JP3276277B2 - Cvd用液体原料供給装置 - Google Patents
Cvd用液体原料供給装置Info
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Description
(以下、CVD法という)によって酸化物超電導体など
の酸化物材料を基材上に成膜する薄膜形成装置に備えら
れるCVD用液体原料供給装置に関するものである。
(約77K)よりも高い酸化物超電導体として、例え
ば、Y-Ba-Cu-O系、Bi-Sr-Ca-Cu-O系、
Tl-Ba-Ca-Cu-O系などの酸化物超電導体が発見
されている。そして、これらの酸化物超電導薄膜は、電
力ケーブル、マグネット、エネルギー貯蔵、発電機、医
療機器、電流リード等の分野に利用する目的で種々の研
究が進められている。このような酸化物超電導体の製造
方法の1つとして、化学気相蒸着法(CVD法)等の薄
膜形成手段によって基材表面に酸化物超電導薄膜を成膜
する方法が知られている。この種の薄膜形成手段により
形成した酸化物超電導薄膜は、臨界電流密度(Jc)が
大きく、優れた超電導特性を発揮することが知られてい
る。また、CVD法のなかでも、金属錯体、金属アルコ
キシドなどの有機金属化合物を原料として行なうCVD
法は、成膜速度が速く、短時間でより厚い膜を形成でき
る手段として注目されている。
の製造方法において通常使用される原料化合物として
は、酸化物超電導体を構成する各元素のβ−ジケトン化
合物やシクロペンタジエニル化合物などが用いられ、例
えば、Y-Ba-Cu-O系の酸化物超電導体の製造用に
は、Y(thd)3、Ba(thd)2またはBa(th
d)2・phen2、Cu(thd)2等の有機金属錯体
原料(MO原料)などが使用されている(thd=2,2,
6,6-テトラメチル-3,5-ヘフ゜タンシ゛オン)。これらの有機金属錯体原
料は、室温で固体の原料であり、200〜300℃に加
熱することにより高い昇華特性を示すが、原料の純度
や、加熱時間に伴う仕込み原料の表面積変化等により昇
華効率が大きく左右されるために組成制御が困難である
が、これらの固体の錯体原料はテトラヒドロフラン(T
HF)、イソプロパノール、トルエン、ジグリム(2,5,
8-トリオキソノナン)等の有機溶媒に溶かして液体原料として用
いられていた。
に気化器で加熱気化させてキャリアガスとともに反応チ
ャンバに送り込まれ、この反応チャンバ内で化学反応を
生じさせ、反応チャンバ内に設置した基材の表面に反応
生成物を堆積させることで目的のY-Ba-Cu-O系酸
化物超電導体を得ることができる。ところで、有機溶媒
に有機金属錯体原料を溶解したものをCVD用液体原料
として用いる場合に、そのCVD用液体原料供給装置が
問題となっていた。
れる従来のCVD用液体原料供給装置を備えた酸化物超
電導導体の製造装置を示すものである。この酸化物超電
導導体の製造装置は、CVD反応装置1と、CVD用液
体原料供給装置3と、気化器4と、原液供給装置5から
概略構成されている。前記CVD反応装置1は、CVD
反応生成室を構成する反応チャンバ2と、酸化物超電導
層を形成する長尺の基材6を移送する基材移送装置7
と、ノズル8を備え、更に真空ポンプ9が接続され、外
部には反応チャンバ1全体を加熱することにより基材6
を加熱するヒータ10が設けられている。前記ノズル8
には、接続管11を介して液体原料供給装置3が接続さ
れており、また、接続管12を介して酸素ガス供給源1
3が接続されている。
筒状の供給部14とこの供給部14の底部15の近くま
で挿入された注射針状のニードル16と前記底部15を
貫通して設けられて供給部14と気化器5を連通する毛
細管17と前記供給部14の底部側を覆う筒状の吸引部
18とこの吸引部18の側部に接続された吸引管19を
主体として構成されたものである。前記供給部14に
は、接続管20を介してアルゴンガスなどのキャリアガ
ス供給源21が接続されている。この液体原料供給装置
3の吸引部18の下端部に気化器5が接続されている。
また、液体原料供給装置3には、原液供給装置5が二ー
