JP3285806B2 - 薄膜トランジスタ及びその製造方法 - Google Patents

薄膜トランジスタ及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置など
を駆動する薄膜トランジスタとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の薄膜トランジスタとその製造方法
は、ソース、ドレイン領域及びチャネル層となるべき第
一多結晶珪素層を形成し、該膜の表面に熱酸化法などに
よってゲート絶縁膜となる第一二酸化珪素を形成する。
次にゲート線と容量線及びトランジスタのゲート電極と
なるべき第二多結晶珪素層を形成したのちに、ソース及
びドレイン領域を形成するために前記ゲート電極をマス
クにして不純物イオンを、前記第一多結晶珪素層のソー
ス及びドレインとなるべき領域に打ち込む。次に、層間
絶縁膜となる第二二酸化珪素層を化学気相成長法やスパ
ッタ法などで形成し、前記第二二酸化珪素層の膜質向上
と、前記ソース及びドレイン領域に導入された不純物イ
オンを活性化をするために、約1000℃の温度でアニ
ールする。次に、ソース及びドレイン領域から引出し配
線を形成するために、前記のアニールされた第二二酸化
珪素層と熱酸化法によって形成されたゲート絶縁膜とな
る第一二酸化珪素層の二層を一度にコンタクトホールを
開口することと、ゲート電極から引出し配線を形成する
ために、前記のアニールした第二二酸化珪素層にコンタ
クトホールを開口することを同時に行なっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の従来技
術では、ゲート線及び容量線が第二多結晶珪素層だけで
形成されているために、前記ゲート線及び容量線の配線
抵抗が比較的高く、薄膜トランジスタを用いたアクティ
ブマトリックス素子の表示特性が向上しなかった。
【0004】通常、前記第二多結晶珪素層の抵抗をでき
るだけ低くするために、熱拡散によって燐を導入する
が、前記第二多結晶珪素層の膜厚が5000Åのとき、
該膜抵抗は15Ω/□まで低くするのが限界である。今
後の液晶表示パネルの大型化及び高精細化の進行を実現
するためには、前記ゲート線及び容量線の配線抵抗の低
下が必要である。そのために、前記第二多結晶珪素層か
らなるゲート線及び容量線の上に金属を形成して前記ゲ
ート線及び容量線の配線抵抗を低下させる方法がある。
前記方法において、前記金属層の上に層間絶縁膜となる
第二二酸化珪素層を形成し、前記第二二酸化珪素層の膜
質を向上させるために、従来技術のように約1000℃
のアニールを行なうと、前記ゲート線及び容量線となり
うる第二多結晶珪素層と金属層が反応して金属シリサイ
ドが生じるために配線抵抗が、前記多結晶珪素層と前記
金属層が反応する前より高くなること、及び、前記金属
層が溶融することがあるという問題点がある。
【0005】そこで、前記問題点を解決するために、ソ
ース及びドレイン領域の活性化は前記金属層を形成する
前におこない、前記第二二酸化珪素層の膜質向上は、前
記第二多結晶珪素層と金属層からなるゲート線及び容量
線において金属シリサイドが形成されないか、前記金属
層が溶融しないような400℃〜700℃の従来より低
い温度でアニールする方法が考えられる。しかし、前記
方法においては、膜厚約1000Åの熱酸化法で形成さ
れた第一二酸化珪素層と膜厚約7000Åの前記第二二
酸化珪素層を同時に開口するソース及びドレイン領域か
らの配線を取り出すためのコンタクトホールより、前記
第一二酸化珪素層よりエッチング速度が3〜5倍速い前
記第二二酸化珪素層だけに開口するゲート電極からの配
線を取り出すためのコンタクトホールは約1.5〜2倍
の大きさになり、基板内に均一な大きさのコンタクトホ
ールを開口することができないために微細化が難しかっ
た。また、ゲート電極を形成する第二多結晶珪素層と化
学気相成長法やスパッタ法で形成された第二二酸化珪素
層の密着は、ソース及びドレイン領域を形成する第一多
結晶珪素層と熱酸化法などによって形成された第一二酸
化珪素層の密着より悪いために、従来技術のようにコン
タクトホールを開口すると、ゲート電極に開口するコン
タクトホールの形状は、引出し配線の断線の原因となる
逆テーパになるという問題点があった。
【0006】以上の問題点をなくすために、本発明で
は、前記ゲート線及び容量線の配線抵抗を低下させるこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、基板上に薄膜
トランジスタのソース・ドレイン・チャネル領域となる
第1珪素層と、前記チャネル領域上にゲート絶縁膜を介
して配置されたゲート電極と、前記ゲート電極に接続さ
れたゲート線とを有する薄膜トランジスタにおいて、前
記ゲート線は第2珪素層と金属層とがこの順に積層され
てなり、前記第2珪素層は前記金属層よりも幅広である
とともに、前記ゲート線の上を横切る配線を有し、前記
ゲート電極は前記第2珪素層からなり、前記前記金属層
が形成されていないことを特徴とする。本発明は、基板
上に薄膜トランジスタのソース・ドレイン・チャネル領
域となる第1珪素層を形成する工程と、前記第1珪素層
上にゲート絶縁膜を形成する工程と、前記薄膜トランジ
スタのゲート電極となる領域とゲート線となる領域に第
2珪素層を形成する工程と、前記ゲート線となる領域の
第2珪素層の上に前記第2珪素層よりも幅の狭い金属層
を形成する工程と、前記ゲート線の上に前記ゲート線を
横切る配線を形成する工程とを有し、前記ゲート線は前
記第2珪素層と前記金属層との2層からなり、前記ゲー
ト電極は前記第2珪素層からなり、前記金属層が形成さ
れていないことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、実施例に
基づき詳細に説明する。
【0009】図1は本発明の実施例を工程順に示す断面
図である。図1(a)において、101はソースまたは
ドレイン領域であり、102はチャネル部分であり、1
03はゲート絶縁膜となる熱酸化法などによって形成さ
れた第一二酸化珪素層である。104は第二多結晶珪素
層からなるゲート電極であり、105aは第二多結晶珪
素層からなるゲート線であり、106aは第二多結晶珪
素層からなる容量線であり、ゲート電極104、ゲート
線105a、容量線106aは同じ工程で形成される。
101のソース及びドレイン領域には不純物がドープさ
れており、活性化のアニールも図1(a)の状態の時に
行なう。次に、図1(b)のように、ソース及びドレイ
ン領域から引出し配線を取り出すための第一コンタクト
ホール107を、フッ酸系のエッチング液を使用した湿
式エッチングまたは、反応性イオンエッチング装置を用
いた乾式エッチングで第一二酸化珪素層に開口する。次
に、図1(c)のように、多結晶珪素と200℃以下の
温度では反応しないような金属を、ゲート線105a及
び容量線106aの上のみに残るように形成し、前記ゲ
ート線及び容量線の配線抵抗を低下させる。金属層をエ
ッチングするときのレジストのベーク温度の最大値が2
00℃に達するために、多結晶珪素と200℃以下の温
度で反応する金属を用いると、ソース及びドレイン部分
に接しているところでシリサイドが形成されて、トラン
ジスタの特性が大幅に変化する可能性があるため該金属
は使用できない。105b、106bは各々前記金属に
より形成されたゲート線、容量線であり、105a、b
の二層でゲート線105となり、106a、bの二層で
容量線106となる。ここで、ゲート線の一部が薄膜ト
ランジスタのチャネル層102の上を通っておりゲート
電極として機能している場合は、チャネル層102の多
結晶珪素層のダングリングボンドを解消して薄膜トラン
ジスタのオン電流特性を向上させることができる水素化
が不可能となるので、ゲート線105bとなる金属層は
形成しない。なぜなら、金属層は多結晶珪素層よりも水
素イオンをかなり通しにくいため、チャネル層に水素イ
オンを導入できないからである。また、ゲート線105
及び容量線106の上を配線が横切る場合は、前記配線
の断線を防止するために105a及び106aの多結晶
珪素層の配線幅よりも、105b及び106bの金属層
の配線幅を1〜2μm狭くするほうがよい。次に、図1
(d)のように化学気相成長法またはスパッタ法で第二
二酸化珪素層108を約7000Åほど堆積して、前記
第二二酸化珪素層の膜質を向上させるために、105の
ゲート線および106の容量線の多結晶珪素と金属がシ
リサイド化しない温度、または前記金属が溶融しない温
度の400〜700℃でアニールを行う。前記アニール
温度はゲート線105b及び容量線106bに使用する
金属の種類によって異なり、シリサイド化をおこさない
限り、または、金属が溶融しない限りできるだけ高い温
度のほうが、前記第二二酸化珪素層の膜質が向上するの
で望ましい。次に、図1(e)のようにソース及びドレ
イン領域101及びゲート電極104からの引出し配線
を得るために第二二酸化珪素層108に、フッ酸系のエ
ッチング液を用いた湿式エッチング又は、反応性イオン
エッチング装置を用いた乾式エッチングによって第二コ
ンタクトホール109を開口する。ソース及びドレイン
領域に開口する第二コンタクトホール109は、高精細
なパネルを実現するためにはトランジスタ素子を小さく
する必要があるので、第一コンタクトホール107を開
口した後に第二二酸化珪素層108が堆積され、再度第
一コンタクトホールと同じ位置に同じ径の大きさで開口
されるのが理想である。しかし、基板のそりやコンタク
トホールパターンの露光ずれの影響などで、実際に形成
された第一コンタクトホール107と第二コンタクトホ
ール109の位置は異なる場合がある。前記の2つのコ
ンタクトホールの位置がずれた状態で、第二コンタクト
ホールのエッチングがソース及びドレイン領域を形成し
ている第一多結晶珪素層101に到達する前に第一二酸
化珪素層103に到達すると、第二二酸化珪素層108
のエッチング速度は第一二酸化珪素層103の3〜5倍
の速さなので、第一二酸化珪素層103のエッチングが
進まない。よって、基板内でのソース及びドレイン領域
101と引出し配線のコンタクト部の面積が異なるため
に、薄膜トランジスタの特性のばらつきが生じることが
ある。図2は前記2つのコンタクトホールの平面図であ
るが、第一コンタクトホール201の大きさを第二コン
タクトホール202の大きさより1〜2μm大きくすれ
ば、前記の位置ずれが生じても第二コンタクトホールを
エッチングする際に、第一二酸化珪素層103をエッチ
ングすることはない。したがって、2つのコンタクトホ
ールの大きさは一定となるので薄膜トランジスタの特性
のばらつきの原因とはなり得ない。
【0010】上述の工程を経て、出来上がった本発明の
薄膜トランジスタは、エッチング速度の異なる第一二酸
化珪素層103と第二二酸化珪素層108を二回に分け
てエッチングするために、各々の層にあわせたエッチン
グ条件を使えるので、コンタクトホールの形状は、引出
し配線の断線の原因となる逆テーパになることはない
し、ソース及びドレイン領域に開口するコンタクトホー
ルとゲート電極に開口するコンタクトホールの大きさを
ほぼ等しくできるため微細化が可能になる。
【0011】
【発明の効果】本発明は上記の構成要件を具備すること
により、以下に述べる如き顕著な効果を奏することがで
きる。 (a)ゲート線は珪素層だけではなく金属層との2層の
ため、配線抵抗を低くすることができ、表示特性を向上
させた薄膜トランジスタを提供することができる。 (b)また、チャネル領域上のゲート電極には金属層が
形成されていないため、ゲート線形成後に水素化処理等
の工程があっても、チャネルとなる珪素層に水素イオン
を導入することができ、ダングリングボンドを解消した
薄膜トランジスタのオン電流特性を向上させることがで
きる。 (c)また、ゲート線は珪素層と金属層との2層であ
り、しかも珪素層のほうが金属層よりも幅広である。従
って、ゲート線の上に配線が横切る場合、断線を防ぐこ
とができ、良好な薄膜トランジスタを提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜トランジスタの工程毎の断面図。
【図2】本発明の薄膜トランジスタのコンタクトホール
の平面図。
【符号の説明】
101 ソースまたはドレイン領域 102 チャネル 103 第一二酸化珪素層 104 ゲート電極 105 ゲート線 105a 多結晶珪素層からなるゲート線 105b 金属層からなるゲート線 106 容量線 106a 多結晶珪素層からなる容量線 106b 金属層からなる容量線 107 第一コンタクトホール 108 第二二酸化珪素層 109 第二コンタクトホール 201 第一コンタクトホール 202 第二コンタクトホール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01L 27/04 H01L 21/302 M 27/12 27/04 D

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に薄膜トランジスタのソース・ド
    レイン・チャネル領域となる第1珪素層と、前記チャネ
    ル領域上にゲート絶縁膜を介して配置されたゲート電極
    と、前記ゲート電極に接続されたゲート線とを有する薄
    膜トランジスタにおいて、 前記ゲート線は第2珪素層と金属層とがこの順に積層さ
    れてなり、前記第2珪素層は前記金属層よりも幅広であ
    るとともに、前記ゲート線の上を横切る配線を有し、 前記ゲート電極は前記第2珪素層からなり、前記金属層
    が形成されていないことを特徴とする薄膜トランジス
    タ。
  2. 【請求項2】 基板上に薄膜トランジスタのソース・
    ドレイン・チャネル領域となる第1珪素層を形成する工
    程と、 前記第1珪素層上にゲート絶縁膜を形成する工程と、 前記薄膜トランジスタのゲート電極となる領域とゲート
    線となる領域に第2珪素層を形成する工程と、 前記ゲート線となる領域の第2珪素層の上に前記第2珪
    素層よりも幅の狭い金属層を形成する工程と、 前記ゲート線の上に前記ゲート線を横切る配線を形成す
    る工程とを有し、 前記ゲート線は前記第2珪素層と前記金属層との2層か
    らなり、前記ゲート電極は前記第2珪素層からなり、前
    記金属層が形成されていないことを特徴とする薄膜トラ
    ンジスタの製造方法。
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