JP3237596U - 熱可塑性樹脂発泡シート及び容器 - Google Patents

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Abstract

Figure 0003237596000001
【課題】熱可塑性樹脂発泡シートについて、生産性を高め、外観及び印刷特性の向上を図る。
【解決手段】発泡層10と、前記発泡層10の少なくとも一方の面に設けられた熱可塑性樹脂製の非発泡層20と、を有し、前記発泡層10は、熱可塑性樹脂100質量部と熱線吸収材0.1~3.0質量部と発泡剤とを含み、前記発泡層10における前記非発泡層20との境界から深さ30μmまでの領域は、前記発泡剤の含有量が0.008~0.110g/cmであることよりなる。
【選択図】図1

Description

本考案は、熱可塑性樹脂発泡シート及び容器に関する。
ポリスチレン等の熱可塑性樹脂が発泡した発泡層と、発泡層の片面又は両面に設けられた非発泡層とを備える積層発泡シートが知られている。この積層発泡シートは、加熱により発泡層がさらに発泡された(二次発泡)二次発泡層を備える二次発泡シートとされ、この二次発泡シートが成形されて容器とされる。積層発泡シートは、断熱性と耐水性とを備えるため、容器入り即席麺類の容器や、トレー、飲料カップ、持ち帰り弁当の容器等、使い捨ての食品用容器等の原反として多用されている。
食品用容器の内面又は外面には、印刷が施されることが多い。このため、積層発泡シートは、できるだけ平滑な表面の容器を成形できることが好ましい。
積層発泡シートを任意の形状の容器に成形する際には、積層発泡シートを加熱して二次発泡シートとし、これを雌型と雄型とで挟み込んで成形することが多い。この際、容器の製造効率を高めるために、加熱温度を高めることがある。成形時の加熱温度を高めると、発泡層と非発泡層とが剥離したり、表面の平滑性が損なわれたりしやすい。発泡層と非発泡層とが剥離したり、表面の平滑性が損なわれたりすると、容器の外観が損なわれる。
こうした問題に対して、特許文献1は、発泡層と非発泡層とを有し、発泡層における非発泡層との境界から深さ30μmまでの領域は、ブタン等の発泡剤の含有量(特に「境界層ガス残量」ということがある)が特定の範囲である積層発泡シートを開示している。特許文献1に記載の考案によれば、境界層ガス残量を特定の範囲とすることで、成形された容器の外観と印刷特性との向上が図られている。
特開2015-189182号公報
しかしながら、特許文献1の技術は、境界層ガス残量の範囲が狭いため、所望する境界層ガス残量とするのが難しく、生産性が低かった。また、環境負荷低減の観点から、資源の再利用(リサイクル)が望まれている。このため、積層発泡シートには、リサイクル原料を用いた場合にも、外観及び印刷特性を高められることが求められている。
そこで、本考案は、生産性が高く、外観及び印刷特性の向上を図れる積層発泡シートを目的とする。
<1>
発泡層と、前記発泡層の少なくとも一方の面に設けられた熱可塑性樹脂製の非発泡層と、を有し、
前記発泡層は、熱可塑性樹脂100質量部と熱線吸収材0.1~3.0質量部と発泡剤とを含み、
前記発泡層における前記非発泡層との境界から深さ30μmまでの領域は、前記発泡剤の含有量が0.008~0.110g/cmである積層発泡シート。
<2>
前記発泡層は、熱可塑性樹脂100質量部と前記熱線吸収材0.2~3.0質量部と前記発泡剤とを含む、<1>に記載の積層発泡シート。
<3>
前記発泡層の熱可塑性樹脂及び前記非発泡層の熱可塑性樹脂の少なくとも一方は、ポリスチレン系樹脂を含む、<1>又は<2>に記載の積層発泡シート。
<4>
前記発泡層の熱可塑性樹脂及び前記非発泡層の熱可塑性樹脂の少なくとも一方は、リサイクル原料を含む、<1>~<3>のいずれかに記載の積層発泡シート。
<5>
前記発泡層の厚さは、10~300μmである、<1>~<4>のいずれかに記載の積層発泡シート。
<6>
前記熱線吸収材は、カーボンブラック、カーボングラファイト、硫酸金属塩及びアンチモン系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、<1>~<5>のいずれかに記載の積層発泡シート。
<7>
発泡層と、前記発泡層の少なくとも一方の面に設けられた熱可塑性樹脂製の非発泡層と、を有し、
前記発泡層は、熱可塑性樹脂100質量部と熱線吸収材0.1~3.0質量部と発泡剤とを含み、
前記発泡層における前記非発泡層との境界から深さ30μmまでの領域は、前記発泡剤の含有量が0.008~0.110g/cmである容器。
<8>
前記発泡層は、熱可塑性樹脂100質量部と前記熱線吸収材0.2~3.0質量部と前記発泡剤とを含む、<7>に記載の容器。
<9>
前記発泡層の熱可塑性樹脂及び前記非発泡層の熱可塑性樹脂の少なくとも一方は、ポリスチレン系樹脂を含む、<7>又は<8>に記載の容器。
<10>
前記発泡層の熱可塑性樹脂及び前記非発泡層の熱可塑性樹脂の少なくとも一方は、リサイクル原料を含む、<7>~<9>のいずれかに記載の容器。
<11>
前記発泡層の厚さは、10~300μmである、<7>~<10>のいずれかに記載の容器。
<12>
前記熱線吸収材は、カーボンブラック、カーボングラファイト、硫酸金属塩及びアンチモン系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、<7>~<11>のいずれかに記載の容器。
本考案の積層発泡シートによれば、生産性が高く、外観及び印刷特性の向上を図れる。
本考案の一実施形態にかかる積層発泡シートの断面図である。 発泡シートの製造装置の一例を示す模式図である。 積層発泡シートの製造装置の一例を示す模式図である。 本考案の一実施形態にかかる積層発泡シートの断面図である。 リサイクルペレットの製造に用いたリペレットシステムの一例を示す模式図である。
(積層発泡シート)
本考案の積層発泡シートは、発泡層と、前記発泡層の少なくとも一方の面に設けられた非発泡層とを備える。
積層発泡シートの一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1の積層発泡シート1は、発泡層10と、発泡層10の一方の面に設けられた第一の非発泡層20とを備える。即ち、積層発泡シート1は、発泡層10の片面のみに非発泡層を備える。
積層発泡シート1の厚さT1は、特に限定されないが、例えば、0.5~5.5mmが好ましく、1~3.5mmがより好ましい。上記下限値以上であれば、断熱性を高められ、上記上限値以下であれば、積層発泡シート1をロール状に巻き取りやすい。
<発泡層>
発泡層10は、熱可塑性樹脂樹脂と熱線吸収材と発泡剤とを含み、気泡を有する。発泡層10は、熱可塑性樹脂と熱線吸収材と発泡剤とを含む熱可塑性樹脂組成物を発泡させて形成されたものである。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられ、中でもポリスチレン系樹脂が好ましい。
ポリスチレン系樹脂としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i-プロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等のスチレン系モノマーの単独重合体又はこれらの共重合体;スチレン系モノマーを主成分とし、スチレン系モノマーとこれに重合可能なビニルモノマーとの共重合体:スチレン系モノマーとブタジエン等のゴム分との共重合体や、スチレン系モノマーの単独重合体もしくはこれらの共重合体もしくはスチレン系モノマーとビニルモノマーとの共重合体とジエン系のゴム状重合体との混合物又は重合体である、いわゆるハイインパクトポリスチレン;等が挙げられる。
スチレン系モノマーと重合可能なビニルモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレート、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレート等の二官能性モノマー等が挙げられる。これらのビニルモノマーは、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
ジエン系のゴム状重合体としては、例えば、ポリブタジエン、スチレン-ブタジエン共重合体、エチレン-プロピレン-非共役ジエン三次元共重合体等が挙げられる。
これらのポリスチレン系樹脂は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
ポリスチレン系樹脂としては、スチレンを50質量%以上含有するポリスチレン系樹脂が好ましく、中でもポリスチレンがより好ましい。
ポリスチレン系樹脂としては、ポリスチレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂(例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂等)を50質量%未満、好ましくは40質量%以下含有してもよい。
ポリスチレン系樹脂としては、市販されているポリスチレン系樹脂、懸濁重合法等の方法で新たに調製されたポリスチレン系樹脂等、リサイクル原料でないポリスチレン系樹脂でもよいし、リサイクル原料のポリスチレン系樹脂でもよい。
ポリオレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン等のオレフィン系モノマーの単独重合体又はこれらの共重合体や、オレフィン系モノマーを主成分とし、オレフィン系モノマーとこれに重合可能なビニルモノマーとの共重合体等が挙げられる。これらのポリオレフィン系樹脂は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂(例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂等)を50質量%未満、好ましくは40質量%以下含有してもよい。
ポリオレフィン系樹脂としては、市販されているポリオレフィン系樹脂、既存の重合法等の方法で新たに調製されたポリオレフィン系樹脂等、リサイクル原料でないポリオレフィン系樹脂でもよいし、リサイクル原料のポリオレフィン系樹脂でもよい。
ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)、ポリエチレンフラノエート樹脂(PEF)、ポリブチレンナフタレート樹脂(PBN)、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(PTT)、テレフタル酸とエチレングリコールとシクロヘキサンジメタノールの共重合体、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ-ε-カプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、及びこれらの混合物並びにこれらと他の樹脂との混合物等が挙げられる。これらのポリエステル系樹脂は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。好ましいポリエステル系樹脂は、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(PTT)等の芳香族ポリエステル系樹脂である。特に好ましいポリエステル系樹脂は、ポリエチレンテレフタレート樹脂である。
ポリエステル系樹脂としては、ポリエステル系樹脂以外の熱可塑性樹脂(例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂等)を50質量%未満、好ましくは40質量%以下含有してもよい。
ポリエステル系樹脂としては、市販されているポリエステル系樹脂、既存の重合法等の方法で新たに調製されたポリエステル系樹脂等、リサイクル原料でないポリエステル系樹脂でもよいし、リサイクル原料のポリエステル系樹脂でもよい。
熱可塑性樹脂(例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂等)は、環境負荷を低減できることから、植物由来樹脂でもよい。植物由来樹脂としては、例えば、サトウキビ、トウモロコシ等の植物原料を由来とするポリマーが挙げられる。「植物原料を由来とする」とは、植物原料から合成され又は抽出されたポリマーが挙げられる。また、例えば、「植物原料を由来とする」とは、植物原料から合成され又は抽出されたモノマーが重合されたポリマーが挙げられる。「植物原料から合成され又は抽出されたモノマー」には、植物原料から合成され又は抽出された化合物を原料とし合成されたモノマーが含まれる。植物由来樹脂は、モノマーの一部が「植物原料を由来とする」ものを含む。
植物由来樹脂としては、いわゆるバイオPS、バイオPE、バイオPP、バイオPET等、植物由来のポリスチレン系樹脂、植物由来のポリエチレン系樹脂、植物由来のポリプロピレン系樹脂、植物由来のポリエステル系樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂(例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂等)は、いわゆるリサイクル原料を含んでもよい。
リサイクル原料としては、使用済みの熱可塑性樹脂発泡成形体、例えば、魚箱、家電緩衝材、食品包装用トレー等を回収し、リモネン溶解方式や加熱減容方式によって再生したもの;熱可塑性樹脂発泡シートに熱可塑性樹脂非発泡シートを積層したものを食品包装用トレーに加熱成形し、食品包装用トレーを打ち抜いた後に生じる端材を粉砕し、溶融混練してリペレット化したもの;等が挙げられる。また、使用することができるリサイクル原料は、使用済みの熱可塑性樹脂発泡成形体を再生処理して得られたもの以外にも、家電製品(例えば、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン等)、事務用機器(例えば、複写機、ファクシミリ、プリンター等)等から分別回収された非発泡の熱可塑性樹脂成形体を粉砕し、溶融混練してリペレット化したものが挙げられる。
リサイクル原料としては、積層発泡シート1と同じ樹脂組成のものが好ましい。
発泡層10において、熱可塑性樹脂の総質量に対するリサイクル原料の含有量は、10質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がより好ましい。リサイクル原料の含有量が上記下限値以上であると、環境負荷をより低減できる。熱可塑性樹脂の総質量に対するリサイクル原料の含有量の上限は、100質量%でもよいが、80質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましい。リサイクル原料の含有量が上記上限値以下であれば、発泡層10の品質の安定性をより高められる。
発泡層10を構成する樹脂は、耐衝撃性を高めるために、(メタ)アクリル系樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体等、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂及びポリエステル系樹脂以外の樹脂を含んでもよい。
発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン等の炭化水素や、テトラフルオロエタン、クロロジフルオロエタン、ジフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられ、中でも、ブタンが好ましい。ブタンとしては、ノルマルブタン又はイソブタンがそれぞれ単独で使用されてもよいし、ノルマルブタンとイソブタンとが任意の割合で併用されてもよい。これらの発泡剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
発泡剤の一部は、発泡層10を形成する際に発泡して発泡層10内の気泡を形成し、残部は、発泡層10の熱可塑性樹脂内に溶存している。
発泡層10は、熱線吸収材を含む。発泡層10が熱線吸収材を含むことで、境界層ガス残量の範囲を広げ、容器外観、印刷特性をより高められる。
熱線吸収材は、近赤外又は赤外領域(例えば、800~3000nm程度の波長域)の光を吸収する特性を有する物質である。
熱線吸収材としては、近赤外又は赤外領域(例えば、800~3000nm程度の波長域)の光を吸収する物質であれば、特に限定されず、例えば、炭素材料、硫酸金属塩、アンチモン系化合物、金属酸化物、有機染顔料等が挙げられる。
炭素材料としては、カーボンブラック、カーボングラファイト等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。
硫酸金属塩としては、硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム、硫酸カルシウム、メルカライト、ハロトリ石、ミョウバン石、鉄ミョウバン石等が挙げられる。
アンチモン系化合物としては、三酸化アンチモン、酸化アンチモン、無水アンチモン酸亜鉛等が挙げられる。
金属酸化物としては、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジニウム錫等が挙げられる。
