JP3249464B2 - 耐震機構付きドア錠 - Google Patents

耐震機構付きドア錠

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JP3249464B2
JP3249464B2 JP09535098A JP9535098A JP3249464B2 JP 3249464 B2 JP3249464 B2 JP 3249464B2 JP 09535098 A JP09535098 A JP 09535098A JP 9535098 A JP9535098 A JP 9535098A JP 3249464 B2 JP3249464 B2 JP 3249464B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐震機構付きのド
ア錠に関するものであり、例えばマンション・団地のよ
うな居住用のビルや、ホテル・オフイス等の人が集まる
ビルで、主として各部屋の玄関口や非常口等のスチール
製ドア(以下、ドアと称する)に取付けるドア錠であ
り、地震発生時にもドアが容易に開閉できる機構を備え
たことを特徴とするものである。
【0002】
【従来の技術】近時は高層のビルが多くなり、今後もビ
ルの高層化は増加する一方であるが、他面で近時各地で
大きな地震が発生しており、今後も大地震の発生は不可
避であると考えられている。そこで、高層のビルの設計
・建築には、柔構造その他の耐震構造が採用され、耐震
性が向上し、ビルの倒・崩壊等の防止が図られている。
【0003】しかし、地震発生時にビル自体が倒・崩壊
しなくても、ビルの各部分には地震動による変形・歪み
が生じる。例えば地震動による力でドア枠周辺の壁に変
形・歪が生じると、ドア枠にも変形・歪みが生じるか
ら、ドア枠がドアを押え付けて掛止するような状態にな
り、避難時にドアを開けられない状態になる。
【0004】日本建築総合試験所のデータによれば、地
震動によるビルの変形・歪みでドア枠が水平方向へ10
mm変位した場合には、押え付けられて引っ掛かった状
態のドアを開けるのに要する力は100Kg以上とな
り、また変位が13mmの場合には200Kg以上の力
が必要になる。
【0005】これでは、特に高層ビルにおいて、各部屋
から脱出する際の唯一とも言える玄関口のドアが、女性
は勿論のこと男性の力でも開けることが無理であり、地
震発生時に各部屋内で人々が閉じ込められることにな
る。現に過去の大地震の際に、部屋のドアが開けられな
くなり、人々が部屋から数時間も脱出・避難できないよ
うなこともあった。
【0006】そこで、ドア枠とドア間の隙間が大きい構
造にしたり、ドア枠を二重構造にして強度を増し、地震
発生時に変形・歪みが生じ難くした耐震性のスチール製
ドアが製品化されている。しかしこれは、新築ビルには
設置可能でも既存のビルには設置が困難であるし、製造
コストが高くついた。そのため本件出願人は先に、比較
的簡便な装置で、既存のビルにも設置可能な「ドアの耐
震装置」を考案して商品化している。
【0007】このドアの耐震装置の構造は、実公昭61
−32072号公報に記載されているように、「装置本
体とローラ受板とからなり、装置本体は、ドアの反開き
方向で施錠側の上角部に取付可能な主板に、縦方向に可
回転な縦ローラをやや上方に突出する如く設けると共
に、横方向に可回転な横ローラをやや側方へ突出する如
く設け、他方ローラ受板は、前記装置本体に対応するド
ア枠の上角部に取付可能で、各ローラの受面を有し、こ
の両者を通常時にはローラと受面とが接触せぬように取
付けてなる、ドアの耐震装置」であった。
【0008】このドアの耐震装置により、地震発生時の
ドア枠の上下部分における変形・歪みは、ローラ受板を
介してドア側の各ローラが受けることになり、ドア枠自
