JP2835799B2 - 揚水井を備えた地中連続止水壁の構築方法 - Google Patents

揚水井を備えた地中連続止水壁の構築方法

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JP2835799B2
JP2835799B2 JP12461692A JP12461692A JP2835799B2 JP 2835799 B2 JP2835799 B2 JP 2835799B2 JP 12461692 A JP12461692 A JP 12461692A JP 12461692 A JP12461692 A JP 12461692A JP 2835799 B2 JP2835799 B2 JP 2835799B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建設工事における止水
壁、ダム用連続止水壁や有害物質流失防止壁等として地
中に構築され、かつその一部に揚水井を備えた連続止水
壁の構築方法に関する。
【0002】
【従来の技術】地中内に止水壁を構築する方法として
は、近年、多用されている地下連続止水壁工法がある。
この地下連続止水壁工法としては、高圧ジェットを利用
して地盤内に溝を形成し、その空間にアスファルト乳
剤、セメント系硬化材を注入する方法、地盤改良による
方法、また溝壁保護のためにベントナイト安定液等を使
用しながら、地中に所定深さの溝を掘削した後、アスフ
ァルト乳剤、セメント系硬化材等を掘削溝内に流し込ん
だり、前記安定液中に硬化剤を投入して自然硬化させる
などして、連続した止水壁を地中に構築する方法等があ
る。
【0003】前述の連続止水壁工法により構築された壁
体を、止水壁として十分に機能させるためには、壁体に
クラックなどの発生がないこと、ジョイント部の水密構
造が優れていること等が要求されるが、現実には施工の
不確実さ、地震等による過大応力クラック等の理由によ
り、長期に渡って完全な止水性を期待することはできな
いため、止水シートを用いた連続止水壁工法が採用され
ている。近年、開発された連続止水壁工法としては、た
とえば特開平4−5094号公報、特公昭61−494
51号公報、特開昭63−304821号公報、特開昭
56−85018号公報、特開昭63−522号公報等
に記載されたものがある。
【0004】一方、前記連続止水壁を構築する建設工事
においては、同時にウェルポイント工法、またはディー
プウェル工法等の地下水位低下工法が併用され、掘削部
での湧水防止、土砂流出防止、クイックサンド防止、横
方向土圧の軽減、粘土層の圧密促進等が図られる場合が
多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記止
水シートを用いた連続止水壁工法の主たる工法は、一枚
の止水シートを掘削溝中に建て込んだ後、その表裏側に
硬化剤を充填するものであるが、止水シートの建込みに
際して施工上種々の問題がある。たとえば、止水シート
を安定液中に建て込む場合、自重により降下させること
ができないため、前記特開昭56−85018号公報記
載の発明のように、両端に支柱等を取付けて止水シート
の降下を行う方法が提案されている。この場合には、ク
レーン等で一旦前記支柱を吊り下げた後、鉛直方向に建
て込むことになるが、正確に建て込めるシート横長に限
界があった。また、前記特開昭63−304821号公
報に記載されているように、複数本の支柱間に止水シー
トを張設したものを横方向にコンパクトにまとめた状態
で建込む方法も提案されているが、掘削深度が大きくな
ると、コンパクトにまとめた止水シートを正確に張設す
ることが困難となる。さらに、止水シート間での連結に
際しても、止水シートを開いた状態で建込み、連結しな
ければならず、この連結作業が困難であるとともに、多
くの手間と時間を要していた。
【0006】一方、連続壁の構築に際しては、掘削溝内
を所定ブロック(エレメント)単位ごとに順次施工が成
されるが、使用する壁面安定液との関係で種々の問題が
生じている。仮に、ベントナイト安定液を用いる場合に
は、既にセメント系硬化剤で硬化させたユニットに隣接
する次ユニットを掘削する際、硬化剤のカルシウムイオ
ンなどによりベントナイト安定液が汚染されるため、ベ
