて試薬として用いられる。本発明
のポリペプチドまたは蛋白は組換えDNA技術を使って生
産されるか、または化学的方法により合成される。
また、本発明は、RSウイルス融合蛋白の中和エピトー
プ、融合エピトープ、またはこれらの両方、もしくはG
蛋白の中和エピトープをそれぞれコードする遺伝子また
は遺伝子断片の分子クローニングおよび発現方法に関す
る。従って、本発明はさらに、新規なポリヌクレオチド
配列の構築およびそれらのベクターへの挿入に関し、こ
れにより適当な宿主細胞内で前記のエピトープに関連し
たポリペプチドまたは蛋白を発現させるために使用でき
る組換え分子またはウイルスが形成される。ベクターに
はプラスミドDNA、ウイルスDNA、ヒトウイルス、動物ウ
イルス、昆虫ウイルスおよび細菌ファージが含まれる。
また、本発明のポリペプチドまたは蛋白を含む組換え
ウイルスおよび細胞抽出物は、ウイルスワクチン製剤に
おいて免疫原として用いることができる。ウイルスの融
合エピトープまたは中和エピトープは宿主動物内で“異
物”として認識されるので、このエピトープ(類)に対
して体液性および細胞媒介免疫応答が誘起されるであろ
う。適切に調製されたワクチン製剤においては、これは
その後のRSウイルス感染から宿主を保護するだろう。
また、本発明のポリペプチドおよび蛋白は、血液サン
プル、体液、組織などにおけるRSウイルス感染を検出す
るためのイムノアッセイ(例えば、ELISAテスト、ラジ
オイムノアッセイ)において試薬として用いられる。
さらに、本発明のポリヌクレオチド配列は、血液サン
プル、体液、組織などに存在するRSウイルスを検出する
ための核酸ハイブリダイゼーション検定において試薬と
して用いることができる。
4.図面の簡単な説明 第1図は、Collins et al.,1985,Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA,81:7683−7687から複製した、RSウイルス融合蛋
白の完全なヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を示
す。
第2図は、1μgの精製RSウイルス融合蛋白のいろい
ろな条件下でのSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
の挙動を示す。レーン2では、電気泳動に先立って蛋白
を5%β−メルカプトエタノールで還元し、100℃に加
熱した;レーン3では、電気泳動に先立って蛋白を100
℃に加熱した;レーン4では、電気泳動に先立って加熱
も還元も行わなかった。レーン1は標準マーカー蛋白を
含み、その分子量が左余白に示してある。右余白には種
々の融合蛋白成分の分子量が示してある。視覚化のため
にゲルは銀染色を行った。
第3図は、F1サブユニットの線状地図上の合成ポリペ
プチド1、2、3、4、および5(sp1−sp5)の位置を
示す。F1サブユニットはアミノ酸137−574を含む。第3
図には合成ポリペプチドの正確なアミノ酸配列も示して
ある。
第4図は、F1サブユニットの線状地図上の加水分解さ
れた融合蛋白断片の位置を示す。
第5図は、RSウイルス融合蛋白遺伝子の完全なヌクレ
オチド発列を含む大腸菌組換えベクターの模式図であ
る。
第6図は、大腸菌により発現された数種類の組換え蛋
白のアミノ末端配列とカルボキシ末端配列を示す。
第7図は、F1サブユニットの線状地図上の組換え蛋白
の位置を示す。影をつけたの棒線で示した断片はL4モノ
クローナル抗体と反応し、黒色の棒線で示した断片はL4
モノクローナル抗体と反応しなかった。
第8図は、左余白に示したアミノ酸鎖により定められ
る4種類の合成ポリペプチドのドット・ブロット・オー
トラジオグラムを示す。レーン1−4はそれぞれ20μ
g、15μg、10μg,および5μgのペプチドを含む。レ
ーン5は陽性の融合蛋白対照を含む。ブロットはL4モノ
クローナル抗体と反応させ、その後125I−プロテインA
と反応させた。
第9図は、RSウイルスG蛋白遺伝子の完全なヌクレオ
チド配列を含むpPX1044の組換え発現ベクター模式図で
ある。
5.発明の詳細な説明 本発明の1つの実施態様によれば、中和エピトープお
よび融合エピトープを規定するRSウイルス融合蛋白の領
域が同定された。これらのエピトープを含む新規な蛋
白、ポリペプチドおよびペプチドの生産方法、並びにこ
の種の新規な蛋白およびポリペプチドをコードするポリ
ヌクレオチド配列が提供される。
RSウイルスの融合蛋白は、ドデシル硫酸ナトリウム−
ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)で測定
したとき、70,000ダルトンの見掛け分子量をもってい
る。574個のアミノ酸残基から成る一次(シストロン)
翻訳産物が合成され、これをトリプシン感受性部位で酵
素切断してF1(アミノ酸137−574)およびF2(アミノ酸
1−136)と称する2つのサブユニットを得る。574個の
アミノ酸の融合蛋白をコードするRSウイルスA2株由来の
融合蛋白遺伝子のヌクレオチド配列(Collins et al.,1
984,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:7683−7687)を第1図
に示す。第1図に示した番号付け方式は本明細書を通し
て用いられる。F1(見掛け分子量48,000ダルトン)およ
びF2(見掛け分子量23,000ダルトン)サブユニットはジ
スルフィド結合により掛合されてF1,2と称する蛋白
(見掛け分子量約70,000ダルトン)を形成する。RSウイ
ルスまたは感染細胞から精製した場合、天然の融合蛋白
に主に二量体(見掛け分子量140,000ダルトン)として
存在している。二量体形はRSウイルス融合蛋白の最も免
疫原性がある形である。
第2図は、SDS−PAGEによる種々の融合蛋白成分の電
気泳動移動度を示す。レーン2では、電気泳動に先立っ
て蛋白を5%β−メルカプトエタノールで還元し、100
℃に加熱した;レーン3では、電気泳動に先立って蛋白
を100℃に加熱した;レーン4では、電気泳動に先立っ
て加熱も還元も行わなかった。レーン1は標準マーカー
蛋白を含み、その分子量が左余白に示してある。右余白
には種々の融合蛋白成分の分子量が示してある。視覚化
のためにゲルは銀染色を行った(Morrissey,1981,Anal.
Biochem.117:307−310)。
精製RSウイルス融合蛋白(140,000ダルトン形)によ
るコットンラットの能動免疫は,ウイルス中和および融
合阻止に効果的な抗体の生成をもたらす(例えば、以下
のセクション6.2を参照されたい)。セクション6.2に示
すように、この免疫はRSウイルスによる感染から肺およ
び鼻の組織を保護した。同様の結果がヒヒにおいても得
られた(セクション6.3参照)。さらに、予めβ−メル
カプトエタノールで還元した精製RSウイルス融合蛋白に
よる動物の能動免疫は、その後のRSウイルス感染から動
物を保護する(セクション6.2参照)。
本発明の別の実施態様によれば、RSウイルスG蛋白の
中和エピトープに関連した実質的に純粋なポリペプチド
および蛋白が提供される。RSウイルスG蛋白は約84,000
〜90,000ダルトンの見掛け分子量を有し、高度にグリコ
シル化されている。RSウイルスG蛋白をコードする遺伝
子のヌクレオチド配列は開示されている(Satake et a
l.,1985,Nucleic Acid Res,13:7795−812;Wertz et a
l.,1985,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:4075−79)。RS G
蛋白をコードする全遺伝子配列がクローン化されて、組
換え発現ベクターにより発見された(以下のセクション
9参照)。意外なことに、組換え非グリコシル化RSウイ
ルスG蛋白による動物の能動免疫は防御免疫反応を誘導
した(以下のセクション10参照)。
L4と称する融合蛋白に対するモノクローナル抗体(Wa
lsh and Hruska,1983,J.Virol.47:171−177)はRSウイ
ルスを中和することもできるし、融合を阻止することも
できる。従って、この抗体は感染性と融合蛋白の融合機
能の両方に不可欠な融合蛋白上のエピトープと反応する
と考えられる;すなわち、この抗体は融合エピトープと
中和エピトープの両方に反応する。さらに、L4モノクロ
ーナル抗体の受動性移送は肺へのウイルス感染からコッ
トンラットを保護するであろう(Walsh et al.,1984,In
fece.Immun.,43:756−758)。
L4型抗融合・中和エピトープのほかに、コンホーメー
ション次第でありうる融合蛋白のもう1つの抗融合・中
和エピトープが存在している。このエピトープはモノク
ローナル抗体A5によって認識される(Walshet al.,198
6,J.Gen.Virol.67:505−513)。この抗体の反応性は融
合蛋白の天然のコンホーメーション次第であると思われ
る。融合蛋白のこのコンホーメーションが熱処理よりま
たは熱処理とジスルフィド結合の還元により変えられる
場合、A5型エピトープは破壊される。本実験では、RSウ
イルス融合蛋白のL4型およびA5型エピトープが有効なワ
クチンとしての蛋白製剤に果す役割を調べた。競合ELIS
Aからの結果は、自然RS感染から回収した成人の融合蛋
白特異的抗体の3分の1が、L4またはA5のいずれかによ
って認識されるエピトープに対して誘導されたことを示
す。精製F蛋白によるワクチン接種はL4とA5の併用によ
って80%阻止しうる応答をもたらす。F蛋白への競合的
結合は、これらのエピトープが40%重複することを示
す。これらの実験から、機能的な抗融合・中和エピトー
プはL4型とA5型の2つのカテゴリーに類別できると考え
られる。
5.1.RSウイルス融合蛋白の中和および/または融合エピ
トープの同定 本発明により、抗融合および中和の両方の抗体の誘導
に関与するエピトープから成るRSウイルス融合蛋白の領
域が決定された。この領域は3つの方法により定められ
た。第1の方法は天然蛋白の制限された加水分解切断を
使用する。第2の方法は融合蛋白遺伝子の断片の、例え
ば大腸菌による、クローニングおよび発現に関する。第
3の方法は抗融合・中和抗体に結合する合成ポリペプチ
ドの合成に関する。3つの方法すべてにおいて、目的と
する断片を同定するために、L4モノクローナル抗体との
反応性を利用した。RSウイルスを中和し、RSウイルスの
融合を阻止しうるモノクローナル抗体はどれも使用でき
る。
5.1.1.制限された加水分解切断によるマッピング L4モノクローナル抗体は、蛋白のイムノブロット(ウ
ェスターンブロット)分析により、融合蛋白サブユニッ
ト(F1およびF2)へ結合するその能力について試験し
た。以下のセクション8.1に記載するウェスターンブロ
ットを用いると、L4モノクローナル抗体はF1サブユニッ
トにのみ結合することができた。さらに、L4モノクロー
ナル抗体は18537株と称する原型ウイルスにより定めら
れる血清型Bウイルス(Anderson et al.,1985,J.Inf.D
is.151:623−33)に結合することが分かった。
F1サブユニットをマッピングするために、F1サブユニ
ットに沿って種々の領域に対応する合成ポリペプチドを
製造した。これらの合成ポリペプチドはキーホール・リ
ンペット・ヘモシアニン(keyhole lympet hemocyanin:
KLH)のようなキャリア蛋白に結合させ、その後ウサギ
を免疫するために別々に使用される(以下のセクション
8参照)。セクション8に示した特定例では、5つの抗
血清(抗sp1から抗sp5)が得られた。ウサギにより生産
された抗血清はその抗血清を誘導した免疫原に対応する
未結合合成ポリペプチドと反応し;すなわち、抗sp1はs
p1と反応し、抗sp2はsp2と反応した(以下省略)。5つ
の抗血清はすべて融合蛋白のF1サブユニットと反応し
た。
その後、精製した融合蛋白はいろいろな条件下で加水
分解により切断される(以下のセクション8参照)。セ
クション8.2に示した例において、用いたプロテアーゼ
は(1)シリンおよびアルギニン残基の後で特異的に切
断するトリプシン、(2)アルギニン残基の後で特異的
に切断するエンドプロティナーゼArg−C、および
(3)リシン残基の後で特異的に切断するエンドプロテ
ィナーゼLys−Cであった。残基の後での切断とは、そ
の残基のカルボキシル末端においてペプチド結合を切断
することを意味する。プロテアーゼの他の組合せも使用
できることは、もち論である。従って、ここに示した組
合せは本発明に対する制限として解釈されるべきではな
い。
切断はL4モノクローナル抗体の存在下および不存在下
でも行われる。切断した蛋白断片をSDS−PAGEにより分
離し、ウェスターン・ブロット分析を用いて、その切断
産物のL4モノクローナル抗体および抗−合成ポリペプチ
ド抗体に結合する能力について分析する(以下のセクシ
ョン8.2の例示を参照)。融合蛋白配列内の切断断片の
位置は、これらの断片とそれぞれの抗−合成ポリペプチ
ド抗血清との反応性から推定される。例えば、セクショ
ン8.2に示すように、トリプシン消化により生成した、
抗sp1と反応する切断断片は、アミノ酸155−169を含む
ことが予測される。さらに、その断片は第1図の配列に
おいてそのカルボキシル末端にアルギニンまたはリジン
を、そしてリジンまたはアルギニンの後に続くN末端残
基を有するにちがいない。最後に、断片の分子量はSDS
−PAGEでのその移動度により決定することができる。こ
れらの情報から、トリプシン消化により生成した、抗sp
1と反応する28,000ダルトン断片はF1ポリペプチドのア
ミノ酸137−394にわたることが予測される。同様に、他
の切断断片の位置も推定できる。
切断断片の位置と、これらの断片のL4モノクローナル
抗体に対する反応性との関係が分析される。セクション
8.2に示した例から、アミノ酸283−327は、L4陽性断片
のすべてに共通しているがL4陰性断片のすべてに存在し
ない領域を定めていることが容易に理解される。従っ
て、この領域はL4モノクローナル抗体により規定される
RSウイルスの中和および/または抗融合エピトープを含
んでいる。
5.1.2.融合蛋白断片のクローニングおよび発現 融合蛋白遺伝子の完全ヌクレオチド配列を含む第1図
に示したcDNAを、大腸菌プラスミドベクターpBR322のよ
うなクローニングベクターにクローン化する。ヌクレオ
チドコード配列の縮重(degeneracy)のために、第1図
に示したものと実質的に同じアミノ酸配列をコードする
他のDNA配列も使用できる。限定するものではないが、
これらには、第1図に示した配列内で同一アミノ酸残基
または機能的に等しいアミノ酸残基(例えば、同じ極性
のアミノ酸)をコードする異なるコドンにより置換され
た(従って、サイレントな変化をもたらす)融合蛋白ヌ
クレオチド配列の全部または一部を含むヌクレオチド配
列が含まれる。
融合蛋白遺伝子の領域を制限エンドヌクレアーゼ消化
によりクローニングベクターから切り出し、適合しうる
発現ベクターに連結させる(以下参照)。セクション8.
2に記載した実験例では、大腸菌発現ベクターpUC19(Ya
nish−Perron et al.,1985,Gene 33:103−19)を用い
た。発現された組換え蛋白は、初めにポリクローナルウ
サギ抗血清との反応性についてスクリーニングして組換
え断片を同定し、続いてL4モノクローナル抗体との反応
性についてスクリーニングして中和・抗融合エピトープ
を含む断片を同定する。セクション8.3に示すように、L
4モノクローナル抗体と反応する組換え蛋白のすべてに
共通するRSウイルス融合蛋白配列は、アミノ酸残基253
−298によって定められる。
5.1.3.抗原性ペプチドの合成 先に同定された中和・抗融合エピトープの本質を確認
するために、RSウイルス融合蛋白のアミノ酸残基299−3
15;294−315;289−315;および283−315に特に対応する
合成ポリペプチドを製造することができる。これらのペ
プチドをL4モノクローナル抗体との反応性について分析
する。セクション8.4に示すように、残基294−315;289
−315;および283−315を含むポリペプチドはL4とポジテ
ィブに反応するが、ペプチド299−315は反応しない。こ
のことは、中和・融合エピトープが残基283−298の間に
存在し、残基294−299と同じ程度に小さくてよいことを
示している。
5.2.RSウイルス融合蛋白およびG蛋白に関連した蛋白、
ポリペプチドおよびペプチドの製造 本発明の蛋白、ポリペプチドおよびペプチドはいろい
ろな方法で製造することができる。ポリペプチドは、そ
れらの鎖長が比較的短いために、慣用技術に従って溶液
中でまたは固体支持体上で合成することが可能である。
いろいろな自動合成機が市販されており、既知プロトコ
ールにより使用できる。例えば、Stewart and Young,19
84,Solid Phase Peptide Synthesis,2d Ed.,Pierce Che
mical Co.を参照されたい。ポリペプチドの構造特性
(その1つが三次元配置である)は、1個またはそれ以
上のアミノ酸の置換、挿入および欠失のような修飾を導
入することにより、わずかに変更することができる。一
般的に、ポリペプチドのアミノ酸配列における置換は20
%より少ない量で、より一般的には10%より少ない量で
行われる。通常、保存的置換は非保存的置換ほど顕著に
その構造を変更せず、まして挿入や欠失ほどその構造を
変更しない。保存的置換の例は、アラニンの代わりにグ
リシン;イソロイシンの代わりにバリン;グルタミン酸
の代わりにアスパラギン酸;グルタミンの代わりにアス
パラギン;トレオニンの代わりにセリン;アルギニンの
代わりにリシン;トレオニンの代わりにフェニルアラニ
ン;およびこれらの逆である。従って、本発明が、RSウ
イルス融合蛋白のエピトープが未変化のままであるとい
う条件で、修飾ポリペプチドを包含することは当然であ
る。
ウイルスエピトープが株間変異を示すことはよく知ら
れている。先に示した修飾による調整は、実際に有利に
用いることができる。
本発明ポリペプチドは、それらの用途に応じて、標識
または非標識化合物として用いられる。標識とは、直接
または間接的に、検出可能な信号を発する化学種を意味
する。放射性核種、酵素、蛍光物質、化学発光物質、酵
素基質、コファクターまたは阻害剤、粒子(例えば磁性
粒子)、リガンド(例えばビオチン)、レセプター(例
えばアビジン)のような多種多様な標識が利用できる。
さらに、ポリペプチドは、例えばマイクロタイタープレ
ート、ガラスビーズ、クロマトグラフ表面(例えばペー
パー、セルロース)などの表面に結合させるためにいろ
いろな方法で修飾される。ポリペプチドを別の化合物ま
たは表面に結合される特定の方法は慣例的であり、文献
に十分な実例が載っている。例えば、米国特許第437151
5;4487715号およびそこに引用された特許を参照された
い。
別法として、ポリペプチドを生合成的に製造するため
に、組換えDNA技術を用いることができる。
5.3.発現ベクターへのRSウイルス融合蛋白またはG蛋白
コード配列の挿入 RSウイルス融合蛋白またはその一部、あるいはRSウイ
ルスG蛋白またはその一部をコードするヌクレオチド配
列は、適当な発現ベクター(すなわち、挿入された蛋白
コード配列の転写および翻訳に必要な要素を含むベクタ
ー)に挿入される。本発明のこのタイプの好適な実施態
様によれば、融合蛋白の中和および/または融合エピト
ープをコードするクヌレオチド配列は適当な発現ベクタ
ーに挿入される。コード配列はその5'および3'未満のい
ずれか一方でまたは両末端で伸長させて、エピトープを
保持しつつそのポリペプチドを生合成的に伸長させるこ
とができる。この伸長は例えば標識に(以下参照)、あ
るいは担体や表面に結合させるためのアームを提供する
ものであり得る。また、伸長は本発明の比較的短い抗原
ポリペプチドに欠けている免疫原性を提供するものであ
ってよい。
様々な宿主−ベクター系が蛋白コード配列を発現させ
るために利用できる。これらには、限定するものではな
いが、哺乳動物細胞培養物、例えばチャイニーズ・ハム
スター卵巣細胞宿主培養物;ウイルス(例えばワクシニ
アウイルス、アデノウイルス)に感染した哺乳動物細胞
系:ウイルス(例えばバキュロウイルス)に感染した昆
虫細胞系;酵母ベクターを含む酵母またはバクテリオフ
ァージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNAにより形
質転換された細菌のような微生物;が含まれる。1つの
実施態様において、発現ベクターは弱毒化された腸内侵
入性細菌であってよく、これには例えばサルモネラ菌
種、腸内陰入性大腸菌(EIEC)、赤痢菌種などが含まれ
る。この種のバクテリアは腸上皮組織に侵入し、細網内
皮系全体に広まり、腸間膜のリンパ系組織に近づき、そ
こで増殖して体液性および細胞媒介免疫を誘導すること
ができる。これらのベクターの発現要素は、強さおよび
特異性が変動する。用いる宿主−ベクター系に応じて、
数多くの適当な転写・翻訳要素のうちのいずれかが選ば
れる。例えば、哺乳動物細胞系にクローニングする場
合、哺乳動物細胞のゲノムから単離したプロモーター
(例えばマウス・メタロチオネインプロモーター)また
はこれらの細胞内で増殖するウイルスから単離したプロ
モーター(例えばワクシニアウイルス7.5Kプロモータ
ー)を利用できる。組換えDNA技術または合成法により
得られたプロモーターも挿入配列の転写のために使用で
きる。
挿入された蛋白コード配列の効率のよい翻訳には、特
定の開始シグナルも必要である。これらのシグナルには
ATG開始コドンおよび隣接配列が含まれる。独自の開始
コドンおよび隣接配列を含むRSウイルス融合蛋白遺伝子
またはRSウイルスG蛋白遺伝子が適当な発現ベクターに
挿入される場合には、何ら付加的な翻訳調節シグナルを
必要としない。しかしながら、RSウイルス融合蛋白また
はG蛋白コード配列の一部分のみが挿入される場合に
は、ATG開始コドンを含む外因性の翻訳調節シグナルを
用意しなければならない。開始コドンはさらに、全挿入
物の翻訳を確実に行わせるために、蛋白コード配列の読
み枠と一致させねばならない。これらの外因性翻訳調節
シグナルおよび開始コドンはいろいろな源から得られ、
天然のものであっても、合成したものであってもよい。
前記のDNA断片のベクターへの挿入方法のいずれかを
用いて、適切な転写/翻訳調節シグナルおよび蛋白コー
ド配列から成るキメラ遺伝子を含む発現ベクターを構築
することができる。これらの方法にはインビトロ組換え
DNA法および合成法並びにインビボ組換え(遺伝子組換
え)が含まれる。
本発明は大腸菌や原核生物の発現ベクターの使用に限
定されない。使用される発現ベクターには、少数の名を
挙げるとすれば、ワクシニアウイルスやアデノウイルス
のようなヒトまたは動物のウイルス;バキュロウイルス
のような昆虫ウイルス;酵母ベクター;バクテリオファ
ージベクター、プラスミドおよびコスミドDNAベクター
が含まれるが、前記のベクターおよびそれらの誘導体に
限定されない。
アデノウイルスを発現ベクターとして用いる場合、RS
ウイルス融合蛋白遺伝子またはその断片もしくはRSウイ
ルスG蛋白遺伝子またはその断片は、アデノウイルス転
写/翻訳調節複合体(例えば、後期プロモーターと3分
節リーダー配列)に連結される。このキメラ遺伝子はそ
の後インビトロまたはインビボ組換えによってアデノウ
イルスゲノムに挿入される。ウイルスゲノムの非必須領
域(例えば領域E1またはE3)への挿入は、生存可能であ
りしかも感染宿主内でRSウイルス融合蛋白またはG蛋白
に関連した蛋白を発現しうる組換えウイルスをもたらす
であろう。現在、軍人用のワクチンとして承認をうけ、
使用されているアデノウイルス株は2種類(4型および
7型)である。それらはRSウイルス融合蛋白またはG蛋
白遺伝子およびその断片の発現ベクターとして第1位の
候補に挙げられる。
さらに、宿主細胞株は挿入配列の発現を調節するも
の、または目的とする特定の形にキメラ遺伝子産物を修
飾・プロセッシングするものが選ばれる。ある種のプロ
モーターからの発現はある種の誘導物質(例えばメタロ
チオネインプロモーターの場合は亜鉛およびカドミウム
イオン)の存在下で上昇する。こうして、遺伝子工学的
に操作されたRSウイルス融合蛋白またはG蛋白もしくは
その断片の発現は調節可能である。このことは、クロー
ン化異種遺伝子の蛋白生産物が宿主細胞に致命的である
場合特に重要である。さらに、蛋白生産物の修飾(例え
ばグリコシル化)およびプロセッシング(例えば切断)
はその蛋白の機能にとって重要である。個々の宿主細胞
は蛋白の翻訳後修飾およびびプロセッシングのために特
徴的かつ特異的な機構をもっている。発現された異種蛋
白の正しい修飾およびプロセッシングを確実に行わせる
ために、適切な細胞系列または宿主系が選ばれる。
5.4.挿入遺伝子を複製および発現しうる組換え発現ベク
ターの同定 異種遺伝子挿入物を含有する発現ベクターは3つの一
般的方法により同定できる:すなわち、(a)DNA−DNA
ハイブリダイゼーション、(b)“マーカー”遺伝子機
能の有無、および(c)挿入配列の発現。第1の方法で
は、発現ベクターに挿入された異種遺伝子の存在が、そ
の挿入異種遺伝子に相同な配列から成るプローブを用い
て、DNA−DNAハイブリダイゼーションにより検出され
る。第2の方法では、ベクターへの異種遺伝子の挿入に
よって生じるある種の“マーカー”遺伝子機能(例えば
チミジンキナーゼ活性、抗生物質耐性、形質転換表現
型、バキュロウイルスにおける封入体の形成など)の有
無に基づいて、組換えベクター/宿主系が同定・選別さ
れる。例えば、RSウイルス融合蛋白遺伝子またはその断
片がベクターのマーカー遺伝子配列内に挿入される場
合、RSウイルス融合遺伝子の挿入された組換え体はマー
カー遺伝子機能の不存在により同定できる。第3の方法
では、組換え発現ベクターがその組換え体により発現さ
れた異種遺伝子産物を検定することによって同定され
る。このような検定は遺伝子産物の物理的、免疫学的、
または機能的特性に基づいて行われる。
ひとたび特定の組換えDNA分子が同定・単離される
と、その組換え体が自律複製単位(レプリコン)を構成
しているかどうかにより、それを増幅させるためにいろ
