JP3277706B2 - 電子写真感光体およびそれを用いた電子写真法 - Google Patents

電子写真感光体およびそれを用いた電子写真法

Info

Publication number
JP3277706B2
JP3277706B2 JP18299394A JP18299394A JP3277706B2 JP 3277706 B2 JP3277706 B2 JP 3277706B2 JP 18299394 A JP18299394 A JP 18299394A JP 18299394 A JP18299394 A JP 18299394A JP 3277706 B2 JP3277706 B2 JP 3277706B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrophotographic
weight
parts
layer
photoreceptor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP18299394A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0830008A (ja
Inventor
高明 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Fujifilm Business Innovation Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd, Fujifilm Business Innovation Corp filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP18299394A priority Critical patent/JP3277706B2/ja
Publication of JPH0830008A publication Critical patent/JPH0830008A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3277706B2 publication Critical patent/JP3277706B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐磨耗性、耐汚染表面
潤滑性に優れ、かつ残留電位の低い電子写真用感光体お
よびそれを使用する電子写真法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、有機感光体の耐刷性を向上させる
方法としては種々の方法が考案されている。その中で
も、感光層上に耐磨耗層を積層させ、この層に耐磨耗性
能の機能を持たせた電子写真感光体に関して、機能分離
により耐刷性の向上がはかれることが、特開昭60−3
638号公報に記載されている。この公報に記載されて
いる方法によれば、導電性微粉末を結着樹脂中に分散さ
せた層を設けることにより耐久性が顕著に改善できる
が、次のような問題点が内在している。すなわち、その
一つは、耐磨耗性が極めて良好であるため、本来磨耗と
共に除去されていた異物がかえって表面に残留し、感光
体を長期間使用していると、帯電時に発生するオゾンと
共に導電性イオンと推定される異物が生じ、高湿下で画
像にじみが発生するという問題がある。また、他の一つ
は、抵抗調整用の導電性微粉末を分散させてはいるが、
結着樹脂中に特に低湿下において電荷が蓄積され、残留
電位が高めになるという問題がある。また、特開平5−
45920号公報には、ポリテトラフルオロエチレン等
のフッ素樹脂微粉末を7重量%程度まで混合した保護層
を有する電子写真感光体が開示されている。しかしなが
ら、この電子写真感光体は、耐久性においては優れてい
るが、残留電位の上昇が見られるという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術
における上記のような問題点に鑑みてなされたものであ
って、その目的は、高湿下で画像にじみの発生を抑制
し、かつ、低湿下においても残留電位の高くならない低
磨耗性を有する保護層を設けた電子写真感光体を提供す
ることにある。本発明の他の目的は、上記の電子写真感
光体を使用して優れた画質の画像を形成することができ
る電子写真法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の電子写真感光体
は、導電性基体上に感光層、保護層を順次形成してなる
ものであって、その保護層が、結着樹脂としてアクリル
ポリオールとポリイソシアネートで反応させたポリウレ
タン樹脂を含み、該結着樹脂中に金属酸化物粉末とフッ
素含有樹脂粉末とを分散したものであり、かつ、該金属
酸化物が結着樹脂100重量部に対して20〜180重
量部の範囲で含有されていることを特徴とする。本発明
の電子写真法は、感光体を、帯電、露光、現像、転写お
よびクリーニングすることにより、繰り返し複写画像を
得るものであって、感光体として上記した保護層を有す
る電子写真感光体を使用し、かつ、感光体を帯電する方
法が、帯電部材を感光体表面に接触させて行うものであ
ることを特徴とする。
【0005】図1は、本発明の電子写真感光体の概略構
成図を示すものであって、図中、11は導電性基体、1
2は下引き層、13は電荷発生層、14は電荷輸送層、
15は保護層であり、保護層中には、金属酸化物粉末と
フッ素原子含有樹脂粉末が分散されている。
【0006】本発明の電子写真感光体における導電性基
体としては、電子写真感光体において使用されるもので
あれば、何如なるものでも使用できる。例えば、アルミ
ニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼等の金属類、
およびアルミニウム、チタニウム、ニッケル、クロム、
ステンレス鋼、金、バナジウム、酸化錫、酸化インジウ
ム、ITO等の薄膜を設けたプラスチックフィルム等、
或いは導電性付与剤を塗布、または含浸させた紙、およ
びプラスチックフィルム等があげられる。これらの導電
性支持体は、ドラム状、シート状等、適宜の形状のもの
として使用されるが、これらに限定されるものではな
い。更に、必要に応じて導電性支持体の表面は、画質に
影響のない範囲で各種の処理を行うことができる。例え
ば、表面の酸化処理や薬品処理、および着色処理等、ま
たは、砂目立て等の乱反射処理を行うことができる。
【0007】導電性基体の上には、所望に応じて下引き
層が形成されてもよい。下引き層を形成する材料として
は、ポリビニルブチラール、ポリビニルピリジン、ポリ
ビニルピロリドン、フェノール樹脂、ポリビニルアルコ
ール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオ
キシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレ
ン−アクリル酸エステル共重合体、ポリアミド、カゼイ
ン、ゼラチン、シランカップリング剤等、下引き層形成
材料として公知のものであれば、如何なるものでも使用
することができる。下引き層の膜厚は、一般に0.2〜
2μmに設定される。
【0008】下引層の上には感光層が設けられるが、感
光層は単層構造でも積層構造でもよい。単層構造の場合
としては、色素増感されたZnO感光層、CdS感光層
や、電荷発生材料等を電荷輸送材料またはそれを含む結
着樹脂中に分散させた感光層等をあげることができる。
また、積層構造の場合には、電荷発生層と電荷輸送層と
に機能分離されたものがあげられる。導電性基体上にお
ける電荷発生層と電荷輸送層の積層順序は、いずれが先
であってもよい。電荷発生層は、電荷発生材料を必要に
応じて結着樹脂に分散させて形成させる。電荷発生材料
としては、例えばセレンおよびセレン合金;CdS、C
dSe、CdSSe、ZnOおよびZnS等の無機光導
電体;金属または無金属フタロシアニン顔料;ビスアゾ
顔料、トリスアゾ顔料等のアゾ顔料;スクエアリウム化
合物;アズレニウム化合物;ペリレン系顔料;インジゴ
顔料;キナクリドン顔料;多環キノン顔料;シアニン色
素;キサンテン染料;ポリ−N−ビニルカルバゾールと
トリニトロフルオレノン等からなる電荷移動錯体;ピリ
リウム塩染料とポリカーボネート樹脂からなる共晶錯体
等があげられる。結着樹脂としては、周知のもの、例え
ば、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、
ポリビニルブチラール、メタクリル酸エステル重合体ま
たは共重合体、酢酸ビニル重合体または共重合体、セル
ロースエステルまたはエーテル、ポリブタジエン、ポリ
ウレタン、エポキシ樹脂等が用いられる。電荷発生層の
膜厚は0.1〜0.5μmの範囲が好ましい。
【0009】電荷輸送層は、電荷輸送材料を主成分とし
て構成される。電荷輸送材料としては、可視光に対して
透明であり、かつ、電荷輸送能力を有するものであれば
特に制限されるものではなく、具体的には、イミダゾー
ル、ピラゾリン、チアゾール、オキサジアゾール、オキ
サゾール、ヒドラゾン、ケタジン、アジン、カルバゾー
ル、ポリビニルカルバゾール等およびそれらの誘導体、
トリフェニルアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベンジ
ジン誘導体等があげられる。必要に応じて結着樹脂が併
用されるが、結着樹脂としては、例えばポリカーボネー
