JPH10245841A - 地下通水工法および地下通水装置 - Google Patents

地下通水工法および地下通水装置

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JPH10245841A
JPH10245841A JP4904597A JP4904597A JPH10245841A JP H10245841 A JPH10245841 A JP H10245841A JP 4904597 A JP4904597 A JP 4904597A JP 4904597 A JP4904597 A JP 4904597A JP H10245841 A JPH10245841 A JP H10245841A
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Kiyoshige Nishibayashi
清茂 西林
Katsuaki Yamagishi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造上の弱点とならず地中壁の通水性を十分
に確保すること 【解決手段】 通水路の導入部22は、鋼製筒体22
a,廻込み防止用シート22b,透水マット22c,
内,外端板22d,22eとを有している。筒体22a
は、地中壁10を構築する際に、導水路20の形成位置
に対応させて、地中壁10の横断方向に埋設される。透
水マット22cは、筒体22aの地山側の開口を閉塞す
るものであって、多数の空隙が形成されたコアと、コア
の空隙内に充填された生分解性樹脂とから構成されてい
る。透水マット22cの四周を取り囲むようにして、鋼
製枠体22fが取り付けられている。枠体22fの外周
縁には、コンクリートの廻込み防止用シート22bが取
着されている。生分解性樹脂の分解,除去が完了する
と、透水マット22cの透水性が復元される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地下通水工法およ
び地下通水装置に関し、特に、止水性の地中壁を構築し
た後に、地下水の流通を可能にする地下通水工法および
地下通水装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように、地下構造物、例えば、地
下鉄や車両専用道路用などの地下トンネルを開削工法で
構築する際には、地山の崩壊を防止して、内部の掘削を
可能にするために止水性を備えた地中壁が構築される。
【0003】この種の地中壁を構築する工法は、連続地
中壁工法を始めとして、各種各様の方法が提供されてい
るが、連続地中壁工法や柱列壁工法などで構築される地
中壁は、地下構造物の本体部を構築した後にも地中に残
置される場合がある。
【0004】ところで、止水性を備えた地中壁を地中に
残置しておくと、地下水流を遮断することになり、地中
壁の下流側の水脈が途絶えるため、井戸が枯れたり、あ
るいは、地盤が沈下するといった不都合が発生する。
【0005】そこで、例えば、特開平6−49839号
公報には、地下構造物の本体部を施工する際には、止水
性が確保されるとともに、本体部の完成時に通水性が確
保できる地中壁の構築工法が開示されている。
【0006】この公報に開示されている工法では、連続
地中壁工法で地中壁が構築されるが、この地中壁を構築
する際に、掘削孔内に、中空円形ないしは角形などの有
孔管や、地山側開口部に鋼製メッシュを配置した特殊通
水枠を鉛直方向に設置しておき、この通水枠内に不透水
性で伸縮性のある筒状体を挿入して、筒状体内の水圧を
周囲の水圧よりも高くした状態で、コンクリートを打設
し、コンクリートが硬化した後に、前記筒状体を特殊通
水枠内から撤去して、有孔管や地山側開口部に配置され
た鋼製メッシュにより地中壁に通水性を与える。
【0007】特殊通水枠は、地中壁の厚み方向を貫通さ
せる大きさ、ないしは、地中壁の厚み方向の一部を置換
する大きさになっていて、内部には、砕石が充填され
る。しかしながら、このような従来の地下通水工法およ
びその通水装置には、以下に説明する技術的な課題があ
った。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、上記公報の
地下通水工法では、地中壁に通水性を付与するために、
地中壁の厚み方向の全部または一部が、深度方向の全長
に亙って特殊枠体で置換されているため、この部分が構
造上の弱点となる恐れがある。
【0009】また、この公報に示されている方法では、
泥水が充満された掘削構内に有孔管などを建て込むた
め、有孔管の貫通孔内に泥水膜が付着して、目詰まりを
起こす恐れがあるとともに、コンクリートを打設する際
には、その内部に筒状体を挿入して、コンクリートの廻
込みを防いでいるが、この筒状体が有孔管などの通水枠
体の内部側に挿入されるので、有孔管の貫通孔内には、
セメントなどが侵入して、目詰まりを起こす恐れもあっ
て、地中壁の通水性が低下するという問題があった。
【0010】本発明は、このような従来の問題点に鑑み
てなされたものであって、その目的とするところは、構
造上の弱点になることがなく、地中壁の通水性を十分に
確保することができる地中通水工法および地中通水装置
を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、所定の間隔を隔てて対向する一対の止水
性地中壁が、地中の地下水路を遮断するように形成さ
れ、前記地中壁の形成後に前記地下水路間を連通させる
通水路を形成する地下通水工法において、前記通水路
は、前記地中壁間に形成される導水路と、前記地中壁内
に形成され、前記導水路と連通する地下水の導入および
導出部とからなり、前記導入および導出部は、前記地中
壁を構築する際に、前記導水路の形成位置に対応させ
て、地山側の開口が外周縁に廻込み防止用シートが付設
され生分解性樹脂の分解により透水性が復元する透水マ
ットで閉塞されるとともに、掘削側の開口が内端板で閉
塞され、前記地中壁の厚みとほほ゛同じ長さを有する両
端が開口した鋼製筒体を前記地中壁の横断方向に埋設す
ることで形成され、前記地中壁を構築した後に内部を掘
削して、前記導水路を形成して前記導入部と導出部との
間を連通させるようにした。このように構成された地下
通水工法によれば、鋼製筒体の地山側の開口を、周縁に
廻込み防止用シートが付設され、生分解性樹脂の分解に
より透水性が復元する透水マットで閉塞しているので、
透水マット側へのコンクリートの廻込みが防止され、透
水マットが地山に直接接触し、地中に存在している微生
物,バクテリア,黴などにより生分解性樹脂を分解除去
することができる。透水マットに充填されている生分解
性樹脂が除去されると、透水マットの透水性が復元し、
対向する止水性地中壁間を貫通接続する通水路が形成さ
れる。透水マットで地山側が閉塞された鋼製筒体は、地
中壁の横断面方向に埋設されるので、この部分が構造上
の弱点となることがない。この場合、前記鋼製筒体内
に、前記導水路を形成するまでの間は、前記鋼製筒体内
に高圧水を注入するとともに、前記導水路を形成した後
に前記高圧水を排出することができる。この構成によれ
ば、鋼製筒体にかかる土水圧に高圧水で対抗させること
ができるので、大深度に通水路を形成することが可能に
なる。また、前記鋼製筒体内には、砕石,砂利などの塊
状透水材を充填することができる。この構成によれば、
高圧水の注入,排出によらず、鋼製筒体にかかる土水圧
に対抗させることができ、簡単な構成で大深度に通水路
を形成することが可能になる。さらに、上記目的を達成
するために、本発明は、所定の間隔を隔てて対向する一
対の止水性地中壁が、地中の地下水路を遮断するように
形成され、前記地中壁の形成後に前記地下水路間を連通
させる通水路を形成する地下通水装置において、前記通
水路は、前記地中壁間に形成される導水路と、前記地中
壁内に形成され、前記導水路と連通する地下水の導入お
よび導出部とを備え、前記導入および導出部は、前記導
水路の形成位置に対応させて前記地中壁の横断方向に埋
設され、前記地中壁の厚みとほほ゛同じ長さを有する両
端が開口した鋼製筒体と、前記鋼製筒体の地山側の開口
を閉塞する生分解性樹脂の分解により透水性が復元する
透水マットと、前記透水マットの周縁に付設された廻込
み防止用シートと、前記鋼製筒体の掘削側の開口を閉塞
する内端板とで構成した。この構成によれば、上記地下
通水工法と同様に、生分解性樹脂を分解除去すること
で、透水マットの透水性が復元し、対向する止水性地中
壁間を貫通する通水路が形成される。前記透水マット
は、多数の空隙が形成された硬質合成樹脂からなるコア
と、このコアの外周に設けられる金属ネット,織布から
なるフィルター材と、前記コアの前記空隙に充填された
生分解性樹脂とで構成するか、あるいは、多数の空隙が
形成された硬質合成樹脂からなるコアと、このコアの外
周に設けられる金属ネット,織布からなるフィルター材
と、前記フィルター材の外周を包囲する生分解性樹脂製
シートとで構成するかのいずれかを選択することがで
き、この構成のいずれによっても、生分解性樹脂を分解
除去することで、透水マットの透水性が復元する。前記
導入および導出部は、前記透水マットの内側に配置され
た外端板を有し、前記内,外端板は、多数の正方形状の
板片から構成され、前記板片の外周縁を相互に嵌合させ
て平板状に組立ることができる。この構成によれば、透
水マットの透水性が復元すると、内,外端板に外圧が作
用し、この外圧により各端板を多数の板片に分解するこ
とができる。前記内,外端板は、平板状に組立て、その
外周を生分解性樹脂製シートないしは紙製シートで包囲
することができる。この構成によれば、多数の板片の組
合わせで構成された端板の形状を保持することができ、
取り扱いが容易になるとともに、透水マットの透水性が
復元すると、シートを地下水や微生物で溶解ないしは分
解除去することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
について、添付図面を参照にして詳細に説明する。図1
から図7は、本発明にかかる地下通水工法および地下通
水装置の第1実施例を示している。
【0013】同図に示した工法および装置では、所定の
間隔を隔てて、対向形成された一対の止水性地中壁10
が、地中の地下水路を遮断するように形成され、地中壁
10の構築後に、地下水路間を連通させる通水路12を
形成する。
【0014】地中壁10は、本実施例の場合には、地中
連続壁工法により構築され、地中に溝状掘削孔を掘削形
成した後に、鉄筋籠14を建込だ後に、コンクリートを
打設して、止水性の連続した壁体が形成される。
【0015】地中壁10を構築した後に、地中壁10で
囲まれた内部を掘削し、地中壁10間に建築構造物16
の1Fから3Fまでの地下階18が構築される。
【0016】通水路12は、地中壁10間に形成される
導水路20と、地中壁10内に形成される地下水の導入
部22および導出部24とから構成されていて、導入部
22が地下水路の上流側に位置し、導出部24が同地下
水路の下流側に位置している。
【0017】導入,導出部22,24は、導水路20の
両端側において、導水路20の端部とそれぞれ連通する
ように形成される。導水路20は、本実施例の場合に
は、縦断面が略長方形の中空形状に形成され、地中壁1
0と直交するように略水平方向に延長され、地中壁10
の長手方向に沿って、所定の間隔をおいて複数配置され
ている。
【0018】導入および導出部22,24は、この実施
例では、同一構造に構成されているので、以下の説明で
は、一方の導入部22についてのみ説明する。導入部2
2は、鋼製筒体22aと、廻込み防止用シート22b
と、透水マット22c、内端板22dと、外端板22e
とを有している。
【0019】鋼製筒体22aは、地中壁10の厚みとほ
ぼ同じ長さを有する両端が開口した角筒状のものであっ
て、所定厚みの鋼板から形成されている。この鋼製筒体
22aは、地中壁10を構築する際に、導水路20の形
成位置に対応させて、鉄筋籠14に係止され、両端の開
口が地山側と掘削側とをそれぞれ向くようにして、地中
壁10の横断方向に埋設される。
【0020】なお、鋼製筒体22aの断面形状は、角形
に限ることはなく、外周が閉塞されていれば、円形,楕
円形,多角形などの形状であってもよい。透水マット2
2cは、鋼製筒体22aの地山側の開口を閉塞するもの
であって、鋼製筒体22aの開口を覆う十分な面積を有
している。
【0021】本実施例の透水マット22cは、図4にそ
の詳細を示すように、多数の空隙が形成された硬質合成
樹脂からなるコア220cと、コア220cの外周を包
囲する金属ネット,織布,不織布などからなるフィルタ
ー材222cと、コア220cの空隙内に充填された生
分解性樹脂221cとから構成されている。
【0022】透水マット22cは、コア220cに多数
の空隙が形成されているので、元々透水性を有している
が、本実施例の場合には、空隙に生分解性樹脂221c
を充填しているので、この状態では、透水性がなく、コ
ンクリートの打設圧に耐えうる程度の剛性を有してい
る。
【0023】より具体的な透水マット22cの構成とし
ては、例えば、マット本体は、コスモジオ(東洋紡績株
式会社製:商品名)を用い、生分解性樹脂221cとし
ては、スーパーペーパー(信越ポリマー株式会社製:商
品名)を用いることができる。
【0024】生分解性樹脂221cは、添加剤と混練し
てゲル状にし、これをコア220cの空隙内に充填す
る。生分解性樹脂221cは、バクテリア,黴などの微
生物により分解されるものであって、一般的には、地中
に2〜3ヶ月程度放置しておくことにより分解される。
【0025】このときの分解速度は、添加剤の種類や量
を調整することにより調整できる。また、この分解速度
は、やせた土壌ほど微生物の食べるものが少ないので早
くなる。本実施例の場合には、通水路12を形成する位
置の周辺の土壌の性状や、地中壁10の形成工事期間,
根切り掘削の期間などを勘案して、導水路20の形成が
終了した時点に透水性が復元するように、生分解性樹脂
221cの充填量や添加剤の量などを設定すればよい。
【0026】なお、通水路12を形成する位置の周辺土
壌に生分解性樹脂221cを分解する微生物の存在が少
ない場合には、微生物を、例えば、後述するホース26
を介して鋼製筒体22a内に供給して、内部側から生分
解性樹脂221cやシート221eを分解させるように
してもよい。
【0027】透水マット22cの外周縁には、図3に示
すように、透水マット22cの四周を取り囲むようにし
て、鋼製枠体22fが取り付けられていて、透水マット
22cを保護している。
【0028】また、この鋼製枠体22fの外周縁には、
枠体22fを取り囲むようにして、その四周に廻込み防
止用シート22bが取着されている。このシート22b
は、ゴムシートなどの柔軟性があるものであって、コン
クリートを打設する際に、掘削孔の地山側壁面に密接し
て、コンクリートが透水マット22cの外表面側に廻込
むことを防止する。
【0029】以上のように構成された透水マット22c
は、鋼製枠体22fを鉄筋籠14に係止することによ
り、地中壁10を形成する際に、掘削孔内に鉄筋籠14
とともに建て込まれる。
【0030】一方、内端板22dは、鋼製筒体22aの
掘削側の開口を閉塞するように、筒体22aの開口縁に
固設されている。また、外端板22eは、透水マット2
2cの内側に配置されていて、鋼製筒体22aの開口縁
に固設されている。
【0031】本実施例の場合には、内,外端板22d,
22eは、同一構成のものが用いられており、その一方
の外端板22eの詳細を図5に示している。同図に示し
た外端板22eは、多数の正方形状の板片220eと、
生分解性樹脂製シート221eとから構成されている。
【0032】板片220eは、例えば、木や紙などから
構成され、各板片220eの四周の外周縁には、隣接す
る部分同士で嵌合可能な溝222eおよび突起223e
が設けられている。
【0033】板片220eは、外周縁を相互に嵌合させ
て平板状に組立られ、その外周が生分解性樹脂製シート
221eにより包囲されている。板片220eをシート
221eにより包囲すると、鋼製筒体22aに取り付け
る際などに取り扱い易くなる。
【0034】このようにして組立てられた各端板22
d,22eは、鋼製筒体22aの開口端に、外周縁がそ
れぞれ固設される。端板22d,22eと透水マット2
2cとを上述したように配置すると、鋼製筒体22aの
内部が閉塞された状態になる。
【0035】このように閉塞された鋼製筒体22aの内
部には、高圧水の注入,排出用ホース26が地上側まで
延設されている。次に、上記構成の地下通水装置を構築
する方法について説明する。
【0036】地下通水装置の構築では、まず、地中壁1
0を形成する際に用いる鉄筋籠14に導入および導出部
22,24を形成する鋼製筒体22aなどが係止され、
鉄筋籠14とともに掘削孔内に建込まれてコンクリート
の打設が行われる。
【0037】このときの係止状態を図6に示している。
地中壁10を形成するために、コンクリートが掘削孔内
に打設されると、コンクリートが掘削孔内を流動して、
透水マット22cの外表面側に廻込もうとするが、透水
マット22cの外周縁には、地山側の掘削壁面に密接す
る廻込み防止用シート22bが設けられているので、こ
の廻込みが阻止され、その結果、透水マット22cの外
表面が地山の土砂と直接接触する。
【0038】打設したコンクリートが硬化して地中壁1
0が形成されると、地中壁10間の根切り掘削が行わ
れ、根切り掘削面上に導水路20が形成される。導水路
20を形成する際には、地中壁10の内面を若干削り取
り、内端板22dを露出させ、露出させた対向する内端
板22d間に導水路20を形成する。
【0039】本実施例の場合には、コンクリートを打設
して地中壁10を形成し、導水路20を形成するまでの
間は、ホース26を介して、鋼製筒体22a内に高圧水
を導入し、鋼製筒体22aが外圧により潰れないように
維持するとともに、導水路20を形成した後に、内部の
高圧水をホース26を介して排水する。
【0040】導水路20の形成が終了すると、その上部
に地下階18が形成される。このような工事の進行過程
において、透水マット22cは、地山側の土砂と接触し
ているので、透水マット22cのコア220cに充填さ
れている生分解性樹脂221cは、徐々に分解される。
【0041】そして、生分解性樹脂221cの分解,除
去が終了すると、透水マット22cの透水性が復元され
る。透水マット22cの透水性が復元すると、内,外端
板22d,22eに周囲の外圧が作用し、この圧力を受
けて、平板状に組立られた内,外端板22d,22e
は、多数の板片220eに分解され、導水路20と導入
部22および導出部24とが連通する。
【0042】導入,出部22,24と導水路20とが連
通すると、止水性の地中壁10により遮断された地下水
