JP3282492B2 - 多色画像形成装置 - Google Patents

多色画像形成装置

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JP3282492B2 JP10163296A JP10163296A JP3282492B2 JP 3282492 B2 JP3282492 B2 JP 3282492B2 JP 10163296 A JP10163296 A JP 10163296A JP 10163296 A JP10163296 A JP 10163296A JP 3282492 B2 JP3282492 B2 JP 3282492B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数種類の色トナ
ー像を転写紙上に重ね転写して一括して押圧熱定着する
多色画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子写真方式の多色画像形成
装置がある。この多色画像形成装置は感光体に光書込み
によって潜像を形成し、この潜像をトナー像化(現像)
して、その現像したトナー像を用紙に転写して定着させ
る。
【0003】このような多色画像形成装置は単一ドラム
型と多段ドラム型(タンデム型)に大別される。単一ド
ラム型は、用紙の1頁に対して、減法混色の三原色であ
るY(イエロー:黄色)トナー、M(マゼンタ:赤色染
料)トナー及びC(シアン:緑味のある青色)トナーの
各色トナーと、文字や画像黒色部分の印字(印刷、画像
形成)に専用されるBk(ブラック:黒)トナーの合計
4種類のトナーを重ねて転写するために各トナー毎に個
別に印字処理を行う。このため用紙1頁に対して印字工
程が4回繰り返されることになり、したがって印字処理
に長時間を要する。これに対してタンデム型は、1工程
で4種類のトナーを用紙に順次重ねて転写するか、一旦
中間転写体に順次重ねて転写した後これを用紙に1度に
再転写する。したがって単一ドラム型に比較してほぼ4
倍の処理速度を有している。このため、近年、タンデム
型の多色画像形成装置が実用化されている。
【0004】図10は、タンデム型多色画像形成装置の
一例を側断面図で模式的に示したものである。この多色
画像形成装置1は、本体装置の右側面下部に用紙カセッ
ト2を着脱自在に装着している。用紙カセット2の用紙
Pは、給紙コロ3によって一枚毎取り出され、待機ロー
ル対4によって画像形成部に給送される。画像形成部に
は、用紙Pを搬送するベルト5が複数の回転ローラによ
って用紙搬送方向(図の右から左方向)に扁平に張設さ
れ、このベルト搬送面に対向して4個の感光体ドラム6
が配設されて画像形成部を構成している。夫々の感光体
ドラム6には、その周面近傍を順次取り囲んで、初期化
帯電器7、現像器8に配設された現像ローラ8−1、搬
送ベルト5の搬送面を挟んで配設された転写帯電器9、
及びクリーナ11が配置されている。上記の各現像器8
の匡体内には、上流側(図の右方)からBk(ブラッ
ク)トナー、C(シアン)トナー、M(マゼンタ)トナ
ー及びY(イエロー)トナーが夫々収容されている。ま
た、初期化帯電器7と現像器8間には所定の間隙が設け
られ、この間隙を介してレーザーヘッド12から感光体
ドラム6の周面にディジタル露光放射が行われる。レー
ザーヘッド12は、光源、回転鏡12−1、集束レンズ
12−2、反射鏡12−3、照射口12−4等を備えて
いる。
【0005】この多色画像形成装置は、ベルト5が図の
反時計回り方向に循環移動して用紙Pを搬送すると、各
初期化帯電器7がそれらに対応する感光体ドラム6の周
面を所定の電荷で一様に帯電させ、レーザーヘッド12
が上記帯電した周面を画像情報に応じて露光して静電潜
像を形成し、そして、現像器8の現像ローラ8−1が上
記の静電潜像の低電位部にトナーを転移させてトナー像
化(現像)する。各感光体ドラム6周面上に形成(現
像)されたトナー像は、それらに対応する転写帯電器9
のコロナ放電によって、搬送されてきた用紙Pに発生し
た電荷に吸引されて用紙P面に転写される。紙面にトナ
ー像を転写された用紙Pは、圧着ローラと発熱ローラか
らなる定着部13でトナー像を紙面に熱定着され、搬出
ローラ対14によって機外に排出される。
【0006】ところで、このような大型の多色画像形成
装置では、通常、定着部13には大型のオフセット防止
液付与機構が設けられている(大型の複写機等では従来
からそのような機構とされている)。これは、OHP用
の画像形成の場合に透明度の高い色トナー像を高速に得
るために、溶融点の低い、いわゆるオフセット系のトナ
ーを用いているからである。つまり、このオフセット系
のトナーは透明度も高いが粘着性も高いから、図の矢印
で示すように、定着部13の用紙面のトナー像に直接圧
接する発熱ローラに、上からオイルを注ぎ掛け、余剰の
オイルを下のオイル溜り槽16で受けるように構成して
発熱ローラの周面に厚いオイル層を形成し、その周面に
圧接するトナー像が発熱ローラ側に移転しないようにし
ている。しかしながら、上記のようにオフセット系のト
ナーを用いる多色画像形成装置は、大型のオフセット防
止液付与機構を設けなければならないために、本体装置
全体が大型化するという問題がある。
【0007】そこで、本体装置を小型化するために非オ
フセット系のトナーを用いることにして、複雑なオフセ
ット防止液付与機構の配設を排除したものが実用化され
ている。前述のオフセット系トナーは、分子量分布が狭
く、溶融して固結した後の透明度が高く、溶融点の低い
ことが特徴であるが、小型化のために用いられる非オフ
セット系トナーは、ポリエステル系樹脂トナーであり、
高分子量で分子量分布が広く、架橋構造をなし、溶融点
が比較的高いものが多い。
【0008】ところが、タンデム型は、2色なら2層、
3色なら3層と、未定着のトナー像を順次用紙上に重ね
転写していく方式であるので、非オフセット系トナーと
いえども、これを上記のようなタンデム型の多色画像形
成装置に用いた場合には、各色トナーが重ね転写された
部分でトナー像の一部が定着ローラに付着して用紙上か
ら剥ぎとられ(オフ)、定着ローラの回転で再び用紙上
の他の部分に付着する(セット)というオフセット現象
が発生する。
【0009】図11(a),(b) は、そのような多色画像形
成装置における非オフセット系トナーによるオフセット
現象を説明する図である。同図(a) は、小型タンデム型
の多色画像形成装置の定着部における加熱ローラ17、
加圧ローラ18、用紙P、及び用紙P上に転写された2
種類(2色)のトナー像T1 及びT2 を示している。同
図(a) に示す加熱ローラ17は、基体としてのアルミニ
ウム等の金属製中空ローラ17a中にハロゲンランプ1
7bを備え、中空ローラ17a表面に四フッ化エチレン
樹脂等の耐熱離型性樹脂層17cを厚さ20〜100μ
mで設けてある。一方、加圧ローラ18は、基体として
の金属製ローラ18aの表面にシリコンゴム等の比較的
離型性の良い耐熱性を有する弾性体層18bを厚さ2〜
10mm程に設けてある。加熱ローラ17は、不図示の
駆動モータからの駆動力により、図の矢印Aで示す時計
回り方向に回転し、加熱ローラ17に圧接している加圧
ローラ18は、加熱ローラ17に従動して図の矢印Bで
示す反時計回り方向に回転する。このように回転して用
紙Pを搬送しながら、用紙P上の未定着トナー像T1、
T2 、・・・を熱定着する。 通常、各色トナー(多く
の例ではシアン、マゼンタ、イエロー、黒の4色)に使
用する粒子基材には熱特性の同一な樹脂を用い、発色基
材である顔料を適宜に変化させて色別のトナーを構成す
る。このため、多色画像形成装置における多色転写トナ
ー画像の定着温度設定は、単色トナー画像の定着温度設
定とほぼ同一である。
【0010】そして、この定着で、用紙上の未定着トナ
ーT1 及びT2 が十分定着可能な温度範囲に加熱ローラ
17が保持されているにもかかわらず、1色目のトナー
T1上に重ね転写されていた2色目のトナーT2 が、や
やもすると加熱ローラ17に付着して用紙上から剥ぎと
られ、同図(a) に示すように、剥離トナーT2 ′となっ
てオフセット現象を引き起こす。
【0011】すなわち、同図(b) に示すように、トナー
T1 及びT2 については、その定着温度範囲の下限およ
そ160℃よりも低い温度ではコールドオフセットが起
きることが知られており、一方、上限およそ200℃よ
りも高い温度ではホットオフセットが生じることが知ら
れている。すなわち、上記のトナーT1 及びT2 は、単
独では適正な定着温度範囲として160℃〜200℃の
定着温度範囲を有している。ところが、これら2種類の
トナーT1 及びT2 を重ねた場合(同図(b) の「T1 +
T2 」)、上述したように、それぞれのトナーに対する
十分定着可能な温度範囲に加熱ローラ17が保持されて
いるにもかかわらず、転写紙上で色重ねされた未定着ト
ナー像「T1 +T2 」は、トナー上層のT2 のみが剥ぎ
取られるオフセット(ストリッピングオフセット)が発
生する。尚、単色でもホットオフセットが発生する20
0℃以上では、205℃〜210℃よりも上の温度で2
色のトナー像が一体となったホットオフセットが発生す
る。
【0012】上記の問題が発生する原因として、以下の
ことが挙げられる。一般に知られているように、非オフ
セット型のトナーによる耐オフセットの態様の一つとし
ては、図12(a) に示すようにトナーT1 と定着ロール
(加熱ローラ)間に働く力FR 、トナー同士の凝集力F
1 、トナーT1 と転写紙(用紙)間に働く力FP とし
て、FR <F1 <FP となっていることである。尚、他
にも各部材間に働く静電気力等も働いているが本発明に
は直接的な関与はないので以下の説明では省略する。
【0013】同図(a) のように、色トナーが1色(1
層)の場合は、通常のモノクロ印字装置の場合と同様に
考えることができ何等問題はない。しかし、2色(2
層)或は3色(3層)の色トナーが重ね合わせられる場
合は、1色目のトナーT1 と2色目のトナーT2 間に境
界領域があるために問題が発生する。尚、前述した溶け
始めてから完全に溶融するまでの温度範囲が狭く且つ溶
融状態の粘弾性が無いトナー(所謂シャープメルトタイ
プのトナー)の場合は、2色又は3色であっても1色の
トナーと同様に考えてよい。
【0014】更に説明すれば、同図(b) に示すように、
2色(2層)の場合、熱伝達系の相としては、定着ロー
ル(加熱ローラ)、加熱ローラと2色目トナー層との境
界、2色目トナー層(現像によって形成された比較的密
な層)、2色目トナー層と1色目トナー層との境界(転
写によって形成された比較的粗な部分)、1色目トナー
層(現像によって形成された比較的密な層)、1色目ト
ナー層と転写紙との境界、及び転写紙による各相が形成
される。従って、定着時にトナーT1 とT2 が溶融した
ときこれらの相間にかかる力は、加熱ローラと2色目ト
ナー間に働く力FR 、2色目トナーの凝集力F2 、1色
目トナーと2色目トナーが混在している境界層のトナー
凝集力F12、1色目トナーの凝集力F1 、そして1色目
トナーと転写紙間に働く力FP となる。上記の境界層
は、現像によって形成された比較的密な状態であるトナ
ー層が、転写によって2層又は3層と重ね合わせられた
ときに発生する上下に接する2つのトナーが混在する比
較的粗な状態のトナー層であると言える。
【0015】図13(a) は、上記2つのトナー層が重ね
合わせられた場合の定着前の状態を模式的に示してい
る。同図(a) に示すように、2つのトナーが混在するト
ナーT12層は、単に重ね合わせられただけであるので、
隙間の多い境界相を形成している。この状態に、上下か
ら圧力Pと、各トナーT1 及びT2 が溶融するに足りる
熱が加わると、上述した各相のトナー層T1 、混合層T
12、及びトナー層T2 が夫々溶融する。しかし、前述し
たように溶融した状態で粘弾性を保つ非オフセットタイ
プのトナーである場合は、同図(b) に示すように、定着
時に圧Pが加わっていたにも拘わらず混合層T12にはな
お多くの大きな空隙が保持されている。
【0016】次いで、加圧と加熱から解放されたとき、
各トナー層T1 及びT2 は凝集し(実際には溶融と凝集
が混在している状態)、凝集力F2 及びこの層と定着ロ
ーラと引き合う力FR 並びに凝集力F1 及びこの層と転
写紙と引き合う力FP (前述の図12(b) 参照)が夫々
大きく、1色目トナーと2色目トナーが混在している境
界層のトナー凝集力F12は多くの空隙によって極めて弱
く、これによって、転写紙が加熱ロールから離れると
き、図13(c) に示すように、トナー層T1 及びT2 が
加熱ロール側と転写紙側に向けて夫々引き剥がされる。
【0017】一般に非オフセット系のトナーは、その非
オフセット性を保持するための凝集力を発生するトナー
バインダーとしての樹脂粒子量が必ずしも均一に存在し
ているわけではない。したがって、特に2つのトナー境
界層の空隙によって樹脂量が少なくなっている部分の凝
集力は弱くなる。このため、各々のトナー単体としては
十分な耐オフセット能力を保持しているにも拘わらず、
加熱ローラから離れるときにトナー境界層部分で2つに
引き剥がされて、上層に印字された(塗り重ねられた)
トナー部分がオフセットするストリッピングオフセット
が発生する。
【0018】この現象は各々のトナー定着可能温度範囲
の中でも、瞬時にトナーが溶融する高温域に発生し易い
ので、あたかもホットオフセットが発生したような印象
を受けるが、オフセットする部分が主として第2色目で
あること、一度発生したオフセットの程度は各々のトナ
ー定着可能温度範囲中では、ほとんど変化しないこと、
2つのトナーを混在させて転写紙上に2色を重ね合わせ
た像と同量のトナー量で1色を現像してトナー層を形成
して同様に定着しても発生しないことより、明らかにホ
ットオフセットとは趣を異にするものである。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このよう
な、不具合を解決するものとして、3色のトナーを使用
するカラー画像形成装置において、トナーの軟化点(固
体相から相が変化するガラス転移点と流動相に変化する
溶融点とのほぼ中間点)を、画像形成部の上流側から下
流側へゆくに従って順次高くなるように設定するものが
提案されている(特公昭62−61147)。詳しくは
後述する画像形成部が圧接転写型のカラー画像形成装置
を用いて追試してみると、確かに画像形成部の上流側か
ら下流側へトナーの軟化点を下流にゆくに従って順次高
くなるように設定すると適正定着温度160℃〜200
℃の温度範囲内ではオフセットが発生しないことが判明
する。例えば上流の画像形成部の現像器に溶融点124
℃のシアンのトナー、中流の画像形成部の現像器に溶融
点126℃のマゼンタのトナー、下流の画像形成部の現
像器に溶融点128℃のイエローのトナーを装填して、
画像形成を行なってみると定着温度160℃〜200℃
の温度範囲内でオフセットは発生しない。
【0020】しかしながら、カラー画像は最低限シア
ン、マゼンタ及びイエローの3色のトナーがあれば形成
できるものではあるが、画像の黒部分は、これら3色を
重ね転写しても実際には真黒とはならず見た目に安定感
がない。したがって、黒トナーを更に配置してカラー画
像の形成を行うのが一般的である。多段式に配置される
画像形成部におけるそれら4色の各色トナーの配置順は
種々有り得、黒トナーを最初(最上流)に配置する場合
もあれば最後(最下流)に配置する場合もある。いずれ
にしても、現在ではカラー画像形成装置において三原色
に黒トナーを加えて4色構成とすることは必須の構成と
いえる。
【0021】そして、このような4色構成のカラー画像
形成装置において、上記のように各トナーの軟化点を順
次下流にいく程高くする方法によれば、つまり、換言す
れば、各トナーの軟化点を順次上流にいく程低くする方
法によれば、基準となる最下流のトナーの軟化点には上
限があるから最上流のトナーの軟化点が極めて低くなっ
てしまう。特にOHP用紙等に画像形成を行う場合は、
全体的にトナーの軟化点がより低い方が好ましいから、
これに最下流のトナーの軟化点を適合させると最上流の
トナーの軟化点が益々低くなる。このように、トナーの
軟化点が低くなると、トナーの保存中、又は本体装置が
休止中に、トナーにブロッキング(固結)現象が生じや
すいという問題がある。また、そればかりでなく、4種
類も軟化点が異なるトナーを管理するのは、極めて煩雑
で経費のかかる作業を伴うという問題も有している。
【0022】本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、
トナーの溶融点の種類が少なく且つオフセットの発生し
ない多色画像形成装置を提供することである。
【0023】
【課題を解決するための手段】以下に、本発明に係わる
多色画像形成装置の構成を述べる。本発明は、並設され
た複数の像担持体と、該複数の像担持体に各々静電潜像
を形成する複数の静電潜像形成手段と、上記複数の像担
持体表面に形成された静電潜像を所定の色トナーを用い
て対応する色トナー像に現像する複数の現像手段と、上
記複数の像担持体に転写材を接触させるべく該転写材を
搬送する転写材搬送手段と、上記複数の像担持体に対応
させて転写部を構成すべく配設され上記像担持体に接触
中の転写材に上記色トナー像を転写するための複数の転
写手段と、上記複数の転写手段を介して上記転写材に重
ね転写された色トナー像を上記転写材に定着させるため
に上記色トナー像側に接触する熱ローラと該熱ローラに
圧接すべく配設された圧接ローラとからなり、搬送され
る上記転写材を挟持搬送する定着ローラ対とを備えた多
色画像形成装置を前提とする。
【0024】本発明の多色画像形成装置は、上記像坦持
体を4個で構成し、上記転写材搬送方向の上流側から第
4番目の上記像担持体に対応する第4現像手段に用いる
色トナーの溶融点を、上記第4現像手段の上流側に順次
隣接される第3、第2、及び第1現像手段に用いる各色
卜ナーの溶融点よりも高く設定し、且つ、上記第3現像
手段に用いる色卜ナーの溶融点を、上記第2、第1現像
手段のいずれかに用いる色トナーの溶融点よりも低く設
定して構成される。
【0025】そして、例えば請求項2記載のように、上
記転写材搬送方向の上流側から第4番目の上記像担持体
に対応する第4現像手段に用いる色トナーの溶融点を、
上記第4現像手段の上流側に順次隣接される第3、第
2、及び第1現像手段に用いる各色卜ナーの溶融点より
も高く設定し、上記第3、上記第2、第1現像手段に用
いる色卜ナーの溶融点のいずれか2つを同一溶融点と
し、且つ、上記第3現像手段に用いる色卜ナーの溶融点
を、上記第2、第1現像手段のいずれかに用いる色トナ
ーの溶融点よりも低く設定するように構成される。
【0026】上記4個の像担持体に対応した4個の転写
手段は、例えば請求項3記載のように、各々対応する像
担持体に上記転写材を圧接させるべく設けられた接触型
転写手段であるように構成される。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら説明する。尚、本実施の形態において、
上述した像担持体は例えば感光体ドラム等からなり、静
電潜像形成手段は例えば光書込ヘッド等からなり、現像
手段は例えば現像ローラを備えたプロセスユニット等か
らなり、第4、第3、第2、及び第1現像手段は例えば
最下流のプロセスユニット、その上流側に順次隣接され
る2つのプロセスユニット、及び最上流のプロセスユニ
ット等である。また、転写材搬送手段は例えば搬送ベル
ト或は用紙巻き付け方式の半導電性ドラム等から成り、
そして転写手段は例えば各々対応する像担持体に転写材
を圧接させるべく転写材搬送手段に当接する接触型の転
写ブラシ或は転写ローラ等からなる。
【0028】図1は、一実施の形態におけるタンデム型
のカラー画像形成装置の構成を示す模式的側断面図であ
り、図2は、そのカラー画像形成装置に着脱自在に装着
されるプロセスユニットの側断面図である。図1に示す
ように、カラー画像形成装置(本体装置)20は、上面
に上蓋21を備えている。上蓋21の前部側方には図で
は見えないが電源スイッチ、液晶表示装置、複数の入力
キー等が配設されている。また、装置本体の下部には用
紙カセット22が着脱自在に設けられる。用紙カセット
22には多枚数の用紙が載置・収容されている。
【0029】本体装置20内部には、略中央に、搬送ベ
ルト23が水平方向に偏平なループ状に配置される。そ
のループの水平方向の両端部を駆動ローラ24と従動ロ
ーラ25が保持している。搬送ベルト23は、その駆動
ローラ24と従動ローラ25によって駆動され、図の反
時計回り方向に循環移動する。搬送ベルト23の上循環
部の裏面に押接して4個の補助ローラ26が配設されて
いる。補助ローラ26は搬送ベルト23の自重による弛
みを抑止している。また、搬送ベルト23の下循環部の
裏面に押接してテンションローラ27が配設されてい
る。テンションローラ27は、不図示の付勢部材により
下方に付勢されて、搬送ベルト23を張設している。
【0030】搬送ベルト23の上流(図の右方)では、
吸着ローラ28が、搬送ベルト23を介して従動ローラ
25に圧接し、ここに用紙搬入部を形成している。吸着
ローラ28は、用紙搬入部に搬入されてくる用紙に吸着
バイアスを印加しながら搬送ベルト23に押圧して、搬
送ベルト23に用紙を静電的に吸着させる。この搬送ベ
ルト23の上循環部の上方に4個のプロセスユニット3
0(30a、30b、30c、30d)が、用紙搬送方
向(図の右から左方向)に、多段式に並設されている。
【0031】これらのプロセスユニット30は、図2に
示すように、ドラムセット部31と現像セット部32と
で形成されている。ドラムセット部31は、感光体ドラ
ム33、ドラムカバー34、クリーナ35、初期化帯電
ブラシ36を備え、上部には記録ヘッド装着用の溝孔3
7が形成されている。上記のドラムカバー34は、この
プロセスユニット30が本体装置(画像形成装置)から
脱抜されて単独であるとき、感光体ドラム33の露出す
る下部を保護するために、図の二点鎖線で示す右方の位
置へ移動して感光体ドラム33の下部を外部から遮蔽
し、プロセスユニット30が本体装置20に装着される
ときは、図の実線で示す左方の位置へ移動する。また、
溝孔37には、図1に示す記録ヘッド38が挿入されて
感光体ドラム33の真上に配置される。記録ヘッド38
は、上蓋21裏面に配設されており、上蓋21の閉成に
より上記溝孔37に降下し、位置決め装置により溝孔3
7内に位置決めされる。上蓋21は本体装置20後方の
支持軸を中心にして開閉する。
【0032】一方、現像セット部32は、縦長の匡体の
下部開口に現像ローラ39を回転可能に保持し、内部に
トナー41を収容している。下方にはトナー41に埋没
するようにして攪拌部材42、供給ローラ43、及びド
クターブレード44が配設されている。攪拌部材42
は、図の破線で示すように回転して、トナー41を攪拌
しながら供給ローラ43へ送り込み、供給ローラ43
は、現像ローラ39に圧接して、攪拌部材42から送ら
れるトナー41を擦り付けるようにして現像ローラ39
周面に供給する。現像ローラ39の回転方向周面に当接
するドクターブレード44は、トナー41に摩擦電荷を
与えて現像ローラ39への付着を助成すると共に、付着
するトナー層を一定の厚さに規制する。
【0033】4個のプロセスユニット30が、図1に示
すように本体装置20に装着されると各感光体ドラム3
3(33a、33b、33c、33d)の下部が搬送ベ
ルト23の上循環部に当接する。この搬送ベルト23の
当接部下面には転写ブラシ46(46a、46b、46
c、46d)が配設されて、ここに転写部を形成する。
【0034】上記駆動回転ローラ24に最も近いプロセ
スユニット30の現像セット部30dには文字や画像の
黒色部等の印字に専用されるBk(ブラック)トナーが
収容されている。そして、他の3個のプロセスユニット
30a、30b及び30cには、M(マゼンタ)トナ
ー、C(シアン)トナー及びY(イエロー)トナーが夫
々収容されている。
【0035】搬送ベルト23の搬送方向上流側(図の右
方)には、待機ロール対47が配設され、その上流側の
下方に2枚のガイド板から形成される搬送路48が配設
され、その下部に上述した用紙カセット22の給紙端が
配置される。用紙カセット22の給紙端上方には断面が
半円状の給紙コロ49が配設されている。
【0036】一方、搬送ベルト23の搬送方向下流(図
の左方)には、定着器51が配置される。定着器51
は、断熱性の匡体内に組み付けられた圧接ローラ51−
1、発熱ローラ51−2、オイル塗布ローラ51−3、
分離爪51−4、周面清掃器51−5、温度測定器51
−6等から構成される。この定着器51の下流側には、
搬出ロール対52、その上方の搬出ガイド53、これか
ら装置前方へ反転して排紙ロール対54が配置される。
排紙ロール対54の前方には本体装置20上面後部と上
蓋21の後面とからなる排紙トレー55が形成されてい
る。
【0037】上記搬送ベルト23と、用紙カセット22
の間に、所定枚数の回路基盤を装着可能な電装部56が
配設されている。この電装部56に配設される回路基盤
には複数の電子部品からなる制御装置(制御手段)が搭
載されている。電装部56の後方にはファン57が配設
され、電装部56から放散される熱や定着器51から漏
出する熱を機外に排出する。
【0038】上記の構成において、本実施の形態におけ
るカラー画像形成装置20の動作を、再び図1及び図2
を用いて説明する。先ず、カラー画像形成装置20への
電源投入後、用紙枚数、用紙サイズ、及びその他の指定
がキー入力あるいは接続するホスト機器からの信号とし
て入力されて、初期設定処理が行われ、印字スタートが
指示されると、不図示の駆動機構によって図1に示す各
部が駆動される。
【0039】この駆動により、 給紙コロ49が1回転
して、用紙カセット22に載置収容されている用紙を最
上部から一枚毎に取り出し、搬送路48を介して待機ロ
ール対47へ給送する。待機ロール対47は、給送され
てきた用紙の先端を挟持したまま停止して待機する。
【0040】これと同時に、一方では、駆動ローラ24
は反時計回り方向に回転し、従動ローラ25が従動して
同じく反時計回り方向に回転する。これにより搬送ベル
ト23は上循環部が感光体ドラム33に当接して全体が
反時計回り方向に循環移動する。そして他方では、感光
体ドラム33が時計回り方向に回転し、初期化帯電ブラ
シ36が感光体ドラム33の周面に一様な電荷を付与し
て高マイナス電位に帯電させ、その帯電した周面に、記
録ヘッド38が画像信号に応じて露光を行って静電潜像
を形成する。現像ローラ39はトナー41を感光体ドラ
ム33周面上の静電潜像の低電位部に転移させてトナー
像を形成(反転現像)する。
【0041】この感光体ドラム33周面上に形成(現
像)されたトナー像の先端が、搬送ベルト23との対向
点に回転搬送されてくるタイミングで、その対向点に用
紙の印字開始位置の先端が一致するように、待機ロール
対47が回転を開始して、用紙を吸着ローラ28と搬送
ベルト23及び従動ローラ25が圧接する用紙搬入部へ
給送する。
【0042】従動ローラ25と吸着ローラ28は、給送
された用紙を搬送ベルト23と共に挟持して回転して用
紙を搬送する。用紙は、各感光体ドラム33に圧接しな
がら搬送され、感光体ドラム33上のトナー像を転写ブ
ラシ46によって順次転写される。トナー像を転写され
た用紙は、搬送ベルト23の下流方向へ搬送され、定着
器51に搬入される。定着器51の発熱ローラ51−2
と圧接ローラ51−1は、トナー像を用紙に熱定着させ
ながら用紙の搬送を引き継いで後方へ搬出する。さらに
搬出ロール対52がその用紙を搬出ガイド53及び排紙
ロール対54を介してトナー像を下にして排紙トレー5
5上に排出する。
【0043】このように動作する本実施の形態における
カラー画像形成装置において、複数種類の溶融点の異な
るトナーを用いた場合におけるストリップオフセット
(以下、単にオフセットという)の発現の態様を実験に
よって調査した。以下、これを説明する。
【0044】図3は、以下の実験に用いられたトナーの
種類を示す図表である。同図は、上段に、トナーの色と
その色毎に溶融点の異なるものを溶融点の低い方から順
に1、2、3、及び4の番号を付して、マゼンタ1、マ
ゼンタ2、・・、シアン1、・・・、イエロー3、イエ
ロー4を示している。中段には、そららのトナーに対応
するガラス転移位点Tg を示している。ガラス転移位点
Tg はいずれも同一の60℃である。そして、下段に
は、上記トナーのマゼンタ1、マゼンタ2、・・、シア
ン1、・・・、イエロー3、イエロー4に夫々対応する
溶融点Tm を示している。各色ともに、番号1は溶融点
Tm が124℃、番号2は溶融点Tm が126℃、番号
3は溶融点Tm が128℃、そして番号4は溶融点Tm
が130℃となっており、番号が大きいほど順に溶融点
が高くなるようにしている。
【0045】これら3色のトナーを種々組み合わせて画
像形成を行うために、図1に示す多段式の4個のプロセ
スユニット30のうち、最上流のプロセスユニット30
aを取り外し(又は休止させ)、次から下流へ3個のプ
ロセスユニット30b、30c及び30dを用いて、以
下に説明する画像形成を行なった。
【0046】図4(a),(b),(c) は、その画像形成の実験
結果を表す図表である。同図(a),(b),(c) の図表におい
て、左端の項目に示す第1色目トナーとは、プロセスユ
ニット30bに収容されたトナーを示し、同様に第2色
目トナーはプロセスユニット30cに収容されたトナ
ー、そして第3色目トナーはプロセスユニット30dに
収容されたトナーを示している。それらの下の項目には
加熱ロール温度が示されており、160℃、170℃、
180℃、190℃及び200℃が設定されている。加
熱ロール温度とは、図1に示した定着器51の発熱ロー
ラ51−2の表面温度である。
【0047】同図(a) は、念のため各色トナーの番号
1、番号2及び番号3を用い、これらのうち1種類のみ
を、上記3個のプロセスユニット30b、30c及び3
0dのいずれかに収容して画像形成を行なった場合の結
果を示す図表である。さらに説明すると、同図(a) に示
す3個のプロセスユニット30a、30b、30cと、
これらに収容されたトナー色との関係は、図の左から、
シアン1をプロセスユニット30bに入れて他のプロセ
スユニット30c及びプロセスユニット30dには何も
入れない場合、マゼンタ1をプロセスユニット30cに
いれて他のプロセスユニット30b及び30dには何も
入れない場合、そして、イエロー1をプロセスユニット
30dに入れて他のプロセスユニット30b及び30c
には何も入れない場合となっている。また、次には、シ
アン2、マゼンタ2又はイエロー2のみを上記同様にプ
ロセスユニット30b、30c又は30dに入れた場
合、及びシアン3、マゼンタ3又はイエロー3のみを上
記同様にプロセスユニット30b、30c又は30dに
入れた場合となっており、夫々の状態で画像形成を行な
った結果を示している。同図表のトナー配設状態と上述
の加熱ロール温度160℃、170℃、180℃、19
0℃及び200℃に対応する枠内に示されている丸印
は、この組合わせで画像形成を行なった結果を、すなわ
ちオフセットが発現したか否かの判定を、示している。
同図(a) の判定に示すように、1色のトナーを用いた場
合には、トナーの溶融点と加熱ロール温度の如何に拘わ
らずオフセットは発現していない。
【0048】次に、同図(b) は、プロセスユニット30
bにシアン1、シアン2又はシアン3を入れ、プロセス
ユニット30cには何も入れず、プロセスユニット30
dに上記夫々の場合についてイエロー1、イエロー2又
はイエロー3を収容して画像形成を行なった場合の結果
を示している。尚、この場合、3個の中間のプロセスユ
ニット30cは、上記の画像形成処理中は、空転写(感
光体ドラム33cが搬送ベルト23上の用紙に直接圧接
して印字処理を行なわず回転すること)を行なってい
る。同図(b) の判定に示すように、中間のプロセスユニ
ット30を空にし、上流と下流のプロセスユニット30
にトナーを入れて用いた場合には、加熱ロール温度が1
90℃以上のとき、2種類のトナーの組合わせによって
はオフセットが発現している。これを詳しく観察する
と、上流にシアン1を配置し下流にイエロー2を配置し
た場合、上流にシアン1を配置し下流にイエロー3を配
置した場合、そして、上流にシアン2を配置し下流にイ
エロー3を配置した場合には、いずれもオフセットは発
現していない。つまり、この場合も、トナーの軟化点
(上記の場合は溶融点で置き換えている)が画像形成部
の上流側から下流側へゆくに従って順次高くなるように
設定すると適正定着温度160℃〜200℃の温度範囲
内でオフセットが発生しない。そして、その他のトナー
の組合わせでは、つまり下流に配置されたトナーの溶融
点が上流側のトナーの溶融点に同じかそれよりも低い
と、190℃〜200℃の高温域でオフセットが発現し
ている。
【0049】そこで、更に念のため、同図(c) に示すよ
うに、上流のプロセスユニット30bにシアン1、シア
ン2又はシアン3を入れることは上記の場合と同様であ
るが、これらと組合わせるトナー色をマゼンタに変更す
るについては、これを入れるプロセスユニット30も変
更することにして、今度は、中間のプロセスユニット3
0cに上記夫々の場合に対応してマゼンタ1、マゼンタ
2又はマゼンタ3を収容して、下流のプロセスユニット
30dを空にすることにした。尚、この場合も、トナー
が空の下流のプロセスユニット30dは、画像形成処理
中は空転写する。このようにして画像形成を行なった場
合の結果を見ると、同図(c) に示すように、下流と上流
で適正とされる軟化点(溶融点)の組合わせと異なるも
のが多々あるにも拘わらず、適正定着温度160℃〜2
00℃の温度範囲内の全てにおいてオフセットは発現し
なかった。明らかに、この画像形成処理においては、い
ままで考えられてきた原理とは異なる原理が働いてい
る。
【0050】これを考察するに、本実施の形態における
カラー画像形成装置は、その画像形成部に接触型の転写
ブラシを用い、画像形成部に搬送されてくる用紙を感光
体ドラムに押圧する(これは転写ローラの場合も同様で
ある)ようにしている。図4(b) の場合は、空転写を行
うプロセスユニット30cの感光体ドラム33cは単に
第1色目のトナー層を紙面に押圧するだけであり第2色
目のトナー層の態様に無関係であるが、図4(c) の場合
は、空転写を行うプロセスユニット30dの感光体ドラ
ム33dは、重ね転写されている第1色目のトナー層と
第2色目のトナー層を重ねた状態で紙面に押圧してい
る。
【0051】図5(a),(b),(c) は、その態様を模式化し
て示したものである。すなわち、初め上流のプロセスユ
ニット30bで第1色目のトナー層T1 を転写され、続
いて中間のプロセスユニット30cで第2色目のトナー
層T2 を同図(a) に示すように転写圧Pで転写されて、
2色のトナー層の境界は2色のトナーが混在して隙間の
多い境界T12を形成している。そして、トナーが空の下
流のプロセスユニット30dで更に転写圧Pで空転写が
行われることにより、同図(b) に示すように、その空転
写の押圧で境界T12の隙間が押し潰され、混在する2色
のトナーの混合が蜜になり、定着器51で熱と押圧を加
えられて、同図(c) に示すように小さな空隙をもった状
態で溶融し、内部で引き合う力F12が大きくなって、上
層のトナーの剥離が抑止されると考えられる。
【0052】このように考えると、上記のように空転写
でなくとも、すなわち、3色のトナーを用いた画像形成
あるいは4色のトナーを用いた画像形成の場合でも、前
段(上流)で形成された2色のトナー層には後段(下
流)の転写によって転写圧が加わるから、下層のトナー
層は場合によっては溶融点に拘わりなく定着時の剥離が
抑止されると推論できる。そして、最上層のトナー層の
みが、ただ1回の転写圧を受けるのみであるから次の層
との境界に空隙があって剥離性が残ると考えられるか
ら、この最上層のトナーすなわち最下流に配置されるト
ナーの溶融点を上流側に配置されるトナーの溶融点より
も高くしてやれば全体としてオフセットの発生を防止で
きると考えることができる。すなわち多段式の接触型転
写部を有する画像形成装置においては、画像形成部に配
置するトナーの溶融点の設定は、必ずしも上流側から下
流側へ順次高くする必要がないのではないかと推論され
る。
【0053】図6乃至図9は、上記の推論に基づいて行
なった実験の結果を示す図表である。この実験は、図3
に示した1色毎に4種類の溶融点を有する合計12種類
の色トナーに、これら色トナーに比較して最高の溶融点
を有する1種類の黒トナーを加えて、13種類のトナー
によって行われた。この黒トナーを1種類とし、かつそ
の溶融点を全体の最高値としたのは、本実施の形態にお
いては、黒トナーを最下流のプロセスユニット30dに
収容することにしているからである。すなわち、最下流
に配置されるトナーの溶融点を一番高く設定して実験を
行うためである。
【0054】この図6乃至図9に示す実験では、各図表
ともに、左端の項目に示すトナー区分の第1色目トナー
はプロセスユニット30aに収容されたトナーを示し、
本例ではマゼンタ1(M1 )、マゼンタ2(M2 )、マ
ゼンタ3(M3 )又はマゼンタ4(M4 )を収容した。
第2色目トナーはプロセスユニット30bに収容された
トナーを示し、本例ではシアン1(C1 )、シアン2
(C2 )、シアン3(C3 )又はシアン4(C4 )を収
容した。また、第3色目トナーはプロセスユニット30
cに収容されたトナーを示し、本例ではイエロー1(Y
1 )、イエロー2(Y2 )、イエロー3(Y3 )又はイ
エロー4(Y4 )を収容した。そして、第4色目トナー
はプロセスユニット30dに収容されたトナーを示し、
本例では、上述したようにいずれの場合も共通に一番高
い溶融点130℃を有するただ1種類の黒トナーを収容
している。また、図表の下方の加熱ロール温度の項目に
は、この場合も適正加熱温度範囲の160℃、170
℃、180℃、190℃及び200℃が設定されてい
る。
【0055】先ず、図6を説明する。ここでは同図の示
すように、第1色目トナーとしてプロセスユニット30
aにマゼンタ1(M1 )を収容して、16種類の実験を
行なった。すなわち、同図の左方から順に示すように、
第2色目トナーとしてプロセスユニット30bにシアン
1(C1 )を収容し、第3色目トナーとしてプロセスユ
ニット30cにイエロー1(Y1 )、イエロー2(Y2
)、イエロー3(Y3)又はイエロー4(Y4 )を収容
した場合、第2色目トナーとしてシアン2(C2 )を収
容し、第3色目トナーとしてにイエロー1(Y1 )、イ
エロー2(Y2)、イエロー3(Y3 )又はイエロー4
(Y4 )を収容した場合、第2色目トナーとしてシアン
3(C3 )を収容し、第3色目トナーとしてにイエロー
1(Y1)、イエロー2(Y2 )、イエロー3(Y3 )
又はイエロー4(Y4 )を収容した場合、そして、第2
色目トナーとしてシアン4(C4 )を収容し、第3色目
トナーとしてにイエロー1(Y1 )、イエロー2(Y2
)、イエロー3(Y3 )又はイエロー4(Y4 )を収
容した場合である。同図には、これら16種類のトナー
配置の組合わせと加熱ロール温度160℃、170℃、
180℃、190℃及び200℃とが対応する欄には、
夫々そのトナー配置の組合わせと加熱ロール温度で行わ
れた画像形成処理の結果の良否が○印又は×印で記され
ている。そして、最下段には合否判定の項目があり、上
記結果に対応して合否の判定が記号「/」、「◎」又は
「△」で示されている。記号「/」は不可であり、記号
「◎」は良しであり、記号「△」は良しではあるがやや
不満とするものである。
【0056】記号「◎」の良しの判定が示された表列6
1及び62のトナー配置の組合わせは(黒トナーは一定
であるので、以下、判定の説明では黒トナーについては
言及を省く)、溶融点のみに注目して、上流から順に番
号1、番号2及び番号1(表列61参照)、又は番号
1、番号3及び番号1(表列62参照)である。
【0057】このような実験結果の傾向を更に知るため
に、図7に示すように実験を重ねた。図7は、第1色目
トナーとしてプロセスユニット30aにマゼンタ2(M
2 )を収容し、これに対して残る2色を組合わせ、16
種類の実験を行なった。つまり、プロセスユニット30
aのトナーを上述した図6の実験のマゼンタ1(M1)
からマゼンタ2(M2 )に変更し、残る2色による全て
の組合わせ、すなわち図6の場合と同様に16種類の組
合わせを、新たなマゼンタ2(M2 )に対応させてプロ
セスユニット30b及び30cに収容して実験を行なっ
た。
【0058】この場合も、図7に示すように、16種類
のトナー配置の組合わせと加熱ロール温度160℃、1
70℃、180℃、190℃及び200℃とが対応する
欄には、夫々そのトナー配置の組合わせと加熱ロール温
度で行われた画像形成処理の結果の良否が○印又は×印
で記されている。そして、最下段の合否判定の項目と上
記結果の対応欄に合否の判定が記号「/」、「◎」又は
「△」で示されている。記号「◎」の良しの判定が示さ
れた表列63、64及び65のトナー配置の組合わせ
は、この場合も溶融点のみに注目して、上流から順に番
号2、番号1及び番号1(表列63参照)、番号2、番
号2及び番号1(表列64参照)、又は番号2、番号3
及び番号2(表列65参照)である。
【0059】更に、このような実験結果の傾向を知るた
めに、図8に示すように実験を重ねた。図8は、第1色
目トナーとしてプロセスユニット30aにマゼンタ3
(M3)を収容し、これに対して残る2色の組合わせで
ある16種類の実験を行なっている。つまり、プロセス
ユニット30aのトナーを上述した図7の実験のマゼン
タ2(M2 )からマゼンタ3(M3 )に変更し、残る2
色による全ての組合わせについては図6及び図7の場合
と同様にして、新たなマゼンタ3(M3 )に対応させて
プロセスユニット30b及び30cに収容して実験を行
なった。
【0060】この場合も、図8に示すように、16種類
のトナー配置の組合わせと加熱ロール温度160℃、1
70℃、180℃、190℃及び200℃とが対応する
欄には、夫々そのトナー配置の組合わせと加熱ロール温
度で行われた画像形成処理の結果の良否が○印又は×印
で記されている。そして、最下段の合否判定の項目と上
記結果の対応欄に合否の判定が記号「/」、「◎」又は
「△」で示されている。記号「◎」の良しの判定が示さ
れた表列66、67、68及び69のトナー配置の組合
わせは、この場合も溶融点のみに注目して、上流から順
に番号3、番号1及び番号1(表列66参照)、番号
3、番号2及び番号2(表列67参照)、番号3、番号
3及び番号1(表列68参照)又は番号3、番号3及び
番号2(表列69参照)である。
【0061】続いて最後のトナー配置の組合わせとなる
トナーの組合わせを用いて図9に示すように実験を重ね
た。図9は、第1色目トナーとしてプロセスユニット3
0aにマゼンタ4(M4 )を収容し、これに対して残る
2色の組合わせである16種類の実験を行なっている。
つまり、プロセスユニット30aのトナーを上述した図
8の実験のマゼンタ3(M3 )からマゼンタ4(M4 )
に変更し、残る2色による全ての組合わせについては図
6、図7及び図8の場合と同様にして、新たなマゼンタ
4(M4 )に対応させてプロセスユニット30b及び3
0cに収容して実験を行なった。
【0062】この場合も、図9に示すように、16種類
のトナー配置の組合わせと加熱ロール温度160℃、1
70℃、180℃、190℃及び200℃とが対応する
欄には、夫々そのトナー配置の組合わせと加熱ロール温
度で行われた画像形成処理の結果の良否が○印又は×印
で記されている。そして、最下段の合否判定の項目と上
記結果の対応欄に合否の判定が示されている。この場合
は全ての判定が不可の記号「/」である。
【0063】以上を総合して、次の結論が得られる。す
なわち、記号「◎」の良しの判定が示されたトナー配置
の組合わせを上流側から溶融点番号で抜き出してみる
と、「1、2、1」、「1、3、1」、「2、1、
1」、「2、2、1」、「2、3、2」、「3、1、
1」、「3、2、2」、「3、3、1」、「3、3、
2」である。これらに、最下流の黒トナーの溶融点番号
「4」を加えると、つまり、上流側から第1番目の感光
体ドラム33aに対応するプロセスユニット30aに収
容すべきトナーから第4番目の感光体ドラム33dに対
応するプロセスユニット30dに収容すべきトナーまで
の夫々の溶融点は、「1、2、1、4」、「1、3、
1、4」、「2、1、1、4」、「2、2、1、4」、
「2、3、2、4」、「3、1、1、4」、「3、2、
2、4」、「3、3、1、4」、「3、3、2、4」の
組合わせが最も適正であると見ることができる。 この
ことから、先ず、トナーの溶融点は、必ずしも上流から
下流に順次高くする必要がないことが判明する。次に、
4色のトナーを組合わせる場合に溶融点の種類は3種類
でよいことが判明する。更に、最下流に配置するトナー
の溶融点は上流側に配置されるどのトナーの溶融点より
も高くする必要があることが判明する(そのような配置
となっていない場合は、全てオフセットが発生してい
る)。また、上流側の3色のトナーに設定される2種類
の溶融点のうち第3番目に配置されるトナーの溶融点は
2種類の溶融点のうちの低い溶融点のものを配置する必
要があることが判明する。
【0064】そして、このようにして得られたトナー配
置の上記8種類の組合わせから任意の組合わせを選択し
て第1番目〜第4番目のプロセスユニット30a〜30
dに収容して画像形成を行うとオフセットは発生しなく
なる。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
4色の画像形成を行うカラー画像形成装置においてトナ
ーの溶融点を3種類で構成してオフセット現象を解消す
ることができ、したがって、トナーの管理手数が軽減さ
れる。また、同様に4色のトナーの溶融点を3種類で構
成することができるので、4色中一番低い溶融点のトナ
ーに対しても比較的高い溶融点を設定でき、したがっ
て、保管中のトナーの固結化現象を解消することができ
る。同様に4色でも固結化という不具合の発生しやすい
低溶融点のトナーを用いる必要がないので、三原色トナ
ーに黒トナーを加えた4色構成とすることが容易とな
り、これにより、カラー画像の黒部分を黒トナーで画像
形成することができ、したがって、鮮明度の良い高画質
の画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態におけるタンデム型のカラー画像
形成装置の構成を示す模式的側断面図である。
【図2】一実施の形態におけるカラー画像形成装置に着
脱自在に装着されるプロセスユニットの側断面図であ
る。
【図3】一実施の形態におけるカラー画像形成装置によ
る画像形成処理の実験に用いられたトナーの種類を示す
図表である。
【図4】(a),(b),(c) は一実施の形態におけるカラー画
像形成装置による画像形成処理の実験結果を表す図表で
ある。
【図5】(a),(b),(c) は一実施の形態において第1色目
のトナーと第2色目のトナーを重ね転写したのち下流の
転写部で空転写した場合の態様を模式化して示す図であ
る。
【図6】一実施の形態におけるカラー画像形成装置を用
いて行なった各種溶融点別トナーの組合わせによる画像
形成実験の結果を示す図表(その1)である。
【図7】一実施の形態におけるカラー画像形成装置を用
いて行なった各種溶融点別トナーの組合わせによる画像
形成実験の結果を示す図表(その2)である。
【図8】一実施の形態におけるカラー画像形成装置を用
いて行なった各種溶融点別トナーの組合わせによる画像
形成実験の結果を示す図表(その3)である。
【図9】一実施の形態におけるカラー画像形成装置を用
いて行なった各種溶融点別トナーの組合わせによる画像
形成実験の結果を示す図表(その4)である。
【図10】従来のタンデム型の多色画像形成装置の一例
を側断面図で模式的に示す図である。
【図11】(a),(b) は従来の小型の多色画像形成装置に
おける非オフセット系トナーによるオフセット現象を説
明する図である。
【図12】(a) はオフセット現象における定着ローラ、
1色のトナー層及び転写紙間の各境界に働く力を説明す
る図、(b) は同じく定着ローラ、2色目トナー層、1色
目トナー層及び転写紙間の各境界に働く力を説明する図
である。
【図13】(a) はオフセット現象における2つのトナー
層が重ね合わせられた場合の定着前の状態を模式的に示
す図、(b) は同じく定着時に混合層に大きな空隙が保持
されていることを示す図、(c) は同じく2つのトナー層
が加熱ロール側と転写紙側に夫々引き剥がされることを
示す図である。
【符号の説明】
1 多色画像形成装置 2 用紙カセット 3 給紙コロ 4 待機ロール対 P 用紙 5 ベルト 6 感光体ドラム 7 初期化帯電器 8 現像器 8−1 現像ローラ 9 転写帯電器 11 クリーナ 12 レーザーヘッド 12−1 回転鏡 12−2 集束レンズ 12−3 反射鏡 12−4 照射口 13 定着部 14 搬出ローラ対 16 オイル溜り槽 17 加熱ローラ 18 加圧ローラ 20 カラー画像形成装置(本体装置) 21 上蓋 22 用紙カセット 23 搬送ベルト 24 駆動ローラ 25 従動ローラ 26 補助ローラ 27 テンションローラ 28 吸着ローラ 30(30a、30b、30c、30d) プロセスユ
ニット 31 ドラムセット部 32 現像セット部 33(33a、33b、33c、33d) 感光体ドラ
ム 34 ドラムカバー 35 クリーナ 36 初期化帯電ブラシ 37 溝孔 38 記録ヘッド 39 現像ローラ 41 トナー 42 攪拌部材 43 供給ローラ 44 ドクターブレード 46(46a、46b、46c、46d) 転写ブラシ 47 待機ロール対 48 搬送路 49 給紙コロ 51 定着器 51−1 圧接ローラ 51−2 発熱ローラ 51−3 オイル塗布ローラ 51−4 分離爪 51−5 周面清掃器 51−6 温度測定器 52 搬出ロール対 53 搬出ガイド 54 排紙ロール対 55 排紙トレー 56 電装部 57 ファン
フロントページの続き (72)発明者 龍興 修 東京都東大和市桜が丘2丁目229 番地 カシオ電子工業株式会社内 (72)発明者 広野 武男 東京都東大和市桜が丘2丁目229 番地 カシオ電子工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−295431(JP,A) 特開 平5−19567(JP,A) 特開 平5−197256(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 13/01 G03G 15/01 - 15/01 117

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 並設された複数の像担持体と、 該複数の像担持体に各々静電潜像を形成する複数の静電
    潜像形成手段と、 前記複数の像担持体表面に形成された静電潜像を所定の
    色トナーを用いて対応する色トナー像に現像する複数の
    現像手段と、 前記複数の像担持体に転写材を接触させるべく該転写材
    を搬送する転写材搬送手段と、 前記複数の像担持体に対応させて転写部を構成すべく配
    設され前記像担持体に接触中の転写材に前記色トナー像
    を転写するための複数の転写手段と、 前記複数の転写手段を介して前記転写材に重ね転写され
    た色トナー像を前記転写材に定着させるために前記色ト
    ナー像側に接触する熱ローラと該熱ローラに圧接すべく
    配設された圧接ローラとからなり、搬送される前記転写
    材を挟持搬送する定着ローラ対と、 を備えた多色画像形成装置において、 前記像坦持体を4個で構成し、 前記転写材搬送方向の上流側から第4番目の前記像担持
    体に対応する第4現像手段に用いる色トナーの溶融点
    を、前記第4現像手段の上流側に順次隣接される第3、
    第2、及び第1現像手段に用いる各色卜ナーの溶融点よ
    りも高く設定し、且つ、前記第3現像手段に用いる色卜
    ナーの溶融点を、前記第2、第1現像手段のいずれかに
    用いる色トナーの溶融点よりも低く設定したことを特徴
    とする多色画像形成装置。
  2. 【請求項2】 前記転写材搬送方向の上流側から第4番
    目の前記像担持体に対応する第4現像手段に用いる色ト
    ナーの溶融点を、前記第4現像手段の上流側に順次隣接
    される第3、第2、及び第1現像手段に用いる各色卜ナ
    ーの溶融点よりも高く設定し、前記第3、前記第2、第
    1現像手段に用いる色卜ナーの溶融点のいずれか2つを
    同一溶融点とし、且つ、前記第3現像手段に用いる色卜
    ナーの溶融点を、前記第2、第1現像手段のいずれかに
    用いる色トナーの溶融点よりも低く設定したことを特徴
    とする請求項1記載の多色画像形成装置。
  3. 【請求項3】 前記4個の像担持体に対応した4個の転
    写手段は、各々対応する像担持体に前記転写材を圧接さ
    せるべく設けられた接触型転写手段であることを特徴と
    する請求項1又は2記載の多色画像形成装置。
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