ト、ポリアリレート、ポリエステル、ポリスチレン、ス
チレン−アクリロニトリル共重合体、ポリスルホン、ポ
リメタクリル酸エステル、スチレン−メタクリル酸エス
テル共重合体等があげられる。電荷輸送層の膜厚は10
〜30μmの範囲が好ましい。
【0010】感光層の上には保護層が設けられる。保護
層は、アクリルポリオールとポリイソシアネートで反応
させたポリウレタン樹脂を含む結着樹脂中に、金属酸化
物粉末とフッ素原子含有樹脂粉末とが分散されて構成さ
れている。本発明において使用するポリウレタン樹脂を
形成するアクリルポリオールとしては、例えば CH2 =CH−CO−(OC3 6 3 −O−COCH
=CH2 CH2 =CH−CO−(OC2 4 4 −O−COCH
=CH2 CH2 =CH−CO−(OC2 4 9 −O−COCH
=CH2 (CH2 =CH−COOCH2 3 C−CH2 OH (CH2 =CH−COOCH2 3 C−C2 5 〔(CH2 =CH−COOCH2 3 C−CH2 2
O 等があげられるが、特にヒドロキシエチルメタクリレー
トを単量体成分として含有するアクリル共重合体が好ま
しく使用される。具体的には、スチレン−メチルメタク
リレート−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、
ヒドロキシエチルメタクリレートとアクリル酸またはメ
タクリル酸の置換または未置換アルキルエステルまたは
フェニルエステルとの共重合体等があげられる。これら
共重合に使用されるアクリル酸エステルおよびメタクリ
ル酸エステルの具体例としては、例えば、メチルアクリ
レート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、
エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピ
ルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタク
リレート、ペンチルアクリレート、ペンチルメタクリレ
ート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレー
ト、ヘプチルアクリレート、ヘプチルメタクリレート、
オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、フェ
ニルアクリレート、フェニルメタクリレート等があげら
れる。また、ポリイソシアネートとしては、例えば、キ
シリレンジイソシアネート(XDI)、トリレンジイソ
シアネート(TDI)、下記式(1)で示されるビウレ
ットタイプのイソシアネート、下記式(2)で示される
イソシアヌレートタイプのイソシアネート、下記式
(3)で示されるアダクトタイプのイソシアネート等が
あげられる。
【化1】
【0011】本発明において使用するフッ素含有樹脂粉
末としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロ
トリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリジ
クロロジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−
パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラ
フルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合
体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレ
ン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等の
微粉末があげられる。これらフッ素含有樹脂粉末は、粒
径0.01〜10μmの範囲のものが好ましく使用され
る。また、これらフッ素含有樹脂粉末の配合量は、結着
樹脂100重量部に対して1ないし80重量部の範囲が
好ましい。フッ素含有樹脂粉末の配合量が、結着樹脂1
00重量部に対して1重量部よりも低くなると、表面潤
滑性が悪化し、偏摩耗、クリーニングブレード異音発生
(鳴き)等が生じる。また、80重量部よりも高くなる
と、光感度が低くなる。
【0012】また、金属酸化物粉末としては、酸化錫、
酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ビスマ
ス、酸化インジウム、それらの混合物および複合酸化物
等があげられる。これら金属酸化物粉末は、106
1.5×108 Ω・cmの範囲の導電率を有するもので
あって、粒径0.01〜0.3μmの範囲のものが好ま
しく使用される。また、これら金属酸化物粉末の配合量
は、結着樹脂100重量部に対して20〜180重量部
の範囲である。金属酸化物粉末の配合量が、結着樹脂1
00重量部に対して20重量部よりも少なくなると、低
温低湿条件下において残留電位が上昇し、低濃度画像に
なり、180重量部よりも多くなると、高温高湿環境下
において、白ぬけや像にじみが発生する。
【0013】保護層は、次のようにして形成することが
できる。先ず、上記アクリルポリオールを適当な溶剤に
溶解し、金属酸化物粉末およびフッ素含有樹脂粉末を添
加して分散させた分散液に、ポリイソシアネートを硬化
剤として添加し、得られた塗布液を感光層上に、例え
ば、スプレー塗布等によって塗布した後、加熱乾燥し
て、アクリルポリオールとポリイソシアネートを反応さ
せればよく、それによって、ポリウレタン樹脂中にフッ
素含有樹脂粉末と金属酸化物粉末が分散した保護層が形
成される。保護層の膜厚は、0.1〜10μmの範囲が
好ましい。膜厚が0.1μmよりも薄い場合には、耐傷
耐摩耗層としての機能に乏しくなり、また膜面も荒れ
る。また、10μmよりも厚くなると、塗膜にだれが発
生し、均一に塗布することができなくなる。上記の保護
層は、低摩擦性であって耐磨耗性に優れたものであり、
この保護層を設けた本発明の電子写真感光体は、高湿下
で画像にじみの発生を抑制し、かつ、低湿下においても
残留電位が上昇しないものとなる。
【0014】本発明の電子写真感光体は、帯電ロール等
の帯電部材を感光層に接触して帯電を行う静電複写シス
テムに使用するのに適している。次に、本発明の電子写
真法について説明する。図2は本発明の電子写真法に使
用する電子写真複写装置の一例の概略構成図である。電
子写真感光体1の周囲に、接触帯電器2、露光装置3、
現像器4、転写装置5、クリーニング装置6および除電
器7が配設されている。除電器7は設けなくても構わな
い。電子写真感光体1は、矢印方向に回転して、接触帯
電器2により一様に帯電された後、露光装置3によって
像露光され、形成された静電潜像は、次いで現像器4で
トナーによって顕像化される。次いで、コロナ帯電器等
の転写装置5により転写紙8に転写され、定着装置9に
よってトナー像が定着される。電子写真感光体1の表面
に残留するトナーは、ブレードクリーナー等を備えたク
リーニング装置6によってクリーニングされ、除電器7
により除電される。除電された後の電子写真感光体は、
再び次のサイクルにおいて接触帯電器2によって一様帯
電され、上記したように画像形成が行われる。本発明に
おいて、接触帯電は、感光体に当接する筒状帯電部材、
いわゆる帯電ロールを用いて行うのが、残留電位上昇の
抑制効果が高いので好ましい。帯電ロールとしては、表
面に導電性微粒子を分散させた弾性ゴム材料によって形
成された表面層を有するものが好ましく使用される。
【0015】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に詳細に説
明する。なお「部」は全て「重量部」を意味する。 実施例1 X型無金属フタロシアニン20重量部をボールミルに入
れ、60rpmで60分間乾式粉砕を行った。次いで、
10部のポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−
1、積水化学社製)を、予め600部のシクロヘキサノ
ンに溶解した溶液に、上記のように粉砕して得たX型無
金属フタロシアニンをボールミル中で24時間分散処理
した。一方、8−ナイロン樹脂(ラッカマイド500
3、大日本インキ化学工業社製)のメタノール/n−ブ
タノール混合溶液を、30mmφ×252mmのアルミ
ニウムパイプ上に塗布して、1.0μmの膜厚の下引き
層を形成した。次いで、上記のようにして得られた分散
液を、リング塗布器により塗布し、120℃で10分間
加熱乾燥を行い、膜厚0.3μmの電荷発生層を形成し
た。形成された電荷発生層の上に、電荷輸送層を形成し
た。すなわち、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス
(3−メチルフェニル)−[1,1′−ビフェニル]−
4,4′−ジアミン4部を電荷輸送材料とし、ポリカー
ボネートZ樹脂6部と共にモノクロロベンゼン40部に
溶解させ、得られた溶液を浸漬塗布法によって塗布し、
次いで110℃で1時間乾燥して、膜厚20μmの電荷
輸送層を形成した。
【0016】次に、組成比約4:7:2(重量比)であ
るスチレン−メチルメタアクリレート−ヒドロキシエチ
ルメタアクリレート共重合体よりなる加熱残分約38%
のアクリルポリオール(GR4026C、関西ペイント
社製)170重量部に酸化錫微粉末(S−1、三菱マテ
リアル社製)(粒径1.3μm以下約90%、0.15
μm以下約30%、0.15〜0.25μm約30%の
粒度分布を有する)100重量部を加え、キシレンを主
剤としたシンナー(レタンシンナー、関西ペイント社
製)90重量部、10mm直径のステンレス鋼製球形メ
ディア4000重量部を直径約160mm、高さ170
mmのステンレス鋼製ボールミルポットに入れ、60r
pmにて24時間分散処理を行って混合した。その後、
フィルターを通して、この酸化錫微粉末を分散した結着
樹脂を取り出し、前記したシンナーを更に400重量部
追加し混合した。更にこれに24重量部のヘキサメチレ
ンジイソシアネートを硬化剤として加えた。酸化錫微粉
末の配合割合は、結着樹脂100重量部に対し、155
重量部であった。得られた混合物に、潤滑剤となる粒径
約5μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)微
粉末をイソプロピルアルコールに分散した30重量%濃
度の分散液(VYDAX IPA、デュポン社製)17
0重量部を添加して、保護層形成用の塗布液を得た。V
YDAX IPAはイソプロピルアルコールにPTFE
微粉末を30%の固形分含量としているため、結着樹脂
100重量部に対するPTFE微粉末の割合は、ほぼ7
9重量部であった。得られた塗布液を、前記のごとく形
成した電荷輸送層の上にスプレー塗布し、膜厚約3μm
の保護層を形成した。スプレー塗布には、岩田自動スプ
レーガンSA−88(岩田塗装機工業社製)を使用し、
空気圧力3kg/cm2 、塗布液噴出量約110cc/
分、パターン開度約130mmの条件で、約50cmの
距離を離して、アルミニウムパイプを70rpmで回転
させながら電荷輸送層の表面にスプレー塗布を行った。
その後、この形成された塗布層を120℃で4時間の硬
化、乾燥を行い、目的の低摩耗性の保護層を有する電子
写真感光体を得た。
【0017】この電子写真感光体を、接触帯電ローラ方
式を採用するプリンター(PC−PR1000/4R、
日本電気社製)(Laser Write Selec
t61C、マッキントッシュ社製)に装着し、低温低湿
下において、連続して約10000枚の複写操作を行っ
たが、この間画質に関わる問題の発生はなかった。この
時の感光体の残留電位を測定したところ、約−80Vで
あり、使用上では全く問題のないレベルであった。10
000枚複写物を採取に至るまで、3回感光体表面を観
察したが、表面は極めて清浄な状態であった。なお、こ
の電子写真感光体について、明減衰性能を測定したとこ
ろ、約−360Vに帯電した感光体に波長780nmの
光を10mJ/m2 の露光をした場合には、電位が約−
60Vに減衰した。図3に明減衰特性を示す。引き続き
高温高湿において、約10000枚の複写物を採取した
が、この間、像にじみ等の問題の発生もなく、また感光
体表面も極めて清浄であった。
【0018】比較例1 実施例1と同様にして下引き層、電荷発生層および電荷
輸送層を形成した。次に、実施例1と同様のスチレン−
メチルメタアクリレート−ヒドロキシルエチルメタアク
リレートからなるアクリルポリオールに酸化錫微粉末
(S−1)58重量部のみを実施例1と同様に添加し、
ボールミルにて分散し、塗布液を得た。これを実施例で
使用したスプレー塗布装置により、約4μmの膜厚に塗
布、硬化、乾燥して、耐磨耗性の保護層を形成した。得
られた電子写真感光体をプリンター(PC−PR100
0/4R、日本電気社製)に装着し、低温低湿下、25
00枚連続複写操作を行ったところ、2400枚位から
像濃度の若干の低下が認められ、この時、現像位置での
感光体電位を測定したところ、約−220Vに達してい
た。したがって、像濃度の低下は、残留電位の上昇によ
るものと考えられる。なお、この電子写真感光体につい
て、明減衰特性を調査したところ、約−360Vに帯電
した感光体に波長780nmの光を10mJ/m2 の露
光をした場合には、電位が約−80Vに減衰した。図3
に明減衰特性を示す。
【0019】実施例2 実施例1と同様にして下引き層、電荷発生層および電荷
輸送層を形成した。次に、実施例1と同様のアクリルポ
リオール230重量部に酸化アンチモン・酸化錫混合微
粉末(T−1、三菱マテリアル社製)60重量部を加
え、直径約160mm、高さ170mmのステンレス鋼
製ボールミルポットに、キシレンを主剤とするシンナー
(レタンシンナー、関西ペイント社製)40重量部およ
び直径10mmのガラス製メディア1100重量部を入
れ、20時間にわたり、60rpmで混合し、分散させ
た。実施例1と同様に処理し、更にレタンシンナー36
0重量部を追加し、ヘキサメチレンジイソシアネート3
5重量部を硬化剤として加えた。これに実施例1と同様
にPTFE微粉末(VYDAX IPA)380重量部
を加え、低磨耗性の保護層形成用塗布液を得た。保護層
全体に占めるPTFE微粉末の重量比は約36%となっ
た。この塗布液を、実施例1と同じ装置により、約4μ
mの膜厚にスプレー塗布した。その後140℃で5時間
の乾燥を行って、目的の電子写真感光体を得た。この電
子写真感光体を、プリンター(PC−PR1000/4
R、日本電気社製)に装着し、低温低湿、高温高湿の環
境下、一日毎交互に繰り返し複写操作を行った。この間
低温低湿にて約10000枚の複写物を採取した時点で
残留電位を測定したところ、約−90Vであった。約1
5000枚採取した時点で、感光体表面を観察したが、
表面状態は極めて良好であり、付着、部分的磨耗、汚れ
等は全く観察されなかった。また、クリーニング用ブレ
ードの当接部分と非当接部分の境界も分からなかった。
更に継続して追加の複写操作を行い、35000枚の複
写物を得たが、その間、画質に関するトラブルは全く認
められなかった。その際の保護層の磨耗量は0.3μm
であった。なお、この電子写真感光体について、明減衰
特性を調査したところ、約−360Vに帯電した感光体
に波長780nmの光を10mJ/m2 の露光をした場
合には、電位が約−85Vに減衰した。
【0020】比較例2 実施例2で示した方法で、PTFE微粉末を混合しない
以外は、全く同様にして塗布液を作製し、同様にしてス
プレーにより約3μmの耐磨耗性の保護層を形成した。
硬化、乾燥した後、得られた電子写真感光体をプリンタ
ー(PC−PR1000/4R、日本電気社製)に装着
し、高温高湿環境下、連続して複写操作を行った。約9
000枚複写したところで画像のにじみを認めた。この
ため、表面をイソプロピルアルコールで洗浄したとこ
ろ、画像にじみは回復した。したがって、画像にじみの
発生は、表面への付着物によるトラブルと考えられる。
連続1万枚複写後の磨耗量は0.8μmであった。な
お、この電子写真感光体について、明減衰特性を調査し
たところ、約−360Vに帯電した感光体に波長780
nmの光を10mJ/m2 の露光をした場合には、電位
が約−145Vに減衰した。
【0021】実施例3 実施例1と同様にして下引き層、電荷発生層および電荷
輸送層を形成した。次に、実施例1におけると同様のア
クリルポリオールを用い、同様にして酸化錫導電粉を分
散した保護層形成用の塗布液(ヘキサメチレンジイソシ
アネートは投入済み)を準備した。この塗布液に、結着
樹脂100重量部に対し50重量部となる量のポリテト
ラフルオロエチレン微粉末(ルブロンL−5、ダイキン
社製)を添加し、ボールミルにて、約4時間の分散を行
った後、実施例1で示した有機光導電体に膜厚約4μm
でスプレー塗布し、135℃にて約5時間の硬化、乾燥
を行った。この様にして、得られた感光体について、電
気特性評価試験器によって、明減衰特性を調べたとこ
ろ、−360V帯電で10mJ/m2 の露光を行った場
合には−100Vに減衰した。(図4参照) 比較例3 実施例3において、PTFE微粉末を添加しない以外は
全く同様にして電子写真感光体を作製した。このものに
ついて実施例3と同様にして明減衰特性を調べたとこ
ろ、−360V帯電で10mJ/m2 の露光を行った場
合には−125Vに減衰した。(図4参照)
【0022】実施例4 実施例1において、保護層におけるPTFE微粉末の量
を結着樹脂100重量部に対し30重量部に固定し、酸
化錫微粉末の量を結着樹脂100重量部に対し、10、
100、155および200重量部に変化させた以外
は、同様にして電子写真感光体を作製した。なお、保護
層の膜厚は、3.5ないし4μmに設定した。得られた
電子写真感光体について、実施例1と同様にプリンター
(PC−PR1000/4R、日本電気社製)に装着し
て複写操作を行った。また、常温常湿において、−36
0V帯電で10mJ/m2 の露光を行った場合の明減衰
特性も調査した。その結果、酸化錫微粉末の量が10重
量部の場合は、低温低湿において、残留電位レベルが高
めであり、低温低湿下で連続複写操作を行った場合、約
5000枚で低濃度の画像が得られるようになった。ま
た、酸化錫微粉末の量が200重量部の場合は、高温高
湿下で、1日当たり約2500枚の連続複写を4日間行
ったところ、約1万枚目の複写において、密度の高い線
画像に、白抜けの状態が発生し、その他文字について
は、輪郭が不明瞭となり、いわゆる像ににじみが発生す
る状態になった。同様なテストを酸化錫微粉末の量が1
00、155重量部のものについても実施したが、これ
らの場合については何等問題は発生しなかった。以上の
結果を表1にまとめて示す。
【0023】実施例5 実施例1において、保護層における酸化錫微粉末の量を
155重量部に固定し、PTFE微粉末の量を1、5、
80および90重量部に変化させた以外は、同様にして
電子写真感光体を作製した。なお、保護層の膜厚は、
3.5ないし4μmに設定した。得られた電子写真感光
体について、実施例1と同様にして複写操作を行った。
また、常温常湿において、−360V帯電で10mJ/
2 の露光を行った場合の明減衰特性も調査した。その
結果、PTFE微粉末の量が1、5および80重量部の
場合については、実用上何等問題が生じなかったが、P
TFE微粉末の量が90重量部の場合については、感光
体が低感度を示し、残留電位も−250V程度であり、
使用が困難であった。以上の結果を表1にまとめて示
す。
【0024】実施例6 保護層の膜厚を0.1μm、1μm、10μm、11μ
mに設定する以外は、実施例1とまったく同様にして電
子写真感光体を作製した。その結果、保護層の膜厚が1
0μmまでのものについては、塗膜形成が良好に行われ
た。しかしながら、膜厚が11μmになるように塗工し
た場合には、塗膜のダレが発生し、均一な塗布ができな
かった。得られた電子写真感光体について、常温常湿に
おいて、−360V帯電で10mJ/m2 の露光を行っ
た場合の明減衰特性も調査した。その結果を表1に示
す。
【0025】
【表1】
【0026】
【0027】
【発明の効果】本発明の電子写真感光体は、表面の保護
層において、結着樹脂中に導電性の金属酸化物微粉末と
共にポリテトラフルオロエチレン微粉末を分散させるこ
とにより、残留電位上昇が抑制され、高温高湿下での異
物付着の汚れが防止され、また、耐磨耗性能も向上す
る。更にこの電子写真感光体は、帯電ロールを使用する
電子写真方式を採用する静電複写システムにおいて、そ
の性能をより効果的に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電子写真感光体の一例の模式的断面
図である。
【図2】 本発明の電子写真法に用いる電子写真装置の
概略構成図である。
【図3】 実施例1および比較例1での電子写真感光体
の明減衰特性を示すグラフである。
【図4】 実施例3および比較例3での電子写真感光体
の明減衰特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1…電子写真感光体、2…接触帯電器、3…露光装置、
4…現像器、5…転写装置、6…クリーニング装置、7
…除電器、8…転写紙、9…定着装置、11…導電性基
体、12…下引き層、13…電荷発生層、14…電荷輸
送層、15…保護層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−358158(JP,A) 特開 平5−181299(JP,A) 特開 平5−216266(JP,A) 特開 平5−66598(JP,A) 特開 平4−258962(JP,A) 特開 平5−94035(JP,A) 特開 平4−281461(JP,A) 特開 平6−35220(JP,A) 特開 平6−67460(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 5/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基体上に感光層、保護層を順次形
    成してなる電子写真感光体において、該保護層が、結着
    樹脂としてアクリルポリオールとポリイソシアネートで
    反応させたポリウレタン樹脂を含み、該結着樹脂中に金
    属酸化物粉末とフッ素含有樹脂粉末とを分散したもので
    り、かつ、該金属酸化物が結着樹脂100重量部に対
    して20〜180重量部の範囲で含有されていることを
    特徴とする電子写真感光体。
  2. 【請求項2】 該アクリルポリオールがヒドロキシエチ
    ルメタクリレートを単量体成分として含有するアクリル
    共重合体であることを特徴とする請求項1記載の電子写
    真感光体。
  3. 【請求項3】 感光体を、帯電、露光、現像、転写およ
    びクリーニングすることにより、繰り返し複写画像を得
    る電子写真法において、感光体として請求項1に記載の
    電子写真感光体を使用し、かつ、感光体を帯電する方法
    が、帯電部材を感光体表面に接触させて行うものである
    ことを特徴とする電子写真法。
JP18299394A 1994-07-13 1994-07-13 電子写真感光体およびそれを用いた電子写真法 Expired - Fee Related JP3277706B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18299394A JP3277706B2 (ja) 1994-07-13 1994-07-13 電子写真感光体およびそれを用いた電子写真法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18299394A JP3277706B2 (ja) 1994-07-13 1994-07-13 電子写真感光体およびそれを用いた電子写真法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0830008A JPH0830008A (ja) 1996-02-02
JP3277706B2 true JP3277706B2 (ja) 2002-04-22

Family

ID=16127884

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18299394A Expired - Fee Related JP3277706B2 (ja) 1994-07-13 1994-07-13 電子写真感光体およびそれを用いた電子写真法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3277706B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101086402B1 (ko) 2004-08-30 2011-11-25 삼성전자주식회사 영상 분할 방법
JP5835065B2 (ja) * 2011-08-24 2015-12-24 コニカミノルタ株式会社 有機感光体及び画像形成装置、画像形成方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0830008A (ja) 1996-02-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR0158921B1 (ko) 전자 사진용 감광성 부재, 이를 사용한 전자 사진 장치 및 장치 유닛
US5667926A (en) Electrophotographic apparatus and image forming process
JPS61123850A (ja) 電子写真感光体及び画像形成法
JP2666314B2 (ja) 電子写真感光体
JPH0664393B2 (ja) 帯電用部材、それを有する接触帯電装置、それを用いた接触帯電方法およびそれを有する電子写真装置
JP2798014B2 (ja) 電子写真感光体および画像形成方法
JP2004046221A (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
JP3277706B2 (ja) 電子写真感光体およびそれを用いた電子写真法
EP0859286B1 (en) Electrophotographic photosensitive member, process cartridge and electrophotographic apparatus
JPH11288121A (ja) 電子写真感光体及び電子写真感光体を備えた電子写真装置
JP3677896B2 (ja) 電子写真感光体およびそれを用いた画像形成方法
JP3365456B2 (ja) 電子写真感光体、該電子写真感光体を備えた電子写真装置及び装置ユニット
JPH1020536A (ja) 電子写真用感光体及びそれを用いる電子写真法
JP3060866B2 (ja) 電子写真感光体および画像形成方法
JP2004020842A (ja) 電子写真感光体、及びそれを用いた画像形成方法
JP3137736B2 (ja) 電子写真用感光体
JP3287697B2 (ja) 電子写真装置
JP2859708B2 (ja) 帯電用部材
JP4402183B2 (ja) 画像形成装置
JPH0285863A (ja) 電子写真感光体
JPH0876398A (ja) 電子写真装置及び画像形成方法
JPH06230591A (ja) 電子写真感光体及びそれを有する電子写真装置
JP2765663B2 (ja) 帯電用部材
JP2000066433A (ja) 電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカ−トリッジ及び電子写真装置
JP2000122434A (ja) 画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090215

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100215

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110215

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees