JP3451796B2 - 車両のトランスファ装置 - Google Patents

車両のトランスファ装置

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JP3451796B2
JP3451796B2 JP14640995A JP14640995A JP3451796B2 JP 3451796 B2 JP3451796 B2 JP 3451796B2 JP 14640995 A JP14640995 A JP 14640995A JP 14640995 A JP14640995 A JP 14640995A JP 3451796 B2 JP3451796 B2 JP 3451796B2
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智之 原
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  • Arrangement And Mounting Of Devices That Control Transmission Of Motive Force (AREA)
  • Arrangement And Driving Of Transmission Devices (AREA)
  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、入力軸に入力された駆
動力を噛み合いクラッチにより高低速切り換えして第1
出力軸に伝達する副変速機と、第1出力軸に伝達された
駆動力を所定の配分比で第2出力軸に伝達する2輪−4
輪駆動切換機構とを備えた車両のトランスファ装置に関
し、特に、副変速機を構成する減速回転機構と、2輪−
4輪駆動切換機構を構成する摩擦クラッチの湿式多板ク
ラッチに対する潤滑構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のトランスファ装置として特開平5
ー213086号公報に記載のものが知られている。こ
のトランスファ装置は、図13に示すように、変速機か
ら入力軸1に入力された駆動力を噛み合いクラッチによ
り高低速切り換えして第1出力軸2に伝達する副変速機
3と、第1出力軸1に伝達された駆動力を所定の配分比
で第2出力軸4に伝達する2輪−4輪駆動切換機構5と
を備えている。
【0003】副変速機3は、遊星歯車機構3aと、この
遊星歯車機構3aに同軸的に配設されたシフトスリーブ
3bとで構成されており、副変速機レバーにより高速位
置を選択すると、シフトスリーブ3bが図13の左側に
移動して(図13の上側位置に示すシフトスリーブ3
b)入力軸1に設けられた高速シフト用ギヤ1aとシフ
トスリーブ3bの内歯3b1 とが噛合する。また、高速
位置から低速位置にシフト切換を行うとシフトスリーブ
3bは右側へ移動し、その外歯3b2 と遊星歯車機構3
aの低速シフト用ギヤ3cとが噛合する(図13の下側
位置に示すシフトスリーブ7)。
【0004】また、2輪−4輪駆動切換機構5は、所定
間隔をあけて配設された複数枚のフリクションプレート
と、これらフリクションプレートの間に所定の隙間を設
けて配設された複数枚のフリクションディスクとで構成
される湿式多板クラッチ5a 1 を備えて前後輪に対する
駆動力配分比を変更する摩擦クラッチ5aと、第1出力
軸2に回転自在に支持されている第1スプロケット5b
と、第2出力軸4と同軸に結合された第2スプロケット
5cと、第1及び第2スプロケット5b、5c間に巻装
さたチェーン5dとで構成されている。また、第1スプ
ロケット5bには、シフトスリーブ3b側の外周に4輪
駆動用ギヤ5b1 が設けられており、シフトスリーブ3
bを低速位置にシフト変換すると、その内歯3b1 と4
輪駆動用ギヤ5b1 とが噛合して第1出力軸2及び第2
出力軸4を強制的に結合する。
【0005】そして、前後輪の駆動力配分を0:100
〜50:50の範囲とする4輪駆動走行モードを選択す
ると、クラッチ圧の供給により湿式多板クラッチ5a1
が所定の締結状態とされて前記摩擦クラッチ5aにクラ
ッチ締結力が発生し、このクラッチ締結力に応じた所定
の駆動力配分比で第1出力軸2の駆動力が第2出力軸4
に伝達される。
【0006】ここで、第1出力軸2には、外部から潤滑
油が順次供給される潤滑油路6が軸に沿って穿設されて
いるとともに、摩擦クラッチ5aの内部、副変速機3に
向けて穿設された分岐潤滑油路6a〜6dが、それぞれ
潤滑油路6と連通している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、車両がスタ
ックを生じ易い砂地を走行する場合や、急斜面の上り走
行を行う場合には、前記シフトスリーブ3bを低速位置
にシフト切換する。これにより、シフトスリーブ3bの
外歯3b2 と遊星歯車機構3aの低速シフト用ギヤ3c
とが噛合し、遊星歯車機構3aの減速回転により入力軸
1の回転駆動力が低速回転駆動力として第1出力軸2に
伝達されていく。また、シフトスリーブ3bの内歯3b
1 と4輪駆動用ギヤ5b1 とが噛合するので、第1出力
軸2の駆動力が直接第2出力軸4に伝達されて4輪駆動
低速走行モードとなる。
【0008】しかしながら、この4輪駆動低速モードを
選択すると、第1出力軸2に低速回転駆動力を伝達して
いる遊星歯車機構3aに対して十分な潤滑油の供給が必
要であるが、上記の従来装置では、逆に潤滑油の供給量
が不足してしまう。すなわち、上記従来装置は、4輪駆
動低速モードを選択すると摩擦クラッチ5aにクラッチ
締結力を発生させず、湿式多板クラッチ5a1 を構成し
ている複数枚のフリクションプレート及びフリクション
プレートの間に隙間を設けた状態としている。このた
め、潤滑油路6に順次供給されてくる潤滑油の多くが、
図13の太線矢印で示すように、摩擦クラッチ5aに向
けて穿設されている分岐潤滑油路6bを通過し、湿式多
板クラッチ5a1 の隙間を通過して摩擦クラッチ5aの
外部に流れ出てしまう。これにより、4輪駆動低速モー
ドを選択すると遊星歯車機構3aに向けて供給される潤
滑油の必要量が不足してしまい、遊星歯車機構3aへの
潤滑性の面で問題がある。
【0009】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、駆動力を伝達している副変速機の減速回転機構に
対して十分に潤滑液を供給することが可能な車両のトラ
ンスファ装置を提供することを目的とするに関する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
車両のトランスファ装置は、高速位置を選択したときに
変速機から入力軸に入力された駆動力を第1出力軸に直
接伝達し、低速位置を選択したときに前記入力軸に入力
された駆動力を減速回転機構を介して前記第1出力軸に
伝達する副変速機と、供給される所定圧の制御流体によ
り摩擦クラッチに所定のクラッチ締結力を発生させて湿
式多板クラッチを所定の締結状態とし、前記第1出力軸
に伝達された駆動力を前記摩擦クラッチを介して所定の
配分比で第2出力軸に伝達する2輪−4輪駆動切換機構
と、前記副変速機で前記低速位置を選択したときに前記
第1出力軸を前記第2出力軸に強制的に結合させるドグ
クラッチと、前記制御流体の圧力値を設定して前記摩擦
クラッチのクラッチ締結力を制御するクラッチ制御手段
とを備えるとともに、前記第1出力軸に外部から潤滑液
が供給される潤滑液路を形成し、且つ当該潤滑液路から
それぞれ分岐して、前記減速回転機構への液路、及び
前記摩擦クラッチの内部から前記湿式多板クラッチを通
過して外部に流れ出す液路で前記潤滑液を供給する分岐
潤滑液路を形成してなる車両のトランスファ装置におい
て、前記クラッチ制御手段は、前記副変速機で前記低速
位置を選択して前記ドグクラッチにより強制的に4輪駆
動状態を選択したときに、前記湿式多板クラッチを僅か
な締結状態として前記第1出力軸から第2出力軸への駆
動力伝達が行われない程度のイニシャルクラッチ締結力
を前記摩擦クラッチが発生するように、前記制御流体の
圧力値を低く設定して前記湿式多板クラッチの隙間を無
くし、前記潤滑液路に供給された潤滑液が前記摩擦クラ
ッチの内部から前記湿式多板クラッチを通過して外部に
流れ出ないようにすることを特徴とする。
【0011】また、請求項2記載の発明は、請求項1記
載の車両のトランスファ装置において、前記制御流体の
温度を検知する温度検知手段を備え、前記クラッチ制御
手段は、前記温度検知手段から入力された温度検出値に
基づいて前記イニシャルクラッチ締結力の値を変更する
ことを特徴とする。
【0012】
【作用】本発明の請求項1記載の車両のトランスファ装
置によれば、クラッチ制御手段は、副変速機で低速位置
を選択してドグクラッチにより強制的に4輪駆動状態を
選択したときに、圧力値の低い制御流体を設定して湿式
多板クラッチを僅かな締結状態とするイニシャルクラッ
チ締結力を摩擦クラッチに発生させているので、湿式多
板クラッチに設けられていた隙間が存在しなくなる。こ
れにより、外部から潤滑液路に供給されてきた潤滑液
は、潤滑液路から分岐して湿式多板クラッチに向かう液
路を通らず、摩擦クラッチの内部から湿式多板クラッチ
を通過して外部に流れ出ないので、第1出力軸に減速駆
動力を伝達している副変速機の減速回転機構に対して十
分な液量が供給されていく。これにより、副変速機で低
速位置を選択する際において、減速回転機構に対する潤
滑性が向上する。
【0013】また、副変速機で低速位置を選択してドグ
クラッチにより強制的に4輪駆動状態を選択したときに
摩擦クラッチがイニシャルクラッチ締結力を発生するこ
とにより、変速機から入力軸に入力された駆動力が増減
しても、第1出力軸と第2出力軸との回転速度差は小さ
くなる。これにより、強制的に第1出力軸を第2出力軸
に結合してドグクラッチにガタツキ等が発生せず、運転
者に振動やショック等の不快感を与えることがない。
【0014】また、請求項2記載の車両のトランスファ
装置によれば、制御流体の温度が低下すると、粘性の低
下により制御流体の圧力値が低下しやすく、逆に、制御
流体の温度が上昇すると、粘性が高くなることにより制
御流体の圧力値が高い値となりやすい。そこで、本発明
は、制御流体の圧力値が変化しても所望のイニシャルク
ラッチ締結力が発生するように、クラッチ制御手段が、
制御流体の温度を検知する温度検知手段から入力された
温度検出値に基づいてイニシャルクラッチ締結力の値を
変更しているので、湿式多板クラッチを僅かな締結状態
とする動作が高精度に行われる。
【0015】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面を参照して説
明する。図2に示すものは、FR(フロントエンジン,
リヤドライブ)方式をベースにしたパートタイム四輪駆
動車であり、回転駆動源としてのエンジン10と、前左
〜後右側の車輪12FL〜12RRと、車輪12FL〜12RR
への駆動力配分比を変更可能な駆動力伝達系14と、駆
動力伝達系14による駆動力配分を制御するために油圧
を供給する油圧供給装置16と、油圧供給装置16を制
御するコントローラ18を備えた車両である。
【0016】駆動力伝達系14は、エンジン10からの
駆動力を選択された歯車比で変速する変速機20と、こ
の変速機20からの駆動力を前輪12FL、12FR及び後
輪12RL、12RR側に分割するトランスファ22とを有
している。そして、駆動力伝達系14では、トランスフ
ァ22で分割された前輪駆動力が前輪側出力軸24、フ
ロントディファレンシャルギヤ26及び前輪側ドライブ
シャフト28を介して、前輪12FL、12FRに伝達さ
れ、一方、後輪側駆動力がプロペラシャフト30、リア
ディファレンシャルギヤ32及びドライブシャフト34
を介して後輪12RL、12RRに伝達される。
【0017】図3はトランスファ22の内部構造を示す
ものであり、トランスファケーシング40内において同
軸突き合わせ状態で配設されている入力軸42及び第1
出力軸44は、入力軸42がフロントケーシング40a
にラジアル軸受46を介して回転自在に支持され、第1
出力軸44がリアケーシング40bにラジアル軸受48
を介して回転自在に支持されて相対回転可能に配設され
ている。
【0018】そして、フロントケーシング40a及びリ
アケーシング40bの下方には、入力軸42及び第1出
力軸44に対して平行に、それぞれフロントケーシング
40a及びリアケーシング40bに配設されたベアリン
グ50、52によって第2出力軸54が回転自在に支持
されている。なお、入力軸42は変速機20の出力軸5
6に結合し、第1出力軸44は後輪側出力軸30に結合
し、第2出力軸54は前輪側出力軸24に結合されてい
る。
【0019】また、入力軸42及び第1出力軸44に
は、副変速機構58が介挿されているとともに、第1出
力軸44及び第2出力軸54間には、2輪−4輪駆動切
換機構60とが設けられている。副変速機構58は、遊
星歯車機構62と、この遊星歯車機構62に同軸的に配
設された噛み合いクラッチ形式の高低速切換機構64と
で構成されている。
【0020】遊星歯車機構62は、入力軸42の外周に
形成されたサンギヤ62aと、フロントケーシング40
a内部で固定されたインターナルギヤ62bと、これら
サンギヤ62a及びインターナルギヤ62bに噛合する
ピニオンギヤ62cと、ピニオンギヤ62cを回転自在
に支持するピニオンキャリア62dとで構成されてい
る。
【0021】また、高低速切換機構64は、第1出力軸
44の外周に形成されたスプライン軸部に係合するスプ
ライン孔64b1 を有する円筒部64a1 とその左端側
に一体に形成され外周面に外歯64b2 を形成したフラ
ンジ部64a2 とで構成されて軸方向に摺動自在に開設
されたシフトスリーブ64bと、このシフトスリーブ6
4bのスプライン孔64b1 と噛合可能な入力軸42の
外周位置に形成された高速シフト用ギヤ64c、シフト
スリーブ64bの外歯64b2 と噛合可能なピニオンキ
ャリア62dの内周部に形成された低速シフト用ギヤ6
4dとで構成されている。
【0022】そして、シフトスリーブ64bは、図4に
示すように、円筒部64a1 の右端側外周面に形成した
周溝64eに、左右方向に摺動可能に配設されたフォー
クロッド64fに一体に形成されたフォーク64gが係
合され、このフォークロッド64fが図示しないリンク
機構を介して運転席近傍に配設された高速レンジ(以
下、Hレンジと称す)、ニュートラルレンジ(以下、N
レンジと称す)及び4輪駆動低速レンジ(以下、4Lレ
ンジと称す)を例えば直線的に選択可能な副変速機レバ
ーに連結されている。この副変速機レバーでHレンジを
選択したときには、スプライン穴64b1 が高速シフト
用ギヤ64cに噛合して、入力軸42に伝達される駆動
力を直接第1出力軸44に伝達する高速シフト位置Hに
移動され、この状態から副変速機レバーでNレンジを選
択することにより、スプライン穴64b1 が高速シフト
用ギヤ64c及び4輪駆動用ギヤ80の双方から離間し
て、入力軸42と第1出力軸44との連結状態が解除さ
れるニュートラル位置Nに移動され、さらに副変速機レ
バーで4Lレンジを選択することにより、図4における
シフトスリーブ64bの下部側配置に示すように、スプ
ライン穴64b1 の高速シフト用ギヤ64cとの噛合を
脱し、これに代えて外歯64b2 が低速シフト用ギヤ6
4dと噛合し且つスプライン穴64b1 が後述する第1
スプロケット68に形成した4輪駆動用ギヤ80に噛合
する低速シフト位置Lに移動される。
【0023】さらに、フロントケーシング40a内部に
は、図4に示すように、シフトスリーブ64bが低速シ
フト位置Lまでスライド移動したことを検出する低速シ
フト位置センサ86が配設され、この低速シフト位置セ
ンサ86の検出信号SL がコントローラ18に入力され
る。また、2輪−4輪駆動切換機構60は、前後輪に対
する駆動力配分比を変更する摩擦クラッチ66と、第1
出力軸44にラジアル軸受68aを介して回転自在に支
持されている第1スプロケット68と、第2出力軸54
と同軸に結合された第2スプロケット70と、第1及び
第2スプロケット60、70間に巻装さたチェーン72
とで構成されている。
【0024】摩擦クラッチ66は、第1スプロケット6
8に結合されたクラッチドラム66aと、このクラッチ
ドラム66aにスプライン結合されたフリクションプレ
ート(湿式多板クラッチ)66bと、第1入力軸44の
外周にスプライン結合されたクラッチハブ66cと、ク
ラッチハブ66cに一体結合されて前記フリクションプ
レート66b間に配設されたフリクションディスク(湿
式多板クラッチ)66dと、第1出力軸44の外周に配
設されてクラッチドラム66a側への軸方向移動により
フリクションプレート66b及びフリクションディスク
66dを当接させる回転部材66eと、クラッチハブ6
6cに一体結合されクラッチハブ66cと回転部材66
eとを係合するピン66kと、リアケーシング40bの
内壁に装着されて軸方向の移動が可能とされたクラッチ
ピストン66gと、このクラッチピストン66gの軸方
向の移動を回転部材66eに伝達するスラスト軸受66
fと、クラッチピストン66gとリアケーシング40b
との内壁間に形成されたシリンダ室66hと、回転部材
66eに対してクラッチピストン66g側へ付勢力を与
えるリターンスプリング66jとで構成されている。
【0025】そして、シリンダ室66hと連通するリア
ケーシング40bに形成された入力ポート74に、油圧
供給装置16から所定のクラッチ圧PC が供給される
と、シリンダ室66h内の押圧力発生によりクラッチピ
ストン66gが図3の左側へ移動し、このクラッチピス
トン66gの移動がスラスト軸受66fを介して回転部
材66eに伝達され、相互に離間していたフリクション
プレート66b及びフリクションディスク66dがフリ
クションディスク66dの移動により当接し、摩擦力に
よるクラッチ圧Pcに応じたクラッチ締結力が付与され
る。これにより、第1出力軸44の回転駆動力が、摩擦
クラッチ66のクラッチ締結力に応じた所定のトルク配
分比で、第1スプロケット68、チェーン72及び第2
スプロケット70を介して第2出力軸54に伝達される
ようになっている。
【0026】また、供給されるクラッチ圧Pcが低下し
てリターンスプリング66jの付勢力によって回転部材
66e及びクラッチピストン66gが図3の右側へ移動
し、フリクションプレート66b及びフリクションディ
スク66dが相互に離間すると、第1出力軸44の回転
駆動力は第2出力軸54に伝達されない。また、第1ス
プロケット68には、シフトスリーブ64b側の外周に
4輪駆動用ギヤ80が設けられており、前述したシフト
スリーブ64dを低速シフト位置Lにシフトすると、そ
のスプライン孔64b1 と4輪駆動用ギヤ80とが噛合
して第1出力軸44及び第2出力軸54を強制的に結合
する。ここで、シフトスリーブ64bと4輪駆動用ギヤ
80とで強制的に4輪駆動状態を形成するドグクラッチ
を構成している。
【0027】ここで、第1出力軸44には、図3に示す
ように、所定内径に設定された潤滑油路84が軸に沿っ
て穿設されているとともに、第1出力軸44の径方向に
向けて穿設された供給潤滑油路84a及び第1〜第3分
岐潤滑油路84b〜84dが、それぞれ潤滑油路84と
連通している。すなわち、供給潤滑油路84aは潤滑油
路84の右端位置に穿設されており、この供給潤滑油路
84aはリアケーシング40bに穿設された潤滑油供給
ポート85とも連通している。また、第1分岐潤滑油路
84bは摩擦クラッチ66の回転部材66eとクラッチ
ハブ66cとの間に画成された空間を向く位置に穿設さ
れている。また、第2分岐潤滑油路84cは第1スプロ
ケット68を回転自在に支持しているラジアル軸受68
aを向く位置に穿設されている。また、第3分岐潤滑油
路84dは遊星歯車機構62を向く位置に穿設されてい
るとともに、入力軸42に穿設された油路42aと連通
している。
【0028】そして、後述するメインポンプ100から
供給される油の一部が、潤滑油として供給ポート85及
び供給潤滑油路84aを通過して潤滑油路84に流れ込
む。そして、この潤滑油路84に流れ込んだ潤滑油は、
第1分岐潤滑油路84bを通過して摩擦クラッチ66の
フリクションプレート66b及びフリクションディスク
66dへ向けて流れ込み、第2分岐潤滑油路84cを通
過して第1スプロケット68のラジアル軸受68aに流
れ込み、さらに、第3分岐潤滑油路84d、油路42a
及びスラスト軸受42b内部を通過して遊星歯車機構6
2に向けて流れ込むようになっている。
【0029】さらに、油圧供給装置16は、図5に示す
回路構成によりトランスファ22の入力ポート74に所
定のクラッチ圧Pcが供給されるようになっている。こ
の油圧供給装置16は、第1出力軸44と直結して回転
駆動する正逆回転形のオイルポンプ90を油圧源として
いる。このオイルポンプ90は、オイルタンク92内の
作動油をストレーナ94を介して吸入して吐出側配管9
6に吐出する。また、この吐出配管96には、バネ付き
逆止弁98からなるリリーフ路の一端が接続されてお
り、このリリーフ路の他端は潤滑系、即ち、前述したリ
アケーシング40bに形成された潤滑油供給ポート85
と接続している。また、オイルポンプ90より下流側
に、デューティ制御電磁弁100が接続されている。
【0030】このデューティ制御電磁弁100は、3ポ
ート2位置に構成されたスプリングオフセット型のノレ
ノイド切換弁であり、ライン圧が供給される入力ポート
100A と、トランスファ22の入力ポート74と接続
する出力ポート100B と、ドレインポート100D
を有し、弁内部に配設されたスプールが入力ポート10
A を遮断し且つ出力ポート100B をドレインポート
100D に連通させるノーマル位置100bと、入力ポ
ート100A と出力ポート100B とを連通させ且つド
レインポート100D を遮断する作動位置100cとに
移動制御される弁である。そして、コントローラ18か
らソレノイド100dに所要デューティ比の励磁電流i
が供給されると、その励磁電流iがオン状態である区間
