JP3272810B2 - パネル建材のダクト構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、工業化住宅に設置され
る空調装置の空気を所定の居室に導くパネル建材のダク
ト構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来は、階段の裏や住宅の隅に設置され
た空調装置からの空気をダクトホースを介して住宅全体
の空調を行っていた。

【０００３】すなわち、空調装置からのダクトホースを
床パネル下側に這わせ、床パネルの面材に設けた孔から
ダクトホースを居室側に引き出して階上に導き、階上の
床部や天井部等に這わせて、ダクトホースの所定箇所の
開口から各部屋内に空気を吹出して住宅全体の空調を行
っていた。

【０００４】そして、床パネル面材の孔から居室側に引
き出され居室内に露出するダクトホースを隠すため、複
数の板体でダクトスペースを画成し、そのダクトスペー
ス内に床パネル面材の孔から引き出されたダクトホース
を格納するようにしていた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、前述したダク
ト構造では、住宅の階下から階上に至るダクトホースを
格納するダクトスペースを部屋の角部等に設けなければ
ならない。

【０００６】このダクトスペースは前述のように板体で
画成されており、その断面積は、ダクトホースを格納す
るためにダクトホースの径よりかなり大きめに設定され
ている。

【０００７】したがって、このダクトスペースによって
住宅の居住空間がその分だけ専有され、スペースが無駄
になる。また、このダクトスペースが部屋の内側に突出
するので邪魔になるという問題もあった。

【０００８】本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなさ
れたもので、その目的は、工業化住宅の居住空間を専有
せず、しかも容易かつ自由に空調経路を形成することが
できるパネル建材のダクト構造を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明は、方形状に枠組みされた枠材及び枠材の両
側面に貼り付けられた面材を有し床部上に立設される非
耐力の間仕切りパネルと、この間仕切りパネルの天井箇
所に接合される天井パネルとで形成され、空調装置の空
気を所定の居室に導くパネル建材のダクト構造であっ
て、前記間仕切りパネルは、前記枠材のうち下側に位置
される枠材に設けられ、前記空調装置からの空気をパネ
ル中空部に取り入れる下開口又は前記空調装置からの空
気を直接導入する側面開口と、前記面材の天井パネル取
り付け箇所近傍に設けられ、前記パネル中空部と連通す
る上開口とを備え、前記天井パネルは、階上の床パネル
の下方に間隔をおいて設けられ、かつ、下面が室内に臨
み、上面が天井裏に臨んで設けられると共に、前記間仕
切りパネルの上開口と連通する開口を間仕切りパネルの
接合側端部に有し、天井パネル内部を通って前記端部と
逆側の端部で開口する空気流通路を備えると共に、室内
の適宜の位置で室内側に空気を吹出す開口を備えること
を特徴としている。

【００１０】また、請求項２に記載の発明においては、
請求項１において、前記上開口と前記間仕切りパネルの
接合側端部の開口とをダクト管を介して連通し、このダ
クト管を、前記間仕切りパネルと天井パネルとの接合部
に取り付けられる意匠梁によって覆ったことを特徴とし
ている。

【００１１】

【作用】前記構成の請求項１の発明においては、空調装
置からの空気は、間仕切りパネルの下開口を介してパネ
ル中空部内に導かれ、パネル中空部内の空気は、上開口
から排出される。上開口から排出された空気は、上開口
に連通した天井パネルの開口から空気流通路内に至り、
天井パネルから居室に吹出される。

【００１２】すなわち、間仕切りパネルと天井パネル内
に空調経路が形成されているので、前述した従来例のよ
うに居室側にダクトスペースを設ける必要がなく、充分
な居室面積を確保することができる。

【００１３】さらに、非耐力の間仕切りパネルを利用し
ているので、開口等の孔を穿設しても建築構造上支障を
きたさず、しかも、間仕切りパネルを望むところに自由
に配置することができるので、この間仕切りパネルに取
り付けられる天井パネルの所望の箇所に孔を設ければ、
どのような場所でも空気を送ることができ、吹出したい
所で自由に空気を吹出すことができる。

【００１４】また、請求項２に記載の発明においては、
ダクト菅で間仕切りパネルの上開口と天井パネルの開口
とを連通させるので、間仕切りパネルの上開口と天井パ
ネルの開口とを長いダクト菅で連通することで、間仕切
りパネルから遠く離れた天井パネルに空気を自由に送出
することができる。さらに、ダクト菅が意匠梁で隠され
るので、居室内の見栄えが損われることはない。

【００１５】

【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。

【００１６】図１は、本発明の第一実施例に係るパネル
建材のダクト構造を示す断面図である。

【００１７】図１に示すように、基礎１上に床パネル１
０が敷設され、この基礎１によって床パネル１０が支持
されている。床パネル１０上には耐力用の壁パネル（図
示せず）の他、非耐力用の間仕切りパネル３０が立設さ
れ、この間仕切りパネル３０のひとつに隣接して階段１
００が配設され、この階段１００の裏側に空調装置１１
０が配置されている。そして、この空調装置１１０と隣
接した間仕切りパネル３０の側面に側面開口１１１が形
成され、この側面開口１１１に空調装置１１０からの空
気が直接間仕切りパネル３０内に導入されるようになっ
ている。

【００１８】また、空調装置１１０から離れた位置にあ
る間仕切りパネル３０側では、基礎１の所定箇所に、一
側方及び上方に開口する開口部２，３を有した箱形の切
り欠き部４を形成し、この切り欠き部４の底壁と内側壁
に、発泡スチロール製の板体５を貼り付け、開口部２に
発泡スチロール製の蓋６を取り付けている。そして、こ
の蓋６に、二点鎖線で示す階段１００の裏側に配置され
た空調装置１１０のダクトホース１１２の先端が取り付
けられ、空気Ａを切り欠き部４内に送出するようになっ
ている。この切り欠き部４を有する基礎１上の床パネル
１０は、方形状に枠組みされた枠材１１と枠材１１の上
面に貼り付けられた面材としての合板１２とで構成され
ており、その端面を接合させた状態で基礎１上に敷き込
まれており、この床パネル１０の継ぎ目であって、基礎
１の切り欠き部４と相応する箇所には、切り欠き部１５
が形成されている。

【００１９】切り欠き部１５は、図２に示すように、枠
材１１（１１−１）と合板１２とを上方から下方に断面
半円状に切り抜いて形成したもので、上下及び外方に開
口している。

【００２０】このような切り欠き部１５が形成された床
パネル１０（１０−１），１０（１０−２）が、図１に
示すように、互いの切り欠き部１５の外方開口を相対向
させた状態で、基礎１上に敷き込まれ、これにより、基
礎１の切り欠き部４と上方で連通する円筒状のダクト２
０が画成され、このダクト２０上に位置する間仕切りパ
ネル３０の下側に位置する枠材３１対応位置には、下開
口３２が形成され、この下開口３２より空調装置１１０
からの空気を間仕切りパネル３０内に導入されるように
なっている。

【００２１】さらに、前記各間仕切りパネル３０の上側
枠材３１には、パネル中空部３６と連通する開口３４が
穿設されている。そして、居室１２０側の合板３５であ
って、天井パネル４０の取り付け箇所には、一対の上開
口３７が形成されている。

【００２２】これにより、図１に示すように、間仕切り
パネル３０自体が、空調装置１００自体から直接、ある
いは基礎１の切り欠き部４に送出されダクト２０，下開
口３２を介して、パネル中空部３６内に至った空気を、
二階と天井パネル４０に送出することができるダクトと
して機能するようになっている。

【００２３】間仕切りパネル３０の上開口３７から空気
を受ける天井パネル４０は、図４に示すように、発泡ス
チロール製の板体４１の下に板幅方向に３本の角材４２
が等間隔で平行に取り付けられ、これらの角材４２の下
に木製の枠体４３が取り付けられ、この枠体４３の下面
に石膏ボード４４が貼り付けられて形成されている。こ
れにより、角材４２間に天井パネル４０の長さ方向両側
に開口４５ａ，４５ｂを有する空気流通路としての一対
のダクト４５が形成されている。

【００２４】すなわち、天井パネル４０は、一対のダク
ト４５の開口４５ａを間仕切りパネル３０の一対の上開
口３７に連通させた状態で居室１２０の天井部に取り付
けられている。このような天井パネル４０はその長さ方
向に複数連結され、図示しない外壁パネルによって支持
されている。なお、図１において、符号４６はダクト４
５内の空気Ａを居室１２０に吹出すための孔である。

【００２５】二階においても、図１に示すように、二階
床部に床パネル１０−１，１０−２と同構造の床パネル
５０−１，５０−２が敷き込まれて、間仕切りパネル３
０上の継ぎ目部分にダクト２０と同形のダクト５１が形
成され、ダクト５１が二階の間仕切りパネル６０の枠材
６１の下開口６２を介してパネル中空部６３に連通され
ている。

【００２６】そして、パネル中空部６３内の空気が間仕
切りパネル６０の図示しない上開口から二階の天井パネ
ルや天井部に送出されるようになっている。

【００２７】次に、本実施例の空調作用について説明す
る。

【００２８】空調装置１１０からの空気Ａは、図１の矢
印で示すように、空調装置１１０自体から直接間仕切り
パネル３０内へ、あるいはダクトホース１１２を介して
基礎１の切り欠き部４に送出される。

【００２９】そして、切り欠き部４内の空気Ａは、切り
欠き部４の上開口３に連通した床パネル１０のダクト２
０からダクト２０と連通した間仕切りパネル３０の下開
口３２を介してパネル中空部３６内に送出される。

【００３０】また、各間仕切りパネル３０のパネル中空
部３６内の空気Ａは、上方に押上げられ、上開口３７と
開口３４から排出される。

【００３１】上開口３７から排出された空気Ａは、上開
口３７と連通した開口４５ａから天井パネル４０のダク
ト４５内に至り、天井パネル４０の孔４６から居室１２
０に吹出される。

【００３２】一方、開口３４から排出された空気Ａは、
開口３４と連通した二階床パネル５０−１，５０−２で
画成されたダクト５１と二階間仕切りパネル６０の下開
口６２を介してパネル中空部６３内に送出され、間仕切
りパネル６０の図示しない上開口から二階の天井パネル
や天井部に送出される。

【００３３】このように、本実施例によれば、間仕切り
パネル３０と天井パネル４０のダクト３２，３６，３
７，４５を利用して空調経路を形成しているので、前述
した従来例のように居室側にダクトスペースを設ける必
要がなく、居室１２０に充分な居室面積を確保すること
ができる。

【００３４】また、本実施例においては、非耐力の間仕
切りパネル３０を利用しているので、開口３１，３２，
３７等の孔を穿設しても建築構造上支障をきたさず、し
かも、間仕切りパネル３０は望むところに自由に配置す
ることができるので、この間仕切りパネル３０に取り付
けられる天井パネル４０の所望の箇所に孔４６を設けれ
ば、どのような場所でも空気を送ることができ、吹出し
たい所で自由に空気を吹出すことができる。

【００３５】図５は、天井パネルの他の例を示す斜視図
である。

【００３６】天井パネル７０は、石膏ボード７１の上面
に等間隔で取り付けられた天井野縁材７２の間に、発泡
スチロール製のダクト７３を取り付け、ダクト７３の頭
を補強材７７で固定した構造となっている。

【００３７】具体的には、ダクト７３は、平板７４を天
井野縁材７２の上に取り付け、この平板７４に断面略コ
字状の半割り体７５を被せた構造になっている。

【００３８】この天井パネル７０も天井パネル４０と同
様に、一対のダクト７３の開口７３ａを間仕切りパネル
３０の一対の上開口３７に連通させた状態で居室１２０
の天井部に取り付けられる。

【００３９】図６は、発明の第二実施例に係るパネル建
材のダクト構造を示す断面図である。

【００４０】本実施例は、間仕切りパネル３０の一対の
上開口３７を天井パネル４０のダクト４５に直接連通さ
せずに、間仕切りパネル３０と天井パネル４０とをダク
ト管８０を介して接続し、このダクト管８０を意匠梁８
１で隠した点が前記第一実施例と異なる。

【００４１】すなわち、間仕切りパネル３０の上開口３
７は、天井パネル４０との接合部下側に取り付けらる意
匠梁８１の取り付け箇所に穿設され、天井パネル４０に
は石膏ボード４４を貫通する開口４５ａが穿設されてい
る。そして、上開口３７と開口４５ａとが所定長さのダ
クト管８０で連結され、ダクト管８０の外側に断面Ｌ字
状の意匠梁８１が被せられている。

【００４２】このように、ダクト管８０で間仕切りパネ
ル３０と天井パネル４０とを連通させる構造にすること
で、図７に示すように、間仕切りパネル３０−１の上開
口３７と、間仕切りパネル３０−３に接合された天井パ
ネル４０−３の開口４５ａとを長いダクト管８０で連通
することで、間仕切りパネル３０−１から遠く離れた天
井パネル４０−３に空気Ａを自由に送出することができ
る。そして、この長いダクト管８０が意匠梁８１で隠さ
れるので、居室内の見栄えが損われることはない。

【００４３】その他の構成、作用、効果は前記第一実施
例と同様であるので、その記載は省略する。

【００４４】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のパネル建
材のダクト構造においては、間仕切りパネルと天井パネ
ルとを利用して空調経路を形成しているので、前述した
従来例のように居室側にダクトスペースを設ける必要が
なく、居室に邪魔な突出部分が発生せず、充分な居室面
積を確保することができる。

【００４５】また、非耐力の間仕切りパネルを利用して
いるので、開口等の孔を穿設しても建築構造上支障をき
たさず、しかも、間仕切りパネルは望むところに自由に
配置することができるので、この間仕切りパネルに取り
付けられる天井パネルの所望の箇所に孔を設ければ、ど
のような場所でも空気を送ることができ、吹出したい所
で自由に空気を吹出すことができるという優れた効果が
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第一実施例に係る床パネルのダクト構
造を示す断面図である。

【図２】床パネルを示す斜視図である。

【図３】間仕切りパネルを一部破断して示す斜視図であ
る。

【図４】天井パネルを示す分解斜視図である。

【図５】天井パネルの他の例を示す斜視図である。

【図６】本発明の第二実施例に係るパネル建材のダクト
構造を示す断面図である。

【図７】ダクト菅の取り付け状態を一部破断して示す正
面図である。

【符号の説明】

３０ 間仕切りパネル ３１ 枠材 ３２，３４，３７，４５ａ，４５ｂ 開口 ３５ 面材 ３６ パネル中空部 ４０，７０ 天井パネル ４５，７３ ダクト ８０ ダクト管 ８１ 意匠梁 １１０ 空調装置 Ａ 空気

フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) F24F 13/02 E04B 2/74 541 E04B 5/48 E04F 17/04

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 方形状に枠組みされた枠材及び枠材の両
   側面に貼り付けられた面材を有し床部上に立設される非
   耐力の間仕切りパネルと、この間仕切りパネルの天井箇
   所に接合される天井パネルとで形成され、空調装置の空
   気を所定の居室に導くパネル建材のダクト構造であっ
   て、 前記間仕切りパネルは、 前記枠材のうち下側に位置される枠材に設けられ、前記
   空調装置からの空気をパネル中空部に取り入れる下開口
   又は前記空調装置からの空気を直接導入する側面開口
   と、 前記面材の天井パネル取り付け箇所近傍に設けられ、前
   記パネル中空部と連通する上開口とを備え、 前記天井パネルは、階上の床パネルの下方に間隔をおいて設けられ、かつ、
   下面が室内に臨み、上面が天井裏に臨んで設けられると
   共に、 前記間仕切りパネルの上開口と連通する開口を間仕切り
   パネルの接合側端部に有し、天井パネル内部を通って前
   記端部と逆側の端部で開口する空気流通路を備えると共
   に、室内の適宜の位置で室内側に空気を吹出す開口を備
   えることを特徴とするパネル建材のダクト構造。
2. 【請求項２】 請求項１において、 前記上開口と前記間仕切りパネルの接合側端部の開口と
   をダクト管を介して連通し、このダクト管を、前記間仕
   切りパネルと天井パネルとの接合部に取り付けられる意
   匠梁によって覆ったことを特徴とするパネル建材のダク
   ト構造。