JP3258873B2 - シリコーンワニス、その製法およびシリコーンワニス含浸プリプレグ - Google Patents

シリコーンワニス、その製法およびシリコーンワニス含浸プリプレグ

Info

Publication number
JP3258873B2
JP3258873B2 JP26998295A JP26998295A JP3258873B2 JP 3258873 B2 JP3258873 B2 JP 3258873B2 JP 26998295 A JP26998295 A JP 26998295A JP 26998295 A JP26998295 A JP 26998295A JP 3258873 B2 JP3258873 B2 JP 3258873B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
silicone varnish
silicone
water
solvent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP26998295A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09111187A (ja
Inventor
聡 柳浦
星紀 平松
廣士 足達
繁 久保田
三砂緒 小早川
康司 畠中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ryoden Kasei Co Ltd
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Ryoden Kasei Co Ltd
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ryoden Kasei Co Ltd, Mitsubishi Electric Corp filed Critical Ryoden Kasei Co Ltd
Priority to JP26998295A priority Critical patent/JP3258873B2/ja
Publication of JPH09111187A publication Critical patent/JPH09111187A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3258873B2 publication Critical patent/JP3258873B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Reinforced Plastic Materials (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Silicon Polymers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、300℃以上の連
続耐熱性を有し、可撓性、成形性に優れるため、コーテ
ィング剤、積層板、断熱材、保護材、成形体、層間絶縁
膜、プリント基板用材料などとして用いることが可能な
シリコーンワニスおよびそれを用いた含浸プレプリグを
製造し、使用する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来の有機材料のばあい、300℃以上
の連続耐熱性がえられず、一方、無機材料のばあい、無
機材料をうるために1000℃以上の焼成が必要であ
り、しかも可撓性に欠けるため、複合化しても曲げ強度
が弱い。
【0003】前記無機材料の欠点を改善する方法とし
て、アルコキシシランの縮重合を用いて無機ポリマーを
合成する例が多く開示されている(たとえば特開平4−
65477号公報、特開平4−106172号公報、特
開平6−240143号公報および特開昭63−278
977号公報)。
【0004】一方、2官能と3官能のアルコキシシラン
を組み合わせたコーティング剤は当該技術分野において
よく知られており、このコーティング剤を製造する際の
縮重合反応を調整することにより残留シラノール基量を
調整し、粘度を調整することができることが知られてい
る(たとえば特開平2−254976号公報および特開
平4−180977号公報)。
【0005】このばあいの縮重合反応触媒としては、特
開平2−284976号公報に見られるように、縮合促
進能力の強いアルコキシチタンや有機酸金属塩が用いら
れている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、縮重合
促進能力の強い縮重合触媒を使用すると、シラノール基
量を調整しながら縮重合させる際にゲル化が起こりやす
い。また、触媒が含有されたままでは保存安定性がわる
く、中和して取り除かなくてはならない。したがって、
現在市販のものでも、分子量の高いものは使用直前に縮
重合触媒を添加するタイプになっている。
【0007】一方、塩酸、リン酸などの縮合促進能力の
比較的弱い触媒を用いるばあい、ワニスの保存安定性は
良好ではあるが硬化速度が遅く、ネットワーク化が充分
に進行しない。
【0008】本発明は縮重合させる際に粘度調整が容易
でゲル化が起こりにくく、かつ保存安定性が良好で硬化
性(反応性)に優れた高耐熱性シリコーンワニスおよび
それを用いた複合材料、プリント基板を提供しようとす
るものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記の問題
を改善すべく鋭意検討を重ねた結果、アルコキシシラン
の縮重合時にゲル化させることなく所定の粘度のものを
うるには、モノマーとして2官能と3官能のアルコキシ
シランのブレンド物を用いるのが好ましく、溶剤として
は脂肪族一価アルコールを除く水溶性有機溶剤、触媒と
しては金属を含まない加水分解酸触媒が好ましいことを
見出した。
【0010】また、所定の粘度のものをえたのちは、保
存安定性の観点から脂肪族一価アルコール系溶剤を含む
有機溶剤の添加が好ましく、硬化促進のためには金属を
含まない加水分解酸触媒だけでは不充分であり、有機酸
金属塩またはチタンのアルコキシドなどの添加が効果的
であることを見出した。
【0011】本発明は前記のごとき知見に基づいてなさ
れたものであり、 (A)(1)フェニル基および炭素数1〜3のアルキル
基のうちの1種または2種を有し、炭素数1〜4のアル
コキシ基を有するジアルコキシシラン、(2)炭素数1
〜4のアルコキシ基を有するフェニルトリアルコキシシ
ランまたはメチルトリアルコキシシラン、(3)金属を
含まずかつ、塩素原子およびリン原子の少くとも1種を
含む無機酸またはPKa値が0.8〜6である有機酸、
および(4)水または水と脂肪族一価アルコールを除く
水溶性有機溶剤とからなる溶剤の混合物を加熱下、脱水
縮合してえられた25℃での固有粘度が0.1〜10c
3/gのシリコーンオリゴマー、 (B)脂肪族一価アルコールまたはそれを含む混合溶剤
ならびに (C)金属原子を含む縮合触媒を加えてなるシリコーン
ワニス(請求項1)、水または水と脂肪族一価アルコー
ルを除く水溶性有機溶剤とからなる溶剤(4)がグリコ
ールエーテルを含む溶剤である請求項1記載のシリコー
ンワニス(請求項2)、金属を含まずかつ、塩素原子お
よびリン原子の少くとも1種を含む無機酸またはPKa
値が0.8〜6である有機酸(3)が、リン酸、塩酸、
シュウ酸、酢酸またはギ酸である請求項1または2記載
のシリコーンワニス(請求項3)、金属原子を含む縮合
触媒(C)が、有機酸スズ塩、有機酸鉛塩、有機酸コバ
ルト塩、有機酸亜鉛塩、有機酸マンガン塩、有機酸鉄塩
または炭素数1〜4のアルコキシ基もしくは炭素数1〜
4のアルコキシ基およびアセトキシ基を含むモノチタン
化合物であり、有機酸がヘプタン酸、オクタン酸、ノナ
ン酸またはナフテン酸である請求項1、2または3記載
のシリコーンワニス(請求項4)、請求項1、2、3ま
たは4記載のシリコーンワニスを補強布、不織布または
フィラメントに含浸させて、タックがない状態まで乾燥
させたシリコーンワニス含浸プリプレグ(請求項5)、
請求項5記載のシリコーンワニス含浸プリプレグを複数
枚重ねて熱硬化させてえられた複合材料(請求項6)、
請求項5記載のシリコーンワニス含浸プリプレグを基材
にかぶせてまたは巻き付けて熱硬化させてなる複合材料
(請求項7)、請求項6記載の複合材料の両面または片
面に金属層を設けたプリント基板用積層板(請求項
8)、請求項8記載のプリント基板用積層板を用いて作
製された片面または両面に回路が形成されたプリント基
板を2〜15枚重ね、層間に請求項5記載のシリコーン
ワニス含浸プリプレグを挟み込み熱プレス成形すること
によりえられた多層構造を有するプリント基板(請求項
9)、請求項1、2、3または4記載のシリコーンワニ
スと無機の粉体、粒子またはウィスカーとの混合物を加
熱して脱溶媒してえられたフィルム状物または固体を粉
砕したものを成形してなる複合成形体(請求項10)、
請求項1、2、3または4記載のシリコーンワニス硬化
物を層間絶縁膜として用いた電子回路モジュール用ビル
ドアップ多層基板(請求項11)、 (A)(1)フェニル基および炭素数1〜3のアルキル
基のうちの1種または2種を有し、炭素数1〜4のアル
コキシ基を有するジアルコキシシラン、(2)炭素数1
〜4のアルコキシ基を有するフェニルトリアルコキシシ
ランまたはメチルトリアルコキシシラン、(3)金属を
含まずかつ、塩素原子およびリン原子の少くとも1種を
含む無機酸またはPKa値が0.8〜6である有機酸、
および(4)水または水と脂肪族一価アルコールを除く
水溶性有機溶剤とからなる溶剤の混合物を加熱下、脱水
縮合してえられた25℃での固有粘度が0.1〜10c
3/gのシリコーンオリゴマーをえたのち、 (B)脂肪族一価アルコールまたはそれを含む混合溶剤
ならびに (C)金属原子を含む縮合触媒を加えることを特徴とす
るシリコーンワニスの製法(請求項12)、水または水
と脂肪族一価アルコールを除く水溶性有機溶剤とからな
る溶剤(4)がグリコールエーテル系溶剤である請求項
12記載のシリコーンワニスの製法(請求項13)、金
属を含まずかつ、塩素原子およびリン原子の少くとも1
種を含む無機酸またはPKa値が0.8〜6である有機
酸(3)が、リン酸、塩酸、シュ酸、酢酸またはギ酸で
ある請求項12または13記載のシリコーンワニスの製
法(請求項14)、金属原子を含む縮合触媒(C)が、
有機酸スズ塩、有機酸鉛塩、有機酸コバルト塩、有機酸
亜鉛塩、有機酸マンガン塩、有機酸鉄塩または炭素数1
〜4のアルコキシ基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ
基およびアセトキシ基を含むモノチタン化合物であり、
有機酸がヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸またはナフ
テン酸である請求項12、13または14記載のシリコ
ーンワニスの製法(請求項15)、ならびに請求項1、
2、3または4記載のシリコーンワニスと無機の粉体、
粒子またはウィスカーとの混合物を加熱して脱溶媒して
えられたフィルム状物または固体を粉砕したものを熱プ
レスによりまたは成形機で成形することを特徴とする複
合成形体の製法(請求項16)に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明のシリコーンワニスに含ま
れるシリコーンオリゴマー(A)は、(1)フェニル基
および炭素数1〜3のアルキル基(具体的にはメチル
基、エチル基、エチル基、プロピル基)のうちの1種ま
たは2種を有し、炭素数1〜4のアルコキシ基(具体的
にはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ
基)を有するジアルコキシシラン、(2)炭素数1〜4
のアルコキシ基(具体的にはメトキシ基、エトキシ基、
プロポキシ基、ブトキシ基)を有するフェニルトリアル
コキシシランまたはメチルトリアルコキシシラン、
(3)金属を含まずかつ、塩素原子およびリン原子の少
くとも1種を含む無機酸またはPKa値が0.8〜6で
ある有機酸、および(4)水または水と脂肪族一価アル
コールを除く水溶性有機溶剤とからなる溶剤の混合物を
加熱下、脱水縮合してえられた25℃での固有粘度が
0.1〜10cm3/gのシリコーンオリゴマーであ
る。
【0013】前記フェニル基および炭素数1〜3のアル
キル基のうちの1種または2種を有し、炭素数1〜4の
アルコキシ基を有するジアルコキシシラン(1)は、前
記炭素数1〜4のアルコキシ基を有するフェニルトリア
ルコキシシランまたはメチルトリアルコキシシラン(以
下、フェニルまたはメチルトリアルコキシシランともい
う)(2)とともに反応し、シリコーンオリゴマーを形
成する成分であり、シリコーンオリゴマー中にジアルコ
キシシラン(1)に由来する単位が存在するため、硬化
物に可撓性が付与され、機械的強度が増加する、また、
シリコーンオリゴマー中にフェニルまたはメチルトリア
ルコキシシラン(2)に由来する単位が存在するため、
耐熱性が向上し、硬化物は枝分れ構造をとるため乾燥後
は室温で固体となる。また系中に4官能アルコキシシラ
ンを含むばあいと異なり、急激にゲル化することがない
ので縮重合反応の制御が容易となる。
【0014】ジアルコキシシラン(1)の具体例として
は、ジメチルジアルコキシシラン、フェニルメチルジア
ルコキシシラン、メチルn−プロピルジアルコキシシラ
ン、エチルメチルジアルコキシシラン、エチルフェニル
ジアルコキシシランなどがあげられる。前記アルコキシ
基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が
好ましい。加水分解性の強さは、この順である。これら
のジアルコキシシランは単独で用いてもよく、2種以上
併用してもよい。これらのうちでは、ジメチルジアルコ
キシシラン、フェニルメチルジアルコキシシランが耐熱
性がよくなる点から好ましく、メチルn−プロピルアル
コキシシラン、エチルメチルジアルコキシシランが可撓
性がよくなる点から好ましい。
【0015】また、フェニルまたはメチルトリアルコキ
シシラン(2)の具体例としては、フェニルトリメトキ
シシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリメ
トキシシラン、メチルトリエトキシシランなどがあげら
れる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用して
もよい。これらのうちでは、フェニルトリメトキシシラ
ンおよびメチルトリメトキシシランが加水分解速度が速
く、硬化物の耐熱性向上に効果的である点から好まし
い。
【0016】前記金属を含まずかつ、塩素原子およびリ
ン原子の少くとも1種を含む無機酸またはPKa値が
0.8〜6である有機酸(3)は、ジアルコキシシラン
(1)およびフェニルまたはメチルトリアルコキシシラ
ン(2)の加水分解(アルコキシ基の加水分解)を促進
し、シラノール基を形成するために使用される触媒であ
る。金属を含まずかつ、塩素原子およびリン原子の少な
くとも1種を含む無機酸またはPKa値が0.8〜6で
ある有機酸(3)はネットワークを形成しにくいため反
応条件が適当、たとえば100℃、14時間または15
0℃、6時間のごとき条件であれば、ほとんどゲル化さ
せることなくアルコキシシランを縮重合させることがで
きる。
【0017】なお、PKa値が0.8未満の酸は加水分
解促進効果が低いので、アルコキシシランの加水分解速
度が遅く、実用的ではない。また、PKa値が6.0を
こえる有機酸は、加水分解速度促進には効果があるもの
のシラノール基の重縮合促進能力も大きいため、ワニス
製造工程ですぐに、ゲル化がおこってしまい、分子量
(固有粘度)を増加させることができない。なぜ塩素原
子およびリン原子の少なくとも1種を含む無機酸がよい
のかは不明であるが、実験結果としてはそのような結果
がえらている。
【0018】金属を含まずかつ、塩素原子およびリン原
子の少くとも1種を含む無機酸またはPKa値が0.8
〜6である有機酸(3)の具体例としては、リン酸、塩
酸、シュウ酸、酢酸、ギ酸などがあげられる。これらは
単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。これら
のなかでは、リン酸、シュウ酸、酢酸がゲル化防止の点
から好ましい。
【0019】加水分解触媒としては、ほかに、たとえば
硫酸、スルホン酸、硝酸などがあげられるが、これらの
ものは加水分解力が強いが、縮重合反応の促進力が過度
に強すぎるために、縮重合反応を制御しにくく、そのた
めに反応容器中でゲル化しやすいので用いることができ
ない。本発明に好適に用いられる塩酸も前述のゲル化し
やすいという傾向はあるが、低温(100℃程度以下)
で縮重合反応させることにより、ゲル化を回避すること
ができる。
【0020】前記水または水と脂肪族一価アルコールを
除く水溶性有機溶剤とからなる溶剤(4)は、ジアルコ
キシシラン(1)およびフェニルまたはメチルトリアル
コキシシラン(2)を金属を含まずかつ、塩素原子およ
びリン原子の少くとも1種を含む無機酸またはPKa値
が0.8〜6である有機酸(3)で加水分解してシリコ
ーンオリゴマーを形成する際に使用される溶剤であり、
これらの成分を溶解するのが好ましく、また、ジアルコ
キシシラン(1)およびフェニルまたはメチルトリアル
コキシシラン(2)が加水分解したもの、さらにはこれ
らが縮重合したものが溶解するものであるのが好まし
い。このような水または水と脂肪族一価アルコールを除
く水溶性有機溶剤とからなる溶剤(4)を使用するばあ
いには、溶剤に含有されるOH基が縮重合を阻害するこ
となく、さらに加水分解後のアルコキシシランおよび縮
重合後のオリゴマーを溶解するため均一系で縮重合が進
み、その結果、均一な目的生成物がえられる。
【0021】これら縮重合反応において、前記脂肪族一
価アルコールは塩基性を示し、シラノール基のSi基に
対して求核攻撃しやすいのでシラノール基同士の縮重合
を妨げる。一方、二価以上のアルコールは双方向に原子
が吸引されるため塩基性を示しにくく、シラノール基の
縮重合を殆ど妨げないため、縮重合溶剤として適当であ
る。
【0022】前記脂肪族一価アルコールを除く水溶性有
機溶剤の具体例としては、メチルセロソルブ、エチルセ
ロソルブ、エチレングリコールイソプロピルエーテル、
ブチルセロソルブ、カルビトール、ブチルカルビトー
ル、ジエチレングリコールアセテート、エチレングリコ
ールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベ
ンジルエーテル、メトキシメトキシエタノール、プロピ
レングリコールモノメチルエーエル、プロピレングリコ
ールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノアセ
テートなどのグリコールエーテル系溶剤、エチレングリ
コール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ジプロピレングリコールなどのグリコール系溶
剤、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジ
メチルアセトアミドなどの含チッ素系溶剤、ジメチルス
ルフォキシドなどがあげられる。これらを使用するばあ
い、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。こ
れらのうちではグリコールエーテル系溶剤が加水分解し
たアルコキシシランおよびその縮合体に対する溶解性が
よいという点から好ましい。
【0023】前記水または水と脂肪族一価アルコールを
除く水溶性有機溶剤とからなる溶剤(4)における脂肪
族一価アルコールを除く水溶性有機溶剤のかわりに、メ
タノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−
プロパノールなどの脂肪族一価アルコールを使用するば
あい、シラノール基と結合または溶媒和して縮重合を阻
害しやすいため、縮重合反応の制御が行ないにくく、あ
との縮重合工程では系外に流出させなければならないの
で、脂肪族一価アルコール以外の有機溶剤を用いる方が
好ましい。なお、縮重合工程では、ジアルコキシシラン
(1)およびフェニルまたはメチルトリアルコキシシラ
ン(2)の加水分解によって生成する脂肪族一価アルコ
ールを系外に流出させるのが好ましい。
【0024】なお、水と脂肪族一価アルコールを除く水
溶性有機溶剤とからなる溶剤を使用するばあい、水の割
合が系中に含まれるアルコキシシランのアルコキシ基に
対して、0.5〜3.0当量であるのが反応速度が速
く、系の均一性を保持する点から好ましい。水の割合が
前記の範囲より多いと、系中で層分離する傾向がある。
【0025】前記ジアルコキシシラン(1)〜水または
水と脂肪族一価アルコールを除く水溶性有機溶剤とから
なる溶剤(4)からシリコーンオリゴマー溶液を製造す
る際の各成分の使用割合としては、ジアルコキシシラン
(1)100部(重量部、以下同様)に対してフェニル
またはメチルトリアルコキシシラン(2)150〜50
00部、さらには165〜1650部が硬化物の機械的
強度および耐熱性が向上する点から好ましく、これらの
合計量100部に対して金属を含まずかつ、塩素原子お
よびリン原子の少くとも1種を含む無機酸またはPKa
値が0.8〜6である有機酸(3)0.1〜10.0
部、さらには0.2〜2.0部が縮重合反応制御の容易
さから好ましい。そして、前記のごとき(1)〜(2)
の成分に含まれるアルコキシ基の量に対し0.5〜3.
0当量になるように水を添加するのが反応速度が速く、
系の均一性を保持する点から好ましい。また脂肪族一価
アルコールを除く水溶性有機溶剤の添加は必ずしも必要
ではないが、縮重合反応を遅くしたり、高分子量の物を
えたく、希釈による低粘度化が必要なばあいには添加す
る方が好ましい。たとえば固有粘度3cm3/g(25
℃)のオリゴマーをえるばあい、成分初期濃度が25〜
60%になるように希釈するのが好ましい。
【0026】本発明に使用するシリコーンオリゴマー
(A)は、前記(1)〜(4)の成分からなる混合物を
加熱下、脱水縮合してえられる25℃での固有粘度が
0.1〜10cm3/g、さらには0.5〜7cm3
g、E型回転粘度計を用いて固形分50%(重量%、以
下同様)としてトルエン/イソプロパノール=1/1
(重量基準)を溶媒として25℃で測定してえられる粘
度としては、5〜5000mPa・s、さらには10〜
2000mPa・sであるのが好ましい。
【0027】また、シリコーンオリゴマーを溶液として
用いるばあい、前記シリコーンオリゴマーを10%以
上、さらには30%以上の濃度になるように含有する溶
液であるのが好ましい。なお溶剤は添加する脂肪族一価
アルコールと相溶し、かつえられたオリゴマーを溶解す
るものではなくてはらない。
【0028】前記加熱下、脱水縮合する際の条件につい
ては、後述するシリコーンワニスの製法において説明す
る。
【0029】前記固有粘度は、25℃恒温層中ユベロー
デ粘度計を用い、トルエン/イソプロパノール=1/1
(重量基準)の稀薄溶液を用いて測定した値であり、前
記固有粘度が前記範囲内のばあいには乾燥したときに固
体(タックフリー)となりかつ、加熱により溶融または
軟化し成形可能となるが、前記範囲をはずれると、乾燥
しても液体のままであったり、高温でも溶融も軟化せず
成形不可能となる。
【0030】本発明のシリコーンワニスには、前記シリ
コーンオリゴマー溶液(A)とともに、脂肪族一価アル
コールまたはそれを含む混合溶剤(B)および金属原子
を含む縮合触媒(C)が含まれる。
【0031】脂肪族一価アルコールまたはそれを含む混
合溶剤(B)は、えられたシリコーンオリゴマー溶液
(A)に添加することにより、シリコーンオリゴマー溶
液(A)を含むシリコーンワニスの保存安定性を改善す
るための成分である。
【0032】脂肪族一価アルコールまたはそれを含む混
合溶剤(B)を添加することによりシリコーンオリゴマ
ー溶液(A)を含むシリコーンワニスの保存安定性が改
善される理由は、明確に判明しているわけではないが、
縮重合後のシリコーンオリゴマーに残存しているシラノ
ール基がキャップまたは溶媒和されるなどするためであ
ろうと推察される。
【0033】脂肪族一価アルコールまたはそれを含む混
合溶剤(B)における脂肪族一価アルコールの具体例と
しては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、
ノルマルプロパノール、イソブタノール、ターシャリー
ブタノール、ノルマルブタノールなどがあげられる。こ
れらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
これらのうちでは、メタノール、エタノール、イソプロ
パノール、ノルマルプロパノールが保存安定性、縮重合
触媒の溶解性の点から好ましい。
【0034】前記金属原子を含む縮合触媒(C)は、本
発明のシリコーンワニスが使用され、溶剤が揮発したの
ち加熱されることによってシリコーンオリゴマーのネッ
トワーク形成がすみやかにすすみ、ゲル化して、強靭な
硬化物が短時間でえられるようにするための成分であ
る。
【0035】金属原子を含む縮合触媒(C)の具体例と
しては、ナフテン酸、オクテン酸、ヘプタン酸、ノナン
酸などのスズ、鉛、亜鉛、コバルト、マンガン、鉄の各
種塩、炭素数1〜4のアルコキシ基(具体的にはメトキ
シ、エトキシ、イソプロポキシ、ノルマルプロポキシ、
ノルマルブトキシ、イソブトキシなどがあげられる)ま
たは前記と同じ炭素数1〜4のアルコキシおよびアセト
キシを含むモノチタン化合物などがあげられる。その具
体例としては、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸スズ、ナフ
テン酸鉄、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉛、ナフテ
ン酸マンガン、オクテン酸亜鉛、オクテン酸コバルト、
オクテン酸鉛、オクテン酸スズ、ヘプタン酸亜鉛、ヘプ
タン酸コバルト、ヘプタン酸鉛、ノナン酸亜鉛、ノナン
酸鉛、ノナン酸スズ、ノナン酸コバルト、テトラメトキ
シチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキ
シチタン、テトラノルマルプロポキシチタン、テトラノ
ルマルブトキシチタン、テトライソブトキシチタン、ジ
ノルマルプロポキシジアセトキシチタン、ジイソプロポ
キシジアセトキシチタン、ジエオキシジアセトキシチタ
ン、ジメトキシジアセトキシチタンなどがあげられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよ
い。これらのうちでは、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸ス
ズ、ナフテン酸鉄、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸
鉛、ナフテン酸マンガン、オクテン酸亜鉛、オクテン酸
コバルト、オクテン酸鉛、オクテン酸スズ、テトラメト
キシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポ
キシチタン、テトラノルマルプロポキシチタン、テトラ
ノルマルブトキシチタンがシラノール縮重合に対する触
媒効果が大きい点から好ましい。
【0036】本発明のシリコーンワニスにおけるシリコ
ーンオリゴマー(A)、脂肪族一価アルコールまたはそ
れを含む混合溶剤(B)および金属原子を含む縮合触媒
(C)の含有割合としては、シリコーンオリゴマー溶液
(A)100部(固形分)に対して脂肪族一価アルコー
ルまたはそれを含む溶剤(B)20〜500部、さらに
は25〜300部がオリゴマー溶液の保存安定性と乾燥
速度の点から好ましく、また固有粘度が高いオリゴマー
は脂肪族一価アルコールに溶解しにくくなるので混合溶
媒を用いるのが好ましい。また、金属原子を含む縮合触
媒(C)0.04〜1.6部、さらには0.08〜0.
8部が反応効率と硬化物の耐熱性の点から好ましい。
【0037】つぎに、本発明のシリコーンワニスの製法
について説明する。
【0038】シリコーンオリゴマー溶液(A)の製法に
はとくに限定はないが、ジアルコキシシラン(1)およ
びフェニルまたはメチルトリアルコキシシラン(2)を
加水分解するばあいに発熱するため、液温が40℃以上
に昇温しないように、製造スケールに応じて添加速度の
制御、冷却装置の導入などするのが好ましい。
【0039】各アルコキシシランは一括して加水分解し
て用いてもよく、別々の容器で予め加水分解して用いて
もよいが、別々の容器で予め加水分解して用いる方が、
加水分解反応速度の違いによる系の不均一化や不均一な
縮合が妨げられ、さらには加水分解の終点(発熱が終了
し、系が均一になった点)が明確にわかる点から好まし
い。一括したばあい、加水分解性の強い方が先に分解し
てしまい、加水分解性の弱い方の加水分解の際の反応熱
で加水分解性の強い成分だけが先に縮合してしまいやす
くなる。
【0040】アルコキシシランの加水分解は、水、金属
を含まずかつ、塩素原子およびリン酸原子の少なくとも
1種を含む無機酸またはPKa値が0.8〜6である有
機酸、使用されるばあいには脂肪族一価アルコールを除
く水溶性有機溶剤を混合した容器に発熱量に応じてアル
コキシシランを添加するのが温度上昇によるゲル化や環
状化を防止する点から好ましい(具体的には液温が20
〜40℃に維持されるようにする)。
【0041】前記脂肪族一価アルコールを除く水溶性有
機溶剤が使用されるばあいには、脂肪族一価アルコール
を除く水溶性有機溶剤は最初から全量加えておいてもよ
く、アルコキシシランの添加に応じて順次加えてもよい
が、最初から全量加えておく方が、初期の温度管理がや
りやすく、また、作業が簡単になるという点から好まし
い。
【0042】アルコキシシランを添加したのち液温が上
昇した時点で加水分解反応は開始しており、具体的には
液温が20〜40℃に維持されるようにするのが好まし
い。なお、加水分解にともなって生成するアルコール
は、縮重合時に系外に除去される。
【0043】ジアルコキシシラン(1)とフェニルまた
はメチルトリアルコキシシラン(2)との加水分解を別
々に行なったばあいには、加水分解した2種の溶液を所
定の割合で混合したのち、また、ジアルコキシシラン
(1)とフェニルまたはメチルトリアルコキシシラン
(2)との加水分解を一括して行なったばあいには、そ
のままつぎの縮重合工程にうつせばよい。
【0044】縮重合工程ではアルコキシ基の分解によっ
て生成したアルコールを系外に流出させる方が好ましい
ので、反応容器に冷却管の先に液溜めを付けたものを取
り付け、アルコールを系外に流出させる。
【0045】縮重合温度は60〜180℃、さらには9
0〜150℃が好ましい。縮重合温度が、60℃より低
いばあいには、縮重合に時間がかかるため実用的でな
く、180℃をこえるばあいにはゲル化し易くなり、分
子量の制御が困難になる。
【0046】縮重合反応温度は、系に含まれる揮発成分
の沸点に影響を受けるため、たとえばメトキシシランを
用いたばあいは、生成したメタノールが揮発するため反
応容器内の液温が80℃程度で一旦安定し、メタノール
が系外にでたのち、再び昇温が始まり、目標温度(たと
えば、150℃程度)まで上昇する。目標温度まで上昇
後は温調により精密に(たとえば155℃をこえない温
度に)制御するのが好ましい。なお、昇温速度は反応容
器の構造や、スケールにより左右される。
【0047】反応溶剤としてメチルセロソルブを用いた
ばあいは、生成したメタノールが揮発するため80℃付
近で一度温度が安定し、メタノールが系外に流出するに
つて除々に昇温し、150℃まであがる。
【0048】縮重合時間は、目的とするシリコーンオリ
ゴマーの重合度、反応量、温度、反応温度などによって
も異なる。
【0049】目的の重合度(または粘度)に達したら反
応を停止し、冷却すればよい。高重合度のものをえたい
ばあいには、生成物の粘度が高く作業性がよくないた
め、反応途中で水に対する溶解性の低い溶剤、たとえば
トルエンを加え、反応容器に抽出ディーン・スターク
(DEAN STARK)分液管を付けてトルエン層の
みを反応容器に還流させることにより、反応容器内の溶
液の固形分濃度の増加を防ぐことができる。
【0050】冷却後、脂肪族一価アルコールまたはそれ
を含む混合溶剤(B)を加える。
【0051】加える脂肪族一価アルコールまたはそれを
含む混合溶剤(B)の量は、仕込みアルコキシ基の少く
とも1/4倍当量であるのが、溶液の保存安定性の点か
ら好ましく、さらには1/3倍当量以上であるのが好ま
しい。
【0052】添加する溶剤はアルコール系溶剤のみであ
ってもなんら問題はないが、えられた縮重合物を溶解さ
せることができるものであるのが好ましいため、他の溶
剤と併用してもよい。
【0053】前記他の溶剤の具体例としては、たとえば
トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソ
ブチルケトン、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、ク
ロロホルム、シクロヘキサノン、カルビトール、メチル
セロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテー
ト、ジメチルホルムアミド、ニトロベンゼンなどがあげ
られる。これらの溶剤はかならずしも添加する必要がな
く、さらに添加するタイミングも縮合反応中でも、反応
終了後でもよい。ただし、反応途中に添加する場合は系
中のオリゴマーへの溶解性を確かめる必要がある。
【0054】えられた溶剤を含むシリコーンオリゴマー
溶液にシラノール重縮合触媒である金属原子を含む縮合
触媒(B)が添加される。一般に金属原子を含む縮合触
媒(B)を加えると、シリコーンオリゴマー溶液の保存
安定性が著しく損われるが、本発明のシリコーンワニス
にはアルコール系溶剤が含まれているのでシラノール基
の重縮合が抑制され、シリコーンワニスを安定に保つこ
とができる。
【0055】このようにしてえられたシリコーンワニス
は密栓して45℃で半年保存しても粘度の上昇が見られ
ない安定なものである。
【0056】前記のごとき本発明のシリコーンワニスの
製法の一実施態様として、つぎのものがあげられる。
【0057】メチルセルソルブ(以下、MCSともいう
こともある)0〜600部、リン酸10%水溶液1〜2
0部、水80〜490部をビーカーにとり、これを撹拌
しながらフェニルトリメトキシシラン(以下、PTrM
OSともいう)300部を少量ずつ加え、そのまま30
分間撹拌し、溶液(a)をえる。
【0058】これとは別にMCS 0〜300部、リン
酸10%水溶液1〜10部、水6〜165部をビーカー
にとり、これを撹拌しながジメチルジメトキシシラン
(以下、MCSということもある)18.2〜182部
を少量ずつ加え、そのまま20分間撹拌し、溶液(b)
をえる。
【0059】先に液溜め(たとえば、エルレンマイヤー
フラスコ、ビーカー、バケツなどのようなもの)が付い
た冷却管、温度計および撹拌羽根を備えた反応容器に、
前記の溶液(a)および(b)を入れ、反応容器を加熱
する。液溜めにメタノールを主成分とした液体が溜まり
だすと、反応容器内の溶液の温度が序々に上昇するの
で、120〜150℃を目安に反応容器内の溶液の温度
調節を行なう。
【0060】反応容器内の溶液の温度が序々に上昇し、
80℃をこえた時点から、反応容器内の生成物をサンプ
リングしてE型回転粘度計で粘度測定を行なう。サンプ
リング間隔は30〜60分間程度であることが好まし
い。なお、この測定はトルエン/イソプロパノール=1
/1(重量基準)溶液で固形分40%に希釈したのち行
なう。ここで、回転粘度が120mPa・sに達したと
ころで反応容器を放冷し、内容物温度を使用する脂肪族
一価アルコールの沸点以下の温度に下げる。
【0061】ただし、最終目標粘度(回転粘度)が12
0mPa・s以下であれば、目標粘度に達し次第、反応
容器温度を使用する脂肪族一価アルコールの沸点以下の
温度に下げたのち、脂肪族一価アルコール20部以上を
投入し、反応を停止させる。
【0062】一方、最終目標粘度(回転粘度)が120
mPa・sをこえるものであるばあいには、内容物の温
度を100℃まで下げたのち、トルエン、キシレンなど
沸点が100℃以上の非水溶性溶剤を20〜150部を
加え、反応容器より冷却管をはずし、ディーン・スター
ク分液管に付けかえる。そこで、再び加熱を行ない、系
内を還流させる。非水溶性溶剤と水とが蒸発するが、デ
ィーン・スターク管により、非水溶性溶剤のみが系内に
還流し、水は系外に除去される。反応容器中のシリコー
ン縮重合物の粘度(回転粘度)が目標点に達したところ
で、反応容器を放冷し、内容物温度を使用する脂肪族一
価アルコールの沸点以下の温度に下げる。
【0063】生成物に関するさらに詳細な情報はNMR
(Si29)を用いてえることができる。たとえばフェニ
ルメチルメトキシシランとジメチルジメトキシシランと
を用いて合成した生成物に関しては、前記NMRにおい
て、(CH32(OH)Si−O−Siは−5〜−10
ppm(D1)に、(CH32Si(OSi)2は−15
〜−25ppm(D2)に、Ph−Si(OSi)(O
H)2は−55〜−65ppm(T1)に、PhSi(O
Si)2(OH)は−65〜75ppm(T2)に、Ph
Si(OSi)3は−75〜−85ppm(T3)に該当
する。前記NMRスペクトルより生成物の(D1+T1
2)と(D2+T3)との面積比は70:30〜10:
90であり、シラノール基の残存とシロキサン結合によ
る縮重合とが確認された。ただしこの面積比に定量性は
ないため残存シラノール基量を直接定量的に表わすもの
ではないので生成物同定はIRで確認するだけでも充分
である。
【0064】このようにして、所望の粘度に調節した内
容物を含む反応容器に、前記内容物100部に対して、
イソプロピルアルコール、エタノールまたはノルマルブ
タノールなどの脂肪族一価アルコールを20部以上加
え、系が均一になるまで充分に撹拌する。さらにナフテ
ン酸鉛、ナフテン酸コバルト、オクテン酸鉛またはアル
コキシチタンなどの金属原子を含む重合触媒0.1〜2
部(前記内容物100部に対する部数)を10倍の重量
の脂肪族アルコール系溶剤に溶かしたのちに加え、充分
に撹拌することにより、好適なシリコーンワニスがえら
れる。
【0065】このようにしてえられたシリコーンワニス
の分子量は、固有粘度計で相対的に評価できる。えられ
たシリコーンワニスの固有粘度(25℃)は0.1〜1
0cm3/gまたは縮重合に伴うシラノール基の減少は
赤外線スペクトルの900cm-1付近のピーク面積の減
少で判断できる。ただし、硬化させるとシラノール器の
縮合によるシロキサン結合の増加によりシロキサン結合
のピークが広がり、シラノール吸収にかぶさってしまう
ので判断がつかなくなる。
【0066】また、えられたワニスを乾燥、硬化させた
のちの耐熱性はTGA(熱分量分析)で評価することが
できる。たとえば大気中で5%重量減少する温度は30
0〜500℃である。
【0067】本発明のシリコーンワニスは幅広い用途を
有しており、たとえばプリプレグ、プリプレグから製造
されるプリント基板用積層板やプリント基板、その他の
各種複合材料、複合成形体、電子回路モジュール用ビル
ドアップ多層基板などの製造に使用される。
【0068】たとえば、本発明のシリコーンワニスをシ
リコーンワニス含浸プリプレグの製造に使用するばあ
い、シリコーンワニスを補強布、不織布またはフィラメ
ントに含浸させて、タックがない状態まで乾燥させるこ
とにより、シリコーンワニス含浸プリプレグを製造する
ことができる。
【0069】前記補強布の具体例としては、ガラス繊
維、カーボン繊維、アラミド繊維などから製造された織
物(たとえばガラスクロス、カーボンクロス、アラミド
クロスなど)などであって、重量が150〜250g/
2程度のものがあげられる。
【0070】また、前記不織布の具体例としては、アル
ミナ、シリコーンカーバイト、アラミド、PAN系炭素
繊維、レーヨン系炭素繊維などから製造されたアルミナ
シート、SiCFシート、炭素繊維シートなどの不織布
があげられる。
【0071】さらに、前記フィラメントの具体例として
は、ガラス、アラミド、シリコーンカーバイトなどから
製造された、ガラス繊維、アラミド繊維、SiCFがあ
げられる。
【0072】前記補強布、不織布またはフィラメントに
含浸させるシリコーンワニスとしては、粘度(25℃)
30〜200cp程度、固有粘度(25℃)1〜10c
3/g程度、固形分率30〜80%程度のワニスが好
ましいが、プリプレグの用途により固有粘度の最適範囲
は異なる。たとえばえられたシリコーンワニス含浸プリ
プレグを複数枚、具体的には2〜100枚、好ましくは
10〜60枚重ねて積層した積層板作製用プリプレグと
して使用するばあいで、プレスを用いて成形するばあい
には、固有粘度(25℃)3〜6cm3/gのものが好
ましい。また、たとえばえられたシリコーン含浸プリプ
レグを基材にかぶせてまたはリボン状にして巻き付けて
熱硬化させたり、プレスを用いずに積層するようなばあ
いには、溶融粘度が低い方が好ましいので、固有粘度
(25℃)1〜4cm3/gのものが好ましい。
【0073】前記シリコーンワニス含浸プリプレグにお
けるシリコーンワニス(固形分)と補強布、不織布また
はフィラメントとの割合としては、成形品の機械的強度
の点から、処理比(乾燥後のプリプレグ重量/含浸前の
補強布、不織布またはフィラメントの重量)が、補強布
を用いたばあい1.2〜3.0、さらには1.3〜2.
5が好ましく、不織布のばあい1.3〜5.0、さらに
は1.4〜3.0が好ましく、フィラメントのばあい
1.5〜7.0、さらには1.7〜4.0が好ましい。
【0074】前記シリコーンワニス含浸プリプレグの厚
さとしては、補強布を用いたばあい、0.05〜0.5
mm、さらには0.1〜0.3mm、不織布を用いたば
あい、0.1〜15mm、さらには0.3〜5mm、フ
ィラメントを用いたばあい、0.2〜8mm、さらには
0.3〜5mmであるのが、プリプレグの乾燥速度およ
びその成形物の曲げ強度の点から好ましい。
【0075】前記のごときシリコーンワニス含浸プリプ
レグは、補強布などにシリコーンワニスを常法にしたが
って含浸させたのち、たとえば120℃程度で10分間
程度加熱する方法などで乾燥させ、タックのない状態に
することによって製造される。製造されたプリプレグ
は、使用したシリコーンワニスが金属を含まずかつ、塩
素原子およびリン原子の少なくとも1種を含む無機酸ま
たはPKa値が0.8〜6である有機酸を用いて製造し
た保存安定性のよいものであるため、溶剤が除去された
のちも保存安定性がよい。プリプレグの保存安定性は、
通常30℃で3カ月がめどであるが、本発明のものは4
5℃で6カ月以上の保存安定性を有する。なお、従来の
シリコーンワニスから製造されたプリプレグのばあい、
30℃で1カ月程度しか保存できない。
【0076】また、タックフリーになるまで乾燥させた
プリプレグ中にもプリプレグの保存安定性を維持するの
に有効な脂肪族一価アルコールが残存しており、これら
はシラノール縮合を阻害するので、プリプレグの保存安
定性も向上する。
【0077】前記シリコーン含浸プリプレグを複数枚
(通常2〜50枚)重ねて熱硬化させてえられた複合材
料は、厚さが0.3〜8mm程度で、優れた機械強度を
有し、ガラス−エポキシ積層板に比べ誘電率が低く、誘
電損失が小さいという特性を有するものである。それゆ
え、複合材料の両面または片面に銅、アルミなどからな
る厚さ15〜80μm程度の金属層を設けることによ
り、プリント基板用積層板として使用することができ
る。
【0078】前記プリント基板用積層板の片面または両
面に回路を形成することによりプリント基板を製造する
ことができ、さらに、このようにして製造したプリント
基板を2枚以上、好ましくは2〜15枚重ね、プリント
基板とプリント基板との間に前記シリコーンワニス含浸
プリプレグを挟み込み、熱プレス成形することにより、
多層構造を有するプリント基板を製造することができ
る。
【0079】前記シリコーン含浸プリプレグを基材にか
ぶせたり、巻き付けたりしたのち熱硬化させて複合材料
を製造するばあいの基材としては、銅管、鋼管、ステン
レス管、アルミ管などの管体の周りにプリプレグを巻き
付け、加熱硬化してえられる熱媒体用パイプ、ガラス−
エポキシ積層板の両面または片面にプリプレグを被覆し
て熱プレスした耐熱性積層板、金型の側面および裏面を
プリプレグで被覆し、加熱硬化させてえられる放熱が少
く熱効率の高い成形用金型などがあげられ、とくに曲
面、矩形面、あるいは長尺物のように加圧が困難である
ものの表面にも容易に密着させて被覆できる点から、ヒ
ータや熱媒体用パイプの断熱や絶縁のために好適に用い
ることができる。
【0080】本発明のシリコーンワニスは、前記のごと
くプリプレグを製造するかわりに、シリコーンワニスと
無機の粉体、粒子またはウィスカーとの混合物を製造
し、加熱して脱溶媒してフイルム状物をえたり、固体を
えたりして用いてもよい。
【0081】このばあいのシリコーンワニスとしては、
その粘度が1000〜50000cP、固有粘度が2〜
10cm3/g、固形分率が30〜80%のものである
ことが、脱泡性がよく、乾燥プロセスが容易であり、粉
末化およびフィルム化が可能(粘着しないため)であ
り、粉末またはフィルムからの成形性がよいなどの点か
ら好ましい。
【0082】シリコーンワニスと混合される前記無機の
粉体、粒子またはウィスカーとしては、カーボン、アル
ミナ、シリカ、チッ化ホウ素、チッ化ケイ素、アラミ
ド、酸化チタン、PZTなどがあげられ、粉体または粒
子であるばあい、その径が5〜100μmであるもの
が、粒子のもつ特性(たとえば、高熱伝導性、高誘電率
性など)を樹脂成形物に効果的に付与可能しやすい点か
ら好ましく、ウィスカーであるばあい、平均形状が繊維
直径0.5〜15μm、長さ5〜500μmのものが好
ましい。
【0083】前記シリコーンワニスに対する、無機の粉
体、粒子またはウィスカーの混合比は、無機の粉体、粒
子またはウィスカーが成形物の50〜90容量%程度で
あることが、粒子のもつ特性(たとえば、高熱伝導性、
高誘電率性など)を樹脂成形物に効果的に付与しやす
く、かつ成形体としての強度を充分に維持できる点から
好ましい。
【0084】また、この混合物は、縮合反応が進まない
ように、室温〜80℃程度の低温で乾燥させることが好
ましく、この程度の温度で減圧することにより効率よく
乾燥させることができる。
【0085】シリコーンワニスをフィルム状物に成形す
るばあい、シリコーンワニスをテフロンコートした板や
平皿にキャストし、乾燥することによりえられる。この
ときのフィルム厚は50μm〜5mm程度まで調節可能
である。
【0086】また、シリコーンワニスを粉末状にするば
あい、前記フィルム状物を粉砕することによりえられ
る。このばあい粒径を制御することは困難であるので、
粉砕後ふるいを用いて粒子を分別するなどすればよい。
粒径には、とくに制限はないが、固体への成形のしやす
さの点から、3mm以下であるのが好ましい。
【0087】このようにしてえられるフィルム状物や固
体は、加熱成形することにより耐熱性および機械的強度
が著しく向上する。
【0088】加熱成形は真空プレスや真空金型を用いる
ことが好ましい。フィルムは2〜30枚を重ねてプレス
することにより厚板を成形するのに適しており、一度に
最大10mm厚までの厚板の成形が可能である。
【0089】粉末を用いるばあいは、複雑な形状の固体
の成形に適しており、たとえば粉末を金型に詰め、加熱
プレスすることにより粉末を溶融硬化させる方法などに
より、成形体がえられる。粉末を金型に詰めるとき、バ
イブレータなどを用いて、微振動を与えることにより、
好適にパッキングしうる。
【0090】加熱条件としては、170〜300℃程
度、2〜7時間程度の条件が好ましい。
【0091】このようにして製造される複合成形体の実
施態様としては、たとえばアルミナ粒子単体またはアル
ミナ粒子とチッ化ホウ素粒子とを添加した高熱伝導性樹
脂材料、TiO2粒子などの高誘電率粒子を添加した高
誘電率コンデンサー材料などがあげられる。
【0092】前記高熱伝導性樹脂材料に用いる粒子とし
ては、前記のアルミナ粒子およびチッ化ホウ素粒子のほ
かに、たとえばチッ化アルミ粒子、シリコーンカーバイ
ド粒子、チッ化ケイ素粒子、酸化マグネシウム粒子、酸
化ベリリウム粒子、結晶シリカ粒子などがあげられ、分
散性、低吸湿性および絶縁性を考慮するばあい、チッ化
ホウ素粒子、アルミナ粒子およびチッ化アルミ粒子が好
ましい。
【0093】高誘電率コンデンサー材料に用いる粒子と
しては、前記のTiO2粒子のほかに、BeTiO3、M
gTiO3、CaTiO3、SrTiO3、BaTiO3
PbTiO3、ZrTiO3、BiTiO5、La2TiO
5、CeTiO4、、ZrTiO4、BaSnO3、CaS
nO3、SrSnO3、MgSnO3、Bi2(Sn
33、PbSnO3、CoSnO3、NiSnO3、B
aZrO3、CaZrO3、SrZrO3、MgZrO3
(Bi232・(ZrO23、MgNbO3、CaNb
3、SrNbO3、BaNbO3、PbNbO3、LiN
bO3、FeNb26、LiTaO3、BaTaO3、S
rTaO3、CaTaO3、MgTaO6、Bi3TiNb
9、PbZrO3−PbTiO3、PbBi2NbO9
Bi4Ti312などの各粒子があげられ、とくに誘電率
の熱安定性の点から、TiO2粒子、MgTiO3粒子、
CaTiO3粒子、SrTiO3粒子、BaTiO3粒子
およびPbZrO3−PbTiO3粒子が好ましい。
【0094】前記高熱伝導性樹脂材料を用い、これとア
ルミ基板などの金属板状物とを接着させ、さらに銅箔を
接着させることにより放熱プリント基板を製造すること
ができる。この放熱プリント基板はパワーモジュールな
どの放熱を要する部品搭載基板に適している。
【0095】また、前記高誘電率コンデンサー材料を用
い、これを電極で挟みサンドイッチ構造のコンデンサー
部品を製造することができる。また前記高誘電率コンデ
ンサー材料をフィルム状に成形し、基板に直接張り付け
ることにより、カップリングキャパシタとして好適に使
用することができる。
【0096】本発明にかかるシリコーンワニスを用いて
製造された複合材料は通常多孔質であるため誘電率およ
び誘電損失が極めて少ないという特徴を有するものであ
る。
【0097】たとえば、フェニルトリメトキシシラン1
0部、ジメチルジメトキシシラン4.1部、メチルセロ
ソルブ5部、リン酸10%水溶液0.2部で仕込み、加
熱反応させ、固有粘度3.0cm3/gの縮重合物を
え、それを固形分55%になるように、トルエン/イソ
プロパノール=1/1(重量基準)混合溶液で希釈し、
テトライソプロポキシチタン0.7部を加えてえられた
シリコーンワニスを、太さ8000yds/LdのD−
ガラスファイバーを密度が縦43.8本/25mm、横
32.6本/25mm、厚さ0.192mm、重量19
0.8g/m2の平織りクロスに、シリコーンワニスを
含浸させ、120℃で10分間乾燥してえた処理比1.
7のプリプレグを30枚重ね、170℃、10Kgf/
cm2で1時間プレスし、さらに200℃で2時間、つ
づいて250℃で3時間加熱処理を行なって積層板を
え、この積層板の比誘電率および誘電正接を測定したと
ころ、比誘電率=3.2、誘電正接=8×10-4(1M
Hz)であった。
【0098】本発明のシリコーンワニスは少量の酸や金
属イオンを含有しているので半導体用層間絶縁膜として
は不適当なばあいがあるが、たとえばマルチチップモジ
ュールなど電子回路モジュールの層間絶縁膜には充分対
応でき、従来から用いられているエポキシ系層間絶縁膜
に比べて耐電食性(たとえば50℃、85%R.H.な
どの条件下で評価しうる)での遜色は見られない。
【0099】
【実施例】以下に、本発明を具体的な実施例に基づいて
説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるもので
はない。
【0100】[実施例1]脂肪族一価アルコールを除く
水溶性有機溶剤(以下、水溶性有機溶剤ともいう)
(4)としてメチルセロソルブ10.0g、金属を含ま
ずかつ、塩素原子およびリン原子の少なくとも1種を含
む無機酸またはPKa値が0.8〜6である有機酸(以
下、金属を含まない加水分解酸触媒ともいう)(3)と
してリン酸10%水溶液1.0gおよび水26.6gを
ビーカーにとり、撹拌しながら、ジアルコキシシラン
(1)としてジメチルジメトキシシラン(以下、DMD
MOSともいう)88.8g(0.74mol)を少量
づつ加え、そのまま20分間撹拌した。えられた混合溶
液を溶液1−aという。溶液1−aのIRスペクトル
は、ジメチルジメトキシシランにはないSi−OH吸収
を900cm-1付近に示したため、溶液1−aはジメチ
ルジメトキシシランの加水分解物を含む溶液であると同
定した。
【0101】これとは別に、水溶性有機溶剤(4)とし
てメチルセロソルブ50.0g、金属を含まない加水分
解酸触媒(3)としてリン酸10%水溶液4.0gおよ
び水130.6gをビーカーにとり、撹拌しながらフェ
ニルまたはメチルトリアルコキシシラン(2)としてフ
ェニルトリメトキシシラン(以下、PTrMOSともい
う)480.0g(2.42mol)を少量づつ加え、
そのまま30分間撹拌した。えられた溶液を溶液1−b
という。溶液1−bのIRスペクトルは、フェニルトリ
メトキシシランにはないSi−OH吸収を900cm-1
付近に示したため、溶液1−bはフェニルトリメトキシ
シランの加水分解物を含む溶液であると同定した。
【0102】リービッヒ冷却管の先に液溜め(エルレン
マイヤーフラスコ)を付け、温度計、撹拌羽根を付けた
1リットルのセパラブルフラスコ(以下、反応容器とい
う)に溶液1−aと溶液1−bとを入れて混合し、反応
容器をオイルバスに浸け、オイルバスの温度を140分
間かけて170℃まで昇温させたところ、前記液溜めに
メタノールを主成分とする液体が溜まった。
【0103】前記メタノールを主成分とする液体が前記
混合溶液から蒸発するにしたがって、反応容器内の温度
が徐々に上昇していくので、前記のようにオイルバスを
170℃まで上昇させたのち、このオイルバスを150
℃に調節した。
【0104】反応開始より80分間経過後にオイルバス
の電源を切り、内容物の温度が100℃になるまで反応
容器をオイルバス中に保った。前記内容物の温度が10
0℃になったときに、この反応容器内にトルエン63.
7gを加え、そののちリービッヒ管をはずし、ディーン
・スターク管に付け替えた。反応容器中のシリコーンオ
リゴマー溶液(シリコーン縮重合物)を1時間ごとに1
3.2gとりイソプロピルアルコール(以下、IPAと
もいう)3.2gを添加し、EL型粘度計にて粘度を測
定して350〜450mPa・sのときに反応を停止し
た。このときの固有粘度は4〜5cm3/gに対応して
いる。IRスペクトルのSi−OH吸収面積は加熱前よ
り減少していたため、縮合反応による生成物であること
を確認した。25℃の高温槽中でユベローデ型粘度計を
用いて0.1〜5%溶液の流下時間により求めた固有粘
度が4〜5cm3/gになったところで、この反応容器
をオイルバスから引き上げ、60℃以下になるまで放冷
したのち、IPA 63.7gを加え、反応容器内の内
容物が均一になるまでよく撹拌した。さらに、ナフテン
酸亜鉛8%ミネラルスピリット溶液5.6gを加えてよ
く撹拌し、シリコーンワニスをえた。えられたシリコー
ンワニスをシリコーンワニス1という。
【0105】前記シリコーンワニス1の100部に、I
PA/トルエン=1対1の混合溶剤25gを添加した溶
液の粘度は、55mPa・sであった。この溶液の45
℃、6カ月保存後の粘度は58mPa・sであった。
【0106】前記シリコーンワニスを、120mm×3
00mmにカットした直径9μmのEガラス繊維を平織
りし、表面にアミノシラン処理を施したガラスクロス
に、55%含浸させ、120℃の熱風炉で10分間乾燥
させてプリプレグを作製した。えられたプリプレグ表面
にはタックがなく、重ねて保存することができた。えら
れたプリプレグをシリコーンプリプレグ1−aという。
【0107】シリコーンプリプレグ1−aを100mm
×100mmにカットして30枚重ねたのち、プレス機
を用いて圧力10Kgf/cm2、温度170℃で1時
間プレスし、プレス機から取り出し、熱風炉を用いて2
00℃で2時間、ついで250℃で3時間処理すること
により硬化させ、厚さ5mmの積層板をえた。えられた
積層板をシリコーン積層板1−aという。
【0108】シリコーン積層板1−aをJIS−691
1の方法にしたがって曲げ強度試験を行なったところ、
破壊強度は20Kgf/mm2であった。この破壊強度
は、たとえばプリント基板に用いるばあいの実用値であ
る10Kgf/mm2以上よりも大きい。また、この積
層板を熱風炉を用いて300℃で90日間保持したの
ち、前記方法で曲げ強度(熱劣化後の曲げ強度)を測定
したところ、破壊強度は17Kgf/mm2であった。
たとえばガラス−エポキシ積層板のばあい、この破壊強
度は0.5Kgf/mm2以下に劣化し、実用不可能と
なる。
【0109】つぎに、シリコーンワニス1とDCG80
のDガラス繊維を平織りし、表面にアミノシラン処理を
施したガラスクロスとを用いたプリプレグを作製した。
えられたプリプレグをシリコーンプリプレグ1−bとい
う。
【0110】シリコーンプリプレグ1−bを用いて、シ
リコーンプリプレグ1−aのばあいと同様にして、厚さ
5mmの積層板を作製した。えられた積層板をシリコー
ン積層板1−bという。
【0111】シリコーン積層板1−bの両面に、それぞ
れシリコーンプリプレグ1−bを重ね、さらにその両面
を、それぞれ厚さ100μmの銅箔ではさみ、プレス機
を用いて温度170℃、圧力10Kgf/cm2で1時
間プレスし、プレス機から取り出し、熱風炉を用いて2
00℃で2時間、ついで250℃で3時間処理すること
により硬化させて銅箔層が設けられたシリコーン積層板
をえた。
【0112】銅箔層が設けられたシリコーン積層板の銅
箔層をエッチングし、誘電特性をYOKOGAWA H
EWLETT PACKERD 4274A MULT
I−FREQUENCY LCR METERを用い、
容量法で測定したところ、測定周波数が1MHzの条件
下で比誘電率が3.3であり、誘電正接が0.001で
あった。
【0113】[実施例2]表1に記載のジアルコキシシ
ラン(1)、水溶性有機溶剤(4)、金属を含まない加
水分解酸触媒(3)および水を表1に記載の量用いたほ
かは実施例1と同様にして混合溶液をえ、IRスペクト
ルにより加水分解物の同定を行なった。えられた混合溶
液を溶液2−aという。
【0114】なお、表1中のDMDEOSはジメチルジ
エトキシシランを示す。
【0115】これとは別に、表2に記載のフェニルまた
はメチルトリアルコキシシラン(2)、水溶性有機溶剤
(4)、金属を含まない加水分解酸触媒(3)および水
を表2に記載の量用いたほかは実施例1と同様にして混
合溶液をえ、IRスペクトルにより加水分解物の同定を
行なった。えられた混合溶液を溶液2−bという。
【0116】なお、表2中のPTrEOSはフェニルト
リエトキシシランを示す。
【0117】つぎに、溶液1−aと溶液1−bとのかわ
りに、溶液2−aと溶液2−bとを用い、オイルバスの
温度を110分間かけて95℃まで昇温させたほかは実
施例1と同様にしてシリコーンオリゴマー溶液をえ、シ
リコーンオリゴマー溶液のEL型回転粘度計粘度が20
0mPa・s、固有粘度が3cm3/gになったところ
で、60℃以下になるまで放冷した。そののち、表3に
記載の脂肪族一価アルコールまたはそれを含む混合溶剤
(以下、脂肪族一価アルコール系溶剤ともいう)(B)
および金属原子を含む縮合触媒(C)を表3に記載の量
加えてよく撹拌し、シリコーンワニスをえた。縮合反応
物の同定はIRスペクトルで行なった。えられたシリコ
ーンワニスをシリコーンワニス2という。
【0118】前記シリコーンワニス2の45℃、6カ月
保存後の回転粘度計粘度変化を実施例1と同様にして測
定した。結果を表4に示す。
【0119】シリコーンワニス1のかわりにシリコーン
ワニス2を用いたほかは実施例1と同様の方法にして曲
げ強度測定用積層板(シリコーン積層板2)をえて評価
した。
【0120】また、シリコーンワニス1のかわりにシリ
コーンワニス2を用いたほかは実施例1と同様にして誘
電特性測定用シリコーン積層板(電極を有するシリコー
ン積層板)をえ、比誘電率および誘電正接を測定した。
結果を表5に示す。
【0121】[実施例3]表1に記載のジアルコキシシ
ラン(1)、水溶性有機溶剤(4)、金属を含まない加
水分解酸触媒(3)および水を表1に記載の量用いたほ
かは実施例1と同様にして混合溶液をえ、IRスペクト
ルにより加水分解物の同定を行なった。えられた混合溶
液を溶液3−aという。
【0122】これとは別に、表2に記載のフェニルまた
はメチルトリアルコキシシラン(2)、水溶性有機溶剤
(4)、金属を含まない加水分解酸触媒(3)および水
を表2に記載の量用いたほかは実施例1と同様にして混
合溶液をえ、IRスペクトルにより加水分解物の同定を
行なった。えられた混合溶液を溶液3−bという。
【0123】つぎに、溶液1−aと溶液1−bとのかわ
りに、溶液3−aと溶液3−bとを用い、オイルバスの
温度を110分間かけて95℃まで昇温させたほかは実
施例1と同様にしてシリコーンオリゴマー溶液をえ、シ
リコーンオリゴマー溶液のEL型回転粘度計粘度が80
0mPa・s、固有粘度が6cm3/gになったところ
で、60℃以下になるまで放冷した。そののち、表3に
記載の脂肪族一価アルコール系溶剤(B)および金属原
子を含む縮合触媒(C)を表3に記載の量加えてよく撹
拌し、シリコーンワニスをえた。縮合反応物の同定はI
Rスペクトルで行なった。えられたシリコーンワニスを
シリコーンワニス3という。
【0124】前記シリコーンワニス3の45℃、6カ月
保存後の回転粘度計粘度変化を実施例1と同様にして測
定した。結果を表4に示す。
【0125】シリコーンワニス1のかわりにシリコーン
ワニス3を用いたほかは実施例1と同様にして曲げ強度
測定用積層板(シリコーン積層板3)をえて評価した。
【0126】また、シリコーンワニス1のかわりにシリ
コーンワニス3を用いたほかは実施例1と同様にして誘
電特性測定用シリコーン積層板(電極を有するシリコー
ン積層板)をえ、比誘電率および誘電正接を測定した。
結果を表5に示す。
【0127】[実施例4]表1に記載のジアルコキシシ
ラン(1)、水溶性有機溶剤(4)、金属を含まない加
水分解酸触媒(4)および水を表1に記載の量用いたほ
かは実施例1と同様にして混合液をえ、IRスペクトル
により加水分解物の同定を行なった。えられた混合溶液
を溶液4−aという。
【0128】これとは別に、表2に記載のフェニルまた
はメチルトリアルコキシシラン(2)、水溶性有機溶剤
(4)、金属を含まない加水分解酸触媒(3)および水
を表2に記載の量用いたほかは実施例1と同様にして混
合溶液をえ、IRスペクトルにより加水分解物の同定を
行なった。えられた混合溶液を溶液4−bという。
【0129】つぎに、溶液1−aと溶液1−bとのかわ
りに、溶液4−aと溶液4−bとを用い、オイルバスの
温度を110分間かて95℃まで昇温させたほかは実施
例1と同様にしてシリコーンオリゴマー溶液をえ、シリ
コーンオリゴマー溶液のEL型回転粘度計粘度が50m
Pa・s、固有粘度が1cm3/gになったところで、
60℃以下になるまで放冷した。そののち、表3に記載
の脂肪族一価アルコール系溶剤(B)および金属原子を
含む縮合触媒(C)を表3に記載の量加えてよく撹拌
し、シリコーンワニスをえた。縮合反応物の同定はIR
スペクトルで行なった。えられたシリコーンワニスをシ
リコーンワニス4という。
【0130】前記シリコーンワニス4の45℃、6カ月
保存後の回転粘度計粘度変化を実施例1と同様にして測
定した。結果を表4に示す。
【0131】シリコーンワニス1のかわりにシリコーン
ワニス4を用いたほかは実施例1と同様にして曲げ強度
測定用積層板(シリコーン積層板4)をえて評価した。
【0132】また、シリコーンワニス1のかわりにシリ
コーンワニス4を用いたほかは実施例1と同様にして誘
電特性測定用シリコーン積層板(電極を有するシリコー
ン積層板)をえ、比誘電率および誘電正接を測定した。
結果を表5に示す。
【0133】[実施例5]表1に記載のジアルコキシシ
ラン(1)、水溶性有機溶剤(4)、金属を含まない加
水分解触媒(3)および水を表1に記載の量用いたほか
は実施例1と同様にして混合溶液をえ、IRスペクトル
により加水分解物の同定を行なった。えられた混合溶液
を溶液5−aという。
【0134】なお、表1に記載のDMDPOSは、ジメ
チルジプロポキシシランを示す。
【0135】これとは別に、表2に記載のフェニルまた
はメチルトリアルコキシシラン(2)、水溶性有機溶剤
(4)、金属を含まない加水分解触媒(3)および水を
表2に記載の量用いたほかは実施例1と同様にして混合
溶液をえ、IRスペクトルにより加水分解物の同定を行
なった。えられた混合溶液を溶液5−bという。
【0136】なお、表2に記載のPTrMOSはフェニ
ルトリプロポキシシランを示す。
【0137】つぎに、溶液1−aと1−bとのかわり
に、溶液5−aと溶液5−bとを用い、オイルバスの温
度を110分間かけて95℃まで昇温させたほかは実施
例1と同様にしてシリコーンオリゴマー溶液をえ、シリ
コーンオリゴマー溶液のEL型回転粘度計粘度が100
0mPa・s、固有粘度が7cm3/gになったところ
で、60℃以下になるまで放冷した。そののち、表3に
記載の脂肪族一価アルコール系溶剤(B)および金属原
子を含む縮合触媒(C)を表3に記載の量加えてよく撹
拌し、シリコーンワニスをえた。縮合反応物の同定はI
Rスペクトルで行なった。えられたシリコーンワニスを
シリコーンワニス5という。
【0138】前記シリコーンワニス5の45℃、6カ月
保存後の回転粘度計粘度変化を実施例1と同様にして測
定した。結果を表4に示す。
【0139】シリコーンワニス1のかわりにシリコーン
ワニス5を用いたほかは実施例1と同様にして曲げ強度
測定用積層板(シリコーン積層板5)をえて評価した。
【0140】また、シリコーンワニス1のかわりにシリ
コーンワニス5を用いたほかは実施例1と同様にして、
誘電特性測定用シリコーン積層板(電極を有するシリコ
ーン積層板)をえ、比誘電率および誘電正接を測定し
た。結果を表5に示す。
【0141】[実施例6]表1に記載のジアルコキシシ
ラン(1)、水溶性有機溶剤(4)、金属を含まない加
水分解触媒(3)および水を表1に記載の量用いたほか
は実施例1と同様にして混合溶液をえ、IRスペクトル
により加水分解物の同定を行なった。えられた混合溶液
を6−aという。
【0142】これとは別に、表2に記載のフェニルまた
はメチルトリアルコキシシラン(2)、水溶性有機溶剤
(4)、金属を含まない加水分解触媒(3)および水を
表2に記載の量用いたほかは実施例1と同様にして混合
溶液をえ、IRスペクトルにより加水分解物の同定を行
なった。えられた混合溶液を溶液6−bという。
【0143】つぎに、溶液1−aと1−bとのかわり
に、溶液6−aと溶液6−bとを用い、オイルバスの温
度を110分間かけて95℃まで昇温させたほかは実施
例1と同様にしてシリコーンオリゴマー溶液をえ、シリ
コーンオリゴマー溶液のEL型回転粘度計粘度が70m
Pa・s、固有粘度が2cm3/gになったところで、
60℃以下になるまで放冷した。そののち、表3に記載
の脂肪族一価アルコール系溶剤(B)および金属原子を
含む縮合触媒(C)を表3に記載の量加えてよく撹拌
し、シリコーンワニスをえ、IRスペクトルで縮合反応
物を確認した。えられたシリコーンワニスをシリコーン
ワニス6という。
【0144】前記シリコーンワニス6の45℃、6カ月
保存後の回転粘度計粘度変化を実施例1と同様にして測
定した。結果を表4に示す。
【0145】シリコーンワニス1のかわりにシリコーン
ワニス6を用いたほかは実施例1と同様にして曲げ強度
測定用積層板(シリコーン積層板6)をえて評価した。
【0146】また、シリコーンワニス1のかわりにシリ
コーンワニス6を用いたほかは実施例1と同様にして誘
電特性測定用シリコーン積層板(電極を有するシリコー
ン積層板)をえ、比誘電率および誘電正接を測定した。
結果を表5に示す。
【0147】[実施例7]表1に記載のジアルコキシシ
ラン(1)、水溶性有機溶剤(4)、金属を含まない加
水分解触媒(3)および水を表1に記載の量用いたほか
は実施例1と同様にして混合溶液をえ、IRスペクトル
により加水分解物の同定を行なった。えられた混合溶液
を溶液7−aという。
【0148】なお、表1に記載のDMDBOSはジメチ
ルジブトキシシランを示す。
【0149】これとは別に、表2に記載のフェニルまた
はメチルトリアルコキシシラン(2)、水溶性有機溶剤
(4)、金属を含まない加水分解触媒(3)および水を
表2に記載の量用いたほかは実施例1と同様にして混合
溶液をえ、IRスペクトルにより加水分解物の同定を行
なった。えられた混合溶液を7−bという。
【0150】なお、表2に記載のPTrBOSはフェニ
ルトリブトキシシランを示す。
【0151】つぎに、溶液1−aと1−bとのかわり
に、溶液7−aと溶液7−bとを用い、オイルバスの温
度を110分間かて95℃まで昇温させたほかは実施例
1と同様にしてシリコーンオリゴマー溶液をえ、シリコ
ーンオリゴマー溶液のEL型回転粘度計粘度が400m
Pa・s、固有粘度が4cm3/gになったところで、
60℃以下になるまで放冷した。そののち、表3に記載
の脂肪族一価アルコール系溶剤(B)および金属原子を
含む縮合触媒(C)を表3に記載の量加えてよく撹拌
し、シリコーンワニスをえた。縮合反応物の同定はIR
スペクトルで行なった。えられたシリコーンワニスをシ
リコーンワニス7という。
【0152】前記シリコーンワニス7の45℃、6カ月
保存後の回転粘度計粘度変化を実施例1と同様にして測
定した。結果を表4に示す。
【0153】シリコーンワニス1のかわりにシリコーン
ワニス7を用いたほかは実施例1と同様にして曲げ強度
測定用積層板(シリコーン積層板7)をえて評価した。
【0154】また、シリコーンワニス1のかわりにシリ
コーンワニス7を用いたほかは実施例1と同様にして誘
電特性測定用シリコーン積層板(電極を有するシリコー
ン積層板)をえ、比誘電率および誘電正接を測定した。
結果を表5に示す。
【0155】
【表1】
【0156】
【表2】
【0157】
【表3】
【0158】
【表4】
【0159】
【表5】
【0160】[実施例8]シリコーンワニス4および直
径9μmのEガラス繊維を平織りにし、表面をアミノシ
ラン処理したガラスクロスを用いて平野金属(株)製プ
リプレグ専用処理機で、幅20mm、長さ20mのシリ
コーン/ガラスクロスリボン型プリプレグを作製した。
このときの乾燥条件は120℃で10分間とした。えら
れたリボン型プリプレグをプリプレグ8という。
【0161】プリプレグ8を直径50mm、長さ5mの
銅パイプの外周に右巻きと左巻きを交互にし、手で螺旋
状に巻き付け、その上にシリコーン離型剤を塗布したア
ルミ箔をかぶせ、加熱用のリボンヒータを螺旋状に巻き
付けたのち、熱拡散防止用の断熱リボン(ガラスクロ
ス)を巻き付けた。つぎにリボンヒータに通電し、この
リボンヒータを180℃まで加熱し、そのまま60分間
放置後、さらにこのリボンヒーター温度を250℃まで
上げ、60分間放置したのち硬化したプリプレグが強力
に接着された銅管がえられた。この工法は特に、既に配
管されている管あるいは長い管の一部だけに処理を施す
のに効果的である。
【0162】[実施例9]実施例4と同様にして作製し
たシリコーンプリプレグ4を100mm×100mmに
カットし、30枚重ね、シリコーン離型剤を塗布したア
ルミ箔で上下をはさんで、170℃で4時間キュアー
し、さらに250℃で1時間キュアーすることにより、
厚さ約7mmの積層板をえた。えられた積層板をシリコ
ーン積層板9という。
【0163】シリコーン積層板9をJIS−6911に
従って、曲げ強度試験を行なったところ、12Kgf/
mm2の破壊強度をえた。また、この積層板を300℃
のもと90日間保ったのち、前記方法で曲げ強度を測定
したところ、10Kgf/mm2の破壊強度をえた。
【0164】この工法では、特にプレス機を使用せず、
平板の作製は自重で成形できる。また複雑な形状でも簡
単な金型で成形可能であり、金型の自重(0.1Kgf
/cm2)であれば充分成形できるため、たとえばレー
ダー用コンフォーマル基板など非平面の積層板が容易に
えられる。
【0165】[実施例10]実施例1と同様にして作製
したシリコーンワニス1の500gに球状アルミナ粒子
(平均粒径26μm)1700gを加えて、よく混練し
た。これをポリテトラフルオロエチレンフィルムを貼り
付けたガラス板上に厚さ約0.3mmになるように延ば
し、真空オーブンに入れ、これを1mmHgに減圧し、
常温で1時間放置後、減圧を保ちながら昇温速度5℃/
分で、40℃まで昇温し、この温度を10分間ホールド
し、つづいて60℃まで昇温し、この温度を15分間ホ
ールドして乾燥させることにより、表面にタックのない
フィルムを作製した。このフィルムを200mm角にな
るようにカッターナイフで切り、200mm角の1mm
厚アルミ板の上に重ね、その上に厚さ35μmの銅箔を
重ね、3Kgf/cm2圧で、120℃2時間、さらに
170℃で3時間真空プレスし、基板(金属ベース基
板)をえた。えられた基板のシリコーン樹脂層の厚さは
112μmであった。この基板を直径2cmの円板状に
打ち抜き、打ち抜いた基板の両側の金属層をエッチング
液で除去したのち、キセノンフラッシュ法で熱伝導率を
測定したところ、4.0W/m・Kであった。また、耐
電圧は8KVで2分間あった。
【0166】なお、耐電圧はASTM D149に準じ
た装置を用い、フロリナートオイル中で、60Hz、
0.5KV/s、8KVまで昇圧し、そののち絶縁破壊
が起こるまで電圧をホールドして絶縁破壊までの通電時
間を測定した。
【0167】[実施例11]シリコーンワニス2を用い
たほかは実施例1と同様にしてえた銅板を設けた積層板
に通常の手法(ここではスルーホール開け、パネル銅メ
ッキ、レジストフィルム張り付け、露光、現像、銅エッ
チングおよびレジスト剥離などの工程からなる手法を用
いた)でライン&スペース200μmおよび500μm
のマイグレーションテスト用櫛形パターンを片面に、他
の面に半田浸漬テスト用のライン幅1.27mm、長さ
80mmをスペース1.91mmで形成した形状の2枚
の基板を櫛形パターン面を内側にして同じ向きに重ね、
その2枚の間に実施例2と同様にしてえられたシリコー
ンプリプレグを挟み込み、10Kgf/cm2の圧力で
170℃で3時間プレスし、さらにプレスから取り出
し、200℃で2時間ののち硬化を行なった。つぎに、
内側の櫛形パターンを層間で導通させるための直径0.
2mmのスルーホールを8カ所(各ライン&スペースに
2対ずつ)あけ、レジストを用いてスルーホール部にメ
ッキを施し、ソルダーレジストを印刷することにより4
層プリント基板をえた。この基板を260℃の半田浴に
5分間浸漬したが、外観上のパターン膨れ、基板の変形
などの変化がみられず良好であった。さらに櫛形電極の
絶縁低下もみられず、スルーホールの導通は良好であっ
たことから、基板の耐熱性が良好であることがわかっ
た。
【0168】[実施例12]フェニルトリメトキシシラ
ン10部、ジメチルジメトキシシラン4.5部、エチル
セロソルブ5部、リン酸10%水溶液0.2部を仕込
み、加熱反応させ、固有粘度2.6cm3/gの縮合物
をえ、それを固形分40%になるようにトルエン:イソ
プロパノール=1:1(重量比)の混合溶剤で希釈し、
テトライソプロポキシチタン0.7部を加えてシリコー
ンワニスを作製し、厚さ1.57mm、縦横40mm角
のBTレジン銅張り積層板(三菱ガス化学(株)製のC
CL−HL870)上に、ナフトキノンジアジド型ポジ
型レジストAZ LP−10(ヘキスト社製)を用いて
ライン&スペース100μm、長さ10mm、幅8mm
の矩形ジグザグパターンを片面に4個作り、その上に実
施例3でえられたシリコーンワニスを800rpmで、
1分間スピンコートした。60℃で10分間、ついで8
0℃で15分間乾燥させたあと上から無電解薄付け銅メ
ッキ、つぎに電解メッキを行ない、ポジ型レジストAZ
LP−10(ヘキスト社製)で層間バイアホールのパ
ターニングを行なった。層間バイヤーホールはジグザグ
パターンの両端にコンタクトする位置に直径50μmで
計8カ所設けられた。このレジストパターンをマスクと
して下層のメッキをエッチングし、レジストを剥離する
ことによりバイヤーホール部分のみ穴のあいた金属マス
クがシリコーン樹脂プリベーグ膜上に形成されたことに
なる つぎに、トルエン/メタノール=1:1(重量比)での
混合液に超音波を当てながら浸漬すると約2分後に下層
のシリコーン膜がエッチングされるので、液から引き上
げ、IPAでリンスした。ついで銅メッキを剥離し、1
20℃で1時間、さらに150℃で1時間で硬化するこ
とによりバイヤーホールがあいたシリコーン樹脂硬化膜
をえた。この硬化膜の膜厚は35μmであった。
【0169】つぎに、上から一様に無電解銅メッキを厚
さ5μmになるように形成し、この上にLP−10を塗
布し、配線パターンを形成する部分のみLP−10を除
去するネガパターンを形成した。パターンは下層に形成
した4つの矩形ジグザグパターンをそれぞれ2つ、つな
げるための100μm幅のライン2本のみとした。さら
に電解メッキを25μm厚になるように形成した。電解
メッキは無電解銅が露出した面のみに形成された。LP
−10を剥離し、銅を軽くエッチングすることにより、
無電解銅メッキのみの部分(メッキ厚の薄い部分)が除
去され、銅配線パターンがえられた(このパターニング
法をセミアデティブ法という)。銅パターンの上からシ
リコーンワニスを800rpm、1分間塗布し、乾燥後
同様にエッチングによりバイヤーホールをあけた。ホー
ルは2層目でつなげたバイヤーホールを除くホールと同
位置にあけた。シリコーン樹脂を同様に硬化したのち、
セミアディテブ法によりパターニングした。パターンは
バイヤーホール部分から最下層と同じパターンを形成し
た。つまり2層の矩形ジグザグパターンの間に2パター
ンづつの導通層を挟み込んだパターンとなる。この上に
感光性ソルダーレジストで端子(4カ所)以外をカバー
した。こうしてシリコーン樹脂膜を層間絶縁膜として3
層積み重ねて電子モジュール用ビルドアップ3層基板を
えた。
【0170】この電子モジュール用ビルドアップ3層基
板の端子間の導通は良好で、260℃半田浴に5分間浸
漬したが、外見変化および導通変化は見られなかった。
【0171】[実施例13]メチルトリメトキシシラン
9部、ジメチルジメトキシシラン4.5部、エチルセロ
ソルブ5部、リン酸10%水溶液0.2部を仕込み、加
熱反応させ、固有粘度2.4cm3/gの縮合物をえ、
それを固形分60%になるようにトルエン:イソプロパ
ノール=1:1(重量比)の混合溶剤で希釈し、テトラ
イソプロポキシチタン0.7部を加えてシリコーンワニ
スを作製し、E−ガラスクロス(繊維系9μm、平織
り、厚さ0.22)に前記シリコーンワニスを含浸さ
せ、120℃で15分間風乾し、処理比1.9のプリプ
レグをえた。えられたプリプレグを15枚重ね、重ねた
まま170℃で20時間加熱したのち、200℃、8K
gf/cm2の圧力で1.5時間プレスした。えられた
積層板の厚さは3.4mmであった。この積層板を実施
例1と同様にプリプレグと銅箔で挟み、170℃、8K
gf/cm2で1.5時間プレスしたのちプレス機から
取り出し、200℃で1時間、250℃で2時間硬化さ
せて銅張り積層板をえた。この銅張り積層板から実施例
8と同様にして多層基板をえた。
【0172】これを260℃の半田浴に5分間浸漬した
が、外観上のパターン膨れ、基板の変形などの変化がみ
られず良好であった。さらに櫛形電極の導通も見られ
ず、スルーホールの導通は良好であったことから、基板
の耐熱性が良好であることがわかった。
【0173】[実施例14]フェニルトリメトキシシラ
ン10部、メチルフェニルジメトキシシラン7.0部、
エチルセロソルブ5部、シュウ酸10%水溶液0.4部
で仕込み、加熱反応させ、固有粘度2.2cm3/gの
縮合物をえ、それを固形分65%になるようにトルエ
ン:エタノール=1:1(重量比)の混合溶剤で希釈
し、テトラメトキシシチタン0.6部を加えてシリコー
ンワニスを作製し、スピンコート条件を1000rp
m、1分間にした以外は実施例12と同条件で多層基板
をえた。
【0174】この多層基板の端子間の導通は良好で、2
60℃半田浴に5分間浸漬したが、外見変化および導通
不良は見られなかった。
【0175】[実施例15]実施例2と同様にして作製
したシリコーンワニス2の500gにBaTiO3破砕
物(高純度化学研究所製)を100メッシュのふるいに
とおしたもの500gを加え、よく撹拌したのち、ポリ
テトラフルオロエチレンフィルムを貼り付けた角ガラス
板上に厚さ0.5mmになるように塗布し真空オーブン
に入れる、これを1mmHgに減圧し、室温で2時間放
置後、減圧を保ちながら昇温速度5℃/分で、40℃ま
で昇温し、この温度を15分間ホールドし、つづいて6
0℃まで昇温し、この温度を10分間ホールドして乾燥
させることにより、表面にタックのない固いフィルムが
えられた。このフィルムをハンマーで破砕し、50メッ
シュのふるいにとおした。えられた粉末5gを内径20
mm、高さ40mmの円筒状のステンレス金型に詰め、
金型内をロータリーポンプで減圧しながら、10Kgf
/cm2圧で上から金型内の粉末を圧縮した。ついで金
型を170℃まで5℃/分で昇温し、170℃で1時間
ホールドした。このようにして円盤状の厚さ約1mmの
円盤成形体がえられた。えられた成形体をさらに200
℃1時間で後硬化させ、そののち両面にCu電極を蒸着
し、容量法で誘電物性を測定したところ、1MHzで比
誘電率が800であり、誘電正接が0.0004であっ
た。
【0176】[比較例1]PTEOS 480g、DM
DMOS 88.8g、水 157g、トリフルオロメ
タンスルフォン酸5%水溶液10gを1Lビーカーに入
れ、100℃で撹拌したところ2時間後より増粘が始ま
り、約20分後にゲル化し、トルエン、メタノール、N
−メチルピロリドン、メチルエチルケトンならびにテト
ラヒドロフランおよびその混合液に対して不溶となっ
た。
【0177】[比較例2]PTEOS 480g、DM
DMOS 88.8g、水 157g、リン酸10%水
溶液5gを1Lビーカーに入れ、100℃で4時間撹拌
させた。えられた溶液にMIBK(メチルイソブチルケ
トン)100gを加え、この溶液をガラスクロスに含浸
させたのち120℃で5分間乾燥させてプリプレグをえ
た。しかしながら、このプリプレグはすでに硬化が進ん
でおり、このプリプレグを5cm角に切断し、10枚重
ねて170℃、50Kgf/cm2でプレスを行なった
が樹脂成分が流れる積層板を作製することができなかっ
た。
【0178】[比較例3]PTEOS 480g、DM
DMOS 88.8g、水 157g、リン酸10%水
溶液5gを1Lビーカーに入れ、100℃で4時間撹拌
させた。えられた溶液にトルエン100gを加え、つぎ
に10%炭酸ナトリウム溶液50gを加え、内容物を分
液ロートに移し、トルエン層のみを抽出した。えられた
トルエン溶液は保存安定性に優れており、25℃で3カ
月間保存後も変化が見られなかった。しかしながら、ナ
フテン酸亜鉛(Zn含有8%ミネラルスピリット溶液)
5gを加えると25℃、2日でゲル化してしまった。こ
のため、この樹脂組成物は使用直前に硬化触媒(ナフテ
ン酸亜鉛など)を添加しなければならなかった。
【0179】
【発明の効果】
(A)(1)フェニル基および炭素数1〜3のアルキル
基のうちの1種または2種を有し、炭素数1〜4のアル
コキシ基を有するジアルコキシシラン、(2)炭素数1
〜4のアルコキシ基を有するフェニルトリアルコキシシ
ランまたはメチルトリアルコキシシラン、(3)金属を
含まずかつ、塩素原子およびリン原子の少くとも1種を
含む無機酸またはPKa値が0.8〜6である有機酸、
および(4)水または水と脂肪族一価アルコールを除く
水溶性有機溶剤とからなる溶剤の混合物を加熱下、脱水
縮合してえられた25℃での固有粘度が0.1〜10c
3/gのシリコーンオリゴマー、 (B)脂肪族一価アルコールまたはそれを含む混合溶剤
ならびに (C)金属原子を含む縮合触媒からなる本発明のシリコ
ーンワニスは、コーティング、層間絶縁膜、プリプレ
グ、積層板、プリント基板などに適した高耐熱シリコー
ン系ワニスである。また、このシリコーンワニスは長期
間の保存によっても、その特性が安定性したものであ
る。
【0180】前記水または水と脂肪族一価アルコールを
除く水溶性有機溶剤とからなる溶剤(4)がグリコール
エーテルを含む溶剤であることにより、加水分解したア
ルコキシシランおよびその縮合体が、このグリコールエ
ーテルを含む溶剤に溶解しやすくなり、好適なシリコー
ンワニスをえることができる。
【0181】前記金属を含まずかつ、塩素原子およびリ
ン原子の少くとも1種を含む無機酸またはPKa値が
0.8〜6である有機酸(3)が、リン酸、塩酸、シュ
ウ酸、酢酸またはギ酸であることにより、ほとんどゲル
化させることなくアルコキシシランを縮重合させること
ができ、好適なシリコーンワニスをえることができる。
【0182】前記金属原子を含む縮合触媒(C)が、有
機酸スズ塩、有機酸鉛塩、有機酸コバルト塩、有機酸亜
鉛塩、有機酸マンガン塩、有機酸鉄塩または炭素数1〜
4のアルコキシ基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基
およびアセトキシ基を含むモノチタン化合物であり、有
機酸がヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸またはナフテ
ン酸であることにより、この縮合触媒がシラノール縮合
に対する触媒効果が大きいので、好適なシリコーンワニ
スをえることができる。
【0183】前記シリコーンワニスを補強布、不織布ま
たはフィラメントに含浸させて、タックがない状態まで
乾燥させたシリコーンワニス含浸プリプレグは、基材に
対する、あるいはプリプレグ同士の密着性に優れている
ため、基材表面に断熱層や絶縁膜を設けたり、積層板を
成形するのに適している。また、このシリコーンワニス
含浸プリプレグはタックがない状態まで乾燥させてある
ので、重ねて保存することができる。また、タックフリ
ーになるまで乾燥させた、このシリコーンワニス含浸プ
リプレグ中にもプリプレグの保存安定性を維持するのに
有効な脂肪族一価アルコールが残存しており、これらは
シラノール縮合を阻害するので、プリプレグの保存安定
性もよい。また、このシリコーンワニス含浸プリプレグ
は基材表面に断熱層や絶縁膜を設けたり、積層板を成形
するのに適しており、さらに、接着や積層化のために特
別に強い圧力が必要ではないため、プレス機などの特殊
な装置を用いなくても充分な接着力、層間強度がえられ
る。
【0184】前記シリコーンワニス含浸プリプレグはプ
リプレグ同士の密着性に優れているため、これを複数枚
重ねて熱硬化させ、好適な複合材料にすることができ
る。
【0185】前記シリコーンワニス含浸プリプレグは基
材に対する密着性に優れているため、これを基材にかぶ
せてまたは巻き付けて熱硬化させ、好適な複合材料にす
ることができる。
【0186】前記シリコーン含浸プリプレグを複数枚重
ねて熱硬化させてえられた複合材料は、優れた機械強度
を有し、ガラス−エポキシ積層板に比べ誘電率が低く、
誘電損失が小さいという特性を有するものである。それ
ゆえ、複合材料の両面または片面に銅、アルミなどから
なる金属層を設けることにより、プリント基板用積層板
として好適に使用することができる。
【0187】前記プリント基板用積層板の片面または両
面に回路を形成することによりプリント基板を製造する
ことができ、さらに、このようにして製造したプリント
基板を2枚以上、好ましくは2〜15枚重ね、プリント
基板とプリント基板との間に前記シリコーンワニス含浸
プリプレグを挟み込み、熱プレス成形することにより、
多層構造を有するプリント基板を製造することができ
る。
【0188】前記シリコーンワニスの硬化物はエポキシ
樹脂に比べ耐熱性に優れており、さらに誘電率が低く、
誘電損失が低いため、電子回路モジュール用ビルドアッ
プ基板の層間絶縁膜に適している。
【0189】また、前記シリコーンワニスは、プリプレ
グを製造するかわりに、シリコーンワニスと無機の粉
体、粒子またはウィスカーとの混合物を製造し、加熱し
て脱溶媒してフイルム状物をえたり、固体をえたりして
用いてもよい。このフィルム状物または固体を粉砕した
ものは、複雑な形状の固体の成形に適している。
【0190】前記複合成形体としては、たとえばアルミ
ナ粒子単体またはアルミナ粒子とチッ化ホウ素粒子とを
添加した高熱伝導性樹脂材料、TiO2粒子などの高誘
電率粒子を添加した高誘電率コンデンサー材料などがあ
げられる。前記高熱伝導性樹脂材料を用い、これとアル
ミ基板などの金属板状物とを接着させ、さらに銅箔を接
着させることにより放熱プリント基板を製造することが
できる。この放熱プリント基板はパワーモジュールなど
の放熱を要する部品搭載基板に適している。また、前記
高誘電率コンデンサー材料を用い、これを電極で挟みサ
ンドイッチ構造のコンデンサー部品を製造することがで
きる。また前記高誘電率コンデンサー材料をフィルム状
に成形し、基板に直接張り付けることにより、カップリ
ングキャパシタとして好適に使用することができる。
【0191】(A)(1)フェニル基および炭素数1〜
3のアルキル基のうちの1種または2種を有し、炭素数
1〜4のアルコキシ基を有するジアルコキシシラン、
(2)炭素数1〜4のアルコキシ基を有するフェニルト
リアルコキシシランまたはメチルトリアルコキシシラ
ン、(3)金属を含まずかつ、塩素原子およびリン原子
の少くとも1種を含む無機酸またはPKa値が0.8〜
6である有機酸、および(4)水または水と脂肪族一価
アルコールを除く水溶性有機溶剤とからなる溶剤の混合
物を加熱下、脱水縮合してえられる25℃での固有粘度
が0.1〜10cm3/gのシリコーンオリゴマーをえ
たのち、 (B)脂肪族一価アルコールまたはそれを含む混合溶剤
ならびに (C)金属原子を含む縮合触媒を加えることを特徴とす
るシリコーンワニスの製法により製造しうる本発明のシ
リコーンワニスは、コーティング、層間絶縁膜、プリプ
レグ、積層板、プリント基板などに適した高耐熱シリコ
ーン系ワニスである。また、このシリコーンワニスは長
期間の保存によっても、その特性が安定したものであ
る。
【0192】前記の製法において、前記水または水と脂
肪族一価アルコールを除く水溶性有機溶剤とからなる溶
剤(4)がグリコールエーテルを含む溶剤であることに
より、加水分解したアルコキシシランおよびその縮合体
が、このグリコールエーテルを含む溶剤に溶解しやすく
なり、好適なシリコーンワニスをえることができる。
【0193】前記の製法において、前記金属を含まずか
つ、塩素原子およびリン原子の少くとも1種を含む無機
酸またはPKa値が0.8〜6である有機酸(3)が、
リン酸、塩酸、シュウ酸、酢酸またはギ酸であることに
より、ほとんどゲル化させることなくアルコキシシラン
を縮重合させることができ、好適なシリコーンワニスを
えることができる。
【0194】前記の製法において、前記金属原子を含む
縮合触媒(C)が、有機酸スズ塩、有機酸鉛塩、有機酸
コバルト塩、有機酸亜鉛塩、有機酸マンガン塩、有機酸
鉄塩または炭素数1〜4のアルコキシ基もしくは炭素数
1〜4のアルコキシ基およびアセトキシ基を含むモノチ
タン化合物であり、有機酸がヘプタン酸、オクタン酸、
ノナン酸またはナフテン酸であることにより、この縮合
触媒がシラノール縮合に対する触媒効果が大きいので、
好適なシリコーンワニスをえることができる。
【0195】前記のシリコーンワニスと無機の粉体、粒
子またはウィスカーとの混合物を加熱して脱溶媒してえ
られたフィルム状物または固体を粉砕したものを熱プレ
スによりまたは成形機で成形することを特徴とする複合
成形体の製法により、複雑な形状の固体を成形しうる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 足達 廣士 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内 (72)発明者 久保田 繁 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内 (72)発明者 小早川 三砂緒 兵庫県三田市三輪二丁目6番1号 菱電 化成株式会社内 (72)発明者 畠中 康司 兵庫県三田市三輪二丁目6番1号 菱電 化成株式会社内 (56)参考文献 特開 昭57−38826(JP,A) 特開 昭64−168(JP,A) 特開 平7−149543(JP,A) 特開 平2−284976(JP,A) 特開 平4−180977(JP,A) 特開 平2−254976(JP,A) 特開 昭63−278977(JP,A) 特開 平6−240143(JP,A) 特開 平4−106172(JP,A) 特開 平4−65447(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 183/02 - 183/08 C08G 77/06 - 77/18 C08J 5/24

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)(1)フェニル基および炭素数1
    〜3のアルキル基のうちの1種または2種を有し、炭素
    数1〜4のアルコキシ基を有するジアルコキシシラン、
    (2)炭素数1〜4のアルコキシ基を有するフェニルト
    リアルコキシシランまたはメチルトリアルコキシシラ
    ン、(3)金属を含まずかつ、塩素原子およびリン原子
    の少くとも1種を含む無機酸またはPKa値が0.8〜
    6である有機酸、および(4)水または水と脂肪族一価
    アルコールを除く水溶性有機溶剤とからなる溶剤の混合
    物を加熱下、脱水縮合してえられた25℃での固有粘度
    が0.1〜10cm3/gのシリコーンオリゴマー、 (B)脂肪族一価アルコールまたはそれを含む混合溶剤
    ならびに (C)金属原子を含む縮合触媒からなるシリコーンワニ
    ス。
  2. 【請求項2】 水または水と脂肪族一価アルコールを除
    く水溶性有機溶剤とからなる溶剤(4)がグリコールエ
    ーテルを含む溶剤である請求項1記載のシリコーンワニ
    ス。
  3. 【請求項3】 金属を含まずかつ、塩素原子およびリン
    原子の少くとも1種を含む無機酸またはPKa値が0.
    8〜6である有機酸(3)が、リン酸、塩酸、シュウ
    酸、酢酸またはギ酸である請求項1または2記載のシリ
    コーンワニス。
  4. 【請求項4】 金属原子を含む縮合触媒(C)が、有機
    酸スズ塩、有機酸鉛塩、有機酸コバルト塩、有機酸亜鉛
    塩、有機酸マンガン塩、有機酸鉄塩または炭素数1〜4
    のアルコキシ基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基お
    よびアセトキシ基を含むモノチタン化合物であり、有機
    酸がヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸またはナフテン
    酸である請求項1、2または3記載のシリコーンワニ
    ス。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3または4記載のシリコ
    ーンワニスを補強布、不織布またはフィラメントに含浸
    させて、タックがない状態まで乾燥させたシリコーンワ
    ニス含浸プリプレグ。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のシリコーンワニス含浸プ
    リプレグを複数枚重ねて熱硬化させてえられた複合材
    料。
  7. 【請求項7】 請求項5記載のシリコーンワニス含浸プ
    リプレグを基材にかぶせてまたは巻き付けて熱硬化させ
    てなる複合材料。
  8. 【請求項8】 請求項6記載の複合材料の両面または片
    面に金属層を設けたプリント基板用積層板。
  9. 【請求項9】 請求項8記載のプリント基板用積層板を
    用いて作製された片面または両面に回路が形成されたプ
    リント基板を2〜15枚重ね、層間に請求項5記載のシ
    リコーンワニス含浸プリプレグを挟み込み熱プレス成形
    することによりえられた多層構造を有するプリント基
    板。
  10. 【請求項10】 請求項1、2、3または4記載のシリ
    コーンワニスと無機の粉体、粒子またはウィスカーとの
    混合物を加熱して脱溶媒してえられたフィルム状物また
    は固体を粉砕したものを成形してなる複合成形体。
  11. 【請求項11】 請求項1、2、3または4記載のシリ
    コーンワニス硬化物を層間絶縁膜として用いた電子回路
    モジュール用ビルドアップ多層基板。
  12. 【請求項12】 (A)(1)フェニル基および炭素数
    1〜3のアルキル基のうちの1種または2種を有し、炭
    素数1〜4のアルコキシ基を有するジアルコキシシラ
    ン、(2)炭素数1〜4のアルコキシ基を有するフェニ
    ルトリアルコキシシランまたはメチルトリアルコキシシ
    ラン、(3)金属を含まずかつ、塩素原子およびリン原
    子の少くとも1種を含む無機酸またはPKa値が0.8
    〜6である有機酸、および(4)水または水と脂肪族一
    価アルコールを除く水溶性有機溶剤とからなる溶剤の混
    合物を加熱下、脱水縮合してえられる25℃での固有粘
    度が0.1〜10cm3/gのシリコーンオリゴマーを
    えたのち、 (B)脂肪族一価アルコールまたはそれを含む混合溶剤
    ならびに (C)金属原子を含む縮合触媒を加えることを特徴とす
    るシリコーンワニスの製法。
  13. 【請求項13】 水または水と脂肪族一価アルコールを
    除く水溶性有機溶剤とからなる溶剤(4)がグリコール
    エーテルを含む溶剤である請求項12記載のシリコーン
    ワニスの製法。
  14. 【請求項14】 金属を含まずかつ、塩素原子およびリ
    ン原子の少くとも1種を含む無機酸またはPKa値が
    0.8〜6である有機酸(3)が、リン酸、塩酸、シュ
    ウ酸、酢酸またはギ酸である請求項12または13記載
    のシリコーンワニスの製法。
  15. 【請求項15】 金属原子を含む縮合触媒(C)が、有
    機酸スズ塩、有機酸鉛塩、有機酸コバルト塩、有機酸亜
    鉛塩、有機酸マンガン塩、有機酸鉄塩または炭素数1〜
    4のアルコキシ基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基
    およびアセトキシ基を含むモノチタン化合物であり、有
    機酸がヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸またはナフテ
    ン酸である請求項12、13または14記載のシリコー
    ンワニスの製法。
  16. 【請求項16】 請求項1、2、3または4記載のシリ
    コーンワニスと無機の粉体、粒子またはウィスカーとの
    混合物を加熱して脱溶媒してえられたフィルム状物また
    は固体を粉砕したものを熱プレスによりまたは成形機で
    成形することを特徴とする複合成形体の製法。
JP26998295A 1995-10-18 1995-10-18 シリコーンワニス、その製法およびシリコーンワニス含浸プリプレグ Expired - Fee Related JP3258873B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26998295A JP3258873B2 (ja) 1995-10-18 1995-10-18 シリコーンワニス、その製法およびシリコーンワニス含浸プリプレグ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26998295A JP3258873B2 (ja) 1995-10-18 1995-10-18 シリコーンワニス、その製法およびシリコーンワニス含浸プリプレグ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09111187A JPH09111187A (ja) 1997-04-28
JP3258873B2 true JP3258873B2 (ja) 2002-02-18

Family

ID=17479930

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26998295A Expired - Fee Related JP3258873B2 (ja) 1995-10-18 1995-10-18 シリコーンワニス、その製法およびシリコーンワニス含浸プリプレグ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3258873B2 (ja)

Families Citing this family (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1491678B8 (en) 2002-03-29 2009-04-22 Kazari-Ichi Co., Ltd. Composite comprising heat-resistant fiber and siloxane polymer
JP4477335B2 (ja) * 2002-10-22 2010-06-09 有限会社ソフィアプロダクト 光素子用の封着材組成物、封着構造体および光素子
JP2007031565A (ja) * 2005-07-27 2007-02-08 Asahi Glass Co Ltd 硬化性シリコーン樹脂組成物、それを用いた気密容器または電子部品の製造方法
JP5403730B2 (ja) * 2008-03-07 2014-01-29 株式会社Adeka 低誘電性絶縁膜、プラズマディスプレイおよびその製造方法
JP5863266B2 (ja) 2011-04-12 2016-02-16 メルクパフォーマンスマテリアルズIp合同会社 シロキサン樹脂含有塗布組成物
KR101367294B1 (ko) * 2012-11-07 2014-02-28 (주)경동하이테크 섬유 함침용 불연성 세라믹 바인다 수지 조성물의 제조방법과 이 조성물을 사용하여 만든 섬유강화세라믹의 제조방법
US10743412B2 (en) 2014-02-27 2020-08-11 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Substrate and semiconductor apparatus
JP6359879B2 (ja) * 2014-06-03 2018-07-18 丸善石油化学株式会社 ポリビニルホスホン酸の製造方法
CN105778506B (zh) * 2014-12-25 2019-04-30 广东生益科技股份有限公司 一种有机硅树脂组合物及使用它的预浸料、层压板、覆铜板以及铝基板
JP7221581B2 (ja) * 2016-10-13 2023-02-14 日鉄ケミカル&マテリアル株式会社 皮膜形成用塗布液の粘度調整方法
JP6365751B1 (ja) * 2017-07-24 2018-08-01 三菱ケミカル株式会社 酸化ケイ素薄膜形成用バインダー液および塗工液の製造方法
JP7020889B2 (ja) * 2017-12-08 2022-02-16 日鉄ケミカル&マテリアル株式会社 平坦化膜形成用塗布液およびその製造方法、ならびに平坦化膜付き金属箔コイルおよびその製造方法
JP7020890B2 (ja) * 2017-12-08 2022-02-16 日鉄ケミカル&マテリアル株式会社 平坦化膜形成用塗布液およびその製造方法、ならびに平坦化膜付き金属箔コイルおよびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH09111187A (ja) 1997-04-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5864299B2 (ja) 樹脂組成物
JP3258873B2 (ja) シリコーンワニス、その製法およびシリコーンワニス含浸プリプレグ
CN101652401B (zh) 环氧树脂组合物、预浸料坯、层叠板、多层印刷线路板、半导体器件、绝缘树脂片、和制造多层印刷线路板的方法
CN101583568B (zh) 改性钙钛矿型复合氧化物、其制造方法和复合电介质材料
TWI230170B (en) Novel silicone polymer and related thermosetting resin composition, resin film, metal foil with insulating material, insulating film with metal foil on each side, metal-clad laminate, multilayered metal-clad laminate, and multilayered PCB
WO1997001595A1 (fr) Preimpregne pour cartes a circuits imprimes, vernis de resine, composition de resine et plaque feuilletee pour cartes a circuits imprimes produite avec ces substances
JP2004210936A (ja) プリプレグ、シート状樹脂硬化物及び積層体
JP5186221B2 (ja) 難燃性樹脂組成物、それを用いたプリプレグ、積層板、金属張積層板、印刷配線板及び多層印刷配線板
KR102077863B1 (ko) 수지 조성물
WO2006118237A1 (ja) キャパシタ層形成材及びそのキャパシタ層形成材の製造方法
TW200404088A (en) Resin composition with excellent dielectric characteristics, process for producing resin composition, varnish prepared from the same, process for producing the same, prepreg made with these, and metal-clad laminate
JPWO2004102589A1 (ja) 絶縁材料、フィルム、回路基板及びこれらの製造方法
CN103834138A (zh) 用于印刷电路板的树脂组合物和绝缘膜及半固化片以及印刷电路板
JP2021187969A (ja) 高誘電樹脂組成物、それを用いたキャリア付樹脂膜、プリプレグ、積層板、プリント配線基板および半導体装置
CN104419156A (zh) 用于印刷电路板的绝缘树脂组合物及其制造的产品
JP2002212262A (ja) 電気絶縁用樹脂組成物、電子材料用絶縁材料およびその製造方法
CN101583672A (zh) 无机填料和使用该无机填料的复合电介质材料
CN103649185A (zh) 半固化片、层压板、半导体封装件及层压板的制造方法
TW535466B (en) Insulating material for printed wiring board
WO2000049070A1 (fr) Preimpregne, stratifie a revetement metallique et carte a circuit imprime obtenue a partir de ceux-ci
WO2021024924A1 (ja) 樹脂組成物、プリプレグ、樹脂付きフィルム、樹脂付き金属箔、金属張積層板、及び配線板
JP3947464B2 (ja) 樹脂組成物、樹脂硬化物、シート状樹脂硬化物及び積層体
JP3664124B2 (ja) 難燃性樹脂組成物、それを用いたプリプレグ、積層板、金属張積層板、印刷配線板及び多層印刷配線板
CN109608619B (zh) 一种含磷环氧树脂组合物及应用其制备的半固化片和层压板
JP4872166B2 (ja) 導電ペーストを用いた電気回路とその製造方法及び導電ペーストの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071207

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081207

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees