JP3252190B2 - 摺動部材用樹脂組成物 - Google Patents

摺動部材用樹脂組成物

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JP3252190B2
JP3252190B2 JP8670395A JP8670395A JP3252190B2 JP 3252190 B2 JP3252190 B2 JP 3252190B2 JP 8670395 A JP8670395 A JP 8670395A JP 8670395 A JP8670395 A JP 8670395A JP 3252190 B2 JP3252190 B2 JP 3252190B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、摺動部材用樹脂組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】プラス
チック材料は、自己潤滑性に優れている反面、金属材料
と比較して限界pv値が低く、剛性等の機械的強度に劣
るという欠点を有している。ここで「限界pv値」とい
うのは、一般に、摺動部材がある一定の加重(p)の下
において、ある周速度(v)以上になると、材料が溶け
たり、焼きついたりする負荷の限界値を意味する。
【0003】従って、軸受け等の摺動部品にプラスチッ
クを使用する場合には、強度や剛性等の機械的性質、耐
熱性、難燃性、更には成形品の形状、寸法精度等に優れ
ているだけでなく、動摩擦係数が小さく、限界pv値が
高く、摩耗量が少なく、しかも相手材料を傷めない摩擦
摩耗特性を有する材料であることが望ましい。
【0004】従来、プラスチック材料の機械的性質や熱
変形温度を向上させると共に摩擦摩耗特性を改良する方
法として、ガラス繊維や炭素繊維にポリテトラフルオロ
エチレン(PTFE)や二硫化モリブデン等の固体潤滑
剤を併用する方法等が提案されている。
【0005】しかしながら、これら従来の方法で改良さ
れたプラスチック材料を軸受材として用いると、ガラス
繊維又は炭素繊維が軸受摺動面にミクロ的に露出してき
て相手材を摩耗させる所謂”カジる”という致命的な欠
点が生じ、また、材料自体の摩耗係数も比較的大きいた
め摩耗量も大きくなる傾向にあった。
【0006】更に、ガラス繊維や炭素繊維は、混練前の
繊維の長さが3〜6mmと比較的長いため、これらが配
合された樹脂組成物は、成形時の異方性が大きく、また
混練時の繊維破断等で異方性がバラツキやすく、そのた
め成形用金型設計が困難であり、更にアニーリングをし
た時の寸法精度にも問題があった。
【0007】そこで本発明者等は、ガラス繊維や炭素繊
維よりもミクロな繊維であるチタン酸カリウムウィスカ
(以下「PTW」と称す)につき鋭意検討を重ねた結
果、ポリアミド樹脂や非晶性熱可塑性樹脂に、粉末状高
密度ポリエチレンを添加すると、機械的特性、熱変形温
度及び成形収縮率を良好にするのみならず、PTW配合
量が増加するに従い、動摩擦係数、摩耗量が低下し、相
手材をカジらない特性が発現される事実を既に見い出し
ている(特公平2−54853号公報、特公平5−45
629号公報)。
【0008】これらの技術は非常に優れていることが認
められ、現在では我が国における代表的な摺動材料とし
て各種材料に広く採用されるに至っているが、最近一つ
大きな問題点を有することが判明した。それはマトリッ
クスの熱可塑性樹脂と摺動性付与剤である粉末状高密度
ポリエチレンとが、射出成形時に相分離を起こし、金型
表面にポリエチレン皮膜を形成し易いという問題であ
る。そのため、射出成形を重ねるに伴い、金型付着分が
成長して、次第に寸法精度が出なくなり寸法不良品を生
産する問題が生じ、また該金型付着物の除去に当っては
適当な溶媒がなく、金型の分解掃除が不可欠で非常に手
間を要するという問題が生じることが判明した。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決するため鋭意研究を重ねた結果、熱可塑性樹脂及び
粉末状ポリエチレン樹脂に、PTW等のウィスカ状強化
繊維と共に変性ポリオレフィンを添加することにより熱
可塑性樹脂と粉末状ポリエチレン樹脂とが相溶し、金型
への皮膜形成を抑制できることを見い出し、ここに本発
明を完成するに至った。
【0010】即ち、本発明は、熱可塑性樹脂、粉末状ポ
リエチレン樹脂及びウィスカ状強化繊維が配合された摺
動部材用樹脂組成物において、更に変性ポリオレフィン
が配合されていることを特徴とする摺動部材用樹脂組成
物に係る。
【0011】本発明で用いられる(a)成分の熱可塑性
樹脂としては、従来公知の各種熱可塑性樹脂及びそれら
の混合物を用いることができる。摺動性や強度の点から
特に好ましい樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリエス
テル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンスルフ
ィド樹脂等の結晶性熱可塑性樹脂、ポリフェニレンエー
テル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の非晶性熱可塑
性樹脂を例示できる。ポリアミド樹脂としては、具体的
にはナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロ
ン6,6、ナイロン4,6、ナイロンMXD6、変性ナ
イロン6T等が挙げられる。ポリエステル樹脂として
は、具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリエチ
レンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ
シクロヘキサンジメチレンテレフタレート等が挙げられ
る。ポリアセタール樹脂としては、具体的にはポリオキ
シメチレンホモポリマー及びポリメチレンにオキシエチ
レンを共重合させたコポリマー等が挙げられる。ポリフ
ェニレンエーテル系樹脂としては、具体的には2,6−
ジメチルフェノール等の置換フェノールを重合して得ら
れるポリフェニレンエーテル及びこれとスチレン系重合
体との混合体である変性ポリフェニレンエーテル等が挙
げられる。ポリカーボネート系樹脂としては、具体的に
は4,4’−ジヒドロキシジフェニルアルカン(例えば
2,2−(4,4’−ジヒドロキシジフェニル)プロパ
ン〔ビスフェノールA〕)をジヒドロキシ成分として用
い、エステル交換法又はホスゲン法により得られたポリ
カーボネート、これとポリスチレン、アクリロニトリル
−スチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン
共重合体等の混合体等が挙げられる。これら結晶性熱可
塑性樹脂及び非晶性熱可塑性樹脂は、各々1種単独で又
は2種以上混合して使用される。また、ポリアミド樹脂
とポリフェニレンエーテル樹脂のように、結晶性熱可塑
性樹脂及び非晶性熱可塑性樹脂を適当な相溶化剤を用い
て相溶化させたものも使用できる。
【0012】本発明で用いられる(b)成分の粉末状ポ
リエチレン樹脂としては、エチレンを中圧法(30〜1
00気圧の条件下)又は低圧法(常温で100℃以下の
条件下)にて重合させて得られる白色微粉末状のポリエ
チレン(高密度ポリエチレン、以下「HDPE」と称
す)が好ましく、少量のプロピレン、ブテン、ペンテ
ン、スチレン等のエチレンと共重合し得るα−オレフィ
ンとの共重合体であってもよい。また、これらに耐熱
性、耐候性等を付与するために各種の安定剤を配合した
ものであってもよい。
【0013】更に、摺動性付与効果は上記HDPEより
若干劣るものの、変性ポリオレフィンを併用しない場合
は表層剥離が大きく使用できなかった高圧法(数千気圧
の条件下)でエチレンを重合させた低密度ポリエチレン
(LDPE)も、本発明では使用可能である。
【0014】本発明においては、上記ポリエチレン樹脂
は摺動性付与剤として粒子状に分散した形態をとる必要
があるため、平均粒子径200μm以下、粘度平均分子
量50000〜300000のものが特に好適である。
平均粒子径が極端に大きくなると、成形品表面が粗面と
なり、また摺動特性の向上が不充分となる傾向が生ず
る。また、分子量が極端に小さくなると、組成物調製時
の混練過程において、ポリエチレン粒子が剪断応力によ
り薄層化又はフィルム状化して、粉末粒子状のまま保持
されることが困難となり、逆に分子量が極端に大きくな
ると、混練過程においてポリエチレン粉末のミクロ分散
が不充分となり、いずれの場合も摺動特性向上効果が乏
しくなる傾向になる。
【0015】本発明で(c)成分として用いられるウィ
スカ状強化繊維とは、一つの結晶面のみを成長させるこ
とにより繊維状となった微細な単結晶繊維を意味する。
本発明では、従来公知のウィスカ状強化繊維を広く使用
し得る。その具体例としては、チタン酸カリウム繊維
(K2 O・nTiO2 2≦n≦12)、ホウ酸アルミ
ニウム繊維(9Al2 3 ・B2 3 )、ホウ酸マグネ
シウム繊維(2MgO・B2 3 )、塩基性硫酸マグネ
シウム繊維(MgSO4 ・5MgO・8H2 O)、酸化
マグネシウム繊維(MgO)、酸化亜鉛繊維(Zn
O)、黒鉛繊維(C)、炭化珪素繊維(SiC)、窒化
ケイ素繊維(Si3 4 )、β−ケイ酸カルシウム繊維
(CaO・SiO2 )、ムライト系ウィスカ(3Al2
3 ・2SiO2 等)、チタン酸アルミン酸系ウィスカ
(K2 O・Al2 3 ・6TiO2 等)を挙げることが
できる。これらは、1種単独で又は2種以上を混合して
用いることができる。
【0016】これらのウィスカ状強化繊維の中でも、補
強性の面からチタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウ
ム繊維及びホウ酸マグネシウム繊維が、経済性の面から
β−ケイ酸カルシウムが優れており、また摺動特性、殊
に相手材を傷つけ難い点からはチタン酸カリウム繊維が
最適である。
【0017】本発明で(d)成分として用いられる変性
ポリオレフィンとは、前記(b)成分である粉末状ポリ
エチレン樹脂と相溶性のあるポリオレフィンに、前記
(a)成分の熱可塑性樹脂との相溶性を付与するために
変性を行った変性ポリオレフィンをいう。
【0018】このような変性ポリオレフィンは、例えば
α−オレフィンの重合時に変性モノマーと共重合させる
方法、ポリオレフィンに変性モノマーをグラフト重合せ
しめる方法、α−オレフィンと変性モノマーの共重合時
に、更に他のモノマーをグラフト(共)重合させる方法
等により製造される。
【0019】α−オレフィンとしては、エチレン及び炭
素数3〜20のα−オレフィン、例えばプロピレン、ブ
テン−1、4−メチルペンテン−1等が挙げられるが、
本発明においては、エチレンを単独で使用するか、又は
エチレンを主体とし、少量の他のα−オレフィンを併用
するのが好ましい。
【0020】変性モノマーとしては、例えば無水マレイ
ン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の酸無水物
基含有モノマー、メチルメタクリレート、エチルアクリ
レート、アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル等が
挙げられる。
【0021】変性ポリオレフィンは、使用する熱可塑性
樹脂(a)の種類により適宜選択すればよい。例えばポ
リアミド樹脂に対しては、無水マレイン酸、無水イタコ
ン酸、無水シトラコン酸等の酸無水物基含有モノマーを
0.05〜3モル%グラフト重合させた変性ポリオレフ
ィンを好ましく使用でき、その他、エチレン/エチルア
クリレート/無水マレイン酸共重合体にメチルメタクリ
レートをグラフト重合させた変性ポリオレフィン(E/
EA/MAH−g−PMMA)も好適に使用できる。
【0022】ポリエステル樹脂に対しては、LDPEに
メチルメタクリレートをグラフト重合させた変性ポリオ
レフィン(LDPE−g−PMMA)が好適である。
【0023】ポリアセタール(ポリオキシメチレン)樹
脂に対しては、LDPE又はグリシジルメタクリレート
(GMA)を5〜15モル%共重合したエチレン−GM
A共重合体(EGMA)に、アクリロニトリル、スチレ
ンをグラフト共重合した変性ポリオレフィン(LDPE
−g−AS又はEGMA−g−AS)が好適である。
【0024】ポリフェニレンスルフィド樹脂に対して
は、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン
酸等の酸無水物基含有モノマーを0.01〜0.3モル
%グラフト重合させた変性ポリオレフィン(殊に、LD
PE−g−MAH)やGMAを5〜15モル%共重合し
たEGMAが好適である。
【0025】ポリフェニレンエーテル系樹脂及びポリカ
ーボネート系樹脂に対しては、LDPEにアクリロニト
リル、スチレンをグラフト共重合させた変性ポリオレフ
ィン(LDPE−g−AS)が好適である。
【0026】本発明において特に有効な配合組成は、
(a)熱可塑性樹脂40〜92.5重量%、(b)粉末
状ポリエチレン樹脂2〜15重量%、(c)ウィスカ状
強化繊維5〜40重量%、(d)変性ポリオレフィン
0.5〜5.0重量%からなる配合組成である。
【0027】粉末状ポリエチレン樹脂の添加量が2重量
%を下回ると、摺動性改善効果が殆ど認められないため
好ましくない。また、15重量%を超えて配合すると、
充分な分散安定化のためには変性ポリオレフィン量も5
重量%以上が必要となり、耐熱性及び機械物性の低下に
繋がるため好ましくない。変性ポリオレフィンの添加量
は、粉末状ポリエチレン樹脂の配合量により決まってく
るものであり、粉末状ポリエチレン樹脂の添加量の1/
5〜1/2が分散安定化の目安になる。また、ウィスカ
状強化繊維で強化する場合は5重量%程度以上配合しな
いと強化効果や熱変形温度向上効果が殆ど認められず、
また40重量%を超えて配合しても補強効果はそれほど
変わらず、成形加工性が顕著に低下するため好ましくな
い。
【0028】本発明の摺動部材用樹脂組成物には、更に
必要に応じてタルク、マイカ、炭酸カルシウム等の無機
充填剤や、本発明のウィスカ強化繊維配合組成物の特徴
である表面平滑性を阻害しない範囲内で、ガラス繊維、
カーボン繊維、アラミド繊維等の補強繊維を、また、相
手材によっては更に摺動性を付与する目的で、PTFE
粉末、二硫化モリブデン、グラファイトの微粉末等の潤
滑剤を添加することも可能である。
【0029】更に本発明組成物の用途により、顔料等の
着色剤、耐熱性改良のための酸化防止剤や熱安定剤、難
燃性付与のための難燃剤及び難燃助剤、成形加工性及び
離型性改良のための各種滑剤、離型剤、帯電防止剤等の
添加剤を適宜配合することも有効である。
【0030】本発明の組成物は、例えば次のようにして
調製される。まず、各構成成分をブレンダ等を用いて均
一に混合した後、該混合物を押出し機で溶融混練し、次
いでペレット化すればよい。
【0031】斯くして得られるペレットは射出成形等の
成形手段により、所望の部品形状に成形される。本発明
組成物から成形される摺動部材としては、ブッシング、
ベアリング、スリーブ、スリップシリンダー、ガイドレ
ール、キャリッジ、スイッチ部品、ギア、カム等が挙げ
られる。
【0032】
【発明の効果】本発明の組成物は、機械的特性、熱変形
温度及び成形収縮率が良好であるのみならず、動摩擦係
数や摩耗量が低く、相手材をカジらない特性を有してい
る。しかも、本発明の組成物は、熱可塑性樹脂と粉末状
高密度ポリエチレンとが射出成形時に相分離を起こすこ
とはないので、金型表面に皮膜を形成するという問題も
生じない。そのため、射出成形を重ねるに伴い、寸法不
良品を生産する問題も生じず、また金型の分解掃除も不
要であり、従って、本発明の組成物は摺動部材の用途に
好適に使用され得る。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例を挙げて更
に詳しく説明する。本発明は、これらの実施例により何
ら限定されるものではない。尚、以下の実施例におい
て、単に「部」とある場合は重量部を意味する。
【0034】実施例1〜5及び比較例1〜4 ナイロン2020UWI(ナイロン6,6、宇部興産株
式会社製)、ハイゼックス5000(平均粒子径30μ
m、平均分子量70000のHDPE、三井石油化学工
業株式会社製)、Nポリマー−L6100M(無水マレ
イン酸含有率0.2重量%、日本石油化学工業株式会社
製)を表1に示す配合量でブレンダーを用いて混練した
後、290℃設定した45mmφ二軸押出機のメインホ
ッパーより供給し、サイドよりティスモD−102(チ
タン酸カリウムウィスカ、大塚化学株式会社製)又はグ
ラスロン03MA411(平均繊維径3mmのGF、旭
ファイバーグラス株式会社製)を表1に示す割合にて供
給して押出ペレット(樹脂組成物)を製造した。
【0035】得られたペレットを乾燥させた後、シリン
ダー温度280℃、金型温度80℃、射出圧力600k
g/cm2 にて射出成形を行い、ASTM D638に
よる引張強さ、ASTM D790による曲げ強さ及び
曲げ弾性率を評価し、更に外径25mm、内径20mm
の円筒状スリーグ(スラスト摩耗片)の各試験片を作成
し、各物性につき評価を行った。尚、射出成形中の層分
離の評価として、射出成形時のスプルー部をNTカッタ
ーにて流れ方向に深さ0.5mm、幅3〜5mm切り取
り、断面を顕微鏡観察して表層剥離の有無をチェックし
た。
【0036】摩擦摩耗試験は、鈴木式摩耗試験機(東洋
オリエンテック株式会社製)を使用し、相手材料として
は、円筒状の硬鋼(S45C)を用い、全て無潤滑の状
態で荷重(p)10kg/cm2 、摩擦速度30cm/
秒で連続運転を行い、摩擦距離10kmに達したときの
摩擦係数及び単位距離当りの摩耗量(比摩耗量及び相手
材比摩耗量)を求めた。結果を表1に併せて示す。
【0037】
【表1】
【0038】実施例1〜5並びに比較例1及び比較例3
の組成における相手材比摩耗量(mm2 /kg×km)
は0であった。比較例2における相手材比摩耗量は5.
0×10-5、比較例4における相手材比摩耗量は6.6
×10-3であった。また、比較例3には表層剥離が認め
られたが、他の組成では認められなかった。
【0039】表1の結果から明らかなように、本発明の
組成物から製造されたものは、ナイロン6,6単独のも
の(比較例1)より機械物性が良好な上、動摩擦係数が
大幅に低下し、また、ナイロン6,6にチタン酸カリウ
ムウィスカを配合したもの(比較例2)は、機械物性は
優れるが、動摩擦係数、比摩耗量共に大きく摺動特性は
劣っている。それに対して、更にHDPEを添加すると
(比較例3)、機械物性及び摺動特性が大幅に向上した
組成物となる。しかしながら、比較例3はスプルー部の
切断面に明確な表層剥離が見られ、ナイロン6,6とH
DPEが射出成形中に相分離を起こし、このものを数千
ショット以上成形し続けると金型(キャビティー)表面
に分離したPE皮膜が堆積してきて寸法精度を低下させ
不良品を発生させる大きな原因となった。
【0040】それに対して、本発明の組成物(マレイン
酸変性ポリエチレンを配合して相分離を防いだもの)は
表層剥離が全く見られず、機械物性は勿論、摺動特性も
非常に良好で、実用性が非常に大なることが明らかであ
る。
【0041】尚、比較例4として、チタン酸カリウムウ
ィスカに代えてガラス繊維に適用してみたが、ガラス繊
維のように太くて(ウィスカの5〜30倍)硬い強化材
には摺動特性の改良効果は殆ど見られないことがわか
る。
【0042】実施例6〜10及び比較例5〜8 実施例1と同様にして、レニー6001(ナイロンMX
D6、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社
製)、ダイアミドL1940(ナイロン12、ダイアモ
ンドヒュルス株式会社製)及びアーレンC2000(変
性ナイロン6T、三井石油化学工業株式会社製)に、変
性ポリオレフィンとしてレニーに対してはマレイン酸変
性ポリエチレンを、ダイアミドに対してはモディパーA
8200(E/EA/MAH−g−PMMA=70/3
0重量%、日本油脂株式会社製)を、アーレンに対して
はマレイン酸変性ポリエチレンを用い、表2に示す配合
組成でブレンダーを用いて混合した。その後、レニーの
場合は押出温度280℃、ダイアミドの場合は230
℃、アーレンの場合は330℃にて、ウィスカとしてテ
ィスモ D−102、NYGLOS I−10013
(ケイ酸カルウムウィスカ、NYCO社製)又はアルボ
レックスY(ホウ酸アルミニウムウィスカ、四国化成工
業株式会社製)を表2に示す割合でサイドより供給して
ペレットを製造後、物性評価を行った。結果を表2に示
す。
【0043】
【表2】
【0044】実施例6〜10並びに比較例5及び比較例
6の組成における相手材比摩耗量は0であった。比較例
7における相手材比摩耗量は1.9×10-4、比較例8
における相手材比摩耗量は5.7×10-3であった。ま
た、比較例6には表層剥離が認められたが、他の組成で
は認められなかった。
【0045】表2の結果から明らかなように、ナイロン
MXD6,ナイロン12及び変性ナイロン6Tのいずれ
のポリアミド樹脂についても、またウィスカ状強化繊維
として、チタン酸カリウムの代わりにケイ酸カルシウム
及びホウ酸アルミニウムを使用しても、粉末状ポリエチ
レン樹脂を摺動性付与剤として添加し、更にマレイン酸
変性ポリエチレンを分散安定剤として併用すると、射出
成形時の表層剥離が認められず、しかも動摩擦係数を小
さくかつ比摩耗量を極めて小さくする働きのあることが
わかる。
【0046】実施例11〜13及び比較例9〜11 (a)成分のポリアセタールとしてジュラコンM90−
44(ポリプラスチックス株式会社製)を、ポリエステ
ル樹脂としてジュラネックス2000(ポリプラスチッ
クス株式会社製、PBT樹脂)を、ポリフェニレンサル
フィド(PPS)として、トープレン−4(株式会社ト
ープレン製)を、(b)成分の粉末状ポリエチレン樹脂
として実施例1〜10と同じくハイゼックス5000
を、(c)成分の変性ポリオレフィンとして、ポリアセ
タールの場合は、LDPE−g−AS(モディパーA1
401、日本油脂株式会社製)を、PBTの場合にはL
DPE−g−PMMAを、PPSの場合には、エチレン
/グリシジルメタクリレート85/15重量%共重合体
(レクスパールJ−3700、日本石油化学株式会社
製)をそれぞれ使用し、表3に示す配合割合にて、タン
ブラーにて混合した後、45mmφ二軸押出機のメイン
ホッパーに供給し、ポリアセタールの場合は、シリンダ
ー温度を190℃、PBTの場合は250℃、PPSの
場合は300℃にて、またウィスカとしては、チタン酸
カリウムウィスカ(ティスモD−102、大塚化学株式
会社製)をサイドから表3に示す割合で供給し、混練押
出しペレットを製造後、実施例1〜5と同様にして評価
を行った。結果をまとめて表3に示す。
【0047】
【表3】
【0048】表3より、ポリアセタール、ポリブチレン
テレフタレート、ポリフェニレンサルファイドについて
も粉末状ポリエチレン樹脂と各種変性ポリオレフィンを
併用すれば、表層剥離もなく摺動特性を大幅に改良でき
ることが明らかである。
【0049】実施例14〜16及び比較例12〜14 (a)成分の非晶性熱可塑性樹脂として変性PPE樹脂
(ザイロン300H、旭化成工業株式会社製)又はポリ
カーボネート樹脂(ユーピロンS−2000、三菱エン
ジニアリングプラスチック株製)を、(b)成分の粉末
状ポリエチレンとしては、ハイゼックス5000(高密
度ポリエチレン樹脂)又はショウレックスL182(低
密度ポリエチレンを100μm以下に粉砕分級したも
の)を、(d)成分の変性ポリオレフィンとして、LD
PE−g−AS(LDPE/AS=50/50重量%、
モデイパーA1401、日本油脂株式会社製)を、
(c)成分のウィスカとしてはチタン酸カリウムウィス
カを、変性PPEについては、ティスモD−102を、
ポリカーボネート樹脂には中性のティスモN−102
(中性のティスモNにエポキシシラン処理したもの)を
使用し、変性PPEについては、シリンダー温度280
℃、ポリカーボネートについては、290℃にて混練
(ウィスカは、サイドから途中供給)してペレットを製
造、実施例1〜5と同様にして物性評価を行った。結果
をまとめて表4に示す。尚、表4中の表層剥離の評価は
次の通りである。大:断面の70%以上剥離、中:断面
の30〜70%剥離、小:断面の30%未満剥離。
【0050】
【表4】
【0051】表4の結果から、変性オレフィンを使用す
ると、従来表層剥離が大きくて使用困難だった低密度ポ
リエチレンも潤滑剤として使用可能となることがわか
る。
【0052】尚、比較例12に示す材料は、1500シ
ョット程度まではモールドデポジットが顕著ではなかっ
たが、2000ショットを越える辺りから寸法的な不具
合が生じ、良品が得られなくなったが、実施例14の材
料は5000ショットでもモールドデポジットは発生し
なかった。
【0053】また、実施例16及び比較例14から、ポ
リカーボネート樹脂についてもLDPE−g−ASを分
散安定剤に使用すると摺動特性は勿論のこと、機械物性
をそれほど低下させることなく、表層剥離を改善できる
ことが明らかである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI //(C10M 169/04 (C10M 169/04 107:04 107:04 107:44 107:44 107:46 107:46 125:10 125:10 125:02 125:02 125:26 125:26 145:02 145:02 149:02) 149:02) C10N 10:02 C10N 10:02 10:04 10:04 10:06 10:06 10:08 10:08 20:04 20:04 20:06 20:06 B 40:02 40:02 50:08 50:08 (72)発明者 寳田 彰 徳島県徳島市川内町加賀須野463 大塚 化学株式会社徳島研究所内 (56)参考文献 特開 平6−136262(JP,A) 特開 平1−254767(JP,A) 特開 昭62−106954(JP,A) 特開 平4−351647(JP,A) 特公 平5−45629(JP,B2) 特公 平2−54853(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 23/00 - 23/36 C08K 3/00 - 13/08 C08L 101/00 - 101/16 C10M 169/00 - 169/06

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶性ポリアミド樹脂、ポリエステル樹
    脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレン
    エーテル系樹脂及びポリカーボネート系樹脂からなる群
    より選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂、粉末状ポ
    リエチレン樹脂及びウィスカ状強化繊維が配合された樹
    脂組成物において、更に酸無水物基含有モノマー、メチ
    ルメタクリレート、エチルアクリレート、アクリロニト
    リル、スチレン又は酢酸ビニルで変性されたポリオレフ
    ィンが配合されていることを特徴とする射出成形用樹脂
    組成物。
  2. 【請求項2】 (a)熱可塑性樹脂40〜92.5重量
    %、(b)粉末状ポリエチレン樹脂2〜15重量%、
    (c)ウィスカ状強化繊維5〜40重量%及び(d)変
    性ポリオレフィン0.5〜5.0重量%からなる請求項
    1に記載の樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 粉末状ポリエチレン樹脂が粘度平均分子
    量50000〜300000であり平均粒子径200μ
    m以下の高密度ポリエチレン樹脂である請求項1〜3に
    記載の樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 ウィスカ状強化繊維がチタン酸カリウム
    繊維、珪酸カルシウム繊維、ホウ酸マグネシウム繊維、
    ホウ酸アルミニウム繊維、塩基性硫酸マグネシウム繊
    維、炭素繊維及び炭化珪素繊維からなる群より選ばれた
    少なくとも1種である請求項1〜4に記載の樹脂組成
    物。
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