JP3275562B2 - 車両の四輪駆動制御装置 - Google Patents

車両の四輪駆動制御装置

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JP3275562B2
JP3275562B2 JP22647194A JP22647194A JP3275562B2 JP 3275562 B2 JP3275562 B2 JP 3275562B2 JP 22647194 A JP22647194 A JP 22647194A JP 22647194 A JP22647194 A JP 22647194A JP 3275562 B2 JP3275562 B2 JP 3275562B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、副駆動輪への駆動力配
分を段階的に切替え選択することが可能な車両の四輪駆
動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の四輪駆動車としては、1989年
8月に発行された「サービス周報 第629号 日産ス
カイラインR32型系4WD車の紹介」に記載されたも
のが知られている。上記四輪駆動車では、主駆動輪及び
副駆動輪に相当する各前後輪の回転速度差に応じて、前
後輪間の駆動力配分を二輪駆動状態から直結四輪駆動状
態の間で連続的に自動変更するようになされている。
【0003】また、上記従来の四輪駆動車に、二輪駆動
モード、オート四輪駆動モード及び直結四輪駆動モード
を設け、これらを段階的に切替え選択可能な四輪駆動車
が知られている。この四輪駆動車では、二輪駆動モード
が選択されている時には、副駆動輪への駆動力配分を
“0”(主駆動輪への駆動力配分を“100%”)にし
て車両を二輪駆動状態で走行可能としている。また、直
結四輪駆動モードが選択されている時には、副駆動輪へ
の駆動力配分を“50%”(主駆動輪への駆動力配分を
“50%”)にして車両を直結四輪駆動状態で走行可能
としている。さらに、オート四輪駆動モードが選択され
ている時には、主駆動輪及び副駆動輪に相当する各前後
輪の回転速度差に応じて、前後輪間の駆動力配分を二輪
駆動状態から直結四輪駆動状態の間で連続的に自動変更
して車両がオート四輪駆動状態で走行可能としている。
【0004】このような四輪駆動車に搭載されている主
駆動輪及び副駆動輪に相当する前後輪間の駆動力配分を
段階的または連続的に変更可能な装置として、前後輪間
の駆動力伝達系に、締結力の可変制御によって伝達トル
クを可変制御可能な可変トルククラッチ機構を介装した
ものが知られている。この可変トルククラッチ機構は、
現在、流体式や電磁式等のものが主として用いられてお
り、このうち流体式可変トルククラッチはクラッチピス
トンへの流体圧を制御することにより、また、電磁式可
変トルククラッチは比例電磁ソレノイドへの電流値を制
御することにより、クラッチプレート間の摩擦接触力を
可変制御してその締結力を制御している。すなわち、前
記二輪駆動モードが選択されている場合にはクラッチプ
レートが切り離され、オート四輪駆動モードが選択され
ている場合にはクラッチプレートはすべりを発生しなが
ら摩擦接触し、さらに、直結四輪駆動モードが選択され
ている場合にはクラッチプレートはすべりを発生せず締
結された状態とされる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の四輪
駆動車には、図14に示すように、二輪駆動モード、オ
ート四輪駆動モード及び直結四輪駆動モードのいずれに
も切替え選択が可能なレバー若しくはスイッチが配置と
されており、切替え選択時に車両にショックを与えてし
まい、車両の走行安定性を損なうおそれがある。
【0006】すなわち、直結四輪駆動モードを選択して
走行する車両が旋回した場合には、前後輪に回転速度差
が発生するので、クラッチプレートにすべりを発生させ
ず締結状態とされている可変トルククラッチに“こもり
トルク”が発生しやすい。そして、前記直結四輪駆動モ
ードから二輪駆動モードに切替え選択されると、多板摩
擦クラッチが切り離されるので、前記可変トルククラッ
チに蓄えられている“こもりトルク”が急激に開放さ
れ、車両にショックを発生させてしまうのである。
【0007】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、直結四輪駆動モードを選択して走行する車両が旋
回し、その後に他のモードに切替え選択しても車両の走
行安定性が損なわれない車両の四輪駆動制御装置を提供
することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明の請求項1記載
車両の四輪駆動制御装置は、車両の前後輪のいずれか
一方を主駆動輪とし、他方を副駆動輪として、制御信号
に応じた締結力の可変制御によって前記主駆動輪及び副
駆動輪への駆動力配分を行う多板摩擦クラッチを備えた
駆動力配分調整手段と、モード切替えスイッチにより選
択された駆動モードを検出する駆動モード検出手段と、
少なくとも前記駆動モード検出手段からの駆動モード検
出値に基づいて、前記主副駆動輪間の駆動力配分を設定
し、且つ当該設定値に応じた制御信号を前記多板摩擦ク
ラッチに出力する駆動配分制御手段とを具備してなる車
両の四輪駆動制御装置において、前記モード切替えスイ
ッチは、副駆動輪へ駆動力配分を伝達せず二輪駆動状態
とする二輪駆動モードと、主副駆動輪間の駆動力配分が
1:1とされて直結四輪駆動状態とする直結四輪駆動モ
ードと、主駆動輪及び副駆動輪間の駆動力配分を二輪駆
動状態から直結四輪駆動状態の間で連続的に自動変更す
るオート四輪駆動モードとが選択可能な三段階のモード
スイッチが備えられているとともに、二輪駆動モードと
直結四輪駆動モードとの間にオート四輪駆動モードが位
置するモードスイッチの並び順とされて、直結四輪駆動
モードと二輪駆動モードとの間の切替え選択時には、前
記オート四輪駆動モードを通過する構成とされ 直結四
輪駆動モードからオート四輪駆動モードを経て二輪駆動
モードに切替えられた際の経過時間を判定する切替え時
間判定手段を備えるとともに、前記駆動配分制御手段に
は、前記切替え時間判定手段からの経過時間検出値に基
づいて、所定時間の間、二輪駆動モードに移行せずにオ
ート四輪駆動モードを継続させるオート四輪駆動継続手
段を備えていることを特徴とする装置である。
【0009】また、請求項2記載の車両の四輪駆動制御
装置は、車両の前後輪のいずれか一方を主駆動輪とし、
他方を副駆動輪として、制御信号に応じた締結力の可変
制御によって前記主駆動輪及び副駆動輪への駆動力配分
を行う多板摩擦クラッチを備えた駆動力配分調整手段
と、モード切替えスイッチにより選択された駆動モード
を検出する駆動モード検出手段と、少なくとも前記駆動
モード検出手段からの駆動モード検出値に基づいて、前
記主副駆動輪間の駆動力配分を設定し、且つ当該設定値
に応じた制御信号を前記多板摩擦クラッチに出力する駆
動配分制御手段とを具備してなる車両の四輪駆動制御装
置において、前記モード切替えスイッチは、副駆動輪へ
駆動力配分を伝達せず二輪駆動状態とする二輪駆動モー
ドと、主副駆動輪間の駆動力配分が1:1とされて直結
四輪駆動状態とする直結四輪駆動モードと、主駆動輪及
び副駆動輪間の駆動力配分を二輪駆動状態から直結四輪
駆動状態の間で連続的に自動変更するオート四輪駆動モ
ードとが選択可能な三段階のモードスイッチが備えられ
ているとともに、二輪駆動モードと直結四輪駆動モード
との間にオート四輪駆動モードが位置するモードスイッ
チの並び順とされて、直結四輪駆動モードと二輪駆動モ
ードとの間の切替え選択時には、前記オート四輪駆動モ
ードを通過する構成とされ、前記モード切替えスイッチ
が、直結四輪駆動モードからオート四輪駆動モードを経
て二輪駆動モードに切替えられた際、所定時間の間、二
輪駆動モードに移行せずにオート四輪駆動モードを継続
させるオート四輪駆動継続手段を備えていることを特徴
とする装置。
【0010】
【作用】本発明の請求項1記載の車両の四輪駆動制御装
置によれば、若し、直結四輪駆動モードでの旋回走行に
よって前後輪に回転速度差が発生し、多板摩擦クラッチ
に“こもりトルク”が発生した状態で二輪駆動モードに
切替え選択する場合には、先ず、オート四輪駆動モード
を通過した後に、二輪駆動モードへの切替え操作が行わ
れる。これにより、オート四輪駆動モードにおける多板
摩擦クラッチのすべり摩擦接触により前後輪の回転速度
差が吸収されるので、多板摩擦クラッチに蓄えられてい
た“こもりトルク”は減少する。したがって、直結四輪
駆動モードから二輪駆動モードに切替え選択する際に
は、車両にショックが発生しない。
【0011】また、請求項1記載の車両の四輪駆動制御
装置によれば、切替え時間判定手段は、オート四輪駆動
モードから二輪駆動モードに切替えられた経過時間を判
定し、その経過時間検出値をオート四輪駆動継続手段に
出力している。これにより、直結四輪駆動モードから二
輪駆動モードへの切替え操作が短時間で行われ、前記経
過時間が所定値以下であると、前記オート四輪駆動継続
手段は、所定時間の間、二輪駆動モードに移行ずにオー
ト四輪駆動モードを継続させる。これにより、直結四輪
駆動モードでの旋回走行によって多板摩擦クラッチに
“こもりトルク”が発生しても、所定時間の間、オート
四輪駆動モードが継続され、オート四輪駆動モードにお
ける多板摩擦クラッチのすべり摩擦接触により前後輪の
回転速度差が吸収されるので、多板摩擦クラッチに蓄え
られていた“こもりトルク”は減少する。したがって、
短時間に直結四輪駆動モードから二輪駆動モードへ切替
え選択を行っても、車両にショックが発生しない。
【0012】また、請求項2記載の車両の四輪駆動制御
装置も、直結四輪駆動モードから二輪駆動モードに切替
え選択する際に、車両にショックが発生しない。また、
モード切替えスイッチの直結四輪駆動モードから二輪駆
動モードへの切替え操作を短時間で行なうと、オート四
輪駆動継続手段は、所定時間の間、二輪駆動モードに移
行ずにオート四輪駆動モードを継続させる。これによ
り、短時間に直結四輪駆動モードから二輪駆動モードへ
切替え選択を行っても、車両にショックが発生しない。
【0013】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面を参照して説
明する。図1に示すものは、この実施例に係る車両の四
輪駆動制御装置を示す概略構成図である。この実施例
は、FR(フロントエンジン,リヤドライブ)方式をベ
ースにした四輪駆動車であって、駆動力配分が主駆動輪
(後輪):副駆動輪(前輪)=100%:0に固定され
る二輪駆動モード、駆動力配分が前後輪回転速度差に応
じた値に自動的に設定されるオート四輪駆動モード及び
駆動力配分が主駆動輪:副駆動輪=50%:50%に固
定される直結四輪駆動モードが切替えスイッチ87の操
作により選択できるようになっているとともに、この実
施例では副変速機も備えており、この副変速機のシフト
位置が図示しないレバーの操作により選択できるように
なっている。
【0014】ここで、前記切替えスイッチ87は、図2
示すように、二輪駆動モード(2WD)、オート四輪駆
動モード(AUTO4)及び直結四輪駆動モード(LO
CK4)の並び順とされ、つまみ87aを回転させる回
転形式スイッチにより構成されており、直結四輪駆動モ
ードから二輪駆動モードへの切替え操作を行う場合に
は、一旦、オート四輪駆動モードへの切替え操作後に行
われるようになっている。
【0015】この車両の四輪駆動制御装置は、回転駆動
源としてのエンジン10と、前左〜後右側の車輪12FL
〜12RRと、車輪12FL〜12RRへの駆動力配分比を変
更可能な駆動力伝達系14と、駆動力伝達系14による
駆動力配分を制御する駆動力配分制御装置15とを備え
ている。駆動力伝達系14は、エンジン10からの駆動
力を選択された歯車比で変速する変速機20と、この変
速機20からの駆動力を前輪12FL、12FR及び後輪
(常時駆動輪)12RL、12RR側に分割するトランスフ
ァ22とを有している。そして、駆動力伝達系14で
は、トランスファ22で分割された前輪駆動力が前輪側
出力軸24、フロントディファレンシャルギヤ26及び
前輪側ドライブシャフト28を介して、前輪12FL、1
2FRに伝達され、一方、後輪側駆動力がプロペラシャフ
ト(後輪側出力軸)30、リアディファレンシャルギヤ
32及びドライブシャフト34を介して後輪12RL、1
2RRに伝達される。
【0016】図3はトランスファ22の内部構造を示す
ものであり、トランスファケーシング40内において同
軸突き合わせ状態で配設されている入力軸42及び第1
出力軸44は、入力軸42がフロントケーシング40a
にラジアル軸受46を介して回転自在に支持され、第1
出力軸44がリアケーシング40bにラジアル軸受48
を介して回転自在に支持されて相対回転可能に配設され
ている。そして、これら入力軸42及び第1出力軸44
に対して平行に、フロントケーシング40a及びリアケ
ーシング40bにそれぞれ配設されたベアリング50、
52を介して第2出力軸54が回転自在に支持されてい
る。なお、入力軸42は変速機20の出力軸56に結合
し、第1出力軸44は後輪側出力軸30に結合し、第2
出力軸54は前輪側出力軸24に結合されている。
【0017】そして、入力軸42及び第1出力軸44に
は、副変速機構58と、2輪ー4輪駆動切換機構60と
が設けられている。副変速機構58は、遊星歯車機構6
2と、この遊星歯車機構62に同軸的に配設された噛み
合いクラッチ形式の高低速切換機構64とで構成されて
いる。遊星歯車機構62は、入力軸42の外周に形成さ
れたサンギヤ62aと、フロントケーシング40a内部
で固定されたインターナルギヤ62bと、これらサンギ
ヤ62a及びインターナルギヤ62bに噛合するピニオ
ンギヤ62cと、ピニオンギヤ62cを回転自在に支持
するピニオンキャリア62dとで構成されている。
【0018】また、高低速切換機構64は、第1出力軸
44の外周に設けられた複数条のキー溝と内歯64b1
とのスプライン結合により軸方向にスライド自在とさ
れ、外周に外歯64b2 が設けられてなるシフトスリー
ブ64bと、シフトスリーブ64bの内歯64b1 と噛
合可能な入力軸42の外周位置に形成された高速シフト
用ギヤ64cと、シフトスリーブ64bの外歯64b2
と噛合可能なピニオンキャリア62dの内周部に形成さ
れた低速シフト用ギヤ64dとで構成されている。
【0019】そして、図4において実線で示すシフトス
リーブ64bの上部側配置のように、記号Hの高速シフ
ト位置までシフトスリーブ64bがスライド移動する
と、高速シフト用ギヤ64cと内歯64b1 とが噛合す
るようになっている。また、図4においてシフトスリー
ブ64bの下部側配置のように、記号Lの低速シフト位
置までシフトスリーブ64bがスライド移動すると、低
速シフト用ギヤ64dと外歯64b2 とが噛合するよう
になっている。また、二点鎖線で示すシフトスリーブ6
4bの上部側配置のように、記号Nの中立位置までシフ
トスリーブ64bが移動すると、内歯64b1 及び外歯
64b2 は高低速切換機構64の他のギヤのいずれにも
噛合しないようになっている。
【0020】図3に戻って、2輪ー4輪駆動切換機構6
0は、前後輪に対する駆動力配分比を変更する湿式多板
摩擦クラッチ(以下、摩擦クラッチと略称する。)66
と、第1出力軸44に回転自在に配設された第1スプロ
ケット68と、第2出力軸54と同軸に結合された第2
スプロケット70と、第1及び第2スプロケット60、
70間に巻装さたチェーン72とで構成されている。
【0021】摩擦クラッチ66は、第1スプロケット6
8に結合されたクラッチドラム66aと、このクラッチ
ドラム66aにスプライン結合されたフリクションプレ
ート66bと、第1入力軸44の外周にスプライン結合
されたクラッチハブ66cと、クラッチハブ66cに一
体結合されて前記フリクションプレート66b間に配設
されたフリクションディスク66dと、第1出力軸44
の外周に配設されてクラッチドラム66a側への軸方向
移動によりフリクションプレート66b及びフリクショ
ンディスク66dを当接させる回転部材66eと、クラ
ッチハブ66cに一体結合されクラッチハブ66cと回
転部材66eとを係合するピン66kと、リアケーシン
グ40bの内壁に装着されて軸方向の移動が可能とされ
たクラッチピストン66gと、このクラッチピストン6
6gの軸方向の移動を回転部材66eに伝達するスラス
ト軸受66fと、クラッチピストン66gとリアケーシ
ング40bとの内壁間に形成されたシリンダ室66h
と、回転部材66eに対してクラッチピストン66g側
へ付勢力を与えるリターンスプリング66jとで構成さ
れている。
【0022】そして、シリンダ室66hと連通するリア
ケーシング40bに形成された入力ポート74に、油圧
供給装置16からクラッチ圧PC が供給されると、シリ
ンダ室66h内の押圧力発生によりクラッチピストン6
6gが図3の左側へ移動し、このクラッチピストン66
gの移動がスラスト軸受66fを介して回転部材66e
に伝達され、相互に離間していたフリクションプレート
66b及びフリクションディスク66dが、フリクショ
ンディスク66dの移動により当接し、摩擦力によるク
ラッチ圧Pcに応じた締結力が付与される。これによ
り、第1出力軸44の回転駆動力が、摩擦クラッチ66
の締結力に応じた所定のトルク配分比で、第1スプロケ
ット68、チェーン72及び第2スプロケット70を介
して第2出力軸54に伝達されるようになっている。
【0023】また、供給されるクラッチ圧Pcが低下し
てリターンスプリング66jの付勢力によって回転部材
66e及びクラッチピストン66gが図3の右側へ移動
してフリクションプレート66b及びフリクションディ
スク66dが相互に離間すると、第1出力軸44の回転
駆動力は第2出力軸54に伝達されない。また、第1ス
プロケット68には、シフトスリーブ64b側の外周に
4輪駆動用ギヤ80が設けられており、前述した図4の
低速位置Lまでシフトスリーブ64dが移動すると、外
歯64b2 と低速シフト用ギヤ64dとの噛合ととも
に、前記4輪駆動用ギヤ80が内歯64b1 と噛合する
構造とされている。これにより、シフトスリーブ64b
及び4輪駆動用ギヤ80は、低速位置Lで第1出力軸4
4及び第2出力軸54を強制的に結合するドグクラッチ
を構成している。
【0024】そして、噛み合いクラッチ形式とされた高
低速切換機構64のシフトスリーブ64bは、副変速機
レバー(図示せず)の手動操作によってフォーク(図3
で示す符号84がフオークの先端部)を介して高速シフ
ト位置H、中立位置N若しくは低速シフト位置Lまでス
ライド移動する。ここで、フロントケーシング40a内
部には、図4に示すように、シフトスリーブ64bが高
速シフト位置Hまでスライド移動したことを検出する高
速シフト位置センサ86と、シフトスリーブ64bが低
速シフト位置Lまでスライド移動したことを検出する低
速シフト位置センサ88が配設されている。そして、高
速シフト位置センサ86の検出信号SH、低速シフト位
置センサ88の検出信号SL は後述するコントローラ1
8に随時入力されるようになっている。
【0025】また、前記油圧供給装置16は、図5に示
す回路構成によりトランスファ22の入力ポート74に
所定のクラッチ圧Pcが供給されるようになっている。
この油圧供給装置16は、第1出力軸44と直結して回
転駆動する正逆回転形のメインポンプ100と、このメ
インポンプ100と並列配置され、電動モータ(サブモ
ータ)102を動力源として回転駆動する正回転形のサ
ブポンプ104を油圧源としている。これらメインポン
プ100及びサブポンプ102は、オイルタンク105
内の作動油をストレーナ106a、108aを介して吸
入し、吐出側の配管106b、108bに吐出する。ま
た、配管106b、108bを収束する収束配管110
aには、オイルエレメント112が接続され、このオイ
ルエレメント112の上流側(メインポンプ100及び
サブポンプ104側)に、他端が潤滑系114側と接続
するリリーフ路116が接続されている。また、オイル
エレメント112の下流側にライン圧調圧弁118が接
続されているとともに、収束配管110aから分岐する
配管110b、110c、110eに、それぞれ電磁切
換弁120、クラッチ圧力調整弁122、減圧弁124
の入力側が接続されている。また、クラッチ圧力調整弁
122の出力側には、電磁切換弁120からのパイロッ
ト圧が供給されるとトランスファ22にクラッチ圧Pc
を供給するパイロット切換弁126の入力側が接続さ
れ、減圧弁124の出力側には、デュティー制御電磁弁
128の入力側が接続されている。なお、オイルタンク
105内には作動油の温度を検知する温度センサ130
が配設されているとともに、ライン圧調圧弁118によ
り減圧設定された圧力を検知する油圧スイッチ132及
びパイロット切換弁126から出力されるクラッチ圧P
cを検知する圧力スイッチ134が配設され、これら検
知信号はコントローラ18に出力されるようになってい
る。そして、この油圧供給装置16は、実際の車両で
は、トランスファ22の内部に配設されている。なお、
オイルタンク105から作動油を吸引するメインポンプ
100は、図3に示すように、第1ギヤ136a及び第
2ギヤ136bを介して第1出力軸44と連結され、サ
ブポンプ104は、リアケーシング40bに外付けされ
た電動モータ102に連結されている。
【0026】次に、図5を参照して油圧供給装置16の
各構成部品を詳述する。正回転駆動をするメインポンプ
100は、吸入配管106cの端部に接続されたストレ
ーナ106aを介してオイルタンク105から作動油を
吸引し、サブポンプ104も、吸入配管108cの端部
に接続されたストレーナ108aを介してオイルタンク
105から作動油を吸引する。そして、収束配管110
aと接続する各ポンプの吐出配管106b、108bに
はそれぞれ逆止弁106d、108dが介挿されている
とともに、メインポンプ100の吐出配管106bとサ
ブポンプ104の吸入配管108cとの間は、バイパス
路140が接続されている。このバイパス路140は、
バイパス配管140aと、このバイパス配管140aに
介挿された3連の逆止弁140bとで構成され、吐出配
管106bが負圧状態となった場合に逆止弁140bが
開状態となり、作動油が破線矢印方向に流れる連通路と
なる。
【0027】オイルエレメント112より上流側の収束
配管110aに接続されたリリーフ路116は、潤滑系
114側に他端が接続されたリリーフ配管116aと、
このリリーフ配管116aに介挿された2連のバネ付き
逆止弁116bとで構成されている。そして、オイルエ
レメント112のフィルタに目詰まりが発生して、オイ
ルエレメント112より上流側の圧力が所定圧以上とな
ると、逆止弁116bが開状態となり、作動油が破線矢
印方向に流れる連通路となる。
【0028】ライン圧調圧弁118は、内部パイロット
及びスプリング形式の減圧弁により構成され、収束配管
110a側に接続する入力ポート118A 、潤滑系11
4側に接続する出力ポート118B 及び固定絞りを介し
て一次圧及び二次圧が供給される内部パイロットポート
118P1、118P2を有する筒状の弁ハウジング内にス
プールが摺動自在に配設され、このスプールを一端側に
付勢するリターンスプリング118aが配設されてい
る。そして、メインポンプ100もしくはサブポンプ1
04で昇圧された供給圧PL は、ライン圧調圧弁118
より所定圧に減圧設定されて電磁切換弁120、クラッ
チ圧力調整弁122、減圧弁124に供給される。な
お、減圧設定した際に出力ポート118B から流れ出た
作動油は、潤滑系114へ戻される。
【0029】また、クラッチ圧力調整弁122は、内
部、外部パイロット及びスプリング形式の圧力調整弁で
構成されており、配管110cと接続する入力ポート1
22A、パイロット切換弁126と接続する出力ポート
122B 、二次圧が固定絞りを介してパイロット圧とし
て供給される内部パイロットポート122P1、デューテ
ィ制御電磁弁128から制御圧が供給される外部パイロ
ットポート122P2を有する筒状の弁ハウジング内にス
プールが摺動自在に配設され、このスプールを一端側に
付勢するリターンスプリング122aが配設されてい