有機染顔料としては、アンモニウム系、尿素系、イモニウム系、アミニウム系、シアニン系、ポリメチン系、アントラキノン系、ジチオール系、銅イオン系、フェニレンジアミン系、フタロシアニン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、シュウ酸アニリド系、シアノアクリレート系、ベンゾトリアゾール系等が挙げられる。
熱線吸収材としては、熱伝導率低減効果が大きいこと、コスト的に有利なこと、環境適合面、安全面を含めたハンドリング性が良好なこと等の点から、カーボンブラック、カーボングラファイト、硫酸金属塩又はアンチモン系化合物が好ましい。中でも、熱伝導率低減効果とコストとのバランスの観点から、熱線吸収材としては、カーボンブラック、カーボングラファイト、酸化アンチモン又は硫酸バリウムがより好ましい。
熱線吸収材の平均粒子径は、1~1000nmが好ましく、5~500nmがより好ましく、10~100nmがさらに好ましい。平均粒子径が上記範囲内であれば、熱可塑性樹脂中での分散性をより高められる。
平均粒子径は、電子顕微鏡で測定される、メディアン径である。
発泡層10中の熱線吸収材の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.1~3.0質量部であり、0.2~3.0質量部がより好ましく、0.4~2.5質量部がさらに好ましく、0.6~2.0質量部が最も好ましい。熱線吸収材の含有量が上記の下限値以上であると、容器外観及び印刷特性を高められる。加えて、熱線吸収材の含有量が上記下限値以上であると、原料(特にリサイクル原料)由来の着色や黒点を遮蔽できる。熱線吸収材の含有量が上記上限値以下であると、二次発泡の際に、発泡層10の表面に焼けを生じることがなく、容器外観及び印刷特性が損なわれることがない。
発泡層10は、上述した以外の任意成分(発泡層任意成分)を含有してもよい。
発泡層任意成分としては、例えば、発泡核剤、造核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤(但し、熱線吸収材を除く)、滑剤、難燃剤、帯電防止剤等が挙げられる。これらの発泡層任意成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
発泡層10の厚さT2は、特に限定されず、例えば、0.5~5mmが好ましく、0.5~3mmがより好ましい。上記下限値以上であれば、断熱性をより高められ、上記上限値以下であれば、積層発泡シート1をロール状に巻き取りやすい。
発泡層10の坪量は、特に限定されず、例えば、150~500g/mが好ましく、150~300g/mがより好ましい。上記下限値以上であれば、得られる容器の強度をより高められ、上記上限値以下であれば、熱成形の際の加熱時間が長くなりすぎず、容器の生産性をより高められる。
発泡層10の全体の密度は、特に限定されず、例えば、0.065~0.330g/cmが好ましく、0.133~0.267g/cmがより好ましい。上記下限値以上であれば、強度をより高められ、上記上限値以下であれば、断熱性をより高められる。
発泡層10における第一の非発泡層20との境界22から任意の深さの領域を領域S1とする。以下、発泡層10において、境界22から30μmまでの深さの領域を領域S1(30μm)、境界22から100μmまでの深さの領域を領域S1(100μm)、境界22から200μmまでの深さの領域を領域S1(200μm)と表す。
領域S1(100μm)の密度は、0.2~0.7g/mが好ましく、0.35~0.5g/cmがより好ましい。
領域S1(100μm)の密度が上記下限値以上であれば、得られた容器の強度をより高められる。加えて、上記下限値以上であれば、積層発泡シート1を加熱して発泡(二次発泡)した際、又は積層発泡シート1から得られた二次発泡シートを成形(熱成形)した際に、発泡層10の表面近傍に微細な気泡が形成されやすくなる。このため、容器における第一の非発泡層20の表面の印刷特性をより高められる。
領域S1(100μm)の密度が上記上限値以下であれば、二次発泡の際又は熱成形の際に、境界22で破泡を生じにくくなって、発泡層10と第一の非発泡層20とがより剥離しにくくなる。
領域S1(30μm)における発泡剤の含有量は、0.008~0.110g/cmであり、0.009~0.105g/cmが好ましく、0.011~0.100g/cmがより好ましく、0.012~0.095g/cmがさらに好ましい。上記下限値以上であれば、二次発泡の際に、発泡層10の表面近傍に微細な気泡が形成されやすくなって、得られる容器の印刷特性を高められる。上記上限値以下であれば、二次発泡の際又は熱成形の際に、境界22で破泡を生じにくくなって、発泡層10と第一の非発泡層20とが剥離しにくい。このため、得られる容器の表面をより平滑にでき、容器の外観をより高められる。
領域S1(30μm)における発泡剤の含有量は、発泡剤の種類や配合量、発泡核剤の量、後述する発泡シートの製造方法における冷却速度等の組み合わせにより調節される。
領域S1(200μm)は、100~1000個/mmの気泡を有することが好ましく、100~500個/mmの気泡を有することが好ましい。上記下限値以上であれば、二次発泡によって適度な数の気泡が形成されやすくなり、印刷特性をより高められる。上記上限値以下であれば、気泡同士の間の膜厚が十分に確保され、二次発泡の際又は熱成形の際に、境界22で破泡を生じにくくなって、発泡層10と第一の非発泡層20とが剥離しにくい。
領域S1(200μm)における気泡の数は、発泡剤の種類や配合量、発泡核剤の量、後述する発泡シートの製造方法における冷却速度等の組み合わせにより調節される。
<非発泡層>
第一の非発泡層20は、熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂で構成され、実質的に気泡が形成されていない層である。加えて、第一の非発泡層20は、実質的に発泡剤を含有しない層である。
第一の非発泡層20を構成する樹脂は、発泡層10を構成する樹脂と同様である。第一の非発泡層20を構成する樹脂は、発泡層10を構成する樹脂と同じであれば、積層する際に熱圧着法が採用できるので好ましい。例えば、発泡層10を構成する樹脂がポリスチレン系樹脂であれば、第一の非発泡層20を構成する樹脂は、ポリスチレン系樹脂が好ましい。なお、第一の非発泡層20を構成する樹脂は、発泡層10を構成する樹脂と異なってもよい。
第一の非発泡層20は、熱可塑性樹脂フィルムであってもよい。発泡層10に第一の非発泡層20として熱可塑性樹脂フィルムを積層することによって、積層発泡シートや容器に、光沢性、耐油性、意匠性、表面平滑性、印刷性、酸素バリア性、水蒸気バリア性等を付与できる。
熱可塑性樹脂フィルムとしては、無延伸ポリスチレンフィルム、延伸ポリスチレンフィルム、無延伸ポリエチレンフィルム、延伸ポリエチレンフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、無延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、アルミ蒸着フィルム、印刷が施されたフィルム等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂フィルムは、単層で用いられてもよいし、二層以上の多層で用いられてもよい。
熱可塑性樹脂フィルムを多層とする場合、各層を構成する樹脂が互いに同じであれば、積層する際に熱圧着法が採用できるので好ましい。例えば、一方の層がポリスチレン系樹脂フィルムであれば、他方の層もポリスチレン系樹脂フィルムが好ましい。各層を構成する樹脂が互いに異なっていれば、接着剤層を介して貼り合せる貼合法が採用できるので好ましい。例えば、接着剤層を介して、一方の層が無延伸ポリスチレンフィルムであり、他方の層が無延伸ポリプロピレンフィルムである、CPPSドライラミネートフィルムが好ましい。
第一の非発泡層20は、熱線吸収材を含有してもよい。第一の非発泡層20中の熱線吸収材の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.1~3.0質量部程度である。第一の非発泡層20の熱線吸収材と、発泡層10の熱線吸収材とは、同じでもよいし、異なってもよい。
第一の非発泡層20は、上述した以外の任意成分(非発泡層任意成分)を含有してもよい。
非発泡層任意成分としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤(但し、熱線吸収材を除く)、滑剤、難燃剤、帯電防止剤等が挙げられる。これらの非発泡層任意成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
発泡層10が、着色能力を有する熱線吸収材(炭素材料、有機染顔料等)を有する場合、第一の非発泡層20は熱線吸収材や着色剤を含まないこと(即ち、透明又は半透明)が好ましい。第一の非発泡層20が透明又は半透明であると、積層発泡シート1は、発泡層10の色調を反映し、かつ光沢のある外観となる。
第一の非発泡層20の厚さT3は、特に限定されないが、例えば、10~300μmが好ましく、90~200μmがより好ましい。上記下限値以上であれば、得られる容器の強度をより高められ、上記上限値以下であれば、得られる容器をより軽量にできる。
<積層発泡シートの製造方法>
積層発泡シートの製造方法は、発泡層を形成する工程(発泡層形成工程)と、発泡層の少なくとも一方の面に非発泡層を設ける工程(積層工程)とを有する。
積層発泡シート1の製造方法としては、発泡層10となる発泡シートと、第一の非発泡層20となる第一の非発泡シートとを各々製造し、第一の非発泡シートと発泡シートとをこの順で重ね、これを加熱圧着する方法(熱圧着法)、第一の非発泡シートと発泡シートとをこの順で重ね、各層を接着剤で貼り合せる方法(貼合法)、第一の非発泡層の原料となる樹脂をTダイにより発泡シートの表面に押し出す方法(Tダイ法)、共押出により、発泡層10に第一の非発泡層20が設けられた積層体を得る方法(共押出法)等が挙げられる。共押出法においては、発泡層形成工程と積層工程とが一工程で行われる。
≪発泡層形成工程≫
発泡層形成工程は、積層発泡シートの製造方法に応じ、従来公知の方法から選択される。例えば、上述の熱圧着法、貼合法、Tダイ法であれば、発泡層形成工程は、従来公知の方法に準じて発泡シートを得る。
発泡シートの製造方法の一例について、図2を用いて説明する。
図2の発泡シートの製造装置200は、インフレーション成形により発泡シートを得る装置であり、押出機202と、発泡剤供給源208と、サーキュラーダイ210と、マンドレル220と、2つの巻取機240とを備える。
押出機202は、いわゆるタンデム型押出機であり、第一の押出部202aと第二の押出部202bとが配管206で接続された構成とされている。第一の押出部202aはホッパー204を備え、第一の押出部202aには、発泡剤供給源208が接続されている。
第二の押出部202bには、サーキュラーダイ210が接続され、サーキュラーダイ210の下流には、マンドレル220が設けられている。マンドレル220は、カッター222を備える。
まず、発泡層10を構成する原料をホッパー204から第一の押出部202aに投入する。ホッパー204から投入される原料は、発泡層10を構成する樹脂、及び必要に応じて配合される発泡核剤、造核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤等の発泡層任意成分である。
発泡核剤としては、例えば、タルク、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸カルシウム、クレー、クエン酸等が挙げられ、これらの中でもタルクがより好ましい。
発泡核剤の配合量は、特に限定されないが、発泡層10を構成する樹脂100質量部に対して0.01~5質量部が好ましい。
第一の押出部202aでは、原料を任意の温度に加熱しながら混合して樹脂溶融物とし、発泡剤供給源208から発泡剤を第一の押出部202aに供給し、樹脂溶融物に発泡剤を混合して混合物とする。
加熱温度は、樹脂の種類等を勘案して、樹脂が溶融しかつ発泡層任意成分が変性しない範囲で適宜決定される。
発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン等の炭化水素や、テトラフルオロエタン、クロロジフルオロエタン、ジフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられ、中でも、ブタンが好適である。ブタンとしてはノルマルブタン又はイソブタンをそれぞれ単独で使用してもよいし、ノルマルブタンとイソブタンとを任意の割合で併用してもよい。これらの発泡剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
発泡剤の配合量は、発泡剤の種類や、発泡シートに求める見掛け密度等を勘案して決定され、例えば、樹脂100質量部に対して0.25~6.0質量部が好ましい。
混合物は、第一の押出部202aから配管206を経て第二の押出部202bに供給され、さらに混合され、任意の温度に冷却された後、サーキュラーダイ210へ供給される。
樹脂流路に供給された混合物は、サーキュラーダイ210から押し出され、発泡剤が発泡して円筒状の発泡シート101aとなる。サーキュラーダイ210から押し出された発泡シート101aは、冷却空気211を吹き付けられた後、マンドレル220に供給される。この冷却空気211の温度、量、吹き付け位置との組み合わせにより、発泡シート101aの冷却速度を調節できる。
円筒状の発泡シート101aは、マンドレル220で任意の温度にされ、サイジングされ、カッター222によって2枚に切り裂かれて発泡シート101となる。発泡シート101は、各々ガイドロール242とガイドロール244とに掛け回され、巻取機240に巻き取られて発泡シートロール102となる。
発泡シートの発泡倍数は、例えば、2~15倍が好ましい。
なお、発泡シートは、インフレーション成形以外の方法により製造されてもよい。
≪積層工程≫
積層工程は、発泡シートからなる発泡層に非発泡層を設ける工程である。
以下、熱圧着法における積層工程の一例について、図3を用いて説明する。
図3の積層発泡シートの製造装置100は、熱ラミネート機110を備える。
熱ラミネート機110は、一対の加熱ロールを備え、加熱ロールの表面を任意の温度に加熱できるものである。
発泡シートロール102、及び第一の非発泡シート103の捲回体(第一の非発泡シートロール)104を各々シート繰出機に装着する。
第一の非発泡シート103は、従来公知の製造方法により製造される。
発泡シートロール102から発泡シート101を繰り出し、熱ラミネート機110に供給する。第一の非発泡シートロール104から第一の非発泡シート103を繰り出し、第一の非発泡シート103をガイドロール112に掛け回した後、熱ラミネート機110に供給する。熱ラミネート機110では、発泡シート101と第一の非発泡シート103とをこの順で重ね、これを一対の加熱ロールで挟みつつ任意の温度で加熱する。こうして、発泡層10と、第一の非発泡層20とがこの順で積層された積層発泡シート1となる。積層工程における加熱温度は、各層の材質等に応じて、適宜決定される。
(二次発泡シート)
本実施形態の二次発泡シートは、積層発泡シート1を加熱し、発泡層10をさらに発泡させて二次発泡層を形成したものである。
二次発泡層の厚さは、特に限定されず、例えば、4~7mmが好ましく、4.5~6mmがより好ましい。上記下限値以上であれば、断熱性を高められ、上記上限値以下であれば、取り扱いが容易である。
二次発泡層の全体の密度は、特に限定されず、例えば、0.05~0.2g/cmが好ましく、0.06~0.1g/cmがより好ましい。上記下限値以上であれば、強度をより高められ、上記上限値以下であれば、断熱性をより高められる。
二次発泡層における第一の非発泡層との境界から任意の深さの領域を領域S11とする。以下、二次発泡層において、境界から30μmまでの深さの領域を領域S11(30μm)、境界から100μmまでの深さの領域を領域S11(100μm)、境界から200μmまでの深さの領域を領域S11(200μm)と表す。
領域S11(100μm)の密度は、特に限定されず、例えば、0.05~0.6g/cmが好ましく、0.09~0.42g/cmがより好ましい。上記下限値以上であれば、強度をより高められ、上記上限値以下であれば、断熱性をより高められる。
領域S11(30μm)における発泡剤の含有量は、0.008~0.110g/cmが好ましく、0.009~0.105g/cmがより好ましく、0.011~0.100g/cmがさらに好ましく、0.012~0.095g/cmが特に好ましい。上記下限値以上であれば、二次発泡層の表面近傍に微細な気泡が形成されており、得られる容器の印刷特性を高められる。上記上限値以下であれば、熱成形の際に、二次発泡層と第一の非発泡層との境界で破泡を生じにくくなって、二次発泡層と第一の非発泡層とが剥離しにくい。このため、得られる容器の表面をより平滑にでき、容器の外観をより高められる。
領域S11(30μm)における発泡剤の含有量は、積層発泡シート1の領域S1(30μm)における発泡剤の含有量により調節される。
領域S11(200μm)における気泡の数は、410~5000個/mmが好ましく、410~1500個/mmがより好ましい。上記下限値以上であれば、印刷特性をより高められる。上記上限値以下であれば、強度をより高められる。
領域S11(200μm)における気泡の数は、積層発泡シート1の領域S1(200μm)における気泡の数や、二次発泡工程における加熱条件等により調節される。
(容器)
本実施形態の容器は、上述の二次発泡シートが成形されてなり、容器発泡層と、容器発泡層の一方の面に設けられた第一の容器非発泡層とを備える。即ち、本実施形態の容器は、その内面又は外面の一方のみに非発泡層を備える。
容器発泡層は、二次発泡シートにおける二次発泡層で構成される。第一の容器非発泡層は、二次発泡シートにおける第一の非発泡層で構成される。
容器発泡層における第一の容器非発泡層との境界から任意の深さの領域を領域S21とする。以下、容器発泡層において、境界から30μmまでの深さの領域を領域S21(30μm)、境界から100μmまでの深さの領域を領域S21(100μm)、境界から200μmまでの深さの領域を領域S21(200μm)と表す。
領域S21(100μm)の密度は、特に限定されず、例えば、0.05~0.9g/cmが好ましく、0.09~0.7g/cmがより好ましい。上記上限値以上であれば、より強度を高められ、上記上限値以下であれば、断熱性をより高められる。
領域S21(30μm)における発泡剤の含有量は、0.008~0.110g/cmであり、0.009~0.105g/cmが好ましく、0.011~0.100g/cmがより好ましく、0.012~0.095g/cmがさらに好ましい。上記下限値以上であれば、印刷特性を高められる。上記上限値以下であれば、容器の外観を高められる。
領域S21(30μm)における発泡剤の含有量は、二次発泡における加熱温度や時間等の組み合わせにより調節される。
領域S21(200μm)における気泡の数は、410~5000個/mmが好ましく、410~1200個/mmがより好ましい。上記下限値以上であれば、印刷特性をより高められる。上記上限値以下であれば、強度をより高められる。
領域S21(200μm)における気泡の数は、後述の成形工程における成形型の温度や二次発泡シートに掛ける圧力等により調節される。
<容器の製造方法>
容器の製造方法としては、例えば、積層発泡シートを加熱して二次発泡シートとし(二次発泡工程)、これを雌型と雄型とで挟み込んで成形する(成形工程)方法(熱成形方法)が挙げられる。非発泡層は、容器の外面に位置してもよいし、容器の内面に位置してもよい。
二次発泡工程は、積層発泡シートを加熱して、積層発泡シートの発泡層をさらに発泡させて二次発泡層を形成する工程である。
二次発泡工程で積層発泡シートを加熱する装置としては、例えば、炉内の上下にヒーターを備える加熱炉等が挙げられる。
二次発泡工程における加熱温度は、例えば、200~600℃が好ましく、300~550℃がより好ましい。上記範囲内であれば、二次発泡層を所望する密度に調整しやすい。
二次発泡層の発泡倍数は、例えば、6~20倍が好ましい。
成形工程は、二次発泡シートを雌型と雄型とで挟み込んで、任意の形状の容器を得る工程である。
成形工程における成形型の温度は特に限定されないが、例えば、50~150℃が好ましく、60~130℃がより好ましい。上記下限値以上であれば、容器発泡層と容器非発泡層との境界近傍の気泡に、微細なものが多くなり、印刷特性をより高められる。上記上限値以下であれば、二次発泡シートが溶融するのを防止できる。
上述の通り、本実施形態の積層発泡シートによれば、発泡層の特定の領域における発泡剤の含有量が特定の範囲であるため、この積層発泡シートから得られた二次発泡シートは、容器の外観と印刷特性とをより高められる。
従って、本実施形態の積層発泡シートは、容器成形用の原反として好適である。
(その他の実施形態)
本考案は、上述の実施形態に限定されるものではない。
上述の実施形態では、発泡層の片面のみに非発泡層を備えるが、本考案はこれに限定されず、発泡層の両面に非発泡層を備えてもよい。
発泡層の両面に非発泡層が設けられている積層発泡シートの一例について、図4を参照して説明する。なお、図1の積層発泡シート1と同じ部材には同じ符号を付してその説明を省略する。
図4の積層発泡シート1aは、発泡層10の一方の面に第一の非発泡層20が設けられ、発泡層10の他方の面に第二の非発泡層30が設けられている。
積層発泡シート1aの厚さT1’は、積層発泡シート1の厚さT1と同様である。
発泡層10における第二の非発泡層30との境界32から任意の深さの領域を領域S2とする。以下、発泡層10において、境界32から30μmまでの深さの領域を領域S2(30μm)、境界32から100μmまでの深さの領域を領域S2(100μm)、境界32から200μmまでの深さの領域を領域S2(200μm)と表す。
領域S2(100μm)の密度の範囲は、領域S1(100μm)の密度と同様である。ただし、領域S2(100μm)の密度は、領域S1(100μm)の密度の範囲外でもよい。第二の非発泡層30の表面をより円滑にし、その印刷特性をより高める観点からは、領域S2(100μm)の密度は、領域S1(100μm)の密度と同様であることが好ましい。なお、領域S2(100μm)の密度と領域S1(100μm)の密度とは、同じでもよいし、異なってもよい。
領域S2(30μm)における発泡剤の含有量は、領域S1(30μm)における発泡剤の含有量と同様である。ただし、領域S2(30μm)における発泡剤の含有量は、領域S1(30μm)における発泡剤の含有量の範囲外でもよい。第二の非発泡層30の表面をより円滑にし、その印刷特性をより高める観点からは、領域S2(30μm)における発泡剤の含有量は、領域S1(30μm)における発泡剤の含有量と同様であることが好ましい。なお、領域S2(30μm)における発泡剤の含有量は、領域S1(30μm)における発泡剤の含有量と同じでもよいし、異なってもよい。
領域S2(200μm)における気泡の数は、領域S1(200μm)における気泡の数と同様である。ただし、領域S2(200μm)における気泡の数は、領域S1(200μm)における気泡の数の範囲外でもよい。第二の非発泡層30の表面をより円滑にし、その印刷特性をより高める観点からは、領域S2(200μm)における気泡の数は、領域S1(200μm)における気泡の数と同様であることが好ましい。なお、領域S2(200μm)における気泡の数は、領域S1(200μm)における気泡の数と同じでもよいし、異なってもよい。
第二の非発泡層30は、熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂で構成され、実質的に気泡が形成されていない層である。加えて、第二の非発泡層30は、実質的に発泡剤を含有しない層である。
第二の非発泡層30を構成する樹脂は、第一の非発泡層20を構成する樹脂と同様の種類のものが挙げられる。第二の非発泡層30を構成する樹脂は、第一の非発泡層20を構成する樹脂と同じでもよいし、異なってもよい。
第二の非発泡層30は、第一の非発泡層20と同様の種類の非発泡層任意成分を含有してもよい。
第二の非発泡層30の厚さT4の範囲は、第一の非発泡層20の厚さT3の範囲と同じである。厚さT4は、厚さT3と同じでもよいし、異なってもよい。
本実施形態の積層発泡シート1aを加熱して得られる二次発泡シートは、二次発泡層の一方の面に第一の非発泡層を備え、二次発泡層の他方の面に第二の非発泡層を備える。
第二の非発泡層は、積層発泡シート1aの第二の非発泡層30である。
二次発泡層における第二の非発泡層との境界から任意の深さの領域を領域S12とする。以下、二次発泡層において、境界から30μmまでの深さの領域を領域S12(30μm)、境界から100μmまでの深さの領域を領域S12(100μm)、境界から200μmまでの深さの領域を領域S12(200μm)と表す。
領域S12(100μm)の密度は、領域S11(100μm)の密度と同様である。ただし、領域S12(100μm)の密度は、領域S11(100μm)の密度の範囲外でもよい。第二の非発泡層の表面をより円滑にし、その印刷特性をより高める観点からは、領域S12(100μm)の密度は、領域S11(100μm)の密度と同様であることが好ましい。なお、領域S12(100μm)の密度と領域S11(100μm)の密度とは、同じでもよいし、異なってもよい。
領域S12(30μm)における発泡剤の含有量は、領域S11(30μm)における発泡剤の含有量と同様である。ただし、領域S12(30μm)における発泡剤の含有量は、領域S11(30μm)における発泡剤の含有量の範囲外でもよい。第二の非発泡層の表面をより円滑にし、その印刷特性をより高める観点からは、領域S12(30μm)における発泡剤の含有量は、領域S11(30μm)における発泡剤の含有量と同様であることが好ましい。なお、領域S12(30μm)における発泡剤の含有量と領域S11(30μm)における発泡剤の含有量とは、同じでもよいし、異なってもよい。
領域S12(200μm)における気泡の数は、領域S11(200μm)における気泡の数と同様である。ただし、領域S12(200μm)における気泡の数は、領域S11(200μm)における気泡の数の範囲外でもよい。第二の非発泡層の表面をより円滑にし、その印刷特性をより高める観点からは、領域S12(200μm)における気泡の数は、領域S11(200μm)における気泡の数と同様であることが好ましい。なお、領域S12(200μm)における気泡の数と領域S11(200μm)における気泡の数とは、同じでもよいし、異なってもよい。
積層発泡シート1aから得られる容器は、容器非発泡層と、容器発泡層の一方の面に設けられた第一の容器非発泡層と、容器発泡層の他方の面に設けられた第二の容器非発泡層とを備える。即ち、本実施形態の容器は、内面及び外面に非発泡層を備える。
第二の容器非発泡層は、二次発泡シートにおける第二の非発泡層で構成される。
容器発泡層における第二の容器非発泡層との境界から任意の深さの領域を領域S22とする。以下、容器発泡層における境界から30μmまでの深さの領域を領域S22(30μm)、境界から100μmまでの深さの領域を領域S22(100μm)、境界から200μmまでの深さの領域を領域S22(200μm)と表す。
領域S22(100μm)の密度は、領域S21(100μm)の密度と同様である。ただし、領域S22(100μm)の密度は、領域S21(100μm)の密度の範囲外でもよい。第二の非発泡層の表面をより円滑にし、その印刷特性をより高める観点からは、領域S22(100μm)の密度は、領域S21(100μm)の密度と同様であることが好ましい。なお、領域S22(100μm)の密度と領域S21(100μm)の密度とは、同じでもよいし、異なってもよい。
領域S22(30μm)における発泡剤の含有量は、領域S21(30μm)における発泡剤の含有量と同様である。ただし、領域S22(30μm)における発泡剤の含有量は、領域S21(30μm)における発泡剤の含有量の範囲外でもよい。第二の非発泡層の表面をより円滑にし、その印刷特性をより高める観点からは、領域S22(30μm)における発泡剤の含有量は、領域S21(30μm)における発泡剤の含有量と同様であることが好ましい。なお、領域S22(30μm)における発泡剤の含有量と領域S21(30μm)における発泡剤の含有量とは、同じでもよいし、異なってもよい。
領域S22(200μm)における気泡の数は、領域S21(200μm)における気泡の数と同様である。ただし、領域S22(200μm)における気泡の数は、領域S21(200μm)における気泡の数の範囲外でもよい。第二の非発泡層の表面をより円滑にし、その印刷特性をより高める観点からは、領域S22(200μm)における気泡の数は、領域S21(200μm)における気泡の数と同様であることが好ましい。なお、領域S22(200μm)における気泡の数と領域S21(200μm)における気泡の数とは、同じでもよいし、異なってもよい。
上述の実施形態では、発泡層が単層とされているが、本考案はこれに限定されず、発泡層が二層以上の多層であってもよい。発泡層を多層とする場合、各層を構成する樹脂が互いに同じであれば、積層する際に熱圧着法が採用できるので好ましい。例えば、一方の層がポリスチレン系樹脂であれば、他方の層もポリスチレン系樹脂が好ましい。なお、発泡層を多層とする場合、各層を構成する樹脂は、互いに同じでもよいし、互いに異なってもよい。
上述の実施形態では、非発泡層が単層とされているが、本考案はこれに限定されず、非発泡層が二層以上の多層であってもよい。非発泡層を多層とする場合、各層を構成する樹脂が互いに同じであれば、積層する際に熱圧着法が採用できるので好ましい。例えば、一方の層がポリスチレン系樹脂であれば、他方の層もポリスチレン系樹脂が好ましい。なお、発泡層を多層とする場合、各層を構成する樹脂は、互いに同じでもよいし、互いに異なってもよい。
非発泡層を多層とする場合、非発泡層の基層に熱可塑性樹脂フィルムを積層し、熱可塑性樹脂フィルムを表層(最表面)とすることが好ましい。熱可塑性樹脂フィルムを積層することによって、積層発泡シートや容器の最表面に、光沢性、耐油性、意匠性、表面平滑性、印刷性、酸素バリア性、水蒸気バリア性等を付与できる。
熱可塑性樹脂フィルムとしては、無延伸ポリスチレンフィルム、延伸ポリスチレンフィルム、無延伸ポリエチレンフィルム、延伸ポリエチレンフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、無延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、アルミ蒸着フィルム、印刷が施されたフィルム等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂フィルムは、単層で用いられてもよいし、二層以上の多層で用いられてもよい。
熱可塑性樹脂フィルムを多層とする場合、各層を構成する樹脂が互いに同じであれば、積層する際に熱圧着法が採用できるので好ましい。例えば、一方の層がポリスチレン系樹脂フィルムであれば、他方の層もポリスチレン系樹脂フィルムが好ましい。各層を構成する樹脂が互いに異なっていれば、接着剤層を介して貼り合せる貼合法が採用できるので好ましい。例えば、接着剤層を介して、一方の層が無延伸ポリスチレンフィルムであり、他方の層が無延伸ポリプロピレンフィルムである、CPPSドライラミネートフィルムが好ましい。
以下に実施例を示して本考案を説明するが、本考案は、以下の実施例に限定されない。
(使用原料)
<発泡層の熱可塑性樹脂>ポリスチレン(PS)系樹脂
・PS-1:商品名「HRM26」、汎用ポリスチレン、東洋スチレン(株)製。
・PS-2:汎用ポリスチレンと熱線吸収材とタルクとの黒色混合物、実施例1で得られた発泡体の端材のリペレット品。
≪製造例1≫PS-2の製造方法
リペレットシステムを用いて、リサイクルペレットであるPS-2を製造した。
PS-2の製造に用いたリペレットシステムを図5に示す。
図5のリペレットシステム300は、二軸押出機310と、カッティング室320と、脱水乾燥機322と、ポンプ324と、水槽326と、加熱振動ふるい機328と、貯留容器330とを有する。二軸押出機310の先端にカッティング室320が設けられている。カッティング室320は、配管321を介して脱水乾燥機322と接続されている。カッティング室320は、配管323を介して脱水乾燥機322と接続されている。配管323には、ポンプ324と水槽326とが設けられている。脱水乾燥機322は、配管327を介して加熱振動ふるい機328と接続されている。加熱振動ふるい機328は、配管329を介して貯留容器330と接続されている。
二軸押出機310は、ホッパー312と、ベント孔314とを有する。
PS-2の製造方法について説明する。
後述の実施例1で得られた積層発泡シートを粉砕機にて粉砕して樹脂チップとした。
ポンプ324を起動し、水槽326内の冷却用液体(70℃)を配管323、カッティング室320、配管321の順に通流した。ベント孔314から排気して、二軸押出機310内を減圧した。
樹脂チップをホッパー312に投入し、樹脂チップを二軸押出機310(φ75mm)で溶融混練し、溶融物を先端(φ1.2mm)からカッティング室320内の冷却用液体に押し出し、これをカッターで切断してペレットとした。ペレットを冷却用液体と共に、配管321を介して脱水乾燥機322に移送した。移送されたペレットを脱水乾燥機322で乾燥し、これを配管327を介して加熱振動ふるい機328に移送した。160℃に調温した加熱振動ふるい機328でペレットを分級しつつ結晶化して、所望の粒度のリサイクルペレット(PS-2)とした。
・PS-3:汎用ポリスチレンとタルクとの混合物、参考例1で得られた発泡体の端材のリペレット品。
≪製造例2≫PS-3の製造方法
実施例1で得られた積層発泡シートに代えて、後述の参考例1で得られた積層発泡シートを粉砕機にて粉砕して樹脂チップとした以外は、製造例1と同様にして、リサイクルペレット(PS-3)とした。
<発泡核剤>
・タルクMB:商品名「SMA-01BE」、タルクマスターバッチ、タルク含有量60%、キハラ化成(株)製。
<熱線吸収材>
・黒顔料MB:商品名「ESH-K-126768」、ポリスチレン系樹脂52質量%とカーボンブラック(ファーネスブラック)48質量%とを含有するマスターバッチ、ポリコール工業(株)製。
<発泡剤>
・ブタン:イソブタン/ノルマルブタン=70/30(質量比)の混合物。
<非発泡層の熱可塑性樹脂>
・ポリスチレン:耐衝撃性ポリスチレン、商品名「E641N」、東洋スチレン(株)製。
(実施例1~10、比較例1~3)
図2の発泡シートの製造装置と同様の製造装置を用い、下記のようにして発泡シートを得た。
表1~2の組成に従い、PS系樹脂とタルクMBと黒顔料MBと、を混合した。表中「-」は、その成分を配合していないことを意味する(以降において同じ)。
原料の混合物をホッパーから第一の混合部に供給し、最高到達温度300℃で加熱し、溶融混練して樹脂溶融物とした。
第一の混合部に発泡剤を供給し、樹脂溶融物と発泡剤を混合して樹脂組成物とした。発泡剤の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部対して、表に示す質量部であった。
樹脂組成物を第一の混合部から第二の混合部に供給し、190℃に冷却し、サーキュラーダイ(口径175mm)で押し出し、発泡させて円筒状の発泡シートを得た。この際、サーキュラーダイから押し出された直後に、円筒状の発泡シートの内面及び外面に冷却用のエアー(28℃)を吹き付けて冷却した。
冷却後の円筒状の発泡シートを押出方向に沿って切り裂き、厚さ1.60mm、坪量240g/m、見掛け密度0.150g/cmの発泡シートを得た。この発泡シートを20日間熟成した後、発泡シートの片面に耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS:東洋スチレン社製の商品名「E641N」)をTダイで押し出して、厚さ120μmの非発泡層を設け、積層発泡シートを得た。得られた積層発泡シートは、厚さ1.70mm(非発泡樹脂層の厚さは120μm、発泡シートの厚さは1.58mm)、坪量360g/m、見掛け密度0.209g/cmであった。
得られた積層発泡シートについて、領域S1(100μm)の密度(表中、S1密度と記載)、領域S1(30μm)における発泡剤の含有率(表中、S1発泡剤含有率と記載)、領域S1(30μm)における発泡剤の含有量(表中、S1発泡剤量と記載)、領域S1(200μm)における気泡の数(表中、S1気泡数と記載)を測定し、その結果を表中に示す。
また、後述する評価方法において、領域S21(30μm)における発泡剤の含有率(表中、S21発泡剤含有率と記載)、領域S21(30μm)における発泡剤量(表中、S21発泡剤量と記載)、領域S21(200μm)における気泡の数(表中、S21気泡数と記載)を測定し、遮蔽性、容器外観、印刷特性及び総合評価を評価し、その結果を表中に示す。
(実施例11)
実施例1の積層発泡シートの非発泡層上に、印刷柄を施した厚さ30μmのCPSフィルム(無延伸ポリスチレンフィルム)を、熱圧着法でラミネートして、本例の積層発泡シートを得た。即ち、本例の積層発泡シートは、基層(発泡層側)がHIPS、表層(最表面)がCPSである非発泡層を有する。得られた積層発泡シートは、厚さ1.73mm(CPSフィルムの厚さは30μm、HIPSの厚さは120μm、発泡シートの厚さは1.58mm)、坪量391g/m、見掛け密度0.226g/cmであった。得られた積層発泡シートについて、S1発泡剤含有率、S1発泡剤量、S1気泡数とを測定し、その結果を表中に示す。
また、後述する評価方法において、S21発泡剤含有率と、S21発泡剤量、S21気泡数とを測定し、遮蔽性、容器外観、印刷特性及び総合評価を評価し、その結果を表中に示す。
(参考例1)
黒顔料MBを用いなかった以外は、実施例1と同様にして、積層発泡シートを得た。得られた積層発泡シートについて、S1発泡剤含有率、S1発泡剤量、S1気泡数を測定し、その結果を表中に示す。
また、後述する評価方法において、S21発泡剤含有率と、S21発泡剤量、S21気泡数とを測定し、その結果を表中に示す。
(評価方法)
以下の評価方法は、いずれも23℃の雰囲気下で行った。
<発泡シート、積層発泡シートの厚さ>
発泡シート又は積層発泡シートの幅方向(製造時の押出方向に直交する方向)の両端20mmを除き、幅方向50mm間隔の位置を測定点(11箇所)とした。ダイヤルゲージSM-112(テクロック社製)を用い、測定点を最小単位0.01mmで測定した。この測定値の平均値を、発泡シート又は積層発泡シートの厚さ(mm)とした。
<発泡シート、積層発泡シートの密度>
発泡シート又は積層発泡シートの幅方向の両端20mmを除き、幅方向に等間隔に10cm×10cmに切り取って、試料片(9個)とした。各試料片の質量(g)を0.001g単位で測定した。各試料片の質量の平均値を1m当たりの質量に換算した値を、発泡シート又は積層発泡シートの坪量(g/m)とした。
得られた坪量と、上述の厚さから、下記(1)式により密度を求めた。
密度(g/cm)=坪量(g/m)×10-4÷厚さ(mm)×10-1・・・(1)
<領域S1(100μm)における密度>
積層発泡シートを厚さ方向に切断し、その断面を日本電子製の走査型電子顕微鏡SU1510(株式会社日立ハイテク製)で撮影した(倍率100倍)。
撮影画像を観察し、非発泡層の最も近くに存在する気泡2つを決めた。次いで、2つの気泡の各々と非発泡層とが接する点(接点)を決め、2つの接点を通る直線を引いた。この直線を発泡層と非発泡層との境界と定義した。
この境界から深さ100μmの位置で、発泡層をスライサーにてスライスして、発泡層の一部と非発泡層とを備えた薄片を得た。この薄片から発泡層を切り出して密度測定用サンプルを得た。得られた密度測定用サンプルの質量と体積とを測定し、密度を算出した。
<領域S1(30μm)における発泡剤の含有量>
積層発泡シートを厚さ方向に切断し、その断面を日本電子製の走査型電子顕微鏡SU1510(株式会社日立ハイテク製)で撮影した(倍率100倍)。
撮影画像を観察し、非発泡層の最も近くに存在する気泡2つを決めた。次いで、2つの気泡の各々と非発泡層とが接する点(接点)を決め、2つの接点を通る直線を引いた。この直線を発泡層と非発泡層との境界と定義した。
この境界から深さ30μmの位置で、発泡層をスライサーにてスライスして、発泡層の一部と非発泡層とを備えた薄片を得た。
この薄片を1cm×2cmに切り出して発泡剤測定用サンプルとした。ダイヤルゲージSM-112(テクロック社製)を用い、発泡剤測定用サンプルの厚さを最小単位0.01mmで測定した。得られた厚さ(mm)に基づき、下記(2)式によって発泡剤測定用サンプルの体積を算出した。
発泡剤測定用サンプルの体積(cm)=1cm×2cm×厚さ(mm)÷10・・・(2)
発泡剤測定用サンプルにおける発泡層の体積を下記(3)により算出した。
発泡剤測定用サンプルにおける発泡層の体積(cm)=1cm×2cm×(30μm×10-4)・・・(3)
発泡剤測定用サンプルの質量を最小単位0.1mgで測定し、発泡剤測定用サンプルの密度を下記(4)により算出した。
発泡剤測定用サンプルの密度(g/cm)=発泡剤測定用サンプルの質量(g)÷発泡剤測定用サンプルの体積(cm)・・・(4)
発泡剤測定用サンプルを厚さ方向にカットして、10~30mg/個のカット片とした。このカット片の全てを下記測定装置の専用バイアル瓶(20mL)に入れ、密封した状態で60分間保持した。
このバイアル瓶を下記測定装置のHSオートサンプラーにセットし、下記条件で、領域S1(30μm)を含む発泡剤測定用サンプルの発泡剤の含有率(表中、S1発泡剤含有率と記載、単位=質量%)を測定した。
≪測定条件≫
測定装置:ガスクロマトグラフ Clarus500+HSオートサンプラー TurboMatrix HS40(Perkin-Elmer社製)。
カラム:DB-1(1.0μm×0.25mmφ×60m)。
検出器:FID。
試験数:1。
カラム温度:50℃、6min→40℃/min昇温→250℃、1.5min。
注入口温度:200℃。
検出器温度:310℃。
レンジ:20。
Att:1。
ベント-追加ガス:30-5mL/min(He)。
ガス圧力:18(10)psi→0.5psi→24psi。
定量法:MHE法。
サンプラー条件:加熱温度-時間=160℃-20min、加圧ガス圧-時間=25psi-1min、ニードル温度=160℃、トランスファーライン温度=180℃、試料導入時間=0.08min。
発泡剤測定用サンプルの発泡剤の含有率(質量%)に基づき、下記(5)式により領域S1(30μm)における発泡剤の含有量(g/cm)を求めた。下記(5)式は、非発泡層には発泡剤が含まれていないとみなして、発泡層の単位体積当たりの発泡剤量を求める。
領域S1(30μm)における発泡剤の含有量(g/cm)=発泡剤測定用サンプルの発泡剤の含有率(質量%)×発泡剤測定用サンプルの密度(g/cm)×発泡剤測定用サンプルの体積(cm)÷発泡剤測定用サンプルの発泡層の体積(cm)÷100・・・(5)
<領域S21(30μm)における発泡剤の含有量>
積層発泡シートの幅方向の中央部分が含まれるように、積層発泡シートを570mm×570mmに切り出し、これを下記成形条件で非発泡層が容器の内面に位置する各例の容器に成形した。得られた容器の側面から発泡剤測定用サンプルを採取した以外は、「<領域S1(30μm)における発泡剤の含有量>」と同様にして、領域S21(30μm)における発泡剤の含有量を求めた。
≪成形条件≫
容器形態:逆四角錘台、口元150mm×150mm、底面110mm×110mm、高さ60mm。
二次発泡工程のヒーター条件:上面(非発泡層側)=500~520℃、下面(発泡層側)=385~430℃。
成形機:脇坂エンジニアリング社製 FVS-500P型。
成形工程の加熱時間:7.5秒(両面真空)。
金型温度:上型雄型(非発泡層側)/下型雌型(二次発泡層側)=100℃/60℃。
プレス速度:300mm/sec。
<領域S1(200μm)における気泡の数>
積層発泡シートを厚さ方向に切断し、その断面を日本電子製の走査型電子顕微鏡SU1510(株式会社日立ハイテク製)で撮影した(倍率100倍)。
撮影画像を観察し、非発泡層の最も近くに存在する気泡2つを決めた。次いで、2つの気泡の各々と非発泡層とが接する点(接点)を決め、2つの接点を通る直線を引いた。この直線を発泡層と非発泡層との境界と定義した。
撮影画像に基づき、非発泡層と発泡層との境界から深さ200μm、深さ方向に直交する方向の1000μmの領域(即ち、200μm×1000μmの長方形の領域)に存在する気泡の数を計測した。計測結果には、この長方形の領域に気泡の一部が含まれているものを含む。押出方向及び幅方向の垂直縦断面の各5検体について、気泡の数を求め、これらの平均値を領域S1(200μm)における気泡の数とした。
<領域S21(200μm)における気泡の数>
積層発泡シートに代えて、「<領域S21(30μm)における発泡剤の含有量>」で得られた容器の断面を観察した以外は、「<領域S1(200μm)における気泡の数>」と同様にして、領域S21(200μm)における気泡の数を測定した。
<遮蔽性>
社団法人日本塗料工業会の「2011年F版塗料用標準色(ポケット版)」を用いて、各例の発泡シートの黒度を評価した。以下の基準色に対して発泡シート表面の色が濃ければ、発泡シート製造時に発生する黒点を遮蔽することができる。評価結果が「〇」又は「△」であれば、原料由来の着色等を遮蔽して、優れた外観といえる。
・基準色:色票番号「N-30」、マンセル値「N3.0」。
≪表記基準≫
〇:基準色の色見本に対して、発泡シート表面の色がより黒く見える(濃く見える)。
△:基準色の色見本に対して、発泡シート表面の色が、同等もしくは僅かに白く見える。
×:基準色の色見本に対して、発泡シート表面の色が、明らかに白く見える(薄く見える)。
<容器外観>
積層発泡シートの幅方向の中央部分が含まれるように、積層発泡シートを570mm×570mmに切り出し、これを下記成形条件で、非発泡層が容器の外面に位置する容器に成形した。3個の容器の外面を目視で観察し、下記評価基準に従って評価した。
≪成形条件≫
容器形態:丼型、口元口径130mmφ、底面口径77mmφ、高さ75mm。
二次発泡工程のヒーター条件:上面(非発泡層側)=500~520℃、下面(発泡層側)=430~450℃。
成形機:脇坂エンジニアリング社製 FVS-500P型。
成形工程の加熱時間:11秒(両面真空)。
金型温度:上型雌型(非発泡層側)/下型雄型(二次発泡層側)=60℃/100℃。
プレス速度:300mm/sec。
≪評価基準≫
○:直径1mm未満の突起が見られるか、突起が見られず、表面が平滑である。
△:直径1~2mmの突起がある。
×:直径2mmを超える突起がある。
なお、突起は、容器発泡層と容器非発泡層との剥離の有無を判断する指標であり、容器発泡層と容器非発泡層との境界近傍の気泡が破れ、容器非発泡層が外方に盛り上げられて形成されたものであり、いわゆる「バブル」と呼ばれるものである。突起の大きさは、容器に形成されたものの内、最も大きなものを評価対象とした。
<印刷特性>
上記の「<容器外観>」で得られた容器に対し、上端から10~50mmの位置に印刷を施した。印刷の状態を下記評価基準に従って、評価した。
≪評価基準≫
○:かすれ等がなく、良好な印刷状態である。
△:若干のかすれがあるものの許容範囲である。
×:印刷面にインキの載っていない部分があった(印刷抜けがあった)。
<総合評価>
下記評価基準に基づいて、評価した。
≪評価基準≫
A:遮蔽性、容器外観及び印刷特性のいずれの評価も「〇」である。
B:遮蔽性、容器外観及び印刷特性のいずれの評価も「〇」又は「△」であり、「△」が1つである。
C:容器外観及び印刷特性のいずれの評価も「〇」又は「△」であり、「△」が2つ以上であるか、遮蔽性が「×」である。
D:容器外観及び印刷特性の評価の内、1つ以上が「×」である。
Figure 0003237596000002
Figure 0003237596000003
表1~2に示す通り、本考案を適用した実施例1~11は、総合評価がA~Cであった。熱線吸収材の含有量が0.20質量部以上である実施例1~7、9~11は、遮蔽性が「〇」又は「△」であった。
S1発泡剤量、S21発泡剤量が0.007g/cmである比較例1は印刷特性が「×」であった。
S1発泡剤量、S21発泡剤量が0.112~0.116g/cmである比較例2、熱線吸収材の含有量が4.03質量部である比較例3は、容器外観及び印刷特性が「×」であった。
これらの結果から、本考案を適用することで、外観及び印刷特性の向上を図れることを確認できた。
1 積層発泡シート
10 発泡層
20 第一の非発泡層
22、32 境界
30 第二の非発泡層
S1、S2 領域

Claims (12)

  1. 発泡層と、前記発泡層の少なくとも一方の面に設けられた熱可塑性樹脂製の非発泡層と、を有し、
    前記発泡層は、熱可塑性樹脂100質量部と熱線吸収材0.1~3.0質量部と発泡剤とを含み、
    前記発泡層における前記非発泡層との境界から深さ30μmまでの領域は、前記発泡剤の含有量が0.008~0.110g/cmである積層発泡シート。
  2. 前記発泡層は、熱可塑性樹脂100質量部と前記熱線吸収材0.2~3.0質量部と前記発泡剤とを含む、請求項1に記載の積層発泡シート。
  3. 前記発泡層の熱可塑性樹脂及び前記非発泡層の熱可塑性樹脂の少なくとも一方は、ポリスチレン系樹脂を含む、請求項1又は2に記載の積層発泡シート。
  4. 前記発泡層の熱可塑性樹脂及び前記非発泡層の熱可塑性樹脂の少なくとも一方は、リサイクル原料を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層発泡シート。
  5. 前記発泡層の厚さは、10~300μmである、請求項1~4のいずれか一項に記載の積層発泡シート。
  6. 前記熱線吸収材は、カーボンブラック、カーボングラファイト、硫酸金属塩及びアンチモン系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1~5のいずれか一項に記載の積層発泡シート。
  7. 発泡層と、前記発泡層の少なくとも一方の面に設けられた熱可塑性樹脂製の非発泡層と、を有し、
    前記発泡層は、熱可塑性樹脂100質量部と熱線吸収材0.1~3.0質量部と発泡剤とを含み、
    前記発泡層における前記非発泡層との境界から深さ30μmまでの領域は、前記発泡剤の含有量が0.008~0.110g/cmである容器。
  8. 前記発泡層は、熱可塑性樹脂100質量部と前記熱線吸収材0.2~3.0質量部と前記発泡剤とを含む、請求項7に記載の容器。
  9. 前記発泡層の熱可塑性樹脂及び前記非発泡層の熱可塑性樹脂の少なくとも一方は、ポリスチレン系樹脂を含む、請求項7又は8に記載の容器。
  10. 前記発泡層の熱可塑性樹脂及び前記非発泡層の熱可塑性樹脂の少なくとも一方は、リサイクル原料を含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の容器。
  11. 前記発泡層の厚さは、10~300μmである、請求項7~10のいずれか一項に記載の容器。
  12. 前記熱線吸収材は、カーボンブラック、カーボングラファイト、硫酸金属塩及びアンチモン系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項7~11のいずれか一項に記載の容器。
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