JP3275080B2 - 吸上式加熱蒸散装置用加熱蒸散体 - Google Patents

吸上式加熱蒸散装置用加熱蒸散体

Info

Publication number
JP3275080B2
JP3275080B2 JP25274991A JP25274991A JP3275080B2 JP 3275080 B2 JP3275080 B2 JP 3275080B2 JP 25274991 A JP25274991 A JP 25274991A JP 25274991 A JP25274991 A JP 25274991A JP 3275080 B2 JP3275080 B2 JP 3275080B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heat
powder
evaporator
heated
heating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP25274991A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0558806A (ja
Inventor
浩司 石田
浩行 市川
志延 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fumakilla Ltd
Original Assignee
Fumakilla Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=17241751&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP3275080(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Fumakilla Ltd filed Critical Fumakilla Ltd
Priority to JP25274991A priority Critical patent/JP3275080B2/ja
Publication of JPH0558806A publication Critical patent/JPH0558806A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3275080B2 publication Critical patent/JP3275080B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加熱蒸散体、より詳し
くは、殺虫、殺菌、消臭、芳香等を目的として、薬液を
吸液させると共に、上部を加熱することにより吸液され
た薬液を蒸散させる吸上式加熱蒸散装置に用いられる加
熱蒸散体に関する。
【0002】
【従来の技術】殺虫液中に加熱蒸散体の一部を浸漬する
ことにより該加熱蒸散体に殺虫液を吸液すると共に、そ
の上部を加熱することにより吸液された殺虫液を蒸散さ
せる方式の加熱蒸散殺虫方法は古くから知られている。
例えば、実公昭43−25081号公報には直接加熱に
よる方式が記載されているが、直接加熱による場合には
薬剤の分解が激しいため、一般には間接加熱による方式
が採用される傾向にある。間接加熱による方式として
は、加熱蒸散体と発熱体との間にフェルト等を介在させ
て加熱する方法が実公昭36−12459号公報、実公
昭46−22585号公報に記載され、また、加熱蒸散
体と発熱体とを一定間隔で離間して加熱する方法が実公
昭43−26274号公報、実公昭44−8361号公
報、実公昭45−14913号公報、実公昭45−19
801号公報、実公昭45−29244号公報、特公昭
61−23163号公報、特開昭60−161902号
公報等に記載されている。また、特公昭61−2316
3号公報には、殺虫剤としてアレスリン又はその異性体
を用い、これを特定の沸点範囲の炭化水素系溶剤に溶解
した殺虫液を用いると共に、加熱蒸散体として、磁器多
孔質、グラスファイバー、石綿から選択される無機繊維
を石膏及び/又はベントナイトで固めたもの、並びにカ
オリン、タルク、ケイソウ土、パーライト、ベントナイ
ト、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ及びチタニウム
から選択される無機粉体をデンプンで固めたものからな
る加熱蒸散体を用いることが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記した加熱蒸散体を
利用する加熱蒸散方法の場合、上記多孔質加熱蒸散体が
従来一般にフェルト、不織布、石綿等により製作されて
いたため、吸液速度が比較的に速く、加熱蒸散体が加熱
されるにつれて、薬液中の溶剤のみが蒸散し薬剤が充分
に蒸散され難くなったり、また薬剤の熱分解によって生
成される高沸点物質や溶剤中に含有されている高沸点物
質等によって加熱蒸散体に目詰りが生じ易くなることか
ら、長期に亘って安定した蒸散を持続させることが困難
であった。
【0004】従って、加熱蒸散体加熱方法による加熱蒸
散方法においては、一般に無機粉体から成形された加熱
蒸散体が用いられており、また、このような加熱蒸散体
を製造する方法としては、無機粉体とデンプン、半合成
品のセルロース誘導体、カルボキシメチルセルロース
(CMC)等のバインダーを水又は熱水とともに練合
し、押出成形する方法が一般に用いられている(前掲特
公昭61−23163号公報参照)。
【0005】しかしながら、これら各種材料を練合し、
押出成形する方法においては、加熱蒸散体の品質の安定
化のために、その製造工程において複雑な品質管理を必
要とする。すなわち、このような方法によって得られる
加熱蒸散体は、押出成形時、あるいはその後の乾燥工程
において、加熱蒸散体の表面にひび割れや傷又は曲がり
が発生し易く、その部分に歪が発生し、折れ強度の低下
を招くため、製造時や使用時の加熱蒸散体の折れによる
生産性、商品性の低下を招く。また、このような加熱蒸
散体を使用した場合、加熱蒸散時に傷、ひび割れ、曲が
り等の有る部分で温度ムラが発生し、これにより安定し
た薬剤蒸散が得にくいという重大な問題が生ずる。さら
に、乾燥工程において加熱蒸散体に不均質な収縮が発生
し、その径は不安定になり易く、加熱蒸散体と容器との
嵌合部に隙間が生じ、液洩れ等を完全に回避することは
できないという問題も起って来る。また早急な乾燥を行
なうと、加熱蒸散体内部に中ワレや、あるいは、加熱蒸
散体のそりが発生するために、それを防止するために長
時間に亘る乾燥時間が必要となり、生産性を向上するこ
とが困難であった。
【0006】更に、CMC、でんぷん等をバインダーと
して無機粉末と共に練合し押し出し成形して成る加熱蒸
散体の内部構造は、無機粉末がバインダーによりその粒
子間の接触面のみで結着し、結着したバインダーと粒子
間にすきまが形成され、これが細孔になっている。この
細孔に毛細管現象にて薬液が供給され、加熱蒸散が行な
われている。加熱使用時において、特に加熱蒸散体の被
加熱部において、この細孔を形成している成分であるバ
インダーが長時間薬液吸上げ状態で加熱されると、バイ
ンダーの劣化を生じ、これが薬剤の蒸散や薬剤の熱分
解、重合等に影響し、細孔の目づまりを引き起こし、長
期間に亘って安定した薬剤蒸散が得られないという問題
が発生していた。
【0007】一方強度を向上させるには、バインダーの
増量が必要であり、バインダーを増量すると、粒子間の
すきまがバインダーで詰まり、多孔性を失うといった欠
点をも有していた。
【0008】また、デンプン、CMC等のバインダー
は、環境の湿度により固化状態が変化する。すなわち、
高湿時には、これらの水溶性高分子が水分を含んでしま
うことにより軟化し、加熱蒸散体の強度を損なったり、
できあがりの加熱蒸散体の寸法安定性を阻害していた。
【0009】一方、まがり等の問題が生じにくい成形方
法として、無機粉末及び/又は有機粉末をバインダーと
共に圧縮成形してなる加熱蒸散体が挙げられるが、その
圧縮工程において、液体と異なり、これら粉体の流動特
性として圧力の不均一伝達が生じ易いことが知られてい
る。従って加熱蒸散体内部の構造が不均質になる傾向が
ある。また圧縮成形では、一般的に、その成形工程にお
いて、キャッピング(Capping)、スティッキン
グ(Sticking)、ラミネーション(Lamin
ation)、ダイフラクション(Die fract
ion)等の圧縮成形体の表面及び表層部の剥離や傷、
割れ、欠けといった現象を生じ易い。これらの問題によ
り、圧縮成形によっても安定した品質の加熱蒸散体を生
産効率良く製造するまでには至っていない。
【0010】従って、本発明の目的は、上記のような問
題を解消し、表面のひび割れや傷、曲がり等がなく、強
度、寸法安定性及び成形性に優れ、製造時や使用時の破
損等によるロスが極力低減された一定の品質の加熱蒸散
体を生産性よく提供することにある。さらに本発明の目
的は、加熱使用時に目詰りが殆ど発生せず、長時間に亘
って充分な薬剤を有効に蒸散できる安定した品質の加熱
蒸散体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の加熱蒸散体は、
薬液中に加熱蒸散体の一部を浸漬してそれに薬液を吸液
させると共に、該蒸散体の上部を加熱することにより吸
液された薬液を蒸散させる加熱蒸散方法に用いる加熱蒸
散体であって、熱可塑性高分子樹脂粉末を単独或はその
他の有機粉末及び又は無機粉末、あるいは必要に応じて
他の添加剤と共に混合し、押出し成型、圧縮成型等の方
法により、加熱蒸散体を仮成形し、その時点或は時後に
於て、その熱可塑性樹脂粉末の融点付近において、熱可
塑性樹脂粉末のみを表面融着して成形するものであるこ
とを特徴としている。
【0012】
【作 用】本発明の加熱蒸散体は、熱可塑性高分子樹
脂粉末を単独或はその他の有機粉末及び又は無機粉末あ
るいは他の添加剤と共に混合し、押出し成型、圧縮成型
等の方法により、加熱蒸散体を仮成形し、その時点或は
時後に於て、その熱可塑性樹脂粉末の融点付近におい
て、表面融着させたものである。熱可塑性高分子樹脂粉
末は、その粉末の流動特性として、動摩擦係数が低いた
めに、流動性に優れており、押し出し成形時の成形性を
改善し、又圧縮成形時における押型壁との摩擦を低下さ
せることが可能となり圧力伝達の均一性を向上させ、ま
た、熱可塑性高分子樹脂粉末は滑性及び滑沢性にも優れ
ているため、前記の良好な流動性と相俟って成形時に発
生する加熱蒸散体表面及び表層の傷、ひび割れ、欠け、
剥離等が改善された、また寸法の安定した加熱蒸散体の
成形が可能である。即ち圧縮成形時又はその後に、目標
とする熱可塑性樹脂の融点近傍に加熱することにより、
表面融着させることができるため、多孔性を失うことな
く製品化することが可能となる。又、押し出し成型法に
よる場合も、成型助剤としてのバインダーの添加量を仮
成型出来る程度に迄減量し、乾燥後に使用されている熱
可塑性樹脂粉末の融点近傍に加熱する為により、当該樹
脂粉末表面の一部を隣接する粒子と熱融着成型させる事
が出来る為、多孔性を失うことなく製品化する事が可能
である。又バインダーを添加しないで押出し成型する方
法の場合、熱可塑性高分子樹脂粉末の融点付近に加熱
し、成形時の押し出し圧により粒子同志を密着させその
接触面のみにて融着させる事が出来る。
【0013】本発明の加熱蒸散体の内部構造は、粉末粒
子が密着し、粒子と粒子のすき間によって細孔が形成さ
れ、これを加熱によって、密接した粒子が接点にて一部
表面融着し、連続的な細孔が形成されている。このよう
な方法にて形成される細孔径は、粒子の形状、粒径及び
粒度分布によって左右される傾向にある。粒子の形状が
球状あるいはそれに近い形の場合、形成される細孔はそ
の粒子の粒径によって決定される。粒径が大きいと形成
される細孔も当然のことながら大きくなる。また粒度分
布の幅が広いと形成される細孔分布の幅も広くなる。粒
径を小さく、粒度分布の幅を小さくすると、その細孔は
小さく細孔分布の巾も狭くなる。加熱蒸散体の細孔が大
きいと、毛細管現象が円滑に行なわれず、薬剤の蒸散を
十分に行なえないだけでなく、液漏れを引き起こし易
い。また、細孔径が小さいと、加熱使用時に薬液の目づ
まりを引き起こしやすく、揮散不良の原因となる。そこ
で、粒子を分級し、粒径が均一化した粒度分布の粉末を
用いることにより、細孔分布が比較的そろった加熱蒸散
体が成形可能である。
【0014】本発明の加熱蒸散体は細孔分布の幅が狭い
ために、薬液の供給を常に一定にすることができ、安定
蒸散を得ることが可能となる。加熱蒸散体の細孔分布の
幅が広いと、薬液の供給ムラが加熱蒸散体内部に発生す
る。特に被加熱部では、供給ムラにより、部分的に蒸散
しやすい部分と蒸散しにくい部分が存在する事になる。
そこで蒸散しやすい部分の蒸散が促進されるために、薬
液中の溶剤と薬剤の蒸散のバランスが崩れ溶剤の蒸散率
が高くなり、薬剤の過多な蓄積が起り、これが薬剤の樹
脂化の原因となり、ひいては長期に亘る使用において、
目づまりを引き起こし、蒸散不良の原因となるわけであ
る。
【0015】本発明に於ては、耐熱性、耐薬剤性の良好
な熱可塑性高分子樹脂粉末を用いるので、加熱使用時に
その物性が変化しないため、長期加熱使用においても、
劣化が生じず、また前記したように、加熱蒸散体のまが
りがなく、かつ加熱蒸散体表面の傷、欠け、割れ等が改
善できるので、加熱蒸散体表面を均一に加熱出来るため
温度ムラが発生せず、適度な空隙率及び細孔分布が得ら
れるため長期の加熱使用において安定した蒸散を得るこ
とが可能となる。特に、任意の径の細孔分布を有する加
熱蒸散体の調製が可能であり、薬剤に対して安定な熱可
塑性高分子樹脂を多量に使用して居り且薬剤に対して悪
影響を与えるバインダーを非使用乃至少量しか使用して
いない為、高濃度の薬剤を用いた場合でも、安定した蒸
散を得ることが可能となる。そして加熱蒸散体に薬剤を
供給させ得る必要最小限の溶剤で、加熱蒸散体の目づま
りなしに長期間に亘る加熱蒸散が可能となり、薬液容器
の小型化も可能となる。更には溶剤を使用せず、加熱蒸
散体に薬剤を担持させ薬液容器を省略することも可能と
なる。
【0016】本発明の加熱蒸散体の成形方法を用いるこ
とにより、加熱蒸散体の細孔を任意に調整することが可
能になる。すなわち、前記したように、本発明の加熱蒸
散体に用いる粉末が、球状あるいはそれに近い形状であ
る場合形成される細孔は、その粉末の粒径及び粒度分布
によって決定される傾向にあるため、それらの調整よ
り、任意の細孔径及び細孔分布を有する加熱蒸散体を調
整することが可能となり、ひいては揮散量を調整するこ
とが可能となる。
【0017】また、熱可塑性高分子樹脂粉末が密着した
状態でその接触部分が融着しているので、多孔性を失う
ことなく、折れ強度の向上が得られる。更に、熱可塑性
樹脂粉末は、耐水性及び耐湿性にも優れているので、高
湿時においても強度低下を示さないため、一般的使用の
環境下においても一定の強度を保つ安定した品質の加熱
蒸散体の成形が可能である。また、溶剤を水とした消臭
剤、防菌防黴剤、殺虫剤、香料等の水溶性や乳化した薬
液を蒸散することが可能となる。このように水ベースの
薬液を用いることが可能なので、加熱使用時における火
災に対する危険性を回避し安全性を向上できる。
【0018】また、折れ強度の向上は、加熱蒸散体と中
栓及び容器との嵌合時での加熱蒸散体の折れを排除し、
生産性を一段と向上することが可能となる。また、実際
の使用時には、ボトルの落下時、器具装着時、あるいは
誤使用等による折れが低減され、商品性の向上にもつな
がる。また、加熱蒸散体の押出し圧縮成形による製造工
程においては長時間の乾燥工程を必要としないため又、
バインダーを添加する押出し成形法でもバインダーの添
加量が少ない為、短時間で乾燥工程で製造が可能となり
加熱蒸散体の製造能力を向上することが可能となる。そ
して、本発明の加熱蒸散体は、寸法安定性が良好である
ため、使用時の液洩れを低減することができる。すなわ
ち、使用時の液洩れとは加熱蒸散体内部の液の流通によ
るものと、加熱蒸散体と容器の隙間によるものに分別す
ることができるが、寸法安定性の良好な加熱蒸散体は、
容器との隙間を少なくしたきつめの嵌合が可能になるた
め、液洩れを低減することができるのである。また、こ
のようなきつめの嵌合が可能になると、加熱蒸散体をボ
トルから抜き取ろうとすると多大な力が要求され、加熱
蒸散体がボトルから容易にはずれないため、落下等の不
慮の事故により液こぼれを防止でき、さらに、乳幼児で
は抜き取ることができない安定した嵌合が可能となり、
チャイルドプルーフ性をも付与することができる。そし
て、必要に応じて、加熱蒸散体の表面及び表層部に研削
及び/又は研磨加工を施すことにより、更に加熱蒸散体
の寸法安定性の向上が期待できる。
【0019】また必要に応じ、加熱蒸散体とボトル又は
中栓とを部分的に融着させることにより、密着性を向上
させ、更に嵌合力を強化することが可能となる。すなわ
ち、本発明の加熱蒸散体は、熱可塑性高分子樹脂を含有
してなり、一般にボトル及び中栓も高分子樹脂からなっ
ているため融着が可能となる。以上の効果から液もれ及
び抜け防止等を更に改善でき、チャイルドプルーフ性を
更に向上できる。そして、融着の方法としては、加熱蒸
散体と中栓及びボトルとの嵌合時の嵌合部の部分加熱及
び又は超音波照射による融着等の手法が考えられる。
【0020】また必要に応じて加熱蒸散体の薬液浸漬部
を他の部材に取り替えることにより加熱蒸散体の生産性
を更に向上することが可能となる。ここで用いる薬液浸
漬部材としては、多孔質状、繊維状、パイプ状、われ目
状等の吸油性を有する部材であればよい。材質としては
高分子樹脂、フェルト、不織布、紙等が例示できる。特
に高分子樹脂を用いれば、加熱蒸散体の被加熱部材と薬
液浸漬部材の嵌合に熱融着、超音波融着等の手法を用い
ることができるので好ましい。そして加熱蒸散体の形状
は、例えば圧縮成形法に於ては必要に応じて成形型を選
択することによりいかなる形状の物も成形可能である。
その具体例として特願平3−20507に例示してある
ものが挙げられる。
【0021】本発明に供する熱可塑性樹脂粉末として
は、PTFE(四弗化エチレン)・PVdF(弗化ビニ
リデン)等の弗素系樹脂、ポリアセタール、ポリアリレ
ート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロ
ン6・ナイロン66・ナイロン11・ナイロン12・芳
香族ナイロンやそれらの共重合物等のポリアミド、ポリ
イミド、ポリアミドイミド、ポリサルホン・ポリエーテ
ルサルホン等のポリサルホン系樹脂、ポリフェニレンエ
ーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリブチレンテ
レフタレート、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、
AES樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂等が例
示できるが、耐熱性、耐薬品性の点でフッ素系樹脂、ポ
リアミド、ポリフェニレンサルファイド等が好ましく、
さらには、使用薬液、使用温度に応じて選択される。粉
末の粒子形状は押出し成形性圧縮成形性及び細孔形成性
のためには、球状あるいはそれに近い形状であることが
好ましいが限定されるものではない。表面融着時の温度
は、用いる熱可塑性高分子樹脂粉末の種類により異な
り、それらの融点近傍に加熱させることが好ましい。ま
た2種以上の融点の異なる熱可塑性高分子樹脂粉末を用
いることも可能である。この場合融点の低い樹脂粉末に
対応して表面融着させることが好ましい。
【0022】これら加熱方法としては、電気加熱、赤外
線加熱、超音波融着や振動融着等の摩擦加熱等が利用で
きる。そして粒径は、細孔形成性の点で、300μm以
下、好ましくは1μm〜100μm程度のものがよい
が、特に限定されない。また圧縮成形時における結着
性、賦形性、薬液の吸上性等を改善させるために、リン
酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、メタケイ酸アル
ミン酸マグネシウム、ヒドロタルシド、水酸化アルミニ
ウムゲル、水酸化アルミナ・マグネシウム、炭酸カルシ
ウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、無水
ケイ酸、クレー、ケイソウ土、カオリン、コロイダルシ
リカ、水ガラス、リン酸アルミニウム、リン酸マグネシ
ウム、石こう、マグネシアセメント等の無機粉末や、結
晶セルロース、CMC、MC、でんぷん、HPMC、H
PC、HPS等の有機粉末を添加することもできる。
【0023】また圧縮成形時及び押出し成形時の粉末の
流動性や滑性・滑沢性を更に向上させるために、加熱蒸
散体の特性を損わぬ範囲で必要に応じて滑剤滑沢剤とし
て、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸
ナトリウム等のステアリン酸塩、N−ラウリル−DL−
アスパラギン酸−β−ラウリルエステルやNε−ラウロ
イル−L−リジン等のアミンノ酸系滑沢剤やホウ酸、流
動パラフィン、安息香酸ナトリウム、カルボワックス等
のワックス類等を添加することもできる。また、加熱蒸
散体の強度向上、吸上性の向上のために、ガラス繊維、
カーボン繊維等の繊維状粉体を添加することもできる。
なお、加熱蒸散体には、その特性を損なわない範囲で必
要に応じて顔料、色素、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸
収剤、難燃剤、誤食防止剤等の添加剤を配合してもよ
い。
【0024】成形時、表面融着時あるいは研削時やカッ
ト工程等の製造工程時の摩擦や加熱による樹脂の熱劣化
を最小限にするため、加熱をゆるやかに行うことや不活
性ガスに置換することや、粉体中に酸化防止剤を添加す
る等の手法が考えられる。中でも酸化防止剤を添加する
手法は、製造性を考慮すると、簡便である。添加できる
酸化防止剤としては、加熱時に分解や揮散せず、通常の
高分子樹脂に添加するものを用いることができる。例え
ば、アリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート、2,2′−メチレン
−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、
2,2′−メチレン−ビス(2−メチル−6−t−ブチ
ルフェノール)、4,4′−メチレン−ビス(2−メチ
ル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−メチレン
−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,
4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチル
フェノール)、4,4′−チオビス(3−メチル−6−
t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−
2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシベンジル)ベンゼン、1,1,3−トリス−
(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)ブタン、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタ
ン、2−メルカプトベンズイミダゾール、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、フェニル
−β−ナフチルアミン、N,N−ジフェニル−p−フェ
ニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジ
ヒドロキノリンポリマー、6−エトキシ−2,2,4−
トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、2−t−ブチ
ル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチ
ルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、3,
5−ジ−t−ブチル4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフ
ォネート−ジエチルエステル、ビス(3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カ
ルシウム:ポリエチレンワックス、トリス[2−
(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシヒド
ロ−シンナモイルオキシル)エチル]イソシアヌレー
ト、トリス−(4−t−ブチル−2,6−ジメチル−3
−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、3,9−ビ
ス[1,1−ジ−メチル−2−{β−(3−t−ブチル
−4−ヒドロキシ−5−メチル−フェニル)プロピオニ
ルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオキザ
スピロ[5,5]ウンデカン、ジトリデシル−3,3′
−チオジプロピオネート、ジミリスチルー3,3′−チ
オジプロピオネート、ジステアリル−3,3′−チオジ
プロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−
(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビ
ス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート]、N、N′−ヘキサメチレン
ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒド
ロシンナマミド)、2,2−チオ−ジエチレンビス[3
−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート]、N、N′−ビス[3−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ニル]ヒドラジン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート及び
2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒド
ロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,
5−トリアジンなどの化合物が挙げられる。これらの化
合物は、単独でも、また2種類以上を組み合わせても混
合使用することもできる。
【0025】上記酸化防止剤を粉体中に添加して加熱蒸
散体を成形することにより加熱による樹脂の劣化を防止
し、より安定した品質の加熱蒸散体が成形可能である。
また酸化防止剤は、加熱使用時における薬剤の劣化や重
合等を防止する効果も発現するため、より安定した蒸散
が得られる。また薬液中に添加しても同様の効果が期待
できる。
【0026】また、過酸化物分解剤と一般に呼ばれる酸
化防止剤、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート
(DLTP)やジステアリルチオジプロピオネ−ト(D
STP)等を、前記酸化防止剤と組み合わせて、混合使
用することもできる。さらに、安定剤として紫外線吸収
剤を用いることにより、保管時、使用時の耐光性を一段
と向上させることができる。
【0027】本発明の加熱蒸散体は微多孔質のものであ
って、主として繊維状物からなる加熱蒸散体に比べて薬
液の吸液量がかなり少なく、従って長期間に亘って使用
される加熱蒸散体として適当である。また、特開昭63
−74440号公報中に開示されている様に多孔質加熱
蒸散体内の空隙率を20〜50%、好ましくは25〜4
5%にすることにより液洩れの低減と長期間にわたる安
定した薬液の蒸散をさらに向上させることができる。す
なわち、前述のように液漏れとは、加熱蒸散体内部の液
の流通によるものと、加熱蒸散体と容器の隙間によるも
のに分別することができるが、空隙率を50%以下好ま
しくは45%以下とすることで、加熱蒸散体内部の過剰
な液の流通を抑制することができ、液漏れを低減するこ
とができるのである。また加熱蒸散装置に用いる加熱蒸
散体として長期間にわたる安定した薬液の蒸散を確保す
るためには、20%以上好ましくは25%以上の空隙率
が必要である。
【0028】本発明の加熱蒸散体は、殺虫、殺菌、消
臭、芳香等を目的として、各種殺虫剤、殺菌剤、消臭
剤、香料等の薬剤を加熱蒸散させる吸上式加熱蒸散装置
の加熱蒸散体として好適に用いることができる。本発明
の加熱蒸散体を用いるのに適した装置の一例を図1に示
す。図中、1は薬液2を入れた容器であり、該容器1は
収納容器3内に係脱自在に収納、保持されている。収納
容器3の上部は開放されており、この開放部に環状(あ
るいは一対の半環状)の発熱体4が固着されている。5
は発熱体4に接続されたコードである。容器1の口部6
には保持部材(中栓)7が装着され、この中栓7の中央
孔に加熱蒸散体8が、その上部が環状発熱体4の中心部
に配設されるように保持されている。図示するものは本
発明の加熱蒸散体を用いるのに好適な装置の一例である
が、これに限らず、各種形状の装置を用いることができ
ることは言うまでもない。
【0029】図2及び図3は本発明に係る加熱蒸散体の
他の態様を示し、加熱蒸散体下部の薬液浸漬部が他の材
料が置き換えられた態様を示す。図2に示す態様の場
合、加熱蒸散体9の一方に薬液浸漬部10を嵌着させた
状態で中栓7の凹部に嵌合されている。図3に示す態様
の場合、加熱蒸散体11の両端に嵌合孔を設けその一方
に薬液浸漬部10を嵌着させた状態で中栓7の凹部に嵌
合されている。
【0030】上記容器1に収容する薬液としては、目的
に応じて有効成分として殺虫剤、防虫剤、忌避剤、防カ
ビ剤、殺菌剤、消臭剤、芳香剤等を適当な溶剤、例えば
脂肪族炭化水素、アルコール、水等に溶解したものが用
いられる。上記装置を加熱蒸散殺虫装置として用いる場
合には、容器1に殺虫液を入れ、発熱体4に通電し、加
熱蒸散体8を加熱するが、その表面温度は殺虫剤の種類
に応じて適宜決められるが、一般的には約50〜150
℃にする事が好ましい。加熱温度が高すぎると、薬剤の
熱分解や重合が生じ易く蒸散有効成分量が低くなるとい
う問題があり、またこの結果生成される高沸点物質等の
加熱蒸散体内への蓄積及びそれによる目詰りを起こし易
くなるので好ましくない。上記殺虫液としては、例えば
各種殺虫剤を脂肪族炭化水素系溶剤中に溶解した溶液が
使用可能であるが、不飽和の脂肪族炭化水素単独では異
臭が有るので好ましくなく、脂肪族飽和炭化水素が最適
である。但し、上記不都合を生じない量的割合で不飽和
の脂肪族炭化水素を含有することは差し支えない。本発
明において使用し得る市販の脂肪族飽和炭化水素系溶剤
としては、例えば0号ソルベントH(日本石油株式会社
製)、0号ソルベントM(日本石油株式会社製)、ノル
マルパラフィン(三石・テキサコケミカル株式会社
製)、IPソルベント2028(出光石油化学株式会社
製)などが挙げられる。その他水、アルコール類、エチ
レングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエー
テル類やグリコール類これらの混合物も用いることがで
きる。
【0031】本発明で用いられる殺虫剤としては、従来
より用いられている各種蒸散性殺虫剤を用いることがで
き、ピレスロイド系殺虫剤、カーバメイト系殺虫剤、有
機リン系殺虫剤等を挙げることができる。一般に安全性
が高いことからピレスロイド系殺虫剤が好適に用いら
れ、例えばアレスリン、d1・d−T80−アレスリ
ン、d・d−T80−アレスリン、d・d−T80−プ
ラレトリン、フタルスリン、d−T80−レスメトリ
ン、d−T80−フラメトリン、ペルメトリン、フェノ
トリン、フェンバレレート、シペルメトリン、シフェノ
トリン、エムペントリン、テラレスリン、エトフェンプ
ロックス、ベンフルスリン等従来公知の各種ピレスロイ
ド系殺虫剤を用いることができる。また、殺虫液中の有
効殺虫成分の濃度は高くてもよいが通常10重量%以下
で用いられる。殺蚊を例にとれば、d1・d−T80−
アレスリン(商品名ピナミンフォルテ:住友化学工業
(株)製)では1.5mg/hr以上、dl・d−T−
アレスリン(商品名:バイオアレスリン・ルセル・ユー
クラフ社製)では1.2mg/hr以上d・d−T80
−アレスリン(商品名エキスリン:住友化学工業(株)
製)では0.6mg/hr以上、d・d−T80−プラ
レトリン(商品名エトック:住友化学工業(株)製)で
は0.3mg/hr以上の蒸散量で充分な殺蚊効果を発
現する。
【0032】また同様に、芳香を目的として使用する場
合には、天然及び人口の各種香料を用いることができ、
例えば動物性、植物性の天然香料、炭化水素、アルコー
ル、フェノール、アルデヒド、ケトン、ラクトン、オキ
シド、エステル類等の人工香料などであり、これらの1
種を単独で使用できる他、2種以上を混合して使用する
こともできる。さらに、目的に応じて消臭剤、殺菌剤、
忌避剤等の各種薬剤についても、加熱により蒸散する薬
剤であれば使用できる。尚、上記薬液中には香料等のマ
スキング剤を配合することもできる。
【0033】
【実 施 例】以下、実施例を示して本発明について具
体的に説明する。 実施例1〜13 下記表−1に示す処方の成分について混合し、実施例
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、1
2、13についてはプレス機にて100〜300cm2
/kgのプレス圧にて圧縮成形後、下記表−2に示す温
度条件下に10〜30分加熱し、直径7.0mm長さ7
0mmのサンプルを作製した。なお10、11、12、
13については下記表3に示す酸化防止剤を添加混合
し、同様の条件にてサンプルを作製し、それぞれ、10
−2グループ、11−2グループ、12−2グループ、
13−2グループとした。実施例6、7については、下
記表−2の温度条件に設定した押し出し成形機にて直径
7.0mm、長さ70mmのサンプルを作製した。実施
例8、9については、水と共に混合し、押し出し成形
後、乾燥させ、その後下記表−2の温度条件下に10〜
30分加熱し、直径7.0mm長さ70mmのサンプル
を作製した。なお、下記表−3に示す酸化防止剤を添加
混合したものも、同様の条件で作製し、それぞれ8−2
グループ、9−2グループとした。
【0034】比較例1〜5 下記表−4に示す処方の成分を水又は熱水と共に混合し
て、押し出し成形後乾燥させて直径7.0mm、長さ7
0mmのサンプルを作製した。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】AA:トリエチレングリコール−ビス[3
−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート] AB:ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート AC:2,2´−メチレン−ビス(4−メチル−6−t
−ブチルフェノール) AD:1.3.5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
ベンゼン AE:テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン AF:トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシベンジル)−イソシアヌレート AG:1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート] AH:N、N´−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)
【0039】
【表4】
【0040】試験例1−1(強度−耐湿性) 実施例1〜13及び比較例3〜5のサンプルについて2
4時間以上25℃75%R.H.及び25℃90%R.
H.の環境に放置し、加熱蒸散体の両端より各1cmを
平板で支持し、加熱蒸散体中央部に直交するように直径
1cm、長さ3cmの丸棒を配し、丸棒上部より加圧
し、加熱蒸散体が折れる直前の強度をそれぞれ測定し、
25℃75%R.H.の強度に対する25℃90%R.
H.の強度の割合(百分率)を求めた。その結果を表−
5に示す。
【0041】
【表5】
【0042】以上のように、実施例のような熱可塑性樹
脂粉末を焼結して成る加熱蒸散体は、環境の変化による
強度の変化が見られず、たえず品質が安定していること
がわかる。
【0043】試験例1−2(強度−耐水性) 実施例4、5、6、9、10、13及び比較例3〜5の
サンプルについて24時間以上25℃75%R.H.及
び水中に放置し、試験例1−1と同様の手法にてそれぞ
れの強度を測定し、25℃75%R.H.の強度に対す
る水中へ放置後の強度の割合を求めた。その結果を表−
6に示す。
【0044】
【表6】
【0045】以上の実施例のように熱可塑性高分子樹脂
粉末を表面融着して成る加熱蒸散体は、水中に放置して
も、水による強度低下をほとんど示さず、水性の殺虫液
に対しても安定した品質を確保することが可能である。
これに対して、比較例は、水中に放置すると形状を保つ
ことができず、水溶性や乳化した水性の殺虫液等の薬液
を用いることはできない。また、アルコール類、グリコ
ール類、グリコールエーテル類等の溶剤を用いることも
困難である。
【0046】試験例2(蒸散試験) 図面に示す加熱蒸散器に実施例4、5、8〜13、8−
2〜13−2及び比較例4〜5の加熱蒸散体をセットし
た。 1)容器内の内容液は、実施例4、5、8〜13及び比
較例4〜5については、表−7に示す殺虫剤を含有する
炭素数14〜17の混合脂肪族飽和炭化水素溶液80m
lで実施した。 2)実施例8−2〜13−2については、表−7に示す
殺虫剤を含有する炭素数14〜17の混合脂肪族飽和炭
化水素溶液100mlでも実施した。 発熱体に通電して上記加熱蒸散体の上側面部を120℃
となるように加熱し、各加熱時間当りの殺虫剤の蒸散量
を測定した。その結果を表8〜12に示す。なお、蒸散
量は次のようにして測定した。 蒸散量:蒸散蒸気を一定時間毎にシリカゲル充填カラム
で単位時間トラップした後、アセトンで抽出、濃縮後ガ
スクロマトグラフで定量分析した。
【0047】
【表7】
【0048】
【表8】
【0049】
【表9】
【0050】
【表10】
【0051】
【表11】
【0052】
【表12】
【0053】以上のように、本発明の熱可塑性高分子樹
脂粉末を焼結して成る加熱蒸散体は、酸化防止剤の添加
なしで、400hrの長期間に亘る加熱使用において
も、安定した蒸散が得られた。更に、酸化防止剤を添加
して成形した加熱蒸散体は、600hrの長期間に亘る
安定した蒸散が得られた。
【0054】
【発明の効果】以上のように、本発明の加熱蒸散体は、
熱可塑性高分子樹脂粉末を表面融着して成るものである
ため、以下のような結果・利点が得られる。 イ)表面に傷、ひび割れ等がなく芯径の安定した加熱蒸
散体を成形可能である。 ロ)短時間で加熱蒸散体を成形でき、生産性を一段と向
上できる。 ハ)環境の変化による強度の変化がなく、常に安定した
品質の加熱蒸散体を成形できる。 ニ)加熱使用時におけるバインダーの悪影響を排除し、
また加熱蒸散体の内部の細孔が均一であるため、常に安
定した薬液の供給が可能となり、長期間に亘る加熱使用
においても安定した蒸散が得られる。 ホ)耐水性が良好であるために、水溶性や乳化した溶剤
を用いた香料、消臭剤、防菌防黴剤、殺虫剤、薬液の蒸
散が可能となるため、使用できる溶剤の選択性を広めら
れる。 ヘ)加熱蒸散体と中栓を加熱、超音波照射等の手法によ
り融着させ嵌合力を強化できるためチャイルドプルーフ
性を更に向上できる。
【0055】
【図面の簡単な説明】
【図1】吸上式加熱蒸散の方法を実施するのに適した装
置の一具体例を示す縦断面図である。
【図2】本発明の加熱蒸散体の他の実施態様を容器に装
着した状態で示す縦断面図である。
【図3】本発明の加熱蒸散体のさらに他の実施態様を容
器に装着した状態で示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 容器、2 薬液、4 発熱体、7 保持部材(中
栓)、8,9,11 加熱蒸散体、10 薬液浸漬部
材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−39841(JP,A) 特開 昭63−74440(JP,A) 特開 平4−200336(JP,A) 特開 平4−237449(JP,A) 特開 平3−184553(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01N 25/18 103 A01M 1/20 A61L 9/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性高分子樹脂粉末粒子の一種又は
    二種以上の混合物をそれらの粉末粒子が密着した状態で
    粉末粒子表面の一部を相互に樹脂粉末の融点近傍の温度
    熱融着させ成型した事を特徴とする吸上式加熱蒸散装
    置用加熱蒸散体。
  2. 【請求項2】 熱可塑性高分子樹脂粉末粒子の一種又は
    二種以上と有機粉末及び/又は無機粉末とを混合し、粉
    末粒子が密着した状態で熱可塑性高分子樹脂粉末表面の
    一部を樹脂粉末の融点近傍の温度で隣接する粒子と熱融
    着させ成型した事を特徴とする吸上式加熱蒸散装置用加
    熱蒸散体。
  3. 【請求項3】 熱可塑性高分子樹脂粉末粒子の一種又は
    二種以上と有機粉末及び/又は無機粉末、並びに仮成形
    に資する程度の少量のバインダーとの混合物を加水混練
    押出し、乾燥後仮成型し、次いでこの仮成型物を加熱
    し、熱可塑性高分子樹脂粉末の表面の一部を隣接する粒
    子と樹脂粉末の融点近傍の温度で熱融着させ成型した事
    を特徴とする吸上式加熱蒸散装置用加熱蒸散体。
  4. 【請求項4】 熱可塑性高分子樹脂粉末粒子の二種以上
    の混合物が使用される場合は、融着は融点の低い樹脂粉
    末の方の融点近傍でなされる事を特徴とする請求項1、
    2、又は3項記載の吸上式加熱蒸散装置用加熱蒸散体。
JP25274991A 1991-09-05 1991-09-05 吸上式加熱蒸散装置用加熱蒸散体 Expired - Fee Related JP3275080B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25274991A JP3275080B2 (ja) 1991-09-05 1991-09-05 吸上式加熱蒸散装置用加熱蒸散体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25274991A JP3275080B2 (ja) 1991-09-05 1991-09-05 吸上式加熱蒸散装置用加熱蒸散体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0558806A JPH0558806A (ja) 1993-03-09
JP3275080B2 true JP3275080B2 (ja) 2002-04-15

Family

ID=17241751

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP25274991A Expired - Fee Related JP3275080B2 (ja) 1991-09-05 1991-09-05 吸上式加熱蒸散装置用加熱蒸散体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3275080B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE59812037D1 (de) * 1997-06-30 2004-11-04 Johnson & Son Inc S C Insektizid-enthaltende formulierungen
JP4232405B2 (ja) * 2002-07-31 2009-03-04 亮 川崎 3次元構造体の製造方法及び装置
US7138130B2 (en) * 2003-01-30 2006-11-21 S.C. Johnson & Son, Inc. Substrate for volatile delivery systems
US7157057B2 (en) * 2003-07-03 2007-01-02 Givaudan Sa Apparatus for positioning a wick in a dispenser for a volatile liquid

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0558806A (ja) 1993-03-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4968487A (en) Heat fumigation apparatus
JP3275080B2 (ja) 吸上式加熱蒸散装置用加熱蒸散体
DE3737272A1 (de) Mit erwaermung arbeitende begasungsvorrichtung
JP3308291B2 (ja) 加熱蒸散用薬剤含有体及びそれを用いた薬剤の加熱蒸散方法
JP3422825B2 (ja) 薬剤の加熱蒸散方法
JPH08310907A (ja) 加熱蒸散用水性殺虫剤および殺虫方法
JP2791918B2 (ja) 加熱蒸散用吸液芯
JP3274730B2 (ja) 長期間加熱蒸散用薬剤含有体及びそれを用いた薬剤の加熱蒸散方法
JP3032853B2 (ja) 吸液芯
JPH07316002A (ja) 加熱蒸散用水性薬剤及び加熱蒸散方法並びに加熱蒸散用水性薬剤の揮散性調整剤
JP2604219B2 (ja) 吸液芯並びに殺虫方法
JP2764819B2 (ja) 加熱蒸散方法並びにそれに用いる薬液組成物及び吸液芯
JPH04117303A (ja) 吸液芯およびその製造方法並びに薬剤蒸散方法
JP3209601B2 (ja) 長期間加熱蒸散用薬剤含有体及びそれを用いた薬剤の加熱蒸散方法
JP3475332B2 (ja) 長時間蒸散用薬剤蒸散体
JPH04237449A (ja) 加熱蒸散用吸液芯
JPH0768085B2 (ja) 加熱蒸散殺虫方法
JPH08205744A (ja) 薬剤加熱蒸散方法
JPS6363330A (ja) 加熱蒸散用吸液芯
JP2519629B2 (ja) 加熱蒸散型装置用容器
JP2729357B2 (ja) 吸液芯付容器、加熱蒸散型殺虫装置用キット及びこれらに用いる蒸散性持続化剤
JPH0517307A (ja) 薬剤蒸散体及びそれを用いた加熱蒸散装置
JP2691232B2 (ja) 吸液芯並びに薬剤蒸散方法
JPWO2018128124A1 (ja) 害虫防除製品、及び害虫防除方法
JPH0436137A (ja) 加熱蒸散用吸液芯

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090208

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100208

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100208

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110208

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees