JP2855313B2 - 水中ポンプ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、土木、建築等の工事現
場等における給排水のため、あるいは、農業用や家庭用
の簡易給排水のために使用される水中ポンプに関する。

【０００２】

【従来の技術】工事現場等において、給排水のために使
用される水中ポンプは、通常、ポンプケーシング内のポ
ンプ室に配置された羽根車を、モーターによって回転さ
せることにより、流体をポンプ室内に吸引し、吸引され
た流体を、遠心力によってポンプ室から流出させるよう
になっている。ポンプ室から吐出される流体は、例え
ば、モーターと外側ケーシングとの間に形成された流路
内に流入し、この流路内を渦流となって上方へと通流し
て、外側ケーシングの上面に設けられた吐出口から吐出
されるようになっている。

【０００３】外側ケーシングの上面に設けられた吐出口
は、モーターの周囲に設けられた流路に対向するよう
に、外側ケーシングの軸心に対して偏心状態で設けられ
ている。そして、流路内を渦流として通流する流体が、
吐出口から円滑に排出されるように、モーターの上部ケ
ーシングの一部が切欠された状態の凹陥部が形成され
て、吐出口と対向した流路部分が広くなっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】流路内を通流する流体
は、上部ケーシングの凹陥部と外側ケーシングとの間に
流入して、渦流の勢いが減衰された状態で吐出口から排
出される。しかし、モーターの周囲を渦流となって通流
する流体の勢いは、完全には減衰することができず、従
って、流体は吐出口から円滑に排出させることができな
いという問題がある。

【０００５】本発明は、このような問題を解決するもの
であり、その目的は、モーターの周囲を渦流となって通
流する流体を、吐出口から円滑に排出させることができ
る水中ポンプを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の水中ポンプは、
モーターの下側に設けられたポンプケーシング内の羽根
車が、そのモーターによって回転することにより、モー
ターと外側ケーシングとの間に形成された流路内に流体
が流入して、外側ケーシングの上面における外側ケーシ
ングの軸心に対して偏心した位置に設けられた吐出口か
ら吐出される水中ポンプであって、前記モーターの上部
ケーシングにおける吐出口に対向する部分に、切欠状態
になった凹陥部が形成されており、この凹陥部内に、前
記流路内を渦流となって流れる流体が衝突するように、
前記上部ケーシングの径方向に沿った鉛直状態で吐出口
に向かって突出した排水整流板が設けられていることを
特徴とする。

【０００７】

【作用】本発明の水中ポンプでは、ポンプケーシング内
の羽根車がモーターによって回転されることにより、流
体がモーターと外側ケーシングとの間に形成された流路
内に流入して、その流路内を渦流となって通流する。流
路内を渦流となって通流した流体は、モーターの上部ケ
ーシングに設けられた凹陥部内に流入して、この凹陥部
内に配置された排水整流板に衝突し、渦流の勢いが減衰
された状態で、吐出口から排出される。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図１は、本発明の水中ポンプの縦断面図である。
本発明の水中ポンプは、図１に示すように、上面が閉塞
された円筒状の外側ケーシング１０と、この外側ケーシ
ング１０の軸心部に外側ケーシング１０とは間隙をあけ
た状態で配置されたモーター２０と、モーター２０の下
側に取り付けられたポンプケーシング３０とを有してい
る。

【０００９】モーター２０は、外側ケーシング１０に対
してほぼ同心状態になった円筒状のステーターケーシン
グ２４と、このステーターケーシング２４の軸心部を鉛
直状態で挿通するローターシャフト２１と、このロータ
ーシャフト２１に外嵌状態で取り付けられたローター２
２と、ローター２２を取り囲むようにステーターケーシ
ング２４の内周面に取り付けられたステーター２３とを
有している。ステーターケーシング２４と外側ケーシン
グ１０とは、全周にわたって適当な間隔があけられた状
態になっており、その間隔が流路１３として外側ケーシ
ング１０の上下方向にわたって連通している。

【００１０】外側ケーシング１０の上面には、流路１３
に連通する吐出口１２が、外側ケーシング１０の軸心か
ら偏心した側部に形成されており、この吐出口１２を取
り囲むホースニップル１４が、外側ケーシング１０の上
面に、上方に突出するように取り付けられている。そし
て、このホースニップル１４にホース（図示せず）が取
り付けられるようになっている。

