JP3245537B2 - 連続地中壁における透水部の形成方法 - Google Patents
連続地中壁における透水部の形成方法Info
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- JP3245537B2 JP3245537B2 JP29566796A JP29566796A JP3245537B2 JP 3245537 B2 JP3245537 B2 JP 3245537B2 JP 29566796 A JP29566796 A JP 29566796A JP 29566796 A JP29566796 A JP 29566796A JP 3245537 B2 JP3245537 B2 JP 3245537B2
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は地下鉄などの地下構
造物を築造する際、該計画地下構造物の外側に沿って構
築される不透水性の連続地中壁に透水部を形成する方法
に関するものである。
造物を築造する際、該計画地下構造物の外側に沿って構
築される不透水性の連続地中壁に透水部を形成する方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、地下鉄工事などのように地中
に地下構造物を築造する際に、予め、築造すべき地下構
造物、即ち、計画地下構造物の両外壁面に沿って土留壁
を構築したのち、両土留壁間に地下構造物を築造するこ
とが行われている。このような土留壁が構築されると、
該土留壁によって地下水の流れが遮断されてしまい、こ
の土留壁を挟んで地下水の上流側では水位が上昇して浸
水や井戸水の溢れが生じる一方、下流側では井戸枯れ等
の問題が発生することになる。そのため、地下構造物の
築造後、土留壁に地下水を流通させるための透水部を設
けることが行われている。
に地下構造物を築造する際に、予め、築造すべき地下構
造物、即ち、計画地下構造物の両外壁面に沿って土留壁
を構築したのち、両土留壁間に地下構造物を築造するこ
とが行われている。このような土留壁が構築されると、
該土留壁によって地下水の流れが遮断されてしまい、こ
の土留壁を挟んで地下水の上流側では水位が上昇して浸
水や井戸水の溢れが生じる一方、下流側では井戸枯れ等
の問題が発生することになる。そのため、地下構造物の
築造後、土留壁に地下水を流通させるための透水部を設
けることが行われている。
【0003】このような透水部を設ける方法としては、
例えば、特開平6ー49839号公報に記載されている
ように、連続地中壁の構築時において、透水部を形成す
べき部分に縦孔を掘削し、この縦孔内に、内部にゴムス
リーブを配設してなる有孔管を挿入したのち、該ゴムス
リーブ内に周辺地盤の水圧よりも高い水圧を作用させる
ことによりゴムスリーブを膨張させて有孔管の内周面に
密着させることにより止水性を確保し、地下構造物の築
造後、ゴムスリーブを撤去することで、有孔管を通じて
地下水の流通させるようにする方法が知られている。
例えば、特開平6ー49839号公報に記載されている
ように、連続地中壁の構築時において、透水部を形成す
べき部分に縦孔を掘削し、この縦孔内に、内部にゴムス
リーブを配設してなる有孔管を挿入したのち、該ゴムス
リーブ内に周辺地盤の水圧よりも高い水圧を作用させる
ことによりゴムスリーブを膨張させて有孔管の内周面に
密着させることにより止水性を確保し、地下構造物の築
造後、ゴムスリーブを撤去することで、有孔管を通じて
地下水の流通させるようにする方法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、連続地
中壁の構築時において透水部を形成するための縦孔は、
従来からベントナイト液を用いて孔壁の崩壊を防止しな
がら掘削されるために、ベントナイトの微粒子が孔壁面
の土粒子間に浸入して不透水泥膜を形成し、この不透水
泥膜が地盤側からの透水性を阻害して有孔管を通じての
有効な通水機能を奏することができなくなるという問題
点があり、さらに、地下構造物の築造中にはゴムスリー
ブを地下水圧よりも高い水圧でもって膨張させて有孔管
の孔を閉止しておかなければならないばかりでなく、ゴ
ムスリーブに孔が明いていたり或いは使用中に破損する
と築造中の地下構造物に地下水が流入して作業が行えな
くなるという問題点がある。
中壁の構築時において透水部を形成するための縦孔は、
従来からベントナイト液を用いて孔壁の崩壊を防止しな
がら掘削されるために、ベントナイトの微粒子が孔壁面
の土粒子間に浸入して不透水泥膜を形成し、この不透水
泥膜が地盤側からの透水性を阻害して有孔管を通じての
有効な通水機能を奏することができなくなるという問題
点があり、さらに、地下構造物の築造中にはゴムスリー
ブを地下水圧よりも高い水圧でもって膨張させて有孔管
の孔を閉止しておかなければならないばかりでなく、ゴ
ムスリーブに孔が明いていたり或いは使用中に破損する
と築造中の地下構造物に地下水が流入して作業が行えな
くなるという問題点がある。
【0005】一方、連続地中壁の構築後に該連続地中壁
に透水部を形成する方法としては、連続地中壁の一部の
壁体部を全高に亘って破砕する方法が考えられるが、壁
体部中に鋼管矢板が埋設されている場合にはその鋼管矢
板の引き抜きが極めて困難であり、実質的に壁体部の破
砕が行えなくなるものであり、また、鋼板矢板の引き抜
きが行えたとしても、その引き抜き跡に大きな空洞が生
じて周辺地盤の崩壊や地下構造物の埋設地盤に対して悪
影響を及ぼすという問題点が生じる。本発明はこのよう
な問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするとこ
ろは、地下構造物の築造中においては確実に止水を行
い、築造後には円滑な透水性を発揮し得る連続地中壁に
おける透水部の形成方法を提供するにある。
に透水部を形成する方法としては、連続地中壁の一部の
壁体部を全高に亘って破砕する方法が考えられるが、壁
体部中に鋼管矢板が埋設されている場合にはその鋼管矢
板の引き抜きが極めて困難であり、実質的に壁体部の破
砕が行えなくなるものであり、また、鋼板矢板の引き抜
きが行えたとしても、その引き抜き跡に大きな空洞が生
じて周辺地盤の崩壊や地下構造物の埋設地盤に対して悪
影響を及ぼすという問題点が生じる。本発明はこのよう
な問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするとこ
ろは、地下構造物の築造中においては確実に止水を行
い、築造後には円滑な透水性を発揮し得る連続地中壁に
おける透水部の形成方法を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の請求項1に係る連続地中壁に透水部を形成す
る方法は、連続地中壁を構築する際に、該連続地中壁の
一部分に、地中のバクテリアにより分解される高粘度の
有機物の不透水性水溶液を混合した土砂を充満させてい
る縦孔を連続地中壁の全高に亘って掘削、形成したの
ち、この縦孔内に内部が抜き取り可能な仕切板によって
2室に分割され且つ管壁に多数の通水用スリットを穿設
してなる鋼管矢板を、上記分割された室を連続地中壁の
内外壁面側にそれぞれ向けた状態にして建て込んでこの
鋼管矢板の両側端部を構築される連続地中壁の壁体部内
の矢板の対向側端部に一体的に連結し、構築した連続地
中壁に沿って地下構造物を築造、埋設したのち鋼管矢板
内の仕切板を抜き取ることを特徴とするものである。
に本発明の請求項1に係る連続地中壁に透水部を形成す
る方法は、連続地中壁を構築する際に、該連続地中壁の
一部分に、地中のバクテリアにより分解される高粘度の
有機物の不透水性水溶液を混合した土砂を充満させてい
る縦孔を連続地中壁の全高に亘って掘削、形成したの
ち、この縦孔内に内部が抜き取り可能な仕切板によって
2室に分割され且つ管壁に多数の通水用スリットを穿設
してなる鋼管矢板を、上記分割された室を連続地中壁の
内外壁面側にそれぞれ向けた状態にして建て込んでこの
鋼管矢板の両側端部を構築される連続地中壁の壁体部内
の矢板の対向側端部に一体的に連結し、構築した連続地
中壁に沿って地下構造物を築造、埋設したのち鋼管矢板
内の仕切板を抜き取ることを特徴とするものである。
【0007】上記方法において、請求項2に係る発明
は、縦孔内の土砂として縦孔掘削時において該縦孔部分
に存在している地盤中の土砂を排出することなく使用す
るものであり、この土砂は地盤の不透水層部と透水層部
とにそれぞれ連なる不透水層部と透水層部とが積層状態
に存在しているので、その積層状態のまゝ、これらの層
を形成している土砂と上記高粘度の有機物の不透水性水
溶液とを攪拌混合していることを特徴とするものであ
る。
は、縦孔内の土砂として縦孔掘削時において該縦孔部分
に存在している地盤中の土砂を排出することなく使用す
るものであり、この土砂は地盤の不透水層部と透水層部
とにそれぞれ連なる不透水層部と透水層部とが積層状態
に存在しているので、その積層状態のまゝ、これらの層
を形成している土砂と上記高粘度の有機物の不透水性水
溶液とを攪拌混合していることを特徴とするものであ
る。
【0008】請求項3に係る発明は上記方法とは別な連
続地中壁における透水部の形成方法であって、連続地中
壁を構築する際に、該連続地中壁の一部分に、地中のバ
クテリアにより分解される有機物の高粘度水溶液を注入
しながら縦孔を連続地中壁の全高に亘って掘削したの
ち、この有機物の高粘度水溶液が充満している縦孔内に
内部が抜き取り可能な仕切板によって2室に分割され且
つ管壁に多数の通水用スリットを穿設してなる鋼管矢板
を、上記分割された室を連続地中壁の内外壁面側にそれ
ぞれ向けた状態にして建て込んで該鋼管矢板の両側端部
を構築される連続地中壁の壁体部内の矢板の対向側端部
に一体的に連結し、しかるのち、鋼管矢板の内外の縦孔
内に透水性材料を投入し、構築した連続地中壁に沿って
地下構造物を築造、埋設したのち鋼管矢板内の仕切板を
抜き取ることを特徴とするものである。
続地中壁における透水部の形成方法であって、連続地中
壁を構築する際に、該連続地中壁の一部分に、地中のバ
クテリアにより分解される有機物の高粘度水溶液を注入
しながら縦孔を連続地中壁の全高に亘って掘削したの
ち、この有機物の高粘度水溶液が充満している縦孔内に
内部が抜き取り可能な仕切板によって2室に分割され且
つ管壁に多数の通水用スリットを穿設してなる鋼管矢板
を、上記分割された室を連続地中壁の内外壁面側にそれ
ぞれ向けた状態にして建て込んで該鋼管矢板の両側端部
を構築される連続地中壁の壁体部内の矢板の対向側端部
に一体的に連結し、しかるのち、鋼管矢板の内外の縦孔
内に透水性材料を投入し、構築した連続地中壁に沿って
地下構造物を築造、埋設したのち鋼管矢板内の仕切板を
抜き取ることを特徴とするものである。
【0009】この請求項3に係る発明において、請求項
4に記載の発明は、縦孔内に地盤の不透水層と透水層と
にそれぞれ連なる不透水性材料と上記砕石よりなる透水
性材料とを積層状態に投入することを特徴とするもので
ある。
4に記載の発明は、縦孔内に地盤の不透水層と透水層と
にそれぞれ連なる不透水性材料と上記砕石よりなる透水
性材料とを積層状態に投入することを特徴とするもので
ある。
【0010】また、上記それぞれの方法において、請求
項5に記載したように鋼管矢板に、地盤の透水層に対応
する部分にのみ、多数の通水用スリットを穿設しておい
てもよい。なお、地中バクテリアにより分解される有機
物としては、請求項6に記載しているように、グァガム
もしくはCMCが用いられる。
項5に記載したように鋼管矢板に、地盤の透水層に対応
する部分にのみ、多数の通水用スリットを穿設しておい
てもよい。なお、地中バクテリアにより分解される有機
物としては、請求項6に記載しているように、グァガム
もしくはCMCが用いられる。
【0011】
【作用効果】築造すべき地下構造物の外壁に沿って掘削
された溝孔内に鋼管矢板を順次連結しながら建て込むと
共にセメントミルク混合土砂或いはモルタルを充填、硬
化させてソイルセメント造やモルタル造の連続地中壁を
構築する際に、構築すべき連続地中壁の一部に透水部を
形成するための縦孔を設ける。この縦孔内には該縦孔の
掘削する際にその掘削土砂を攪拌しながら地中のバクテ
リアによって分解されるグァガムやCMCなどの有機物
の高粘度水溶液を注入して該水溶液を混合してなる土砂
で充満させておき、縦孔の形成後、この縦孔内に内部が
抜き取り可能な仕切板によって2室に分割され且つ管壁
に多数の通水用スリットを穿設してなる鋼管矢板を建て
込むか、或いはこの有機物の高粘度水溶液を注入しなが
ら縦孔を掘削したのち、上記通水用スリットを穿設して
なる鋼管矢板を建て込んで該縦孔内に砕石等の透水性材
料を投入しておく。
された溝孔内に鋼管矢板を順次連結しながら建て込むと
共にセメントミルク混合土砂或いはモルタルを充填、硬
化させてソイルセメント造やモルタル造の連続地中壁を
構築する際に、構築すべき連続地中壁の一部に透水部を
形成するための縦孔を設ける。この縦孔内には該縦孔の
掘削する際にその掘削土砂を攪拌しながら地中のバクテ
リアによって分解されるグァガムやCMCなどの有機物
の高粘度水溶液を注入して該水溶液を混合してなる土砂
で充満させておき、縦孔の形成後、この縦孔内に内部が
抜き取り可能な仕切板によって2室に分割され且つ管壁
に多数の通水用スリットを穿設してなる鋼管矢板を建て
込むか、或いはこの有機物の高粘度水溶液を注入しなが
ら縦孔を掘削したのち、上記通水用スリットを穿設して
なる鋼管矢板を建て込んで該縦孔内に砕石等の透水性材
料を投入しておく。
【0012】上記スリット穿設鋼管矢板内に抜き取り可
能に接合した仕切板は、予め、地上においてこのスリッ
ト穿設鋼管矢板内に設けることができるので、スリット
穿設鋼管矢板と仕切板との接合部を確実に止水構造とす
ることができると共に、鋼管矢板によって保護されて変
形する虞れもなく、従って、地下構造物の築造後におけ
る引き抜き作業が容易に行える。一方、グァガムやCM
Cなどの有機物は水に溶解した場合に高粘度の粘稠性状
を呈して不透水性を発揮し、その高粘度の水溶液が縦孔
の孔壁に付着、浸透して該孔壁に不透水性の泥膜を形成
して該泥膜により孔壁の崩壊を防止することができると
共に、ソイルセメント造の連続地中壁の築造時の場合に
は、該縦孔に隣接して打設された連続地中壁からのセメ
ントミルクが縦孔内に浸入するのを阻止することができ
る。
能に接合した仕切板は、予め、地上においてこのスリッ
ト穿設鋼管矢板内に設けることができるので、スリット
穿設鋼管矢板と仕切板との接合部を確実に止水構造とす
ることができると共に、鋼管矢板によって保護されて変
形する虞れもなく、従って、地下構造物の築造後におけ
る引き抜き作業が容易に行える。一方、グァガムやCM
Cなどの有機物は水に溶解した場合に高粘度の粘稠性状
を呈して不透水性を発揮し、その高粘度の水溶液が縦孔
の孔壁に付着、浸透して該孔壁に不透水性の泥膜を形成
して該泥膜により孔壁の崩壊を防止することができると
共に、ソイルセメント造の連続地中壁の築造時の場合に
は、該縦孔に隣接して打設された連続地中壁からのセメ
ントミルクが縦孔内に浸入するのを阻止することができ
る。
【0013】その上、縦孔内の土砂の粒子間や砕石間の
隙間が該不透水性の水溶液によって満たされて縦孔内の
土砂層や砕石層が不透水層部となり、縦孔形成時におけ
る初期の段階においては地盤中の透水層側からの地下水
の通過を阻止することができると共に土砂層や砕石層に
よって縦孔の崩壊を確実に防止し得る。なお、縦孔内に
土砂と有機物の高粘度水溶液との攪拌混合物を設ける場
合には、該縦孔掘削部分の土砂をそのまゝ利用すること
ができるので、産業廃棄物の排出量を減少できると共に
砕石等を投入することなく地盤沈下を防ぐための土砂層
を形成することができる。
隙間が該不透水性の水溶液によって満たされて縦孔内の
土砂層や砕石層が不透水層部となり、縦孔形成時におけ
る初期の段階においては地盤中の透水層側からの地下水
の通過を阻止することができると共に土砂層や砕石層に
よって縦孔の崩壊を確実に防止し得る。なお、縦孔内に
土砂と有機物の高粘度水溶液との攪拌混合物を設ける場
合には、該縦孔掘削部分の土砂をそのまゝ利用すること
ができるので、産業廃棄物の排出量を減少できると共に
砕石等を投入することなく地盤沈下を防ぐための土砂層
を形成することができる。
【0014】縦孔内に建て込んだスリット穿設鋼管矢板
はその両側端部を縦孔の両側孔壁に露出した連続地中壁
の対向する壁体部の芯材側端部に抜き取り可能に連結
し、その連結部に止水材を充填しておく。このような止
水構造の縦孔を複数個所に設けた連続地中壁を計画地下
構造物の両側外壁に沿って構築したのち、連続地中壁で
囲まれた地盤を掘削して地下構造物を築造する。
はその両側端部を縦孔の両側孔壁に露出した連続地中壁
の対向する壁体部の芯材側端部に抜き取り可能に連結
し、その連結部に止水材を充填しておく。このような止
水構造の縦孔を複数個所に設けた連続地中壁を計画地下
構造物の両側外壁に沿って構築したのち、連続地中壁で
囲まれた地盤を掘削して地下構造物を築造する。
【0015】縦孔内に充填した上記高粘度水溶液を形成
している有機物は地中のバクテリアによって分解されて
地下水に溶出するので、高粘度の水溶液が経時的に粘性
がなくなって水状化し、縦孔内に地盤側から地下構造物
側へと通水させる透水部を確実に形成することができ
る。この際、縦孔の孔壁に付着して泥膜を形成していた
水溶液の有機物が分解して孔壁が確実に通水機能を奏す
るようになる。有機物が分解して縦孔内が通水機能を奏
するまでの日数は、地下構造物の築造が完成される期間
よりも短いので、上記のようにスリット穿設鋼管矢板内
に設けた仕切板によって地下水が築造中の地下構造物側
に流通するのを阻止しておく。
している有機物は地中のバクテリアによって分解されて
地下水に溶出するので、高粘度の水溶液が経時的に粘性
がなくなって水状化し、縦孔内に地盤側から地下構造物
側へと通水させる透水部を確実に形成することができ
る。この際、縦孔の孔壁に付着して泥膜を形成していた
水溶液の有機物が分解して孔壁が確実に通水機能を奏す
るようになる。有機物が分解して縦孔内が通水機能を奏
するまでの日数は、地下構造物の築造が完成される期間
よりも短いので、上記のようにスリット穿設鋼管矢板内
に設けた仕切板によって地下水が築造中の地下構造物側
に流通するのを阻止しておく。
【0016】仕切板を介して2室に分割してなる鋼管矢
板は、その分割された室を連続地中壁の内外壁面側にそ
れぞれ向けた状態にして建て込んでいるので、該鋼管矢
板内の高粘度水溶液が上述したように水状化して鋼管矢
板内が透水機能を奏するようになると、地下構造物の施
工時に、該地下構造物側の室内をディープウエル等の揚
水管として利用することができる。
板は、その分割された室を連続地中壁の内外壁面側にそ
れぞれ向けた状態にして建て込んでいるので、該鋼管矢
板内の高粘度水溶液が上述したように水状化して鋼管矢
板内が透水機能を奏するようになると、地下構造物の施
工時に、該地下構造物側の室内をディープウエル等の揚
水管として利用することができる。
【0017】地下構造物の完成後、該仕切板を抜き取
る。この仕切板の抜き取り時には、上述したように有機
物の高粘度水溶液が水状化しているので、引き抜き抵抗
が小さくなり、引き抜き作業が容易に行える。仕切板を
抜き取ると、地下水が縦孔内から鋼管矢板矢板に穿設し
ているスリットを通じて地下構造物側の透水地盤層に流
通し、さらに、他方の連続地中壁に設けている縦孔内の
透水層部を通じて自由に流通させることができる。
る。この仕切板の抜き取り時には、上述したように有機
物の高粘度水溶液が水状化しているので、引き抜き抵抗
