JP3287500B2 - 炊飯加熱方法 - Google Patents

炊飯加熱方法

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JP3287500B2
JP3287500B2 JP15952693A JP15952693A JP3287500B2 JP 3287500 B2 JP3287500 B2 JP 3287500B2 JP 15952693 A JP15952693 A JP 15952693A JP 15952693 A JP15952693 A JP 15952693A JP 3287500 B2 JP3287500 B2 JP 3287500B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ご飯の炊き上がり状態
を複数の炊飯コースから選択して、好みの炊き上がり状
態のご飯を選べるようにした炊飯器の炊飯加熱方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の炊飯器は、被炊飯物であ
る米と水とを容器に収容し、この容器の上面開口部を蓋
体により閉塞した後、炊飯ヒータの通断電制御により容
器を加熱して、ひたし炊きおよび本炊飯を行なう。そし
て、容器の温度を検出する容器センサの検出温度が所定
の炊き上がり温度に達すると炊飯ヒータを断電し、むら
しを経て炊飯行程を完了させるようにしている。
【0003】こうした炊飯器には、ご飯の炊き上がり状
態を複数の炊飯コースから選択して、この選択された炊
飯コースに応じた加熱パターンにより、炊き上がり状態
の異なるご飯を炊くことができる白米炊きわけ機能を備
えたものがある。そして、加熱パターンの設定は、温度
センサーによる初期室温または初期水温の検出と、前記
選択された炊飯コースと、炊飯途中より検出される炊飯
量に応じて適宜行われるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術の炊飯器
においては、次のような欠点がある。まず、炊飯量は、
米に対する吸水を促進させるひたし行程中、ひたし行程
後の加熱から沸騰に至る途中の温度上昇率、あるいはひ
たし行程後の加熱から沸騰までの間の加熱停止期間中に
おける温度変化率に基づいて検出されるため、炊飯の開
始時より炊飯量に応じた加熱パターンの制御を行うこと
ができず、最適なる加熱パターンによる炊飯ができな
い。また、加熱パターンを設定する際、複数の温度セン
サーによる室温および水温の検出などが行われるが、検
出手段としてのセンサーの数に応じて加熱パターンも多
くなるため、マイクロコンピュータ内のROMなどのメ
モリに全ての内容を記憶することができなくなり、大容
量のROMが必要となるばかりでなく、プログラムの内
容が複雑化して、開発期間の長期化やプログラムミスの
要因となる。
【0005】本発明は上記問題点を解決しようとするも
ので、炊飯開始時より最適なる加熱パターンにより炊飯
を行うことの可能な炊飯加熱方法を提供することを目的
とする。
【0006】また本発明は、加熱パターンを無用に多く
することなく最適なる加熱パターンにより炊飯を行うこ
との可能な炊飯加熱方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の炊飯加
熱方法は、被炊飯物が収容される容器と、この容器の温
度を検出する容器温度検出手段と、前記容器を加熱する
容器加熱手段とを備え、炊飯開始後、前記容器加熱手段
を通電した後でこの容器加熱手段を所定時間断電するひ
たし炊き第1段階を行ない、炊き上がり重量比の異なる
複数の炊飯コースより選択された炊飯コースと、前記容
器温度検出手段により検出した炊飯開始直後の初期水温
と、前記容器温度検出手段により検出された前記ひたし
炊き第1段階での前記容器加熱手段の断電後における最
高温度と該ひたし炊き第1段階の終了時の温度との差に
