JPH0891088A - 車両の四輪駆動制御装置 - Google Patents

車両の四輪駆動制御装置

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JPH0891088A
JPH0891088A JP22647294A JP22647294A JPH0891088A JP H0891088 A JPH0891088 A JP H0891088A JP 22647294 A JP22647294 A JP 22647294A JP 22647294 A JP22647294 A JP 22647294A JP H0891088 A JPH0891088 A JP H0891088A
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JP
Japan
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wheel
drive
main
driving
wheels
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JP22647294A
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English (en)
Inventor
Toshiharu Takasaki
俊治 高崎
Tomoyuki Hara
智之 原
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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  • Arrangement And Mounting Of Devices That Control Transmission Of Motive Force (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】パートタイム四輪駆動車の制御装置において、
四輪駆動モードが選択されていても、主駆動輪が回転中
であって副駆動輪が停止中である場合には、四輪駆動状
態への切替えが禁止されて切替えショックが生じないも
のを提供する。 【構成】前輪(副駆動輪)の回転速度が“0”であり、
且つ後輪(主駆動輪)の回転速度が“0”より大きい場
合には、選択された駆動モードに関わらず、前輪側トル
ク配分指令値T2 を“0”として(ステップS11
2)、四輪駆動状態へ切り替えない構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本件各発明は、車両の前後輪の何
れか一方を主駆動輪とし、他方を副駆動輪として、当該
主駆動輪および副駆動輪に相当する前後輪間の駆動力配
分を、選択された駆動モードや、主駆動輪及び副駆動輪
に相当する各前後輪の回転速度の偏差に応じて変更可能
な四輪駆動車の制御装置に関するものであり、特に、主
駆動輪が回転し且つ副駆動輪が停止している状態の車両
に対応できる制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の四輪駆動車には、必要な時にレバ
ーやスイッチを操作することにより、二輪駆動モードと
四輪駆動モードとの選択が可能なパートタイム四輪駆動
車と、主駆動輪および副駆動輪に相当する前後輪間の駆
動力配分が自動的に変更制御されるフルタイム四輪駆動
車とがある。
【0003】そして、パートタイム四輪駆動車において
は、二輪駆動モードが選択されている時には副駆動輪へ
の駆動力配分を“0”(主駆動輪への駆動力配分を“1
00%”)にして二輪駆動状態とし、四輪駆動モードが
選択されている時には、燃費向上を目的として、例え
ば、主駆動輪の回転速度が副駆動輪の回転速度より大き
くなった場合に、副駆動輪への駆動力配分を“50%”
(主駆動輪への駆動力配分を“50%”)にして直結四
輪駆動状態としている。また、フルタイム四輪駆動車に
おいては、主駆動輪及び副駆動輪に相当する各前後輪の
回転速度の偏差に応じて、主駆動輪および副駆動輪に相
当する前後輪間の駆動量配分を、二輪駆動状態から直結
四輪駆動状態の間で連続的に変化させている。
【0004】さらに、二輪駆動モード、オート四輪駆動
モード(前記フルタイム四輪駆動車の場合のように、前
後輪間の駆動量配分が自動的に変更制御されるモー
ド)、および直結四輪駆動モードの切替え選択をレバー
やスイッチの操作で行うことのできるパートタイム四輪
駆動車もある。このような四輪駆動車に搭載されてい
る、主駆動輪及び副駆動輪に相当する前後輪間の駆動力
配分を段階的または連続的に変更可能な装置としては、
種々のものが知られている。その中には、例えば、前後
輪間の駆動力伝達系に、締結力の可変制御によって伝達
トルクを可変制御可能な可変トルククラッチ機構を介装
したものや、制限機構付き差動装置(所謂、リミテッド
スリップセンタディファレンシャル機構)を介装したも
のなどがあり、これらの機構による伝達トルクを調整す
ることによって前後各輪への駆動力配分を調整する。こ
のうち、前記可変トルククラッチには、現在、流体式や
電磁式等のものが主として用いられており、このうち流
体式可変トルククラッチはクラッチピストンへの流体圧
を制御することにより、また電磁式可変トルククラッチ
は比例電磁ソレノイドへの電流値を制御することによ
り、クラッチプレート間の摩擦接触力を可変制御してそ
の締結力を制御し、これにより前記伝達トルクを制御す
る。
【0005】そして、前述の各四輪駆動車においては、
雪道等を直結四輪駆動以外の駆動状態で走行中に主駆動
輪が空転し、且つ副駆動輪の回転が停止した所謂スタッ
ク状態に陥ると、フルタイム四輪駆動車両またはパート
タイム四輪駆動車両のオート四輪駆動モード選択時に
は、前後輪速度差が大きいため自動的に直結四輪駆動状
態となり、この状態から抜け出せる場合もある。また、
パートタイム四輪駆動車両で二輪駆動モードで走行中の
場合には、運転者がこの状態から抜け出そうとしてスイ
ッチ操作により直結四輪駆動モードを選択した結果、直
結四輪駆動状態となることが考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
ように、スタック状態からの脱出等を目的として、主駆
動輪が空転し、且つ副駆動輪の回転が停止した状態から
直結四輪駆動状態へ移行すると、停止していた副駆動輪
の回転速度が高速で空転していた主駆動輪の回転速度と
同じになるため、副駆動輪の車輪速が急速に大きくなる
ことに伴うショックにより、乗員に不快感を与えること
がある。
【0007】本件各発明は、このような従来技術の問題
点に着目してなされたものであり、主副駆動輪回転速度
差による四輪駆動状態への切替え条件が満たされている
時であっても、または、スイッチ等の切り替えによりオ
ート四輪駆動モードまたは直結四輪駆動モードが選択さ
れている時であっても、主駆動輪が空転し且つ副駆動輪
の回転が停止している場合には四輪駆動状態にしないこ
とにより、前述のような問題点を生じさせない車両の四
輪駆動制御装置を提供することを目的とするものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る車両の四輪駆動制御装置は、図1の
基本構成図に示すように、車両の前後輪のいずれか一方
を主駆動輪とし、他方を副駆動輪として、制御信号に応
じて当該主駆動輪および副駆動輪への機関からの駆動力
配分を行う駆動力配分調整手段と、切替えスイッチ等に
より選択された駆動モードを検出する駆動モード検出手
段と、少なくとも前記駆動モード検出手段からの駆動モ
ード検出値に基づいて、当該主副駆動輪間の駆動力配分
を設定し、且つ当該設定値に応じた制御信号を前記駆動
力配分調整手段に出力する駆動力配分制御手段とを備え
た車両の四輪駆動制御装置において、主副駆動輪の回転
状態を検出する主副駆動輪回転状態検出手段を備えると
ともに、前記駆動力配分制御手段は、前記主副駆動輪回
転状態検出手段により主駆動輪が回転し、且つ副駆動輪
が停止していることが検出された場合に、当該主副駆動
輪間の駆動力配分を1:0に設定する四輪駆動状態禁止
手段を備えたものであることを特徴とするものである。
【0009】また、請求項2に係る車両の四輪駆動制御
装置は、図2の基本構成図に示すように、車両の前後輪
のいずれか一方を主駆動輪とし、他方を副駆動輪とし
て、制御信号に応じて当該主駆動輪および副駆動輪への
機関からの駆動力配分を行う駆動力配分調整手段と、主
駆動輪の回転速度を検出する主駆動輪回転速度検出手段
と、副駆動輪の回転速度を検出する副駆動輪回転速度検
出手段と、前記主駆動輪回転速度検出手段からの主駆動
輪回転速度検出値と副駆動輪回転速度検出手段からの副
駆動輪回転速度検出値とに応じて、当該主副駆動輪間の
駆動力配分を設定し、且つ当該設定値に応じた制御信号
を前記駆動力配分調整手段に出力する駆動力配分制御手
段とを備えた車両の四輪駆動制御装置において、前記駆
動力配分制御手段は、前記主駆動輪回転速度検出手段に
より主駆動輪が回転していることが検出され、且つ前記
副駆動輪回転速度検出手段により副駆動輪が停止してい
ることが検出された場合に、当該主副駆動輪間の駆動力
配分を1:0に設定する四輪駆動状態禁止手段を備えた
ものであることを特徴とするものである。
【0010】
【作用】請求項1に係る車両の四輪駆動制御装置では、
図1の基本構成図に示すように、車両の前後輪のいずれ
か一方を主駆動輪とし、他方を副駆動輪とする四輪駆動
車両において、前記可変トルククラッチ等の駆動力配分
調整手段により、駆動力配分制御手段からの制御信号に
応じて、当該主駆動輪および副駆動輪への機関からの駆
動力配分が行われる。そして、前記制御信号は、少なく
とも駆動モード検出手段からの駆動モード検出値に基づ
いて設定された駆動力配分に応じたものであるため、通
常時には、これにより、フルタイム四輪駆動車の場合お
よびオート四輪駆動モードの選択時には例えば前後輪回
転速度差に応じた値に、直結四輪駆動モードの選択時に
は例えば50%:50%に、二輪駆動モードの選択時に
は主駆動輪:副駆動輪=100%:0に駆動力配分がな
される。
【0011】しかしながら、前記主副駆動輪回転状態検
出手段により、主駆動輪が回転し且つ副駆動輪が停止し
ていることが検出された場合には、前記駆動力配分制御
手段の四輪駆動状態禁止手段において、当該主副駆動輪
間の駆動力配分が1:0に設定され、当該設定値に応じ
た制御信号が駆動力配分調整手段に出力される。そのた
め、フルタイム四輪駆動車の場合およびオート四輪駆動
モードの選択時や直結四輪駆動モードの選択時であって
も、前記場合においては、前輪側へ駆動力が配分されな
いで二輪駆動状態となる。
【0012】請求項2に係る車両の四輪駆動制御装置で
は、図2の基本構成図に示すように、車両の前後輪のい
ずれか一方を主駆動輪とし、他方を副駆動輪とする四輪
駆動車両において、前記可変トルククラッチ等の駆動力
配分調整手段により、駆動力配分制御手段からの制御信
号に応じて、当該主駆動輪および副駆動輪への機関から
の駆動力配分が行われる。そして、前記制御信号は、前
記主駆動輪回転速度検出手段からの主駆動輪回転速度検
出値と副駆動輪回転速度検出手段からの副駆動輪回転速
度検出値とに応じて、例えば主駆動輪回転速度の副駆動
輪回転速度に対する偏差が所定値以上であるときには当
該偏差に比例して前輪側への駆動力配分が増大するよう
に設定される駆動力配分に応じたものであるため、通常
時には、これにより、前記主駆動輪回転速度検出値と副
駆動輪回転速度検出値とに応じて、例えば当該主副駆動
輪回転速度偏差に応じた値に駆動力配分がなされる。
【0013】しかしながら、前記主駆動輪回転速度検出
手段により主駆動輪が回転していることが検出され、且
つ前記副駆動輪回転速度検出手段により副駆動輪が停止
していることが検出された場合には、前記駆動力配分制
御手段の四輪駆動状態禁止手段において、当該主副駆動
輪間の駆動力配分が1:0に設定され、当該設定値に応
じた制御信号が駆動力配分調整手段に出力される。その
ため、前記場合においては、前記主駆動輪回転速度検出
値と副駆動輪回転速度検出値とに応じた駆動力配分がな
されないで(例えば、前記主副駆動輪回転速度偏差が前
記所定値以上であっても前輪側へ駆動力が配分されない
で)二輪駆動状態となる。
【0014】
【実施例】以下、本件各発明に係る車両の四輪駆動制御
装置の実施例を、添付図面に基づいて説明する。図3
は、請求項1に係る車両の四輪駆動制御装置の実施例を
示す概略構成図であり、これを第一実施例とする。この
第一実施例の装置は、FR(フロントエンジン・リアド
ライブ)方式をベースにした四輪駆動制御装置であっ
て、駆動力配分が主駆動輪(後輪):副駆動輪(前輪)
=100%:0に固定される二輪駆動モード、駆動力配
分が前後輪回転速度差に応じた値に自動的に設定される
オート四輪駆動モード、および駆動力配分が主駆動輪:
副駆動輪=50%:50%に固定される直結四輪駆動モ
ードが、図示されない切替えスイッチの操作により選択
できるパートタイム四輪駆動装置であるとともに、後述
される副変速機構を備え、当該副変速機のシフト位置
が、図示されない副変速機レバーの操作により選択でき
るようになっている。なお、この副変速機レバーには、
後述されるように、所定の制御信号に応じて低速シフト
位置への移動を妨げるロック機構が設けてある。
【0015】図3から分かるように、この実施例におけ
る車両の四輪駆動制御装置は、回転駆動源、即ち機関と
してのエンジン10と、前左輪〜後右輪の各車輪12F
L〜12RRへの駆動力配分比を変更制御可能な駆動力
伝達系14と、駆動力伝達系14による駆動力配分を制
御する駆動力配分制御装置15とを備えている。前記駆
動力伝達系14は、エンジン10からの駆動力を選択さ
れた歯車比で変速する変速機20と、この変速機20か
らの駆動力を前輪12FL,12FR側及び後輪12R
L,12RRに分割するトランスファ22とを備えてい
る。そして、当該駆動力伝達系14では、前記トランス
ファ14で分割された前輪側駆動力が前輪側出力軸2
4,フロントディファレンシャルギヤ26及び前輪側ド
ライブシャフト28を介して、前輪12FL,12FR
に伝達され、一方、後輪側駆動力がプロペラシャフト
(後輪側出力軸)30,リヤディファレンシャルギヤ3
2及び後輪側ドライブシャフト34を介して、後輪12
RL,12RRに伝達される。従って、本実施例のFR
ベースの四輪駆動車両では後輪12RL,12RRが主
駆動輪となり、前輪12FL,12FRが副駆動輪とな
る。勿論、前記変速機20は自動変速機であっても差し
支えない。
【0016】図4は、前記トランスファ22の内部構造
を示すものであり、この図4から分かるように、トラン
スファケーシング40内において同軸突き合わせ状態で
配設されている入力軸42及び第1出力軸44は、入力
軸42がフロントケーシング40aにラジアル軸受46
を介して回転自在に支持され、第1出力軸44がリアケ
ーシング40bにラジアル軸受48を介して回転自在に
支持されて相対回転可能に配設されている。そして、こ
れら入力軸42及び第1出力軸44に対して平行に、フ
ロントケーシング40a及びリアケーシング44bにそ
れぞれ配設されたベアリング50、52を介して第2出
力軸54が回転自在に支持されている。なお、入力軸4
2は変速機20の出力軸56に結合し、第1出力軸44
は後輪側出力軸30に結合し、第2出力軸54は前輪側
出力軸24に結合されている。
【0017】そして、入力軸42及び第1出力軸44に
は、副変速機構58と、二輪駆動と四輪駆動との切替え
を行い前輪側への伝達トルクを調整するトルク配分可変
機構(二輪−四輪駆動切替え機構)60とが設けられて
いる。副変速機構58は、遊星歯車機構62と、この遊
星歯車機構62に同軸的に配設された噛み合いクラッチ
形式の高低速切替え機構64とで構成されている。
【0018】遊星歯車機構62は、入力軸42の外周に
形成されたサンギヤ62aと、フロントケーシング40
a内部で固定されたインターナルギヤ62bと、これら
サンギヤ62a及びインターナルギヤ62bに噛合する
ピニオンギヤ62cと、ピニオンギヤ62cを回転自在
に支持するピニオンキャリア62dとで構成されてい
る。
【0019】また、高低速切替え機構64は、第1出力
軸44の外周に設けられた複数条のキー溝と内歯64b
1 とのスプライン結合により軸方向にスライド自在とさ
れ、外周に外歯64b2 が設けられてなるシフトスリー
ブ64bと、シフトスリーブ64bの内歯64b1 と噛
合可能な入力軸42の外周位置に形成された高速シフト
用ギヤ64cと、シフトスリーブ64bの外歯64b2
と噛合可能なピニオンキャリア62dの内周部に形成さ
れた低速シフト用ギヤ64dとで構成されている。
【0020】図5は、図4におけるこの高低速切替え機
構64に関する部分が拡大されたものであり、この高低
速切替え機構64によれば、図5の上側半断面図におい
て実線で示すように、記号Hの高速シフト位置までシフ
トスリーブ64bがスライド移動すると、シフトスリー
ブ64bの内歯64b1 が高速シフト用ギヤ64cと噛
合するようになっている。また、図5の下側半断面図に
おいて示すように、記号Lの低速シフト位置までシフト
スリーブ64bがスライド移動すると、シフトスリーブ
64bの外歯64b2 が低速シフト用ギヤ64dと噛合
するようになっている。また、図5の上側半断面図にお
いて二点鎖線で示すように、記号Nの中立位置までシフ
トスリーブ64bが移動すると、シフトスリーブ64b
の内歯64b1 及び外歯64b2 はいずれのギヤにも噛
合しないようになっている。
【0021】図4に戻って、前記トルク配分可変機構6
0は、前後輪に対する駆動力配分比を供給された油圧に
応じて変更する湿式多板摩擦クラッチ(以下、「摩擦ク
ラッチ」または単に「クラッチ」と略称する。)66
と、第1出力軸44に回転自在に配設された第1スプロ
ケット68と、第2出力軸54と同軸に結合された第2
スプロケット70と、第1及び第2スプロケット60、
70間に巻装さたチェーン72とで構成されている。
【0022】摩擦クラッチ66は、第1スプロケット6
8に結合されたクラッチドラム66aと、このクラッチ
ドラム66aにスプライン結合されたフリクションプレ
ート66bと、第1入力軸44の外周にスプライン結合
されたクラッチハブ66cと、クラッチハブ66cに一
体結合されて前記フリクションプレート66b間に配設
されたフリクションディスク66dと、第1出力軸44
の外周に配設されてクラッチドラム66a側への軸方向
移動によりフリクションプレート66b及びフリクショ
ンディスク66dを当接させる回転部材66eと、リア
ケーシング40bの内壁に装着されて軸方向の移動が可
能とされたクラッチピストン66gと、このクラッチピ
ストン66gの軸方向の移動を回転部材66eに伝達す
るスラスト軸受66fと、クラッチピストン66gとリ
アケーシング40bとの内壁間に形成されたシリンダ室
66hと、回転部材66eに対してクラッチピストン6
6g側へ付勢力を与えるリターンスプリング66jとで
構成されている。
【0023】そして、シリンダ室66hと連通するリア
ケーシング40bに形成された入力ポート74に、後述
の油圧供給装置16からクラッチ圧PC が供給される
と、シリンダ室66h内の押圧力発生によりクラッチピ
ストン66gが図4の左側へ移動し、このクラッチピス
トン66gの移動がスラスト軸受66fを介して回転部
材66eに伝達され、相互に離間していたフリクション
プレート66b及びフリクションディスク66dが、フ
リクションディスク66dの移動により当接し、摩擦力
によるクラッチ圧Pcに応じた締結力が付与される。こ
れにより、第1出力軸44の回転駆動力が、摩擦クラッ
チ66の締結力に応じた所定のトルク配分比で、第1ス
プロケット68、チェーン72及び第2スプロケット7
0を介して第2出力軸54に伝達されるようになってい
る。
【0024】また、供給されるクラッチ圧Pcが低下し
てリターンスプリング66jの付勢力によって回転部材
66e及びクラッチピストン66gが図4の右側へ移動
してフリクションプレート66b及びフリクションディ
スク66dが相互に離間すると、第1出力軸44の回転
駆動力は第2出力軸54に伝達されない。また、第1ス
プロケット68には、シフトスリーブ64b側の外周に
四輪駆動用ギヤ80が設けられており、前述した図5の
低速位置Lまでシフトスリーブ64dが移動すると、外
歯64b2 と低速シフト用ギヤ64dとの噛合ととも
に、前記四輪駆動用ギヤ80が内歯64b1 と噛合する
構造とされている。これにより、シフトスリーブ64b
及び四輪駆動用ギヤ80は、低速位置Lで第1出力軸4
4及び第2出力軸54を強制的に結合するドグクラッチ
を構成している。すなわち、変速機レバーによる低速位
置Lの選択時には、必ず前輪側へトルク配分がなされて
四輪駆動となる。
【0025】そして、噛み合いクラッチ形式とされた高
低速切換機構64のシフトスリーブ64bは、副変速機
レバー(図示せず)の手動操作によってフォーク(図4
で示す符号84がフオークの先端部)を介して高速シフ
ト位置H、中立位置N若しくは低速シフト位置Lまでス
ライド移動する。ここで、フロントケーシング40a内
部には、シフトスリーブ64bが高速シフト位置Hまで
スライド移動したことを検出する高速シフト位置センサ
86と、シフトスリーブ64bが低速シフト位置Lまで
スライド移動したことを検出する低速シフト位置センサ
88が配設されているため、これらの高速シフト位置セ
ンサ86の検出信号SH 、低速シフト位置センサ88の
検出信号SL を後述するコントローラ18に入力するこ
とにより、副変速機のシフト位置に基づく所定の制御を
行うことも可能である。また、この実施例では、副変速
機シフトレバーの移動軌跡に、所定の制御信号SN に応
じて低速シフト位置への移動を妨げるロック機構25が
設けてある。このロック機構25としては、前記制御信
号SN がONである場合に副変速機シフトレバーの移動
軌跡にピンが突出し、OFFである場合にはこのピンが
前記移動軌跡から外れるようになっているもの等が考え
られる。
【0026】図6は、前記摩擦クラッチ66の動作を制
御する前記油圧供給装置16の回路構成を示すブロック
図である。この油圧供給装置16は、変速機20の出力
側と連結する入力軸56と直結して回転駆動する正逆回
転形のメインポンプ100と、このメインポンプ100
と並列配置され、電動モータ102を動力源として回転
駆動する正回転形のサブポンプ104を油圧源としてい
る。これらメインポンプ100及びサブポンプ104
は、オイルタンク105内の作動油をストレーナ106
a、108aを介して吸入し、吐出側の配管106b、
108bに吐出する。また、配管106b、108bを
収束する収束配管110aには、オイルエレメント11
2が接続され、このオイルエレメント112の上流側
(メインポンプ100及びサブポンプ104側)に、他
端が潤滑系114側と接続するリリーフ路116が接続
されている。また、オイルエレメント112の下流側
(トランスファ22側)にライン圧調圧弁118が接続
され、収束配管110aから分岐する配管110b、1
10c、110eに、それぞれ電磁切換弁120、クラ
ッチ圧力調整弁122、減圧弁124の入力側が接続さ
れている。また、クラッチ圧力調整弁122の出力側に
は、電磁切換弁120からのパイロット圧が供給される
とトランスファ22にクラッチ圧Pcを供給するパイロ
ット切替弁126の入力側が接続され、減圧弁124の
出力側には、デューティ制御電磁弁128の入力側が接
続されている。
【0027】なお、オイルタンク105内には作動油の
温度を検知する温度センサ130が配設されているとと
もに、ライン圧調圧弁118により減圧設定された圧力
を検知する油圧スイッチ132及び切替弁126から出
力されるクラッチ圧Pcを検知する油圧スイッチ134
が配設され、これら検知信号は後述するコントローラ1
8に出力されるようになっている。そして、この油圧供
給装置16は、実際の車両では、トランスファ22の内
部に配設されている。なお、オイルタンク105から作
動油を吸引するメインポンプ100は、図4に示すよう
に、第1ギヤ136a及び第2ギヤ136bを介して第
1出力軸44と連結され、サブポンプ104は、トラン
スファケーシング40に外付けされた電動モータ102
に連結されている。
【0028】次に、主に前記図6のブロック図に基づい
て、油圧供給装置16の前記各構成部品の詳細な構造と
その作用を説明する。正回転駆動をするメインポンプ1
00は、吸入配管106cの端部に接続されたストレー
ナ106aを介してオイルタンク105から作動油を吸
引し、サブポンプ104も、吸入配管108cの端部に
接続されたストレーナ108aを介してオイルタンク1
05から作動油を吸引する。そして、収束配管110a
と接続する各ポンプの吐出配管106b、108bには
それぞれ逆止弁106d、108dが介挿されていると
ともに、メインポンプ100の吐出配管106bとサブ
ポンプ104の吸入配管108cとの間は、バイパス路
140が接続されている。このバイパス路140は、バ
イパス配管140aと、このバイパス配管140aに介
挿された3連の逆止弁140bとで構成され、吐出配管
160bが負圧状態となった場合に逆止弁140bが開
状態となり、作動油が破線矢印方向に流れる連通路とな
る。
【0029】オイルエレメント112より上流側の収束
配管110aに接続されたリリーフ路116は、潤滑系
114側に他端が接続されたリリーフ配管116aと、
このリリーフ配管116aに介挿された2連のバネ付き
逆止弁116bとで構成されている。そして、オイルエ
レメント112のフィルタに目詰まりが発生して、オイ
ルエレメント112より上流側の圧力が所定圧以上とな
ると、逆止弁116bが開状態となり、作動油が破線矢
印方向に流れる連通路となる。
【0030】ライン圧調圧弁118は、内部パイロット
及びスプリング形式の減圧弁により構成され、収束配管
110a側に接続する入力ポート118A 、潤滑系11
4側に接続する出力ポート118B 及び固定絞りを介し
て一次圧及び二次圧が供給される内部パイロットポート
118P1、118P2を有する筒状の弁ハウジング内にス
プールが摺動自在に配設され、このスプールを一端側に
付勢するリターンスプリング118aが配設されてい
る。そして、メインポンプ100もしくはサブポンプ1
04で昇圧された供給圧PL は、ライン圧調圧弁118
より所定圧に減圧設定されて電磁切換弁120、クラッ
チ圧力調整弁122、減圧弁124に供給される。な
お、減圧設定した際に出力ポート118B から流れ出た
作動油は、潤滑系114へ戻される。
【0031】また、クラッチ圧力調整弁122は、内
部、外部パイロット及びスプリング形式の圧力調整弁で
構成されており、配管110cと接続する入力ポート1
22A、パイロット切換弁126と接続する出力ポート
122B 、二次圧が固定絞りを介してパイロット圧とし
て供給される内部パイロットポート122P1、デューテ
ィ制御弁128から制御圧が供給される外部パイロット
ポート122P2を有する筒状の弁ハウジング内にスプー
ルが摺動自在に配設され、このスプールを一端側に付勢
するリターンスプリング122aが配設されている。こ
のクラッチ圧力調整弁122は、デューティ制御弁12
8からのパイロット制御圧が供給されない場合には、入
力ポート122A と出力ポート122B の連通路が閉塞
されて二次圧が出力されない。また、デューティ制御弁
128からパイロット制御圧が供給されると、スプール
が移動制御されて出力ポート122B からパイロット制
御圧に応じた二次圧がクラッチ圧Pcとして出力され
る。
【0032】減圧弁124は、内部パイロット及びスプ
リング形式の二次圧一定形減圧弁により構成されてお
り、配管110eと接続する入力ポート124A 、デュ
ーティ制御弁128と接続する出力ポート124B 、出
力ポート124B からの二次圧が固定絞りを介してパイ
ロット圧として供給される内部パイロットポート124
P と、ドレインポート124H とを有する筒状の弁ハウ
ジング内にスプールが摺動自在に配設され、このスプー
ルを一端側に付勢するリターンスプリング124aが配
設されている。そして、内部パイロットポート124P
に供給されるパイロット圧によってスプールが所定位置
に移動制御されることにより、入力ポート124A から
供給された一次圧が、所定圧に減圧調整された制御圧と
してデューティ制御弁128に供給されるようになって
いる。
【0033】また、デューティ制御弁128は、3ポー
ト2位置に構成され、減圧弁124側に接続された入力
ポート128A と、ドレイン側に接続されたドレインポ
ート128D と、クラッチ圧力調整弁122の外部パイ
ロットポート122P2と接続する出力ポート128
B と、リターンスプリング127aとを有し、弁内部に
配設されたスプールが出力ポート128B とドレインポ
ート128D とを連通させるノーマル位置128bと、
入力ポート128A と出力ポート128B とを連通させ
る作動位置128cとに移動制御される弁である。そし
て、コントローラ18からソレノイド128dに所要デ
ューティ比の励磁電流i0 が供給されると、その励磁電
流i0 がオン状態である区間リターンスプリング128
aに抗してノーマル位置128bから作動位置128c
にスプールが移動制御されることにより、デューティ比
に応じたパイロット制御圧がクラッチ調整弁122に出
力される。したがって、クラッチ圧力調整弁122に
は、デューティ制御電磁弁128から外部パイロットポ
ート122P2にパイロット制御圧が供給されると、パイ
ロット制御圧に応じたクラッチ圧Pcが出力され、これ
に応じて摩擦クラッチ66のクラッチ締結力が制御され
てクラッチ圧PC に応じた前輪への駆動トルクの配分が
行われる。
【0034】また、スプリングオフセット形の電磁切換
弁120は、3ポート2位置に構成され、ライン圧が供
給される入力ポート120A と、パイロット切換弁12
6の外部パイロットポート126P1と接続する出力ポー
ト120B と、ドレイン側に接続されたドレインポート
120D とを有し、弁内部に配設されたスプールが入力
ポート120A を遮断し且つ出力ポート120B をドレ
インポート120D に連通させるノーマル位置120b
と、入力ポート120A と出力ポート120Bとを連通
させ且つドレインポート120D を遮断する作動位置1
20cとに移動制御される弁である。そして、この電磁
切換弁120は、コントローラ18から励磁電流i1
ソレノイド120dに出力されると、その励磁電流i1
がオン状態を継続している間リターンスプリング120
aに抗してスプールが移動制御されて作動位置120c
となり、パイロット切換弁126の外部パイロットポー
ト126P1にパイロット制御圧が供給される。また、コ
ントローラ18からの励磁電流i1 がオフ状態となる
と、リターンスプリング120aの押圧力によってノー
マル位置120bに戻され、外部パイロットポート12
P1に供給されていたパイロット制御圧がドレインポー
ト120D を通じて消圧される。
【0035】図7は、パイロット切換弁126の状態を
二輪駆動時と四輪駆動時との違いにおいて示す断面図で
ある。この図7からも分かるように、パイロット切換弁
126は、クラッチ圧力調整弁122から二次圧が供給
される入力ポート126A 、トランスファ22へ二次圧
を供給する出力ポート126B 、電磁切換弁120のソ
レノイド120dが通電状態であるときに制御圧が供給
される外部パイロットポート126P1、ドレインポート
126H を有する筒状の弁ハウジング126i内に、ス
プール126eが摺動自在に配設され、このスプール1
26eを一端側に付勢するリターンスプリング126a
が配設されている弁である。なお、外部パイロットポー
ト126P1からの制御圧は、リターンスプリング126
aの押圧力と同一方向に供給される。
【0036】そして、このパイロット切換弁126のス
プール126eは、外部パイロットポート126P1にパ
イロット制御圧が供給されない場合には、入力ポート1
26 A と出力ポート126B とが遮断され、且つ出力ポ
ート126B がドレインポート126D に連通する2W
Dモード位置126bに移動制御されるようになってい
る(図7の左側半断面状態)。また、電磁切換弁120
のソレノイド120dが通電状態(オン状態)となる
と、スプール120aが作動位置120cに移動制御さ
れ、外部パイロットポート126P1にパイロット制御圧
が供給され、入力ポート126A と出力ポート126B
とが連通する4WDモード位置126cに移動制御され
るようになっている(図7の右側半断面状態)。
【0037】このように、パイロット切換弁126を電
磁切換弁120からのパイロット制御圧で駆動すること
により、高圧のパイロット制御圧でスプール126eを
駆動することができ、スプール126eの摺動通路に塵
埃、切り屑等が付着してスプール126eの摺動抵抗が
大きい場合でも、スプール126eの摺動を確保するこ
とができる。
【0038】ここで、図8は、この油圧供給装置16に
おける、デューティ制御弁128のソレノイド128d
に供給する励磁電流i0 のデューティ比Dと、摩擦クラ
ッチ66への供給圧(前記「クラッチ圧Pc」に相当)
との相関を示す特性図であり、この図8から分かるよう
に、デューティ比Dの増加に応じて放物線状に増大する
クラッチ圧Pcが、パイロット切換弁126から摩擦ク
ラッチ66に出力される。そして、摩擦クラッチ66に
油圧供給装置16から供給されたクラッチ圧Pcに応じ
て、前記フリクションプレート66bとフリクションデ
ィスク66dとの間に所定の摩擦力が生じ、この生じた
摩擦力による締結力に応じて、駆動トルクが後輪側及び
前輪側に配分伝達される。
【0039】ここで、図9は、摩擦クラッチ66への供
給圧Pcと前輪側への伝達トルクΔTとの相関を示す特
性図であり、この図9から分かるように、前輪側への伝
達トルクΔTは、摩擦クラッチ66への供給圧(前記
「クラッチ圧」に相当)Pcに応じてリニアに変化する
ようになっている。すなわち、このトランスファ22に
おいて、前後輪に対するトルクの配分比は、前記励磁電
流i0 のデューティ比Dに応じて(0:100〜50:
50まで)連続的に変更でき、具体的にデューティ比D
1 でクラッチ圧P1 が供給されることにより0:100
%となり、デューティ比D2 でクラッチ圧P2 が供給さ
れることにより50%:50%となる。なお、デューテ
ィ比がD1 以下であるときには、P1 以下のクラッチ圧
により摩擦クラッチ66のフリクションプレート66b
とフリクションディスク66dとは押圧接触されるが、
駆動力の前輪側への伝達はなされない。
【0040】一方、図3に戻って、前記駆動力配分制御
装置15は、前輪側回転センサ17Fおよび後輪側回転
センサ17Rと、前記切替えスイッチにより選択された
駆動モードを検出する駆動モードスイッチ21と、これ
らのセンサからの検出信号に基づいて前記油圧供給装置
16への前記励磁電流i0 ,i1 と、副変速機レバーの
前記ロック機構25への制御信号SN とを出力するコン
トーラ18とを備えている。
【0041】なお、この実施例では、同じコントローラ
18において、油圧供給装置16が所定の油圧を保持可
能にするための制御も行うようになっており、そのため
に必要な前記油温センサ130および油圧スイッチ13
2,134を備えるとともに、これらのセンサからの検
出信号に基づくモータ駆動信号CS2 も、コントローラ
18から前記油圧供給装置16へ出力されるようになっ
ている。
【0042】また、図3から分かるように、この実施例
の車両は、前記油温センサ130および油圧スイッチ1
32,134に基づく油圧制御によっても所定油圧の保
持がなされない場合に、ランプの点滅や音により運転者
に注意を促す警報装置29をも備えている。前記前輪側
回転センサ17F及び後輪側回転センサ17Rは、前記
前輪側出力軸16及び後輪側のプロペラシャフト22の
所定位置に個別に装備され、各軸の回転数を光学方式又
は電磁方式で検知して、これに応じたパルス信号又は正
弦波信号により当該車輪の周速度、即ち車輪速度を前後
輪回転検出値nF,nRとして個別にコントローラ18
に出力するように構成されている。ここで、これらの前
輪側回転センサ17F及び後輪側回転センサ17Rとし
ては、例えば本出願人が先に提案した特開平1−195
126号公報に記載されているようなものを転用可能で
ある。
【0043】前記駆動モードスイッチ21は、切替えス
イッチにより選択された駆動モードMを出力するもので
あり、選択された駆動モードが二輪駆動モードであれば
M=2、オート四輪駆動モードであればM=AUTO
4、直結四輪駆動モードであればM=LOCK4を示す
信号が出力される。図10は、前記コントローラ18を
詳細に示すものであり、この図10から分かるように、
前記コントローラ18は、前記駆動力配分制御を行うた
めのマイクロコンピュータ7と、前述の所定油圧保持制
御を行うためのマイクロコンピュータ8と、前記マイク
ロコンピュータ7からの制御信号CS0 に応じて、前記
油圧供給装置16におけるデューティ比制御弁128の
ソレノイド128dに、所要デューティ比Dの励磁電流
0 を供給する駆動回路31aと、前記マイクロコンピ
ュータ7からの制御信号CS1 に応じてオン・オフされ
る励磁電流i1 を、前記油圧供給装置16における電磁
切替え弁120のソレノイド120dに供給する駆動回
路31bと、前記マイクロコンピュータ8からの出力信
号SM に応じて前記油圧供給装置16の電動モータ10
2をチョッパ制御することにより、電動モータ102の
速度を当該モータ制御信号SM に応じた速度に制御する
モータ駆動回路103とを備えている。
【0044】前記マイクロコンピュータ7は、前記各セ
ンサ17F,17R,21からの検出信号を各検出値と
して読込むためのA/D変換機能を有する入力インタフ
ェース回路7aと、演算処理装置7bと、ROM,RA
M等の記憶装置7cと、前記演算処理装置7bで得られ
た前輪側トルク配分指令値T2 を、当該前輪側トルク配
分指令値T2 に応じたクラッチ圧PC を達成するための
制御信号CS0 として出力し、且つクラッチ圧PC を出
力するか否かの制御信号CS1 を出力するためのD/A
変換機能を有する出力インタフェース回路7dとを備え
ている。すなわち、前記制御信号CS1 は前記演算処理
装置7bで得られた前輪側トルク配分指令値T2
“0”でない場合に出力され、前記演算処理装置7bで
得られた前輪側トルク配分指令値T2 が“0”である
か、前輪側トルク配分指令値T2 が出力されていない場
合には出力されない。
【0045】また、前述の図8に示す、デューティ制御
弁128のソレノイド128dに供給する励磁電流i0
のデューティ比Dと、摩擦クラッチ66への供給圧(前
記「クラッチ圧Pc」に相当)との相関を示す特性図、
および図9に示す、摩擦クラッチ66への供給圧Pcと
前輪側への伝達トルクΔTとの相関を示す特性図に相当
するテーブルが、固定データとして記憶装置7cに記憶
されている。これにより、演算処理装置7bで得られた
前輪側トルク配分指令値T2 は、出力インターフェース
回路7dにおいて、前輪側トルク配分指令値T2 に応じ
た前輪側への伝達トルクΔTに変換され、この前輪側へ
の伝達トルクΔTが図9の特性に基づいてクラッチ圧P
C に変換され、このクラッチ圧PC が図8の特性に基づ
いてデューティ比Dに変換され、このデューティ比Dを
示す制御信号CS0 が駆動回路31aに出力される。
【0046】また、前記マイクロコンピュータ8は、前
記各センサ130,132,134からの検出信号を各
検出値として読込むためのA/D変換機能を有する入力
インタフェース回路8aと、演算処理装置8bと、RO
M,RAM等の記憶装置8cと、前記演算処理装置8b
で得られた電動モータ回転速度指令値M2 を、例えばア
ナログ電圧信号SM として出力するためのD/A変換機
能を有する出力インタフェース回路8dとを備えてい
る。
【0047】そして、このコントローラ18のマイクロ
コンピュータ7では、後段に詳述する図12の演算処理
に従って、前記前輪側回転センサ17Fからの前輪回転
検出値nF、後輪側回転センサ17Rからの後輪回転検
出値nR、および駆動モードスイッチ60からの駆動モ
ード検出値M(2,AUTO4,またはLOCK4)に
基づいて、前輪側トルク配分指令値T2 を設定し、設定
された前輪側トルク配分指令値T2 に応じた制御信号C
0 ,CS1 を前記駆動回路31a,31bに向けて出
力するとともに、オン・オフの制御信号SN をロック機
構25に向けて出力する。
【0048】そして、前記駆動回路31aは、前記マイ
クロコンピュータ7から出力されるアナログ信号でなる
制御信号CS0 を、当該制御信号CS0 が示すデューテ
ィ比Dの励磁電流に変換して出力する、例えばパルス幅
変調回路を備えており、前輪側トルク配分指令値T2
応じたデューティ比Dの励磁電流i0 を、デューティ制
御電磁弁128のソレノイド128dに出力する。
【0049】また、前記駆動回路31bは、前記マイク
ロコンピュータ7から出力される制御信号CS1 を、電
磁切換弁120のソレノイド120dを励磁可能な電流
値I K の励磁電流i1 に変換して、これを電磁切換弁1
20のソレノイド120dに出力する。ここで、この実
施例のコンロトーラ18のマイクロコンピュータ8で行
われる演算処理、すなわち油圧供給装置16が所定の油
圧を供給可能にするための制御は、例えば、図示されな
い演算処理によって、油圧スイッチ132で収束配管1
10aのオイルエレメント112の下流側のライン圧P
L が設定値以下に低下していることを検出したときに、
サブポンプ104からの吐出圧(油量)を制御するため
に、前記油温センサ130からの油温検出値SY に応じ
て設定される回転速度指令値を示す制御信号SM を算出
し、これをモータ駆動回路103に供給することによ
り、電動モータ102の回転速度を制御して、油圧供給
装置16から出力されるライン圧PL を所定圧力に維持
するものである。また、これとともに、例えば、油圧ス
イッチ132からライン圧が設定油圧A2 以上となった
ことを知らせる検出信号SA2が出力されていなければ、
または油圧スイッチ134からライン圧が設定油圧A3
以上となったことを知らせる検出信号SA3が出力されて
いなければ、前記制御パルス信号SM によって電動モー
タ102の回転速度を高めて、サブポンプ104からの
吐出圧(油量)を増加させる制御を行い、当該制御を所
定時間以上行っても前記検出信号SA2,SA3が出力され
なければ、油圧供給装置16に異常が生じたと判断して
警報装置29に異常検出信号SU を出力して、ランプの
点滅や音により運転者に注意を促すこと等が行われる。
【0050】次に、この第一実施例において、コントロ
ーラ18のマイクロコンピュータ7で行われる演算処
理、すなわち駆動力配分制御に関する基本原理について
説明する。この実施例では、前述のように、二輪駆動モ
ード、オート四輪駆動モード、直結四輪駆動モードの三
段階の切替えがスイッチの操作により可能なものとして
あり、各駆動モードにおける駆動力配分が、通常時に
は、二輪駆動モードの選択時には後輪:前輪=100
%:0に固定され、オート四輪駆動モードの選択時には
前後輪回転速度差に応じた値に自動的に設定されるよう
にし、直結四輪駆動モードの選択時には後輪:前輪=5
0%:50%に固定されるものである。
【0051】具体的に、オート四輪駆動モードの選択時
には、前後輪の回転速度差ΔVW を、主駆動輪である後
輪2RL,2RRの平均回転数から得られる平均後輪速
度(後輪回転検出値nR)から、副駆動輪である前輪2
FL,FRの平均回転数から得られる平均前輪速度(前
輪回転検出値nF)を減じて、下記の(1)式に基づい
て算出し、 ΔVW =nR−nF……(1) この算出された前後輪速度差ΔVW に応じて、通常時に
は、四輪駆動車の駆動性能と後輪駆動車の旋回性能との
両立および操縦安定性の向上を目的として、図11に示
すように、当該前後輪速度差ΔVW が所定値ΔVW1(>
0)であれば、前輪側トルク配分指令値T2 を“50”
に、当該前後輪速度差ΔVW が所定値ΔV W2(<0)で
あれば、前輪側トルク配分指令値T2 を“15”に設定
し、当該前後輪速度差ΔVW が“0”以上であって所定
値ΔVW1以下であれば、前輪側トルク配分指令値T2
下記の(2a)式により算出し、該前後輪速度差ΔVW
が“0”以下であって所定値ΔVW2以上であれば、前輪
側トルク配分指令値T2 を下記の(2b)式により算出
するようにしてある。
【0052】T2 =k1 ・ΔVW ……(2a) T2 =k2 ・ΔVW ……(2b) しかしながら、前述のように、所謂スタック状態からの
脱出等を目的として、主駆動輪が空転し、且つ副駆動輪
の回転が停止した状態から直結四輪駆動状態へ移行する
と、停止していた副駆動輪の回転速度が高速で空転して
いた主駆動輪の回転速度と同じになるため、副駆動輪の
車輪速が急速に大きくなることに伴うショックにより、
乗員に不快感を与えることがある。そのため、この実施
例では、前記前輪回転検出値nFが“0”であって且つ
前記後輪回転検出値nRが“0”より大きい場合には、
切替えスイッチにより選択された駆動モードに関わら
ず、前輪側トルク配分指令値T2 を“0”に設定して、
二輪駆動状態にすることとした。
【0053】また、この実施例では、トランスファ22
内に副変速機構58を備えており、前述のように、この
副変速機構58において低速シフト位置が選択された場
合には、強制的に直結四輪駆動状態となるため、前輪側
トルク配分指令値T2 を“0”としても機械的に直結四
輪駆動状態となる。これを回避するために、この実施例
では、副変速機シフトレバーの移動軌跡に、所定の制御
信号に応じて低速シフト位置への移動を妨げるロック機
構25を設け、理論値“1”でONとなり“0”でOF
Fとなる低速シフト位置禁止信号SN を前記制御信号と
して出力する。そして、前述のように、前輪回転検出値
nFが“0”であって且つ前記後輪回転検出値nRが
“0”より大きい場合には、低速シフト位置禁止信号S
N の理論値を“1”に設定し、そうでない場合には低速
シフト位置禁止信号SN の理論値を“0”に設定するこ
ととした。
【0054】次に、このような基本原理に基づいて、主
駆動輪が空転し、且つ副駆動輪の回転が停止した状態で
は四輪駆動状態へ移行させない制御を行うために、前記
コントローラ18のマイクロコンピュータ7で行われる
演算処理について図12のフローチャートに従って説明
する。この演算処理は、所定周期ΔTS (例えば10m
sec)毎のタイマ割込処理として実行され、まず、ス
テップS101で、前輪回転センサ17Fからの前輪側
回転検出値nFを読み込む。
【0055】次に、ステップS102に移行して、後輪
回転センサ17Rからの後輪側回転検出値nRを読込
む。次に、ステップS103に移行して、前記ステップ
S101で読込まれた前輪側回転検出値nFが“0”で
あるか否かを判定して、nF=0であればステップS1
04に移行し、そうでなければ(すなわちnF≠0であ
れば)ステップS105に移行する。
【0056】前記ステップS105では、低速シフト位
置禁止信号SN を論理値“0”に設定する。次に、ステ
ップS106に移行して、駆動モードスイッチ21から
の駆動モード検出値Mを読込む。次に、ステップS10
7に移行して、前記ステップS107で読込まれた駆動
モード検出値Mが“AUTO4”であるか否かを判定し
て、M=AUTO4であればステップS108に移行
し、そうでなければ(すなわちM=2またはLOCK4
であれば)ステップS109に移行する。
【0057】前記ステップS108では、前記ステップ
S101で読込まれた前輪側回転検出値nFと前記ステ
ップS102で読込まれた後輪側回転検出値nRとによ
り、前記(1)式に従って、前記前後輪速度差ΔVW
算出してから、ステップS110に移行する。前記ステ
ップS110では、前記図11に示す特性から、前記ス
テップS108で算出された前後輪速度差ΔVW に応じ
て前輪側トルク配分指令値T2 を設定して、ステップS
111に移行する。
【0058】また、前記ステップS109では、前記ス
テップS107で読込まれた駆動モード検出値Mが
“2”であるか否かを判定し、M=2であればステップ
S112に移行し、そうでなければステップS113に
移行する。前記ステップS112では、前輪側トルク配
分指令値T2 を“0”に設定してから、前記ステップS
111に移行する。
【0059】前記ステップS113では、前輪側トルク
配分指令値T2 を“50”に設定してから、前記ステッ
プS111に移行する。一方、前記ステップS104で
は、前記ステップS102で読込まれた後輪側回転検出
値nRが“0”より大きいか否かを判定して、nR>0
であればステップS114に移行し、そうでなければ
(すなわちnR=0であれば)前記ステップS105に
移行する。
【0060】前記ステップS114では、低速シフト位
置禁止信号SN を論理値“1”に設定してから、前記ス
テップS112に移行する。そして、前記ステップS1
11では、前記ステップS110,S112,S113
のいずれかで設定された前輪側トルク配分指令値T2
出力する。次に、ステップS115に移行して、前記ス
テップS105またはS114で論理値“0”または
“1”に設定された低速シフト位置禁止信号SN を出力
してから、メインプログラムに復帰する。
【0061】このようにして設定された前輪側トルク配
分指令値T2 は、マイクロコンピュータ7の出力インタ
フェース回路7dにより、当該前輪側トルク配分指令値
2に応じたクラッチ圧PC を達成するデューティ比D
を示すアナログ電圧値からなる制御信号CS0 に変換さ
れ、当該制御信号CS0 が駆動回路31aに入力され、
2 ≠0であれば駆動回路31bに制御信号CS0 が入
力される。これに伴い、駆動回路31aでは、当該制御
信号CS0 が示すデューティ比Dの励磁電流i 0 を、前
記油圧供給装置16内のデューティ制御電磁弁128の
ソレノイド128dに向けて出力する。また、駆動回路
31bでは、制御信号CS0 が入力されたときに励磁電
流i0 を前記油圧供給装置16内の電磁切換弁120の
ソレノイド120dに向けて出力し、制御信号CS0
入力されないときには励磁電流i 1 を出力しない。
【0062】その結果、前輪側出力トルク指令値T2
0の場合には、電磁切換弁120の入力ポート120A
と出力ポート120Bとが連通され、パイロット切換弁
126は図7の右側半断面状態となり、パイロット切換
弁126の外部パイロットポート126P1にはクラッチ
圧力調整弁122からの調整圧が供給され、当該調整圧
がクラッチ66に供給可能となる。この場合に、デュー
ティ制御電磁弁128は、リターンスプリング128a
に抗してスプールがノーマル位置128bから作動位置
128cに移動して、当該制御信号CS0 に応じた制御
圧をクラッチ圧力調整弁122の外部供給ポート122
P2に出力するため、前記制御圧がクラッチ圧力調整弁1
22の外部供給ポート122P2に出力され、これにより
クラッチ圧力調整弁122の調整圧が当該制御信号CS
0 に応じた値に制御され、パイロット切換弁126を介
してクラッチ圧力調整弁122からの調整圧(すなわ
ち、前輪側トルク配分指令値T2 に応じたクラッチへの
供給圧Pc)がクラッチ66に供給される。
【0063】このクラッチ供給圧Pcが油圧供給装置1
6からトランスファ22内の入力ポート74に供給さ
れ、当該供給されたクラッチ供給圧Pcに応じて、前述
のように、フリクションプレート66bとフリクション
ディスク66dとが摩擦接触し、この摩擦接触力に応じ
た駆動トルク(駆動力)が当該クラッチ66のクラッチ
ハブ66cを駆動回転し、その駆動トルク(駆動力)が
ギヤトレインを介して前輪側ドライブシャフト24に伝
達され、更に前記動力伝達系を介して前記前輪12F
L,12FRに伝達されるから、前記後輪12RL,1
2RRへの伝達駆動力はその分だけ減少して、前記図1
2に示す演算処理で所望するトルク配分がなされた四輪
駆動状態が達成される。
【0064】一方、前輪側出力トルク指令値T2 =0の
場合には、制御信号CS1 が出力されないため、電磁切
換弁120の入力ポート120Aと出力ポート120B
とが連通されずに、パイロット切換弁126は図7の左
側半断面状態となり、パイロット切換弁126の外部パ
イロットポート126P1にはクラッチ圧力調整弁122
からの調整圧が供給されずに、当該調整圧がクラッチ6
6に供給不可能となる。この場合に、デューティ制御電
磁弁128には、デューティ比D1 以下に相当する制御
信号CS0 が入力されるため、スプールがノーマル位置
128bに止まるか作動位置128cからノーマル位置
128bに移動して、前記クラッチ圧P C がP1 以下と
なって、クラッチ圧力調整弁122の調整圧も前輪側ト
ルク配分指令値T2 に応じた値には制御されない。
【0065】したがって、この場合には、油圧供給装置
16からトランスファ22内の入力ポート74に油圧が
供給されないため、前述のように、フリクションプレー
ト66bとフリクションディスク66dとが摩擦接触し
ない。これにより、駆動トルク(駆動力)が前輪側ドラ
イブシャフト24に伝達されないため、二輪駆動状態と
なる。
【0066】それでは次に、前記図12に示す演算処理
によって実施される、本実施例の車両の四輪駆動制御装
置の作用を説明する。先ず、この実施例の四輪駆動車両
において、運転者が駆動モードスイッチを二輪駆動モー
ドにして定速走行をしている場合には、ステップS10
1で読込まれる前輪側回転検出値nFが“0”でないた
め、ステップS103からステップS105に至って低
速シフト位置禁止信号SN が論理値“0”に設定される
とともに、ステップS106で読込まれる駆動モード検
出値Mが“2”であるため、ステップS107,S10
9,S112の順に移行してステップS112で前輪側
トルク配分指令値T2 が“0”に設定されて、ステップ
S11でT2 =0が主力され、ステップS115でSN
=0が出力される。
【0067】その結果、前述のように、“0”である前
輪側トルク配分指令値T2 に相当する制御信号CS0
駆動回路31aに入力され、駆動回路31bには制御信
号CS1 は入力されないため、前輪側トルク配分指令値
2 =0に相当するデューティ比の励磁電流i0 がソレ
ノイド128dに向けて出力され、駆動回路31bから
は前記励磁電流i1 が出力されない。これに伴って、前
述のような、電磁切換弁120、パイロット切換弁12
6、デューティ制御電磁弁128、およびクラッチ圧力
調整弁122が前輪側トルク配分指令値T2 =0に応じ
てクラッチ供給圧PcをP1 以下に保持する状態とな
る。これにより、前述のように、フリクションプレート
66bとフリクションディスク66dとの摩擦接触がな
されず、駆動トルク(駆動力)が前輪側ドライブシャフ
ト24に伝達されないため、二輪駆動状態となる。
【0068】なお、この場合には、ステップS115で
低速シフト位置禁止信号SN が“0”として出力されて
いるため、副変速機シフトレバーのロック機構25は作
動しない。そのため、副変速機構58において低速シフ
ト位置が選択されることによって強制的に直結四輪駆動
状態となることが許容される。次に、凹凸があるが十分
な摩擦係数を有する高μ路を走行中に、運転者が切り替
えスイッチを操作して駆動モードを二輪駆動モードから
オート四輪駆動モードに切り替えた場合には、ステップ
S101で読込まれる前輪側回転検出値nFが“0”で
ないため、ステップS103からステップS105に至
って高速シフト位置禁止信号SN が論理値“0”に設定
されるとともに、ステップS106で読込まれる駆動モ
ード検出値Mが“AUTO4”であるため、ステップS
107からステップS108に至って、ステップS10
1で読込まれた前輪側回転検出値nFとステップS10
2で読込まれた後輪側回転検出値nRとから前記(1)
に従って前後輪速度差ΔVW が算出され、ステップS1
10で図11に示す前輪側トルク配分指令値T2 −前後
輪速度差ΔVW 特性から、この算出された前後輪速度差
ΔVW に応じた前輪側トルク配分指令値T2 が設定され
て、これがステップS111で出力され、ステップS1
15でSN =0が出力される。
【0069】その結果、前述のように、前輪側トルク配
分指令値T2 に相当する電圧値の制御信号CS0 が駆動
回路31aに入力され、駆動回路31bに制御信号CS
1 が入力されるため、駆動回路31aから、当該前輪側
トルク配分指令値T2 に応じたデューティ比に相当する
励磁電流i0 が、前記油圧供給装置16内のデューティ
制御電磁弁128のソレノイド128dに向けて出力さ
れ、駆動回路31bから、前記油圧供給装置16内の電
磁切換弁120のソレノイド120dに向けて前記電流
値Ik に相当する励磁電流i1 が出力される。これに伴
って、前述のようにして、電磁切換弁120、パイロッ
ト切換弁126、デューティ制御電磁弁128、および
クラッチ圧力調整弁122が、当該前輪側トルク配分指
令値T2に応じたクラッチ供給圧Pcをパイロット切換
弁126からクラッチ66に供給する。
【0070】これにより、前述のように、当該供給され
たクラッチ供給圧Pcに応じた力で、フリクションプレ
ート66bとフリクションディスク66dとが摩擦接触
し、この摩擦接触力に応じた駆動トルク(駆動力)が当
該クラッチ66のクラッチハブ66cを駆動回転し、そ
の駆動トルク(駆動力)がギヤトレインを介して前輪側
ドライブシャフト24に伝達され、更に前記動力伝達系
を介して前記前輪12FL,12FRに伝達されるか
ら、前記後輪12RL,12RRへの伝達駆動力はその
分だけ減少し、前記前輪側トルク配分指令値T2 に応じ
た分だけ前輪側に駆動トルクが伝達されるオート四輪駆
動状態となる。
【0071】なお、この場合には、ステップS115で
低速シフト位置禁止信号SN が“0”として出力されて
いるため、副変速機シフトレバーのロック機構25は作
動しない。そのため、副変速機構58において低速シフ
ト位置が選択されることによって強制的に直結四輪駆動
状態となることが許容される。次に、凹凸があるが十分
な摩擦係数を有する高μ路を走行中に、運転者が切り替
えスイッチを操作して駆動モードを二輪駆動モードまた
はオート四輪駆動モードから直結四輪駆動モードに切り
替えた場合には、ステップS101で読込まれる前輪側
回転検出値nFが“0”でないため、ステップS103
からステップS105に至って高速シフト位置禁止信号
N が論理値“0”に設定されるとともに、ステップS
106で読込まれる駆動モード検出値Mが“LOCK
4”であるため、ステップS107からステップS10
9を介してステップS113に至り、前輪側トルク配分
指令値T2 が“50”に設定されて、ステップS111
でT 2 =50が出力され、ステップS115でSN =0
が出力される。
【0072】その結果、前述のように、前輪側トルク配
分指令値T2 に相当する電圧値の制御信号CS0 が駆動
回路31aに入力され、駆動回路31bに制御信号CS
1 が入力されるため、駆動回路31aから、当該前輪側
トルク配分指令値T2 に応じたデューティ比に相当する
励磁電流i0 が、前記油圧供給装置16内のデューティ
制御電磁弁128のソレノイド128dに向けて出力さ
れ、駆動回路31bから、前記油圧供給装置16内の電
磁切換弁120のソレノイド120dに向けて前記電流
値Ik に相当する励磁電流i1 が出力される。これに伴
って、前述のようにして、電磁切換弁120、パイロッ
ト切換弁126、デューティ制御電磁弁128、および
クラッチ圧力調整弁122が、当該前輪側トルク配分指
令値T2=50に応じた設定最大値のクラッチ供給圧P
cが切替弁126からクラッチ66に供給される。
【0073】これにより、前述のように、当該供給され
た設定最大値であるクラッチ供給圧Pcに応じた力で、
フリクションプレート66bとフリクションディスク6
6dとが裁断の力で摩擦接触し、この摩擦接触力に応じ
た駆動トルク(駆動力)が当該クラッチ66のクラッチ
ハブ66cを駆動回転し、その駆動トルク(駆動力)が
ギヤトレインを介して前輪側ドライブシャフト24に伝
達され、更に前記動力伝達系を介して前記前輪12F
L,12FRに伝達されるから、前記後輪12RL,1
2RRへの伝達駆動力はその分だけ減少し、エンジン1
0から伝達される駆動トルクの配分比が前後輪で1:1
となり、直結四輪駆動状態となる。
【0074】なお、この場合には、ステップS115で
低速シフト位置禁止信号SN が“0”として出力されて
いるため、副変速機シフトレバーのロック機構25は作
動しない。そのため、副変速機構58において低速シフ
ト位置が選択されることによって強制的に直結四輪駆動
状態となることが許容される。次に、雪道等の低μ路を
二輪駆動モードで走行中に、後輪が空転し、前輪の回転
が停止した状態に陥った場合には、ステップS101で
読込まれる前輪側回転検出値nFが“0”であるためス
テップS103からステップS104に至り、ステップ
S102で読み込まれる後輪側回転検出値nRが“0”
より大きいためステップS104からステップS114
に至って、高速シフト位置禁止信号SNが論理値“1”
に設定され、ステップS112で前輪側トルク配分指令
値T2 が“0”に設定されて、ステップS111でT2
=0が出力され、ステップS115でSN =1が出力さ
れる。
【0075】その結果、前述のように、“0”である前
輪側トルク配分指令値T2 に相当する制御信号CS0
駆動回路31aに入力され、駆動回路31bには制御信
号CS1 は入力されないため、前輪側トルク配分指令値
2 =0に相当するデューティ比の励磁電流i0 がソレ
ノイド128dに向けて出力され、駆動回路31bから
は前記励磁電流i1 が出力されない。これに伴って、前
述のような、電磁切換弁120、パイロット切換弁12
6、デューティ制御電磁弁128、およびクラッチ圧力
調整弁122が前輪側トルク配分指令値T2 =0に応じ
てクラッチ供給圧PcをP1 以下に保持する状態とな
る。これにより、前述のように、フリクションプレート
66bとフリクションディスク66dとの摩擦接触がな
されず、駆動トルク(駆動力)が前輪側ドライブシャフ
ト24に伝達されないため、二輪駆動状態となる。
【0076】すなわち、前述のように、後輪が空転し、
前輪の回転が停止した状態に陥った場合には、このスタ
ック状態から抜け出そうとして運転者が直結四輪駆動モ
ードを選択しても、直結四輪駆動状態に移行しない。こ
れにより、前記スタック状態において二輪駆動状態から
直結四輪駆動状態に移行することに伴って、停止してい
た前輪の回転速度が高速で空転していた後輪の回転速度
まで急速に大きくなることによるショックが生じない。
【0077】また、この場合には、ステップS115で
低速シフト位置禁止信号SN が“1”として出力されて
いるため、副変速機シフトレバーのロック機構25が作
動する。そのため、副変速機構58において低速シフト
位置が選択されることによって強制的に直結四輪駆動状
態となることも回避される。そして、運転者がこの状態
(後輪空転、前輪停止)を認識して、アクセルを戻し、
一旦後輪を停止させると、その直後のサンプリング時に
は、ステップS102で読み込まれる後輪側回転検出値
nRが“0”となるため、ステップS104からステッ
プS105に至って低速シフト位置禁止信号が“0”に
設定されるとともに、ステップS106で駆動モード検
出値M=LOCK4が読み込まれ、ステップS107か
らステップS109を介してステップS113に至り、
ステップS111でT2 =50が出力され、ステップS
115でSN =0が出力される。これにより、前述のよ
うにして前輪側へ50%の駆動トルクが伝達されて直結
四輪駆動状態となる。したがって、この状態で再びアク
セルをゆっくり踏み込めば、緩やかにスタック状態から
抜け出すことができる。
【0078】一方、車両の発進時に直結四輪駆動モード
が選択されている場合には、ステップS101で読み込
まれる前輪側回転検出値nFもステップS102で読み
込まれる後輪側回転検出値nRも“0”であるため、ス
テップS102,S104,S105と移行して低速シ
フト位置禁止信号が“0”に設定されるとともに、ステ
ップS106で駆動モード検出値M=LOCK4が読み
込まれ、ステップS107からステップS109を介し
てステップS113に至り、ステップS111でT2
50が出力され、ステップS115でSN =0が出力さ
れる。これにより、前述のようにして前輪側へ50%の
駆動トルクが伝達されて直結四輪駆動状態となる。
【0079】以上のことから、この第一実施例は、請求
項1に係る車両の四輪駆動制御装置を具体化したもので
あることが分かり、図12に示す演算処理におけるステ
ップS101,S102が、前輪側回転センサ17Fお
よび後輪側回転センサ17Rとともに主副駆動輪回転状
態検出手段を構成する。また、図12に示す演算処理全
体が駆動力配分制御手段を構成し、特にステップS10
3〜S105,S114が四輪駆動状態禁止手段に相当
し、変速機シフトレバーのロック機構25も四輪駆動状
態禁止手段を構成する。また、駆動モードスイッチ21
と図12に示す演算処理におけるステップS106が駆
動モード検出手段を構成する。さらに、コントローラ1
8が駆動力配分制御手段に相当し、トランスファ22並
びに油圧供給装置16が駆動力配分調整手段に相当す
る。
【0080】図13は、請求項2に係る車両の四輪駆動
制御装置の実施例を示す概略構成図であり、これを第二
実施例とする。この第二実施例の装置は、前記第一実施
例の装置と同様に、FR(フロントエンジン・リアドラ
イブ)方式をベースにした四輪駆動制御装置であるが、
前記第一実施例の装置とは異なり駆動モード選択スイッ
チがなく、駆動力配分が前後輪回転速度差に応じて自動
的に設定されるフルタイム四輪駆動制御装置である。ま
た、前記第一実施例と同様の副変速機構を備え、当該副
変速機のシフト位置が、図示されない副変速機レバーの
操作により選択できるようになっている。なお、この副
変速機レバーには、後述されるように、所定の制御信号
に応じて低速シフト位置への移動を妨げるロック機構が
設けてある。
【0081】したがって、図13は、前記第一実施例の
装置の構成を示す図3から駆動モードスイッチ21を除
いた図となっており、この第二実施例における駆動力配
分制御装置15についても、前記第一実施例における駆
動力配分制御装置15の構成を示す図4から駆動モード
スイッチ21を除いた図となっている。そして、コント
ローラ18のマイクロコンピュータ7の演算処理装置7
bで行われる演算処理が、第一実施例における図12に
示す演算処理の代わりに後述の図16に示す演算処置が
行われる。これ以外の構成については、前記第一実施例
の装置と同じとなっているため、ここではその説明を省
略する。
【0082】次に、この第二実施例において、コントロ
ーラ18のマイクロコンピュータ7で行われる演算処
理、すなわち駆動力配分制御に関する基本原理について
説明する。この実施例では、前述のように、駆動モード
の選択スイッチがなく、通常時には、前後輪の回転速度
差ΔVW を、主駆動輪である後輪2RL,2RRの平均
回転数から得られる平均後輪速度(後輪回転検出値n
R)から、副駆動輪である前輪2FL,FRの平均回転
数から得られる平均前輪速度(前輪回転検出値nF)を
減じて、前記(1)式に基づいて算出し、この算出され
た前後輪速度差ΔVWに応じて、図15に示すように設
定する。すなわち、当該前後輪速度差ΔVW が所定値Δ
W2(>0)未満である場合には前輪側トルク配分指令
値T2 を“0”に設定し、当該前後輪速度差ΔVW が所
定値ΔVW2(>0)以上で所定値ΔVW3以下である場合
には前輪側トルク配分指令値T2 を下記の(2c)式に
より算出設定し、当該前後輪速度差ΔVW が所定値ΔV
W3以上である場合には前輪側トルク配分指令値T2
“50”に設定する。
【0083】T2 =k3 ・ΔVW ……(2c) しかしながら、前述のように、所謂スタック状態からの
脱出等を目的として、後輪が空転し、且つ前輪の回転が
停止した状態から直結四輪駆動状態へ移行すると、停止
していた前輪の回転速度が高速で空転していた後輪の回
転速度と同じになるため、前輪の車輪速が急速に大きく
なることに伴うショックにより、乗員に不快感を与える
ことがある。そのため、この実施例では、前記前輪回転
検出値nFが“0”であって且つ前記後輪回転検出値n
Rが“0”より大きい場合には、前記(2c)式で算出
設定される前輪側トルク配分指令値T2 が“0”より大
きい場合であっても、前輪側トルク配分指令値T2
“0”に設定して二輪駆動状態にすることとした。
【0084】また、この第二実施例でも、トランスファ
22内に副変速機構58を備えており、前述のように、
この副変速機構58において低速シフト位置が選択され
た場合には、強制的に直結四輪駆動状態となるため、前
述のように前輪側トルク配分指令値T2 を“0”として
も機械的に直結四輪駆動状態となる。これを回避するた
めに、この第二実施例でも、前記第一実施例と同様に、
副変速機シフトレバーの移動軌跡に、所定の制御信号に
応じて低速シフト位置への移動を妨げるロック機構25
を設け、理論値“1”でONとなり“0”でOFFとな
る低速シフト位置禁止信号SN を前記制御信号として出
力する。そして、前述のように、前輪回転検出値nFが
“0”であって且つ前記後輪回転検出値nRが“0”よ
り大きい場合には、低速シフト位置禁止信号SN の理論
値を“1”に設定し、そうでない場合には低速シフト位
置禁止信号SN の理論値を“0”に設定することとし
た。
【0085】次に、このような基本原理に基づいて、主
駆動輪である後輪が空転し、且つ副駆動輪である前輪の
回転が停止した状態では四輪駆動状態へ移行させない制
御を行うために、前記コントローラ18のマイクロコン
ピュータ7で行われる演算処理について図16のフロー
チャートに従って説明する。この演算処理は、所定周期
ΔTS (例えば10msec)毎のタイマ割込処理とし
て実行され、まず、ステップS201で、前輪回転セン
サ17Fからの前輪側回転検出値nFを読み込む。
【0086】次に、ステップS202に移行して、後輪
回転センサ17Rからの後輪側回転検出値nRを読込
む。次に、ステップS203に移行して、前記ステップ
S201で読込まれた前輪側回転検出値nFが“0”で
あるか否かを判定して、nF=0であればステップS2
04に移行し、そうでなければ(すなわちnF≠0であ
れば)ステップS205に移行する。
【0087】前記ステップS205では、低速シフト位
置禁止信号SN を論理値“0”に設定しする。次に、ス
テップS206に移行して、前記ステップS1で読込ま
れた前輪側回転検出値nFと後輪側回転検出値nRとに
より、前記(1)式に従って、前記前後輪速度差ΔVW
を算出してから、ステップS207に移行する。
【0088】前記ステップS207では、前記図15に
示す特性から、前記ステップS206で算出された前後
輪速度差ΔVW に応じて前輪側トルク配分指令値T2
設定して、ステップS208に移行する。また、前記ス
テップS204では、前記ステップS202で読込まれ
た後輪側回転検出値nRが“0”より大きいか否かを判
定して、nR>0であればステップS209に移行し、
そうでなければ(すなわちnR=0であれば)前記ステ
ップS205に移行する。
【0089】前記ステップS209では、低速シフト位
置禁止信号SN を論理値“1”に設定してから、ステッ
プS210に移行する。前記ステップS210では、前
輪側トルク配分指令値T2 を“0”に設定してから、前
記ステップS208に移行する。
【0090】そして、前記ステップS208では、前記
ステップS207,S210のいずれかで設定された前
輪側トルク配分指令値T2 を出力する。次に、ステップ
S211に移行して、前記ステップS205またはS2
09で論理値“0”または“1”に設定された低速シフ
ト位置禁止信号SN を出力してから、メインプログラム
に復帰する。
【0091】このようにして設定出力された前輪側トル
ク配分指令値T2 に応じた制御信号ST により、前記第
一実施例と同様にして油圧供給装置16が制御されて、
当該前輪側トルク配分指令値T2 に応じた駆動トルクが
前輪側へ伝達されるとともに、低速シフト位置禁止信号
N が“1”か“0”かによって変速機シフトレバーの
ロック機構25が制御される。
【0092】それでは次に、前記図16に示す演算処理
によって実行される、この第二実施例の車両の四輪駆動
制御装置の作用を説明する。この実施例においては、通
常時(すなわち、後輪空転、前輪停止以外の場合)に
は、ステップS205で低速シフト位置禁止信号SN
“0”に設定されて、ステップS206で算出された前
後輪速度差ΔVW に応じて、ステップS207において
図15のグラフに示すように前輪側トルク配分指令値T
2 が設定されることにより、前輪側への駆動力配分が前
後輪速度差ΔVW に応じてなされるものであり、変速機
シフトレバーのロック機構25も作動しないため、副変
速機構58により低速シフト位置となることが許容され
る。
【0093】しかしながら、雪道等の低μ路を、前後輪
速度差ΔVW がΔVW2以下であるため二輪駆動状態で走
行している時に、後輪が空転し、前輪の回転が停止した
状態に陥った場合には、前後輪速度差ΔVW がΔVW3
上となって通常では直結四輪駆動状態となるトルク配分
がなされるが、この実施例では、ステップS201で読
込まれる前輪側回転検出値nFが“0”であるためステ
ップS203からステップS204に至り、ステップS
202で読み込まれる後輪側回転検出値nRが“0”よ
り大きいためステップS204からステップS209に
至って、高速シフト位置禁止信号SN が論理値“1”に
設定され、ステップS210で前輪側トルク配分指令値
2 が“0”に設定されて、ステップS208でT2
0が出力され、ステップS211でSN =1が出力され
る。その結果、前述のようにして二輪駆動状態が継続さ
れる。
【0094】これにより、前記スタック状態において二
輪駆動状態から直結四輪駆動状態に移行することに伴っ
て、停止していた前輪の回転速度が高速で空転していた
後輪の回転速度まで急速に大きくなることによるショッ
クが生じない。また、この場合には、ステップS209
で低速シフト位置禁止信号SN が“1”として出力され
ているため、副変速機シフトレバーのロック機構25が
作動する。そのため、副変速機構58において低速シフ
ト位置が選択されることによって強制的に直結四輪駆動
状態となることも回避される。
【0095】以上のことから、この第二実施例は、請求
項2に係る車両の四輪駆動制御装置を具体化したもので
あることが分かり、図16に示す演算処理におけるステ
ップS201が前輪側回転センサ17Fとともに副駆動
輪回転速度検出手段を構成し、ステップS202が後輪
側回転センサ17Rとともに主駆動輪回転速度検出手段
を構成する。また、図16に示す演算処理全体が駆動力
配分制御手段を構成し、特にステップS203〜S20
5,S209が四輪駆動状態禁止手段に相当し、変速機
シフトレバーのロック機構25も四輪駆動状態禁止手段
を構成する。さらに、コントローラ18が駆動力配分制
御手段に相当し、トランスファ22並びに油圧供給装置
16が駆動力配分調整手段に相当する。
【0096】なお、前記各実施例では、後輪駆動車両を
ベースにした四輪駆動車両について詳述したが、本件各
発明に係る車両の四輪駆動制御装置はこの種の四輪駆動
車両への適用に限定されるものではなく、前輪駆動車両
をベースにした四輪駆動車両にトランスファのクラッチ
機構を制御するものであってもよい。そして、この場合
には、前記した前後輪速度差ΔVW をΔVW =nF−n
Rとし、図12に示す演算処理におけるステップS10
3および図16に示す演算処理におけるステップS20
3をnR=0とし、図12に示す演算処理におけるステ
ップS104および図16に示す演算処理におけるステ
ップS204をnF>0とし、図12に示す演算処理に
おけるステップS108で使用する図11の特性と、図
16に示す演算処理におけるステップS206で使用す
る図15の特性を、これに対応するものに変えて演算す
ればよい。
【0097】また、前記各実施例では、トランスファ内
に副変速機を備えた車両についてのみ詳述したが、この
ような副変速機を備えていない車両についても、本発明
の四輪駆動制御装置は同様に展開できる。また、前記各
実施例では、クラッチ機構として油圧式の摩擦クラッチ
を用いた場合について説明したが、本発明に係る車両の
四輪駆動制御装置に採用できるクラッチ機構はこれに限
定されず、電磁式摩擦クラッチ等であってもよい。
【0098】また、前記各実施例では、コントローラと
してマイクロコンピュータを適用した場合について説明
したが、これに代えて、演算回路や比較器等の電子回路
を組み合わせて構成することもできる。
【0099】
【発明の効果】以上説明してきたように、請求項1に係
る車両の四輪駆動制御装置によれば、切り替えスイッチ
等により駆動モードが選択可能な車両の四輪駆動制御装
置において、四輪駆動モードが選択されていても、主駆
動輪が回転し副駆動輪が停止している場合には、前輪側
へ駆動力が配分されないで二輪駆動状態となるため、従
来のように、二輪駆動状態からいきなり直結四輪駆動状
態となって副駆動輪の回転速度が急速に大きくなること
に伴うショックを乗員に与えることがない。
【0100】請求項2に係る車両の四輪駆動制御装置に
よれば、主副駆動輪の回転速度差に応じて前輪側へのト
ルク配分が設定される車両の四輪駆動制御装置におい
て、当該主副駆動輪回転速度差が前輪側へのトルク配分
を“0”より大きく設定する値(すなわち車両を四輪駆
動状態とする値)となっていても、主駆動輪が回転し副
駆動輪が停止している場合には、前輪側へ駆動力が配分
されないで二輪駆動状態となるため、従来のように、二
輪駆動状態からいきなり直結四輪駆動状態となって副駆
動輪の回転速度が急速に大きくなることに伴うショック
を乗員に与えることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に係る車両の四輪駆動制御装置を示す
基本構成図である。
【図2】請求項2に係る車両の四輪駆動制御装置を示す
基本構成図である。
【図3】請求項1に係る車両の四輪駆動制御装置の一実
施例に相当する、第一実施例の装置を示す概略構成図で
ある。
【図4】図3に示す車両の四輪駆動制御装置の駆動力伝
達系を構成するトランスファの内部構造を示す概略構成
図である。
【図5】図4のトランスファにおける副変速機の高低速
切替え機構について説明するための概略構成図である。
【図6】図4に示すトランスファにおける摩擦クラッチ
の動作を制御する油圧供給装置の回路構成を示すブロッ
ク図である。
【図7】前記油圧供給装置を構成する切替弁の状態を、
二輪駆動時と四輪駆動時との違いにおいて示す断面図で
ある。
【図8】前記油圧供給装置における、三方型電磁弁のソ
レノイドへの指令電流と摩擦クラッチへの供給圧との相
関を示す特性図である。
【図9】前記トランスファにおける、摩擦クラッチへの
供給圧と前輪側への伝達トルクとの相関を示す特性図で
ある。
【図10】図3に示す車両の四輪駆動制御装置の駆動力
配分制御装置を構成するコントローラの内部を示す概略
構成図である。
【図11】前記駆動力配分制御装置のコントローラにお
いて、通常時に設定される前輪側トルク配分指令値の前
後輪速度差に応じた特性を示すグラフである。
【図12】第一実施例の四輪駆動制御装置において、一
方のマイクロコンピュータで行われる演算処理の手順を
示すフローチャートである。
【図13】請求項2に係る車両の四輪駆動制御装置の一
実施例に相当する、第二実施例の装置を示す概略構成図
である。
【図14】図13に示す車両の四輪駆動制御装置の駆動
力配分制御装置を構成するコントローラの内部を示す概
略構成図である。
【図15】第二実施例における駆動力配分制御装置のコ
ントローラにおいて、通常時に設定される前輪側トルク
配分指令値の、前後輪速度差に応じた特性を示すグラフ
である。
【図16】第二実施例の四輪駆動制御装置において、一
方のマイクロコンピュータで行われる演算処理の手順を
示すフローチャートである。
【符号の説明】 10 エンジン(機関) 12FL,12FR 前左輪,前右輪(副駆動輪) 12RL,12RR 後左輪,後右輪(主駆動輪) 14 駆動力伝達系 15 駆動力配分制御装置 16 油圧供給装置(駆動力配分調整手段) 14 トランスファ(駆動力配分調整手段) 24 前輪側出力軸 26 前輪側ディファレンシャルギヤ 28 前輪側ドライブシャフト 30 プロペラシャフト 32 後輪側ディファレンシャルギヤ 34 後輪側ドライブシャフト 66 摩擦クラッチ 17F 前輪側回転センサ(異径車輪装着判定手段) 17R 後輪側回転センサ(異径車輪装着判定手段) 18 コントローラ 31a,31b 駆動回路 21 駆動モードスイッチ(駆動モード検出手段) 7 マイクロコンピュータ(駆動力配分制御手段)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の前後輪のいずれか一方を主駆動輪
    とし、他方を副駆動輪として、制御信号に応じて当該主
    駆動輪および副駆動輪への機関からの駆動力配分を行う
    駆動力配分調整手段と、切替えスイッチ等により選択さ
    れた駆動モードを検出する駆動モード検出手段と、少な
    くとも前記駆動モード検出手段からの駆動モード検出値
    に基づいて、当該主副駆動輪間の駆動力配分を設定し、
    且つ当該設定値に応じた制御信号を前記駆動力配分調整
    手段に出力する駆動力配分制御手段とを備えた車両の四
    輪駆動制御装置において、 主副駆動輪の回転状態を検出する主副駆動輪回転状態検
    出手段を備えるとともに、前記駆動力配分制御手段は、
    前記主副駆動輪回転状態検出手段により主駆動輪が回転
    し、且つ副駆動輪が停止していることが検出された場合
    に、当該主副駆動輪間の駆動力配分を1:0に設定する
    四輪駆動状態禁止手段を備えたものであることを特徴と
    する車両の四輪駆動制御装置。
  2. 【請求項2】 車両の前後輪のいずれか一方を主駆動輪
    とし、他方を副駆動輪として、制御信号に応じて当該主
    駆動輪および副駆動輪への機関からの駆動力配分を行う
    駆動力配分調整手段と、主駆動輪の回転速度を検出する
    主駆動輪回転速度検出手段と、副駆動輪の回転速度を検
    出する副駆動輪回転速度検出手段と、前記主駆動輪回転
    速度検出手段からの主駆動輪回転速度検出値と副駆動輪
    回転速度検出手段からの副駆動輪回転速度検出値とに応
    じて、当該主副駆動輪間の駆動力配分を設定し、且つ当
    該設定値に応じた制御信号を前記駆動力配分調整手段に
    出力する駆動力配分制御手段とを備えた車両の四輪駆動
    制御装置において、 前記駆動力配分制御手段は、前記主駆動輪回転速度検出
    手段により主駆動輪が回転していることが検出され、且
    つ前記副駆動輪回転速度検出手段により副駆動輪が停止
    していることが検出された場合に、当該主副駆動輪間の
    駆動力配分を1:0に設定する四輪駆動状態禁止手段を
    備えたものであることを特徴とする車両の四輪駆動制御
    装置。
JP22647294A 1994-09-21 1994-09-21 車両の四輪駆動制御装置 Pending JPH0891088A (ja)

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US08/531,441 US5813490A (en) 1994-09-21 1995-09-21 Four Wheel drive system for automotive vehicle
KR1019950031261A KR0134200B1 (ko) 1994-09-21 1995-09-21 차량용 사륜 구동 시스템
US09/064,818 US6070685A (en) 1994-09-21 1998-04-23 Four wheel drive system for automotive vehicle

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102251702B1 (ko) * 2020-02-18 2021-05-14 현대위아(주) 사륜구동 차량용 디스커넥터장치의 제어방법 및 시스템
US11945303B1 (en) 2022-09-15 2024-04-02 Hyundai Motor Company Method of controlling disconnector for vehicle

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