路間が通水路12により貫通接続され、地下水は、通水
路12を介して下流側に流通する。
【0043】さて、以上のように構成された地下通水工
法および地下通水装置によれば、透水マット22cで地
山側が閉塞された鋼製筒体22aは、地中壁10の横断
面方向に埋設されるので、この部分が構造上の弱点とな
ることがない。
【0044】この場合、鋼製筒体22a内に、導水路2
0を形成するまでの間は、高圧水を注入するとともに、
導水路20を形成した後に高圧水を排出するので、鋼製
筒体22aにかかる土水圧に高圧水で対抗させることが
でき、大深度に通水路12を形成することが可能にな
る。
【0045】図7は、本発明にかかる地下通水工法およ
び地下通水装置の第2実施例を示しており、上記実施例
と同一若しくは相当する部分には、同一符号を付してそ
の説明を省略するとともに、以下にその特徴点について
のみ説明する。
【0046】同図に示した実施例では、上記実施例と透
水マット22c’の構成が異なっていて、透水マット2
2c’は、コア220cと、このコア220cの外周を
包囲するフィルター材222cと、フィルター材222
cの外周を包囲する生分解性樹脂製のシート222dと
から構成されている。
【0047】このように構成された透水マット22c’
の分解速度は、シートの厚みなどにより調整され、コア
220cの空隙に生分解性樹脂221cを充填した場合
よりも、分解速度が早くなるので、地中壁10の構築工
事期間が比較的短いときに採用される。
【0048】図8は、本発明にかかる地下通水工法およ
び地下通水装置の第3実施例を示しており、上記実施例
と同一若しくは相当する部分には、同一符号を付してそ
の説明を省略するとともに、以下にその特徴点について
のみ説明する。
【0049】同図に示した実施例では、内,外端板22
d,22eで閉塞された鋼製筒体22a内に砕石,砂利
などの塊状透水材28を充填し、これにより鋼製筒体2
2aにかかる外力に対抗させるようにしている。
【0050】また、この実施例の場合には、第1実施例
で示した外端板22eを撤去し、内端板22dだけを設
けている。内端板22dは、例えば、鋼板から構成さ
れ、導水路20と導入および導出部22,24との間を
連通する際には、導水路20を形成する際に、内端板2
2dを撤去すればよい。
【0051】なお、この実施例の場合には、導水路20
内にネット袋に砕石や砂利を充填したものを詰めたり、
あるいは、有孔管を設置してもよい。
【0052】以上の構成を採用すると、高圧水の注入,
排出によらず、鋼製筒体22aにかかる土水圧に対抗さ
せることができ、簡単な構成で大深度に通水路を形成す
ることが可能になる。
【0053】なお、上記実施例では、透水マット22c
の内側に外端板22eを配置した場合を例示したが、例
えば、通水路20の形成位置が比較的浅い場合などに
は、この外端板22eは、必ずしも必要としない。
【0054】また、上記実施例では、内,外端板22
d,22eは、多数の板片220eを平板状に組立て、
その外周を生分解性樹脂製シート221eで包囲したも
のを用いているが、必ずしもこの構成に限られるもので
はなく、例えば、導水路20の口径が作業員が入れる程
度の大きさであれば、内端板22dないしは内,外端板
22d,22eの双方を鋼板で構成し、導水路20を形
成する際に、これらの端板22d,22eを除去して、
導入部22および導出部24と導水路20とを連通させ
てもよい。
【0055】さらに、導水路20の形成位置は、地下階
18を下方に限ることはなく、例えば、地下階18を画
成する梁の内部に導水路20を設けてもよい。
【0056】
【発明の効果】以上、実施例で詳細に説明したように、
本発明にかかる地下通水工法および地下通水装置によれ
ば、構造上の弱点になることがなく、地中壁の通水性を
十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる地下通水工法および地下通水装
置の第1実施例の全体説明用斜視図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】図1の要部断面説明図である。
【図4】本発明で使用する透水マットの説明図である。
【図5】本発明で使用する内,外端板の説明用斜視図で
ある。
【図6】本発明にかかる通水装置を鉄筋籠に取付けた状
態の説明図である。
【図7】本発明にかかる地下通水工法および通水装置で
使用する透水マットの他の構成を示す説明図である。
【図8】本発明にかかる地下通水工法および通水装置の
他の実施例を示す要部断面図である。
【符号の説明】
10 地中壁 12 通水路 14 鉄筋籠 16 建築構造物 18 地下階 20 導水路 22 導入部 22a 鋼製筒体 22b 廻込み防止シート 22c 透水マット 220c コア 221c 生分解性樹脂 22d 内端板 22e 外端板 22f 鋼製枠体 24 導出部 26 ホース 28 透水材

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の間隔を隔てて対向する一対の止水
    性地中壁が、地中の地下水路を遮断するように形成さ
    れ、前記地中壁の形成後に前記地下水路間を連通させる
    通水路を形成する地下通水工法において、 前記通水路は、前記地中壁間に形成される導水路と、前
    記地中壁内に形成され、前記導水路と連通する地下水の
    導入および導出部とからなり、 前記導入および導出部は、前記地中壁を構築する際に、
    前記導水路の形成位置に対応させて、地山側の開口が外
    周縁に廻込み防止用シートが付設され生分解性樹脂の分
    解により透水性が復元する透水マットで閉塞されるとと
    もに、掘削側の開口が内端板で閉塞され、前記地中壁の
    厚みとほほ゛同じ長さを有する両端が開口した鋼製筒体
    を前記地中壁の横断方向に埋設することで形成され、 前記地中壁を構築した後に内部を掘削して、前記導水路
    を形成して前記導入部と導出部との間を連通させること
    を特徴とする地下通水工法。
  2. 【請求項2】 前記鋼製筒体内に、前記導水路を形成す
    るまでの間は、前記鋼製筒体内に高圧水を注入するとと
    もに、前記導水路を形成した後に前記高圧水を排出する
    ことを特徴とする請求項1記載の地下通水工法。
  3. 【請求項3】 前記鋼製筒体内に、砕石,砂利などの塊
    状透水材を充填することを特徴とする請求項1記載の通
    水工法。
  4. 【請求項4】 所定の間隔を隔てて対向する一対の止水
    性地中壁が、地中の地下水路を遮断するように形成さ
    れ、前記地中壁の形成後に前記地下水路間を連通させる
    通水路を形成する地下通水装置において、 前記通水路は、前記地中壁間に形成される導水路と、前
    記地中壁内に形成され、前記導水路と連通する地下水の
    導入および導出部とを備え、 前記導入および導出部は、前記導水路の形成位置に対応
    させて前記地中壁の横断方向に埋設され、前記地中壁の
    厚みとほほ゛同じ長さを有する両端が開口した鋼製筒体
    と、 前記鋼製筒体の地山側の開口を閉塞する生分解性樹脂の
    分解により透水性が復元する透水マットと、 前記透水マットの周縁に付設された廻込み防止用シート
    と、 前記鋼製筒体の掘削側の開口を閉塞する内端板とを有す
    ることを特徴とする地下通水装置。
  5. 【請求項5】 前記透水マットは、多数の空隙が形成さ
    れた硬質合成樹脂からなるコアと、このコアの外周に設
    けられる金属ネット,織布からなるフィルター材と、前
    記コアの前記空隙に充填された生分解性樹脂とからなる
    ことを特徴とする請求項4記載の地下通水装置。
  6. 【請求項6】 前記透水マットは、多数の空隙が形成さ
    れた硬質合成樹脂からなるコアと、このコアの外周に設
    けられる金属ネット,織布からなるフィルター材と、前
    記フィルター材の外周を包囲する生分解性樹脂製シート
    とからなることを特徴とする請求項4記載の地下通水装
    置。
  7. 【請求項7】 前記導入および導出部は、前記透水マッ
    トの内側に配置された外端板を有し、 前記内,外端板は、多数の正方形状の板片から構成さ
    れ、前記板片の外周縁を相互に嵌合させて平板状に組立
    ることを特徴とする請求請4記載の地下通水装置。
  8. 【請求項8】 前記内,外端板は、平板状に組立て、そ
    の外周を生分解性樹脂製シートないしは紙製シートで包
    囲したことを特徴とする請求請7記載の地下通水装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003064663A (ja) * 2001-08-29 2003-03-05 Chem Grouting Co Ltd 地中壁の削孔工法
JP2012112110A (ja) * 2010-11-22 2012-06-14 Shimizu Corp 地中壁設置用井戸装置
KR102106916B1 (ko) * 2019-11-26 2020-05-06 조경순 유공관 구조체
KR102106915B1 (ko) * 2019-11-26 2020-05-06 조경순 신축형 유공관

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