ドル16とチューブ23とを介し接続されている。
は気化器5の内部を加熱して液体原料を所望の温度に加
熱させて気化するためのヒータ22が付設されている。
原液供給装置5は、チューブポンプ24と収納容器25
を具備し、収納容器25の内部には前述の有機金属錯体
を有機溶媒に溶解した液体原料26が収納されている。
前記チューブポンプ24は、大ローラ27の外周部にチ
ューブ23を沿わせて設け、このチューブ23の外部に
複数の小ローラを回転自在に設けて構成されたもので、
図示略の駆動源からの伝達動力により各小ローラ28を
回転させることにより小ローラ28…で可撓性のチュー
ブ23を順次押圧し、チューブ23内の液体原料26を
ニードル16を介して供給部14に排出できるようにな
っている。
た酸化物超電導導体の製造装置を用いて長尺の酸化物超
電導導体を製造するには、基板移送装置7によって反応
チャンバ2内に長尺の基材6を送入し、さらに液体原料
26をチューブポンプ24により所定の流速で、ニード
ル16から液体原液供給装置3の供給部14に連続的に
供給する。この際、供給部14の内部に所定の深さにな
るように液体原料26を貯留し、気化器4を加熱し、反
応チャンバ2の内部を数トールに減圧し、供給部14の
内部にキャリアガス供給源21よりキャリアガスを供給
する。
態となり、供給部14内部の液体原料26はキャリアガ
スの流れに沿って気化器4内に供給される。このとき、
供給部14内部の液体原料26は図9に示すように毛細
管17先端部の斜めに切断された開口面から毛細管17
内壁に沿って下端部まで流れていき、該下端部で表面張
力により液滴を形成し、この液滴がある程度の大きさに
なると、気化器4内に滴下される。そして、滴下された
液滴状の液体原料26は、気化器4の底部に達した後、
気化し、接続管11を経て反応チャンバ2内に供給さ
れ、原料ガス雰囲気とする。しかる後、直ちにヒータ1
0で反応チャンバ2内の長尺の基材6を加熱して周囲の
原料ガスを反応させ、この基材6の表面に酸化物超電導
薄膜を堆積させると、酸化物超電導導体を製造すること
ができる。
体原料供給装置3を用いて液体原料26の供給を行う
と、液体原料26は毛細管17の下端部である程度の大
きさの液滴になってからしか滴下しないため、一定量の
液体原料26を気化器4に供給することができず、これ
によって反応チャンバ2へ原料ガスの供給も周期的な脈
流状態となってしまうという問題があった。ところで、
良質な酸化物超電導膜を形成するには、反応チャンバ2
内の圧力や温度を一定にする必要があるが、反応チャン
バ2へ原料ガスの供給が周期的な脈流状態であると、反
応チャンバ2内の圧力や温度が変動してしまい、従って
基材6の長さ方向に対して膜質や超電導特性の安定した
良好な酸化物超電導薄膜を得られないという欠点があっ
た。また、従来の液体原料供給装置3にあっては、成膜
効率を上げるために気化器4への液体原料26の供給速
度を速くしても、ある速度で成膜効率は頭打ちとなって
しまうため、成膜効率において不満があった。
あり、一定量の液体原料を連続的に供給でき、しかも成
膜効率の向上が可能であり、膜質等の特性の安定した酸
化物超電導薄膜などの薄膜を形成することができるCV
D用液体原料供給装置を提供することを目的とする。
は、内部に液体原料が供給される筒状の原料溶液供給部
と、該供給部の外周を取り囲んで設けられ、前記原料溶
液供給部との隙間に前記液体原料を霧化するためのアト
マイズガスが供給される筒状で先窄まり状のアトマイズ
ガス供給部を具備することを特徴とするCVD用液体原
料供給装置を前記課題の解決手段とした。
ールドガス供給部が前記アトマイズガス供給部の外周を
取り囲んで設けられ、前記アトマイズガス供給部との隙
間に前記原料溶液供給部の先端部と前記アトマイズガス
供給部の先端部を冷却ならびにシールドするシールドガ
スが供給される構成であることを特徴とするCVD用液
体原料供給装置を前記課題の解決手段とした。また、請
求項2記載の発明では、前記原料溶液供給部内に液体原
料を一時的に貯留する液だまりが設けられていることを
特徴とする請求項1記載のCVD用液体原料供給装置を