【００１１】ステーターケーシング２４は上端面が開放
されており、その内部に嵌合された軸受けプレート２７
によって上端面が閉塞されている。また、ステーターケ
ーシング２４の下端面は、底面部２４ａによって閉塞さ
れている。ステーターケーシング２４の上方は上部ケー
シング２５によって覆われており、この上部ケーシング
２５内に、コンデンサー２６等の電気部品が収容されて
いる。上部ケーシング２５は、外側ケーシング１０の上
端部内に位置しており、両者の間も流路１３が通過して
いる。

【００１２】モーター２０の軸心部に配置されたロータ
ーシャフト２１の上端部は、軸受けプレート２７の中心
部に取り付けられた軸受け２８によって回転可能に支持
されている。ローターシャフト２１の下端部は、ステー
ターケーシング２４の底面部２４ａを貫通して下方に延
出しており、ローターシャフト２１の下部はステーター
ケーシング２４の底面部２４ａに取り付けられた軸受け
２９によって、回転可能に支持されている。

【００１３】ステーターケーシング２４の底面部２４ａ
から延出したローターシャフト２１の下端部は、ステー
ターケーシング２４の下側に取り付けられたシールブラ
ケット４１を貫通して、ポンプケーシング３０内のポン
プ室３１内に位置されている。シールブラケット４１
は、ステーターケーシング２４の底面部２４ａとは適当
な間隔をあけた状態になっており、ステーターケーシン
グ２４の底面部２４ａとシールブラケット４１との間に
位置するローターシャフト２１に、メカニカルシール４
２が嵌合されている。ポンプ室３１内に延出したロータ
ーシャフト２１の下端部には羽根車５１が取り付けられ
ている。

【００１４】ポンプケーシング３０は、上端面および下
端面が開放された円筒状をしており、複数のボルト３２
によってシールブラケット４１に取り付けられている。
また、ポンプケーシング３０の下端面は、複数のボルト
３２によって取り付けられたサクションカバー４２によ
って覆われている。サクションカバー４２の中心部に
は、ポンプケーシング３０内のポンプ室３１内に連通す
る吸引口４３が設けられている。ポンプケーシング３０
は、ストレーナー４４によって覆われた状態になってい
る。ポンプケーシング３０および羽根車５１は硬質ゴム
によって構成されている。

【００１５】ポンプケーシング３０のポンプ室３１内に
配置された羽根車５１が、モーター２０によって回転す
ると、ポンプ室３１内には、サクションカバー４２の中
央部に設けられた吸引口４３から水が流入し、ポンプ室
３１内に流入した水が、遠心力によって渦流とされて、
ポンプケーシング３０に形成された連通路およびシール
ブラケット４１に設けられた貫通孔（いずれも図示せ
ず）を通って、外側ケーシング１０とモーター２０のス
テーターケーシング２４との間に形成された流路１３内
に流入する。そして、その流路１３内を渦流となって上
方へと通流するようになっている。

【００１６】図２は水中ポンプの平面図、図３は外側ケ
ーシング１０内に配置されたモーター２０の正面図、図
４はその側面図、図５はその平面図である。

【００１７】図３および図４に示すように、モーター２
０のステーターケーシング２４は、上端部２４ｅおよび
下部２４ｂを除いた中央部２４ｃは、ほぼ一定の外径に
なっており、上端部２４ｅは、その中央部２４ｃよりも
若干大径に、また、下部２４ｂは中央部２４ｃよりも若
干小径になっている。ステーターケーシング２４の中央
部２４ｃ外周面には、鉛直方向に延びる複数の渦流整流
板２４ｄが、周方向に等しい間隔をあけて取り付けられ
ている。各渦流整流板２４ｄは、ステーターケーシング
２４の大径になった上端部２４ｅ外周面とは面一になっ
た状態で、その上端部２４ｅから下方に延出している。
各渦流整流板２４ｄは、下側になるにつれて外方への突
出量が順次減少しており、各渦流整流板２４ｄの下端
は、ステーターケーシング２４の小径となった下部２４
ｂよりも、若干、上方に位置している。

【００１８】モーター２０の円筒状になった上部ケーシ
ング２５は、外側ケーシング１０の上端面に設けられた
吐出口１２と対向する側部が切欠された状態の凹陥部２
５ａになっている。この凹陥部２５ａは、上部ケーシン
グ２５の水平になった上面２５ｂとはほぼ９０度にわた
って湾曲した肩部２５ｃと、肩部２５ｃから外方へと傾
斜状態で延出する傾斜面２５ｄとを有している。肩部２
５ｃは、図５に示すように、上部ケース２５の上面２５
ｂの半径方向に対して直交方向に直線状に延びている。

【００１９】この凹陥部２５ａ内には、肩部２５ｃの中
央部から、肩部２５ｃとは直交状態に突出した排水整流
板２５ｅが、鉛直状態で設けられている。この排水整流
板２５ｅの上端面は、肩部２５ｃから斜め下方に傾斜し
た状態になっている。吐出口１２は、図２に示すよう
に、排水整流板２５ｅに対向した状態で、かつ、排水整
流板２５ｅが吐出口１２の直径方向に沿うように、外側
ケーシング１０の上面に設けられている。

【００２０】なお、外側ケーシング１０の上面には、水
中ポンプを持ち運ぶ際に使用されるハンドル１５が取り
付けられており、また、モーター２０の上部ケーシング
２５内に配置された電気部品との電気接続のためのケー
ブル端子１６が、取り付けられている。

【００２１】このような構成の水中ポンプでは、モータ
ー２０のローター２２が回転されることによってロータ
ーシャフト２１が回転すると、ポンプケーシング３０内
のポンプ室３１内に配置された羽根車５１が回転し、ス
トレーナー４４の周面に設けられた多数の透孔、および
サクションカバー４２に設けられた吸引口４３を通っ
て、このポンプケーシング３０内に流体が流入する。ポ
ンプケーシング３０内に流入した流体は、ポンプケーシ
ング３０に設けられた連通口およびシールブラケット４
１に設けられた貫通孔を通って、外側ケーシング１０
と、ステーターケーシング２４および上部ケーシング２
５との間の流路１３内に流入する。

【００２２】流路１３内に流入した水は、渦流となって
上方へと移動するが、モーター２０のステーターケーシ
ング２４外周面に設けられた各渦流整流板２４ｄによっ
て渦流が減衰された状態で、上部ケーシング２５と外側
ケーシング１０との間を通流する。そして、上部ケーシ
ング２５に形成された凹陥部２５ａ内に流体が流入する
と、流体は排水整流板２５ｅに衝突して、この排水整流
板２５ｅによって渦流がさらに減衰される。減衰された
流体は、排水整流板２５ｅに沿って整流されて、吐出口
１２を通って排出される。

【００２３】このように、水中ポンプの周囲を渦流とし
て通流した流体は、排水整流板２５ｅにて渦流の勢いが
減衰されて整流された状態で、吐出口１２内を通って排
出されるために、流体は吐出口１２から円滑に流出し、
水中ポンプの吐出効率が向上する。

【００２４】

【発明の効果】本発明の水中ポンプは、このように、モ
ーターの上部ケーシングにおける吐出口と対向する部分
に凹陥部が形成されており、この凹陥部に渦流を減衰さ
せる排水整流板が配置されているために、モーターの周
囲を渦流として通流する流体が排水整流板に衝突して減
衰された状態で、円滑に吐出口から吐出される。その結
果、水中ポンプの吐出効率は著しく向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の水中ポンプの一例を示す縦断面図であ
る。

【図２】その水中ポンプの平面図である。

【図３】その水中ポンプに使用されるモーターの正面図
である。

【図４】そのモーターの側面図である。

【図５】そのモーターの平面図である。

【符号の説明】

１０ 外側ケーシング １２ 吐出口 １３ 流路 ２０ モーター ２１ ローターシャフト ２２ ローター ２３ ステーター ２４ ステーターケーシング ２４ｄ 渦流整流板 ２５ 上部ケーシング ２５ａ 凹陥部 ２５ｅ 排水整流板 ３０ ポンプケーシング ３１ ポンプ室 ４１ シールブラケット ５１ 羽根車

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 モーターの下側に設けられたポンプケー
   シング内の羽根車が、そのモーターによって回転するこ
   とにより、モーターと外側ケーシングとの間に形成され
   た流路内に流体が流入して、外側ケーシングの上面にお
   ける外側ケーシングの軸心に対して偏心した位置に設け
   られた吐出口から吐出される水中ポンプであって、 前記モーターの上部ケーシングにおける吐出口に対向す
   る部分に、切欠状態になった凹陥部が形成されており、
   この凹陥部内に、前記流路内を渦流となって流れる流体
   が衝突するように、前記上部ケーシングの径方向に沿っ
   た鉛直状態で吐出口に向かって突出した排水整流板が設
   けられていることを特徴とする水中ポンプ。