JP3277346B2 - 水中ポンプの羽根車 - Google Patents

水中ポンプの羽根車

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JP3277346B2
JP3277346B2 JP11559994A JP11559994A JP3277346B2 JP 3277346 B2 JP3277346 B2 JP 3277346B2 JP 11559994 A JP11559994 A JP 11559994A JP 11559994 A JP11559994 A JP 11559994A JP 3277346 B2 JP3277346 B2 JP 3277346B2
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善之 白水
寛治 山本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、土木、建築等の工事現
場等における給排水のため、あるいは、農業用や家庭用
の簡易給排水のために使用される水中ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】工事現場等において、給排水のために使
用される水中ポンプは、通常、ポンプケーシング内のポ
ンプ室に配置された羽根車を、ポンプケーシングの上側
に配置されたモータによって回転させるようになってい
る。羽根車の回転によって、流体はポンプ室内に吸引さ
れ、吸引された流体は、羽根車の回転によってポンプ室
から流出される。ポンプ室から流出した流体は、例え
ば、モータと外側ケーシングとの間に形成された流路内
に流入し、この流路内を渦流となって上方に通流して、
外側ケーシングの上面に設けられた吐出口から吐出され
る。
【0003】モータのロータシャフトは、ステータケー
シングの底面を貫通して下方に延出しており、ステータ
ケーシングの底面に取り付けられたシールブラケットを
貫通している。ロータシャフトの下端部は、シールブラ
ケットに取り付けられたポンプケーシング内のポンプ室
内に位置しており、その下端部に羽根車が取り付けられ
ている。
【0004】近時、水中ポンプを軽量化すると共に耐磨
耗性を向上させるために、ポンプケーシングおよび羽根
車を、従来の鋳物よりも軽く、しかも、耐磨耗性に優れ
た硬質のウレタンゴム等によって構成することが行われ
ている。
【0005】羽根車は、通常、ロータシャフトの下端部
に嵌合されて、ロータシャフトの下端部に設けられた雄
ねじ部にナットを結合することにより、ロータシャフト
に一体的に取り付けられている。羽根車の上側のロータ
シャフト部分には、段差部が形成されるか、あるいは、
スリーブが嵌合されており、羽根車は、ナットによっ
て、ロータシャフトに形成された段差部、あるいはスリ
ーブ下端面に圧接されて、固定される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ロータシャフトに取り
付けられる羽根車が、ウレタンゴム等によって構成され
ていると、ゴムが、ロータシャフトの段差部あるいはス
リーブ下端面に直接圧接された状態になっている。ゴム
は、弾性を有し、また製作上、平面度がでにくいため
に、ナットによって、羽根車をロータシャフトの段差部
あるいはスリーブ下端面に圧接した状態では、羽根車が
傾いた状態になり、回転する際に、上下方向に振れるお
それがある。羽根車が上下方向に振れた状態で回転する
と、水中ポンプの吐出量が変動し、安定した水中ポンプ
性能が得られなくなる。また、羽根車が傾いて回転する
と、羽根車裏面とポンプケーシング上面カバーとの間の
隙間が小さくなり、ポンプ室内に吸引された水に混入し
ている砂がその隙間に進入してつまるおそれもある。
【0007】このために、羽根車の圧接面を特別に加工
して、高精度に平坦化したり、その圧接面を広くして、
ロータシャフトの段差部あるいはスリーブ下端面との圧
接力を大きくする必要がある。しかし、弾性を有するゴ
ム製の羽根車では、回転する際の羽根車の振動を確実に
防止することができない。
【0008】本発明は、このような問題を解決するもの
であり、その目的は、硬質ゴムによって羽根本体が構成
されていても、上下に振れることなく安定して回転する
ことができる水中ポンプの羽根車を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の水中ポンプの羽
根車は、モータのロータシャフト下端部が、ポンプケー
シング内のポンプ室内に配置されており、ポンプ室内に
水を吸引してポンプ室から水を吐出するように、このロ
ータシャフト下端部に一体的に取り付けられた水中ポン
プの羽根車であって、前記ロータシャフトに嵌合された
硬質ゴム製の羽根本体と、ロータシャフトに嵌合した状
態でこの羽根本体内の上部に埋設された傾き防止板とを
有し、この傾き防止板の上面が羽根本体の上面から露出
していることを特徴とするものであり、そのことにより
上記目的が達成される。
【0010】
【作用】本発明の水中ポンプの羽根車は、硬質ゴムによ
って構成された羽根本体の上部に埋設された傾き防止板
が、羽根本体から上方に露出した状態になっているため
に、ロータシャフトに形成された段差部、あるいはロー
タシャフトに嵌合されたスリーブに、傾き防止板が直
接、圧接される。従って、ロータシャフトと一体に回転
する羽根車は、ロータシャフトに対して傾くことなく確
実に取り付けられた状態になっており、回転する際に上
下方向に振動するおそれがない。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1は、本発明の羽根車を有する水中ポンプの縦
断面図である。この水中ポンプは、図1に示すように、
上面が閉塞された円筒状の外側ケーシング10と、この
外側ケーシング10の軸心部に外側ケーシング10とは
間隙をあけた状態で配置されたモータ20と、モータ2
0の下側に取り付けられたポンプケーシング30とを有
している。
【0012】モータ20は、外側ケーシング10に対し
てほぼ同心状態になった円筒状のステータケーシング2
4と、このステータケーシング24の軸心部を鉛直状態
で挿通するロータシャフト21と、このロータシャフト
21に外嵌状態で取り付けられたローター22と、ロー
ター22を取り囲むようにステータケーシング24の内
周面に取り付けられたステータ23とを有している。ス
テータケーシング24と外側ケーシング10とは、全周
にわたって適当な間隔があけられており、その間隔が、
流路13として、外側ケーシング10の上下方向にわた
って連通している。
【0013】外側ケーシング10の上面には、流路13
に連通する吐出口12が、外側ケーシング10の軸心か
ら偏心した側部に形成されており、この吐出口12を取
り囲むホースニップル14が、外側ケーシング10の上
面に、上方に突出するように取り付けられている。そし
て、このホースニップル14にホース(図示せず)が取
り付けられるようになっている。
【0014】ステータケーシング24は上端面が開放さ
れており、その内部に嵌合された軸受けプレート27に
よって上端面が閉塞されている。また、ステータケーシ
ング24の下端面は、底面部24aによって閉塞されて
いる。ステータケーシング24の上方には、中空の上部
ケーシング25が取り付けられており、この上部ケーシ
ング25内に、コンデンサー26等の電気部品が収容さ
れている。上部ケーシング25は、外側ケーシング10
の上端部内に位置しており、両者の間も流路13が通過
している。
【0015】モータ20の軸心部に配置されたロータシ
ャフト21の上端部には軸受け28が取り付けられてお
り、この軸受け28によってロータシャフト21は、軸
受けプレート27の中心部で回転可能に支持されてい
る。ロータシャフト21の下端部は、ステータケーシン
グ24の底面部24aを貫通して下方に延出している。
ロータシャフト21の下部は、ステータケーシング24
の底面部24aにおいて軸受け29によって回転可能に
支持されている。
【0016】ステータケーシング24の底面部24aか
ら下方に延出したロータシャフト21の下端部は、ステ
ータケーシング24の下側に取り付けられた例えばアル
ミニウム製のシールブラケット41を貫通して、ポンプ
ケーシング30内のポンプ室31内に配置されている。
シールブラケット41は、ステータケーシング24の底
面部24aとは適当な間隔をあけた状態になっており、
ステータケーシング24の底面部24aとシールブラケ
ット41との間に位置するロータシャフト21に、メカ
ニカルシール42が嵌合されている。
【0017】ポンプ室31内に延出したロータシャフト
21の下端部には羽根車50が取り付けられている。羽
根車50は、ロータシャフト21に嵌合された例えばス
テンレス製のスリーブ49の下側に隣接して配置されて
おり、羽根車50の下方に、ロータシャフト21の下端
部に設けられた雄ねじ部21aが延出している。そし
て、その雄ねじ部21aにナット47がネジ結合される
ことにより、羽根車50が、スリーブ49に圧接された
状態で、ロータシャフト21に固定される。
【0018】ポンプケーシング30は、例えば硬質のウ
レタンゴムによって、上面および下面が開放された概略
円筒状に構成されており、開放された上面に、例えば硬
質のウレタンゴムによって構成された円板状の上面カバ
ー34が嵌合されて、シールブラケット41の下面に圧
接されている。
【0019】ポンプケーシング30の上端面を覆う円板
状の上面カバー34の中央部には、貫通孔34aが設け
られている。この貫通孔34aは、シールブラケット4
1の軸心部下面からロータシャフト21に沿って下方へ
突出するように設けられたボス部41aに嵌合されてい
る。このボス部41a内には、ロータシャフト21に嵌
合されたスリーブ49に圧接されるように、オイルシー
ル41bが配置されている。
【0020】ポンプケーシング30の下面は、中心部に
吸引口43を有する例えば硬質のウレタンゴム製のサク
ションプレート42によって覆われており、サクション
プレート42の下面には、板金製のサクションカバー4
8が取り付けられている。ポンプケーシング30とサク
ションプレート42およびサクションカバー48とは、
複数のボルト32によってシールブラケット41に一体
的に取り付けられている。ポンプケーシング30、サク
ションプレート42、およびサクションカバー52は、
ストレーナー44によって覆われた状態になっている。
【0021】図2は羽根車50の断面図である。この羽
根車50は、例えば硬質のウレタンゴムによって構成さ
れた羽根本体51と、羽根本体51に埋設された円板状
の補強板52および傾き防止板53とを有している。羽
根本体51は、上部に水平状態になった円板状の基板部
51aを有しており、この基板部51aの下面中央部
に、円筒状のボス部51bが下方に突出した状態で、基
板部51aと一体に設けられている。そして、ボス部5
1bおよび基板部51aの軸心部には、ロータシャフト
21が挿通する貫通孔51dが設けられている。
【0022】貫通孔51dには、ロータシャフト21に
設けられたキーが嵌合するキー溝51eが、上下方向の
全体にわたって設けられている。基板部51aの上面に
は、環状の突出部51fが上方に突出した状態で設けら
れており、この突出部51f内を、ロータシャフト21
に嵌合されたスリーブ49の下端部が位置している。ま
た、基板部51aの下面には、ボス部51bの周囲にお
いて、円弧状に湾曲した複数の撹拌羽根部51cが適当
な間隔をあけて、基板部51aとは一体に配置されてい
る。
【0023】基板部51a、ボス部51b、環状突出部
51f、および撹拌羽根部51cは、例えばウレタンゴ
ムによって一体に成形されている。
【0024】羽根本体51における基板部51aの上下
方向のほぼ中央部内には、円板状の補強板52が埋設さ
れている。この補強板52は、鋼板によって構成されて
おり、中心部にロータシャフト21が貫通する貫通孔5
2aが、基板部51aに設けられた貫通孔51dに整合
した状態で設けられている。この貫通孔52aには、ロ
ータシャフト21に設けられたキーが嵌合するキー溝5
2eが設けられている。また、補強板52には、上下方
向に貫通する多数の透孔52bが設けられており、基板
部51aを構成するウレタンゴムは、各透孔52b内に
充填された状態になっている。
【0025】さらに、基板部51aの上部内には、円板
状をした鋼板製の傾き防止板53が、水平状態で埋設さ
れている。この傾き防止板53は、補強板52の上面に
載置された状態で配置されており、中心部にロータシャ
フト21が挿通する貫通孔53aが設けられている。傾
き防止板53の貫通孔53aは、基板部51aに設けら
れた貫通孔51dに対して整合状態になっている。この
貫通孔53aにも、ロータシャフト21に設けられたキ
ーが嵌合するキー溝53eが設けられている。補強板5
2および傾き防止板53のいずれにもキー溝52eおよ
び53eが設けられているために、ロータシャフト21
とのキー結合の強度が向上している。傾き防止板53の
外周縁部は、基板部51aの上部に設けられた環状の突
出部51f内に位置しており、傾き防止板53の上面
は、環状突出部51f内にて基板部51aから上方に露
出した状態になっている。
【0026】羽根車50は、ロータシャフト21の下端
部の雄ねじ部21aにネジ結合されたナット47によっ
て、全体が上方に押し上げられて、傾き防止板53の露
出した上面が、ロータシャフト21に嵌合されたスリー
ブ49の下端面に圧接された状態になる。
【0027】このような構成の水中ポンプでは、モータ
20のローター22が回転されることによってロータシ
ャフト21が回転すると、ポンプケーシング30内のポ
ンプ室31内に配置された羽根車50が回転し、ストレ
ーナー44の周面に設けられた多数の透孔、およびサク
ションカバー42に設けられた吸引口43を通って、こ
のポンプケーシング30内に流体が流入する。ポンプケ
ーシング30内に流入した流体は、ポンプケーシング3
0に設けられた連通口およびシールブラケット41に設
けられた貫通孔を通って、外側ケーシング10と、ステ
ータケーシング24および上部ケーシング25との間の
流路13内に流入する。
【0028】流路13内に流入した水は、渦流となって
上方へと移動し、外側ケーシング10の上面に形成され
た吐出口12から吐出される。
【0029】羽根車50は、上部中央に埋設された鋼板
製の傾き防止板53が、ロータシャフト21に嵌合され
たスリーブ49に、直接、圧接された状態で、ロータシ
ャフト21に取り付けられているために、弾性を有する
硬質ウレタンゴム製の羽根本体51を有する羽根車50
は、ロータシャフト21と一体となって回転する際に
も、上下方向に振れることが確実に防止される。その結
果、羽根車50の回転によって、安定的に水を吐出する
ことができる。また、羽根車50の上方に砂利が進入し
て詰まるおそれもない。
【0030】なお、上記実施例では、羽根車内に埋設さ
れた傾き防止板53を、ロータシャフト21に嵌合され
たスリーブ49に圧接する構成であったが、ロータシャ
フト21外周面に段差部を形成して、その段差部に傾き
防止板53を直接、圧接するようにしてもよい。
【0031】また、補強板52は金属に限らずプラスチ
ック製であってもよく、さらには、補強板52と傾き防
止板53とは一体に連結されていてもよく、さらにま
た、プラスチックによって一体に成形してもよい。
【0032】
【発明の効果】本発明の水中ポンプの羽根車は、このよ
うに、ゴム製の羽根本体の上部に傾き防止板を埋設し
て、その傾き防止板の上面を羽根本体から上方に露出し
ているために、ロータシャフトに形成された段差部、あ
るいは、ロータシャフトに嵌合されたスリーブ下端面
に、傾き防止板が直接、圧接された状態になり、羽根車
が回転する際に羽根車が上下方向に振れるおそれがな
い。その結果、水中ポンプは、安定して水を吐出するこ
とができ、また、羽根車とロータシャフトの間に砂が進
入するおそれもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の羽根車を有する水中ポンプの一例を示
す縦断面図である。
【図2】その水中ポンプに使用される本発明の羽根車の
断面図である。
【符号の説明】
10 外側ケーシング 12 吐出口 13 流路 20 モータ 21 ロータシャフト 22 ローター 23 ステータ 24 ステータケーシング 25 上部ケーシング 30 ポンプケーシング 31 ポンプ室 34 上面カバー 34a 貫通孔 34b シール用突起部 34d 圧力バランス孔 34e 圧力バランス孔 41 シールブラケット 49 スリーブ 50 羽根車 51 羽根本体 51a 基板部 51b ボス部 51c 撹拌羽根部 52 補強板 53 傾き防止板

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モータのロータシャフト下端部が、ポン
    プケーシング内のポンプ室内に配置されており、ポンプ
    室内に水を吸引してポンプ室から水を吐出するように、
    このロータシャフト下端部に一体的に取り付けられた水
    中ポンプの羽根車であって、 前記ロータシャフトに嵌合されたゴム製の羽根本体と、
    ロータシャフトに嵌合した状態でこの羽根本体内の上部
    に埋設された傾き防止板とを有し、この傾き防止板の上
    面が羽根本体の上面から露出していることを特徴とする
    水中ポンプの羽根車。
JP11559994A 1994-05-27 1994-05-27 水中ポンプの羽根車 Expired - Lifetime JP3277346B2 (ja)

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