前記課題の解決手段とした。
供給装置の一例を図面を用いて説明する。図1は本発明
に係るCVD用液体原料供給装置を備えた酸化物超電導
導体の製造装置の一例を示すものである。この酸化物超
電導導体の製造装置は、CVD用液体原料供給装置30
と、原液供給装置40と、気化器50と、CVD反応装
置60とから概略構成されている。
に、筒状の原料溶液供給部31と、該供給部31の外周
を取り囲んで設けられた筒状で先窄まり状のアトマイズ
ガス供給部32と、該アトマイズガス供給部32の先端
部を除いた外周を取り囲んで設けられた筒状のシールド
ガス供給部33とから概略構成された3重構造のもので
ある。
装置40から送り込まれてくる液体原料34が内部に供
給されるものであり、中央部には供給された液体原料3
4を一時的に貯留するため液だまり35が設けられてい
る。この液だまり35の内径は、原料溶液供給部31の
上部や下部の先端部の内径よりも大きくなっており、原
液供給装置40から送り込まれた液体原料34が溜まり
つつ連続的に先端に送り込まれるようになっている。こ
のような液だまり35が設けられていると、液体原料3
4中に気泡等が混入していても、気泡等は液だまり35
に溜った液体原料34の液面に浮き上がるため、先端に
まで達するのを防止できる。
給部31との隙間に前述の液体原料34を霧化するため
のアトマイズガスが供給されるものである。アトマイズ
ガス供給部32の上部には、アトマイズガス用MFC3
6aを介してアトマイズガス供給源36が接続され、ア
トマイズガス供給部32内にアトマイズガスを供給でき
るように構成されている。ここで用いられるアトマイズ
ガスの具体例を明示するならば、アルゴンガス、ヘリウ
ムガス、窒素ガスなどである。そして、この例の液体原
料供給装置30では、アトマイズガス供給部32の先端
部と原料溶液供給部31の先端部とからノズル37が構
成されている。
ス供給部32との隙間に、前記アトマイズガス供給部3
2を冷却するとともにノズル37をシールドするための
シールドガスが供給されるものである。シールドガス供
給部33の中央部より下方の部分には外方に突出するテ
ーパ部38が設けられている。また、シールドガス供給
部33の上部には、シールドガス用MFC39aを介し
てシールドガス供給源39が接続され、シールドガス供
給部33内にシールドガスを供給できるように構成され
ている。ここで用いられるシールドガスの具体例を明示
するならば、アルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガスな
どである。
体原料34を原料溶液供給部31内に一定流量で送り込
むとともにアトマイズガスをアトマイズガス供給部32
に一定流量で送りこむと、液体原料34は液だまり35
に溜まりつつ原料溶液供給部31の先端に達するが、該
先端の外側のアトマイズガス供給部32の先端からアト
マイズガスが流れてくるので、ノズル37から吹き出る
際、液体原料34は前記アトマイズガスにより直ちに霧
化され、一定量のミスト状の液体溶液34を気化器50
内に連続的に供給することができるようになっている。
また、これとともにシールドガスをシールドガス供給部
33に一定流量で送り込むと、アトマイズガス供給部3
2ならびに原料溶液供給部31が冷却されるので該原料
溶液供給部31内を流れる液体原料34も冷却され、該
液体原料34が途中で気化するのを防止できるようにな
っている。さらにまた、ノズル37の外側で、かつ上方
のシールドガス供給部33の先端からシールドガスが流
れてくるので、該シールドガスによりノズル37の周囲
がシールドされ、気化器50内で液体原料34が気化し
た原料ガスがノズル37に付着して固体原料となって再
析出するのを防止できるようになっている。
液供給部31には、原液供給装置40が液体原料用MF
C41aを備えた接続管41を介して接続されいる。こ
の接続管41は、内面がフッ素樹脂でコートされたパイ
プなどの耐薬品性に優れたものが使用される。原液供給
装置40は、収納容器42と、加圧源43を具備し、収
納容器42の内部には液体原料34が収納されている。
収納容器42は、ガラス瓶などの耐薬品性に優れたもの
が使用される。前記加圧源43は、収納容器42内にH
eガス等を供給することにより収納容器42内を加圧し
て収納容器42内に満たされた液体原料34を接続管4
1に一定流量で排出できるようになっている。
4は、成膜するべき目的化合物の構成金属元素の有機金
属錯体、金属アルコキシドなどの金属有機化合物を、目
的化合物の組成比となるように複数種混合して有機溶媒
に溶解したものである。これらの金属有機化合物および
有機溶媒の具体例を明示するならば、Y-Ba-Cu-O
系酸化物超電導体を成膜する場合に用いられるY(th
d)3、Ba(thd)2またはBa(thd)2・ph
en2、Cu(thd)2等(thd=2,2,6,6-テトラメチル-
3,5-ヘフ゜タンシ゛オン)の有機金属錯体、および、テトラヒド
ロフラン(THF)、イソプロパノール、トルエン、ジ
グリム(2,5,8-トリオキソノナン)などの有機溶媒である。
器状の気化器50が配設されており、液体原料供給装置
30の中央部から先端部が該気化器50内に収納されて
液体原料供給装置30と気化器50とが接続されてい
る。この気化器50の外周部には、気化器50の内部を
加熱するためのヒータ51が付設されていて、このヒー
タ51により前記ノズル37から噴霧されたミスト状の
液体原料34を所望の温度に加熱して気化させ、原料ガ
スが得られるようになっている。この気化器50は、輸
送管53を介してCVD反応装置60に接続されてい
る。
チャンバ61を有し、この反応チャンバ61は、横長の
両端を閉じた筒型のもので、隔壁(図示略)によって図
1の左側から順に基材導入部62と反応生成室63と基
材導出部64に区画されている。更に、基材導入部62
にはテープ状の基材65を導入するための導入孔が形成
されるとともに、基材導出部64には基材65を導出す
るための導出孔が形成されており、また、導入孔と導出
孔の周縁部には、図面では省略されているが基材65を
通過させている状態で各孔の隙間を閉じて基材導入部6
2と基材導出部64を気密状態に保持する封止部材が設
けられている。また、反応生成室63の天井部には、反
応生成室63に連通する三角型のガス拡散部66が取り
付けられている。
材導入部62の反応生成室63側方の部分から基材導出
部64の反応生成室63側方の部分を覆う加熱ヒータ4
7が設けられ、基材導入部62が不活性ガス供給源68
に、また、基材導出部64が酸素ガス供給源69にそれ
ぞれ接続されている。また、ガス拡散部66には原料ガ
スの気化器50と接続された輸送管53が接続されてい
る。この輸送管53の周囲には原料ガスが液体原料34
となって析出するのを防止するための加熱手段(図示
略)が設けられている。なお、輸送管53の途中部分に
は、酸素ガス供給源54が分岐接続され、輸送管53内
に酸素ガスを供給できるように構成されている。
気管70が設けられており、真空ポンプ71を備えた圧
力調整装置72に接続されていて、CVD反応装置60
の内部のガスを排気できるようになっている。更に、C
VD反応装置60の基材導出部64の側方側には、CV
D反応装置60内を通過する基材65を巻き取るための
テンションドラム73と巻取ドラム74とからなる基材
搬送機構75が設けられている。また、基材導入部62
の側部側には、基材65をCVD反応装置60に供給す
るためのテンションドラム76と送出ドラム77とから
なる基材搬送機構78が設けられている。
装置を備えた酸化物超電導導体の製造装置を用いて液体
原料34を気化させた原料ガスを反応チャンバ61に送
り、反応チャンバ61においてテープ状の基材65上に
酸化物超電導薄膜を形成し、酸化物超電導導体を製造す
る場合について説明する。
導体を製造するには、まず、テープ状の基材65と液体
原料34を用意する。この基材65は、長尺のものを用
いることができるが、特に、熱膨張係数の低い耐熱性の
金属テープの上面にセラミックス製の中間層を被覆して
なるものが好ましい。前記耐熱性の金属テープの構成材
料としては、銀、白金、ステンレス鋼、銅、ハステロイ
(C276等)などの金属材料や合金が好ましい。ま
た、前記金属テープ以外では、各種ガラステープあるい
はマイカテープなどの各種セラミックスなどからなるテ
ープを用いても良い。次に、前記中間層を構成する材料
は、熱膨張係数が金属よりも酸化物超電導体の熱膨張係
数に近い、YSZ(イットリウム安定化ジルコニア)、
SrTiO3、MgO、Al2O3、LaAlO3、LaG
aO3、YAlO3、ZrO2などのセラミックスが好ま
しく、これらの中でもできる限り結晶配向性の整ったも
のを用いることが好ましい。
成させるための液体原料34は、成膜するべき目的化合
物の構成金属元素の有機金属錯体、金属アルコキシドな
どの金属有機化合物を、目的化合物の組成比となるよう
に複数種混合し、THFなどの有機溶媒に溶解させたも
のを用いることができる。このような液体原料34を用
意したならば、収納容器40に満たしておく。
ば、これを反応チャンバ61内に基材搬送機構78によ
り基材導入部62から所定の移動速度で送り込むととも
に基材搬送機構75の巻取ドラム74で巻き取り、更に
反応生成室63内の基材65を加熱ヒータ47で所定の
温度に加熱する。なお、基材65を送り込む前に、不活
性ガス供給源68から不活性ガスをパージガスとして反
応チャンバ61内に送り込み、同時に圧力調整装置72
を作動させて反応チャンバ61の内部のガスを抜くこと
で反応チャンバ61内の空気等の不用ガスを排除して内
部を洗浄しておくことが好ましい。
だならば、酸素ガス供給源69から反応チャンバ61内
に酸素ガスを送り、更に、加圧源43ならびにMFC4
1aにより収納容器42から液体原料34を流量0.1
〜1.0ccm程度で原料溶液供給部31内に送液し、
これと同時にアトマイズガスをアトマイズガス供給部3
2に流量200〜300ccm程度で送り込むとともに
シールドガスをシールドガス供給部33に流量200〜
300cc程度で送り込む。また、同時に圧力調整装置
72を作動させ反応チャンバ61の内部のガスを排気す
る。この際、シールドガスの温度は、室温程度になるよ
うに調節しておく。また、気化器50の内部温度が前記
原料のうちの最も気化温度の高い原料の最適温度になる
ようにヒータ51により調節しておく。
まりつつ原料溶液供給部31の先端に達し、この後、ノ
ズル37から吹き出る際、アトマイズガス供給部32か
ら流れてくるアトマイズガスにより直ちに霧化されるの
で、一定流量のミスト状の液体溶液34が気化器50内
に連続的に供給される。そして、気化器50の内部に供
給されたミスト状の液体溶液34は、ヒータ51により
加熱されて気化し、原料ガスとなり、さらにこの原料ガ
スは輸送管53を介してガス拡散部66に連続的に供給
される。この時、輸送管53の内部温度が前記原料のう
ちの最も気化温度の高い原料の最適温度になるように前
記加熱手段により調節しておく。また、この時、酸素ガ
ス供給源54から酸素ガスを供給して原料ガス中に酸素
を混合する操作も行う。
は、輸送管53の出口部分からガス拡散部66に出た原
料ガスが、ガス拡散部66から拡散しながら反応生成室
63側に移動し、反応生成室63の内部を通り、次いで
基材65の近傍を移動してガス排気管70に引き込まれ
るように移動する。従って、加熱された基材65の上面
側で原料ガスを反応させて酸化物超電導薄膜を生成させ
ることができる。以上の成膜操作を所定時間継続して行
なうことにより、基材65上に所望の厚さの膜質の安定
した酸化物超電導薄膜を備えた酸化物超電導導体80を
得ることができる。
前述の構成の液体原料供給装置30が備えられたもので
あるので、液体原料34を原料溶液供給部31内に一定
流量で送り込むとともにアトマイズガスをアトマイズガ
ス供給部32に一定流量で送りこむと、液体原料34は
液だまり35に溜まりつつ原料溶液供給部31の先端に
達し、この後、ノズル37から吹き出る際、アトマイズ
ガス供給部32から流れてくるアトマイズガスにより直
ちに霧化されるので、一定量のミスト状の液体溶液34
を気化器50内に連続的に供給することができる。ま
た、液体原料34ならびにアトマイズガスを液体原料供
