JP3261761B2 - ポリフッ化ビニリデン多孔質膜の製造法 - Google Patents
ポリフッ化ビニリデン多孔質膜の製造法Info
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリフッ化ビニリデン
多孔質膜の製造法に関する。更に詳しくは、スキン層お
よびボイド層のない均質な多孔質膜を形成させる、ポリ
フッ化ビニリデン多孔質膜の製造法に関する。
多孔質膜の製造法に関する。更に詳しくは、スキン層お
よびボイド層のない均質な多孔質膜を形成させる、ポリ
フッ化ビニリデン多孔質膜の製造法に関する。
【０００２】
【従来の技術】従来提案されているポリフッ化ビニリデ
ン多孔質中空糸膜は、その殆んどが膜の内、外表面にス
キン層を形成し、また膜内部の断面層にはボイド層を存
在させるものである(特公平1-22003号公報)。しかる
に、このようなスキン層の存在は透過速度を減少させ、
またボイド層は機械的強度を低下させるので、いずれも
好ましいものではない。
ン多孔質中空糸膜は、その殆んどが膜の内、外表面にス
キン層を形成し、また膜内部の断面層にはボイド層を存
在させるものである(特公平1-22003号公報)。しかる
に、このようなスキン層の存在は透過速度を減少させ、
またボイド層は機械的強度を低下させるので、いずれも
好ましいものではない。
【０００３】一方、特開昭54-16382号公報には、実質的
に均質な孔を有するポリフッ化ビニリデン膜の製造方法
が開示されているが、その製膜原液の溶媒として必ずし
も溶解性の良くないアセトンを用いているため、樹脂を
溶解させるためにアセトンを沸点近く迄加熱する必要が
あり、このようにして調製された製膜原液は室温では不
安定でゲル化し易いなどの欠点がみられる。また、アセ
トンを溶媒とする製膜原液は粘度が低く、中空糸膜を形
成し得ないという問題もある。
に均質な孔を有するポリフッ化ビニリデン膜の製造方法
が開示されているが、その製膜原液の溶媒として必ずし
も溶解性の良くないアセトンを用いているため、樹脂を
溶解させるためにアセトンを沸点近く迄加熱する必要が
あり、このようにして調製された製膜原液は室温では不
安定でゲル化し易いなどの欠点がみられる。また、アセ
トンを溶媒とする製膜原液は粘度が低く、中空糸膜を形
成し得ないという問題もある。
【０００４】ポリフッ化ビニリデンを溶解する溶媒とし
ては、これ以外にも、ジメチルアセトアミド、ジメチル
ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチル-2-ピ
ロリドン、ヘキサメチルホスホルアミド、リン酸トリメ
チル、リン酸トリエチルなどが知られている。
ては、これ以外にも、ジメチルアセトアミド、ジメチル
ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチル-2-ピ
ロリドン、ヘキサメチルホスホルアミド、リン酸トリメ
チル、リン酸トリエチルなどが知られている。
【０００５】これらの各種溶媒を用いて製膜原液を調製
し、これをガラス板上に流延した後水凝固浴中に浸漬す
ると、リン酸トリエチル以外の溶媒を用いた場合には、
膜断面においてボイド層の形成が確認された。一方、リ
ン酸トリエチルを溶媒としたものは、ボイド層は形成さ
れず、断面すべてにスポンジ層の形成がみられた。しか
るに、すべての溶媒の場合に、膜表面にスキン層が形成
されており、このようなスキン層の形成は、溶媒の置換
速度が大きいことに起因していると考えられる。
し、これをガラス板上に流延した後水凝固浴中に浸漬す
ると、リン酸トリエチル以外の溶媒を用いた場合には、
膜断面においてボイド層の形成が確認された。一方、リ
ン酸トリエチルを溶媒としたものは、ボイド層は形成さ
れず、断面すべてにスポンジ層の形成がみられた。しか
るに、すべての溶媒の場合に、膜表面にスキン層が形成
されており、このようなスキン層の形成は、溶媒の置換
速度が大きいことに起因していると考えられる。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ボイ
ド層を形成させないポリフッ化ビニリデンのリン酸トリ
エチル溶液よりなる製膜原液を用いてポリフッ化ビニリ
デン多孔質膜を製造するに際し、膜表面にスキン層を形
成させず、またボイド層も形成させない均質な多孔質膜
の製造法を提供することにある。
ド層を形成させないポリフッ化ビニリデンのリン酸トリ
エチル溶液よりなる製膜原液を用いてポリフッ化ビニリ
デン多孔質膜を製造するに際し、膜表面にスキン層を形
成させず、またボイド層も形成させない均質な多孔質膜
の製造法を提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】かかる本発明の目的は、
ポリフッ化ビニリデンのリン酸トリエチル溶液よりなる
製膜原液を、 （１）基質上に流延し、リン酸トリエチルを６０〜８５
重量％含有するリン酸トリエチル−水凝固浴中に浸漬し
て、平膜状のポリフッ化ビニリデン多孔質膜を得る （２）リン酸トリエチルを６０〜８５重量％含有するリ
ン酸トリエチル−水芯液と共に、２重環状ノズルから吐
出させた後、リン酸トリエチルを６０〜８５重量％含有
するリン酸トリエチル−水凝固浴中に浸漬する乾湿式紡
糸法または湿式紡糸法により、中空糸状のポリフッ化ビ
ニリデン多孔質膜を得るいずれかの方法によって達成さ
れる。
ポリフッ化ビニリデンのリン酸トリエチル溶液よりなる
製膜原液を、 （１）基質上に流延し、リン酸トリエチルを６０〜８５
重量％含有するリン酸トリエチル−水凝固浴中に浸漬し
て、平膜状のポリフッ化ビニリデン多孔質膜を得る （２）リン酸トリエチルを６０〜８５重量％含有するリ
ン酸トリエチル−水芯液と共に、２重環状ノズルから吐
出させた後、リン酸トリエチルを６０〜８５重量％含有
するリン酸トリエチル−水凝固浴中に浸漬する乾湿式紡
糸法または湿式紡糸法により、中空糸状のポリフッ化ビ
ニリデン多孔質膜を得るいずれかの方法によって達成さ
れる。
【０００８】製膜原液は、ポリフッ化ビニリデンを約15
〜25重量%程度溶解させたリン酸トリエチル溶液として
調製される。また、リン酸トリエチル-水凝固浴として
は、リン酸トリエチルを約60〜85重量%含有する水との
混合液が用いられる。凝固浴中のリン酸トリエチルの割
合がこれより少ないと、スキン層が形成されるようにな
り、一方これ以上の割合のものが用いられると、ゲル化
に時間がかかりすぎるようになり、全くゲル化されない
状況になることもある。
〜25重量%程度溶解させたリン酸トリエチル溶液として
調製される。また、リン酸トリエチル-水凝固浴として
は、リン酸トリエチルを約60〜85重量%含有する水との
混合液が用いられる。凝固浴中のリン酸トリエチルの割
合がこれより少ないと、スキン層が形成されるようにな
り、一方これ以上の割合のものが用いられると、ゲル化
に時間がかかりすぎるようになり、全くゲル化されない
状況になることもある。
【０００９】 平膜状のポリフッ化ビニリデン多孔質膜
を得るには、製膜原液をガラス板などの一般に表面平滑
な基質上に流延し、凝固浴中に浸漬、水洗、乾燥する一
連の工程が適用される。また、中空糸状のポリフッ化ビ
ニリデン多孔質膜を得るには、乾湿式紡糸法または湿式
紡糸法により、製膜原液をリン酸トリエチル−水芯液と
共に、２重環状ノズルから吐出させた後、凝固浴中に浸
漬、水洗、乾燥する一連の工程が適用される。この場合
の芯液としては、凝固浴の組成と同様に、リン酸トリエ
チルを６０〜８５重量％含有するリン酸トリエチル−水
混合液が用いられる。
を得るには、製膜原液をガラス板などの一般に表面平滑
な基質上に流延し、凝固浴中に浸漬、水洗、乾燥する一
連の工程が適用される。また、中空糸状のポリフッ化ビ
ニリデン多孔質膜を得るには、乾湿式紡糸法または湿式
紡糸法により、製膜原液をリン酸トリエチル−水芯液と
共に、２重環状ノズルから吐出させた後、凝固浴中に浸
漬、水洗、乾燥する一連の工程が適用される。この場合
の芯液としては、凝固浴の組成と同様に、リン酸トリエ
チルを６０〜８５重量％含有するリン酸トリエチル−水
混合液が用いられる。
【００１０】
【作用】及び
【発明の効果】製膜原液の溶媒、凝固浴(および芯液)に
添加する溶媒として、リン酸トリエチルを用いることに
より、スキン層およびボイド層のない均質なポリフッ化
ビニリデン多孔質膜を得ることができる。これは、凝固
浴(および芯液)に製膜原液で用いられたものと同じ溶媒
を添加することにより、溶媒の拡散を制御することがで
き、結果として膜表面にスキン層を形成させずに、ポア
を形成せしめたものと考えられる。
添加する溶媒として、リン酸トリエチルを用いることに
より、スキン層およびボイド層のない均質なポリフッ化
ビニリデン多孔質膜を得ることができる。これは、凝固
浴(および芯液)に製膜原液で用いられたものと同じ溶媒
を添加することにより、溶媒の拡散を制御することがで
き、結果として膜表面にスキン層を形成させずに、ポア
を形成せしめたものと考えられる。
【００１１】
【実施例】次に、実施例について本発明を説明する。
【００１２】実施例１ リン酸トリエチル80重量部にポリフッ化ビニリデン樹脂
20重量部を加え、90℃で撹拌、溶解した後、室温迄冷却
して製膜原液を得た。これをガラス板上に350μの厚さ
で流延し、直ちにリン酸トリエチル-水(重量比80：20)
凝固浴中に浸漬した。30秒後にガラス板より、そこに形
成された膜を剥がし、水洗、乾燥した。
20重量部を加え、90℃で撹拌、溶解した後、室温迄冷却
して製膜原液を得た。これをガラス板上に350μの厚さ
で流延し、直ちにリン酸トリエチル-水(重量比80：20)
凝固浴中に浸漬した。30秒後にガラス板より、そこに形
成された膜を剥がし、水洗、乾燥した。
【００１３】得られた平膜は、スキン層およびボイド層
のない均質な多孔質膜であって、エタノール浸漬時の気
泡発生点(バブルポイント)は1.7kg/cm2であった。
のない均質な多孔質膜であって、エタノール浸漬時の気
泡発生点(バブルポイント)は1.7kg/cm2であった。
【００１４】実施例２ 実施例１の製膜原液を、リン酸トリエチル-水(重量比8
0：20)芯液と共に、２重環状ノズルから吐出し、空走距
離１cmを経た後、リン酸トリエチル-水(重量比80：20)
凝固浴中に浸漬した。30秒間浸漬後、水洗、乾燥して、
中空糸膜を得た。
0：20)芯液と共に、２重環状ノズルから吐出し、空走距
離１cmを経た後、リン酸トリエチル-水(重量比80：20)
凝固浴中に浸漬した。30秒間浸漬後、水洗、乾燥して、
中空糸膜を得た。
【００１５】得られた中空糸膜は、スキン層およびボイ
ド層のない均質な多孔質膜であって、エタノール浸漬時
の気泡発生点(バブルポイント)は1.7kg/cm2であった。
ド層のない均質な多孔質膜であって、エタノール浸漬時
の気泡発生点(バブルポイント)は1.7kg/cm2であった。
Claims (2)
- 【請求項１】 ポリフッ化ビニリデンのリン酸トリエチ
ル溶液よりなる製膜原液を基質上に流延し、リン酸トリ
エチルを60〜85重量%含有するリン酸トリエチル-水凝固
浴中に浸漬することを特徴とする、スキン層およびボイ
ド層のない均質な平膜状ポリフッ化ビニリデン多孔質膜
の製造法。 - 【請求項２】 ポリフッ化ビニリデンのリン酸トリエチ
ル溶液よりなる製膜原液を、リン酸トリエチルを60〜85
重量%含有するリン酸トリエチル-水芯液と共に、２重環
状ノズルから吐出させた後、リン酸トリエチルを60〜85
重量%含有するリン酸トリエチル-水凝固浴中に浸漬し、
乾湿式紡糸または湿式紡糸することを特徴とする、スキ
ン層およびボイド層のない均質な中空糸状ポリフッ化ビ
ニリデン多孔質膜の製造法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP26310692A JP3261761B2 (ja) | 1992-09-04 | 1992-09-04 | ポリフッ化ビニリデン多孔質膜の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP26310692A JP3261761B2 (ja) | 1992-09-04 | 1992-09-04 | ポリフッ化ビニリデン多孔質膜の製造法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0679150A JPH0679150A (ja) | 1994-03-22 |
| JP3261761B2 true JP3261761B2 (ja) | 2002-03-04 |
Family
ID=17384914
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP26310692A Expired - Fee Related JP3261761B2 (ja) | 1992-09-04 | 1992-09-04 | ポリフッ化ビニリデン多孔質膜の製造法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3261761B2 (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN104667763A (zh) * | 2013-11-28 | 2015-06-03 | 上海一鸣过滤技术有限公司 | 一种有支撑亲水性聚偏氟乙烯微孔膜及其制备方法 |
| JP7338877B2 (ja) | 2018-09-28 | 2023-09-05 | 学校法人日本医科大学 | 心臓アセチルコリン産生能誘導薬 |
Families Citing this family (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2002067272A1 (en) * | 2001-02-23 | 2002-08-29 | Nippon Oil Corporation | Ionically conducting sheet |
| KR100446211B1 (ko) * | 2001-08-29 | 2004-08-30 | 박기용 | 수소이온 전도성 불소수지 멤브레인의 제조방법 |
| CN103521091A (zh) * | 2013-10-25 | 2014-01-22 | 滁州品创生物科技有限公司 | 一种复合中空纤维膜 |
| JP2016010792A (ja) * | 2014-06-04 | 2016-01-21 | Nok株式会社 | 繊維強化ポリフッ化ビニリデン多孔質中空糸膜の製造方法 |
-
1992
- 1992-09-04 JP JP26310692A patent/JP3261761B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN104667763A (zh) * | 2013-11-28 | 2015-06-03 | 上海一鸣过滤技术有限公司 | 一种有支撑亲水性聚偏氟乙烯微孔膜及其制备方法 |
| JP7338877B2 (ja) | 2018-09-28 | 2023-09-05 | 学校法人日本医科大学 | 心臓アセチルコリン産生能誘導薬 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH0679150A (ja) | 1994-03-22 |
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| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |