JP3286807B2 - 真空弁の制御装置 - Google Patents

真空弁の制御装置

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JP3286807B2
JP3286807B2 JP00822896A JP822896A JP3286807B2 JP 3286807 B2 JP3286807 B2 JP 3286807B2 JP 00822896 A JP00822896 A JP 00822896A JP 822896 A JP822896 A JP 822896A JP 3286807 B2 JP3286807 B2 JP 3286807B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空式下水収集シ
ステムの流出管に介装された真空弁の開閉を制御する作
動する真空弁の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、真空式下水収集システムの流
出管に介装された真空弁の開閉動作を制御する真空弁の
制御装置として、特公平6−37787号公報に示すも
のが知られている。この制御装置は、図9および図10
に示すように、真空弁2の上流側の吸込管3の入口を汚
水マス1内に臨ませ、真空弁2の下流側の流出管5の出
口を、真空ポンプによってなる吸引手段6を備えた下水
収集場7に開口し、汚水マス1内に水位検知管8を設置
して、汚水マス1内の水位変動に伴う水位検知管8内の
圧力変化によって水位を検出し、汚水マス4内の水位が
上限HWLまで上昇した場合の水位検知管8内の高い圧
力をダイアフラム4を介して真空弁の制御装置9に導く
ことで該制御装置9を作動させ、真空弁2の上部バネ室
2Aに流出管5側の負圧(真空圧)を負荷させて真空弁
2を弁開させる。これにより、汚水マス1内の汚水に作
用している大気圧と下水収集場7側との差圧により、汚
水マス1中の汚水、つまり、自然流下管11から汚水マ
ス1に流下してきた家庭排水などの汚水は、吸込管3→
開弁している真空弁2下部の汚水流通室2C→流出管5
の経路で下水収集場7側に吸引排出される。
【0003】一方、汚水マス1内の水位が下限LWLま
で低下した場合の水位検知管8内の圧力降下をダイアフ
ラム4を介して真空弁の制御装置9に導くことで制御装
置9を作動させ、給気管10から導入される大気圧を真
空弁2の上部バネ室2Aに負荷して真空弁2を弁閉させ
る。
【0004】従来の真空弁の制御装置9は第1センサ室
12、第2センサ室13、第1コントローラ室14、第
2コントローラ室15および第3コントローラ室16を
備えている。
【0005】第1センサ室12にはセンサポート17が
設けられ、このセンサポート17は、センサチューブ1
7Aおよびダイアフラム4を介して水位検知管8に連通
している。第1センサ室12と第2センサ室13は弾性
材料によってなるセンサダイアフラム18によって区画
されており、第2センサ室13と第1コントローラ室1
4の隔壁にポート19が形成され、このポート19を介
して第2センサ室13と第1コントローラ室14が互い
に連通している。また、ポート19は図示していないス
プリングの付勢により閉じ方向に傾くシーソ弁20によ
り、図9のように閉じられた待機状態、つまり、真空弁
2の弁閉状態になっている。このシーソ弁20は、第2
センサ室13内に設けられ、そのレバ−部はセンサダイ
アフラム18に対応している。
【0006】第2センサ室13は、金属フイルタ21お
よびオリフィス22を介装した大気圧通路23を介して
大気圧ポート24に連通している。大気圧ポート24に
は給気管10から大気が導入される。この給気管10
は、T型継手25の上流側に位置して大気中に開口する
1次給気管10Aと、T型継手25の下流側に位置して
大気圧ポート24に接続される2次給気管10Bおよび
T型継手25の下流側に位置して真空弁2の上部バネ室
2Aと下部の汚水流通室2Cの間の中間室2Bに接続さ
れる2次給気管10Cとを備え、中間室2Bが常に大気
圧になるようにしている。前記真空弁2の弁閉状態で
は、シーソ弁20によりポート19は閉じられているの
で、真空弁2の弁閉状態において第2センサ室13の大
気圧が維持される。
【0007】第1コントローラ室14と第2コントロー
ラ室15は、弾性材料によってなるダイアフラム28に
よって区画されており、第2コントローラ室15と第3
コントローラ室16はチューブ31によって互いに連通
している。
【0008】前記大気圧ポート24は、第3コントロー
ラ室16に隣接する室32を介して真空弁2への大気圧
・真空圧供給ポート33に連通しており、大気圧・真空
圧供給ポート33と真空弁2の上部バネ室2Aは通気管
34を介して互いに連通している。また、第3コントロ
ーラ室16と室32との隔壁を貫通して、弁シート35
が取付けられている。
【0009】軸受29と弁シート35には三方弁36の
弁棒36Aが貫通しており、弁棒36Aの基端部がダイ
アフラム28に固着されている。三方弁36のバルブヘ
ッド36Bは大気圧ポート24の弁シート24Aと前記
弁シート35に対応し、ダイアフラム28と弁棒36A
に外嵌されて第2コントローラ室15内に位置している
スラスト板37との間に圧縮スプリング38が介装さ
れ、ダイアフラム28を図5の待機位置に維持し、大気
圧・真空圧供給ポート33と第3コントローラ室16を
遮断するとともに大気圧ポート24と連通し、真空弁2
の上部バネ室2Aを大気圧にして、真空弁2を閉状態に
している。
【0010】第1コントローラ室14はチューブ27、
31を介して第3コントローラ室16に通じている。チ
ューブ27とチューブ31の間には、可変ニードルバル
ブ30が設けられ、この可変ニードルバルブ30の開度
調整によって、第1コントローラ室14における流体の
流速が変化し、第2センサ室13のポート19が閉じた
後に第1コントローラ室14の圧力が第3コントローラ
室16と同じになるまでの時間調整を行う役目を果たし
ている。
【0011】第3コントローラ室16には真空ポート3
9が形成され、この真空ポート39は真空ライン40を
介して流出管5における真空弁2の直下流位置に連通し
ており、真空ライン40には、流出管5方向への流れを
許容する逆止弁41が介設されている。
【0012】このように構成された真空弁の制御装置9
の作動を説明する。汚水マス4内の水位が上限HWLま
で上昇した場合の水位検知管8内の高い圧力は、ダイア
フラム4およびセンサチューブ17Aを介して図9の真
空弁の制御装置9のセンサポート17に導かれ、第1セ
ンサ室12内の圧力が高くなる。これにより、センサダ
イアフラム18は膨出してシーソ弁20のレバー部を押
圧し、図示していないスプリングの付勢に抗してシーソ
弁20を図10のように弁開させ、ポート19を開放す
る。これにより、第2センサ室13と第1コントローラ
室14は連通し、大気圧ポート24、オリフィス22を
介装した大気圧通路23、第2センサ室13を介して第
1コントローラ室14に進入した大気圧および第1コン
トローラ室14と第2コントローラ室15の差圧によ
り、ダイアフラム28および三方弁36を前進させる。
【0013】ダイアフラム28および三方弁36が前進
することで、バルブヘッド36Bが弁シート35を開放
し、弁シート24Aを閉じる。これにより、真空弁2下
流側の真空圧は、真空ライン40、真空ポート39、第
3コントローラ室16、室32、大気圧・真空圧供給ポ
ート33および通気管34の経路で真空弁2の上部バネ
室2Aに負荷され、真空弁2を弁開させる。その結果、
汚水マス1内の汚水は、吸込管3→開弁している真空弁
2下部の汚水流通室2C→流出管5の経路で下水収集場
7側に吸引排出される。
【0014】汚水マス1内の水位が下限LWLまで低下
した場合の水位検知管8内の圧力降下は、ダイアフラム
4およびセンサチューブ17Aを介して図10の真空弁
の制御装置9のセンサポート17に導かれセンサダイア
フラム18に影響する。これにより、センサダイアフラ
ム18はシーソ弁20のレバー部から離れる。この場
合、シーソ弁20は図示していないスプリングの付勢に
よりポート19の閉塞を維持して、第2センサ室13の
大気圧が第1コントローラ室14に導入されるのを防止
している。第1コントローラ室14と第2コントローラ
室15の圧力が均一化されるのと同時に、圧縮スプリン
グ38の作用によって、ダイアフラム28および三方弁
36は後退する。三方弁36の後退によって、大気圧ポ
ート24の弁シート24Aは再び開放され、大気圧ポー
ト24と室32は連通する。これにより、大気圧・真空
圧供給ポート33を介して真空弁2の上部バネ室2Aに
再び大気圧が導入され真空弁2を弁閉させる。第1コン
トローラ室14と第2コントローラ室15の圧力の均一
化により、三方弁36のバルブヘッド36Bは弁シート
35を閉じて、第3コントローラ室16を閉塞し、真空
圧が室32に導かれるのを防止する。ここで、第1コン
トローラ室14と第2コントローラ室15の真空圧は第
3コントローラ室16の真空圧と均一になる。
【0015】ところが、前記従来の真空弁の制御装置で
は、真空弁2を弁閉させようとして、圧縮スプリング3
8の作用によってダイアフラム28および三方弁36を
後退させた直後に、真空弁2のの上部バネ室2Aの真空
および室32の真空が大気圧通路23を介して第2セン
サ室13に伝わり、図9の状態に戻っているセンサダイ
アフラム18を図10のように膨出させるように作用す
る。これにより、汚水マス4内の水位が下限LWLであ
るのにもかかわらず、あたかも上限HWLまで上昇して
るかのように真空弁2を弁開させる。つまり、一旦、閉
じ方向に移動するか、あるいは一旦閉じた真空弁2を再
び弁開させるダブルサイクリング現象と称される誤動作
を生じる虞れを有している。したがって、このような誤
動作の発生を回避するために、大気圧通路23にオリフ
ィス22を介装し、このオリフィス22の絞り作用によ
って真空弁2の弁閉の影響が伝わり難いように工夫され
ている。しかし、流出管5の真空圧が高い場合(概ね−
6mAqを超える)オリフィス22の絞り作用では不十
分となり前述の誤動作を生じる欠点がある。つまり、真
空圧がセンサダイアフラム18のバネ定数によって決ま
る所定の値を超えると、オリフィス22の絞り作用では
不十分となり、ダブルサイクリング現象と称される誤動
作を生じることになる。
【0016】また、オリフィス22の孔径は、前記誤動
作の発生を抑える目的で1mm前後のきわめて小径に設
定されているので、大気中に含まれている固体粒子や大
気中水蒸気の結露によって生じた水滴などによって塞が
れやすく、小径のオリフィス22が塞がれると、真空弁
2の弁閉が大幅に遅れるといった誤動作の原因になり、
このような誤動作が生じることで、真空ポンプによって
なる吸引手段6に不必要な負荷(空運転)をかけること
になるなどの欠点もある。
【0017】すなわち、従来の真空弁の制御装置は、真
空弁2上流側の汚水マス1と圧力的に連通し、かつ汚水
マス1内の所定の圧力に応答してシーソ弁20を開閉さ
せるセンサダイアフラム18を備えた制御圧切替機構部
Aと、三方弁36を取付けたダイアフラム28によって
区画される第1コントローラ室14と第2コントローラ
室15と、三方弁36を真空弁2の弁閉位置に位置決め
するスプリング38と、真空ポート39と、三方弁36
の作動により大気圧ポート24に連通して該大気圧ポー
ト24から導入される大気圧を真空弁2の上部バネ室2
Aに負荷して真空弁2を弁閉させ、かつ真空ポート39
に連通して前記負圧部の負圧を真空弁2の上部バネ室2
Aに負荷して真空弁2を弁開させる大気圧・真空圧供給
ポート33とを備えた三方向切替機構部Bが一体に構成
され、三方向切替機構部Bの圧力変化が制御圧切替機構
部Aに影響をおよぼすことになるので、ダブルサイクリ
ング現象と称される誤動作を生じるとともに、オリフィ
スが大気中に含まれている固体粒子や大気中水蒸気の結
露によって生じた水滴などによって塞がれやすく、オリ
フィスが塞がれると、真空弁の弁閉を大幅に遅らせる誤
動作の原因になり、真空ポンプによってなる吸引手段に
不必要な負荷をかける欠点を有していた。
【0018】さらに、従来の真空弁の制御装置では、汚
水マス4内の水位が上限HWLまで上昇したのにもかか
わらず、真空弁2が弁開しない異常状態や、汚水マス4
内の水位が上限HWLまで上昇して真空弁2が弁開し、
これにより汚水マス1内の水位が下限LWLまで低下し
たのにもかかわらず、真空弁2が弁閉しない異常状態を
検知する機能を有していない。しかも、河川等の障害物
を迂回するために、流出管5における真空弁2より下流
側に形成したリフト部に汚水が滞留して、流出管5を閉
塞させることで、汚水マス1内の水位に関係なくリフト
部と真空弁5の間の流出管5の真空度が徐々に低下する
異常状態の検知機能および異常状態を解消する機能をも
有していない。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】従来の真空弁の制御装
置は、制御圧切替機構部と、三方向切替機構部が一体に
構成され、三方向切替機構部の圧力変化が制御圧切替機
構部に影響をおよぼすことになるので、ダブルサイクリ
ング現象と称される誤動作を生じるとともに、オリフィ
スが大気中に含まれている固体粒子や大気中水蒸気の結
露によって生じた水滴などによって塞がれやすく、オリ
フィスが塞がれると、真空弁の弁閉を大幅に遅らせる誤
動作の原因になり、真空ポンプによってなる吸引手段に
不必要な負荷をかける欠点を有しているとともに、真空
弁の非弁開状態および非弁閉状態の検知機能を有してお
らず、しかも、流出管の閉塞により汚水マスの水位に関
係なく流出管の真空度が徐々に低下する異常状態の検知
機能と、この異常状態を解消する機能をも有していな
い。そこで、本発明は、ダブルサイクリング現象と称さ
れる真空弁の誤動作を無くすとともに、オリフィスの使
用を省略することで、オリフィスの詰まりが起因する誤
動作を無くして、吸引手段に不必要な負荷がかかるのを
回避すことのできるとともに、真空弁の非弁開状態およ
び非弁閉状態の検知機能をもたせ、かつ流出管の閉塞に
より汚水マスの水位に関係なく流出管の真空度が徐々に
低下する異常状態の検知機能と、この異常状態を解消す
る機能をもたせた真空弁の制御装置を提供することを目
的としたものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明は、真空弁上流側の汚水マス内の水位に対応
して内圧が変化する水位検知管と圧力的に連通し、かつ
該水位検知管内の所定の圧力に応答して制御弁を開閉さ
せる圧力センサを備えた制御圧切替機構部と、真空弁の
弁開位置と弁閉位置とを切替える三方弁と、この三方弁
を取付けたダイアフラムによって区画されるとともに、
大気圧ポートを介して大気と圧力的に連通する第1コン
トローラ室および第2コントローラ室と、三方弁を真空
弁の弁閉位置に位置決めする付勢手段と、真空弁を介装
した流出管における真空弁より下流側の負圧部に連通す
る真空ポートと、三方弁の作動により大気圧ポートに連
通して該大気圧ポートから導入される大気圧を真空弁の
作動室に負荷して真空弁を弁閉させ、かつ真空ポートに
連通して前記負圧部の負圧を真空弁の作動室に負荷して
真空弁を弁開させる大気圧・真空圧供給ポートとを備え
た三方向切替機構部とを具備する真空弁の制御装置にお
いて、前記三方向切替機構部を真空弁に固定し、前記制
御圧切換機構部を真空弁以外の位置に設置して、三方向
切替機構部と制御圧切換機構部を分離させるとともに、
前記制御弁を前記負圧部と第1コントローラ室とを連通
させる負圧通路に介設して、該制御弁の弁開時に負圧部
の負圧を第1コントローラ室に負荷して前記付勢手段の
付勢に抗して三方弁を真空弁の弁開位置に位置決めする
ように構成し、かつ前記流出管における真空弁の上流側
と下流側の差圧を検知する差圧スイッチと、前記圧力セ
ンサに連動して所定時間励起される第1のタイマーおよ
び前記差圧スイッチに連動して前記第1のタイマーより
も早く非励起状態になる第2のタイマーを前記制御圧切
替機構部に設け、第2のタイマーの励起終了時に差圧ス
イッチがONされ、第1のタイマーが非励起状態であれ
ば前記制御弁を所定の時間弁開させるように構成したこ
とを特徴としたものである。本発明によれば、三方向切
替機構部の圧力変化が制御圧切替機構部に影響すること
はない。また、オリフイスの使用を省略できる。しか
も、第1のタイマーの励起終了時に圧力センサがON
し、差圧スイッチがOFFしていることにより真空弁の
非弁開状態を検知でき、第2のタイマーの励起終了時に
圧力センサがOFFし、差圧スイッチがONしているこ
とにより真空弁の非弁閉状態を検知できる。さらに、圧
力センサがONしていないのにもかかわらず差圧スイッ
チがONし、このON状態が第2のタイマーの励起終了
時点まで継続していることにより、汚水により流出管が
閉塞されて、流出管の真空度が徐々に低下している異常
状態を検知し、この時に制御弁を弁開させ、真空弁を弁
開して流出管に空気を補給することにより、補給した空
気流によって汚水を押し流して、流出管の真空度を回復
させることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を図
面に基づいて説明する。図1は真空弁の弁閉状態を示す
構成図、図2は図1に対応する要部の拡大構成図、図3
は真空弁の弁開状態を示す構成図、図4は図3に対応す
る要部の拡大構成図である。なお、前記図9および図1
0の従来例と同一もしくは相当部分には同一符号を付し
て詳しい説明は省略する。図1ないし図4において、制
御圧切替機構部Aは、真空弁2上流側の汚水マス1と圧
力的に連通し、かつ汚水マス1内の所定の圧力に応答し
て制御弁20を開閉させる圧力スイッチ18、圧力スイ
ッチ18に連動する第1のタイマー62、差圧スイッチ
63、差圧スイッチ63に連動する第2のタイマー64
を備えている。なお、第1のタイマー62の励起時間は
第2のタイマー64の励起時間よりも長く設定されてい
る。三方向切替機構部Bは、三方弁36を取付けたダイ
アフラム28によって区画される第1コントローラ室1
4と第2コントローラ室15と、三方弁36を真空弁2
の弁閉位置に位置決めするスプリング38と、真空ポー
ト39と、三方弁36の作動により大気圧ポート24に
連通して該大気圧ポート24から導入される大気圧を真
空弁2の上部バネ室2Aに負荷して真空弁2を弁閉さ
せ、かつ真空ポート39に連通して真空弁2より下流側
の負圧部の負圧を真空弁2の上部バネ室2Aに負荷して
真空弁2を弁開させる大気圧・真空圧供給ポート33と
を備えている。そして、三方向切替機構部Bを真空弁2
の頂部、つまり、真空弁2の上部バネ室2Aの上端部に
固定し、制御圧切換機構部Aを真空弁2から離れた位置
に設置して、三方向切替機構部Bと制御圧切換機構部A
を分離してある。
【0022】制御圧切換機構部Aは防水制御箱50に収
納されており、制御弁20は電磁弁もしくは電動弁など
の電気式作動弁によって構成されているとともに、真空
弁2より下流側の負圧部と第1コントローラ室14とを
連通させる負圧通路51に介設されている。具体的に
は、負圧通路51の一端側が真空ライン40に合流し、
他端側が第1コントローラ室14に設けた真空ポート5
2に接続されている。また、差圧スイッチ63は、流出
管5における真空弁2の上流側P1と下流側P2の2箇
所に設けた圧力取出口の差圧を検知するためのもので、
真空弁2が弁開してP1とP2の差圧が下限設定値以下
に低下した時にONし、真空弁2が弁閉してP1とP2
の差圧が上限設定値以上でOFFするように働く。さら
に、制御弁20を手動操作によって開閉させる手動スイ
ッチ53と警報装置65が設けられている。なお、61
はバッテリーで制御弁20の動作用電源として働く。
【0023】三方向切替機構部Bの大気圧ポート24
は、ニードル弁54を介設した大気圧通路55を介して
第1コントローラ室14に連通し、大気圧通路56を介
して第2コントローラ室16に連通している。また、真
空ポート39は、真空通路57を介して室58に連通し
ている。この室58は第2コントローラ室16の下側に
隣接して設けられているとともに、真空弁2の上部バネ
室2Aに開放した大気圧・真空圧供給ポート33に連通
している。そして、室58の内部に三方弁36のバルブ
ヘッド36Bが上下方向の進退移動可能に臨んでいる。
さらに、真空通路57には、第1コントローラ室14に
連通する分岐通路57Aが設けられ、この分岐通路57
Aには手動プッシュボタン59の押圧によって弁開する
弁60が介設されている。
【0024】このような構成であれば、図1において、
汚水マス4内の水位が上限HWLまで上昇した場合の水
位検知管8内の高い圧力は、ダイアフラム4およびセン
サチューブ17Aを介して図2の制御圧切換機構部Aに
おける圧力スイッチ18に導かれ、圧力スイッチ18を
ONさせる。これにより制御弁20が弁開し、第1コン
トローラ室14内の空気を排出し始める。第1コントロ
ーラ室14には、大気圧通路55を介して大気が導入さ
れているものの、大気圧通路55にニードル弁54が介
設されているので、ニードル弁54の開度を調整するこ
とで、第1コントローラ室14の負圧化を確保すること
ができる。
【0025】第1コントローラ室14が負圧化されるこ
とで、第1コントローラ室14と第2コントローラ室1
5に差圧が生じ、この差圧によつてダイアフラム28お
よび三方弁36はスプリング38の付勢に抗して上昇
し、図3および図4に示すように、バルブヘッド36B
が弁シート35を開放し、弁シート24Aを閉じる。こ
れにより、真空弁2下流側の真空圧は、真空ライン4
0、真空ポート39、室58、大気圧・真空圧供給ポー
ト33の経路で真空弁2の上部バネ室2Aに負荷され、
真空弁2を弁開させる。その結果、汚水マス1内の汚水
は、吸込管3→開弁している真空弁2下部の汚水流通室
2C→流出管5の経路で下水収集場7側に吸引排出され
る。
【0026】図3において、汚水マス1内の水位が下限
LWLまで低下した場合の水位検知管8内の圧力降下
は、ダイアフラム4およびセンサチューブ17Aを介し
て図4の制御圧切換機構部Aにおける圧力スイッチ18
に導かれ、圧力スイッチ18をOFFさせる。これによ
り制御弁20が弁閉し、第1コントローラ室14内の圧
力が高くなり、第1コントローラ室14と第2コントロ
ーラ室15の圧力が平衡する。したがって、ダイアフラ
ム28および三方弁36はスプリング38の付勢により
下降し、図1に示すように、バルブヘッド36Bが弁シ
ート35を閉じ、弁シート24Aを開放する。その結
果、大気圧は、大気圧通路56、第2コントローラ室1
5、室58、大気圧・真空圧供給ポート33の経路で真
空弁2の上部バネ室2Aに負荷され、真空弁2を弁閉さ
せる。
【0027】このように、制御圧切替機構部Aと三方向
切替機構部Bが分離して設置され、三方向切替機構部B
の圧力変化が制御圧切替機構部Aに影響しないように構
成されているいので、ダブルサイクリング現象と称され
る誤動作を生じることはない。また、オリフィス22の
使用を省略できるので、従来の真空弁の制御装置9のよ
うに、真空弁2の弁閉を大幅に遅らせる誤動作は発生し
ない。このため、真空ポンプによってなる吸引手段6に
不必要な負荷(空運転)がかかることはない。
【0028】また、電磁弁もしくは電動弁などの電気式
作動弁によって構成されている制御弁20は、手動スイ
ッチ53により開閉操作できるので、汚水マス1内の圧
力に関係なくメンテナンス等に際して手動スイッチ53
を押圧することにより、制御弁20を弁開させて真空弁
2を弁開させたり、あるいは制御弁20を弁閉させて真
空弁2を弁閉させることができる。
【0029】さらに、図1および図2に示す真空弁2の
弁閉状態において、手動プッシュボタン59を押圧し
て、弁60を開き、分岐通路57Aを介して第1コント
ローラ室14を負圧化することで、真空弁2を図3およ
び図4に示すように弁開させることもできる。しかも、
負圧通路51に介設される制御弁20として小型のもを
使用できるので、バッテリー61の消費電力を小さく抑
えて、バッテリー61の延命を図ることができる。
【0030】前述のように、汚水マス4内の水位が上限
HWLまで上昇することで、圧力スイッチ18がON
し、制御弁20が弁開して真空弁2を弁開させ、汚水マ
ス1内の汚水を吸引排出することにより、汚水マス1内
の水位が下限LWLまで低下し、ここで圧力スイッチ1
8がOFFし、制御弁20が弁閉して真空弁2を弁閉さ
せる正常な動作が行われる場合の圧力スイッチ18、第
1のタイマー62、差圧スイッチ63および第2のタイ
マー64の作動は、時間的に図5のような相対関係を示
す。
【0031】すなわち、時間t1で圧力スイッチ18、
第1のタイマー62、制御弁20がそれぞれONし、流
出管5における真空弁2の上流側P1と下流側P2の圧
力取出口の差圧が下限設定値まで低下した時間t2で差
圧スイッチ63、第2のタイマー64がそれぞれONす
る。そして、時間t3で制御弁20がOFFし、真空弁
2が弁閉することでP1とP2の圧力取出口の差圧が上
限設定値まで上昇した時間t4で差圧スイッチ63がO
FFし、時間t5で第2のタイマー64がOFFし、時
間t6で第1のタイマー62がOFFする。
【0032】ところが、汚水マス4内の水位が上限HW
Lまで上昇することで、圧力スイッチ18がONして
も、何等かの原因で真空弁2が弁開しない異常状態が発
生すると、時間的に図6のような相対関係を示す。つま
り、時間t1で圧力スイッチ18と第1のタイマー62
がONしても、圧力スイッチ18は時間t2でOFFさ
れず、当然、差圧スイッチ63および第2のタイマー6
4は時間t2でONされない。そして、時間t6で第1
のタイマー62がOFFしたのにもかかわらず、圧力ス
イッチ18がONされ続け、かつ差圧スイッチ63およ
び第2のタイマー64がOFFされ続けることになる。
この場合には真空弁2の非弁開状態と判断して時間t6
で警報装置65がONして警報を発する。
【0033】一方、汚水マス4内の水位が下限LWLま
で低下することで、圧力スイッチ18がONしても、何
等かの原因で真空弁2が弁閉しない異常状態が発生する
と、時間的に図7のような相対関係を示す。すなわち、
時間t5で第2のタイマー64がOFFしたのにもかか
わらず、差圧スイッチ63がONしていることになる。
この場合には、真空弁2の非弁閉状態と判断して時間t
5で警報装置65がONして警報を発する。
【0034】他方、汚水マス4内の水位が上限HWLま
で上昇しておらず、したがって、圧力スイッチ18がO
Nしていないのにもかかわらず、差圧スイッチ63およ
び第2のタイマー64がそれぞれONし、このON状態
が第2のタイマー64の励起終了時点まで継続している
異常状態が発生すると、時間的に図8のような相対関係
を示す。つまり、圧力スイッチ18および第1のタイマ
ー62のOFF状態において、河川等の障害物を迂回す
るために、流出管5における真空弁2より下流側に形成
したリフト部(図示省略)に汚水が滞留して、流出管5
を閉塞させることでリフト部と真空弁5の間の流出管5
の真空度が徐々に低下すると、時間t7で差圧スイッチ
63および第2のタイマー64がそれぞれONし、時間
t8で第2のタイマー64がOFFしたのにもかかわら
ず、差圧スイッチ63がONされ続けることになる。こ
の場合には、汚水により流出管5が閉塞されていると判
断し、時間t8で制御弁20をONさせ、真空弁2を弁
開して流出管5に空気もしくは汚水に続いて空気を補給
することにより、補給した空気流によってリフト部滞留
している汚水を押し流して、流出管5を開通させて真空
度を回復させることができる。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、制御圧
切替機構部と三方向切替機構部が分離して設置され、三
方向切替機構部の圧力変化が制御圧切替機構部に影響し
ないように構成されているいので、ダブルサイクリング
現象と称される誤動作を生じることはない。また、オリ
フィスの使用を省略できるので、従来の真空弁の制御装
置のように、真空弁の弁閉を大幅に遅らせる誤動作は発
生しない。このため、真空ポンプによってなる吸引手段
に不必要な負荷(空運転)がかかることはない。しか
も、汚水マス内の水位が上限まで上昇したのにもかかわ
らず、真空弁が弁開しない異常状態や、汚水マス内の水
位が下限まで低下したのにもかかわらず、真空弁が弁閉
しない異常状態を検知することができるとともに、河川
などの障害物を迂回するために、流出管における真空弁
より下流側に形成したリフト部に汚水が滞留して、流出
管を閉塞させることで、汚水マス内の水位に関係なくリ
フト部と真空弁の間の流出管の真空度が徐々に低下する
異常状態を検知し、かつこの異常状態を解消することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1記載の発明の一実施の形態における真
空弁の弁閉状態を示す構成図である。
【図2】図1に対応する要部の拡大構成図である。
【図3】請求項1記載の発明の一実施の形態における真
空弁の弁開状態を示す構成図である。
【図4】図3に対応する要部の拡大構成図である。
【図5】正常動作時の時間的な相対関係を示す図表であ
る。
【図6】真空弁が弁開されない異常状態時の時間的な相
対関係を示す図表である。
【図7】真空弁が弁閉されない異常状態時の時間的な相
対関係を示す図表である。
【図8】流出管が閉塞した異常状態時の時間的な相対関
係を示す図表である。
【図9】従来例の真空弁の弁閉状態を示す構成図であ
る。
【図10】従来例の真空弁の弁開状態を示す構成図であ
る。
【符号の説明】
1 汚水マス 2 真空弁 2A 真空弁の上部バネ室(真空弁の作動室) 5 流出管 8 水位検知管 9 真空弁の制御装置 14 第1コントローラ室 15 第1コントローラ室 18 圧力スイッチ(圧力センサ) 20 制御弁(圧力センサバルブ) 24 大気圧ポート 28 ダイアフラム 33 大気圧・真空圧共用ポート 36 三方弁 38 スプリング(付勢手段) 39 真空ポート 51 負圧通路 62 第1のタイマー 63 差圧スイッチ 64 第2のタイマー A 制御圧切換機構部 B 三方向切替機構部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−26619(JP,A) 特開 平7−293735(JP,A) 特開 平7−310361(JP,A) 特開 平7−317943(JP,A) 特開 平9−25661(JP,A) 特公 平6−37787(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16K 31/12 F16K 51/02 E03F 5/22

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空弁上流側の汚水マス内の水位に対応
    して内圧が変化する水位検知管と圧力的に連通し、かつ
    該水位検知管内の所定の圧力に応答して制御弁を開閉さ
    せる圧力センサを備えた制御圧切替機構部と、真空弁の
    弁開位置と弁閉位置とを切替える三方弁と、この三方弁
    を取付けたダイアフラムによって区画されるとともに、
    大気圧ポートを介して大気と圧力的に連通する第1コン
    トローラ室および第2コントローラ室と、三方弁を真空
    弁の弁閉位置に位置決めする付勢手段と、真空弁を介装
    した流出管における真空弁より下流側の負圧部に連通す
    る真空ポートと、三方弁の作動により大気圧ポートに連
    通して該大気圧ポートから導入される大気圧を真空弁の
    作動室に負荷して真空弁を弁閉させ、かつ真空ポートに
    連通して前記負圧部の負圧を真空弁の作動室に負荷して
    真空弁を弁開させる大気圧・真空圧供給ポートとを備え
    た三方向切替機構部とを具備する真空弁の制御装置にお
    いて、前記三方向切替機構部を真空弁に固定し、前記制
    御圧切換機構部を真空弁以外の位置に設置して、三方向
    切替機構部と制御圧切換機構部を分離させるとともに、
    前記制御弁を前記負圧部と第1コントローラ室とを連通
    させる負圧通路に介設して、該制御弁の弁開時に負圧部
    の負圧を第1コントローラ室に負荷して前記付勢手段の
    付勢に抗して三方弁を真空弁の弁開位置に位置決めする
    ように構成し、かつ前記流出管における真空弁の上流側
    と下流側の差圧を検知する差圧スイッチと、前記圧力セ
    ンサに連動して所定時間励起される第1のタイマーおよ
    び前記差圧スイッチに連動して前記第1のタイマーより
    も早く非励起状態になる第2のタイマーを前記制御圧切
    替機構部に設け、第2のタイマーの励起終了時に差圧ス
    イッチがONされ、第1のタイマーが非励起状態であれ
    ば前記制御弁を所定の時間弁開させるように構成したこ
    とを特徴とする真空弁の制御装置。
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