リターンスプリング100aに抗してノーマル位置10
0bから作動位置100cにスプールが移動制御される
ことにより、デューティ比に応じたクラッチ圧Pcがト
ランスファ22の入力ポート74に出力される。これに
より摩擦クラッチ66のクラッチ締結力が制御されてク
ラッチ圧Pcに応じた前輪への駆動トルクの配分が行わ
れる。また、コントローラ18からの励磁電流iがオフ
状態となると、リターンスプリング100aの押圧力に
よってノーマル位置100bに戻され、クラッチ圧Pc
がドレインポート100D を通じて消圧される。
【0031】そして、オイルタンク92内には、作動油
の温度を検知する油温センサ(温度検知手段)102が
配設されており、この検知信号SY はコントローラ18
に出力されるようになっている。そして、この油圧供給
装置16は、実際の車両では、トランスファ22の内部
に配設されている。なお、オイルタンク92から作動油
を吸引するオイルポンプ90は、図3に示すように、第
1ギヤ136a及び第2ギヤ136bを介して第1出力
軸44と連結されている。
【0032】また、運転席近傍には、2輪駆動モード及
び4輪駆動モードを選択するモード選択スイッチ104
が配設されている。このモード選択スイッチ104は、
2輪駆動モード(2WDモード)と、4輪駆動モードの
うち前後輪の回転数差ΔNに応じて摩擦クラッチ66を
制御して前輪側への駆動力配分を0%から50%まで変
更する4輪駆動オートモード(AUTOモード)と、4
輪駆動モードで摩擦クラッチ66を完全締結状態として
前輪側への駆動力配分を50%に固定する4輪駆動ロッ
クモード(4Hモード)との3つのモードを選択可能に
構成され、このモード選択スイッチ104から2輪駆動
モードを選択したときに選択信号M2 がオン状態とな
り、4輪駆動オートモードもを選択したときに選択信号
4Aがオン状態となり、4輪駆動ロックモードを選択し
たときに選択信号M4Hがオン状態となり、これら選択信
号M2 〜M4Hがコントローラ18に入力される。
【0033】さらに、第2出力軸54には、その回転数
を検出する前輪側回転数センサ106が配設されている
と共に、副変速機構58の入力軸42の回転数を検出す
る後輪側回転数センサ108が配設され、これら前輪側
回転数センサ106及び後輪側回転数センサ108から
出力される前輪側回転数検出値NF 及び後輪側回転数検
出値NR がコントローラ18に入力される。なお、後輪
側回転数センサ108としては、自動変速機20の出力
軸の回転数を検出する既存の回転数センサをそのまま適
用することができる。
【0034】一方、コントローラ18は、低速シフト位
置センサ86、モード選択スイッチ104、前輪側回転
数センサ106及び後輪側回転数センサ108、油温セ
ンサ102、スロットル開度センサ110からの検出信
号に基づいて油圧供給装置16への励磁電流iを出力す
る装置である。このコントローラ18は、図6に示すよ
うに、駆動力配分制御を行うためのマイクロコンピュー
タ112と、マイクロコンピュータ112からの制御信
号CSに応じて油圧供給装置16のデューティ制御電磁
弁100のソレノイド100dに所要デューティ比の励
磁電流iを供給する駆動回路114とを備えている。
【0035】前記マイクロコンピュータ112は、前記
各センサ86、102、104、106、108、11
0からの検出信号を各検出値として読み込むためのA/
D変換機能を有する入力インタフェース回路112a
と、所定のプログラムに従って駆動力配分制御のための
演算・制御処理等を行う演算処理装置112bと、RO
M、RAM等の記憶装置112cと、前記演算処理装置
112bで得られた前輪側トルク配分を決定するクラッ
チ圧Pcを指令するデューティ比Dの制御信号CSを出
力するための出力インタフェース回路112dとを備え
ている。
【0036】そして、マイクロコンピュータ112は、
図12に示す演算処理に従って、低速シフト位置SL
オン状態であるときには、油温検出値SY に応じてイニ
シャルトルク(イニシャルクラッチ締結力)TV を算出
し、この値に対応するクラッチ圧Pcを指令するデュー
ティ比Dを算出するとともに、このデューティ比Dに対
応する指令値の制御信号CSを出力する。前記イニシャ
ルトルクTV は、この値に対応するクラッチ圧Pcが摩
擦クラッチ66に供給されると、摩擦クラッチ66のフ
リクションプレート66bとフリクションディスク66
dとが互いに押圧接触するが、それら両者間に滑りが発
生するだけで駆動力伝達を行わないクラッチ締結力を称
している。
【0037】また、低速シフト位置SL がオフ状態であ
り、且つ4輪駆動オートモード(AUTOモード)であ
るときには、先ず、前輪側回転封検出値NF 及び後輪側
回転数検出値NR とから算出した回転数差ΔNに基づい
て前輪側への基本伝達トルクΔT0 を算出し、次いで、
スロットル開度信号THに応じて前輪側への発進時伝達
トルクΔTsを算出し、次いで、油温検出値SY に応じ
てイニシャルトルクT V を算出するとともに、これらΔ
0 、ΔTs、TV のうちの最大値に対応するクラッチ
圧Pcを指令するデューティ比Dを算出し、このデュー
ティ比Dに対応する指令値の制御信号CSを出力する。
【0038】さらに、低速シフト位置SL がオフ状態で
あり、且つ2輪駆動モード(2WDモード)であるとき
には、制御信号CSをオフ状態とする。さらにまた、低
速シフト位置SL がオフ状態であり、且つ4輪駆動ロッ
クモード(4Hモード)であるときには、摩擦クラッチ
66が完全締結状態となるようにデューティ比Dを最大
値“D2 ”に設定し、このデューティ比Dに対応する指
令値の制御信号CSを出力する。なお、上述した判定の
いずれも合致しない場合には、制御信号CSはオフ状態
とされる。
【0039】そして、前記駆動回路114は、マイクロ
コンピュータ112から出力されるアナログ電圧信号で
なる制御信号CSの指令値に応じたデューティ比Dの励
磁電流を出力する例えばパルス幅変調回路を備えてお
り、制御信号CSの指令値に応じたデューティ比の励磁
電流iをデューティ制御電磁弁100のソレノイド10
0dに出力する。
【0040】ここで、マイクロコンピュータ112の記
憶装置112cには、演算処理装置112bの処理の実
行に必要なプログラム及び固定データ等が予め記憶され
ているとともに、その処理結果が一時記憶可能とされて
いる。この内、固定データとしては、図7から図11に
示す各制御特性に対応した記憶テーブルを含んでいる。
【0041】図7は、油温検出値SY の変化に応じたイ
ニシャルトルクTV の設定値を示している。通常、油温
が低くなると作動油の粘性が高くなるので、所定の作動
油量がトランスファ22の入力ポート74に供給されな
い場合がある。逆に、油温が高くなると作動油の粘性が
低くなるので、所定量以上の作動油がトランスファ22
の入力ポート74に供給される場合がある。このため、
図7の固定データは、摩擦クラッチ66のフリクション
プレート66bとフリクションディスク66dとを互い
に駆動力が伝達されない程度に押圧接触させるイニシャ
ルトルクTV を、油温検出値SY の変化に応じて設定し
ている。
【0042】また、図8は、スロットル開度信号THの
変化に対する発進時伝達トルクΔTsの特性を示したも
のである。これによると、スロットル開度信号THが増
大すると、発進時伝達トルクΔTsを急激に増加させて
いる。また、図9は、前後輪回転速度差ΔNに対応する
基本伝達トルクΔT0 の制御特性を示したものである。
これによると、基本伝達トルクΔT0 を回転速度差Δの
増加に応じて非線形に増加させている。
【0043】さらに、図10は、算出された前輪側への
伝達トルクΔTの変化に対して直線的に変化するクラッ
チ圧Pcの値を示している。さらにまた、図11は、デ
ューティ制御電磁弁100のソレノイド100dに供給
する励磁電流値iのデューティ比Dの増加に応じて、非
線形に放物線状に増加するデューティ制御電磁弁100
のクラッチ圧Pcの値を示している。
【0044】そして、マイクロコンピュータ112で前
後輪の回転速度差ΔN、油温検出値SY 、スロットル開
度信号THの何れかに基づいて図7から図9に対応する
記憶テーブルを参照することにより前輪側への伝達トル
クTが決定されると、図10、図11に対応する記憶テ
ーブルを順次参照して、コントローラ18が出力しなけ
ればならないデューティ比Dの値が逆算されるようにな
っている。そして、図11で示すD1 〜D2 の範囲のデ
ューティ比に応じたクラッチ圧P1 〜P2 が摩擦クラッ
チ66に供給されると、摩擦クラッチ66のクラッチ締
結力に応じた所定のトルク配分比が、後輪:前輪=10
0%:0〜後輪:前輪=50%:50%まで連続的に変
化される。ここで、図11で示すデューティ比Ds は前
述したイニシャルトルクTV を設定する値であり、この
デューティ比Ds に応じたクラッチ圧Ps が摩擦クラッ
チ66に供給されると、摩擦クラッチ66のフリクショ
ンプレート66bとフリクションディスク66dとが駆
動力が伝達されない程度に押圧接触するようになってい
る。
【0045】そして、マイクロコンピュータ112によ
る油圧供給制御は、図12のフロートチャートに示す基
準演算処理に従って実行される。この油圧供給制御の基
準演算処理について簡単に説明すれば、図12の演算処
理は所定時間(例えばΔt=20msec)毎のタイマ
割込によって実行され、先ず、ステップS1で低速シフ
ト位置検出信号SL 、モード選択信号M2 、M4A
4L、油温検出値SY 、スロットル開度信号THを読込
み、次いでステップS2に移行して、低速シフト位置検
出信号SL がオン状態であるか否かを判定する。この判
定は、副変速機構58の高低速切換機構64のシフトス
リーブ64bが低速シフト位置Lに切換えられているか
否かを判定するものであり、低速シフト位置検出信号S
L がオフ状態であるときには、ステップS3に移行す
る。
【0046】このステップS3では、モード選択信号M
4Aがオン状態である4輪駆動オートモードであるか否か
を判定し、4輪駆動オートモードであるときには、ステ
ップS4に移行する。このステップS4では、後輪側回
転数NR から前輪側回転数NF を減算した回転数差ΔN
(=NR −NF )を算出し、これを記憶装置112cの
所定記憶領域に更新記憶し、次いでステップS5に移行
し、回転数差ΔNをもとに図9の記憶テーブルを参照し
て基本伝達トルクΔT0 を算出し、これを記憶装置11
2cの所定記憶領域に更新記憶する。次いでステップS
6に移行して疑似車体速ViTを算出し、これを記憶装置
112cの所定記憶領域に更新記憶した後、ステップS
7に移行する。
【0047】このステップS7は、車両の低速走行状態
を20Km/h以下とし、算出した疑似車体速ViTとの比較
により車両が低速状態で走行しているか否かを判定す
る。そして、車両が低速状態で走行している場合(0≦
疑似車体速ViT≦20である場合)には、ステップS8
に移行し、スロットル開度信号THをもとに図8の記憶
テーブルを参照して発進時伝達トルクΔTsを算出し、
次いでステップS10に移行する。一方、疑似車体速V
iTにより車両が低速走行状態でない(疑似車体速ViT
20)と判断すると、ステップS9に移行して発進時伝
達トルクΔTsを零(0)に設定し、次いでステップS
10に移行する。
【0048】このステップS10では、油温検出値SY
をもとに図7の記憶テーブルを参照してイニシャルトル
クTV を算出し、ステップS11に移行する。このステ
ップS11では、算出した基本伝達トルクΔT0 、発進
時伝達トルクΔTs及びイニシャルトルクTV のうちの
最大トルクTmax を算出し、次いでステップS12に移
行して、最大トルクTmax を前輪側への伝達トルクTと
して設定する。
【0049】次いでステップS13に移行し、前記伝達
トルクTをもとに図10の記憶テーブルを参照して摩擦
クラッチ66のクラッチ圧Pcを算出し、図11の記憶
テーブルを参照してこのクラッチ圧Pcに対応するD1
〜D2 の範囲のデューティ比Dを算出してからステップ
S14に移行する。このステップS14では、決定され
たデューティDに対応する制御信号CSを駆動回路11
4に出力してからタイマ割込処理を終了して所定のメイ
ンプログラムに復帰する。
【0050】一方、前述したステップS3の判定結果に
よりモード選択信号D4Aがオフ状態であるときには、ス
テップS15に移行する。そして、このステップS15
では、モード選択信号M2 がオン状態である2輪駆動モ
ードであるか否かを判定し、2輪駆動モードであるとき
には、ステップS16に移行し、制御信号CSをオフ状
態とし、摩擦クラッチ66に供給するクラッチ圧Pcを
消圧して摩擦クラッチ66を非締結状態(フリクション
プレート66bとフリクションディスク66dとを非接
触状態)としてからタイマ割込処理を終了して所定のメ
インプログラムに復帰する。
【0051】また、ステップS15の判定により、モー
ド選択信号M2 がオフ状態であるときには、ステップS
17に移行する。そして、このステップS17では、モ
ード選択信号M4Hがオン状態である4輪駆動ロックモー
ドであるか否かを判定し、4輪駆動ロックモードである
ときには、ステップS18に移行して摩擦クラッチ66
を完全締結状態とする最大値D2 にデューティ比を設定
し、前述したステップS14に移行する。また、ステッ
プS17の判定結果によりモード選択信号M4Hがオフ状
態であるときには、副変速機構58の高低速切換機構6
4のシフトスリーブ64bがニュートラル位置Nに切換
えられているものと判断して前述したステップS16に
移行する。
【0052】さらにまた、前述したステップS2の判定
結果により低速シフト位置検出信号SL がオン状態であ
るときには、ステップS19に移行して油温検出値SY
をもとに図7の記憶テーブルを参照してイニシャルトル
クTV を算出し、次いでステップS20に移行する。こ
のステップS20では、イニシャルトルクTV を前輪側
への伝達トルクTとして設定し、次いで前述したステッ
プS13に移行する。
【0053】この図12において、ステップS12、ス
テップS13、ステップS14、ステップS16、ステ
ップS18、ステップS19及びステップS20の処理
がクラッチ制御手段に対応する。次に、上記実施例の動
作を説明する。今、車両が停車状態にあり、自動変速機
20のシフトレバーがパーキングレンジ位置にあると共
に、副変速機レバーがHレンジにあり、且つモード選択
スイッチ104で2輪駆動モード(2WDモード)を選
択しており、さらにエンジン10が停止しているものと
する。この状態で、イグニッションスイッチをオン状態
としてエンジン10を始動させると、コントローラ18
に電源が投入されて、各マイクロコンピュータ112で
所定の演算処理が開始される。
【0054】マイクロコンピュータ112では図12の
処理が実行されるが、副変速機レバーがHレンジにある
ので低速シフト位置検出信号SL がオフ状態であり、モ
ード選択スイッチ104で2輪駆動モードが選択されて
いるので、ステップS2,S3,S15を経てステップ
S16に移行し、デューティ制御電磁弁100に対する
制御信号CSがオフ状態に制御される。このため、デュ
ーティ制御電磁弁100はノーマル位置100bを維持
するので、このデューティ制御電磁弁100から出力さ
れりクラッチ圧Pcは零となる。このため、摩擦クラッ
チ66は非締結状態に維持され、フリクションプレート
66bとフリクションディスク66dとが非接触状態と
なるので、第1出力軸44と第1スプロケット68との
間の動力伝達経路が遮断されていることにより、後輪の
みの2輪駆動状態を維持する。
【0055】その後、例えば良路を走行する場合には、
自動変速機20のシフトレバーでDレンジを選択してか
らブレーキを解除してスロットルを踏込むことにより、
車両を発進させることができる。このとき、図12の処
理が実行されたときに、前記後輪のみの2輪駆動状態を
維持しているので、自動変速機20から駆動力がトラン
スファ22の入力軸42に伝達されると、この駆動力が
そのままシフトスリーブ64bを介して第1出力軸44
に伝達され、プロペラシャフト30、リアディファレン
シャルギヤ32及びドライブシャフト34を介して左右
後輪12RL,12RRに伝達され、これら左右後輪12R
L,12RRが回転して車両を前進走行させることができ
る。
【0056】一方、悪路、砂地、オフロードや雪道或い
は凍結路等の低摩擦係数路を走行する場合には、モード
選択スイッチ104で4輪駆動オートモード(AUTO
モード)を選択する。4輪駆動オートモード(AUTO
モード)への切換えによってモード選択信号M4Aがオン
状態となることにより、図12の処理が実行されたとき
に、ステップS3からステップS4以降の4輪駆動オー
トモード処理を実行する。
【0057】この4輪駆動オートモード処理では、先ず
前輪側回転数検出値NF 及び後輪側回転数検出値NR
回転数差ΔNを算出すると共に、この回転数差ΔNをも
とに図9の記憶テーブルを参照して基本伝達トルクΔT
を算出する(ステップS4〜S5)。そして、疑似車体
速ViTを算出した後(ステップS6)、車両が低速状態
で走行しているか否かを判定する(ステップS7)。ま
た、車両が低速状態で走行しているとき(0≦疑似車体
速ViT≦20である場合)には、所定の発進時伝達トル
クΔTsを算出する(ステップS8)。さらに、油温検
出値SY をもとにイニシャルトルクTV を算出する(ス
テップS10)。そして、算出した基本伝達トルクΔT
0 、発進時伝達トルクΔTs及びイニシャルトルクTV
のうちの最大トルクTmax を算出し(ステップS1
1)、この最大トルクTmax を前輪側への伝達トルクT
として設定した後(ステップS12)、伝達トルクTに
基づいてデューティ制御電磁弁100に対する制御信号
CSのデューティ比Dを決定し(ステップS13)、決
定されたデューティ比Dに応じた指令値の制御信号CS
を駆動回路114に出力する。
【0058】このため、駆動回路114からデューティ
比Dの励磁電流iがデューティ制御電磁弁100に供給
されることにより、励磁電流iがオン状態である区間デ
ューティ制御電磁弁100はノーマル位置100bから
作動位置100cに切換えられてクラッチ圧P1 〜P2
が摩擦クラッチ66に供給される。したがって、前後輪
回転数差ΔNが小さい値を示し、又は、スロットルの急
踏み動作を行わずに緩やかに車両が発進した場合には、
デューティ比Dが零に近い状態となり、駆動回路114
aから出力される励磁電流iのオン状態の区間がオフ状
態の区間に比較して短くなるので、これに応じてデュー
ティ制御電磁弁100から出力されるクラッチ圧PC
零に近い状態となって、摩擦クラッチ66のクラッチ締
結力が小さい状態に制御される。このため、第1出力軸
44から摩擦クラッチ66を介して第1スプロケット6
8に伝達される駆動力が零に近い状態となり、前輪側に
は駆動力が伝達されずほぼ後2輪駆動状態となる。
【0059】この状態から後輪12RL,12RRでスリッ
プを生じて、前後輪回転数差ΔNが大きな値となるに従
ってデューティ比Dが大きくなり、これに応じてデュー
ティ制御電磁弁100から出力されるクラッチ圧PC
増加して(ほぼP2 に近い値となる)、摩擦クラッチ6
6のクラッチ締結力が増加する。これにより、摩擦クラ
ッチ66、第1スプロケット68、チェーン72、第2
スプロケット70、第2出力軸54、前輪側出力軸2
4、フロントディファレンシャルギヤ26及びドライブ
シャフト28を介して左右前輪12FL,12FRが回転駆
動されて4輪駆動状態となる。結局、前後輪回転数差Δ
Nに応じて前後輪駆動力配分比が0:100から50:
50まで変更されて、良好な走行状態を確保することが
できる。
【0060】また、車速が20Km/h以下の低速走行時に
おいて急発進やスタック脱出動作を行うと、スロットル
開度信号THの急激な増大により発進時伝達トルクΔT
sが大きな値を示し、これに応じてデューティ比Dが大
きくなる。これにより、前輪側への駆動力配分が増大す
るので、急発進やスタック脱出時において最大のトラク
ションを得ることができる。
【0061】また、4輪駆動において高速走行を行う場
合には、副変速機レバーをHレンジの位置とした状態
で、モード選択スイッチ104の4輪駆動ロックモード
(4Hモード)を選択する。4輪駆動ロックモード(4
Hモード)をへの切換えによってモード選択信号M4H
オン状態となることにより、図12の処理が実行された
ときに、ステップS2、ステップS15、ステップS1
7、ステップS18及びステップS14の4輪駆動ロッ
クモード処理を実行する。
【0062】この4輪駆動ロックモード処理では、デュ
ーティ制御電磁弁100に対する制御信号CSのデュー
ティ比Dを最大値D2 に設定し(ステップS18)、こ
れに応じてオン状態の制御信号CSを駆動回路114に
出力する(ステップS14)。このため、駆動回路11
4からデューティ比D2 の励磁電流iがデューティ制御
電磁弁100に供給されることにより、デューティ制御
電磁100から最大のクラッチ圧P2 が出力され、摩擦
クラッチ66のフリクションプレート66bとフリクシ
ョンディスク66dとが完全締結状態となり、前後輪駆
動力配分比が50:50に設定される。
【0063】さらにまた、副変速機レバーでHレンジを
選択している走行状態でスタックを生じたとき、或いは
スタックを生じ易い砂地等を走行する場合には、副変速
機レバーを4Lレンジ(4輪駆動低速レンジ)に切換え
る必要があるが、この場合には、車両を停車状態とし、
且つ自動変速機20のシフトレバーをNレンジ又はパー
キングレンジにシフトすると共に、副変速機レバーをニ
ュートラル位置Nを介して低速シフト位置Lに切換え
る。この状態では低速シフト位置検出信号SL がオン状
態となるため、図12の処理が実行されたときに、ステ
ップS2、ステップS19、ステップS20、ステップ
S13及びステップS14の4輪駆動低速モード処理を
実行する。
【0064】この4輪駆動低速モード処理では、油温検
出値SY をもとに図7の記憶テーブルを参照してイニシ
ャルトルクTV を算出し(ステップS19)、算出した
イニシャルトルクTV を前輪側への伝達トルクTとして
設定し(ステップS20)、この前輪側げの伝達トルク
T(イニシャルトルクTV )をもとに図10の記憶テー
ブルを参照して摩擦クラッチ66のクラッチ圧Psを算
出した後、図11の記憶テーブルを参照してこのクラッ
チ圧Psに対応するデューティ比Dsを決定し(ステッ
プS13)、決定されたデューティ比Dsに応じた指令
値の制御信号CSを駆動回路114に出力する。これに
より、駆動回路114からデューティ比Dsの励磁電流
iがデューティ制御電磁弁100に供給されることによ
り、励磁電流iがオン状態である区間デューティ制御電
磁弁100はノーマル位置から作動位置100cに切換
えられ、摩擦クラッチ66に対してクラッチ圧Psを出
力する。
【0065】摩擦クラッチ66は、入力ポート74から
シリンダ室66h内部に前記クラッチ圧Psが入力する
と、クラッチピストン66g及び回転部材66eの軸方
向移動(図3の左側の移動)により、フリクションプレ
ート66b及びフリクションディスク66dが互いに当
接する。そして、フリクションプレート66b及びフリ
クションディスク66dは、第1出力軸44から第1ス
プロケット68への駆動力の伝達が行われない程度に押
圧接触状態となる。
【0066】そして、副変速機レバーで4Lレンジを選
択したことにより、シフトスリーブ64bの外歯64b
2 が低速シフト用ギヤdと噛合し、且つスプライン孔6
4b 1 が第1スプロケット68の4輪駆動用ギヤ80に
噛合する。それとともに、自動変速機20の出力軸の駆
動力がトランスファ22の入力軸42を経て副変速機構
58の遊星歯車機構62(サンギヤ62a、インターナ
ルギヤ62b、ピニオンギヤ62c)により減速され、
その減速された駆動力がピニオンキャリア62dに形成
された低速シフト用ギヤ64d、シフトスリーブ64b
の外歯64b2を介してシフトスリーブ64bに伝達さ
れ、このシフトスリーブ64bからこれにスプライン結
合された第1出力軸44に伝達されると共に、シフトス
リーブ64bのスプライン穴64b1 に噛合した4輪駆
動用ギヤ80を介し、第1スプロケット68、チェーン
72、第2スプロケット70を介して第2出力軸54に
伝達され、入力軸42に伝達された駆動力が強制的に第
1出力軸44及び第2出力軸54に分配されて4輪駆動
低速状態となる。
【0067】ところで、前述したように、オイルポンプ
90で昇圧された作動油の一部は、潤滑油供給ポート8
5及び供給潤滑油路84aを介して第1出力軸44の潤
滑油路84に、所定圧の潤滑油として供給されてくる。
そして、この潤滑油は、第1〜第3分岐潤滑油路84b
〜84dを介して、摩擦クラッチ66のフリクションプ
レート66b及びフリクションディスク66d、第1ス
プロケット68のラジアル軸受68a及び遊星歯車機構
62に向けて流れていき、それぞれを潤滑する構造とし
ている。
【0068】ここで、本実施例では、副変速機レバーで
4Lレンジを選択した際に、摩擦クラッチ66に対して
クラッチ圧Psを出力し、フリクションプレート66b
及びフリクションディスク66dを僅かに押圧接触させ
た状態としているので、フリクションプレート66bと
フリクションディスク66dとの間に設けていた隙間が
無くなる。このため、潤滑油路84に供給された潤滑油
は、摩擦クラッチ66側に連通している第1分岐潤滑油
路84bのみに多量に流れることがなく、図3に示した
太線矢印の潤滑油の流れのように、第2及び第3分岐潤
滑油路84c、84dにも十分な量の潤滑油が流れてい
く。
【0069】これにより、4Lレンジを選択した場合に
は、自動変速機20より伝達された入力軸42の駆動力
を第1出力軸44及び第1スプロケット68に減速伝達
する遊星歯車機構62に対して、潤滑油路84及び第3
分岐潤滑油路84dを通過した十分な量の潤滑油が流れ
てくるので、遊星歯車機構62に対する潤滑性を向上さ
せることができる。
【0070】また、摩耗による経時劣化によりフリクシ
ョンプレート66b及びフリクションディスク66dの
隙間が拡大しても、遊星歯車機構62に対する潤滑性を
向上させることができる。また、4Lレンジを選択した
場合にフリクションプレート66b及びフリクションデ
ィスク66dを僅かに押圧接触させた状態とすることに
より、自動変速機20から伝達される駆動力が増減して
も、第1出力軸44と第2出力軸54との回転速度差は
小さくなる。これにより、噛合しているシフトスリーブ
64bのスプライン穴64b1 及び4輪駆動用ギヤ80
にガタツキを発生させず、運転者に振動やショック等の
不快感を与えることがない。
【0071】さらに、前記クラッチ圧Psはイニシャル
トルクTV をもとに設定されているが、このイニシャル
トルクTV は、図7に示したように、油温センサ102
によって検出される油温検出値SY の変化に応じて随時
変更されている。すなわち、油温検出値SY が低い場合
には、作動油の粘性が高くなることによりトランスファ
22の入力ポート74に作動油が十分に供給されずにク
ラッチ圧Pcが設定値より低下することを想定し、イニ
シャルトルクTV を高い値に変更している。また、油温
検出値SY が高い場合には、作動油の粘性が低くなるこ
とにより所定量以上の作動油がトランスファ22の入力
ポート74に供給されてクラッチ圧Pcが上昇すること
を想定し、イニシャルトルクTV を低い値に変更してい
る。
【0072】これにより、作動油の温度が変化してもイ
ニシャルトルクTV を高精度に設定することができるの
で、4Lレンジを選択した場合にフリクションプレート
66b及びフリクションディスク66dを、高精度に僅
かに押圧接触させた状態とすることができる。なお、上
記実施例においては、自動変速機20を適用した場合に
ついて説明したが、これに限定されるものではなく、手
動変速機を適用することもでき、この場合には、その出
力軸の回転数をスピードメータ用回転数検出部から検出
することができる。
【0073】また、上記実施例においては、副変速機5
8の高低速切換機構64を副変速機レバーで機械的に操
作する場合について説明したが、これに限らず、モード
切換スイッチ90に副変速機レバーのHレンジ及び4L
レンジに対応する切換接点を設けると共に、シフトスリ
ーブ64bを摺動駆動する電動モータを設け、モード選
択スイッチで選択されたモードに対応して電動モータを
駆動してシフトスリーブを摺動させることもできる。
【0074】また、上記実施例においては、デューティ
制御電磁弁100を適用してクラッチ圧Pcを形成する
場合について説明したが、これに限定されるものではな
く、このデューティ制御電磁弁100に代えてソレノイ
ドに供給される励磁電流の値に応じて出力圧を調整可能
な電磁比例圧力制御弁を適用することもでき、この場合
には、駆動回路114aを例えばフローティング形定電
圧回路で構成して、入力される制御信号の電圧値に応じ
た電流値の励磁電流を出力するように構成すればよい。
【0075】さらに、上記実施例においては、励磁電流
iがオフ状態であるときに2輪駆動状態となるように油
圧回路を構成した場合について説明したが、これに限定
されるものではなく、励磁電流iがオフ状態であるとき
に4輪駆動状態となるようにデューティ制御電磁弁10
0のノーマル位置と作動位置とを入替えるようにしても
よく、この場合には図12の処理において、制御信号C
Sのオン・オフ状態を反転させると共に、デューティ比
Dの設定を回転数差ΔNが小さいときにオンデューティ
比を100%とし、この状態から回転数差ΔNが増加す
るに応じてオンデューティ比を徐々に減少させるように
すればよい。
【0076】さらにまた、上記実施例においては、後輪
駆動車ベースの四輪駆動車に本発明を適用した場合につ
いて説明したが、これに限らず前輪駆動車ベースの四輪
駆動車に本発明を適用することもできる。
【0077】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
記載の車両のトランスファ装置は、クラッチ制御手段
が、副変速機で低速位置を選択してドグクラッチにより
強制的に4輪駆動状態を選択したときに、圧力値の低い
制御流体を設定して湿式多板クラッチを僅かな締結状態
とするイニシャルクラッチ締結力を摩擦クラッチに発生
させているので、湿式多板クラッチに設けられていた隙
間が存在しなくなる。これにより、外部から潤滑液路に
供給されてきた潤滑液は、潤滑液路から分岐して湿式多
板クラッチに向かう液路を通らず、摩擦クラッチの内部
から湿式多板クラッチを通過して外部に流れ出ないの
で、第1出力軸に減速駆動力を伝達している副変速機の
減速回転機構に対して十分な液量が供給されていくの
で、副変速機で低速位置を選択する際の減速回転機構に
対する潤滑性を向上させることができる。
【0078】また、副変速機で低速位置を選択したとき
に摩擦クラッチがイニシャルクラッチ締結力を発生する
ことにより、変速機から入力軸に入力された駆動力が増
減しても、第1出力軸と第2出力軸との回転速度差は小
さくなる。これにより、強制的に第1出力軸を第2出力
軸に結合してドグクラッチにガタツキ等が発生せず、運
転者に振動やショック等の不快感を与えることがない。
【0079】また、請求項2記載の車両のトランスファ
装置は、請求項1記載の効果を得ることができるととも
に、制御流体の温度が低下すると、粘性の低下により制
御流体の圧力値が低下しやすく、逆に、制御流体の温度
が上昇すると、粘性が高くなることにより制御流体の圧
力値が高い値となりやすが、本発明は、制御流体の圧力
値が変化しても所望のイニシャルクラッチ締結力が発生
するように、クラッチ制御手段が、制御流体の温度を検
知する温度検知手段から入力された温度検出値に基づい
てイニシャルクラッチ締結力の値を変更しているので、
湿式多板クラッチを僅かな締結状態とする動作を高精度
に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の概略構成を示す基本構成図である。
【図2】この発明に係る四輪駆動車の概略を示す構成図
である。
【図3】この発明のトランスファ装置の内部構造を示す
図である。
【図4】この発明に係る副変速機構の構造をを示す図で
ある。
【図5】トランスファ装置の油圧供給装置を示す回路図
である。
【図6】この発明に係るコントローラを示すブロック図
である。
【図7】この発明に係るイニシャルクラッチ締結力と制
御流体の温度との制御特性を示すグラフである。
【図8】発進時伝達トルクとスロットル開度との制御特
性を示すグラフである。
【図9】基本伝達トルクと前後輪回転数差との制御特性
を示すグラフである。
【図10】前輪側への伝達トルクと油圧供給装置から供
給されるクラッチ圧との制御特性を示すグラフである。
【図11】デューティ比に応じて変化するクラッチ圧の
制御特性グラフである。
【図12】この発明に係る油圧制御処理を示すフローチ
ャートである。
【図13】従来のトランスファ装置の内部構造を示す図
である。
【符号の説明】
18 コントローラ 20 変速機 42 入力軸 44 第1出力軸 54 第2出力軸 58 副変速機 60 2輪−4輪駆動切換機構 62 遊星歯車機構(減速回転機構) 66 摩擦クラッチ 66b フリクションプレート(多板クラッチ) 66d フリクションディスク(多板クラッチ) 80 4輪駆動用ギヤ 84 潤滑油路(潤滑液路) 84b〜84d 分岐潤滑油路(分岐潤滑液路) 102 油温センサ(温度検知手段) TV イニシャルトルク(イニシャルクラッチ締結力) SY 油温検出値(温度検出値) SL 低速シフト位置(低速位置)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−213086(JP,A) 特開 昭61−270562(JP,A) 特開 昭57−66020(JP,A) 特開 平4−203534(JP,A) 特開 平4−297335(JP,A) 実開 平2−60719(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60K 17/34 - 17/35 B60K 23/08 F16D 25/0638 F16D 48/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高速位置を選択したときに変速機から入
    力軸に入力された駆動力を第1出力軸に直接伝達し、低
    速位置を選択したときに前記入力軸に入力された駆動力
    を減速回転機構を介して前記第1出力軸に伝達する副変
    速機と、供給される所定圧の制御流体により摩擦クラッ
    チに所定のクラッチ締結力を発生させて湿式多板クラッ
    チを所定の締結状態とし、前記第1出力軸に伝達された
    駆動力を前記摩擦クラッチを介して所定の配分比で第2
    出力軸に伝達する2輪−4輪駆動切換機構と、前記副変
    速機で前記低速位置を選択したときに前記第1出力軸を
    前記第2出力軸に強制的に結合させるドグクラッチと、
    前記制御流体の圧力値を設定して前記摩擦クラッチのク
    ラッチ締結力を制御するクラッチ制御手段とを備えると
    ともに、前記第1出力軸に外部から潤滑液が供給される
    潤滑液路を形成し、且つ当該潤滑液路からそれぞれ分岐
    て、前記減速回転機構への液路、及び前記摩擦クラ
    ッチの内部から前記湿式多板クラッチを通過して外部に
    流れ出す液路で前記潤滑液を供給する分岐潤滑液路を形
    成してなる車両のトランスファ装置において、 前記クラッチ制御手段は、前記副変速機で前記低速位置
    を選択して前記ドグクラッチにより強制的に4輪駆動状
    態を選択したときに、前記湿式多板クラッチを僅かな締
    結状態として前記第1出力軸から第2出力軸への駆動力
    伝達が行われない程度のイニシャルクラッチ締結力を前
    記摩擦クラッチが発生するように、前記制御流体の圧力
    値を低く設定して前記湿式多板クラッチの隙間を無く
    し、前記潤滑液路に供給された潤滑液が前記摩擦クラッ
    チの内部から前記湿式多板クラッチを通過して外部に流
    れ出ないようにすることを特徴とする車両のトランスフ
    ァ装置。
  2. 【請求項2】 前記制御流体の温度を検知する温度検知
    手段を備え、前記クラッチ制御手段は、前記温度検知手
    段から入力される温度検出値に基づいて前記イニシャル
    クラッチ締結力の値を変更することを特徴とする請求項
    1記載の車両のトランスファ装置。
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