JP3318495B2 - ソイルセメント地中壁に透水層部を形成する方法 - Google Patents

ソイルセメント地中壁に透水層部を形成する方法

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JP3318495B2 JP27543596A JP27543596A JP3318495B2 JP 3318495 B2 JP3318495 B2 JP 3318495B2 JP 27543596 A JP27543596 A JP 27543596A JP 27543596 A JP27543596 A JP 27543596A JP 3318495 B2 JP3318495 B2 JP 3318495B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は地下鉄などの地下構
造物を築造する際に、該計画地下構造物の外側に沿って
ソイルセメント地中壁を構築し、このソイルセメント地
中壁によって地下構造物の築造中においては地下水の流
れを遮断し、地下構造物の築造後に該ソイルセメント地
中壁に地下水の自由な流れを確保する透水層部を形成す
る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、地下鉄工事などのように地中
に地下構造物を築造する際に、予め、築造すべき地下構
造物、即ち、計画地下構造物の両外壁面に沿って土留壁
を構築したのち、両土留壁間に地下構造物を築造するこ
とが行われている。この際、土留壁の構築する工法とし
ては、止水性が高く且つ工期が短い上に経済的なSMW
(soil miximg wall) 工法が採用されている。この工法
は、土砂の掘削と攪拌を同時に行える掘削機によって土
留壁を形成すべき地盤中に一定の深さまで図13に示すよ
うに、互いに連続してなる多数の孔Aを穿設すると共に
その穿孔に従って孔A内にセメントミルクを注入するこ
とにより該セメントミルクと土砂とを攪拌混合してスラ
リーとなし、このスラリーが硬化する前に各孔A内にH
形鋼Bを建て込み、スラリーを硬化させることによって
ソイルセメント地中壁からなる土留壁を構築している。
【0003】このような土留壁が構築されると、該土留
壁によって地下水の流れが遮断されてしまい、この土留
壁を挟んで地下水の上流側では水位が上昇して浸水や井
戸水の溢れが生じる一方、下流側では井戸枯れ等の問題
が発生することになる。そのため、地下構造物の築造工
事が終了すると、上記土留壁の一部を地下水の流路に達
するまで破砕機によって破砕し、土留壁に透水部を形成
することが行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、土留壁
には一定間隔毎にH形鋼が埋設されているため、破砕機
によってH形鋼間の土留壁部分を破砕していく際に、破
砕ビットがH形鋼に接触して破損し、土留壁を破壊する
ことができなくなる場合がある。このため、H形鋼を引
き抜いた後、破砕機によって土留壁を破砕することも行
われているが、H形鋼はソイルセメントに対して付着力
が極めて大きく、引き抜くには多大な費用と時間とを要
するという問題点があり、その上、土留壁の深度が大き
い場合には引き抜きが行えない場合が生じる。
【0005】さらに、地中に不透水地層を挟んでその上
下側に地下水の流路が存在する場合には、上記のように
土留壁を破砕して透水層部を形成すると、該透水層部に
よって上下の地下水路が連通してしまい、地下水の流れ
が変化して自然環境の破壊の原因になる虞れがある。本
発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その
目的とするところは、計画地下構造物の外壁に沿って構
築されたソイルセメント地中壁に透水層部を形成する際
に、この地中壁に埋設されているH形鋼を引き抜くこと
なく且つH形鋼によって破砕機のビットが破損するのを
防止しながら、地下水路に連通する部分に確実且つ能率
よく透水層部を形成することができる方法を提供するに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の計画地下構造物の外壁に沿って構築された
ソイルセメント地中壁に透水層部を形成する方法は、ソ
イルセメント地中壁の構築時に一定間隔毎に鋼材よりな
る芯材を埋設しておくと共に、透水層部を形成すべきソ
イルセメント地中壁の壁体部における対向する芯材の対
向面に、予め、ガイド部材を一体に添設しておき、ソイ
ルセメント地中壁の構築後に、これらのガイド部材をガ
イドとして該ガイド部材間の壁体部を破砕機により破砕
してこの破砕片間で形成される空隙部によって地下水路
に連通する透水層部を形成することを特徴とするもので
ある。
【0007】請求項2に係る発明は、上記ソイルセメン
ト地中壁を計画地下構造物の両側外壁に沿って構築した
のち、これらのソイルセメント地中壁間の地中に地下構
造物を築造し、この地下構造物を挟んだ上記両側のソイ
ルセメント地中壁において上記ガイド部材間の壁体部を
破砕機により破砕して互いに通水可能に連続する透水層
部を形成することを特徴とするものである。
【0008】さらに、この請求項2に係る発明におい
て、地下構築物を埋設した不透水性地盤層中両側のソ
イルセメント地中壁の対向面に連なる上下透水性地盤層
を形成し、しかるのち、両側のソイルセメント地中壁に
おける上記ガイド部材間の壁体部を破砕機により破砕し
その破砕片間の空隙部で透水層部を形成する際に、該
透水層部を上記上下透水性地盤層に連通する高さ部分に
形成し、その他の部分をセメントミルクの注入、硬化に
よって破砕片同士を一体に固着することにより不透水層
部に形成することを特徴とするものである。
【0009】
【作用効果】請求項1に係る発明によれば、透水層部を
形成すべきソイルセメント地中壁の壁体部における対向
する芯材の対向面に予め、ガイド部材を一体に添設して
いるので、このガイド部材に沿って破砕機を案内させな
がら且つガイド部材によって破砕機の掘削ビットが芯材
に接触するのを防止しながらガイド部材間の壁体部を所
望深さまで能率よく破砕することができ、この壁体部の
破砕片間の空隙部によってソイルセメント地中壁の一部
にそれまで遮断していた地下水の透水層部を容易に形成
することができる。
【0010】また、請求項2に係る発明によれば、計画
地下構造物を挟むようにして構築されたソイルセメント
地中壁の芯材間の壁体部を、地下構造物の築造後に、破
砕機によって上記のようにガイド部材をガイドとして破
砕して透水層部を形成するものであるから、地下構造物
を築造するまでは両側のソイルセメント地中壁によって
地下水の流通を遮断しておくことができ、地下構造物の
築造後には一方のソイルセメント地中壁の透水層部から
地下構造物を埋設した地盤中の透水性地盤層を介して他
方のソイルセメント地中壁の透水層部側に地下水を流通
させることができる。
【0011】さらに、地下構造物を埋設した不透水性地
盤層中の上下部に透水性地盤層を形成し、これらの上下
透水性地盤層に連通するように両側のソイルセメント地
中壁の壁体部の上下部に透水層部を形成するものである
から、地中に不透水性地盤層を挟んでその上下側に地下
水の流路が存在する場合には、これらの上下地下水の流
路を互いに連通させることなくそれぞれソイルセメント
地中壁の上下透水層部と地下構築物の埋設地盤中の上下
透水性地盤層を通じて地下構造物築造前の元の流れの状
態で流通させることができ、従って、自然環境を変化さ
せる虞れが生じないものである。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施例を図面につ
いて説明すると、図1は地下鉄などの地下構造物を築造
する際に、該計画地下構造物の外壁に沿って地表から計
画地下構造物よりも深い地中にまで構築された土留壁と
なるソイルセメント地中壁1の一部平面図を示すもので
あって、このソイルセメント地中壁1は土砂とセメント
ミルクとを混合固化してなる壁体に長さ方向に一定間隔
毎にH形鋼からなる芯材2を埋設してなるものであり、
その一部に透水層部3を設けている。この透水層部3
は、隣接する芯材2、2の対向面に全長に亘って添設し
て該芯材2、2と一体化してなる帯鋼板からなるガイド
部材4、4間のソイルセメント地中壁1の壁体部1aを破
砕することによって形成されたものである。
【0013】ソイルセメント地中壁1の一部に上記のよ
うな透水層部3を形成するには、ソイルセメント地中壁
1の構築時に、予め、透水層部3を形成すべきソイルセ
メント地中壁1の壁体部1aにおける対向する芯材2、2
の対向面に上記ガイド部材4を一体に添設しておき、ソ
イルセメント地中壁1の構築後に、図2に示すようにこ
れらのガイド部材4、4に破砕機5を案内させながらガ
イド部材4、4間の壁体部1aを破砕機5により破砕する
ことにより形成されるものである。即ち、破砕機5で破
砕された壁体部1aの破砕片間で形成される空隙部によっ
て通水可能な透水層部3を形成しているものである。
【0014】上記ソイルセメント地中壁1は図3に示す
ように、築造すべき地下構造物6の両側外壁6a、6aに沿
って設けられ、これらのソイルセメント地中壁1、1に
よって地下水の流路7を一旦遮断した状態で、ソイルセ
メント地中壁1、1間の地盤中に地下構造物6を築造
し、しかるのち、ソイルセメント地中壁1、1に地下水
の流路7に連通する透水層部3を形成して地下水の遮断
を解き、上流側から下流側へと地下構造物6の透水性埋
設土砂中を通じて元通りに流通させるものであって、以
下に地下構造物6を築造するまでの作業手順を詳しく説
明する。
【0015】まず、築造すべき地下構造物6、即ち、計
画地下構造物を挟むようにして該計画地下構造物の横幅
よりもやゝ広い間隔を存し且つ計画地下構造物の底面よ
りも深い溝孔8、8を計画地下構造物の両外壁に沿って
掘削すると共にその掘削に従って該溝孔8、8にセメン
トミルクと土砂との混合物からなり且つ計画地下構造物
の長さ方向に一定間隔毎にH形鋼からなる芯材2が埋設
してなるソイルセメント地中壁1を構築する。
【0016】上記溝孔8の掘削は、図4に示すように、
台車9aにスクリューオーガ9bを回転並びに上下動自在に
支持してなる穿孔機9を使用して行われ、該スクリュー
オーガ9bを回転させながら下動させることにより地表か
ら所定深さに達する円形の溝孔部8aを掘削し、この溝孔
部8aの掘削後、該溝孔部8aに一部が重複するようにして
次の溝孔部8aを掘削し、このように互いに連続する溝孔
部8aの掘削を計画地下構造物の両外壁に沿って順次連続
的に行うことにより溝孔8を形成するものである。この
際、溝孔部8aを一定間隔を存して掘削したのち、これら
の溝孔部8a、8a間を連続させる溝孔部8aを掘削してもよ
い。
【0017】溝孔8内に土留壁となるソイルセメント地
中壁1を構築する方法としては上述したSMW(soil m
iximg wall) 工法が採用される。即ち、スクリューオー
ガ9bによって溝孔部8aを掘削していく時に、該スクリュ
ーオーガ9bの中空内部を通じてスクリューオーガ9bの先
端からセメントミルクを注入することにより、スクリュ
ーオーガ9bによって掘削される土砂と該セメントミルク
とを攪拌混合させてスラリーとなし、このスラリーが硬
化する前に図5に示すように、各溝孔部8a内にH形鋼よ
りなる芯材2を建て込み、スラリーを硬化させることに
よって長さ方向に一定間隔毎に芯材2を埋設している不
透水性のソイルセメント地中壁1を構築するものであ
る。
【0018】上記芯材2を各溝孔部8a内に順次建て込む
際に、透水層部3を形成すべき部分を挟んだ溝孔部8a、
8a内に、対向面にガイド部材4、4を一体に設けてなる
芯材2、2を建て込んでおく。ガイド部材4は破砕機5