基づいて判定される炊飯量とに応じて、ひたし炊き第2
段階以降の加熱パターンを選択するものである。
【0008】また、請求項2に記載の炊飯方法は、前記
炊飯コースがかため,ふつう,やわらかめの3コース、
前記初期水温が低め,ふつう,高めの3通り、また前記
炊飯量が少なめ,中間,多めの3段階からなり、これら
の各要素の組み合わせからなる27通りの入力に対し前
記加熱パターンを有するものである。
【0009】
【作用】請求項1の炊飯方法により、加熱パターンは
飯コースと、炊飯開始後に検出される初期水温と、炊飯
開始後、ひたし炊き第1段階での容器加熱手段の断電後
における最高温度とひたし炊き第1段階の終了時の温度
との差に基づいて判定される炊飯量によって決定される
ため、ひたし炊き第2段階以降は最適なる加熱パターン
で容器加熱手段による加熱制御が行なわれ、ほぼ炊飯動
作の初期から選択された炊飯コースに応じた加熱制御が
行われる。しかも、ひたし炊き第1段階での容器加熱手
段の断電後、容器温度検出手段の検出温度が下降に転じ
てからの最高温度とひたし炊き第1段階の終了時の温度
との差に基づいて炊飯量を判定するため、容器の余熱で
はなく容器内の被炊飯物の影響を受けた炊飯量の判定を
行なうことができる。
【0010】また、請求項2の炊飯方法により、炊飯コ
ースと、初期水温と、炊飯量に応じた27通りの入力に
対して、各加熱パターンが設定されるため、途中で必要
以上に加熱パターンを増やす必要がなくなる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の一実施例につき、図1乃至図
12に基づいて説明する。炊飯器の断面図を示す図1に
おいて、1は上面を開口した器本体で、この器本体1は
内ケース2および外ケース3などからなり、これら内ケ
ース2および外ケース3間にグラスウールなどの断熱材
4が設けられる。また、5は内ケース2の最下部に設け
られたアルミニウム製の反射板であり、この反射板5の
上部に位置して、被炊飯物を収容する上面を開口した有
底筒状の容器6が内ケース2に対し挿脱自在に収容され
る。7は蓋体であり、前記器本体1の上面開口部を開閉
する外蓋8と、この外蓋8の下側に設けられた蓋枠9
と、容器6の上面開口部を開閉する蓋下面板10とからな
る。そして、外蓋8と蓋下面板10との間には断熱材11が
設けられる。蓋体7は、その図示右側に位置するヒンジ
12により器本体1に回転自在に支持されるとともに、ヒ
ンジ12に設けられたスプリング13により常時開方向へ付
勢される。これに対し、器本体1の図示左側には、蓋体
7に係脱しこの蓋体7をスプリング13の付勢に抗して閉
状態に保持するクランプ14が軸着される。
【0012】15は前記反射板5の上部において、容器6
の下方に位置して設けられた容器加熱手段たる炊飯ヒー
タであり、シーズヒータなどの電熱ヒータによって構成
される。また、内ケース2の外面上部にはコード状のヒ
ータからなる胴ヒータ16が備えられる。さらに、17は蓋
下面板10を加熱する蓋ヒータであり、蓋下面板10の上部
に設けられる。これら各ヒータ15,16,17は図示しない
トライアックやリレーなどを介して、それぞれ独立して
通断電制御される。そして、蓋体7の閉蓋状態におい
て、蓋ヒータ17からの熱が蓋下面板10を介して容器6内
に直接放射されるようになっている。
【0013】18は前記内ケース2内の最下部略中央に設
けられ、容器6の外面温度を検出する容器温度検出手段
たる容器センサである。この容器センサ18は、上下動自
在の感熱板19にサーミスタ20を内蔵したものであり、感
熱板19は容器6の外側下面を圧接するように、コイルば
ね21によって常時上方向に付勢される。また、22はサー
ミスタなどの感熱素子からなる容器上部空間温度検出手
段たる蓋センサであり、これは蓋ヒータ17の近傍におい
て容器6の上部空間の温度を検出して、蒸気の発生を検
知するものである。一方、外ケース3の下面には、電源
コード23を巻回すコードリール24が設けられる。25は内
ケース2と外ケース3との間に位置して器本体1の側部
に設けられる回路基板であり、この回路基板25に制御回
路ユニット26が搭載される。また、外ケース3の外側面
上部には、ユニット化された表示操作パネル27が設けら
れる。
【0014】また、図2は表示操作パネル27の要部を示
し、同図において、28は複数の炊飯コースより好みの炊
飯コースを選択する炊飯コース設定手段としての炊きわ
けスイッチである。この炊きわけスイッチ28の近傍には
LCD表示部29が設けられ、炊きわけスイッチ28を押圧
操作する毎にLCD表示部29の表示が移動して、白米や
わらかめ,白米ふつう,白米かため・すし,はや炊き,
炊きこみ・玄米,おかゆの炊飯コースが選択されるよう
になっている。
【0015】図3は電気的構成を示すブロック図であ
り、31は前記容器センサ18および蓋センサ22とともに温
度検出手段を構成するA/D変換器であり、検出温度に
応じた信号を出力する。32は制御回路ユニット26を構成
するマイクロコンピュータからなる炊飯制御手段であ
り、これは周知のように制御部たるCPU33,計時手段
34,ROMなどのメモリ35,入力回路36,出力回路37な
どを有する。また、38は入力回路36に接続された前記炊
きわけスイッチ28などからなる操作部である。一方、39
は入力回路36とCPU33との間に設けられた複数の加熱
パターンを有する加熱量設定手段であり、前記容器セン
サ18からの検出信号と炊きわけスイッチ28により設定さ
れた炊飯コースとに応じて適性な加熱量の加熱パターン
を選択し、CPU33に出力する。そして、この加熱量設
定手段39からの加熱パターンと、CPU33に保有された
プログラムに従って、駆動回路40を介して炊飯ヒータ1
5,胴ヒータ16および蓋ヒータ17が通断電制御されると
ともに、別の駆動回路41を介してLCD表示部29などか
らなる表示部42が駆動制御される。
【0016】図4は加熱量設定手段39周辺の内部構成を
示すブロック図である。同図において、51は容器センサ
18の検出信号に基づいて、炊飯開始直後における容器6
内の水温を検出する初期水温検出手段である。また、52
はひたし炊き中における炊飯ヒータ15の加熱停止後に容
器センサ18の温度降下を検出して、容器6内の炊飯量を
判定する炊飯量検出手段であり、この炊飯量検出手段52
および初期水温検出手段51からの検出結果が加熱パター
ン決定手段53に伝達される。加熱パターン決定手段53は
後述する複数の加熱パターンを内蔵し、初期水温検出手
段51および炊飯量検出手段52による検出結果と、炊きわ
けスイッチ28により設定される炊きわけ条件とに基づ
き、好ましい炊き上げ状態が得られる加熱パターンを選
択する。
【0017】次に、上記構成の炊飯器に関し、炊飯開始
から保温に至る各制御の詳細を、容器センサ18および蓋
センサ22の温度変化と各ヒータ15,16,17の通断電との
関係を示す図5および図6のグラフに基づいて説明す
る。炊飯行程の最初には合計15分間のひたし炊きが行
われるが、このひたし炊きは容器6内に収容された米の
吸水を促進するために行われる。そして、第1段階とし
て、炊飯ヒータ15を3分通電した後、加熱停止期間とし
て5分断電する制御が行われる。ひたし炊きの開始時に
は、初期水温検出手段51により容器センサ18を介して容
器6内の初期水温Tn1が検出される。この初期水温T
n1の検出は、図7のグラフに示すように炊飯開始後2
0秒後に行われる。また、炊飯量検出手段52は、炊飯ヒ
ータ15の断電後の加熱停止期間中における容器センサ18
の最高温度Pmax と、ひたし炊き第1段階終了時である
炊飯ヒータ15の断電より5分経過後の温度Pとの温度差
(Pmax −P)に基づいて炊飯量Fin1を検出し、容器
6内の炊飯量Fin1を、例えば大,中,小の三段階に判
定する。このとき、炊飯ヒータ15は断電しても容器6の
余熱によって容器センサ18の検出温度Tnは一時的に上
昇を続けるが、容器6内の被炊飯物の影響を受けて次第
にこの検出温度Tnは下降に転じる。したがって、温度
差(Pmax −P)が小さいほど容器6内の炊飯量Fin1
は少ないと判定され、逆に、温度差(Pmax −P)が大
きいほど容器6内の炊飯量Fin1は多いと判定されるこ
とになる。
【0018】加熱パターン決定手段53は、初期水温検出
手段51により検出された初期水温Tn1と、炊飯量検出
手段52により判定された容器6内の炊飯量Fin1と、炊
きわけスイッチ28で選択された炊飯コースとに基づい
て、ひたし炊き第2段階以降における炊飯ヒータ15の加
熱パターンを決定する。特に、炊きわけスイッチ28で選
択される炊飯コースの中で、白米やわらかめ,白米ふつ
う,白米かための各コースは、同一の白米炊き条件の下
で炊き上がり状態のみがそれぞれ異なるように設定され
るものであり、ご飯の重量に対する米の重量、すなわ
ち、炊き上がり重量比が異なるように、各コース毎に加
熱パターンが設定されている。各コース毎の加熱パター
ンは、白米やわらかめの場合炊き上がり重量比が2.3
0乃至2.35,白米ふつうの場合炊き上がり重量比が
2.28乃至2.32,白米かための場合炊き上がり重
量比が2.25乃至2.30程度に炊き上がるように設
定される。また、炊き上がり状態は炊飯前の米の量に対
する水の量で左右されるため、炊き上がり重量比がやわ
らかめ≧ふつう≧かためで、かつ、やわらかめ>かため
となるように炊飯コースを設定してもよい。
【0019】こうして加熱パターン決定手段53により決
められた加熱パターンに基づいて、ひたし炊き第2段階
以降の加熱制御が行われるが、白米やわらかめ,白米ふ
つう,白米かための各炊き上がり状態に応じて設定され
る理想的な加熱パターン(教師パターン)は、図8およ
び図9における各炊飯コース毎の炊飯ヒータ15の通断電
によって示される。ひたし炊き第2段階は7分間行わ
れ、やわらかめ,ふつう,かための各炊飯コースとも
に、炊飯ヒータ15は初期水温Tn1および炊飯量Fin1
に応じて0乃至5分間通電され、その後実質的な炊飯行
程に移行する。
【0020】炊飯行程では、まず加熱制御区間におい
て、前記加熱パターン決定手段53により決められた加熱
パターンに応じて、炊飯ヒータ15のみが67乃至100
%の通電率で制御される。炊飯ヒータ15に対する通電率
は各炊飯コースに応じて異なり、例えば、やわらかめの
炊飯コースを設定した場合には炊飯ヒータ15の通電率を
67乃至80%に設定して、容器6をゆっくりと昇温さ
せ、かための炊飯コースを設定した場合には炊飯ヒータ
15の通電率を89乃至100%に設定して、容器6をす
ばやく昇温させる。また、ふつうの炊飯コースを設定し
た場合には炊飯ヒータ15の通電率を83乃至88%に設
定して、容器6をほどよく昇温させる。そして、容器セ
ンサ18の検出温度TnがTn3=90℃以上で、かつ、
蓋センサ22の検出温度TfがTf1=80℃以上の所定
温度条件に達した場合、あるいは、蓋センサ22の検出温
度Tfが95℃以上で、かつ、この状態が2分継続した
場合に、炊飯ヒータ15を断電して容器6に対する加熱を
一時的に停止する。
【0021】前記制御加熱後における容器6の加熱停止
期間は各加熱パターン毎に異なり、その値はやわらかめ
の炊飯コースの場合130乃至170秒、ふつうの炊飯
コースの場合110乃至150秒、かための炊飯コース
の場合90乃至130秒に設定される。次いで、この加
熱停止期間が終了すると、安定制御の第1段階として所
定時間、例えば3分間加熱量を減じた状態で、炊飯ヒー
タ15が40乃至57%の通電率で通断電制御され、容器
6は再度加熱される。このときの炊飯ヒータ15の通電率
は炊飯コースに応じて異なり、やわらかめの炊飯コース
では40乃至50%、ふつうの炊飯コースでは40乃至
57%、かための炊飯コースでは57%となる。その
後、安定制御の第2段階として炊飯ヒータ15は所定の通
電率で通断電制御されるが、このときの通電率は、やわ
らかめの炊飯コースでは14乃至60%、ふつうの炊飯
コースでは40乃至67%、かための炊飯コースでは5
4乃至71%に設定される。そして、沸騰検知以後の炊
飯ヒータ15に対する通断電制御によって、やわらかめの
炊飯コースでは蒸発を少なめにしたじっくりとした加
熱、ふつうの炊飯コースでは炊く量に応じた適正な加
熱、かための炊飯コースでは強加熱で強めの加熱が行わ
れる。こうした特徴の加熱制御は、加熱パターン決定手
段53内に記憶された最適なる加熱パターンの中から選択
される。
【0022】一方、前記炊飯ヒータ15の断電時に蓋セン
サ22による沸騰検知を行い、炊飯制御手段32は蓋センサ
22の検出温度Tfが100秒間で0乃至2℃の温度上昇
率になった時点での容器センサ18の検出温度Tnを基準
温度STとして設定する。そして、この基準温度STが
設定されると、胴ヒータ16および蓋ヒータ17は炊飯ヒー
タ15と同時にオンし、その後10秒経過するとオフする
動作を繰り返すようになる。
【0023】前記安定制御の第2段階以後、炊飯制御手
段32は基準温度STと容器センサ18の検出温度Tnとを
比較し、検出温度Tnが基準温度STに対し4乃至8℃
上昇した時点または所定の温度に達した時点をドライア
ップ状態と判断して、炊飯ヒータ15および胴ヒータ16を
一旦断電する。ドライアップ状態の判断基準は炊飯コー
スによって異なり、やわらかめの炊飯コースでは、検出
温度Tnが基準温度STよりも4℃上昇した場合、ある
いは、110℃を上限とした102乃至110℃の範囲
となる。また、ふつうの炊飯コースでは、検出温度Tn
が基準温度STよりも6℃上昇した場合、あるいは、1
12℃を上限とした104乃至112℃の範囲がドライ
アップ状態の判断基準となり、さらに、かための炊飯コ
ースでは、検出温度Tnが基準温度STよりも8℃上昇
した場合、あるいは、114℃を上限とした106乃至
114℃の範囲がドライアップ状態の判断基準となる。
同時に、ドライアップ状態が検出されると、蓋下面板10
の下面における結露を防止するために、蓋センサ22の検
出温度Tfが容器6内の被炊飯物の温度よりもわずかに
高い103℃未満の場合に蓋ヒータ17を通電し、一方、
蓋センサ22の検出温度Tfが106℃以上の場合に蓋ヒ
ータ17を断電する動作を20分間繰り返す。
【0024】一方、炊飯ヒータ15はドライアップ状態検
出後に一旦0乃至4分間断電するが、この断電時間は炊
飯コースによって異なり、やわらかめの炊飯コースの場
合3乃至4分、ふつうの炊飯コースの場合1乃至2分、
かための炊飯コースの場合0乃至1分に設定される。そ
の後、容器6内の余熱により容器センサ18の検出温度T
nが基準温度STよりも9乃至14℃高くなった場合、
あるいは所定温度に達すると、むらしに移行する。この
むらしへの移行温度は炊飯コースによって異なり、やわ
らかめの炊飯コースでは、検出温度Tnが基準温度ST
よりも9℃上昇した場合、あるいは、115℃を上限と
した107乃至115℃の範囲となる。また、ふつうの
炊飯コースでは、検出温度Tnが基準温度STよりも1
1℃上昇した場合、あるいは、117℃を上限とした1
09乃至117℃の範囲がむらしへの移行温度となり、
さらに、かための炊飯コースでは、検出温度Tnが基準
温度STよりも14℃上昇した場合、あるいは、120
℃を上限とした112乃至120℃の範囲がむらしへの
移行温度となる。むらし行程では、炊飯ヒータ15は再び
5乃至30秒間通電し、13分間の二度炊き動作を行
う。この炊飯ヒータ15の通電時間は、やわらかめおよび
ふつうの炊飯コースの場合5乃至20秒、かための炊飯
コースの場合10乃至30秒となる。そして、ドライア
ップ状態検出後の炊飯ヒータ15に対する通断電制御によ
って、やわらかめの炊飯コースでは少なめの加熱で長め
のむらし、ふつうの炊飯コースでは適正加熱でふっくら
としたむらし、かための炊飯コースでは強めの加熱でし
ゃきっとしたむらしが行われる。
【0025】こうして所定時間のむらしが終了すると保
温行程に移行し、蓋センサ22の検出温度Tfが70+3
℃未満の場合に蓋ヒータ17を通電し、検出温度Tfが7
0+3℃以上の場合に蓋ヒータ17を断電するとともに、
容器センサ18の検出温度Tnが70℃未満の場合に胴ヒ
ータ16を通電し、検出温度Tnが70℃以上の場合に胴
ヒータ16を断電する制御を行なう。
【0026】次に、上記炊飯行程時における加熱パター
ンに関してさらに詳述する。前記加熱パターン決定手段
53は、図10乃至図12に示す複数の加熱パターンを有
する。この加熱パターンは炊きわけスイッチ28で設定さ
れるやわらかめ,ふつう,かための3つの炊飯コース
と、9℃以下(低め),10乃至25℃(ふつう),2
6乃至44℃(高め)の3通りに分割された初期水温T
n1と、少量(少なめ),中間量(中間),大量(多
め)の3段階に分割された炊飯量Fin1との3要素によ
って組み合わされた27通りの各入力に対し、図8およ
び図9における炊飯ヒータ15の加熱制御に示す理想的な
加熱パターンに基づいて設定されるものである。そし
て、ひたし炊き第2段階における炊飯ヒータ15のオン/
オフ時間,加熱制御区間における炊飯ヒータ15のオン
/オフサイクル,前記加熱停止時間たる加熱制御後の
炊飯ヒータ15の断電時間,安定制御第1段階における
炊飯ヒータ15のオン/オフサイクル,安定制御第2段
階における炊飯ヒータ15のオン/オフサイクル,ドラ
イアップ状態検出時における炊飯ヒータ15のオフ温度
,むらし移行温度,ドライアップ状態検出時におけ
る炊飯ヒータ15の断電後のオフ時間,むらし時におけ
る炊飯ヒータのオン時間のそれぞれについて、設定条
件が決められており、この図8乃至図10における炊き
わけコース,初期水温Tn1,炊飯量Fin1の各入力情
報と、この入力情報に対応する加熱パターンは、データ
テーブル化されてマイクロコンピュータのROMなどに
記憶される。例えば、やわらかめの炊飯コースが設定さ
れた場合、初期水温Tn1が9℃以下で、炊飯量Fin1
が少量の各入力条件下では、出力として加熱パターン1
が設定される。この場合、ひたし炊き第1段階の後、炊
飯ヒータ15を60秒通電/360秒断電させながら、7
分間のひたし炊き第2段階を行う()。続いて、炊飯
ヒータ15を60秒通電/30秒断電させる加熱制御を行
い()、容器センサ18の検出温度TnがTn3=90
℃以上で、かつ、蓋センサ22の検出温度TfがTf1=
80℃以上になると、炊飯ヒータ15を170秒間停止さ
せる()。その後、安定制御第1段階において、炊飯
ヒータ15を20秒通電/30秒断電させ()、かつ、
安定制御第2段階において、炊飯ヒータ15を15秒通電
/30秒断電させながら()、容器6に対する加熱を
行う。そして、容器センサ18の検出温度Tnが基準温度
STよりも4℃高くなった場合、あるいは、110℃以
上の場合に()、炊飯ヒータ15を180秒断電させて
加熱を停止し()、炊き上げ制御行程時において、検
出温度Tnが基準温度STよりも9℃高くなるか、ある
いは、115℃以上になると()、むらしに移行す
る。このむらし行程では、炊飯ヒータ15を5秒通電する
二度炊き加熱を行う()。
【0027】加熱パターン決定手段53の出力である加熱
パターンは、27通りの入力に対してそれぞれ設定され
るが、例えば、やわらかめの炊飯コース,10乃至25
℃の初期水温Tn1,少量の炊飯量Fin1の入力に対す
る加熱パターンは、やわらかめの炊飯コース,26乃至
44℃の初期水温Tn1,少量の炊飯量Fin1の入力に
対する加熱パターンと同じ加熱パターン4に設定され
る。これは、炊飯量Fin1が少量の場合、水温が10℃
以上で44℃以下の場合と同一の加熱パターンであって
も、十分に好ましい炊き上がり状態が得られるためであ
り、加熱パターン12および加熱パターン20もそれぞ
れ共用されている。結果的に、加熱パターン決定手段53
には、27通りの入力に対して、24の加熱パターンが
出力される構成となっている。
【0028】以上のように上記実施例によれば、加熱パ
ターンは、予め炊きわけスイッチ28により設定された炊
飯コースと、炊飯開始後8分間のひたし炊き第1段階に
おいて検出される初期水温Tn1と、炊飯開始後、容器
センサ18が検出するひたし炊き第1段階での炊飯ヒータ
15の断電後における最高温度Pmaxとひたし炊き第1段
階の終了時の温度Pとの差に基づいて判定される炊飯量
Fin1によって決定されるため、ひたし炊き第2段階
は最適なる加熱パターンで炊飯ヒータ15による加熱制
御を行うことが可能となる。したがって、ほぼ炊飯の初
期から設定された炊飯コースに応じたねらい通りの加熱
パターンにより、容器6内のご飯を炊き上げることが可
能となる。しかも、ひたし炊き第1段階での炊飯ヒータ
15の断電後、容器センサ18の検出温度Tnが下降に転
じてからの最高温度Pmaxとひたし炊き第1段階の終了
時の温度Pとの差に基づいて炊飯量を判定するため、容
器6の余熱ではなく容器6内の被炊飯物の影響を受けた
炊飯量の判定を行なうことができる。
【0029】さらに、初期水温Tn1および炊飯量Fin
1の判定は、いずれも容器6の温度を検出する容器セン
サ18からの温度情報に基づいて行われるため、単一の容
器センサ18で加熱パターンを設定することができる。ま
た、炊飯制御手段32内のROMには、3つの炊飯コース
と、3通りの初期水温Tn1と、3段階の炊飯量Fin1
との3要素を組み合わせた27通りの入力情報と、これ
に対応した24の加熱パターンが記憶されており、必要
以上の無用な加熱パターンを増やす必要がない。したが
って、開発にあたっては各データテーブルの内容を修正
するだけの簡単な処理で、プログラムの変更を行うこと
が可能となり、開発期間の長期化やこれに伴うプログラ
ムミスの要因を一掃することができる。
【0030】また、従来の炊飯器は、炊き上がり状態の
違いを区分する指標が不明確で、使用者側で炊きわけ機
能の使い分けを容易に理解することができない虞れがあ
ったが、本実施例では、白米炊き上がり状態の違いを、
やわらかめのご飯の場合2.30乃至2.35,白米ふ
つうの場合2.28乃至2.32,白米かための場合
2.25乃至2.30の炊き上がり重量比を指標とし
て、ご飯の含水率の異なる炊きわけコースとして炊きわ
けスイッチ28により選択することができるため、使用者
側は炊きわけ機能の使い分けを容易に理解することがで
き、これを有益に利用することが可能となる。
【0031】さらに、各炊飯コースに対応した予め考え
られる理想的な加熱パターン(教師パターン)を参考に
して、この中から炊飯コースと、初期水温Tn1と、炊
飯量Fin1とに応じた最適なる加熱パターンが設定され
るため、初期水温のばらつきや炊飯量の変動があって
も、炊きわけスイッチ28にて選択された炊飯コースに対
して、一層ねらい通りの炊き上がり状態を得ることがで
きる。
【0032】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、本発明の要旨の範囲において種々の変形実
施が可能である。例えば、図10および図12に示す加
熱パターンはあくまでもその一例にすぎず、容器に対す
る加熱量など、種々の条件を考慮して適宜変更すればよ
い。
【0033】
【発明の効果】請求項1に記載の炊飯加熱方法は、被炊
飯物が収容される容器と、この容器の温度を検出する容
器温度検出手段と、前記容器を加熱する容器加熱手段と
を備え、炊飯開始後、前記容器加熱手段を通電した後で
この容器加熱手段を所定時間断電するひたし炊き第1段
階を行ない、炊き上がり重量比の異なる複数の炊飯コー
スより選択された炊飯コースと、前記容器温度検出手段
により検出した炊飯開始直後の初期水温と、前記容器温
度検出手段により検出された前記ひたし炊き第1段階で
の前記容器加熱手段の断電後における最高温度と該ひた
し炊き第1段階の終了時の温度との差に基づいて判定さ
れる炊飯量とに応じて、ひたし炊き第2段階以降の加熱
パターンを選択するものであり、炊飯開始時より最適な
る加熱パターンにより炊飯を行うことの可能な炊飯加熱
方法を提供できる。
【0034】また、請求項2に記載の炊飯加熱方法は、
前記炊飯コースがかため,ふつう,やわらかめの3コー
ス、前記初期水温が低め,ふつう,高めの3通り、また
前記炊飯量が少なめ,中間,多めの3段階からなり、こ
れらの各要素の組み合わせからなる27通りの入力に対
し前記加熱パターンを有するものであり、加熱パターン
を無用に多くすることなく最適なる加熱パターンにより
炊飯を行うことの可能な炊飯加熱方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す炊飯器の断面図であ
る。
【図2】同上表示操作パネルの要部を示す正面図であ
る。
【図3】同上電気的構成を示すブロック図である。
【図4】同上加熱量設定手段周辺の構成を示すブロック
図である。
【図5】同上炊飯開始から加熱制御に至る過程を、各セ
ンサの温度変化と各ヒータの通断電により示したグラフ
である。
【図6】同上沸騰検知から保温に至る過程を、各センサ
の温度変化と各ヒータの通断電により示したグラフであ
る。
【図7】同上ひたし炊き第1段階における容器センサの
温度変化と炊飯ヒータの通断電とを示すグラフである。
【図8】同上理想的な加熱パターンによる炊飯開始から
加熱制御に至る過程を、各センサの温度変化と炊飯ヒー
タの通断電により示したグラフである。
【図9】同上理想的な加熱パターンによる沸騰検知から
保温に至る過程を、各センサの温度変化と炊飯ヒータの
通断電により示したグラフである。
【図10】同上炊き上げ状態をやわらかめに設定した場
合の加熱パターンの一例を示す図である。
【図11】同上炊き上げ状態をふつうに設定した場合の
加熱パターンの一例を示す図である。
【図12】同上炊き上げ状態をかために設定した場合の
加熱パターンの一例を示す図である。
【符号の説明】
6 容器 15 炊飯ヒータ(容器加熱手段) 18 容器センサ(容器温度検出手段) 32 炊飯制御手段 28 炊きわけスイッチ(炊飯コース設定手段) 51 初期水温検出手段 52 炊飯量検出手段 53 加熱パターン決定手段

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被炊飯物が収容される容器と、この容器
    の温度を検出する容器温度検出手段と、前記容器を加熱
    する容器加熱手段とを備え、炊飯開始後、前記容器加熱
    手段を通電した後でこの容器加熱手段を所定時間断電す
    るひたし炊き第1段階を行ない、炊き上がり重量比の異
    なる複数の炊飯コースより選択された炊飯コースと、前
    記容器温度検出手段により検出した炊飯開始直後の初期
    水温と、前記容器温度検出手段により検出された前記ひ
    たし炊き第1段階での前記容器加熱手段の断電後におけ
    る最高温度と該ひたし炊き第1段階の終了時の温度との
    差に基づいて判定される炊飯量とに応じて、ひたし炊き
    第2段階以降の加熱パターンを選択することを特徴とす
    る炊飯加熱方法。
  2. 【請求項2】 前記炊飯コースがかため,ふつう,やわ
    らかめの3コース、前記初期水温が低め,ふつう,高め
    の3通り、また前記炊飯量が少なめ,中間,多めの3段
    階からなり、これらの各要素の組み合わせからなる27
    通りの入力に対し前記加熱パターンを有することを特徴
    とする請求項1に記載の炊飯加熱方法。
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