給装置30に供給する時、シールドガスをシールドガス
供給部33に一定流量で送り込むと、アトマイズガス供
給部32ならびに原料溶液供給部31を冷却することが
できるので、該原料溶液供給部31内を流れる液体原料
34も冷却でき、該液体原料34が途中で気化するのを
防止できる。またさらに、前記シールドガスによりノズ
ル37の周囲がシールドされ、気化器50内で原料ガス
がノズル37に付着して液体原料34となって析出する
のを防止できる。
た酸化物超電導導体の製造装置によれば、一定量のミス
ト状の液体原料34を気化器50内に連続的に供給する
ことができるので、この液体原料34が気化した原料ガ
スも反応チャンバ61に一定量連続的に供給することが
できるので、反応チャンバ61の圧力や温度が変動しに
くくなり、基材65の長さ方向に対して膜質や超電導特
性の安定した良好な酸化物超電導薄膜を形成することが
できる。
内に供給される液体原料34がミスト状のものであるの
で、気化効率が向上するので、液体原料34の供給速度
を速くすることができ、成膜効率が向上するという利点
がある。
置を用いてY-Ba-Cu-O系の酸化物超電導体を以下
のようにして作製した。CVD用液体原料供給装置は図
2、図3に示す形状のものを用いた。液体原料として、
Y(thd)3、Ba(thd)2、Cu(thd)2を
モル比でY:Ba:Cu=1.0:2.4:3.3に混
合したものジグリム溶液に溶解したもの収納容器に貯留
した。この原料溶液を加圧源ならびに液体微量MFCに
より0.2ml/分の流速で、原料溶液供給部に連続的
に供給した。これと同時にアトマイズガスとしてArを
アトマイズガス供給部に流量300ccm程度で送り込
むとともにシールドガスとしてArをシールドガス供給
部に流量300cc程度で送り込んだ。以上の操作によ
り、一定量のミスト状の液体原料を気化器内に連続的に
供給することができ、さらにこの液体原料が気化した原
料ガスも反応チャンバに一定量連続的に供給することが
できた。この時の気化器および輸送管の温度は240℃
とした。以上の操作により、一定量のミスト状の液体原
料を気化器内に連続的に供給することができ、さらにこ
の液体原料が気化した原料ガスも反応チャンバに一定量
連続的に供給することができた。
h、基材加熱温度760℃、リアクタ内圧力5トール、
酸素ガス供給源からの酸素ガス流量を50〜100ml
/分に設定して、基材上にY-Ba-Cu-O系の酸化物
超電導薄膜を連続的に形成した。ここでの基材として
は、ハステロテープ上にイオンビームアシストスパッタ
リング法によりYSZ(イットリウム安定化ジルコニ
ア)面配向中間層を形成したもの(幅1cm×長さ〜3
0cm×厚さ0.02cm)を用いた。
供給装置に代えて図8に示した従来のCVD用液体原料
供給装置を備えた酸化物超電導導体の製造装置を用いた
以外は前述の実施例と同様にして基材上に酸化物超電導
薄膜を形成した。
ンバ中心部の温度変化を測定した結果を図4に示す。図
4中、実線は実施例での時間と、反応チャンバ中心部
の温度との関係を示すものであり、破線は実施例での
時間と、反応チャンバ中心部の温度との関係を示すもの
である。図4から明かなように、実施例では、反応チャ
ンバ中心部の温度変化は760℃±0℃であり、全く温
度変化が認められかった。これに対して比較例では、反
応チャンバ中心部の温度変化は760℃±5℃であり、
温度変化が認められた。
バ内の圧力変化を調べたところ、実施例での圧力変化は
5±0トールであり、全く圧力変動が認められなかった
のに対して、比較例での圧力変化は5±0.2トール程
度であり、圧力変動が認められた。
料供給装置に供給する液体原料の供給速度を0〜1.0
ml/分の範囲で変更したときの、基材上に形成される
Y-Ba-Cu-O系の酸化物超電導薄膜の厚さを測定し
た結果を図5に示す。図5中、実線は実施例での液体
原料の供給速度と、Y-Ba-Cu-O系の酸化物超電導
薄膜の厚さとの関係を示すものであり、破線は比較例
での液体原料の供給速度と、Y-Ba-Cu-O系の酸化
物超電導薄膜の厚さとの関係を示すものである。図5か
ら明かなように、実施例では、液体原料の供給速度が
1.0ml/分になるまでリニアに膜厚も増加が認めら
れ、成膜効率が大きく向上していることが分る。これ
は、実施例では、気化器内に供給される液体原料がミス
ト状のものであるので、気化効率が大きく向上したため
であると考えられる。これに対して比較例では、液体原
料の供給速度が0.3ml/分以上では、膜厚が増加し
ない傾向が認められた。これは、比較例では、液体原料
の液滴が気化器の底部に達した後に、気化する過程を経
ているために、液体原料の供給速度が液体原料の気化速
度を超えたためであると考えられる。
の酸化物超電導導体を、それぞれ酸化物超電導導体の中
央部分側に対し、スパッタ装置によりAgコーティング
を施し、更に両端部側にそれぞれAgの電極を形成し、
Agコーティング後に純酸素雰囲気中にて500℃で2
時間熱処理を施して測定試料とした。そして、これら試
料を液体窒素で77Kに冷却し、外部磁場0T(テス
ラ)の条件で各試料における長さ方向ごとの臨界電流密
度(Jc)を測定した結果を図6に示す。図6中、実線
は実施例で得られた酸化物超電導導体の長さ方向の位
置ごとの臨界電流密度を示すものであり、破線は比較
例で得られた酸化物超電導導体の長さ方向の位置ごとの
臨界電流密度を示すものである。図6から明らかなよう
に、実施例で得られた酸化物超電導導体は、長さ方向の
臨界電流密度のばらつきが少なく、しかもいずれの箇所
においても1.0×105A/cm2(77K、0T)以
上の特性が得られ、基材の長さ方向に対して超電導特性
の安定した良好な酸化物超電導薄膜が形成されているこ
とが分る。これに対して比較例で得られた長さ方向の臨
界電流密度のばらつきが大きく、また、ある箇所によっ
ては臨界電流密度が1.0×105A/cm2(77K、
0T)未満の値を示しており、基材の長さ方向に対して
超電導特性が不安定な酸化物超電導薄膜が形成されてい
ることが分る。
載のCVD用液体原料供給装置にあっては、内部に液体
原料が供給される筒状で先窄まり状の原料溶液供給部
と、該供給部の外周を取り囲んで設けられ、前記原料溶
液供給部との隙間に前記液体原料を霧化するためのアト
マイズガスが供給される筒状で先窄まり状のアトマイズ
ガス供給部を具備するものであるので、CVD法により
酸化物材料を基材上に成膜する薄膜形成装置に備えた場
合に、液体原料を原料溶液供給部内に一定流量で送り込
むとともにアトマイズガスをアトマイズガス供給部に一
定流量で送りこむと、液体原料は連続的に原料溶液供給
部の先端に達し、この後、先端から吹き出る際、アトマ
イズガス供給部から流れてくるアトマイズガスにより直
ちに霧化されるので、一定量のミスト状の液体溶液を気
化器内に連続的に供給することができる。
給装置にあっては、さらに、筒状のシールドガス供給部
が前記アトマイズガス供給部の外周を取り囲んで設けら
れたものであるので、液体原料ならびにアトマイズガス
を液体原料供給装置に供給する時、シールドガスをシー
ルドガス供給部に一定流量で送り込むと、アトマイズガ
ス供給部ならびに原料溶液供給部を冷却することができ
るので、該原料溶液供給部内を流れる液体原料も冷却で
き、該液体原料が途中で気化するのを防止できる。さら
に前記シールドガスにより原料溶液供給部の先端部やア
トマイズガス供給部の先端部の周囲がシールドされ、原
料ガスが前記先端部に付着して液体原料となって析出す
るのを防止できる。
給装置にあっては、さらに原料溶液供給部に液だまりが
設けられたものであるので、液体原料中に気泡等が混入
していても、気泡等は液だまりに溜った液体原料の液面
に浮き上がるため、原料溶液供給部の先端にまで達する
のを防止できる。
置を薄膜形成装置に備えると、一定量のミスト状の液体
原料を気化器内に連続的に供給することができるので、
この液体原料が気化した原料ガスも反応チャンバに一定
量連続的に供給することができ、反応チャンバの圧力や
温度が変動しにくくなり、基材の長さ方向に対して膜質
等の特性の安定した良好な酸化物薄膜を形成することが
できる。また、気化器内に供給される液体原料がミスト
状のものであるので、気化効率が向上し、液体原料の供
給速度を速くすることができ、成膜効率が向上するとい
う利点がある。
えた酸化物超電導導体の製造装置の一例を示す構成図で
ある。
置を示す拡大図である。
断面図である。
を示す図である。
厚さとの関係を示す図である。
の長さ方向ごとの臨界電流密度を示す図である。
化物超電導導体の製造装置の一例を示す構成図である。
す拡大図である。
部拡大図である。
2・・・アトマイズガス供給部、33・・・シールドガス供給
部、34・・・液体原料、35・・・液だまり。
Claims (2)
- 【請求項1】 内部に液体原料が供給される筒状の原料
溶液供給部と、該供給部の外周を取り囲んで設けられ、
前記原料溶液供給部との隙間に前記液体原料を霧化する
ためのアトマイズガスが供給される筒状で先窄まり状の
アトマイズガス供給部と、前記アトマイズガス供給部の
外周を取り囲んで設けられた筒状のシールドガス供給部
とを具備し、前記筒状のシールドガス供給部は、前記ア
トマイズガス供給部との隙間に前記原料溶液供給部と前
記アトマイズガス供給部を冷却ならびにシールドするシ
ールドガスが供給される構成であることを特徴とするC
VD用液体原料供給装置。 - 【請求項2】 前記原料溶液供給部内に液体原料を一時
的に貯留する液だまりが設けられていることを特徴とす
る請求項1記載のCVD用液体原料供給装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31136395A JP3276277B2 (ja) | 1995-11-29 | 1995-11-29 | Cvd用液体原料供給装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31136395A JP3276277B2 (ja) | 1995-11-29 | 1995-11-29 | Cvd用液体原料供給装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09143738A JPH09143738A (ja) | 1997-06-03 |
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Family
ID=18016272
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31136395A Expired - Fee Related JP3276277B2 (ja) | 1995-11-29 | 1995-11-29 | Cvd用液体原料供給装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3276277B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3823591B2 (ja) * | 1999-03-25 | 2006-09-20 | 三菱電機株式会社 | Cvd原料用気化装置およびこれを用いたcvd装置 |
JP2000345345A (ja) * | 1999-06-04 | 2000-12-12 | Mitsubishi Electric Corp | Cvd装置およびcvd装置用気化装置 |
KR100875090B1 (ko) * | 2000-08-04 | 2008-12-22 | 아치 스페셜티 케미칼즈, 인코포레이티드 | 초고순도 화학약품 또는 오염에 민감한 화학약품을 위한자동 재충전 시스템 |
JP2015039001A (ja) * | 2014-09-18 | 2015-02-26 | 株式会社渡辺商行 | 気化器 |
-
1995
- 1995-11-29 JP JP31136395A patent/JP3276277B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH09143738A (ja) | 1997-06-03 |
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