ントナイト安定液が劣化し壁面の崩壊を招いたり、廃液
量が多くなったりするとともに、既に硬化した隣接ユニ
ットの壁面および継手部にベントナイトが付着し結果的
に未固結部分が発生して漏水の原因となるなどの問題が
発生していた。さらに、ベントナイト安定液の劣化によ
りゲル粘性および比重が大きくなるため、掘削効率が低
下するとともに、排泥の分級作業、止水シートの設置作
業および固化作業が難化するなどの問題がある。
【0007】また、自硬性安定液を用いた場合には、硬
化時間からの制約により掘削、止水シートの建込み等種
々の作業に制限を受ける、また自硬性安定液の劣化によ
りゲル粘性および比重が増加し、前述した問題が同様に
発生する。さらに、ポリマー安定液を使用した場合に
は、それ自体を硬化させることが困難であるなどの問題
がある。他方、ウェルポイント工法、またはディープウ
ェル工法等の地下水位低下工法を併用する場合は、前記
止水壁の構築とは別に、専用機を現場に持ち込み、セル
フジェット方式によるウェルポイントの設置または井戸
の掘削、ケーシングの設置等を行わねばならなかった。
【0008】そこで、本発明の主たる課題は、使用する
安定液の劣化を無くし、これに伴って発生していた種々
の問題点を解決すること、および止水シートの建込み、
連結作業を容易として施工性および止水性に優れ、かつ
止水壁の一部を揚水井として利用可能な連続止水壁の構
築方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題は、壁面安定液
を用いながら地盤内に掘削溝を形成し、この掘削溝に対
して、実質的に前記溝深さ相当の長さを有し、かつその
両側部のそれぞれに連結金具を備えた、不透液性シート
よりなる袋体を収縮状態で建て込んだ後、この袋体内部
に充填材を注入し、前記掘削溝内に不透液性シートによ
って被包された連続止水壁を形成するとともに、隣接す
る止水壁同士を繋ぐ連結部において前記連結金具によっ
て地盤深さ方向の縦孔空間を確保し、この縦孔空間を揚
水井として利用することで解決できる。
【0010】
【作用】本発明における止水シートとしては、不透液性
シートよりなる袋体のものを使用する。この袋体は、掘
削部分の全深さ範囲を止水するために、溝深さ相当の長
さを有するものが用いられる。掘削溝内への建込みに際
しては、袋体の両側部に固設された連結金具を心材とし
て前記袋体を収縮させてコンパクトに固形化した状態で
挿入するため、簡単に建て込むことができるとともに、
その連結作業も容易に行うことができる。袋体の建込み
が完了したならば、前記袋体の内部に充填材を注入し
て、前記掘削溝内に不透液性シートによって被包された
止水壁を形成する。注入される充填材は、掘削に使用さ
れる壁面安定液とは完全に分離され、互いに混ざること
がないため、壁面安定液の汚染がなくなり、従来問題と
なっていた種々の問題点が解決される。また、前記充填
材は、地上においてその品質管理を行い得るため、強度
および品質等を任意に調整できるとともに、スライム等
の混入もないため、所望の品質を有する止水壁体を構築
できるようになる。なお、前記袋体内部に溝幅方向に配
設された隔壁または複数の繋ぎ材を有するものを用いる
と、比較的簡単に注入完了状態でも形状が保持されると
ともに、掘削溝幅方向への膨出を防止できる。
【0011】さらに、在来工法の場合には、グラウト材
を充填したり、壁面安定液に硬化剤を投入して硬化させ
たり、自硬性安定液の硬化を待ったりして壁体を構築す
るものであるため、隣接するエレメントが所定の強度を
有するようになるまで掘削ができなかったが、本発明法
の場合には、前記袋体内に充填材を充填するものである
ため、施工上の制約がなくなり連続した作業を行うこと
ができるとともに、インターロッキングパイプ等の建込
みも不要となり、作業が効率化する。
【0012】一方、本発明では、隣接する止水壁同士を
繋ぐ連結部において前記連結金具によって深さ方向の縦
孔空間が形成され、この縦孔空間を揚水井として利用す
るものであるため、従来別途に設置工事を必要としてい
たウェルポイントまたはディープウェル等の設置作業が
実質的になくなり、大幅な作業工程の簡略化、省力化を
図ることができる。さらに、本発明における揚水方法に
おいては、構築される連続止水壁との関係で、前記連結
金具へのストレーナ形成箇所および範囲を任意に変更す
ることにより、止水壁の前面側および背面側の水位を任
意に調整することが可能となる。
【0013】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき詳説する。図
1は本発明に係る地中連続止水壁構築後の斜視図であ
り、図2は本発明法に係る不透液性袋体1の建込み状態
図であり、図3および図4は前記袋体1の構造図であ
り、図5は建込み後の注入施工手順を示す図である。本
発明法において用いられる不透液性の袋体1は、掘削溝
に対して実質的に溝深さ相当の長さを有し、かつポリエ
チレンシート、ナイロンシート、キャンバスシート等の
プラスチックシート、あるいは合成ゴム等適宜の不透液
性シートよりなる直方体の袋体であって、建込み時に
は、図3に示されるように、側壁シート部分が蛇腹状に
折り畳まれ、収縮した状態で挿入される。また、その側
方部分には、それぞれ雄雌の連結金具2a、2bが固設
されている。この連結金具2a、2bは、好ましくは鋼
製のものを使用すると、前記袋体1の芯材となり、かつ
ウエイトとして機能するため、運搬および建込みが容易
となる。前記袋体1の内部には、建込み完了状態の方向
で溝幅方向に配設された隔壁1a〜1eによって、複数
のセル1A〜1Fに分割されている。前記隔壁1a〜1
eは、たとえば図6に示されるように、周辺地盤が軟弱
または比較的弱い場合に、鎖線で示されるように、袋体
1が溝幅方向に膨出するのを防止するとともに、注入後
においても袋体1が直方の形状を保持し得るように設け
られたものである。また、各セル1A〜1Fの天井シー
ト部分には、それぞれ注入孔1f、1f…が形成されて
おり、セル1A〜1F内に順次充填材が注入され、注入
完了状態では、図4に示す形状となる。なお、前記袋体
1の寸法Bおよびセル割り等については、施工性、施工
工程、日当りの施工延長等を慎重に検討した上で決定さ
れる。なお、前記隔壁1a〜1eは、前述の趣旨より、
図4のように、各セル1A〜1Fを完全に仕切るシート
材でなくてもよく、図6のように、隔壁1a、1c、1
eについては、セル間の流通を許容するように、たとえ
ば網状のシート、または適宜の間隔で設けられた繋ぎ材
であってもよい。
【0014】地中止水壁の構築に当たっては、先ず一般
的な溝掘削の要領に従って、溝掘り用定規、孔壁の保
護、安定液の流出防止等より、一対のガイドウォール
4、4が溝を挟んで布設した後、バケット式、衝撃式ま
たは回転式等の適宜に選定された掘削機を用いて、その
掘削溝6内を壁面安定液5で満たしながら溝掘削が行わ
れる。なお、掘削に際しては、本発明法は隣接する壁体
の硬化を待つことなく連続して施工が行える関係上、掘
削順序は何ら制限されず、一方向へ連続して掘削するこ
とができる。
【0015】次に、溝掘削の完了した部分から、前記袋
体1の建込みが行われる。建込みに際しては、図2に示
されるように、現場に持ち込まれたクレーン等の重機
(図示しない)により前記袋体1が吊持され、そのまま
鉛直方向に建込まれる。その際、施工済み止水壁W
(1')の側端に固設された雄連結金具2aに対して、建
込み袋体1の雌連結金具2bを嵌入させ、これをガイド
として吊り下ろす。
【0016】前記袋体1の建込みが完了したならば、図
5に示される要領に従って、充填材の注入が行われる。
壁体の延長方向が図面の右方である場合には、図5
(c)に示されるように、袋体1の最左側セル1Aに対
して充填が行われる。セル1Aは充填材の注入とともに
脹らみ、これより右側の袋体1部分を溝6の右方側に押
し出す。次に図5(d)に示されるように、左側セルよ
り順次、セル1B、1Cに充填材の注入を行い、溝6の
右方側に延長させ、1エレメント間において図5(e)
に示されるように、不透液性シートによって被包された
止水壁Wが構築される。なお、袋体1の建込みに際して
は、前述図2のように、施工済みの袋体1’に対して建
込み時に連結する方法でも良いし、また予め地上で複数
の袋体1、1…を連結した後、これらをまとめて溝内に
建て込むこともできる。
【0017】袋体1内に注入される前記充填材として
は、たとえばアスファルト乳剤、セメント系ミルク、モ
ルタル、コンクリート等を好適に用いることができる
他、単純に止水としての機能のみを持たせるのであれ
ば、水、廃液、砂等の液体、粒状体をも用いることがで
きる。さらに、産業廃棄物の減少を図るために、掘削時
に使用しているベントナイト安定液の置換分をそのま
ま、または硬化剤を混入して前記袋体1内に充填するこ
ともできる。また、その注入は、流し込みによることで
も良いし、また所定の圧力をもって圧入することでもよ
い。
【0018】ところで、止水壁構築深さが浅い、または
地盤が比較的強固であるなどの条件の下では、図7およ
び図8に示される袋体7を用いることもできる。前記袋
体7は、隔壁等の仕切り材を有しない直方の袋体であっ
て、前記袋体1と同様、その側部に連結金具2a、2b
を有するとともに、その天井シート部分には、注入孔7
aを有し、建込み時には図6のように蛇腹状に折り畳ま
れ、収縮した状態で挿入され、前記袋体1と同様の手順
に従って、充填材の注入が行われる。
【0019】一方、本発明においては、前述した方法に
よって構築される地中連続止水壁の連結部を揚水井とし
て利用するものである。したがって、袋体1、1…が前
記連結金具を介して連結された状態で、その連結部に地
盤深さ方向の縦孔空間が形成される。具体的には、図3
および図7に示される袋体1、7の場合には、雄連結金
具2aには断面T字状の鋼材が用いられ、雌連結金具2
bには側方に開口溝を有する断面箱型の鋼材が用いられ
ることにより、これらの連結金具が相互に連結された状
態で、図9に示されるように、地盤深さ方向の縦孔空間
P(以下、揚水井という)が形成される。連結金具によ
り、揚水井が形成される他の連結金具の具体的態様とし
ては、たとえば、図10に示されるように、袋体10の
左右両側部のそれぞれに連結アーム11a、11b(1
2a、12b)が固設された断面コ字状の連結金具11
(12)を用いることもできるし、また図11に示され
るように、袋体13の左右両側部のそれぞれに、フラン
ジの一方側を切断したH型シートパイル14、15を用
いることもできる。前記連結金具2a、2b、11、…
は、袋体1、7…の建込み時にはウエイトとして機能
し、掘削溝内への建込みを容易にするとともに、スライ
ム処理時には袋体の防護材として機能する。また、これ
らによって袋体1、7…の伸長側側縁の鉛直面が確保さ
れ、相互に連結が容易となる。
【0020】以上のようにして、地中連続止水壁が構築
され、かつ各袋体1、1…の連結部に連結金具2a、2
b、11、…によって揚水井Pが形成されたならば、ウ
ェルポイントまたはディープウェル等の揚水装置の設置
を行う。一般的には、揚水高さが5〜6m以内の場合に
は、ウェルポイント工法が採用され、これを超える揚水
高さの場合にはディープウェル工法が採用される。先
ず、ウェルポイント工法による揚水装置の設置の場合に
は、図1に示されるように、ライザーパイプ15の先端
に円筒状のフィルターを有するウェルポイント17(集
水装置)を前記揚水井P内に設置する。前記ライザーパ
イプ15は地上に配設されたヘッダーパイプ18に接続
され、このヘッダーパイプ18に接続された真空ポンプ
およびヒューガルポンプによって、前記揚水井P内の地
下水を揚水する。一方、ディープウェル工法による揚水
の場合には、前記揚水井P内部に直接揚水ポンプが設置
される。前記揚水井の設置に当たっては、図12に示さ
れるように、好ましくは揚水井Pの外側部分に、フィル
ター材16が充填される。前記フィルター材16として
は、一般的にはφ5mm〜φ25mm程度の豆砂利または砕
石が使用されるが、その粒径の選定に当たっては、その
粒径が揚水効率を左右する一方、ウェルポイントまたは
ディープウェルの目詰まりまたは故障を引き起こす原因
となるため充分な検討を行って決定することが肝要であ
る。本発明における揚水方法は、構築される止水壁との
関係で、連結金具に形成されるストレーナの形成箇所お
よび範囲によって、止水壁Wの前面側と背面側とで任意
に地下水位を調整することができる。先ず、前記連結金
具2a、2b、11…に形成されるストレーナの形状
は、図13に示されるスリット型、スロット型、または
図示しない巻線型等の任意の形状を選定することができ
る。前記スリット幅Dは、周囲に充填されたフィルター
材16が流入することなく、また地下水流入ヘッドロス
が少ないものとするため、一般的には前記フィルターの
50%、85%通過径をそれぞれD50、D85としたとき
のD85/D>2あるいはD≒D50〜D85の範囲とするの
が望ましい。前記ストレーナSの第1の形成態様として
は、連結金具2a、2b…の深さ方向の全長に渡って所
定間隔でストレーナSを形成する方法が挙げられる。こ
の場合は、止水壁Wの前面側および背面側共に地下水位
の低下が図られ、従来の一般的な地下水位低下工法の実
施態様に近似するものである。たとえば、実際の根切り
工事に際しては、図14に示されるように、掘削部の両
側に止水壁W、Wが構築され、揚水の結果、地下水位線
Lは図中の鎖線で示されるようになる。
【0021】次に、第2のストレーナ形成態様として
は、前記連結金具2a、2b…の前面側または背面側の
一方のみにストレーナSを形成し、止水壁の一方側のみ
の地下水位低下を図る方法が挙げられ、第3のストレー
ナ形成態様としては、前記連結金具の深さ方向のストレ
ーナ形成範囲を、前記連結金具2a、2b…の前面側と
背面側とで変化させて、止水壁の前面側水位と背面側水
位の調整を図る方法が挙げられる。前記第2および第3
のストレーナ形成態様は、止水壁の前面側水位と背面側
水位の調整を図る意味においては同一のものである。図
15に示される具体例は、止水壁Wの背面側には比較的
上方部位のみにストレーナSを形成し、その前面側に
は、止水壁の底部までストレーナSを形成した場合であ
り、地下水位線Lで示されるように、止水壁Wの各背面
側では地下水位の低下が少ないため、周辺の地盤沈下お
よび圧密を抑え、周辺の既設構造物等に影響を与えずに
工事を行うことができるようになる。なお、本施工態様
は、止水壁の前面側と背面側の地下水位を任意に調整し
得る意味で、実際の建設工事に当たっては非常に有効な
方法となる。
【0022】なお、前記揚水井Pは、掘削安定液として
使用した粘土、ベントナイトが前記ストレーナやフィル
ターに付着して透水性を妨げたり、周辺土質の細砂粒が
揚水とともにフィルターやスクリーン部に流入して隙間
を封鎖して、次第に揚水効率が悪くなるため、適時、目
詰まりの生じた時期に、揚水井Pに洗浄管を挿入し、ス
トレーナ部に向けて洗浄水または空気をジェット噴射し
たり、揚水ポンプにより揚水と復元を繰り返し、井戸内
の水位を高くして水を逆に地盤に押し戻したりして、目
詰まりを解消する。また、止水壁Wにおいて、揚水井P
としての利用が不要な連結部については、図16に示さ
れる連結構造とし、その隙間部分6bセメント系充填
材または硬化剤等を投入して固化を図る。また図示の如
く、連結金具2a、2bの嵌合隙間部分に膨張性ゴム3
などを充填することもできる。他方、止水壁の構築に当
たっては、掘削後のスライム除去が必要となるが、仮に
図17に示されるように、クラムシェルバケット9によ
り袋体1の隣接する部分でのスライムSの除去を行う場
合には、図18に示されるように、断面コ字状の防護鋼
材8によって建込み後の袋体1を防護しながら除去作業
を行うと、袋体1を傷付けることなく作業を行うことが
できる。なお、前記防護鋼材8は建込み時の治具として
も使用することができる。
【0023】ここで、前述した袋体1内への充填材の注
入に伴う、袋1の側方移動について説明すると、図19
に示されるように、溝6内に充満している壁面安定液5
の比重をγs とすると、深さ方向の圧力分布はγs ・H
で表される。一方、袋体1内に注入される充填材の比重
γtとすると深さ方向の圧力分布は同様にγt・Hで表
される。通常、壁面安定液として用いられるベントナイ
ト液の比重は1.15〜1.25程度の範囲であり、前
記充填材はセメント系のもの等を用いると1.30〜
1.70程度の範囲であるため、その比重の差分による
押出し力(γt−γs )・Hが押出し方向に圧力ΔPと
して作用することになる。したがって、この比重差によ
る付加圧力、および注入圧力等を必要に応じて用いるこ
とにより、十分に側方に押し出すことが可能と思われ
る。また、場合によっては、袋体1の移動先端側上端A
を適時、何等かの方法で移動拘束した状態で注入を行う
と下端側での圧力を増すことができ、移動を容易ならし
めることができる。
【0024】ところで、本発明に従って構築される止水
壁の止水を完全とするために、前記連結金具を利用し
て、袋体1、7…の下部を根固めすることもできる。具
体的には、袋体1、7…の溝深さ方向の長さを前記連結
金具2a、2b等およびH型シートパイル14、15の
長さよりも短めにし、前記連結金具の足部側(溝底面へ
の当接側)を突出させた状態で一体化し、掘削溝に対す
る建込状態において、前記袋体1、7…と溝底部との間
に隙間を形成しておき、止水壁Wの構築後に、前記連結
部に形成される縦孔空間(揚水井)から注入ロッドを挿
入し、前記袋体10、13の下部空間に向けて、硬化材
を高圧ジェット噴射で注入して、袋体10、13の底部
部分の根固めを行う。
【0025】
【発明の効果】以上詳説のとおり、本発明に係る連続止
水壁によれば、使用する安定液の劣化を無くし、これに
伴って発生していた種々の問題点を解決することができ
る。また、止水シートの建込み、連結作業が容易となり
施工性および止水性に優れ、かつ止水壁の一部を揚水井
として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る地下連続止水壁構築後の斜視図で
ある。
【図2】本発明法に係る袋体1の建込み状態図である。
【図3】袋体1の収縮状態図である。
【図4】袋体1の充填材注入後の状態図である。
【図5】袋体建込み後の注入施工手順図である。
【図6】隔壁の機能説明図である。
【図7】1セル構造の袋体の収縮状態図である。
【図8】1セル構造の袋体の充填材注入状態図である。
【図9】袋体1の連結構造拡大図である。
【図10】他の連結金具を備えた袋体の収縮状態図であ
る。
【図11】他の連結金具を備えた袋体の収縮状態図であ
る。
【図12】連結部に形成された揚水井の構造図である。
【図13】連結金具に形成されたストレーナの要部拡大
詳細図である。
【図14】本発明法に係る止水壁を用いた掘削要領図で
ある。
【図15】本発明法に係る止水壁を用いた他の例による
掘削要領図である。
【図16】袋体連結部を揚水井として利用しない場合の
構造詳細図である。
【図17】スライム処理要領図である。
【図18】スライム処理時の袋体防護状態図である。
【図19】袋体の側方移動についての説明図である。
【符号の説明】
1・7…袋体、1a〜1e…隔壁、1f…注入孔、2a
・2b…連結金具、4…ガイドウォール、5…壁面安定
液、6…掘削溝、8…防護鋼材、9…クラムシェルバケ
ット、15…ライザーパイプ、16…フィルター、17
ウェルポイント(集水装置)、18…ヘッダーパイ
、S…ストレーナ、W…止水壁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E02D 5/18 102 E02D 19/10 E02D 3/10

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】壁面安定液を用いながら地盤内に掘削溝を
    形成し、この掘削溝に対して、実質的に前記溝深さ相当
    の長さを有し、かつその両側部のそれぞれに連結金具を
    備えた、不透液性シートよりなる袋体を収縮状態で建て
    込んだ後、この袋体内部に充填材を注入し、前記掘削溝
    内に不透液性シートによって被包された連続止水壁を形
    成するとともに、隣接する止水壁同士を繋ぐ連結部にお
    いて前記連結金具によって地盤深さ方向の縦孔空間を確
    保し、この縦孔空間を揚水井として利用することを特徴
    とする揚水井を備えた地中連続止水壁の構築方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の揚水井を備えた地中連続止
    水壁の構築方法において、前記連結金具の前面側または
    背面側の一方のみにストレーナを形成して揚水を行い、
    止水壁の一方側のみの地下水位低下を図ることを特徴と
    する地中連続止水壁工法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の揚水井を備えた地中連続止
    水壁の構築方法において、前記連結金具の深さ方向のス
    トレーナ形成範囲を、前記連結金具の前面側と背面側と
    で変化させて揚水を行い、止水壁の前面側水位と背面側
    水位の調整を行うことを特徴とする地中連続止水壁工
    法。
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