体の変形を防止すると共に、ローラ受面に当接した各ロ
ーラが転動可能であるから、ドアを開閉することが可能
となった。
【0009】さらに本件出願人は、近時のビルでスチー
ル製ドアが軽量化のためドア表・裏の各鋼板の板厚が薄
くなり、またドアの多様化でドアの厚み即ち表・裏の各
鋼板間の間隔が多種類有っても、確実に取付け可能で耐
震効果を発揮する「ドアの耐震装置」を考案し、製品化
した。
【0010】これは、登録第3040497号の登録実
用新案公報に記載されたように、本体・取付副板・ロー
ラ受板からなり、本体は、取付主板部に上方へやや突出
させた縦回りローラと、側方へやや突出させた横回りロ
ーラを各々軸支し、主板部の上角部寄りとその対角位置
とに取付ボルトのボルト通挿用孔を設けて、主板部の下
側と反施錠側とに各々拡張した補助板部を形成し、取付
副板は、主板部とほぼ同じ大きさで、主板部のボルト通
挿用孔に対応する位置に、ドアの表・裏の鋼板間の間隔
が最も小さいものよりやや短いネジ筒を突設し、ネジ筒
の雄ネジ部に長さ調節用の調節ナットを螺合させ、副板
の取付ネジ用孔を、鋼板内側の補強板へ取付け可能に上
縁寄りと施錠側縁寄りに形成したドアの耐震装置であ
る。
【0011】後者の耐震装置により、ドア表・裏の各鋼
板が薄くても地震発生時に本耐震装置を取付けた部分が
凹むようなことが無くなり、かつ各種の厚みのドアにも
耐震効果を損なうことなく取付け可能となり、近時のビ
ルにおけるドアの耐震性を向上させるようにした。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記各耐震装置は、ビ
ルのドアの開閉側即ち錠前取付け側の上部位置に、可回
転ローラをもつ耐震装置本体を取付け、ドア枠にローラ
受板を設けることで、地震発生時のドアの開閉を可能と
した。しかし、近時各地で起きた大地震の被害を調査し
たところ、ビルのドアは上記のようなドア枠の水平方向
への変位による押え付けで開閉不能になるとは限らない
ことが判明した。
【0013】即ち、ビルのドア周りの壁は非耐震構造で
あり、強度的に必ずしも十分とは言えないものが多いの
で、地震発生時に壁はドア周りでせん断破壊が生じ易い
傾向にある。そのため、地震による外力でドア枠へ横方
向から局部的に過大な力が加わると、特に高さ方向の中
央近傍がドア側へ押されて局部変形することになるか
ら、ドア枠がドアのドア錠の取付位置近傍を押え付け
て、ドアを開けようとしても引っ掛かってなかなか動か
ぬことがあった。
【0014】そこで上記従来の耐震用ドアの中には、例
えば図10・図11で示す如く(両図の図面符号は、本
願発明と共通する部分は同一の符号を用いている)、ド
アの開閉側でドア1とドア枠2との隙間sが大きくなる
構造にして、地震発生時の壁のせん断破壊による外力P
でドア枠2がドア1側へ変形した際にも、ドア1とドア
枠2とが当接せず引っ掛からぬようにして、ドア1を開
けられるようにしたものがある。
【0015】しかしこの耐震用ドアでは、ドア1とドア
枠2の大きい隙間sが大きいので、隙間隠しと防犯上か
らそこを塞ぐ「召し併せ板」25を別に設ける必要が生
じたり、ドア錠のデッドボルト18即ちカンヌキが確実
に掛止されるように、ドア枠2の錠受(ストライク)1
1をドア枠2の内表面よりドア1側へ少し突出した特殊
構造のものにする必要があったりした(図10参照)。
【0016】また上記錠受11は、地震発生によるドア
枠2の変形時に圧縮・変形されるようになっているが、
その圧縮時でも数ミリ分は突出状態にあるため、開けよ
うとするドアにそれが引っ掛かってしまったり(図11
参照)、あるいはそれに係合されていたデッドボルト1
8が外れ難くなったりする、等の問題点があった。
【0017】本発明は、従来のドアの耐震装置がもつ上
記問題点を解決することを課題としたものである。即ち
その目的は、ドア錠としての機能を有することは通常の
ものと同様であるが、近時の多様なスチール製ドアに取
付けることができ、ドア枠とドアとの隙間を大きくする
必要がなく、召し合わせ板や特殊な錠受も不要でコスト
ダウンを図れ、かつ地震発生時にドア周りの壁がせん断
破壊しても、ドアが確実に開けられ部屋内の人が脱出で
きる充分な耐震性を持った、耐震構造付きドア錠を提供
することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明に係る耐震機構付
きのドア錠は、スチール製のドア1に錠本体部3を取付
け、ドア枠2に錠受11を取付けるドア錠Aにおいて、
錠本体部3に耐震機構4を設けたものであり、錠ケース
5のケース前板6の上部または下部に、縦断面コの字状
のローラ軸支部7を一体に設けて、該軸支部7に金属製
の耐震用ローラを、縦軸8の周りに可回動で、かつ該
ローラの前部寄りが上記前板6前面のフロント板10
の窓孔12から前方へ突出する如く設け、該耐震用ロー
ラ9の突出部分9aが、地震で変形時のドア枠2の錠受
11の前板部13に当接して、ドア枠2を支承可能とな
る耐震機構4を設けてなるものである。
【0019】
【発明の実施の形態】上記構成の耐震機構付きのドア錠
Aは、ビルの主として各部屋の玄関口にあるスチール製
ドア1へ取付けるドア錠Aであり、掘り込み錠でかつ本
締め錠であるならば全てのものに適用可能である。
【0020】即ち、本ドア錠Aの錠本体部3は、従来の
ものとほぼ同様の構造であって、スチール製ドア1の開
閉側(蝶番を取付けた側と反対側)の側部に形成した凹
所内に、室内側のハンドル20やつまみ21、室外側か
らの合鍵やハンドルで操作可能なラッチボルト17、デ
ッドボルト18等のための作動機構が内蔵された錠ケー
ス5を取り付ける構造の錠である。
【0021】より詳しくは、本ドア錠Aの錠本体部1に
は、ラッチボルト17がバネ(図示略)で前方へ押圧さ
れて、常時はその前部が錠ケース前板6やその前面のフ
ロント板10の通孔からドア枠2の錠受11側へ突出し
ており、かつ室内・外側のハンドル20(ここでのハン
ドルにはレバー式に限らず握り玉式のものを含むものと
する)の回動で、ラッチハブ(図示略)等を介して錠ケ
ース5内へ後退可能である。またデッドボルト18は、
室内側のつまみ21や室外側から合鍵による回動で、サ
ムターンハブ(図示略)等を介して、前部が錠ケース前
板6やその前面のフロント板10の通孔からドア枠2の
錠受11側へ突出し、または錠ケース5内へ後退可能で
ある。
【0022】そして、上記錠本体部3と一体に設けた耐
震機構4は、上記錠本体部3の錠ケース前板6の上部ま
たは下部に固着したローラ軸支部7により、縦軸8の周
りに回動可能な耐震用ローラ9を軸支してある。
【0023】即ち、錠ケース前板6の上部または下部を
そのまま延長して屈曲し、縦軸8を軸支可能な縦断面コ
の字状部をもつローラ軸支部7を一体形成して、該軸支
部7に耐震用ローラ9を軸支するようにしてある(図2
・図3・図5・図6参照)。このローラ軸支部7は、上
記の如く錠ケース前板6を延長して一体形成することに
限らず、図示は省略するが、錠ケース前板6とは別体の
金属板で縦断面コの字状部をもつように屈曲・形成して
おき、それを錠ケース前板6の上部または下部に、ネジ
止めや溶接にて一体化させてもよい。
【0024】上記耐震用ローラ9は、その前部寄りが錠
ケース前板6前面のフロント板10の窓孔12から少し
前方へ突出する如くにローラ軸支部7に軸支させてあ
る。該耐震用ローラ9の前方への突出量は、この耐震機
構付きドア錠Aをドア1へ取付けた場合に、耐震用ロー
ラ9の前方への突出部分9aが、常時はドア枠2の錠受
11の前板部13に当接せず、地震動でドア枠2がドア
1側へ変形時に、錠受11の前板部13と当接して、ド
ア枠2を支承する程度にしてある。
【0025】上記構造の本耐震機構付きドア錠Aをビル
のドアに取付ける場合、そのドアは従来からビルに取付
けられている通常のスチール製のドアとほぼ同じ寸法の
ものでよい。従来の耐震用ドアではドア1とドア枠2と
の隙間sを、開閉側即ち錠取付け側で12mm程度の大
きいものにしてあるため、そこを塞ぐ「召し併せ板」を
設けていたが(図7や図8参照)、そのような特殊構造
のドアである必要がない。
【0026】またドア枠側に設ける錠受11は、ローラ
9に当接する前板部13が上または下方へ長いものであ
れば従来と同じ構造の錠受でよい。従来の耐震用ドアで
は、錠受が通常時はカンヌキを確実に掛止し、かつ地震
発生時には外力で圧縮変形可能な特別な構造のものであ
ったが(上記図10・図11参照)、そのような特殊構
造の錠受を用いる必要もなくなっている。
【0027】このドア錠Aをドア1へ取り付けることに
より、地震発生時の外力Pで局部的に変形・圧縮を受け
易いドア枠2の高さ方向の中央近傍に対応して、ドア1
の開閉側の高さ方向の中央近傍に耐震機構が設けられた
ことになる。
【0028】そして、上記構造の本耐震機構付きドア錠
Aを取付けた場合、常時は、耐震機構の耐震用ローラ9
がドア枠2の錠受11上部または下部の前板部13と非
当接状であるから、従来一般のドア錠と同様にラッチボ
ルト17・デッドボルト18を作動させて、ドア1を閉
じて施錠し、また解錠してドア1を開ければよい。
【0029】地震発生時に、ドア周りの壁にせん断破壊
が生じ、ドア枠2へ大きな外力Pが加わると、ドア枠2
は高さ方向の中央近傍で最も大きく内側へ即ちドア1側
へ局部変形する。この際従来のドアでは、変形したドア
枠がドアの側端部を局部的に強く押圧し、ドアを掛止す
ることになってドアが開けられなくなった。
【0030】しかし本耐震機構付きドア錠Aを取付けた
ドアでは、地震発生時に加わる外力Pでドア枠2が最も
局部変形し易い高さ方向の中央近傍に対応して、ドア1
に耐震機構付きのドア錠Aが設けてあり、その耐震用ロ
ーラ9の前部寄りがドア枠2側へ突出するように設けら
れている。
【0031】即ち、地震発生による外力Pを受けてドア
枠が局部的に変形してきた際、そのドア枠2の高さ方向
の中央近傍に取り付けてある錠受11の前板部13は、
まず本ドア錠Aの耐震用ローラ9の突出部分9aに当接
して支承されることになり、この支承によりドア枠2の
局部的な変形が少なく押さえられている。
【0032】また局部的変形を受けたドア枠2を支承す
るのが、縦軸8の回りに可回動なこの耐震用ローラ9で
あるから、地震発生時に部屋から脱出すべくドア1を開
けようとした際、該耐震用ローラ9がドア枠2側の錠受
11の前板部13と当接しながら回動して、ドア枠2か
らの押圧力に抗して比較的軽い力で開けることができる
(図6参照)。
【0033】なお、ドアの種類・構造によっては、ドア
自体の強度に心配な場合もある。そのようなドアでは、
ドアの耐震性を増すためドア1内に、前端部が上記ロー
ラ軸支部7またはその近傍後方に固着され、後端部がド
ア1の蝶番側の縦骨14と固着されるようにドア補強横
材15を設けておけばよい(図2参照)。他方、ドア枠
2側の錠受11の前板部13の裏側にも、補強材16を
内装させておくのが望ましい(図5・図6参照)。
【0034】
【実施例】本発明に係る耐震機構付きのドア錠Aは、錠
本体部3に耐震機構4を一体に設けたものであり、ここ
での実施例は、ラッチボルト17とは別にデッドボルト
18を有し、各部屋の玄関口のドアへ取付ける構造のド
ア錠Aの例で示している。
【0035】まず、このドア錠Aの錠本体部3は、従来
のものと同様の構造であるが略述すると、ドア1の開閉
側の側端部に錠ケース前板6により取付けられる錠ケー
ス5内に、ラッチボルト17やデッドボルト18の作動
機構が内蔵されている。
【0036】即ち、ラッチボルト17は、バネ(図示
略)で前方へ押圧されて、常時は錠ケース前板6を経て
前面のフロント板10の通孔から前部が突出しており、
室内・外側のレバー式のハンドル20の回動により、ラ
ッチハブ(図示略)等を介して後退可能としある。デッ
ドボルト18は、室内側のつまみ21または室外側から
合鍵による回動で、サムターンハブ(図示略)等を介
し、錠ケース前板6を経てその前面のフロント板10の
通孔から、前部が突出または後退可能としてある。
【0037】そして、本ドア錠Aの耐震機構4は、上記
錠本体部3の錠ケース前板6の上部に固着したローラ軸
支部7により、縦軸8の周りに回動可能な耐震用ローラ
9を軸支してある。
【0038】即ち、ここでは錠ケース前板6の上部への
延長部を屈曲させて、上・下に平行状の軸支板をもつ縦
断面コの字状のローラ軸支部7を形成してあり、該ロー
ラ軸支部7には、縦軸8の周りに可回動な耐震用ローラ
9を軸支してある。
【0039】上記耐震用ローラ9はステンレス製で、そ
の前部寄り部分が、錠ケース前板6前面のフロント板1
0の窓孔12から、少し前方へ突出する如く設けてあ
る。該突出部分9aの突出量は、本耐震機構付きドア錠
Aをドア1の側端部へ取付けた場合に、常時はドア枠2
の錠受11の前板部13に当接しないが、地震発生によ
る外力Pを受けてドア枠2がドア1側へ変形時に、錠受
11上部の前板部13が該耐震用ローラ9の突出部分9
aに当接する程度としておく。通常のマンション・団地
等の一般的な居住用ビルのドアに取付ける場合は、耐震
用ローラ9の突出量は、フロント板10から2.5〜
3.0mm程度としておけばよい。
【0040】なお、上記錠本体部3および耐震機構4
は、錠ケース5の外方に設けた錠ボックス22で覆って
あり、該錠ボックス22はその上・下部の前板部で錠ケ
ース前板6と一体的に取り付けてある。
【0041】他方、ドア枠2には、上記ドア錠Aのラッ
チボルト17・デッドボルト18を係合可能な凹所をも
つ錠受(ストライク)11を取付けてあり、該錠受11
の前板部13を上記耐震用ローラ9と当接可能に上方へ
やや長めにしてある。
【0042】この耐震機構付きドア錠Aをドア1へ取付
けるには、フロント板10を外した状態で、錠本体部3
と耐震機構4を収納した錠ボックス22を、ドア1の開
閉側の側端部内へ収容して、錠ケース5の前板6の上・
下部、ローラ軸支部7の上側の耳片19、錠ボックス2
2の上・下部等を、各々ネジでドア1に固定し、その後
にフロント板10を錠ケース前板6にネジで固定すれば
よい。これにより、ドア枠2が局部的に変形・圧縮を受
け易い高さ方向の中央近傍に対応して、ドア1の開閉側
の高さ方向の中央近傍に、本耐震機構付きドア錠Aが設
けられたことになる。
【0043】この耐震機構付きドア錠Aを取付けるドア
は、ここではマンション・団地等の居住用ビルの一般的
なスチール製ドアであり、ドア1とドア枠2との隙間s
は通常は5mm程度のものである。従来の耐震用ドアで
は、ドア1とドア枠2との隙間sが12mm程度と大き
く、その隙間sを塞ぐ「召し併せ板」25を設ける必要
があったが、ここではそんな必要がない。
【0044】なお、ドア1自体の耐震性を増大させるた
めに、この実施例ではドア1の幅方向(横方向)の変形
防止用として、ドア1内に、前端部がローラ軸支部7近
傍、即ちローラ軸支部7に当接すると共に錠ボックス2
2の上部に固着され、後端部がドア1の蝶番側の縦骨1
4に固着される断面コの字状のドア補強横材15を横設
してある。固着はここでは溶接によっている。
【0045】上記ドア補強横材15は、前端部をローラ
軸支部7の近傍後方、例えば錠ボックス22の後板部に
固着してもよいし、また錠ボックス22を持たぬもので
は、前端部をローラ軸支部7の後端部に固着してもよ
い。
【0046】他方ドア枠2側の錠受11の前板部13に
も、耐震用ローラ9が当接する部分の凹み防止用に、内
側に金属塊の補強材16を内装させてある。図におい
て、23はフロント板の折曲げ縁、24はドアを締めた
際の気密用ゴム材を示す。
【0047】この実施例に係る耐震機構付きドア錠A
は、上記の如く、常時は耐震機構4の耐震用ローラ9が
ドア枠2に当接していないから、ドア1の開閉は自由に
行えるし、通常のドア錠としてラッチボルト17・デッ
ドボルト18を出・入させて錠の機能を発揮させればよ
い。
【0048】地震発生時に、ドア周りの壁にせん断破壊
が生じドア枠2へ大きな外力Pが加わった際、ドア枠2
は高さ方向の中央近傍が最も大きく局部的に変形しよう
とするが、まず本耐震機構付きドア錠Aの耐震機構4の
耐震用ローラ9に当接するので、該耐震用ローラ9が変
形したドア枠2を錠受11の前板部13を介して支承す
る。
【0049】そのため、耐震用ローラ9がドア枠2の
局部的な変形を支承して、その変形量を減少させること
になるが、それに加えて、ドア1を開ける際にドア枠2
の錠受11の前板部13に当接した耐震用ローラ9が回
動するので、ドア1は比較的軽い力で開けることがで
き、部屋内からの脱出が可能となる。
【0050】この耐震機構付きドア錠Aをドアに取付け
て性能試験をしたところ、良好な結果が得られた。即
ち、財団法人ベターリビング(東京都千代田区二番町4
番地5相互二番町ビルディング3階)に依頼し、同財団
法人ベターリビングの筑波建築試験センター(茨城県つ
くば市立原2番地)にて、平成10年2月24日から同
年3月4日にかけて試験を受け、平成10年3月12日
付けで試験成績書(試験成績書第976650号)を得
た。
【0051】この試験は、本願と同一構造の耐震機構付
きドア錠について、この装置をスチール製の片開き玄関
ドアに取り付けた状態で、平成8年制定の優良住宅部品
玄関ドアの性能試験方法による性能試験、即ち、面内変
形追随性試験としてTSD−05(JIS A 152
1−1996)、局部変形追随性試験としてTSD−0
6の方法にて試験を実施したものである。
【0052】ここで面内変形追随性試験とは、ドア枠の
上部寄りを大きな力で側方から加圧し、その際にドアを
開けるのに必要な力を測定するものである。また局部変
形追随性試験とは、ドア枠の上下方向の中央部近傍(錠
受を取り付けてある付近)を大きな力で側方から加圧
し、その際にドアを開けるのに必要な力を測定するもの
である。
【0053】面内変形追随性試験の試験結果は、図7お
よび図8で示した図表の如く、面内変位Rを1/40
0、1/300、1/200、1/150、1/120
とした各場合で、開放力最大値(N)が法の定める開放
力要求値(備考欄参照)より小さいことが判る。また局
部変形追随性試験の試験結果は、図9で示した図表の如
く、水平方向8mm、鉛直方向4mmの各場合で、開放
力最大値(N)が法の定める開放力要求値(備考欄参
照)より小さいことが判る。
【0054】そして結論として、「試験を実施した結
果、面内および局部変形時における開閉力は要求値を満
足した。」という評価を得られた。即ち、本願の耐震機
構付きドア錠が、充分に強度および耐震性を有している
ことが証明された。
【0055】
【発明の効果】以上で明らかな如く、本発明に係る耐震
機構付きドア錠によれば、近時の多様なスチール製ドア
にドア錠として取付けることができ、ドア枠とドアの隙
間を大きくしたりドア枠を二重構造にした耐震用の特殊
なドアや、召し合わせ板や特殊な錠受を用いる必要がな
く、外観上も従来のスチール製ドアと殆ど変わらず、低
コストで設置可能なものでありながら、地震発生時にド
ア周りの壁がせん断破壊された場合でも、ドアを確実に
開けることができて部屋内の人が脱出できる耐震性に優
れたものである。
【0056】即ち、従来もビルのドアに耐震性を持たせ
るべく、ドアの開閉側の上隅角部でドア枠とドアとの間
に、可回動な耐震用ローラをもつ耐震装置を取付けるも
のがあった。またドア枠が変形してもドアの開閉側で隙
間が残るように、ドア枠とドアの開閉側との間を大きく
した耐震用ドアもあった。
【0057】しかし前者は、地震発生でドア周りの壁が
せん断破壊しドア枠がドア側へ変形すると、ドア枠とド
アが高さ方向の中央近傍で当接して掛止されるので、ド
アの開閉側の上隅角部に取付けた耐震装置は殆ど役に立
たず、ドアが開けられぬ場合があった。後者は、ドア枠
とドア間の大きな隙間を塞ぐため「召し併せ板」を設け
たり、ドア枠を二重構造にした特別な耐震用ドアにした
り、また特殊な構造の錠受を設けたりする等の必要があ
るし、またそれでもその錠受でドアが引っ掛かって開け
難くなったりした。
【0058】これに対して、本発明に係る耐震機構付き
ドア錠によれば、耐震機構がドア錠と一体に設けた構造
になっているので、近時の多様なスチール製ドアに、従
来のドア錠と同様にして取付けるだけでよい。これで、
ドア枠が局部的に変形・圧縮を受け易い高さ方向の中央
近傍に対応して、ドアの開閉側の高さ方向の中央近傍
に、本耐震機構が設けられたことになり、耐震性を有す
るドアにすることができる。
【0059】同様に、この耐震機構付きドア錠を取付け
れば、ドア枠とドアの隙間が大きい耐震用ドアを用いる
必要がないので、召し合せ板を用いたり、通常時はドア
枠から突出しドア枠変形時に圧縮される特殊な錠受を用
いる必要がなくなる。また従来の特別な構造の耐震用ド
アに比べて、この耐震機構付きドア錠を取付けたドアは
製造コストを低減することになるし、外観上は通常のス
チール製ドアとほぼ同じものにすることができるから、
ビルのドアとしての美観を害することも無くなる。
【0060】そして本耐震機構付きドア錠を設けたドア
では、地震発生時にドア周りの壁がせん断破壊しドア枠
がドア側へ局部的に変形した場合に、上記の如く最も大
きな変形が生じる高さ方向の中央部近傍に対応して、ド
アに錠本体部と一体の耐震機構の耐震ローラが設けてあ
る。そのため、ドア枠の局部的な変形をこの耐震用ロー
ラが支承して変形を防止すると共に、ドアを開ける際に
可回動な該耐震ローラがドア枠に当接しながら回動する
ので、ドアは小さい力で開けることができ、部屋内の人
が脱出することができる。
【0061】さらに、上記従来のような特殊な錠受を用
いないので、地震発生時のドア枠変形時に錠受が変形し
てドアが引っ掛かるようなこともなくなる。そのため、
本耐震機構付きドア錠を設けたドアでは、この面でも従
来のドア錠と異なり、地震発生時にも確実にドアを開け
ることができ、部屋内から避難・脱出できるようにな
る。
【0062】なお、ドア自体の耐震性を増すためドア内
に、前端部が上記ローラ軸支部またはその近傍後方に固
着され、後端部がドアの蝶番側の縦骨と固着されるよう
にドア補強横材を設け、またドア枠側の錠受の前板部の
裏側にも、補強材を内装させたものでは、より一層の耐
震性が発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る耐震機構付きドア錠の実施例を、
ドアに取り付けた使用状態例を示す一部切り欠き正面図
である。
【図2】図1で示した耐震機構付きドア錠の使用状態例
を拡大して示す一部切り欠き正面図である。
【図3】図2で示した耐震機構付きドア錠の一部切り欠
き正面図である。
【図4】図2で示した耐震機構付きドア錠の側面図であ
る。
【図5】本発明に係る耐震機構付きドア錠の実施例につ
き、平常時におけるドア枠との状態を示すもので、図2
におけるII−II線断面図である。
【図6】本発明に係る耐震機構付きドア錠の実施例につ
き、地震発生後にドアを開ける際のドア枠との状態を示
すもので、図5と同じ位置での横断面図である。
【図7】本発明に係る耐震機構付きドア錠の実施例につ
き、面内変形追随性試験の試験結果を示す図表である。
【図8】本発明に係る耐震機構付きドア錠の実施例につ
き、同じく面内変形追随性試験の試験結果を示す図表で
ある。
【図9】本発明に係る耐震機構付きドア錠の実施例につ
き、局部変形追随性試験の試験結果を示す図表である。
【図10】従来の耐震用ドアにおいて平常時の要部の状
態を示した横断面図である。
【図11】従来の耐震用ドアにおいて地震発生後にドア
を開ける際の要部の状態を示した横断面図である。
【符号の説明】
A−ドア錠 1−ドア 11−錠受 21
−つまみ 2−ドア枠 12−窓孔 22
−錠ボックス 3−錠本体部 13−前板部 23
−折曲げ縁 4−耐震機構 14−縦骨 24
−気密用ゴム材 5−錠ケース 15−ドア補強横材 25
−召し合わせ板 6−前板 16−補強材 s
−隙間 7−ローラ軸支部 17−ラッチボルト P
−外力 8−縦軸 18−デッドボルト 9−耐震用ローラ 19−耳片 9a−突出部分 20−ハンドル 10−フロント板

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スチール製のドア1に錠本体部3を取付
    け、ドア枠2に錠受11を取付けるドア錠Aにおいて、
    錠本体部3に耐震機構4を設けたものであり、 錠ケース5のケース前板6の上部または下部に、縦断面
    コの字状のローラ軸支部7を一体に設けて、 該軸支部7に金属製の耐震用ローラを、縦軸8の周り
    に可回動で、かつ該ローラの前部寄りが上記前板6前
    面のフロント板10の窓孔12から前方へ突出する如く
    設け、 該耐震用ローラ9の突出部分が、地震で変形時のドア枠
    2の錠受11の前板部13に当接して、ドア枠2を支承
    可能となる耐震機構4を設けたことを特徴とする、耐震
    機構付きドア錠。
  2. 【請求項2】スチール製のドア1に錠本体部3を取付
    け、ドア枠2に錠受11を取付けるドア錠Aにおいて、
    錠本体部3に耐震機構4を設けたものであり、 錠ケース5のケース前板6の上部または下部に、縦断面
    コの字状のローラ軸支部7を一体に設け、 該軸支部7に金属製の耐震用ローラを、縦軸8の周り
    に可回動で、かつ該ローラの前部寄りが、地震で変形
    時のドア枠2の錠受11の前板部13に当接してドア枠
    2を支承可能に、上記前板6前面のフロント板10の窓
    孔12から前方へ突出する如く設けた耐震機構4を有す
    ることを特徴とする、耐震機構付きドア錠。
  3. 【請求項3】ローラ軸支部7を、錠ケース5の前板6の
    上部または下部を延長すると共に縦断面コの字状に屈曲
    して一体形成した、請求項1または2に記載の耐震機構
    付きドア錠。
  4. 【請求項4】ローラ軸支部7を、錠ケース5の前板6と
    別体で縦断面コの字状に屈曲して形成しておき、これを
    錠ケース5の前板6の上部または下部に固着して設け
    た、請求項1または2に記載の耐震機構付きドア錠。
  5. 【請求項5】ローラ軸支部7またはその近傍後方に、後
    端部をドア1の蝶番側の縦骨14に固着するドア補強横
    材15の前端部を固着可能とした、請求項1、2、3、
    または4に記載の耐震機構付きドア錠。
  6. 【請求項6】耐震用ローラに当接する錠受11の前板
    部13の内側に、補強材16を内装させた、請求項1、
    2、3、4または5に記載の耐震機構付きドア錠。
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