る。このクラッチ圧力調整弁122は、デューティ制御
電磁弁128から制御圧が供給されない場合には、入力
ポート122A と出力ポート122B の連通路が閉塞さ
れて二次圧が出力されないが、デューティ制御電磁弁1
28からパイトッロ制御圧が供給されると、スプールが
移動制御されて出力ポート122B からパイロット制御
圧に応じた二次圧がクラッチ圧Pcとして出力される。
【0030】減圧弁124は、内部パイロット及びスプ
リング形式の二次圧一定形減圧弁により構成されてお
り、配管110eと接続する入力ポート124A 、デュ
ーティ制御電磁弁128と接続する出力ポート12
B 、出力ポート124B からの二次圧が固定絞りを介
してパイロット圧として供給される内部パイロットポー
ト124P と、ドレインポート124H とを有する筒状
の弁ハウジング内にスプールが摺動自在に配設され、こ
のスプールを一端側に付勢するリターンスプリング12
4aが配設されている。そして、内部パイロットポート
124P に供給されるパイロット圧によってスプールが
所定位置に移動制御されることにより、入力ポート12
A から供給された一次圧が、所定圧に減圧調整された
制御圧としてデューティ制御電磁弁128に供給される
ようになっている。
【0031】また、デューティ制御電磁弁128は、3
ポート2位置形に構成され、減圧弁124側に接続され
た入力ポート128A と、ドレイン側に接続されたドレ
インポート128R と、クラッチ圧力調整弁122の外
部パイロットポート122P2と接続する出力ポート12
B と、リターンスプリング127aを有し、弁内部に
配設されたスプールが出力ポート128B とドレインポ
ート128R とを連通させるノーマル位置128bと、
入力ポート128A と出力ポート128B とを連通させ
る作動位置128cとに移動制御される弁である。そし
て、コントローラ18からソレノイド128dに所要デ
ューティ比の励磁電流i0 が供給されると、その励磁電
流i0 がオン状態である区間リターンスプリング128
aに抗してノーマル位置128bから作動位置128c
にスプールが移動制御されることにより、デューティ比
に応じたパイロット制御圧がクラッチ圧調整弁122に
出力される。したがって、クラッチ圧調整弁122は、
デューティ制御電磁弁128から外部パイロットポート
122P2に制御圧が供給されると、パイロット制御圧に
応じたクラッチ圧Pcが吐出され、これに応じた摩擦ク
ラッチ66の締結力が制御されてクラッチPcに応じた
前輪への駆動トルクの配分が行われる。
【0032】また、スプリングオフセット形の電磁切換
弁120は、3ポート2位置に構成され、ライン圧が供
給される入力ポート120A と、パイロット切換弁12
6の外部パイロットポート126P1と接続する出力ポー
ト120B と、ドレインポート120D とを有し、弁内
部に配設されたスプールが入力ポート120A を遮断し
且つ出力ポート120B をドレインポート120D に連
通させるノーマル位置120bと、入力ポート120A
と出力ポート120B とを連通させ且つドレインポート
120D を遮断する作動位置120cとに移動制御され
る弁である。そして、電磁切換弁120は、コントロー
ラ18から励磁電流i1 がソレノイド120dに出力さ
れると、その励磁電流i1 がオン状態を継続している間
リターンスプリング120aに抗してスプールが移動制
御されて作動位置120cとなり、パイロット切換弁1
26の外部パイロットポート126P1にパイロット制御
圧が供給される。また、コントローラ18からの励磁電
流i1 がオフ状態となると、リターンスプリング120
aの押圧力によってノーマル位置120bに戻され、外
部パイロットポート126P1に供給されていたパイロッ
ト制御圧がドレインポート120D を通じて消圧され
る。
【0033】また、パイロット切換弁126は、図6に
も示すように、クラッチ圧力調整弁122から二次圧が
供給される入力ポート126A 、トランスファ22へ二
次圧を供給する出力ポート126B 、電磁切換弁120
のソレノイド120dが通電状態であるときに制御圧が
供給される外部パイロットポート126P1、ドレインポ
ート126H を有する筒状の弁ハウジング126i内
に、スプール126eが摺動自在に配設され、さらに、
このスプール126eを一端側に付勢するリターンスプ
リング126aが配設されている弁である。
【0034】そして、このパイロット切換弁126のス
プール126eは、外部パイロットポート126P1にパ
イロット制御圧が供給されない場合には、入力ポート1
26 A と出力ポート126B とが遮断され、且つ出力ポ
ート126B がドレインポート126D に連通する2W
Dモード位置126bに移動制御されるようになってい
る(図6の左側半断面状態)。また、電磁切換弁120
のソレノイド120dが通電状態(オン状態)となる
と、電磁切換弁120のスプールを第2位置120cに
移動制御して外部パイロットポート126P1に制御圧が
供給され、入力ポート126A と出力ポート126B
が連通する4WDモード位置126cに移動制御される
ようになっている(図6の右側半断面状態)。
【0035】このように、パイロット切替弁126を電
磁切替弁120からのパイロット制御圧で駆動すること
により、高圧のパイロット制御圧でスプル126eを駆
動することができ、スプール126eの摺動通路に塵
埃、切り屑等が付着してスプール126eの摺動抵抗が
大きい場合でも、スプール126eの摺動を確保するこ
とができる。
【0036】ここで、図7はこの油圧供給装置16にお
ける、デューティ制御電磁弁128のソレノイド128
dへ供給される励磁電流i0 のデューティ比Dの増加に
応じて非線形に放射状に増加するクラッチ圧力調整弁1
22のクラッチ圧Pcの相関を示す特性図である。そし
て、摩擦クラッチ66に油圧供給装置16から供給され
たクラッチ圧Pcに応じて、前記フリクションプレート
66bとフリクションディスク66dとの間に所定の摩
擦力が生じ、この生じた摩擦力による締結力に応じて、
駆動トルクが後輪側及び前輪側に配分伝達される。ここ
で、図8は摩擦クラッチ66への供給圧Pcと前輪側へ
の伝達トルクT2 との相関を示す特性図であり、この図
8から明らかなように、前輪側への伝達トルクT2 は、
摩擦クラッチ66へのクラッチ圧Pcに応じてリニアに
変化するようになっている。すなわち、このトランスフ
ァ22において、前後輪に対するトルクの配分比は、前
記指令電流Iの電流値に応じて連続的に変更でき(0:
100〜50:50)、具体的に指令電流Iが「0」か
若しくは指令電流Iそのものが供給されていない状態で
0:100%、指令電流Iが設定最大値に等しい状態で
50%:50%となる。
【0037】一方、図1に戻って、駆動力配分制御装置
15は、前輪側回転センサ17F及び後輪側回転センサ
17Rと、前述の高速シフト位置センサ86及び低速シ
フト位置センサ88、前記切替えスイッチ87により選
択された駆動モードを検出する駆動モードスイッチ90
と、これらのセンサからの検出信号に基づいて油圧供給
装置16への励磁電流i0 、i1 を出力する装置であ
る。なお、この実施例では、同じコントローラ18にお
いて、油圧供給装置16が所定の油圧を保持可能にする
ための制御も行うようになっており、そのために必要な
前記油温センサ130および油圧スイッチ132,13
4を備えるとともに、これらのセンサからの検出信号に
基づく制御信号SM もコントローラ18から前記油圧供
給装置16へ出力されるようになっている。
【0038】前記前輪側回転センサ17F及び後輪側回
転センサ17Rは、前輪側出力軸16及び後輪側のプロ
ペラシャフト22の所定位置に個別に装備され、各軸の
回転数を光学方式又は電磁方式で検知して、これに応じ
たパルス信号又は正弦波信号により当該車輪の周速度、
すなわち車輪速度を前後輪回転検出値nF、nRとして
個別にコントローラ18に出力されるように構成されて
い。ここで、これらの前輪側回転センサ17F及び後輪
側回転センサ17Rとしては、例えば本出願人が先に提
案した特開平1−195126号公報に記載されている
ようなものを転用可能である。
【0039】また、駆動モードスイッチ90は、回転形
式の切替えスイッチ87により選択された駆動モードM
を出力するものであり、選択された駆動モードが二輪駆
動モードであればM=2、オート四輪駆動モード(フル
タイム四輪駆動モード)であればM=AUTO4、直結
四輪駆動モードであればM=LOCK4を示す信号が出
力される。
【0040】図9は、前記コントローラ18を示すもの
であり、駆動力配分制御を行うためのマイクロコンピュ
ータ7と、前述の所定油圧保持制御を行うためのマイク
ロコンピュータ8と、前記マイクロコンピュータ7から
の制御信号CS0 に応じて前記油圧供給装置16におけ
るデューティ制御電磁弁128のソレノイド128dに
所要デューティ比の励磁電流i0 を供給する駆動回路3
1aと、前記マイクロコンピュータ7からの制御信号C
1 に応じてオン・オフされる励磁電流i1 を油圧供給
装置16における電磁切替弁120のソレノイド120
dに供給する駆動回路31bと、前記マイクロコンピュ
ータ8からのモータ制御信号SM に応じてサブモータ1
02をチョッパ制御してモータ制御信号SM に応じた回
転速度に速度制御するモータ駆動回路103とを備えて
いる。
【0041】前記マイクロコンピュータ7は、前記各セ
ンサ86、88、90、17F、17Rからの検出信号
を各検出値として読み込むためのA/D変換機能を有す
る入力インタフェース回路7aと、所定のプログラムに
従って駆動力配分制御のための演算・制御処理等を行う
演算処理装置7bと、ROM、RAM等の記憶装置7c
と、前記演算処理装置7bで得られた前輪側トルク配分
を決定するクラッチ圧Pcを指令するデューティ比Dの
制御信号CS0 及びクラッチ圧Pcを出力するか否かを
決定する制御信号CS1 を出力するための出力インタフ
ェース回路7dとを備えている。また、前記マイクロコ
ンピュータ8は、前記各センサ130,132,134
からの検出信号を各検出値として読込むためのA/D変
換機能を有する入力インタフェース回路8aと、演算処
理装置8bと、ROM,RAM等の記憶装置8cと、前
記演算処理装置8bで得られたサブモータ回転速度指令
値を例えばアナログ電圧信号SM として出力するための
D/A変換機能を有する出力インタフェース回路8dと
を備えている。
【0042】そして、マイクロコンピュータ7は、図1
1に示す演算処理に従って、2ー4WDモードセンサ9
0からのモード信号Dn 、高速シフト位置センサ86か
らの高速シフト位置検出信号SH 、低速シフト位置セン
サ88からの低速シフト位置検出信号SL 、前輪側回転
センサ17Fからの前輪回転検出値nF及び後輪側回転
センサ17Rからの後輪回転検出値nRに基づいて、前
輪側トルク配分指令値T2 を設定し、これに対応するク
ラッチ圧Pcを指定するデューティ比Dを算出し、この
デューティ比Dに対応する指令値の制御信号CS0 を出
力するとともに、制御信号CS1 をオン状態若しくはオ
フ状態に制御し、これら制御信号CS0及びCS1 をそ
れぞれ前記駆動回路31a、31B に出力する。
【0043】そして、前記駆動回路31aは、前記マイ
クロコンピュータ7から出力されるアナログ電圧信号で
なる制御信号CS0 の指令値に応じたデューティ比Dの
励磁電流を出力する例えばパルス幅変調回路を備えてお
り、制御信号CS0 の指令値に応じたデューティ比の励
磁電流i0 をデューティ制御電磁弁128のソレノイド
128dに出力する。
【0044】また、前記駆動回路31bは、前記マイク
ロコンピュータ7から出力される制御信号CS1 を電磁
切替弁120のソレノイド120dを励磁可能な電流値
の励磁電流i1 に変換して、これを電磁切換弁120の
ソレノイド120dに出力する。また、この実施例のコ
ンロトーラ18で行われる演算処理、すなわち油圧供給
装置16が所定の油圧を供給可能にするための制御は、
例えば、図示されない演算処理によって、油圧スイッチ
132で収束配管110aのオイルエレメント112の
下流側のライン圧PL が設定値以下に低下していること
を検出したときに、サブポンプ104からの吐出圧(油
量)を制御するために、前記油温センサ120からの油
温検出値SY に応じて設定される回転速度指令値を表す
制御信号S M を算出し、これをモータ駆動回路103に
供給することにより、サブモータ102の回転速度を制
御して、油圧供給装置16から出力されるライン圧PL
を所定圧力に維持するものである。
【0045】次に、本実施例のコントローラ18のマイ
クロコンピュータ7で行われる演算処置、すなわち駆動
力配分制御に関する基本原理について説明する。この実
施例では、前述のように、二輪駆動モード、オート四輪
駆動モード、直結四輪駆動モードの三段階の切替えが切
替えスイッチ87の操作により可能なものとしてあり、
各駆動モードにおける駆動力配分が、二輪駆動モードの
選択時には後輪:前輪=100%:0に固定され、オー
ト四輪駆動モードの選択時は前後輪回転速度差に応じた
値に自動的に設定されるようにし、直結四輪駆動モード
の選択時には後輪:前輪=50%:50%に固定される
ものである。
【0046】具体的に、オート四輪駆動モードの選択時
には、前後輪の回転速度差ΔVW を、主駆動輪である1
2RL、12RRの平均回転数から得られる平均後輪速
度(後輪回転検出値nR)から、副駆動輪である前輪1
2FL、12FRの平均回転数から得られる平均前輪速
度(前輪回転検出値nF)を減じて、以下の(1)式に
基づいて算出し、 ΔVW =nR−nF……(1) この算出された前後輪速度差ΔVW に応じて、図10に
示す特性から前輪側トルク配分指令値T2 が算出される
ようになっている。
【0047】また、前述したように、切替えスイッチ8
7は、二輪駆動モードと直結四輪駆動モードとの間にオ
ート四輪駆動モードが位置するモード並び順とされ、二
輪駆動モードと直結四輪駆動モードとの間で切替え操作
が行われる場合には、一旦、オート四輪駆動状態の駆動
力配分とされるようになっている。ここで、若し、直結
四輪駆動状態での旋回走行によって前後輪に回転速度差
が発生し、2輪−4輪駆動切換機構60に“こもりトル
ク”が発生した場合には、切替えスイッチ87を短時間
で直結四輪駆動モードから二輪駆動モードへの切換え操
作を行うと、2輪−4輪駆動切換機構60に蓄えられて
いた“こもりトルク”が急激に開放されて、車両にショ
ックを発生させてしまうおそれがある。そこで、本実施
例の駆動力配分制御では、直結四輪駆動モードから二輪
駆動モードへの切換え操作が短時間で行われているか否
かを判定し、切替え操作が短時間であれば所定の時間t
1を越えるまで二輪駆動モードに移行せず、オート四輪
駆動状態の駆動力配分が行われるようになっている。前
記所定の時間t1 が、駆動力配分制御の判定で使用され
ている切替え判定時間t1 であり、この切替え判定時間
1 内において、フリクションプレート66bとフリク
ションディスク66dとがすべりを発生して摩擦接触す
ることにより、前後輪の回転速度差が吸収されるように
なっている。
【0048】次に、このような基本原理に基づく車両の
四輪駆動制御の演算処理について、図11のフローチャ
ートに従って説明する。この演算処理は、所定周期ΔT
s (例えば10msec)毎のタイマ割込処理として実行さ
れるが、この演算処理で判定されている切替え判定時間
1 の計測には、実質的にカウント値から構成されるタ
イマn1 が使用されており、n1 ・ΔTs で算出された
時間が前記切替え判定時間t1 と比較されている。
【0049】そして、図11のステップS100では、
高速シフト位置センサ86からの高速シフト位置検出信
号SH が出力されており、且つ低速シフト位置センサ8
8からの低速シフト位置検出信号SL が出力されていな
いか否かを判定して、高速シフト位置検出信号SH が出
力されており低速シフト位置検出信号SL が出力されて
いなければステップS110に移行し、そうでなければ
(すなわち、低速シフト位置検出信号SL が出力されて
おり高速シフト位置検出信号SH が出力されていなけれ
ば)メインプログラムに復帰する。
【0050】ステップS110では、駆動モードスイッ
チ90からの駆動モード検出値Mを読み込む。次に、ス
テップS120に移行して、前記ステップS110で読
み込まれた駆動モード検出値Mが“2”(二輪駆動モー
ド)であるか否かを判定して、M=2であればステップ
S130に移行し、そうでなければステップS240に
移行する。
【0051】前記ステップS130では、記憶装置7c
のRAMに記憶されている最新の駆動モード前回値M0
を読み込んでから、ステップS140に移行する。前記
ステップS140では、ステップS140で読み込まれ
た駆動モード前回値M0 が“LOCK4”であるか否か
を判定して、M0 =LOCK4であればステップS16
0に移行し、そうでなければステップS210に移行す
る。
【0052】ステップS160では、カウンタn1 のカ
ウント値n1 サンプリング時間ΔT s を乗じて、切換え
スイッチ87が直結四輪駆動モードから二輪駆動モード
へ切換えられた経過時間を算出し、この算出された時間
が所定値(切替え判定時間)t1 以上であるか否かを判
定して、n1 ・ΔTs ≧t1 であればステップS210
に移行し、そうでなければステップS170に移行す
る。
【0053】前記ステップS170では、前輪回転セン
サ17Fからの前輪側回転検出値nFと、後輪回転セン
サ17Rからの後輪側回転検出値nRを読み込む。次
に、ステップS180に移行して、前記ステップS17
0で読み込まれた前輪側回転検出値nFと後輪側回転検
出値nRとにより、前記(1)式から前後輪速度差ΔV
W を算出する。次に、ステップS190に移行して、前
述した図11に示す特性から、ステップS180で算出
された前後輪速度差ΔVW に応じて、前輪側トルク配分
指令値T2 を設定し、ステップS200に移行する。
【0054】前記ステップS210では、カウンタn1
を“0”にリセットする。次に、ステップS220に移
行して、前輪側トルク配分指令値T2 を“0”に設定し
てステップS230に移行する。ステップS230で
は、前記ステップS110で読み込まれた駆動モード検
出値Mを駆動モード前回値M0 として記憶装置7cのR
AMに記憶してから、ステップS200に移行する。
【0055】一方、前記ステップS240では、前記ス
テップS120で読み込まれた駆動モード検出値Mが
“AUTO4”(オート四輪輪駆動モード)であるか否
かを判定して、M=AUTO4であればステップS24
5に移行し、そうでなければステップS260に移行す
る。前記ステップS245では、カウンタn1 に“1”
を加算して、ステップS250に移行する。ステップS
250では、ステップS110で読み込まれた駆動モー
ド検出値Mを駆動モード前回値M0 として記憶装置7c
のRAMに記憶してから、前記ステップS170に移行
する。
【0056】また、前記ステップS260は、前輪側ト
ルク配分指令値T2 を“50”に設定する。次に、ステ
ップS270に移行して、ステップS110で読み込ま
れた駆動モード検出値Mを駆動モード前回値M0 として
記憶装置7cのRAMに記憶してから、前記ステップS
200に移行する。そして、ステップS200では、前
記ステップS190、ステップS220、ステップS2
60のいずれかで設定された前輪側トルク配分指令値T
2 を出力してからメインプログラムに復帰する。
【0057】ここで、前記ステップS245及びステッ
プS160が、本発明の切替え時間判定手段に対応す
る。また、ステップS160、ステップS170、ステ
ップS180及びステップS190が、本発明のオート
四輪駆動継続手段に対応する。このようにして設定され
た前輪側トルク配分指定値T2 は、マイクロコンピュー
タ7の出力インタフェース回路7dによりD/A変換さ
れ、その結果、アナログ電圧値からなる制御信号C
1 、CS0 が駆動回路31a、31bに入力される。
これに伴い、駆動回路31aでは、制御信号CS0 の指
定値に応じたデューティ比Dの励磁電流を、前記油圧供
給装置16内のデューティ制御電磁弁128のソレノイ
ド128dに向けて出力する。また、駆動回路31bで
は、制御信号CS1 の指定値に応じたデューティ比Dの
励磁電流を出力する。
【0058】その結果、T2 ≠0の場合には、電磁切換
弁120の入力ポート120A と出力ポート120B
が連通され、切替弁126は図6の右側半断面状態とな
り、切替弁126の外部パイロット126P1にはクラッ
チ圧力調整弁122からの調整圧が供給され、調整圧が
摩擦クラッチ66に供給可能となる。この場合に、デュ
ーティ制御電磁弁128は、リターンスプリング128
aに抗してスプールが第1位置128bから第2位置1
28cに移動して、所要デューティ比の励磁電流i0
クラッチ圧力調整弁122のパイロットポート122P2
に出力するため、これによりクラッチ圧力調整弁122
の調整圧が所定の値に制御され、切替弁126を介して
クラッチ圧力調整弁122からの調整圧(すなわち、前
輪側トルク配分指令値T2 に応じたクラッチへの供給圧
Pc)が摩擦クラッチ66に供給される。このクラッチ
供給圧Pcが油圧供給装置16からトランスファ22内
の入力ポート74に供給され、供給されたクラッチ圧P
cに応じて、フリクションプレート66bとフリクショ
ンディスク66dとが摩擦接触し、この摩擦接触力に応
じた駆動力が摩擦クラッチ66cのクラッチハブ66c
を駆動回転し、その駆動力がチェーン72を介して前輪
側ドライブシャフト24に伝達され、さらに駆動力伝達
系14を介して前輪12FL、12FRに伝達される。
これにより、後輪12RL、12RRへの伝達駆動力は
その分だけ減少するので、図11に示した演算処理で所
望するトルク配分がなされたオート四輪駆動状態若しく
は直結四輪駆動状態が達成される。
【0059】一方、T2 =0の場合には、制御信号CS
1 が出力されないので電磁切換弁120の入力ポート1
20A と出力ポート120B とが連通されずに、切替弁
126は図6の左側半断面状態となり、切替弁126の
外部パイロット126P1にはクラッチ圧力調整弁122
からの調整圧が供給されずに、調整圧が摩擦クラッチ6
6に供給不可能となる。この場合に、デューティ制御電
磁弁128には、励磁電流i0 =0に相当する制御信号
が入力されるので、スプールが第1位置128bに止ま
るか第2位置128cから第1位置128bに移動し
て、制御圧が“0”となり、クラッチ圧力調整弁122
の調整圧も前輪側トルク配分指令値T2 に応じた値には
制御されない。この場合に、クラッチ圧Pcは“0”と
なる。したがって、この場合には、油圧供給装置16か
らトランスファ22内の入力ポート74に油圧が供給さ
れないので、フリクションプレート66bとフリクショ
ンディスク66dとが摩擦接触しない。これにより、駆
動力が前輪側ドライブシャフト24に伝達されないの
で、二輪駆動状態となる。
【0060】次に、前記図11に示す演算処理によって
実施される、本実施例の作用を説明する。先ず、直結四
輪駆動モードを選択した四輪駆動車両が走行中に旋回
し、前後輪に速度差が発生した時点で、運転者が切替え
スイッチ87をオート四輪駆動モードに切替え選択し、
次に、二輪駆動モードに切替え選択した場合を想定す
る。なお、この想定の場合には、オート四輪駆動モード
から二輪駆動モードに切替え選択された経過時間(n1
・ΔTs )が、切替え判定時間t1 を越えているものと
する。
【0061】最初に、切替えスイッチ87を直結四輪駆
動モードからオート四輪駆動モードに切替えると、ステ
ップS100において、高速シフト位置センサ86から
高速シフト位置検出信号SH が出力され、低速シフト位
置センサ88から低速シフト位置検出信号SL が出力さ
れていないのでステップS110に移行し、ステップS
110において駆動モードスイッチ90からの駆動モー
ド検出値Mが読み込まれる。ステップS120では、駆
動モード検出値M=AUTO4(オート四輪駆動モー
ド)なので、ステップS240に移行する。ステップS
240では、駆動モード検出値M=AUTO4なので、
ステップS245に移行してカウンタn1に“1”を加
算する。そして、ステップS250に移行して今回の駆
動モード検出値M=AUTO4が、駆動モード前回値M
0 として記憶装置7cのRAMに記憶された後、ステッ
プS170に移行する。ステップS170では、前輪回
転センサ17Fからの前輪側回転検出値nFと、後輪回
転センサ17Rからの後輪側回転検出値nRが読み込ま
れ、ステップS180に移行して前輪側回転検出値nF
と後輪側回転検出値nRとの値により前後輪速度差ΔV
W が算出される。そして、ステップS190に移行し
て、前述した図10に示す特性から、ステップS180
で算出された前後輪速度差ΔVW に応じて、前輪側トル
ク配分指令値T2が設定され、ステップS200に移行
して前輪側トルク配分指令値T2 が出力される。
【0062】次に、切替えスイッチ87をオート四輪駆
動モードから二輪駆動モードに切替えると、ステップS
100からステップS110に移行して駆動モードスイ
ッチ90からの駆動モード検出値Mが読み込まれる。ス
テップS120では、駆動モード検出値M=2(二輪駆
動モード)なので、ステップS140に移行する。ステ
ップS140では、駆動モード前回値M0 =AUTO4
なので、ステップS160に移行し、オート四輪駆動モ
ードから二輪駆動モードに切替え選択された経過時間
(n1 ・ΔTs )が、切替え判定時間t1 を越えている
ので、n1 ・ΔT s ≧t1 の条件が満たされ、ステップ
S210に移行する。ステップS210では、カウンタ
1 が“0”にリセットされ、さらにステップS220
に移行して前輪側トルク配分指令値T2 が“0”に設定
される。次に、ステップS230に移行して、今回の駆
動モード検出値M=2が駆動モード前回値M0 として記
憶装置7cのRAMに記憶されてから、ステップS20
0に移行して前輪側トルク配分指令値T2 “0”が出力
される。
【0063】その結果、直結四輪駆動モード(LOCK
4)からオート四輪駆動モード(AUTO4)に切替え
選択されると、クラッチ圧Pcの変化は、図12に示す
ように、摩擦クラッチ66の応答性遅れや指令トルクの
フィルタリングにより徐々に低下していきながら、ステ
ップS180で算出された前後輪速度差ΔVW に応じた
前輪側トルク配分指令値T2 まで達する。このようにク
ラッチ圧Pcが徐々に低下していくので、直結四輪駆動
モードでの旋回走行によって前後輪に回転速度差が発生
し、2輪−4輪駆動切換機構60に“こもりトルク”が
発生した場合であっても、フリクションプレート66b
とフリクションディスク66dとがすべりを発生しなが
ら前後輪の回転速度差を吸収していき、2輪−4輪駆動
切換機構60に蓄えられていた“こもりトルク”は減少
するので、直結四輪駆動モードからオート四輪駆動モー
ドに切替え選択しても、車両にショックを発生させるこ
とがない。
【0064】また、オート四輪駆動モード(AUTO
4)から二輪駆動モード(2WD)に切替え選択される
際には、図12に示すように、クラッチ圧Pcの変化は
僅かであり、この時点まで2輪−4輪駆動切換機構60
に“こもりトルク”が蓄えられていたとしても、モード
切替え時にはショックが発生しない。次に、直結四輪駆
動モードを選択した四輪駆動車両が走行中に旋回し、前
後輪に速度差が発生した時点で、運転者が、切替えスイ
ッチ87の短時間の切替え操作により直結四輪駆動モー
ドから二輪駆動モードへ切替えを行った場合を想定す
る。なお、短時間の切替え操作とは、直結四輪駆動モー
ドから二輪駆動モードへの切替の経過時間(n1 ・ΔT
s )が、切替え判定時間t1 を大きく下回っている操作
をいう。
【0065】先ず、直結四輪駆動モードから二輪駆動モ
ードへの短時間の切替え操作の途中でオート四輪駆動モ
ードとされるので、ステップS100からステップS1
10に移行した時点で、駆動モードスイッチ90から駆
動モード検出値M=AUTO4が読み込まれる。ステッ
プS120では、駆動モード検出値M=AUTO4とさ
れているのでステップS240に移行する。ステップS
240では、駆動モード検出値M=AUTO4なので、
ステップS245に移行してカウンタn1 に“1”を加
算する。そして、ステップS250に移行して今回の駆
動モード検出値M=AUTO4が、駆動モード前回値M
0 として記憶装置7cのRAMに記憶された後、ステッ
プS170に移行する。ステップS170では、前輪回
転センサ17Fからの前輪側回転検出値nFと、後輪回
転センサ17Rからの後輪側回転検出値nRが読み込ま
れ、ステップS180に移行して前輪側回転検出値nF
と後輪側回転検出値nRとの値により前後輪速度差ΔV
W が算出される。そして、ステップS190に移行し
て、前述した図10に示す特性から、ステップS180
で算出された前後輪速度差ΔVW に応じて、前輪側トル
ク配分指令値T2 が設定され、ステップS200に移行
して前輪側トルク配分指令値T2 が出力される。
【0066】次に、短時間の切替え操作によりオート四
輪駆動モードから二輪駆動モードへ切替えられるので、
ステップS100からステップS110に移行した時点
で、駆動モードスイッチ90から駆動モード検出値M=
2が読み込まれる。ステップS120では、駆動モード
検出値M=2とされているのでステップS140に移行
する。ステップS140では、駆動モード前回値M0
AUTO4なので、ステップS160に移行する。
【0067】ステップS160では、オート四輪駆動モ
ードから二輪駆動モードへの切替え開始からの経過時間
1 ・ΔTs が切替え判定時間t1 を上回っていないの
で、ステップS170からステップS200まで連続に
移行した後、メインプログラムに復帰する。そして、前
記ステップS160の条件(経過時間n1 ・ΔTs が切
替え判定時間t1 を上回らない)である限り、前記ステ
ップS170からステップS200の動作を繰り返し
て、オート四輪駆動状態となる。
【0068】そして、ステップS160において経過時
間n1 ・ΔTs が切替え判定時間t 1 以上となった場合
には、ステップS220において前輪側トルク配分指令
値T 2 が“0”に設定され、ステップS200に移行し
て、前輪側トルク配分指令値T2 が出力される。その結
果、直結四輪駆動モード(LOCK4)から二輪駆動モ
ード(2WD)への切替え操作が短時間で行われる場合
には、切替えスイッチ87の操作により二輪駆動モード
が選択されているが、所定時間(切替え判定時間t1
の間はオート四輪駆動状態が継続される。これにより、
クラッチ圧Pcの変化は、ステップS170からステッ
プS200の繰り返し動作による前後輪速度差ΔVW
応じた前輪側トルク配分指令値T2 の設定により、図1
3に示すように徐々に低下していく。このようにクラッ
チ圧Pcが徐々に低下していくので、直結四輪駆動モー
ドでの旋回走行によって前後輪に回転速度差が発生し、
2輪−4輪駆動切換機構60に“こもりトルク”が発生
した場合であっても、フリクションプレート66bとフ
リクションディスク66dとがすべりを発生しながら前
後輪の回転速度差を吸収し、2輪−4輪駆動切換機構6
0に蓄えられていた“こもりトルク”は減少するので、
短時間で直結四輪駆動モードから二輪駆動モードへの切
替え操作を行っても、車両にショックを発生させてしま
うおそれがない。
【0069】なお、本実施例で説明した切替えスイッチ
87は、回転方式のスイッチを採用したがこれに限るも
のではなく、二輪駆動モードと直結四輪駆動モードとの
間にオート四輪駆動モードが位置する並び順であれば、
レバー方式でも同様の作用効果を得ることができる。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
記載の車両の四輪駆動制御装置は、直結四輪駆動モード
での旋回走行によって前後輪に回転速度差が発生し、多
板摩擦クラッチに“こもりトルク”が発生した状態で二
輪駆動モードに切替え選択する場合には、先ず、オート
四輪駆動モードを通過した後に、二輪駆動モードへの切
替え操作が行われるので、オート四輪駆動モードにおけ
る多板摩擦クラッチのすべり摩擦接触により前後輪の回
転速度差が吸収され、多板摩擦クラッチに蓄えられてい
た“こもりトルク”は減少していく。したがって、直結
四輪駆動モードから二輪駆動モードに切替え選択する際
には、車両にショックを発生させることがない。また、
切替え時間判定手段は、オート四輪駆動モードから二輪
駆動モードに切替えられた経過時間を判定し、その経過
時間検出値をオート四輪駆動継続手段に出力しているの
で、直結四輪駆動モードから二輪駆動モードへの切替え
操作が短時間で行われ、前記経過時間が所定値以下であ
ると、前記オート四輪駆動継続手段は、所定時間の間、
二輪駆動モードに移行ずにオート四輪駆動モードを継続
させる。したがって、直結四輪駆動モードでの旋回走行
によって多板摩擦クラッチに“こもりトルク”が発生し
ても、所定時間の間、オート四輪駆動モードが継続さ
れ、オート四輪駆動モードにおける多板摩擦クラッチの
すべり摩擦接触により前後輪の回転速度差が吸収され、
多板摩擦クラッチに蓄えられていた“こもりトルク”は
減少していき、短時間に直結四輪駆動モードから二輪駆
動モードへ切替え選択を行っても、車両にショックを発
生させることがない。
【0071】また、請求項2記載の車両の四輪駆動制御
装置も、請求項1と同様に、直結四輪駆動モードから二
輪駆動モードに切替え選択する際に、車両にショックが
発生しない。また、モード切替えスイッチの直結四輪駆
動モードから二輪駆動モードへの切替え操作を短時間で
行なうと、オート四輪駆動継続手段は、所定時間の間、
二輪駆動モードに移行ずにオート四輪駆動モードを継続
させる。これにより、短時間に直結四輪駆動モードから
二輪駆動モードへ切替え選択を行っても、車両にショッ
クを発生させることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る四輪駆動車の概略を示す構成図
である。
【図2】この発明に係るモード切替えスイッチを示す図
である。
【図3】この発明に係るトランスファの内部構造を示す
図である。
【図4】この発明に係る高速位置に切換え操作された高
低速切換え機構を示す図である。
【図5】この発明に係る油圧供給装置を示す回路図であ
る。
【図6】この発明に係る油圧供給装置で使用されている
切換弁を示す図である。
【図7】デューティ比に応じて変化するクラッチ圧の制
御特性グラフである。
【図8】油圧供給装置から供給されるクラッチ圧の変化
に応じて変化する前輪側への伝達トルクの制御特性グラ
フである。
【図9】この発明に係るコントローラを示すブロック図
である。
【図10】前後輪回転数差に対する前輪側への伝達トル
クの制御特性グラフである。
【図11】この発明に係る車両の四輪駆動制御の演算処
理を示すフローチャートである。
【図12】この発明に係るモード切替えスイッチの切替
え選択によるクラッチ圧の変化を示すグラフである。
【図13】この発明に係るモード切替えスイッチの短時
間の切替え選択によるクラッチ圧の変化を示すグラフで
ある。
【図14】従来の車両の四輪駆動制御における切替えス
イッチの各モードの選択パターンを示す図である。
【符号の説明】
10 エンジン 12RL、12RR 主駆動輪 12FL、12FR 副駆動輪 15 駆動力配分制御装置(駆動配分制御手段) 17F 前輪回転センサ 17R 後輪回転センサ 16 油圧供給装置(駆動力配分調整手段) 18 コントローラ 66 多板摩擦クラッチ 87 モード切替えスイッチ 90 駆動モードスイッチ(駆動モード検出手段) 2WD 二輪駆動モード LOCK4 直結四輪駆動モード AUTO4 オート四輪駆動モード M 駆動モード検出値 M0 最新の駆動モード前回値 T1 切替え判定時間 nF 前輪側回転検出値 nR 後輪側回転検出値 T2 前輪側トルク配分指令値
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−114531(JP,A) 特開 平1−114530(JP,A) 特開 平1−114532(JP,A) 特開 昭63−20234(JP,A) 実開 昭63−13332(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60K 23/00 - 23/08 B60K 17/28 - 17/36

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の前後輪のいずれか一方を主駆動輪
    とし、他方を副駆動輪として、制御信号に応じた締結力
    の可変制御によって前記主駆動輪及び副駆動輪への駆動
    力配分を行う多板摩擦クラッチを備えた駆動力配分調整
    手段と、モード切替えスイッチにより選択された駆動モ
    ードを検出する駆動モード検出手段と、少なくとも前記
    駆動モード検出手段からの駆動モード検出値に基づい
    て、前記主副駆動輪間の駆動力配分を設定し、且つ当該
    設定値に応じた制御信号を前記多板摩擦クラッチに出力
    する駆動配分制御手段とを具備してなる車両の四輪駆動
    制御装置において、 前記モード切替えスイッチは、副駆動輪へ駆動力配分を
    伝達せず二輪駆動状態とする二輪駆動モードと、主副駆
    動輪間の駆動力配分が1:1とされて直結四輪駆動状態
    とする直結四輪駆動モードと、主駆動輪及び副駆動輪間
    の駆動力配分を二輪駆動状態から直結四輪駆動状態の間
    で連続的に自動変更するオート四輪駆動モードとが選択
    可能な三段階のモードスイッチが備えられているととも
    に、二輪駆動モードと直結四輪駆動モードとの間にオー
    ト四輪駆動モードが位置するモードスイッチの並び順と
    されて、直結四輪駆動モードと二輪駆動モードとの間の
    切替え選択時には、前記オート四輪駆動モードを通過す
    る構成とされ 直結四輪駆動モードからオート四輪駆動モードを経て二
    輪駆動モードに切替えられた際の経過時間を判定する切
    替え時間判定手段を備えるとともに、前記駆動配分制御
    手段には、前記切替え時間判定手段からの経過時間検出
    値に基づいて、所定時間の間、二輪駆動モードに移行せ
    ずにオート四輪駆動モードを継続させるオート四輪駆動
    継続手段を備え ていることを特徴とする車両の四輪駆動
    制御装置。
  2. 【請求項2】 車両の前後輪のいずれか一方を主駆動輪
    とし、他方を副駆動輪として、制御信号に応じた締結力
    の可変制御によって前記主駆動輪及び副駆動輪への駆動
    力配分を行う多板摩擦クラッチを備えた駆動力配分調整
    手段と、モード切替えスイッチにより選択された駆動モ
    ードを検出する駆動モード検出手段と、少なくとも前記
    駆動モード検出手段からの駆動モード検出値に基づい
    て、前記主副駆動輪間の駆動力配分を設定し、且つ当該
    設定値に応じた制御信号を前記多 板摩擦クラッチに出力
    する駆動配分制御手段とを具備してなる車両の四輪駆動
    制御装置において、 前記モード切替えスイッチは、副駆動輪へ駆動力配分を
    伝達せず二輪駆動状態とする二輪駆動モードと、主副駆
    動輪間の駆動力配分が1:1とされて直結四輪駆動状態
    とする直結四輪駆動モードと、主駆動輪及び副駆動輪間
    の駆動力配分を二輪駆動状態から直結四輪駆動状態の間
    で連続的に自動変更するオート四輪駆動モードとが選択
    可能な三段階のモードスイッチが備えられているととも
    に、二輪駆動モードと直結四輪駆動モードとの間にオー
    ト四輪駆動モードが位置するモードスイッチの並び順と
    されて、直結四輪駆動モードと二輪駆動モードとの間の
    切替え選択時には、前記オート四輪駆動モードを通過す
    る構成とされ、前記モード切替えスイッチが、直結四輪
    駆動モードからオート四輪駆動モードを経て二輪駆動モ
    ードに切替えられた際、所定時間の間、二輪駆動モード
    に移行せずにオート四輪駆動モードを継続させるオート
    四輪駆動継続手段を備えていることを特徴とする 車両の
    四輪駆動制御装置。
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