いろな方法を用いることができる。自律複製単位(例え
ば、プラスミド、ウイルス、細胞など)は適当な細胞環
境および生育条件下でそれ自体増幅できる。自律複製単
位をもたない組換え体は、増殖させるために、このよう
な単位をもつ分子に組み込まねばならないだろう。例え
ば、ある種のプラスミド発現ベクターは、宿主細胞への
導入に際して、組換え遺伝子の増幅および安定した発現
のために細胞染色体に組み込まれることが必要である。
ひとたび適当な宿主系および生育条件が確立されると、
組換え発現ベクターを増幅し、大量に生産することがで
きる。
5.5.発現遺伝子産物の同定および精製 いったんRSウイルス融合蛋白遺伝子またはその断片も
しくはRSウイルスG蛋白遺伝子またはその断片を発現す
る組換え体が同定されると、その遺伝子産物を分析すべ
きである。これは産物の物理的、免疫学的、または機能
的特性に基づいた検定により達成できる。免疫学的分析
は、遺伝子産物またはその産物を発現する組換えウイル
スをワクチン製剤において使用すること、および/また
は診断イムノアッセイにおいて試薬として使用すること
が最終目的である場合に、特に重要である。
遺伝子産物の免疫反応性を分析するためには、L4モノ
クローナル抗体、A5モノクローナル抗体、以下のセクシ
ョン6または9に記載されるような、精製融合蛋白また
はG蛋白に対して誘導されたポリクローナル抗血清を含
む種々の抗血清を利用できる。
蛋白は、それが全遺伝子配列の発現から得られよう
と、遺伝子配列の一部の発現から得られようと、あるい
はキメラ蛋白を生産させるべく連結された2以上の遺伝
子配列から得られようと、免疫反応性をもつべきであ
る。この反応性は標準的な免疫学的手法により、例えば
放射線免疫沈降、放射線免疫競合、またはイムノブロッ
トを用いて立証できる。
ひとたびRSウイルス融合蛋白またはG蛋白関連蛋白が
同定されると、それはクロマトグラフィー(例えばイオ
ン交換、アフィニティ、サイジングカラムクロマトグラ
フィー)、遠心分離、示差溶解度を含む標準方法によ
り、または他の標準的な蛋白精製技術により分離・精製
される。
5.6.組換え生産物の免疫有効性の判定 RSウイルス融合あるいはG蛋白関連生産物の免疫有効
性は、精製蛋白、合成ペプチド、あるいは蛋白を用いる
免疫処理に続く実験動物の免疫応答を監視することによ
って判定することができる。RSウイルス融合蛋白、ある
いはG蛋白関連蛋白が、感染性組換えウイルスによって
発現される場合には、組換えウイルス自体を実験動物の
免疫化に利用することができる。実験動物には、マウ
ス、ラット、ウサギ、霊長類および場合によりヒトの被
験者まで包含され得るが、それに限定されることはな
い。免疫原の導入方法には、経口、皮内、筋内、腹腔
内、静脈内、皮下、鼻内、あるいはその他の任意の標準
的な免疫化経路が含まれる。実験対象の免疫応答は、以
下の3種の方法によって分析することができる:公知の
技術、例えば、酵素結合イムノソルベントアッセイ(EL
ISA)、イムノブロット、ラジオイムノプレシピテーシ
ョン等によってアッセイされる、(a)生成された免疫
血清の真正RSウイルス抗原に対する反応、(b)インビ
トロでRSウイルス感染力を中和する免疫血清の能力(以
下の第6章を参照のこと)、(c)インビトロでウイル
ス融合を阻止する免疫血清の能力(以下の第6章を参照
のこと)、および(d)RSウイルス感染からの保護(以
下の第6章を参照のこと)。
5.7.ワクチンの処方 ここに記載したワクチンの製剤を動物またはヒトに投
与するには多くの方法を利用できる。この方法には、下
記が包含されるが、これに限定されることはない:経
口、皮内、筋内、腹腔内、静脈内、皮下、および鼻内経
路、粘膜関連リンパ組織によって生成された分泌IgA抗
体は、病原体と粘膜表面との最初の相互作用を阻止する
ことによるが、あるいは病気の感染または蔓延に関わる
病原体の重要なエピトープを中和させることにより、RS
ウイルス感染に対する予防において主要な役割を果たし
得る。分泌IgA抗体の生成を含む粘膜免疫応答の刺激
は、上部および下部の気道感染の予防において重要であ
りうる。生組換えウイルスワクチンの製剤を用いる場合
には、当該ワクチンの製剤において組換えウイルスの生
成に使用された親の野生型ウイルスの自然の感染経路に
よって投与することができる。
5.7.1.サブユニットワクチン製剤 RSウイルスの融合蛋白の中和および/または融合エピ
トープに関する本発明の蛋白またはポリペプチドは、RS
ウイルス感染による下部気道疾患およびその他の病気の
症候から保護するためのサブユニットワクチンの免疫原
として有用である。サブユニットワクチンは、宿主を免
疫するのに必要な関連する免疫原物質だけからなる。遺
伝子操作による免疫原、化学合成による免疫原および/
または真正の実質的に純粋なRSウイルス融合蛋白、もし
くはその断片のみから成るかまたは同様に生成されたRS
ウイルスG蛋白、もしくはその断片との組み合わせから
成る免疫原から調製されたワクチンで、免疫応答から保
護しうるものは、受容者に感染の危険がないために特に
有利である。
従って、RSウイルス融合蛋白および/またはG蛋白関
連蛋白およびポリペプチドは、中和性および/または融
合エピトープを発現する組換え体から精製することが出
来る。この組換え体には前述の細菌性形質転換体、イー
スト形質転換体、組換えウイルスに感染した培養細胞、
あるいはRSウイルス融合蛋白エピトープを発現するチャ
イニーズ・ハムスター卵巣細胞のような哺乳類の培養細
胞のいずれもが含まれる(前記第5.3章参照)。さら
に、当該組換え体には、レスピラトリイ・シンシチアル
・ウイルス融合蛋白の中和性および/または融合エピト
ープ、あるいはレスピラトリイ・シンシチアル・ウイル
スG蛋白の中和性エピトープをコードするDNA配列を含
有する組換え弱毒化腸侵入性細菌も包含される。かかる
組換え体は米国特許出願番号104,735に記載されたもの
と類似する方法を用いて調製される。これらの組換え弱
毒化腸侵入性細菌は経口ワクチン製剤に特に適する。組
換え蛋白またはポリペプチドは、関連するエピトープの
多重コピーを包含し得る。
他に、RSウイルス融合蛋白および/またはG蛋白関連
蛋白、もしくはポリペプチドは化学合成することもでき
る(上記第5.2章参照)。さらに別の態様においては、R
Sウイルス融合蛋白、関連蛋白、もしくはポリペプチド
またはG関連蛋白は、RSウイルスからまたはRSウイルス
に感染した細胞の培養物から実質的に純な形態で単離で
きる(例えば、以下の第6.1章あるいは第10章参照)。
製造方法のいかんにかかわらず、RSウイルス融合蛋
白、あるいはG蛋白関連蛋白、もしくはポリペプチドは
適当な濃度に調整して、任意の適当なワクチンアジュバ
ントを用いて製剤化することができる。ポリペプチドお
よび蛋白は一般に宿主1kgにつき0.1μgから100μgの
範囲の濃度で製剤化されうる。生理学的に受容されうる
媒体を担体として使用できる。この中には下記が含まれ
るが、これに限定されるわけではない:滅菌水、食塩
水、燐酸塩緩衝食塩水、その他。適当なアジュバントに
は下記が含まれるが、それに限定されるわけではない:
表面活性物質、例えば、ヘキサデシルアミン、オクタデ
シルアミン、オクタデシルアミノ酸エステル、リゾレシ
チン、臭化ジメチルジオクタデシルアンモニウム、N,N
−ジオクタデシル−N′−N−ビス(2−ヒドロキシエ
チル−プロパンジアミン)、メトキシヘキサデシルグリ
セロール、およびプルロニックポリオール;ポリアミ
ン、例えばピラン、硫酸デキストラン、ポリIC、ポリア
クリル酸、カルボポル(carbopol);ペプチド、例えば
ムラミルジペプチド、ジメチルグリシン、タフトシン
(tuftsin);オイルエマルジョン;およびミネラルゲ
ル、例えば、水酸化アルミニウム、燐酸アルミニウム
等。免疫原はまた、リポソームに組み込まれることもで
きるし、または多糖類および/またはその他のポリマー
に接合させてワクチン製剤に使用されることもできる。
本発明の更に別の態様においては、RSウイルス融合蛋
白、関連蛋白、もしくはポリペプチドはハプテン、即ち
同族の抗体と特異的にまたは選択的に反応するという点
で抗原性であるが、免疫応答を惹起できないという点で
免疫原性ではない分子である。この場合、該ハプテン
は、担体あるいは免疫原分子に共有結合されうる;例え
ば蛋白、血清アルブミンのような大きな蛋白は、それに
結合されたハプテンに免疫原性を付与するであろう。こ
のハプテン−担体は、サブユニットワクチンとして使用
するために製剤化されうる。
本発明のポリペプチドおよび蛋白は、溶性の高分子担
体と結合された場合に使用できる。当該担体および本発
明のポリペプチドおよび蛋白は結合後、5000ダルトンを
超えるのが好ましい。該担体は5キロダルトンを超える
のがさらに好ましい。該担体は、ヒトを含む動物におい
て免疫原性である天然または合成のポリアミノ酸である
のが好ましい。結合方法は慣用のとおりである。多くの
結合技術が米国特許No.4629783号に記載されており、こ
の米国特許は本明細書中に参考文献として取り入れられ
る。多くの交叉結合剤がPierce Chemical Company(Roc
kford,イリノイ)の1986〜87年度のHandbook and Gener
al Catalog手引および一般のカタログのp311からp340に
詳しく記載されており、このページは参照として本明細
書にとり入れられる。
本発明の更に別の態様では、ワクチン製剤の免疫原が
RSウイルス融合蛋白に関連するポリペプチドおよび蛋白
と1またはそれ以上のウイルス亜型のG蛋白の混合物か
らなる。
5.7.2.ウイルスワクチン製剤 本発明のもう一つの目的は、RSウイルスの下部気道感
染およびその他の病気の症候に対する防御に使用される
生組換えウイルス、ワクチンあるいは不活性組換えウイ
ルスワクチンのいずれかを提供することである。この目
的には、RSウイルス融合蛋白関連エピトープを発現する
組換えウイルスが調製される(上記第5.2章参照)。組
換えウイルスが免疫すべき宿主に対して感染力はある
が、しかし病気を惹起しない場合、宿主における増殖が
刺激を延長させ、従って免疫を実質的に長く持続させる
ので生ワクチンが好ましい。感染性の組換えウイルス
は、宿主に入ると、そのキメラ遺伝子からRSウイルス融
合蛋白、関連蛋白、あるいはポリペプチドフラグメント
を発現出来、それによってRSウイルス抗原に対する免疫
応答を惹起させることができる。かかる免疫応答がその
後のRSウイルス感染を防御しうる場合には、生組換えウ
イルス自体は、RSウイルス感染に対する予防ワクチン中
に使用される。かかる組換えウイルスの生産には、イン
ビトロ(例えば組織培養細胞)およびインビボ(例えば
天然宿主動物)の両方の系統が包含される。例えば、天
然痘ワクチンの調製と製剤に関する慣用の方法は、RSウ
イルス融合蛋白、関連蛋白、もしくはポリペプチドを発
現する生組換えウイルスワクチンの製剤化に適合されう
る。
多価生ウイルスワクチンは、RSウイルス融合蛋白のエ
ピトープに加え、病気を惹起する細菌のエピトープを発
現する1個のまたは少量の感染性組換えウイルスから調
製できる。例えば、ワクシニアウイルスは、RSウイルス
融合蛋白のエピトープに加えて他のエピトープのコーデ
ィング配列を含有するよう操作することができる。かか
る組換えウイルスそれ自体は、多価ワクチンにおける免
疫原として使用できる。あるいはまたRSウイルス融合蛋
白のエピトープおよび他の病気を引き起こす細菌のエピ
トープをコードする異なる遺伝子をそれぞれに発現する
ワクシニアあるいはその他のウイルスの混合物は多価ワ
クチンに製剤化できる。
組換えウイルスが免疫すべき宿主に感染性であろうと
なかろうと、不活性ウイルスワクチン製剤が調製でき
る。不活性ワクチンは、通常、化学的処理(例えばホル
ムアルデヒド)によってその感染力が破壊されている点
で「死んで」いる。当該ウイルスの感染力は、そのウイ
ルスの免疫原性に関係する蛋白に影響を及ぼすことなく
破壊されるのが理想的である。不活化ワクチンを調製す
るためには、RSウイルス融合蛋白、関連蛋白、もしくは
ポリペプチドを発現する組換えウイルスを培養物中に生
育させて必要量の当該抗原を提供しなければならない。
異なるエピトープを発現する不活化ウイルスの混合物
は、「多価」ワクチンの製剤化に使用できる。ある場合
には、これら「多価」不活化ワクチンは生ウイルスを一
緒に投与した場合に相互干渉に伴う困難がありうるゆえ
に生ワクチン製剤よりも好ましい。いずれの場合におい
ても不活化組換えウイルスあるいはウイルスの混合物
は、抗原に対する免疫学的応答を高めるために適当なア
ジュバント中で製剤化すべきである。適当なアジュバン
トには以下のものが包含されるがそれに限定されるわけ
ではない:表面活性物質、例えば、ヘキサデシルアミ
ン、オクタデシルアミノ酸エステル、オクタデシルアミ
ン、リゾレシチン、ジメチルジオクタデシルアンモニウ
ムブロマイド、N,N−ジオクタデシル−N′−N−ビス
(2−ヒドロキシエチル−プロパンジアミン)、メトキ
シヘキサデシルグリセロール、およびプルロニックポリ
オール;ポリアミン、例えば、ピラン、硫酸デキストラ
ン、ポリIC、ポリアクリル酸、カルボポル;ペプチド、
例えば、ムラミルジペプチド、ジメチルグリシン、タフ
トシン;オイルエマルジョン;およびミネラルゲル、例
えば、水酸化アルミニウム、燐酸アルミニウム等。
5.7.3.受動免疫および抗イディオタイプ抗体 ウイルスワクチンまたはサブユニットワクチンによっ
て活性免疫化する代わりに、RSウイルス融合蛋白のエピ
トープあるいはRSウイルスG蛋白のエピトープに対し予
め形成された抗体を投与することにより、宿主を短期間
保護することができる。すなわち、受動免疫療法に使用
する抗体を産生させるためにワクチン製剤を使用でき
る。異種構造の免疫グロブリンはその異質の免疫原成分
に対する免疫応答を誘発するゆえに、ヒトの医薬ではヒ
ト免疫グロブリンが好ましい。かかる受動免疫化あ、例
えば、子供がRSウイルスの患者に接触したといったよう
な特別な危険にさらされた免疫のない個体を早急に保護
するという緊急事態における使用が可能である。あるい
はまた、これら抗体は、抗イディオタイプ抗体の生産に
使用でき、この抗イディオタイプ抗体は、RSウイルス融
合蛋白またはG蛋白エピトープに対する免疫応答を刺激
するための抗原として使用できる。
5.8.診断アッセイ 本発明のさらに他の目的は、RSウイルス融合蛋白ある
いはG蛋白(即ちRSウイルス)の抗原の検出、またはRS
ウイルス感染の疑いのある個体の様々な体液中のRSウイ
ルス融合蛋白あるいはG蛋白に対する抗体の検出のため
の診断アッセイに使用される試薬を提供することであ
る。
5.8.1.イムノアッセイ 本発明による態様の一様式においては、本発明のRSウ
イルス融合蛋白あるいはG蛋白関連蛋白、ポリペプチド
およびペプチドは、種々の患者組織および体液における
RSウイルス検出のためのイムノアッセイに抗原として使
用できる。上記体液は血液、脊髄液、喀痰、鼻分泌物、
気道分泌物等が包含されるがそれらに限定されるわけで
はない。
本発明の蛋白、ポリペプチドおよびペプチドは、ラジ
オイムノアッセイ、ELISAアッセイ、「サンドイッチ」
アッセイ、沈降反応、ゲル拡散イムノ拡散アッセイ、凝
集アッセイ、蛍光イムノアッセイ、蛋白Aイムノアッセ
イおよびイムノ電気泳動アッセイを含むがそれらに限定
されない当業上知られた任意のイムノアッセイ系で使用
できる。ここに挙げたものはほんのわずかである。米国
特許第4,629,783号およびここに引用される特許にも適
当なアッセイが記載されている。
5.8.2.核酸ハイブリダイゼーションアッセイ 明細書における態様のもう一つの様式においては、本
発明のRSウイルス融合蛋白関連蛋白ポリペプチドおよび
ペプチドをコードする遺伝子あるいは遺伝子フラグメン
トの新規ヌクレオチド配列は血液、喀痰、鼻分泌物、気
道分泌物等を含むがそれらに限定されない患者の様々な
体液中におけるRSウイルスを検出するための核酸ハイブ
リダイゼーションアッセイのプローブとして使用でき
る。
本発明のヌクレオチド配列はサザンブロット(Southe
rn,1975,J.Mol.Biol.98:508):ノーザンブロット(Tho
mas等,1980,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:5201−05);
コロニーブロット(Grunstein等,1975,Proc,Natl.Acad.
Sci.USA,72:3961−65)等を含むがそれに限定されない
当業上知られた任意の抗酸ハイブリダイゼーションアッ
セイ系に使用できる。
下記の実施例は、本発明を具体的に示すために列挙し
てあるもので、本発明の範囲を限定するものではない。
6.動物の保護:RSウイルス融合蛋白 6.1.一般的操作 6.1.1.融合蛋白の単離 サブユニットワクチン製剤で免疫原として使用するの
に適する実質的に純粋なRSウイルス融合蛋白は、Walsh
等の操作(1985,J.Gen.Virol.66:409−15)に実質的に
従って調製された。精製蛋白はLong,A2および18537を含
む3種類の異なるウイルス系統から、および2種類の異
なる細胞系、すなわちHEp−2(ATCC No.CCL23)および
Vero(ATCC No.CCL81)から調製された。全てのソース
から誘導された蛋白は免疫原性が高く、免疫原として使
用された場合には、ウイルス中和性および抗融合性抗体
を産生する。HEp−2細胞中のLong系統のウイルスに由
来する精製蛋白の電気泳動挙動は、様々な変性条件下で
第2図に示される。該蛋白は、実質的にウイルスまたは
細胞蛋白で汚染されていない。
上記のようにして精製された融合糖蛋白は、F1サブユ
ニットに共有結合した脂質を有することが分かった。こ
のことは、Vero細胞をRSウイルスのA2系統で感染させ、
該培養物を〔9,10−3H〕パルミチン酸で標識することに
より証明された。精製蛋白は、PAGEおよびオートラジオ
グラフィーによれば、140,000ダルトルの二量体形式の
蛋白と結合した3H−パルミチン酸を有することが証明さ
れた。さらに、この融合蛋白を熱単独処理または熱処理
プラスジスルフィド結合の還元を行うと3H−パルミチン
酸が70,000ダルトンおよび48,000ダルトン(F1サブユニ
ット)の形態の蛋白と結合していることが示された。
3H−パルミチン酸標識蛋白をクロロホルム:メタノー
ル(2:1v/v)で抽出した場合、残存するほぼ全ての標識
が該蛋白と結合したままであって遊離脂質としてクロロ
ホルム:メタノール中に抽出されることはなかった。従
って、パルミチン酸は、共有結合されている。該蛋白を
初めpH7.0の1Mヒドロキシルアミンで処理した場合は、
該パルミチン酸は、クロロホルム:メタノール中に抽出
された。従って、蛋白−脂質結合はヒドロキシルアミン
によって破壊され、このことは共有エステル結合を示し
ている。該結合は、中性pHで破壊されたので、蛋白上の
システインによるチオエステル結合が、他のエステル結
合も形成されうるが、最もありそうな結合である。
さらに、予備実験では、RSウイルスF蛋白中にミリス
チン酸も存在していることが示唆される。精製F蛋白を
80℃で1Mメタノール性HCl中24時間加水分解した。放出
された脂質をヘキサン中に抽出し、メチルシリコーンと
結合した融合シリカカラムを用いてガスクロマトグラフ
ィー(GC)(Perkin Elmer 8500)によって分析した。
得られたGCスペクトルは、精製F蛋白上におけるミリス
チン酸の存在を示した。
上記のようにして得られた精製融合蛋白の炭水化物の
性質についても特性化した。感染HEp−2細胞から得ら
れたRSウイルスのLong系統に由来する精製蛋白を下記の
ように分析した:該精製蛋白をHCl含有メタノールによ
ってメタノリシスし、完全にアセチル化し、O−脱アシ
ル化し、そして最後にパーO−(トリメチルシリル化)
した。糖残基をガス液体クロマトグラフィー(Reinhold
1972,Methods in Enzymology,25:244−49)により同定
および定量した。この蛋白は総炭水化物量5.75重量%を
有することが分かった。糖全体の%、で表わした糖組成
は以下の通りである:フコース11.5%、キシロース3.3
%、マンノース26.2%、ガラクトース9.8%、グルコー
ス9.8%、およびN−アセチル−グルコサミン39.3%。
6.1.2.アッセイ 6.1.2.1.ウイルス中和アッセイ ウイルス中和アッセイは以下の様にして実施された: テスト血清サンプルおよび陽性対照サンプルを56℃で
30分間熱不活化した。テストサンプルを連続希釈した。
次に全ての血清を約50プラーク形成単位(PFU)のRSウ
イルスを含有する同量で希釈し、そして37℃で1時間イ
ンキュベートした。エンザイムイノムアッセイ、中和お
よび抗融合アッセイによって予め特性化した成人の血清
を陽性対照として用いた。予め特性化されそして非免疫
性であることが知られている血清を陰性対照として用い
た。
インキュベートされた血清−ウイルス混合物それぞれ
を24−ウェルプレートの別々のウェル中でHEp−2細胞
(ATCC No.CCL23)に接種し、37℃で2時間ウイルスを
吸着させた。接種物を除去した。細胞単層を洗浄し改良
Eagle培地に5%ウシ胎児血清と1%セファデックスを
加えたものを積層させ、37℃で3日間インキュベートし
た。該積層培地を除去し、細胞を燐酸塩緩衝食塩水(PB
S)で洗浄した。
各ウェルに1mの冷却PBS−メタノール(1:5)溶液を
加え、細胞を室温で30分間固定した。PBS−メタノール
固定液を除去し、pH6.8のPBS中の5%Carnationインス
タントミルク(BLOTTO)を各ウェルに1mずつ加えた。
このプレートを37℃で30分間インキュベートした。
BLOTTOを取り除いた。RSウイルスに対するモノクロー
ナル抗体(予め滴定しそしてBLOTTOを用いて操作濃度に
希釈)を1ウェル当り0.5mずつ加え、プレートを37℃
で1時間インキュベートした。抗体を取り出し、固定さ
れた細胞はBLOTTOを用いて30分ずつ2回洗浄した。
セイヨウワサビペルオキシダーゼ接合ヤギ抗マウスIg
G(BLOTTOで1:250に希釈)を1ウェル当り0.5m加え、
プレートを37℃で1時間インキュベートした。ヤギ抗体
をとり出し、固定された細胞は再びBLOTTOで30分ずつ2
回洗浄した。
1ウェル当り0.5mのペルオキシダーゼ基質溶液(0.
05%4−クロロ−1−ナフトール、0.09%H2O2、pH6.8
のPBS中)を加え、室温で15〜30分間発色せしめた。基
質溶液を除去し、ウェルを水で洗浄し風乾した。各ウェ
ル中のプラーク数を測定した。
テスト血清サンプルの中和能力は、非免疫対照血清に
比較してプラーク形成を血清1m当りで表して60%減少
させる希釈度として表わされた。
6.1.2.2.抗融合アッセイ 抗融合アッセイは、以下のようにして実施された:48
ウェルプレート中のHEp−2細胞をウェル1個当り25PFU
のRSウイルスで37℃で6時間感染させた。感染後、培地
を0.1%K6モノクローナル抗体抗体(滅菌濾過腹水液)
および熱不活化テスト血清サンプルもしくは熱不活性非
免疫対照血清のいずれかを含有する新鮮な培地で置換し
た。K6モノクローナル抗体は、RSウイルスのG糖蛋白に
特異的である。培地中における6Kの存在により培地によ
るウイルスの拡散が阻止される。最終濃度1%となるま
でセファデックスを添加し、そしてプレートを37℃で3
日間インキュベートした。培地を除去し、細胞をPBSで
洗浄した。
各ウェルに冷却PBS−メタノール(1:5)溶液1mを添
加し、細胞を室温で30分間固定した。固定剤を除去し、
ウェル1個当り1mのBLOTTOを添加した。プレートを37
℃で30分間インキュベートした。
BLOTTOを除去した。RSウイルスに対するモノクローナ
ル抗体(予め滴定し、BLOTTOを用いて操作濃度まで希
釈)をウェル1個当り0.5mずつ添加し、プレートを37
℃で1時間インキュベートした。抗体溶液を除去し、固
定された細胞をBLOTTOを用いて30分ずつ2回洗浄した。
BLOTTO中1:250に希釈されたセイヨウワサビペルオキ
シダーゼ接合ヤギ抗マウスIgGを各ウェルに0.5mずつ
添加し、プレートを37℃で1時間インキュベートした。
ヤギ抗体を除去し、固定細胞を再びBLOTTOを用いて30分
ずつ2回洗浄した。
ペルオキシダーゼ基質溶液(0.05%4−クロロ−1−
ナフトール,0.09%H2O2,PBS pH6.8中)をウェル1個当
り0.5mずつ添加し、室温で15〜30分間発色せしめた。
基質溶液を除去し、ウェルを水で洗浄して風乾した。
非免疫対照血清サンプルに相当するウェル内のプラー
クの数および代表的な寸法を測定した。次に同様の寸法
のプラークの数をテストサンプルに相当するウェルにつ
いて測定した。テスト血清サンプルの抗融合力価は非免
疫対照血清と比較して、血清1m当りで表わされたプラ
ークの数を60%減少させる希釈度として表わす。
6.1.2.3.エンザイムイムノアッセイ(EIA) 血清サンプルにおける抗体力価は下記のようにして実
施されるエンザイムイムノアッセイ(EIA)を用いて測
定された: RSウイルス融合蛋白をpH9.6の炭酸塩−重炭酸塩緩衝
剤1m当り200ngに希釈した。フラット底をした96ウェ
ルNuncTMアッセイプレートのB〜G列の各ウェルにこの
希釈された抗原100μずつを加えた。A列およびH列
には各ウェルに100μの炭酸塩−重炭酸塩緩衝剤のみ
を添加した。プレートを被覆し、37℃で2時間振盪しな
がらインキュベートし、次に4℃で一夜貯蔵して抗原を
固定化した。
上清をNuncTMアッセイプレートから除去し、プレート
を0.1%ツィーン/PBS pr7.4で洗浄し、そして軽くたた
いで乾燥した。
3種の抗体サンプルを各プレートでアッセイした。各
サンプルは最初に0.2%ツィーン,0.01M EDTA/PBS pH7.5
(0.2%TWN)中で希釈して一次希釈物を得た。
この一次希釈物はさらに96ウェルU底FalconTMプレー
ト中で下記のようにして連続希釈した: (a) サンプルの一次希釈物を200μ/ウェルで第
2列に接触した。サンプル1は3通り、例えばウェルA
2,B2およびC2に接種され、サンプル2は2通、例えばウ
ェルD2,E2に、サンプル3は3通り、例えばウェルF2,G2
およびH2に植え付けられた。
(b) 0.2%TWN 100μを第3〜12列の各ウェルに接
種した。
(c) 接続希釈物は第2列のウェルから第3列の相当
するウェル(例えばB2からB3;C2からC3)に、第3列の
ウェルから第4列の相当するウェルまでというように第
12列に到達するまで連続的に100μを移すことにより
作り出された。
(d) 第1列には100μの0.2%TWNが対照として各
ウェルに加えられた。
100μの一次希釈物を、Falconプレートの各ウェル
からNuncプレートの相当するウェル、例えばA2(falco
n)からA2(Nunc)に移した。nuncアッセイプレートを
被覆し、そして37℃で1時間振盪しながらインキュベー
トした。上清をアッセイプレートから除去し、プレート
を0.1%Tween/PBSで洗浄しパッティング乾燥した。
ヤギ抗マウスIgGアルカリホスファターゼ接合(TAGC
TM)を0.3%Tween/PBS pH7.0(0.3%TWN)を用いて操作
希釈度、例えば1:1500に希釈した。この希釈された接合
体(100μ)を第2〜12列の各ウェルに添加した。第
1列には、100μの0.3%TWNが対照として各ウェルに
添加された。プレートを被覆し、37℃で振盪しながら1
時間インキュベートした。次に接種物を除去し、プレー
トを0.1%ツィーン/PBS pH7.4によって洗浄し、パッテ
ィング乾燥した。
全ての各ウェルに対し、pH9.8のジエタノールアミン
緩衝液中1mg/mの基質溶液(SIGMA−104TM)100μを
添加した。酵素反応を室温で1時間行なわせた。次に各
ウェルに100μの3N NaOHを添加することにより反応を
停止させた。410nmでの光学濃度を読みとることにより
酵素反応の程度を測定した。
第A列および第H列は抗原が全く存在しないので、陰
性対照として用いられた:第1列もまた何ら抗体が存在
しないゆえ陰性対照として用いられた。
6.2.動物の保護:同一源保護および異種保護 ある実験で18匹のコットンラットを3匹ずつ6つのグ
ループに分けた。第0週、第2週および第4〜5週目に
5μg蛋白しか与えられなかったグループ6を除き、下
記の種々のアジュバント中10μgのRSウイルス融合蛋白
(140,000ダルトン)の筋肉注射によって動物を能動免
疫した。前記アジュバントとは、グループ1がPBS、グ
ループ2がIFA、グループ3がISCOM、そしてグープ4が
みょうばんである。グループ5はPBSのみの筋肉注射を
受け対照グループとして用いられた。グループ6にはベ
ータ−メルカプトエタノールを用いて予め還元したRSウ
イルス融合蛋白を何らアジュバントを用いずに筋肉注射
した。
血清学的アッセイは第6〜7週に得られた血清サンプ
ルに対し、前記6.1.2章に記載されたようにして実施さ
れた。結果を第1表に示す。
動物は1×104PFUのRSウイルスを用い第6〜7週の間
に抗原投与された。肺を攻撃第4日目に摘出した。肺の
組織におけるRSウイルスの存在および/または量を測定
した。感染後第4日目に肺および鼻申介を動物から取り
出し、そして1〜2mのウイルス輸送培地(MEM,5%FB
S,2mMグルタミン,20mMH EPES,10%SPG)中でホモジナイ
ズした。遠心分離の後、上清を連続希釈し、そして24ウ
ェル組織培養プレート中HEp−2細胞に加え、ウイルス
を生長させた。プラークは6.1.2.1章に記載されるよう
にして同定(ウイルス中和アッセイ)し、組織1グラム
当りで表わした。結果を同じく第1表に示す。
第1表に示されるとおり、RSウイル融合蛋白で免疫す
るとウイルス中和に有効で融合を防止する抗体の産生が
惹起された。さらに、第1表に具示された結果は、免疫
化された動物の肺組織がその後のRSウイルス感染から効
果的に保護されることを明確に照明している。
融合蛋白をベータ−メルカプトエタノールで処理(還
元)した場合、サブユニットが解離して遊離F1およびF2
を生成する。コットンラットをアジュバントなして5μ
gの還元蛋白で免疫した場合、該コットンラットも、活
性レベルは低下するが中和性で抗融合活性を有する抗体
を生成した(第1表、グループ6参照)。同様に、これ
らの動物の肺も効力は少ないが感染から実質的に防御さ
れた。従って、免疫系に対して解離状態で提示された融
合糖蛋白のサブユニットは防御免疫性を生成させること
ができる、こういった条件の下で、疎水性膜アンカー領
域を有するF1サブユニットは集合して免疫性を高めうる
高分子量の多量体を形成しようことも留意されるべきで
ある。
ヒトのRSウイルスはAとBの2つのサブタイプに分け
られる。両サブタイプからの融合蛋白は抗原決定基を共
有し、これら決定基はRSウイルス系統内で高度に保持さ
れている。従ってヒトのRSウイルスの一方のサブタイプ
からのF蛋白での免疫化がヒトのRSウイルスの両サブタ
イプによる感染を防止しうるか否かについて判定するた
めに一連の実験が行なわれた。
この一連の実験において、30匹のコットンラットを4
グループの実験動物と4グループの対照動物に分類し
た。第0週、2週および4週に、RSウイルスA2系統のサ
ブタイプAウイルスから取得された10μgのヒトRSウイ
ルス融合蛋白(140,000ダルトン)の筋内注射によって
実験動物を能動免疫した。対照動物はプラシーボ免疫
原、即ちPBSを用いて同様に免疫した。
上記第6.1.2章に記載されるようにして、ヒトのRSウ
イルスのAおよびBの両サブタイプに対し誘導された抗
体のウイルス中和および抗融合の能力を検査するために
血清学アッセイが行われた。サブタイプARSウイルス融
合蛋白での免疫化はRSウイルスのAおよびB両サブタイ
プに対する同様の中和および抗融合活性を有する抗体を
誘発させた(データは提示せず)。
全ての実験動物および対照動物を下記の通りヒトRSウ
イルスで第6週目に鼻内に抗原攻撃した:グループ1は
系統A2(サブタイプA)6.2log10 PFUを投与され、グル
ープ2はLong系統(サブタイプA)6.1Long10 PFUを、
グループ3は系統9320(サブタイプB)3.5log10 PFUを
グループ4は系統18537(サブタイプB)5.0log10 PFU
を投与された。攻撃後第4日目に肺を摘出し、ウイルス
力価を前記のようにして測定した。結果を第2表に示
す。
第2表に示す様に、サブタイプAのウイルス系統から
の融合蛋白を用いる免疫化により、相同性サブタイプA
ウイルスおよび異種構造サブタイプBウイルスの両方に
対してかなり防御された。従って、1つのサブタイプRS
ウイルスからのF蛋白での免疫化がヒトのRSウイルスの
両サブタイプに対する防御を付与することは明らかであ
る。
6.3.ヒヒの予防 12匹の若ヒヒを4匹ずつ3グループに分けた。動物に
下記の通り20μgの精製RSウイルス融合蛋白を1ヶ月お
きに3ヶ月筋肉注射した:すなわち、グループ1はPBS
中の免疫原を与えられ、グループ2はみょうばん中の免
疫原を与えられ、グループ3は、PBSのみを与えられた
(対照群)。
血清学アッセイは、上記第6.1.2章に記載した通り第
3回目の免疫化の2週間後に実施した。結果を第3表に
示す。
免疫化2週間後、1グループ当り3〜4匹に5.32PFU
の系統株A2RSウイルスを肺に直接接種することにより投
与した。肺の洗浄物を感染後2日目にアッセイした。肺
の洗浄物は媒体を肺に直接送り、チューブ吸引によって
採取することにより得られた。ウイルスは上記第6.2章
に記載されるようにして滴定した。結果を第3表に示
す。
第3表に示す様に、精製RSウイルスを用いる若ヒヒの
免疫化により、ウイルスを中和して融合を防止すること
のできる抗体が惹起された。さらに明らかに証明される
通り、免疫化した動物はアジュバントとしてみょうばん
を用いた場合(グループ2)その後のRSウイルス感染か
ら防御された。
他の一連の実験において、若ヒヒを多数のグループに
分け、下記のようにして精製RSウイルス融合蛋白の筋内
注射によって免疫化した:4匹の動物はみょうばん中の5
μgの免疫原を与えられ、11匹の動物は第0日、28日お
よび56日目にみょうばん中の20μgの免疫原を投与され
た。6匹の動物は第0日にみょうばん中の100μgの免
疫原を与えられ、第28日目に20μgの免疫原を与えられ
た。12匹の動物は第0日、28日および56日にPBSのみを
与えられ、対照として用いた。全ての動物は第70日目に
系統A2RSウイルスの>106PFUを肺に直接接種することに
より攻撃された。肺洗浄物は攻撃後第2、3および4日
目に上記のようにして採取された。この一連の実験の結
果は、第4表に要約してある。
第4表に要約の通り、ヒヒはRSウイルス融合蛋白によ
る免疫化によってRSウイルス感染から効果的に防御され
た。免疫化およびその後の実験中に血液化学的および血
液学的アッセイでは本実験全体を通じて有害な反応の徴
候は何ら示されなかった。
6.4.ウシのRSウイルスに対する保護 ヒトのRSウイルス融合蛋白の粗製製剤(ここでは「粗
製ヒトRSウイルスF蛋白」と称す)は、以下のようにし
て調製された。RSウイルス2A系統に感染させたVero細胞
を50mM Tris;0.15M NaCl;1%トリトンX−100および2
%のデオキシコレートを含有する溶液pH7.4(リーシス
緩衝剤)を用いて抽出した。F蛋白質はリーシス緩衝剤
を用いてPEGペレット化ウイルスを可溶化することによ
り、廃細胞培養基から取得された。得られた粗製調製物
は遠心分離によって清澄化した。イムノアフィニティ精
製した製剤は第6.1.1に記載されるようにして調製し
た。
15頭の雌牛を3頭ずつ5つのグループに分けた。動物
には、下記の通り第0日目および21日目にヒトのRSウイ
ルス融合蛋白を筋肉注射した:グループ1にはヒトの粗
製ヒトRSウイルスF蛋白(5μg)を与え、グループ2
には粗製ヒトRSウイルスF蛋白を(20μg)、グループ
3にはヒトの精製RSウイルスF蛋白(20μg)を、グル
ープ4はDiamond Scientofic Co.(Des Moires,Iowa)
から購入できるUSDA認可ウシRSウイルスワクチン(第0
日および21日目に2m)を、そしてグループ5にはPBS
のみ(対照)として与えた。
EIAは、上記第6.1.2に記載の様にして、免疫化後0
日、10日、21日および33日目に得られた血清サンプルに
対して実施され、抗原としてはRSウイルス系統A2からの
F蛋白が用いられた。結果を第5表に示す。
第5表に提示されたデータは、第6.1に記載の様にし
て得られイムノアフィニティ精製後のヒトのRSウイルス
融合蛋白が高レベルの抗体を惹起することを示してい
る。市販のウシRSウイルスワクチンとの比較はヒトのRS
ウイルスF蛋白が雌牛においてBRSVワクチンと免疫原性
が同程度かあるいは以上であることを示した。
ウシのRSウイルスに対するヒトのRSウイルス融合蛋白
の防御免疫原性を他の一連の実験で調査した。25匹のコ
ットンラットは、10匹ずつのグループ2つと5匹のグル
ープ1つに分けた。動物は第0日および21日目に下記の
通り筋肉注射により免疫化がなされた:グループ1は、
市販のBRSVワクチン(ダイヤモンド社)を与えられた;
グループ2は、ヒトのRSウイルスLong系統FおよびG蛋
白(各々10μg)/みょうばん(アフィニティ精製され
たFおよびG蛋白は、それぞれ第6.1.1章および10.1章
に記載の様にして取得された)を与えられた;およびグ
ループ3は、PBS/みょうばん(対照)を与えられた。血
清サンプルを取得し、血清学アッセイを上記第6.2章に
記載したようにして実施したが、例外としてBRSV(系統
3758)は、中和および抗融合アッセイに用いられた。結
果を第6表に示す。
第6表に示す様にヒトのRSウイルス融合(およびG)
蛋白はBRSVに対して高度な中和と抗融合活性を示す非常
に高力価の抗体を誘発させた。他方ダイヤモンド社のBR
SVワクチンは、検出可能な抗融合活性を何ら有せず中和
活性がかなり低い抗体を惹起した。従って、第6表に示
す結果は、ヒトRSウイルス融合蛋白がBRSVを中和してBR
SVによって誘発される融合を阻止する抗体を惹起するこ
とを明示している。ゆえに、ヒトRSウイルス融合蛋白は
BRSVに対する防御免疫応答を誘発する。
6.5.病気の進行の回避 ホルマリン不活性化RSウイルス(Lot100,Pfizer)に
よる免疫化あるいは予防接種は免疫された対象物がその
後RSウイルスに感染した場合、非定型的でもっと重い病
気の発生に関与している。(Kim等,1969,Am.J.Epidemol
89:422−34:Chin等,1969,Am.J.Epidemol 89:449−6
3)。このようなRSウイルス感染の増強はヒトや動物の
ための効能があり安全なRSウイルスワクチン製剤の活発
にとって主な障害となっている。
Prince等(1985,J.Viol,57:721−28)は、RSウイルス
により誘発された病気の進行あるいは重症化を評定する
ための動物モデルを開発した。Princeによって開発され
たコットンラットの動物モデルは、その後の病気の同様
の進行あるいは重症化が本発明の1つの態様による免疫
原としてのRSウイルスF蛋白の使用に関連するか否かを
調査するために使用された。要するに、コットンラット
はアジュバントとしてみょうばんを使用し又は使用しな
いRSウイルスF蛋白かあるいは第7表に記載された様々
な免疫原のうちの1つのいずれかの筋肉注射によって免
疫化された。全ての動物は第0週、1週および2週か、
第0週、2週および4週のいずれかで3回注射を受けた
が1つのグループは1回しか免疫処置を受けなかった。
最後の免疫処置の後1週間から2週間で各動物は104−1
06PFUのRSウイルスによる攻撃を受けた。攻撃後第1日
および/または4日目にで動物の肺を上記のPrince等の
方法により、肺胞管および/または肺胞における形態
学、炎症性、および病理上の変化について検査した。肺
の大小両気道全体にわたる病状を、軽い(+1)、中位
(+2)、重い(+3)から大変重い(+4)までの9
段階によって評価した。結果を第7表に示す。
第7表に示す様に、本発明の1態様によるRSウイルス
融合蛋白で免疫化された動物は肺胞管および/または肺
胞を含む肺組織に病理的な変化がみられなかった。4日
目に融合蛋白で免疫化された86匹の動物のうち、1匹の
みが軽いものよりまだわずかな病理変化を示したのみで
あった。他方、市販のRSウイルスワクチンLot 100ある
いはホルマリン不活化RSウイルスで免疫処置された動物
では、処理動物の65%以上が軽い〜中位までの肺組織の
病理的悪化および/または炎症を示した。さらに、生RS
ウイルスで免疫化された動物の20%は肺組織の少なくと
も軽い病状悪化および/または炎症を示した。ゆえに、
本発明によるRSウイルス融合蛋白を使用することによ
り、その後のRSウイルス感染により誘発される病患の悪
化あるいは進行を回避できた。従って本発明によるワク
チン製剤は安全かつ有効である。
7.ヒトの保護:RSウイルス融合蛋白 RSウイルス融合蛋白ワクチンの安全性および免疫原性
をヒト成人志願者において評価するために、FDAにより
認可されたヒトフェーズI臨床研究を行った。RSウイル
ス株A2に由来する融合蛋白を、上記6.1頁に述べたよう
に精製し、みょうばんと混合し、以下の用量で筋肉注射
した:グループ1は5μg(N=15)、グループ2は15
μg(N=16)、グループ3は45μg(N=9)。1ヶ
月後グループ1から6人、グループ2から7人の志願者
に、初回の免疫処置で受けた各々の量のRSウイルス融合
蛋白の反復注射により免疫増強した。ワクチン接種およ
び志願者からの血清試料採取のスケジュールは第8表に
示す。
臨床データおよび免疫処置されたヒト志願者により報
告された症状を含む安全性データを第9表にまとめて示
す。
第9表に示したように、免疫処置に対する副反応(局
所反応)は、最小限であり、そして/または有意ではな
かった。血液は所定の期間毎に志願者から採取し、上述
のようにしてRSウイルスF蛋白に対して特異的な抗体価
を試験した。その結果を第10表に示す。
第10表に示したように、5または15または45μgのい
ずれかのRSウイルスF蛋白で免疫処置した後、処置前に
存在した抗体と比べてあらゆるグループで有意に量の増
加した抗体が産生された。したがって、本発明の一実施
態様によるRSウイルスF蛋白は、動物においてのみなら
ずヒトにおいても非常に免疫原性である。
8.RSウイルス融合蛋白の中和および/または融合エピト
ープの同定 8.1.全般的な手順 以下のプロトコールは、中和および抗融合抗体を誘導
するRSウイルス融合蛋白のエプトープを明らかにするた
めに用いた。
8.1.1.蛋白イムノブロット(ウェスタンブロット)分析 融合蛋白サブユニットF1及びF2をSDS−PAGEにかけた
(Laemmli,1970,Nature,227:680−685)。ゲル中で分離
された蛋白サブユニットを、5リッターあたり12.1gの
トリス−HCl、56.3gのグリシンを含むトランスファー溶
液を用いてニトロセルロースシートに電気泳動的にトラ
ンスファーした。ニトロセルロースシートを風乾した。
風乾したニトロセルロースシートを37℃で順次、(i)
BLOTTOと15分間、(ii)L4モノクローナル抗体を含むBL
OTTOと15分間、(iii)BLOTTOと15分間、(iv)二次抗
血清を含むBLOTTOと60分間、(v)BLOTTOと15分間イン
キュベートした。
二次抗血清をL4モノクローナル抗体と結合し、これを
ホースラディッシュパーオキシダーゼで標識するかまた
は標識しなかった。パーオキシダーゼで標識した場合
は、抗体結合を、リン酸緩衝食塩水pH6.8中での0.05%
4−クロロナフトール、0.09%H2O2との酵素反応によっ
て生じる発色によって検出した。標識しなかった場合に
は、抗体結合を、抗体に結合した125I−蛋白を追跡する
オートラジオクラフィーによって検出した。
8.1.2.キーホールリムペットヘモシアニン(KLH)に対
するペプチドのカップリングおよびウサギ抗血清の産生 1mg/m KLH溶液を以下のように調製した。KLHの再
懸濁した硫酸アンモニウム沈澱(m当り37mg蛋白を含
む)4mgをミクロフュージ中で、4℃で5分間遠心分離
した。上清を捨て、ペレットを0.1M NaHCO33mに再溶
解した。この溶液を、0.1M NaHCO3に対して2回交換し
て透析した。透析されたKLH溶液の容量を、1mg/mのKL
H溶液とするために4mに調整した。
合成ポリペプチドの1mg/m溶液4μを、KLH溶液に
添加し、室温で1時間混合した。25%グルタルアルデヒ
ド水溶液4mをこの混合液に添加し、室温でさらに24時
間混合した。25%グルタルアルデヒド水溶液20μをさ
らにこの混合液に加え、室温でさらに72時間混和した。
グルタルアルデヒドと交叉結合したポリペプチド−KLH
を、透析バッファーPBSを数回交換して一晩透析した。
ウサギを完全フロイントアジュバント中の250μg蛋
白で免疫し、2週間の間隔で2−3回、不完全フロイン
トアジュバント中の250μg蛋白で追加免疫した。
8.1.3.融合蛋白の加水分解的開裂 L4保護なしのトリプシン消化 精製した融合蛋白を50mMトリス、ph7.1、0.05%SDSお
よび0.1%β−メルカプトエタノール中で100℃で5分間
加熱した。冷却し変性させた融合蛋白サンプルにトリプ
シンを加え、37℃で2時間インキュベートした。用いた
酵素:基質の非は1:1000,1:2500,及び1:5000であった。
特に言及しない場合には、蛋白加水分解酵素はすべて1m
g/mの保存溶液から添加した。
L4保護を伴うトリプシン消化 等モル量の精製融合蛋白とL4モノクローナル抗体抗体
を混合し、氷上に1時間おいた。50mMトリス、pH7.1の
存在下でトリプシン混合液に加え、37℃で2時間インキ
ュベートした。用いた酵素:基質の比は1:10であった。
L4保護を伴うトリプシン/Arg−C消化 等モル量の精製融合蛋白とL4モノクローナル抗体抗体
を混合し、氷上に1時間おいた。実施例2.2で述べたよ
うに、酵素:基質の比1:10でトリプシン消化を行った。
トリプシンで消化された融合蛋白は100℃で5分間加熱
し、冷却後、さらにArg−Cを用いて酵素:基質の1:2、
1:5、1:10で37℃で2時間消化した。
L4保護を伴うArg−C/Arg−C消化 等モル量の精製融合蛋白とL4モノクローナル抗体を混
合し、氷上に1時間おいた。酵素:基質の比1:3での混
合液の最初のArg−C消化は、20mM NH4HCO3の存在下に3
7℃で2時間行った。次にこの反応混合物を、最終濃度
0.1%のβ−メルカプトエタノールを添加して還元し、1
00℃で5分間加熱した。冷却後、第2のArg−C消化を
酵素:基質の比1:6で37℃で2時間行った。
L4保護を伴うLys−C/Arg−C消化 最初の消化にLys−Cを酵素:基質の比1:2で用いる以
外は、上記実施例2.4と同様のプロトコールに従った。
8.1.4.ドットブロット分析 合成ポリペプチドに関するドットブロット分析を以下
のように行った。
ポリペプチド(20μgまで)をニトロセルロースシー
ト上にスポットした。ニトロセルロースシートは風乾し
た。風乾したニトロセルロースシートを37℃で順次に、
(i)BLOTTO(5%カーネーション(商標)インスタン
トミルクのリン酸緩衝食塩溶液pH6.8)と15分間、(i
i)L4モノクローナル抗体を含むBLOTTOと0.25〜72時
間、(iii)BLOTTOと15分間、(iv)二次抗血清を含むB
LOTTOと60〜120分間、(v)BLOTTOと15分間インキュベ
ートした。
二次抗体血清をL4モノクローナル抗体と結合し、これ
をホースラディッシュパーオキシダーゼで標識するかま
たは標識しなかった。パーオキシダーゼで標識した場合
は、抗体結合はリン酸緩衝食塩溶液pH6.8中での0.06%
4−クロロナフトール、0.3%H2O2との酵素反応によっ
て生じる発色によって検出した。標識しなかった場合に
は、抗体結合を、抗体に結合した125I−蛋白を追跡する
オートラジオグラフィーによって検出した。
8.2.所定の蛋白加水分解的開裂によるマッピング RSウイルス融合蛋白のF1のサブユニットをマップする
ために、第3図に示すF1サブユニットの様々な領域に対
応して合成ポリペプチドに調製し、合成ポリペプチド
(sp)sp1ないしsp5と命名した。これらのspを上記のよ
うにKLHと結合させ、別々にウサギを免疫するために使
用した。5種の対応するウサギ抗血清が得られ、抗−sp
1ないし抗−sp5と命名した。5種の抗血清はすべて免疫
原として使用した特定のspと同様にF1サブユニットとも
反応性であった。
次いで、精製RSウイルス融合蛋白を、7.1.3項に記述
したように所定の蛋白加水分解的開裂に供した。切断さ
れた蛋白断片をSDS−PAGEにより分離し、分子量を決定
し、そしてL4モノクローナル抗体並びに合成ポリペプチ
ドに対して生じた抗血清に結合能力について、ウェスタ
ンブロット分析により分析した。融合蛋白配列内での与
えられた蛋白加水分解断片の位置を、各々の抗血清との
反応性から推定した。その結果を第11表(A−E)に示
し、第4図に要約する。
第11表(A−E)は、モノクローナル抗体及びポリク
ローナル抗血清に対する反応性とともに5種の蛋白加水
分解開裂プロトコールによってもたらされた断片を示し
ている。第4図は第11表(A−E)のデータを統合し、
同定されたせすべての断片の位置を線状の地図に示して
いる。L4モノクローナル抗体と反応した断片は斜線の長
方形で、反応しなかった断片は黒ベタの長方形で示され
ている。L4モノクローナル抗体と反応性のすべての断片
にある格子状の領域は、アミノ酸残基283−327にわた
る。
8.3.蛋白フラグメントの発現によるマッピング 融合蛋白遺伝子の完全なヌクレオチド配列を有する、
実質的に第1図に示すcDNAを、大腸菌プラスミドベクタ
ーpG103中にBamH Iサイトでクローン化した。第5図は
結果として得られた組換えプラスミドpPX1043を示す。
融合蛋白遺伝子の完全なヌクレオチド配列を有する、
実質的に第1図に示すDNAを、大腸菌プラスミドベクタ
ーpBR332中にBamH Iサイトでクローン化した。結果とし
て得られたプラスミドをpBR322−Fと命名した。融合蛋
白遺伝子の領域を、制限エンドヌクレアーゼによってpB
R322−Fから切出し、大腸菌発現ベクターpUC19に結合
した(Yanish−Perronら、1985,Gene 33:103−19)。第
12表は用いた制限サイト、制限断片中の融合蛋白遺伝子
のヌクレオチド配列、及びこのヌクレオチド配列により
コードされたアミノ酸を示す。これらのDNA断片をそれ
ぞれ大腸菌発現ベクターpUC19にポリリンカー領域でク
ローン化し、その配列はlac Z遺伝子開始コドンと解読
枠が一致した。ベクタープラスミドとクローン化された
融合蛋白遺伝子断片との結合部およびその近傍の、組換
えDNA分子によりコードされたアミノ酸配列を、第6図
に示す。融合蛋白のコード配列がpUC19ベクターのlac Z
遺伝子に挿入されたため、lac Z蛋白のアミノ酸のいく
つか並びにポリリンカーによりコードされるいくつかの
アミノ酸が組換え蛋白に含まれる。
構築物cF3(プラスミドpPX−1029とも称される)、cF
4、cF7、cF8、cF10およびcF11によってコードされる蛋
白に対応するF3、F4、F7、F8、F10、およびf11と命名さ
れた6種の組換え蛋白を、上記のようにウェスタンブロ
ット分析により天然型融合蛋白に対するウサギポリクロ
ーナル抗血清との反応性で明らかに示されたように、大
腸菌内で発現させた。F11以外のすべての組換え蛋白
は、ウェスタンブロット分析によりL4モノクローナル抗
体と反応した。第7図は、L4反応性およびL4非反応性組
換え蛋白の図解を示す。第7図に示すように、L4モノク
ローナル抗体と反応性のすべての組換え蛋白に共通する
RSウイルス融合蛋白配列は残基253−298と定められた。
8.4.合成ペプチドによるマッピング RSウイルス融合蛋白のアミノ酸残基299−315、294−3
15、289−315、及び283−315にそれぞれ対応する4種の
合成ポリペプチドを調製した。これら4種の合成ポリペ
プチドの正確な配列を第13表に示す。
これらのポリペプチドをニトロセルロースシート上に
スポットし、L4モノクローナル抗体との反応性をドット
ブロット分析により試験した(上記7項を参照)。
得られた結果を第8図に示す。第8図8に示すよう
に、ポリペプチド294−315、289−315、及び283−315は
反応するのに、ペプチド299−315はL4モノクローナル抗
体と反応せず、このことは中和・融合エピトープが残基
283−298間に存在し、294−299ほど小さくでよいことを
示している。最小領域を294−298よりむしろ294−299と
した理由は、少なくとも6個のアミノ酸の長さが一般に
エピトープを形成するために必要であるからである。
9.修飾RSウイルス融合蛋白の免疫原性 9.1.コンフォーメーション 架橋実験は、RSウイルス融合蛋白がウイルス感染細胞
の表面上及びほぼ純粋な調製物中で二量体(140,000ダ
ルトン)として存在することを示した。ワクチン利用に
関する蛋白コンフォーメーションの潜在的な影響を調べ
るために、F蛋白の四次元構造を修飾し、免疫原性への
結果的な影響を評価した。
単量体F蛋白(70,000ダルトン)は、ほぼ純粋なF蛋
白から、F蛋白を100℃で2分間処理するか、または99.
9%アセトニトリル/0.1%TFAで処理することによって得
られた。二量体及び単量体型の免疫原性をコットンラッ
トで試験した。実験の詳細と結果を第14表に示す。
熱処理で調製された単量体型の接種を受けたグループ
では、総中和抗体価は100−1000倍小さいことが認めら
れた。
9.2.脱アシル化融合蛋白 共有結合した脂肪酸がRSウイルスの免疫原性に及ぼす
影響を調べるために、融合蛋白をヒドロキシルアミン
(1M、室温で4時間)で脱アシル化し、脱アシル化蛋白
の有効性をF蛋白のそれと比較した。実験の詳細及び結
果を第15表に示す。
実験結果は、用量5μgでの脱アシル化Fタンパクの
防御効力がアシル化Fタンパクに比べて減少したことを
示している。
10.動物の防御:RSウイルスG蛋白 10.1.G蛋白の単離 サブユニットワクチン製剤における免疫原としての使
用に好適な実質的に純粋なRSウイルスG蛋白を、基本的
にはWalshら、1984,J.Gen.Virol.65:761−67の方法にし
たがって調製した。
10.2.受動防御 アフィニティー精製G蛋白を用いて、第0週にフロイ
ント完全アジュバント中の2.4μgのRSウイルスG蛋白
の筋肉注射で、そして第4週及び8週にフロイント不完
全アジュバント中の4.8μgのRSウイルスG蛋白で、ウ
サギを免疫した。動物を第17週で放血した。G免疫した
ウサギからの血清及び対照区の非免疫ウサギからの血清
のIgG画分は、プロテインAセファロース(商標)カラ
ムを用いて得られた。
20匹のコットンラットを、4匹ずつの3グループと5
匹及び3匹の2グループに分けた。動物を腹腔内投与に
より以下のようにして受動免疫した。グループ1には4.
12mgのウサギ抗−G IgGをグループ2には1.03mgのウサ
ギ抗−G IgGを、グループ3には4.28mgの正常ウサギIgG
を、グループ4には1.07mgの正常ウサギIgGを、グルー
プ5(対照)には等容量のPBSを投与した。免疫処置の2
4時間後に動物に5.5log10 PFU RSウイルスロング株を投
与した。投与後4日で肺を採取した。肺組織におけるRS
ウイルスの存在及び/または量を上述のように測定し
た。血清試料を集め、上記のようにアッセイを行った。
結果を第16表に示す。
第16表に示したように、RSウイルスからの精製G蛋白
によって誘導されたウサギ抗体の受動投与は、対応する
RSウイルスによる感染に対するコットンラットの防御に
効力を発揮した。
10.3.能動免疫化および防御 37匹のコットンラットをそれぞれ12−13匹の3グルー
プに分けた。1グループをさらに3匹ずつ4グループに
小分けし、結局6グループにした。グループ6を除くす
べてのグループのすべての動物を、上述の項で述べたよ
うにして得られた10μgのRSウイルスG蛋白(以下種々
のアジュバント中)の筋肉注射によって免疫した。グル
ープ1には第0、2及び4−5週にG蛋白PBS溶液を3
回、グループ2には第0、2及び5週にG蛋白みょうば
ん溶液を3回、グループ3には第0及び5週にG蛋白み
ょうばん溶液を2回、グループ4には第0、2及び5週
にG蛋白ISCOM溶液を3回、そしてグループ5には第0
及び5週にG蛋白ISCOM溶液を2回投与した。対照区の
グループ6には第0、2及び4週に等容量のPBSのみを
3回与えた。6週と7週の間に、すべての能動に4.0−
5.0log10 PFU RSウイルスロング下部を鼻腔内に抗体投
与した。血清試料を抗体投与当日に採取し、上記6.2項
に記載のように検定した。肺組織におけるRSウイルスの
存在及び/または量を上述のように抗体投与後4日に測
定した。結果を第17表に示す。
第17表に示したように、RSウイルスロング株から得ら
れたG蛋白によるコットンラットの能動免疫は、RSウイ
ルスロング株を中和し得る(中和アッセイ)抗−G抗体
の高力価(EIAアッセイ)によって明らかなように優位
な免疫応答を誘導した。最も重要なことは、免疫した動
物にRSロングウイルスを抗体投与したときに、これらの
動物は対照動物と比較してこの種の感染に対して有効に
防御されたということである。
11.組換えベクター内で発現されたRSウイルスG蛋白の
免疫原性 RSウイルス株A2 G蛋白を発現する組換えベクターを
調製した。PLプロモーターおよびN遺伝子をバクテリオ
ファージラムダゲノムの1215bpセグメント上に有するプ
ラスミドpPL−ラムダ(pPL)は、ファルマシアファイン
ケミカルズ(Piscataway,NJ)より購入した。N遺伝子
上の独特のHpa Iサイトは、PL転写開始位置から321bp下
流にある。この制限サイトに挿入された配列は、PLプロ
モーターにより制御されよう。発現ベクタープラスミド
pPX1600は、pPLプラスミドのHpa Iサイトへの合成オリ
ゴヌクレオチド配列の挿入により構築された。この合成
ヌクレオチドは、あとに翻訳開始シグナルを従えたNコ
ード配列(シャイン−ダルガルノボックス及びATG)と
解読枠の一致した翻訳開始コドン、及び異種DNA配列を
挿入するための、合成ATGと解読枠の一致した独特の制
限サイト(Nco I、Stu I、EcoR V)を含んでいた。BamH
Iリンカーに隣接するG糖蛋白遺伝子に対応する全長の
cDNA(Elangoら、1980,Pcoc.Nat'l.Acad.sci.USA83:190
6−10)を、pBR322のBamH Iサイトにクローン化した。B
amH I消化の後、G蛋白をコードするRSウイルス遺伝子
をpBR322から切り出し、DNAポリメラーゼIのクレノウ
断片で修復し、平滑末端をStu I−切断pPX1600に連結し
た。E.coli(N99cI)の形質転換後、プラスミドpPX1044
を分離した(第9図)、このプラスミドでは、RSウイル
スGコード配列は正しい方向にあり、合成ATGからの読
み通しによるPL−支配の発現のために正しい解読枠にあ
った。
プラスミドpPX1044はCaCl2法によりSalmonellatyphim
urim(LB50150)細胞内へ導入された。形質転換細胞を
対数期後期まで生育させ、発現されたRSウイルスG蛋白
をL9モノクローナル抗体を用いてイムノアフィニティー
により精製した(WalshおよびHruska,1983,J.Virol.47:
171−177)。組換え非グリコシル化G蛋白は、フロイン
トアジュバントの存在下10μgで4回の免疫化後に、ウ
サギにおいて有意な中和力価(ロング株に対して3.7log
/m)を生じた。同様の中和抗体応答は、コットンラッ
トにおいて組換え非グリコシル換G蛋白5μgで3回の
免疫処置後に誘導された。従ってバクテリアで誘導され
た組換えGは免疫原性であり、組換えGに対して産生さ
れた抗体は機能し、それ故RSウイルス感染に対して防御
的に作用する。
12.RSウイルスワクチンの細胞媒介免疫学的態様 この出願に示されたデータは、RSV糖蛋白をF蛋白単
独又はG蛋白と組合わせて用いた免疫は、機能的で防御
的な循環する抗体を誘導することを示す。この抗体応答
の他に、細胞媒介免疫は防御効力にとって重要である。
実際、いくつかの研究は、多くのウイルス感染がウイル
ス糖蛋白を認識する細胞障害性T細胞の誘導と関連して
いることを示している。RSウイルスに対する細胞障害性
T細胞は、マウス及びヒトについて記述されている(Ta
ylorら、1984,Infect.Immun.43:649−55;Bangbamら、19
85,J.Virol.56:55−59;Banghamら、1986,Proc.Nat'l.Ac
ad.Sci.USA 83:9138−87)。さらに、RSV−感作マウス
からのT細胞の受動トランスファーは、その細胞を無胸
腺ヌードマウスに投与したとき、持続するRSV感染を排
除できる(Cannonら、1987,Immunol.62:133−38)。RS
ウイルスF蛋白を用いた免疫が細胞障害性T細胞の応答
を誘導できるかを調べるために、マウスを精製RSウイル
スF蛋白で免疫し、免疫刺激エフェクターT細胞をイン
ビトロでアッセイした。生きたRSウイルスで免疫された
動物における応答も調べた。実際には、36匹のマウスを
4グループに分け、動物を以下のように0及び2ヵ月で
免疫化した;グループ1には2×106のTCID50ロング株R
Sウイルスをそれぞれ鼻腔内及び腹腔内投与し;グルー
プ2には20μgのRSウイルスF蛋白(みょうばん中)を
鼻腔内投与し;グループ3には20μgのRSウイルスF蛋
白(みょうばん中)を筋肉内投与し;グループ4は非免
疫対照区とした。最後に追加接種後3週間で、動物を殺
し、脾臓を採取した。脾臓からエフェクターT細胞が得
られ、腹腔滲出細胞(PEC)またはRSウイルスに感染し
た脾臓細胞によりインビトロで再刺激した。細胞障害性
T細胞はCr−51放出アッセイによってテストした(Bang
hamら、1985,J.Virol.56:55−59)。結果を第18表に示
す。
有意なレベルのRSウイルス特異的細胞障害性T細胞
は、RSウイルスF蛋白(IP/IP)による免疫後(すなわ
ちグループ2)、およびRSウイルス(IN/IP)による免
疫後(すなわちグループ1)に誘導された。RSウイルス
F蛋白を筋肉内を経て受容した動作すなわちグループ
3、または対照区の動物、すなわちグループ4において
は、有意なT細胞応答は観察されなかった。従って細胞
障害性T細胞を誘導は接種ルート、生きたウイルスと蛋
白の対比、及び再刺激に用いた細胞に依存する。RSVの
精製F蛋白は体液性免疫のみならず細胞性免疫も誘導す
ることができる。
13.微生物の寄託 多くのポリヌクレオチド配列を本発明の実施のために
使用することができる。完全なRSウイルス融合蛋白を有
するプラスミドpPX1043を担う大腸菌株JM83およびプラ
スミドpPX1029を担う大腸菌JM103は、Agricultural Res
earch Culture Collection(NRRL),PEORIA,ILに寄託さ
れ、それぞれ受託番号NRRL B−18254およびNRRL B−182
55が与えられた。プラスミドpPX1044を担う大腸菌N99cI
株も、Agricultural Research Culture Collection(NR
RL),PEORIA,ILに寄託され、受託番号B−18419が与え
られた 微生物の寄託は発明の一態様の単なる一例として意図
されているのみであるため、本発明は寄託された微生物
の範囲に限定されることはない。
ここに記載された本発明の多くの変更が、その趣旨及
び範囲を逸脱せずになされ得る。このような変更は、添
付の請求の範囲に包含されるものとする。記載された特
別の実施態様は、例としてのみあげられるもので、本発
明は添付の請求の範囲によってのみ限定される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G01N 33/577 G01N 33/577 B (72)発明者 ヒルドレス,ステファン,ダブリュー. アメリカ合衆国,ニューヨーク州 14618,ロチェスター,ウィローベンド ロード 159 (72)発明者 ヒュー,ブランダ,ティー. アメリカ合衆国,ニューヨーク州 14534,ピッツフォード ハドレーコー ト 9 (72)発明者 マーティン‐ギャラード,アントニア アメリカ合衆国,ニューヨーク州 14534,ピッツフォード ピナクル ロ ード 873 (72)発明者 アルムガム,ラサッパ アメリカ合衆国,ニューヨーク州 14586,ウェスト ヘンリエッタ,カク タス ドライブ 7 (56)参考文献 Canaclion Journal Microliolagyical, Vol.32,1986,p15−21 Journal Yeneral V irology,vol66,1985,p 409〜415 Journal Yeneral V irology,vol67,1986,p 1479〜1483 Journal Yeneral V irology,vol66,1985,p 2111〜2124 Proc.Natl.Acad.Sc i.USA,vol82,1985,p4075〜 4079 Proc.Natl.Acad.Sc i.USA,vol81,1984,p7683〜 7687 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07K 14/00 A61K 39/12 C12N 1/21 C12N 7/00 G01N 33/569 G01N 33/577

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】実質的に純粋な非グリコシル化レスピラト
    リイ・シンシチアル・ウイルスG蛋白。
  2. 【請求項2】免疫原が、実質的に純粋な非グリコシル化
    レスピラトリイ・シンシチアル・ウイルスG蛋白及び適
    当な製剤用担体と混合された、有効量の、レスピラトリ
    イ・シンシチアル・ウイルス融合蛋白の中和及び融合エ
    ピトープを含む天然の二量体形態の蛋白を含有してな
    る、ワクチン製剤。
  3. 【請求項3】免疫原が、有効量の、実質的に純粋な非グ
    リコシル化レスピラトリイ・シンシチアル・ウイルスG
    蛋白を含有してなる、ワクチン製剤。
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