が小さくなり、引き抜き作業が容易に行える。仕切板を
抜き取ると、地下水が縦孔内から鋼管矢板矢板に穿設し
ているスリットを通じて地下構造物側の透水地盤層に流
通し、さらに、他方の連続地中壁に設けている縦孔内の
透水層部を通じて自由に流通させることができる。
【0018】また、地盤中に不透水層を介して上下透水
層が存在する場合には、請求項2、請求項4に記載した
ように、縦孔内にこれらの不透水層と上下透水層にそれ
ぞれ連なる不透水層部と上下透水層部とを積層状態に設
けておく。このように構成しておくと、縦孔内の透水層
部はその内部に混入している有機物の高粘度水溶液によ
って該有機物が地中のバクテリアにより分解されるまで
不透水性機能を発揮するが、有機物の分解により透水性
を復元すると、スリット鋼管矢板内の仕切板を抜き取れ
ば、縦孔内の上記上下透水層部が地盤側の上下透水層と
地下構造物側の上下透水地盤層にそれぞれ連通させるこ
とができる。この際、鋼管矢板には全長に亘って多数の
スリットを穿設しておいてもよいが、請求項5に記載し
たように地盤の透水層に対応する管壁部に通水用スリッ
トを穿設しておいてもよい。
層が存在する場合には、請求項2、請求項4に記載した
ように、縦孔内にこれらの不透水層と上下透水層にそれ
ぞれ連なる不透水層部と上下透水層部とを積層状態に設
けておく。このように構成しておくと、縦孔内の透水層
部はその内部に混入している有機物の高粘度水溶液によ
って該有機物が地中のバクテリアにより分解されるまで
不透水性機能を発揮するが、有機物の分解により透水性
を復元すると、スリット鋼管矢板内の仕切板を抜き取れ
ば、縦孔内の上記上下透水層部が地盤側の上下透水層と
地下構造物側の上下透水地盤層にそれぞれ連通させるこ
とができる。この際、鋼管矢板には全長に亘って多数の
スリットを穿設しておいてもよいが、請求項5に記載し
たように地盤の透水層に対応する管壁部に通水用スリッ
トを穿設しておいてもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施例を図面につ
いて説明すると、図1は一定の間隔を存して構築した連
続地中壁A、A間に地下鉄等の地下構造物Bを築造した
状態を示すもので、これらの連続地中壁A、Aには地下
構造物Bの長さ方向に適宜間隔毎に透水部1が設けられ
てあり、上流側の地盤11の透水層12、13を流通する地下
水を一方の連続地中壁Aの透水部1の透水層部12a 、13
a を通じて地下構造物Bを埋設した透水地盤層12b 、13
b にそれぞれ流通させ、さらにこの透水地盤層12b 、13
b から他方の連続地中壁Aの透水部1の透水層部12a 、
13a を通じて下流側の透水層12、13に流通させるように
構成しているものである。
いて説明すると、図1は一定の間隔を存して構築した連
続地中壁A、A間に地下鉄等の地下構造物Bを築造した
状態を示すもので、これらの連続地中壁A、Aには地下
構造物Bの長さ方向に適宜間隔毎に透水部1が設けられ
てあり、上流側の地盤11の透水層12、13を流通する地下
水を一方の連続地中壁Aの透水部1の透水層部12a 、13
a を通じて地下構造物Bを埋設した透水地盤層12b 、13
b にそれぞれ流通させ、さらにこの透水地盤層12b 、13
b から他方の連続地中壁Aの透水部1の透水層部12a 、
13a を通じて下流側の透水層12、13に流通させるように
構成しているものである。
【0020】このように、連続地中壁Aに地下水の流れ
を遮断することなく自由な流れを確保するための透水部
1を形成するには、まず、築造すべき地下構造物B、即
ち、計画地下構造物の両側外壁に沿って連続地中壁A、
Aを構築する際に、該連続地中壁Aの一部に相当する部
分に図2、図3に示すように縦孔2を掘削し、この縦孔
2に地下構造物Bの築造後、通水機能を発揮する透水部
1を形成するものである。
を遮断することなく自由な流れを確保するための透水部
1を形成するには、まず、築造すべき地下構造物B、即
ち、計画地下構造物の両側外壁に沿って連続地中壁A、
Aを構築する際に、該連続地中壁Aの一部に相当する部
分に図2、図3に示すように縦孔2を掘削し、この縦孔
2に地下構造物Bの築造後、通水機能を発揮する透水部
1を形成するものである。
【0021】連続地中壁Aはソイルセメント造又はモル
タル造のいずれの構造であってもよく、ソイルセメント
造の場合には、穿孔機(図示せず)により計画地下構造
物の底面よりも深い円形の縦孔2'を計画地下構造物に沿
って順次一部が重複するように掘削する。この際、掘削
孔内にセメントミルクを注入して該セメントミルクと掘
削土砂とを攪拌混合させてスラリーとなし、このスラリ
ーが硬化してする前に各縦孔2'内に鋼管矢板5'を順次そ
の対向側面に固着している断面C字状の継手金具51を介
して一体に連結しながら建て込み、一連に連結した鋼管
矢板5'を芯材としてスラリーを硬化させることによって
連続柱状壁からなる連続地中壁Aが形成されるものであ
り、モルタル造の場合には縦孔2'を掘削後、モルタルを
該縦孔2'に充填すると共に上記同様に各縦孔2'に鋼管矢
板5'を順次連結しながら建て込み、モルタルを硬化させ
ることによって形成される。
タル造のいずれの構造であってもよく、ソイルセメント
造の場合には、穿孔機(図示せず)により計画地下構造
物の底面よりも深い円形の縦孔2'を計画地下構造物に沿
って順次一部が重複するように掘削する。この際、掘削
孔内にセメントミルクを注入して該セメントミルクと掘
削土砂とを攪拌混合させてスラリーとなし、このスラリ
ーが硬化してする前に各縦孔2'内に鋼管矢板5'を順次そ
の対向側面に固着している断面C字状の継手金具51を介
して一体に連結しながら建て込み、一連に連結した鋼管
矢板5'を芯材としてスラリーを硬化させることによって
連続柱状壁からなる連続地中壁Aが形成されるものであ
り、モルタル造の場合には縦孔2'を掘削後、モルタルを
該縦孔2'に充填すると共に上記同様に各縦孔2'に鋼管矢
板5'を順次連結しながら建て込み、モルタルを硬化させ
ることによって形成される。
【0022】透水部1はこの連続地中壁Aの構築時にそ
の一部に形成されるもので、この透水部1の形成方法を
詳しく述べると、まず、先に縦孔2'内に形成したソイル
セメント柱壁部aに隣接して該縦孔2'と同一形状、同一
大きさの縦孔2を掘削する際に、掘削される土砂を排出
することなく攪拌しながらその土砂中に地中のバクテリ
アにより分解される有機物の高粘度水溶液4を注入、充
填しながら掘削する。この際、図1に示すように、地盤
11には透水層12、13(この透水層は一層であってもよ
い)と不透水層16とが存在するので、これらの透水層1
2、13、不透水層16と連なる縦孔2内の透水層部12a 、1
3a 、不透水層部16a はその位置に残存するように穿孔
機によって上記高粘度水溶液4と攪拌混合されるもので
ある。
の一部に形成されるもので、この透水部1の形成方法を
詳しく述べると、まず、先に縦孔2'内に形成したソイル
セメント柱壁部aに隣接して該縦孔2'と同一形状、同一
大きさの縦孔2を掘削する際に、掘削される土砂を排出
することなく攪拌しながらその土砂中に地中のバクテリ
アにより分解される有機物の高粘度水溶液4を注入、充
填しながら掘削する。この際、図1に示すように、地盤
11には透水層12、13(この透水層は一層であってもよ
い)と不透水層16とが存在するので、これらの透水層1
2、13、不透水層16と連なる縦孔2内の透水層部12a 、1
3a 、不透水層部16a はその位置に残存するように穿孔
機によって上記高粘度水溶液4と攪拌混合されるもので
ある。
【0023】なお、有機物の高粘度水溶液4を注入しな
がら穿孔機によって縦孔2を掘削する際に縦孔2内の土
砂を排出してもよく、この場合には縦孔2の掘削後、縦
孔2内における地盤11の透水層12、13に連なる部分に砕
石等の透水性材料を、不透水層16に連なる部分に粘土等
の不透水性材料を投入、充填することにより上記透水層
部12a 、13a と不透水層部16a を形成するものである。
がら穿孔機によって縦孔2を掘削する際に縦孔2内の土
砂を排出してもよく、この場合には縦孔2の掘削後、縦
孔2内における地盤11の透水層12、13に連なる部分に砕
石等の透水性材料を、不透水層16に連なる部分に粘土等
の不透水性材料を投入、充填することにより上記透水層
部12a 、13a と不透水層部16a を形成するものである。
【0024】高粘度水溶液を形成する有機物としてはグ
ァガム、CMCのように水に添加、混合すると高粘度の
粘稠性水溶液4となり、地中のバクテリアにより分解さ
れて水状化するものが用いられる。以下、グァガムの高
粘度水溶液4を用いることにする。なお、この高粘度水
溶液4を縦孔2内に充填して先に掘削した縦孔2'側から
のセメントミルクの浸入を防止するには、該水溶液4の
粘度がファンネル粘性25秒以上に調製したものを使用す
る。
ァガム、CMCのように水に添加、混合すると高粘度の
粘稠性水溶液4となり、地中のバクテリアにより分解さ
れて水状化するものが用いられる。以下、グァガムの高
粘度水溶液4を用いることにする。なお、この高粘度水
溶液4を縦孔2内に充填して先に掘削した縦孔2'側から
のセメントミルクの浸入を防止するには、該水溶液4の
粘度がファンネル粘性25秒以上に調製したものを使用す
る。
【0025】グァガムは上述したように、水に添加する
と高粘度の水溶液4となり、この水溶液4は不透水性で
あるために、縦孔2内に充填すると土砂の粒子間或いは
砕石等の透水性材料の隙間(透水性材料とは砕石間等の
ように通水可能な隙間が形成される材料を言う)を満た
してこの隙間を通じての通水を不能にし、従って、上記
透水層部12a 、13a が不透水層となって地盤11の透水層
12、13からの地下水の流れを遮断すると共にその高粘度
の水溶液が縦孔の孔壁に付着、浸透して該孔壁に不透水
性の泥膜を形成して該泥膜により孔壁の崩壊を防止し、
隣接する縦孔2'側からのセメントミルクがこの縦孔2内
に浸入するのを阻止する。
と高粘度の水溶液4となり、この水溶液4は不透水性で
あるために、縦孔2内に充填すると土砂の粒子間或いは
砕石等の透水性材料の隙間(透水性材料とは砕石間等の
ように通水可能な隙間が形成される材料を言う)を満た
してこの隙間を通じての通水を不能にし、従って、上記
透水層部12a 、13a が不透水層となって地盤11の透水層
12、13からの地下水の流れを遮断すると共にその高粘度
の水溶液が縦孔の孔壁に付着、浸透して該孔壁に不透水
性の泥膜を形成して該泥膜により孔壁の崩壊を防止し、
隣接する縦孔2'側からのセメントミルクがこの縦孔2内
に浸入するのを阻止する。
【0026】このように、高粘度水溶液4を充填してい
る縦孔2を形成したのち、該縦孔2内に、図3に示すよ
うに内部が抜き取り可能な仕切板6によって2室7、8
に分割され且つ管壁に多数の通水用スリット9を穿設し
てなる鋼管矢板5を建て込むものであるが、この建て込
みは、掘削される土砂を排出することなく攪拌しながら
その土砂中に地中のバクテリアにより分解される有機物
の高粘度水溶液4を注入、充填しながら上記のように透
水層部12a 、13a と不透水層部16a とを設けた縦孔2を
形成する場合には、これらの透水層部12a 、13a と不透
水層部16a とを形成後に建て込むものであり、有機物の
高粘度水溶液4を注入しながら穿孔機によって縦孔2を
掘削する際に縦孔2内の土砂を排出する場合には、この
縦孔2の掘削後、建て込み、しかるのち、鋼管矢板5の
内外の縦孔2内における地盤11の透水層12、13に連なる
部分に砕石等の透水性材料を、不透水層16に連なる部分
に粘土等の不透水性材料を投入、充填するものである。
る縦孔2を形成したのち、該縦孔2内に、図3に示すよ
うに内部が抜き取り可能な仕切板6によって2室7、8
に分割され且つ管壁に多数の通水用スリット9を穿設し
てなる鋼管矢板5を建て込むものであるが、この建て込
みは、掘削される土砂を排出することなく攪拌しながら
その土砂中に地中のバクテリアにより分解される有機物
の高粘度水溶液4を注入、充填しながら上記のように透
水層部12a 、13a と不透水層部16a とを設けた縦孔2を
形成する場合には、これらの透水層部12a 、13a と不透
水層部16a とを形成後に建て込むものであり、有機物の
高粘度水溶液4を注入しながら穿孔機によって縦孔2を
掘削する際に縦孔2内の土砂を排出する場合には、この
縦孔2の掘削後、建て込み、しかるのち、鋼管矢板5の
内外の縦孔2内における地盤11の透水層12、13に連なる
部分に砕石等の透水性材料を、不透水層16に連なる部分
に粘土等の不透水性材料を投入、充填するものである。
【0027】上記鋼管矢板5は、縦孔2の直径よりも小
径に形成されてあり、その管壁に全長、全周に亘って多
数の通水用スリット9を穿設しておいてもよいが、本実
施例においては、図4、図5に示すように、地盤11の上
下透水層12、13に対応する一定長さ部分の管壁に上下ス
リット9、9aを全周に亘って穿設したものを使用してい
る。この鋼管矢板5内にはその両側内面に互いに開口端
を対向させた断面C字状の垂直係止金具5a、5aを全長に
亘って一体に固着している一方、仕切板6は一定幅を有
する縦長長方形状の鋼板よりなり、その両側端に上記係
止金具5a、5aに抜き取り可能に挿嵌した棒状の係止部材
6a、6aを一体に設けている。そして、これらの係止金具
5aと係止部材6aとの隙間はパッキンその他の止水材によ
って止水されている。さらに、鋼管矢板5の管壁外周面
における両側面には横断面C字状の継手金具5b、5bを全
長に亘って固着している。
径に形成されてあり、その管壁に全長、全周に亘って多
数の通水用スリット9を穿設しておいてもよいが、本実
施例においては、図4、図5に示すように、地盤11の上
下透水層12、13に対応する一定長さ部分の管壁に上下ス
リット9、9aを全周に亘って穿設したものを使用してい
る。この鋼管矢板5内にはその両側内面に互いに開口端
を対向させた断面C字状の垂直係止金具5a、5aを全長に
亘って一体に固着している一方、仕切板6は一定幅を有
する縦長長方形状の鋼板よりなり、その両側端に上記係
止金具5a、5aに抜き取り可能に挿嵌した棒状の係止部材
6a、6aを一体に設けている。そして、これらの係止金具
5aと係止部材6aとの隙間はパッキンその他の止水材によ
って止水されている。さらに、鋼管矢板5の管壁外周面
における両側面には横断面C字状の継手金具5b、5bを全
長に亘って固着している。
【0028】このように内部に仕切板6を設けているス
リット穿設鋼管矢板5を縦孔2内に建て込むには、その
両側外周面に固着している継手金具5b、5bを、連続地中
壁Aを構成する両側の柱状壁の対向側端面に露出した該
端状壁内の継手金具51、51に係合させながら縦孔2内に
挿入し、互いに係合して継手金具5b、51同士を一体に連
結すると共にこれらの継手金具5b、51間の隙間に止水材
を充填する。この状態においては、鋼管矢板5内の仕切
板6によって区画されている一方の室7は地盤11側に対
向しており、他方の室8は築造すべき地下構造物B側に
対向していると共に縦孔2内はこの仕切板6と上記継手
金具5b、51との連結部によって地盤11側と計画地下構造
物B側とを完全に止水状態に遮断している。
リット穿設鋼管矢板5を縦孔2内に建て込むには、その
両側外周面に固着している継手金具5b、5bを、連続地中
壁Aを構成する両側の柱状壁の対向側端面に露出した該
端状壁内の継手金具51、51に係合させながら縦孔2内に
挿入し、互いに係合して継手金具5b、51同士を一体に連
結すると共にこれらの継手金具5b、51間の隙間に止水材
を充填する。この状態においては、鋼管矢板5内の仕切
板6によって区画されている一方の室7は地盤11側に対
向しており、他方の室8は築造すべき地下構造物B側に
対向していると共に縦孔2内はこの仕切板6と上記継手
金具5b、51との連結部によって地盤11側と計画地下構造
物B側とを完全に止水状態に遮断している。
【0029】グァガムの高粘度水溶液4は、グァガムに
よって高粘度の粘稠性状を呈しているが、この高粘度水
溶液4を地盤に掘削した上記縦孔2内に充填すると、そ
の充填初期の段階においては図6に示すように高い粘性
を保持しているが、日数が経過するに従って、該高粘度
水溶液4内に浸入する地中のバクテリアによりグァガム
が分解されて徐々に粘度が低下する。従って、それまで
高粘度水溶液4によって不透水層となっていたスリット
穿設鋼管矢板5の内外の縦孔2内の上記透水層部12a 、
13a が元の透水層部12a 、13a に復元し、地下水の自由
な流通を可能にする通水部1となるものである。
よって高粘度の粘稠性状を呈しているが、この高粘度水
溶液4を地盤に掘削した上記縦孔2内に充填すると、そ
の充填初期の段階においては図6に示すように高い粘性
を保持しているが、日数が経過するに従って、該高粘度
水溶液4内に浸入する地中のバクテリアによりグァガム
が分解されて徐々に粘度が低下する。従って、それまで
高粘度水溶液4によって不透水層となっていたスリット
穿設鋼管矢板5の内外の縦孔2内の上記透水層部12a 、
13a が元の透水層部12a 、13a に復元し、地下水の自由
な流通を可能にする通水部1となるものである。
【0030】この際、縦孔2の孔壁の土粒子間に浸入し
て該孔壁面に泥膜を形成している高粘度水溶液4もバク
テリアによって完全に分解されてベントナイト溶液のよ
うに孔壁に泥膜が残存するようなことはなく、良好な通
水機能を奏する通水部1が形成されるものである。ま
た、グァガムの高粘度水溶液4は、グァガムが地中のバ
クテリアにより分解されて液状化するまでの期間が連続
地中壁A、A間に地下構造物Bを築造する期間よりも短
いので、地下構造物Bが完成するまでは上記仕切板6と
互いに止水状態に連結している継手金具5b、51とによっ
て地下水が地下構造物B側に流入するのを阻止してお
く。
て該孔壁面に泥膜を形成している高粘度水溶液4もバク
テリアによって完全に分解されてベントナイト溶液のよ
うに孔壁に泥膜が残存するようなことはなく、良好な通
水機能を奏する通水部1が形成されるものである。ま
た、グァガムの高粘度水溶液4は、グァガムが地中のバ
クテリアにより分解されて液状化するまでの期間が連続
地中壁A、A間に地下構造物Bを築造する期間よりも短
いので、地下構造物Bが完成するまでは上記仕切板6と
互いに止水状態に連結している継手金具5b、51とによっ
て地下水が地下構造物B側に流入するのを阻止してお
く。
【0031】この際、仕切板6を介して分割されている
室7、8において、築造すべき連続地中壁B側に面した
室8内に透水層部12a 、13a に連通する孔を設けた多孔
管を挿入することにより、該多孔管を揚水管として利用
でき、連続地中壁A、A間の地盤中の滞水を排除するこ
とができる。なお、縦孔2内を全長に亘って透水層部に
形成する場合には、多孔管を使用することなく上記室8
をそのまゝ揚水管として利用できるものである。
室7、8において、築造すべき連続地中壁B側に面した
室8内に透水層部12a 、13a に連通する孔を設けた多孔
管を挿入することにより、該多孔管を揚水管として利用
でき、連続地中壁A、A間の地盤中の滞水を排除するこ
とができる。なお、縦孔2内を全長に亘って透水層部に
形成する場合には、多孔管を使用することなく上記室8
をそのまゝ揚水管として利用できるものである。
【0032】地下構造物Bの築造は、グァガムの高粘度
水溶液4が充填され且つ仕切板6を抜き取り可能に設け
ている鋼管矢板5を建て込むと共に上記透水層部12a 、
13aと不透水層部16a を設けた縦孔2を地下構造物Bの
両側外壁に沿って所望間隔毎に形成してなる連続地中壁
A、Aを構築したのち、これらの連続地中壁A、A間の
地盤を掘削して施工される。
水溶液4が充填され且つ仕切板6を抜き取り可能に設け
ている鋼管矢板5を建て込むと共に上記透水層部12a 、
13aと不透水層部16a を設けた縦孔2を地下構造物Bの
両側外壁に沿って所望間隔毎に形成してなる連続地中壁
A、Aを構築したのち、これらの連続地中壁A、A間の
地盤を掘削して施工される。
【0033】即ち、まず、両連続地中壁A、A間の地盤
をバケット等の掘削具を使用して掘削、排除する。この
際、両連続地中壁A、A間の地盤には、これらの地中壁
が構築される前に地下水を流通させていた上記透水層1
2、13と、地下水を流通させない不透水層16とが存在し
ており、これらの地盤層を上記のように掘削具によって
掘削、排除する。こうして掘削、排除した空間部内に、
図1に示すように、地下構造物Bの底壁B1を支持する不
透水性地盤層17上に砂礫等の透水性土砂を埋め戻して下
側透水性地盤層13b を形成したのち、該透水性地盤層13
b 上に地下構造物Bを築造し、この地下構造物Bの築造
後、該地下構造物Bの天壁B2上に透水性土砂を埋め戻す
ことによって上側透水性地盤層12b を形成すると共に地
下構造物Bを埋設する。
をバケット等の掘削具を使用して掘削、排除する。この
際、両連続地中壁A、A間の地盤には、これらの地中壁
が構築される前に地下水を流通させていた上記透水層1
2、13と、地下水を流通させない不透水層16とが存在し
ており、これらの地盤層を上記のように掘削具によって
掘削、排除する。こうして掘削、排除した空間部内に、
図1に示すように、地下構造物Bの底壁B1を支持する不
透水性地盤層17上に砂礫等の透水性土砂を埋め戻して下
側透水性地盤層13b を形成したのち、該透水性地盤層13
b 上に地下構造物Bを築造し、この地下構造物Bの築造
後、該地下構造物Bの天壁B2上に透水性土砂を埋め戻す
ことによって上側透水性地盤層12b を形成すると共に地
下構造物Bを埋設する。
【0034】こうして、地下構造物Bを築造、埋設後、
縦孔2内に建て込んでいる鋼管矢板5内の仕切板6を抜
き取って撤去するものであり、この仕切板6の抜き取り
によって縦孔2内の上記上下透水層部12a 、13a が地盤
11側の上下透水層12、13と地下構造物B側の上下透水地
盤層12b 、13b に鋼管矢板5に穿設しているスリット
9、9aを通じてそれぞれ連通し、上流側の地下水が地盤
11の透水層12、13から一方の連続地中壁Aの通水部1で
ある鋼管矢板5の内外の縦孔2内の上下透水層部12a 、
13a を通じてそれぞれ地下構造物Bの透水性地盤層12b
、13b に流入し、さらに、これらの透水性地盤層12b
、13b を通じて他方の連続地中壁Aの通水部1を形成
している上下透水層部12a 、13a からそれぞれ下流側の
地盤の透水層12、13へと流通するものである。なお、仕
切板6の抜き取り時には、高粘度水溶液4中のグァガム
が地中のバクテリアにより分解されて高粘度水溶液4が
通常の水と同様な低粘性液状化をしているので、その抜
き取り抵抗が小さくなり、容易に抜き取ることができ
る。
縦孔2内に建て込んでいる鋼管矢板5内の仕切板6を抜
き取って撤去するものであり、この仕切板6の抜き取り
によって縦孔2内の上記上下透水層部12a 、13a が地盤
11側の上下透水層12、13と地下構造物B側の上下透水地
盤層12b 、13b に鋼管矢板5に穿設しているスリット
9、9aを通じてそれぞれ連通し、上流側の地下水が地盤
11の透水層12、13から一方の連続地中壁Aの通水部1で
ある鋼管矢板5の内外の縦孔2内の上下透水層部12a 、
13a を通じてそれぞれ地下構造物Bの透水性地盤層12b
、13b に流入し、さらに、これらの透水性地盤層12b
、13b を通じて他方の連続地中壁Aの通水部1を形成
している上下透水層部12a 、13a からそれぞれ下流側の
地盤の透水層12、13へと流通するものである。なお、仕
切板6の抜き取り時には、高粘度水溶液4中のグァガム
が地中のバクテリアにより分解されて高粘度水溶液4が
通常の水と同様な低粘性液状化をしているので、その抜
き取り抵抗が小さくなり、容易に抜き取ることができ
る。
【0035】以上の実施例においては、地盤11に不透水
層16を介して上下透水層12、13が存在する場合について
説明したが、透水層が一層の場合には上記のように縦孔
2内に不透水層部16a を設ける必要はなく、全長に亘っ
て掘削土砂とグァガムの高粘度水溶液4との攪拌混合
物、又は砕石とグァガムの高粘度水溶液4との混合物を
充填しておき、地中のバクテリアによりグァガムが分解
した時に縦孔2全体が透水層部となるように構成してお
けばよい。
層16を介して上下透水層12、13が存在する場合について
説明したが、透水層が一層の場合には上記のように縦孔
2内に不透水層部16a を設ける必要はなく、全長に亘っ
て掘削土砂とグァガムの高粘度水溶液4との攪拌混合
物、又は砕石とグァガムの高粘度水溶液4との混合物を
充填しておき、地中のバクテリアによりグァガムが分解
した時に縦孔2全体が透水層部となるように構成してお
けばよい。
【0036】また、縦孔2内に充填する高粘度水溶液4
として、グァガムの水溶液を用いたが、グァガムに代え
てCMCの高粘度水溶液を用いても同様な通水部1を形
成することができるものであり、要するに、水の混合に
よって不透水性の粘稠性状になると共に、縦孔2内に充
填した際に地中のバクテリアにより分解されて通水機能
を奏するようになる有機物を用いればよい。
として、グァガムの水溶液を用いたが、グァガムに代え
てCMCの高粘度水溶液を用いても同様な通水部1を形
成することができるものであり、要するに、水の混合に
よって不透水性の粘稠性状になると共に、縦孔2内に充
填した際に地中のバクテリアにより分解されて通水機能
を奏するようになる有機物を用いればよい。
【0037】さらに、鋼管矢板5内に配設する仕切板6
としては、上記のような平帯板形状のもの以外に、図7
に示すように二枚の仕切板部61、61を連結片62、62によ
って一体的に連結してなる形状のものを用い、これらの
仕切板61、61部の両側端の係止部材6a、6aを鋼管矢板5
の両側内面に固着した断面横向きH形状の係止金具52、
52のフランジ部に一体いに固着している垂直係止金具5
a、5aに抜き取り可能に係合させた構造を採用してもよ
い。この構造によれば仕切板部61、61と係止金具5a、5a
とによる二重の止水構造となり、一層確実な止水機能を
奏するものである。また、図8に示すように、鋼管矢板
5の両側内面にフック形状の係止金具5a'を固着してお
き、この係止金具5a' に仕切板6の両端部に形成してい
るフック状の係止部6a' を抜き取り可能に係止させた構
造としておいてもよい。
としては、上記のような平帯板形状のもの以外に、図7
に示すように二枚の仕切板部61、61を連結片62、62によ
って一体的に連結してなる形状のものを用い、これらの
仕切板61、61部の両側端の係止部材6a、6aを鋼管矢板5
の両側内面に固着した断面横向きH形状の係止金具52、
52のフランジ部に一体いに固着している垂直係止金具5
a、5aに抜き取り可能に係合させた構造を採用してもよ
い。この構造によれば仕切板部61、61と係止金具5a、5a
とによる二重の止水構造となり、一層確実な止水機能を
奏するものである。また、図8に示すように、鋼管矢板
5の両側内面にフック形状の係止金具5a'を固着してお
き、この係止金具5a' に仕切板6の両端部に形成してい
るフック状の係止部6a' を抜き取り可能に係止させた構
造としておいてもよい。
【図1】地下構造物の両側に透水部を有する連続地中壁
を築造した状態の簡略斜視図、
を築造した状態の簡略斜視図、
【図2】縦孔を掘削した状態の縦断正面図、
【図3】隣接する連続地中壁の壁体部間の縦孔内にスリ
ット穿設鋼管矢板を建て込んだ状態の横断面図、
ット穿設鋼管矢板を建て込んだ状態の横断面図、
【図4】その鋼管矢板部分の縦断正面図、
【図5】仕切板を設けているスリット穿設鋼管矢板の簡
略斜視図、
略斜視図、
【図6】グァガムの高粘度水溶液の日数の経過による粘
性の変化を示す線図、
性の変化を示す線図、
【図7】鋼管矢板内の仕切板の別な構造を示す横断面
図、
図、
【図8】鋼管矢板内の仕切板の更に別な構造を示す横断
面図。
面図。
1 透水部 2 縦孔 4 グァガムの高粘度水溶液 5 鋼管矢板 6 仕切板 7、8 室 9、9a スリット 11 地盤 12、13 透水層 12a 、13a 透水層部 12b 、13b 透水地盤層 A 連続地中壁 B 地下構造物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E02D 5/20 101
Claims (6)
- 【請求項1】 連続地中壁を構築する際に、該連続地中
壁の一部分に、地中のバクテリアにより分解される高粘
度の有機物の不透水性水溶液を混合した土砂を充満させ
ている縦孔を連続地中壁の全高に亘って掘削、形成した
のち、この縦孔内に内部が抜き取り可能な仕切板によっ
て2室に分割され且つ管壁に多数の通水用スリットを穿
設してなる鋼管矢板を、上記分割された室を連続地中壁
の内外壁面側にそれぞれ向けた状態にして建て込んでこ
の鋼管矢板の両側端部を構築される連続地中壁の壁体部
内の矢板の対向側端部に一体的に連結し、構築した連続
地中壁に沿って地下構造物を築造、埋設したのち鋼管矢
板内の仕切板を抜き取ることを特徴とする連続地中壁に
おける透水部の形成方法。 - 【請求項2】 上記縦孔内の土砂は縦孔形成時における
掘削土砂であり、その掘削土砂を排出することなく地盤
の不透水層と透水層とにそれぞれ連なる不透水層部と透
水層部とに積層状態に且つ該土砂と上記高粘度の有機物
の不透水性水溶液とを攪拌混合させてなることを特徴と
する請求項1記載の連続地中壁における透水部の形成方
法。 - 【請求項3】 連続地中壁を構築する際に、該連続地中
壁の一部分に、地中のバクテリアにより分解される有機
物の高粘度水溶液を注入しながら縦孔を連続地中壁の全
高に亘って掘削したのち、この有機物の高粘度水溶液が
充満している縦孔内に内部が抜き取り可能な仕切板によ
って2室に分割され且つ管壁に多数の通水用スリットを
穿設してなる鋼管矢板を、上記分割された室を連続地中
壁の内外壁面側にそれぞれ向けた状態にして建て込んで
該鋼管矢板の両側端部を構築される連続地中壁の壁体部
内の矢板の対向側端部に一体的に連結し、しかるのち、
鋼管矢板の内外の縦孔内に砕石等の透水性材料を投入
し、構築した連続地中壁に沿って地下構造物を築造、埋
設したのち鋼管矢板内の仕切板を抜き取ることを特徴と
する連続地中壁における透水部の形成方法。 - 【請求項4】 縦孔内に地盤の不透水層と透水層とにそ
れぞれ連なる不透水性材料と上記砕石よりなる透水性材
料とを積層状態に投入することを特徴とする請求項3記
載の連続地中壁における透水部の形成方法。 - 【請求項5】 鋼管矢板に、地盤の透水層に対応する部
分にのみ、多数の通水用スリットを穿設していることを
特徴とする請求項1乃至請求項4のうち、いずれか1項
に記載の連続地中壁における透水部の形成方法。 - 【請求項6】 上記有機物はグァガムもしくはCMCで
あることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうち、い
ずれか1項に記載の連続地中壁における透水部の形成方
法。
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---|---|---|---|
JP29566796A JP3245537B2 (ja) | 1996-10-16 | 1996-10-16 | 連続地中壁における透水部の形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29566796A JP3245537B2 (ja) | 1996-10-16 | 1996-10-16 | 連続地中壁における透水部の形成方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10121462A JPH10121462A (ja) | 1998-05-12 |
JP3245537B2 true JP3245537B2 (ja) | 2002-01-15 |
Family
ID=17823630
Family Applications (1)
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JP29566796A Expired - Lifetime JP3245537B2 (ja) | 1996-10-16 | 1996-10-16 | 連続地中壁における透水部の形成方法 |
Country Status (1)
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-
1996
- 1996-10-16 JP JP29566796A patent/JP3245537B2/ja not_active Expired - Lifetime
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