の昇降を案内する役目と、破砕機5の破砕ビット5aが芯
材2のフランジ部2aの端部に当たって破損するのを防止
する役目とを兼用しているもので、図6に示すように、
ソイルセメント地中壁1の幅方向の両端側にフランジ部
2a、2aを有する芯材2の場合には、該フランジ部2a、2a
間の幅寸法よりも幅広い帯鋼板よりなるガイド部材4を
フランジ部2a、2aの端面間に架設するように芯材2の全
長に亘って添設してその背面側をフランジ部2a、2aの端
面に溶接等によって一体に固着するか、あるいは、図7
に示すように、横断面円弧状に屈曲してなる鋼製ガイド
部材4aを芯材2、2の対向するフランジ部2a、2aの端部
に、凸弧面側を互いに対向させた状態で全長に亘って固
着しておく。
【0019】上記図6、図7に示したガイド部材付き芯
材2は、隣接する溝孔部8a、8aの中央部にそれぞれ建て
込んでいるが、図8、図9に示すように、ガイド部材4
を設けていない芯材2よりも幅狭いH形鋼よりなる芯材
2'を用いて、この芯材2'に上記同様にガイド部材4又は
4aを一体に取り付けておき、該芯材2'をガイド部材4を
設けていない芯材2側に偏位させて溝孔部8aに建て込ん
でもよく、このように建て込むことで、対向する芯材
2'、2'間の間隔を広くすることができ、従って、爾後に
おいて幅L1が広い透水層部3を形成することができる。
【0020】なお、図10に示すように、芯材2'のフラン
ジ部2a、2aをソイルセメント地中壁1の長さ方向に向け
た状態にして建て込んでおいてもよく、この場合には、
対向するフランジ部2a、2aの平坦面によって破砕機5を
上下方向に案内させることができるので、該フランジ部
2a、2aをガイド部材4として兼用することができるがこ
の場合においても、フランジ部2a、2aの端部に補助ガイ
ド部材4bを取り付けておくことが望ましい。
【0021】このように、透水層部3を形成すべき壁体
部に一定間隔毎にガイド部材付芯材2、2を埋設してな
るソイルセメント地中壁1、1を計画地下構造物の両外
壁に沿って地中に構築すると、ガイド部材4、4間に透
水層部3を形成する迄は、それまで流通していた地下水
の流路7がこれらのソイルセメント地中壁1、1によっ
て遮断された状態にあり、この状態でソイルセメント地
中壁1、1間の地盤を掘削して地下構造物6を築造す
る。
【0022】地下構造物6の築造方法としては、まず、
図11に示すように、両ソイルセメント地中壁1、1間の
地盤をバケット等の掘削具10を使用して掘削、排除する
ことにより空間部11を設ける。この際、両ソイルセメン
ト地中壁1、1間の地盤には、これらのソイルセメント
地中壁1が構築される前に地下水を流通させていた流路
7を形成している透水性地盤層7aと、地下水を流通させ
ない不透水性地盤層12とが存在しており、これらの地盤
層7a、12を上記のように掘削具10によって掘削、排除す
るものである。なお、図3及び図11においては、地下水
の流路7として不透水性地盤層12を介して地中の上下部
に透水地盤層からなる上下流路が存在している場合を示
している。
【0023】こうして掘削、排除した空間部11内に地下
構造物6を築造するのであるが、まず、地下構造物6の
底壁6bを支持する不透水性地盤層12' 上に砂礫等の透水
性土砂を埋め戻して下側透水性地盤層7bを形成したの
ち、該下側透水性地盤層7b上に地下構造物6を築造する
( 図3参照)。この地下構造物6の両側壁6a、6aの築造
に平行して、或いは該両側壁6a、6aの築造後に、該両側
壁6a、6aの外壁下端部とこの下端部に対向した両側ソイ
ルセメント地中壁1、1の下端部との間に、上記透水性
地盤層7bに連なる透水性地盤層7b' を上記同様に砂礫等
を埋め戻すことによって形成する。
【0024】さらに、地下構造物6の両側壁6a、6aとソ
イルセメント地中壁1、1との対向面間の空間部に上記
透水性地盤層7b' 上から両側壁6a、6aの上端部近傍に達
する不透水性地盤層12a を不透水性の土を埋め戻すこと
によって形成したのち、地下構造物6の天壁6c上に上側
透水性地盤層7aを上記同様に砂礫等を埋め戻すことによ
って形成すると共に両側壁6a、6aの外壁上端部とこの上
端部に対向した両側ソイルセメント地中壁1、1の上端
部との間に、上側透水性地盤層7aの両端に連なる透水性
地盤層7a' を上記同様に砂礫等を埋め戻すことによって
形成し、この透水性地盤層7a、7a' から地表面間の空間
部に不透水性の土を埋め戻して不透水性地盤層12b を形
成するものである。
【0025】地下構造物6の築造、埋設後、上述したよ
うに、両側のソイルセメント地中壁1、1におけるガイ
ド部材付芯材2、2間の壁体部1aを図2に示すように、
破砕機5をガイド部材4、4に案内させながら降下させ
てその回転破砕ビット5aにより破砕し、地下構造物6側
と地下構造物6外とに連通する透水層部3を形成するも
のである。破砕機5は回転軸5bの下部にオーガスクリュ
ー5cと攪拌翼5dを一体に設けていると共に下端に複数の
破砕ビット5aを下方に向けて突設してなに円盤部5eを備
え、さらに、オーガスクリュー5cの中間部における回転
軸5bに該回転軸5bの中空内部を通じて地上側から供給さ
れるセメントミルクの注出口5fを設けた構造を有してい
る。
【0026】この破砕機5を使用して透水層部3を形成
するには、まず、破砕機5によってガイド部材4、4間
の壁体部1aを下端近傍部に達するまで破砕して、壁体部
1aの下端部を破砕することなく残存させた部分を、図3
に示すように下側不透水層部13としたのち、破砕機5を
一定長さだけ引き上げて上記下側透水性地盤層7bと対向
した部分を壁体部1aの破砕片からなる下側透水層部3bと
し、さらに、破砕機5を引き上げながら該破砕機5の下
端から上記不透水性地盤層12a と対向した部分にセメン
トミルクを注入して破砕片間の隙間をなくすと共に該部
分の破砕片同士を一体に固着することにより中間不透水
層部14を形成したのち、上記上側透水性地盤層7aと対向
した部分を壁体部1aの破砕片からなる上側透水層部3aと
し、この上側透水層部3aから地表に達する部分を掘削機
5を引き上げながらセメントミルクを注入することによ
り、上側不透水層部15に形成するものである。
【0027】このようにガイド部材付芯材2、2間に上
下透水層部3a、3bを形成すると、上下地下水の流路7、
7は、上流側に構築したソイルセメント地中壁1の上下
透水層部3a、3bから地下構造物6の上下側に設けた透水
性地盤層7a、7bを通じて下流側に構築したソイルセメン
ト地中壁1の上下透水層部3a、3bから元の上下地下水の
流路7a、7bにそれぞれ連通して地下水を流通させること
ができるものである。この時、上下透水層部3a、3b間及
び上下透水性地盤層7a、7b間には、中間不透水層部14と
不透水性地盤層12a がそれぞれ介在した状態で設けられ
ているので、上下地下水の流路7a、7bは互いに連通する
ことなく、従って、地下構造物6の築造前と同様にそれ
ぞれ別々に通水させることができる。
【0028】なお、破砕機5によってソイルセメント地
中壁1に透水層部3a、3bを形成する場合、ソイルセメン
ト地中壁1はその構築時において土砂とセメントミルク
とを攪拌混合させた際にセメントミルクの一部が溝孔部
8aから外部の地盤側に浸透した状態となるので、図8〜
図10に示すように、この浸透領域までも包含するように
破砕機5によりソイルセメント地中壁1を溝孔部8aの幅
よりも広く破砕させるものである。
【0029】また、ソイルセメント地中壁1透水層部
3を形成するに際して、上記のように地中に不透水地盤
層12を介してその上下部に透水地盤層7a、7bが存在して
いる場合に、これらの透水地盤層7a、7bにそれぞれ通じ
る上下透水層部3a、3bを中間不透水層部14を介して形成
したが、上記ソイルセメント地中壁1によって遮断され
る地下水の流路7が一本である場合には、地下構造物6
の埋設地盤中には該流路7に連なるように一層の透水性
地盤層を形成しておく一方、ソイルセメント地中壁1の
壁体部1aには、地下水の流路7とこの地下構造物6の埋
設地盤中の透水性地盤層に連通する透水層部3を形成し
ておけばよい。
【0030】この場合、ソイルセメント地中壁1の上記
芯材2、2の対向面に固着しているガイド部材4、4間
の壁体部1aを全高に亘って破砕機5により破砕して透水
層部3としたのち、地表側の上端部のみを不透水層部と
する方法や上記地下水の流路7とこの地下構造物6の埋
設地盤中の透水性地盤層に連通する部分のみを透水層部
3に形成する方法を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】透水層部を設けたソイルセメント地中壁の一部
横断面図、
【図2】透水層部を形成している状態の縦断側面図、
【図3】地下構造物の両側にソイルセメント地中壁を構
築した状態の縦断正面図、
【図4】溝孔を掘削している状態の簡略正面図、
【図5】芯材を建て込んでいる状態の簡略正面図、
【図6】透水層部を形成する芯材間の壁体部の横断面
図、
【図7】別な形状のガイド部材を添設した芯材間の壁体
部の横断面図、
【図8】幅広い透水層部を形成する場合の芯材間の壁体
部を示す横断面図、
【図9】その変形例を示す横断面図、
【図10】さらに別な変形例を示す横断面図、
【図11】ソイルセメント地中壁間の地盤を掘削してい
る状態の簡略縦断正面図、
【図12】地下構造物の両側に透水層部を形成している
状態の簡略縦断正面図、
【図13】従来例を説明するための土留壁の横断面図。
【符号の説明】
1 ソイルセメント地中壁 2 芯材 3、3a、3b 透水層部 4 ガイド部材 5 破砕機 6 地下構造物 7 地下水の流路 7a、7b 透水性地盤層 12 不透水地盤層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E02D 5/20 E02D 5/18 E02D 31/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 計画地下構造物の外壁に沿って構築され
    たソイルセメント地中壁に透水層部を形成する方法であ
    って、該ソイルセメント地中壁の構築時に一定間隔毎に
    鋼材よりなる芯材を埋設しておくと共に、透水層部を形
    成すべきソイルセメント地中壁の壁体部における対向す
    る芯材の対向面に、予め、ガイド部材を一体に添設して
    おき、ソイルセメント地中壁の構築後に、これらのガイ
    ド部材をガイドとして該ガイド部材間の壁体部を破砕機
    により破砕してこの破砕片間で形成される空隙部によっ
    地下水路に連通する透水層部を形成することを特徴と
    するソイルセメント地中壁に透水層部を形成する方法。
  2. 【請求項2】 ソイルセメント地中壁計画地下構造物
    の両側外壁に沿って構築したのち、これらのソイルセメ
    ント地中壁間の地盤中に地下構造物を築造すると共に該
    地下構造物を埋設した不透水性地盤層両側のソイルセ
    メント地中壁の対向面に連なる上下透水性地盤層を形成
    し、しかるのち、両側のソイルセメント地中壁における
    ガイド部材間の壁体部を破砕機により破砕してその破砕
    片間の空隙部で透水層部を形成する際に、該透水層部を
    上記上下透水性地盤層に連通する高さ部分に形成し、そ
    の他の部分をセメントミルクの注入、硬化によって破砕
    片同士を一体に固着することにより不透水層部に形成す
    ることを特徴とする請求項1記載のソイルセメント地中
    壁に透水層部を形成する方法。
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