JP2023050545A - ポリスチレン系樹脂発泡シートおよびポリスチレン系樹脂発泡容器 - Google Patents

ポリスチレン系樹脂発泡シートおよびポリスチレン系樹脂発泡容器 Download PDF

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Abstract

Figure 2023050545000001
【課題】ジメチルエーテルを必須に用いなくても、加熱によって表面にブリスターや3次発泡が発生し難いポリスチレン系樹脂発泡容器を熱成形し得るポリスチレン系樹脂発泡シートを提供する。
【解決手段】本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シートは、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)とポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の積層構造を含むポリスチレン系樹脂発泡シートであって、該耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)の発泡倍率FR1が1倍以上10倍未満であり、該ポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の発泡倍率FR2が10倍以上20倍未満であり、該発泡倍率FR2と該発泡倍率FR1との比(FR2/FR1)が1.5倍以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリスチレン系樹脂発泡シートおよびポリスチレン系樹脂発泡容器に関する。
ポリスチレン系樹脂発泡シートを熱成形して得られる容器は、トレー、弁当箱、丼、カップ等の各種容器として、コンビニエンスストア等で広く使用されている。その中でも、近年、調理済食品が包装された状態で電子レンジによって加熱されることを想定した、いわゆるレンジアップ容器の需要が高まっている。このようなレンジアップ容器としては、耐熱性を有するポリスチレン系樹脂発泡シートが熱成形されたものが広く使用されている。このようなポリスチレン系樹脂発泡シートは、通常、ポリスチレン系樹脂と発泡剤を含む樹脂組成物を押出発泡させて得られた発泡シートに、必要に応じて他の機能性フィルムを積層して製造される。
レンジアップ容器を成形するために用いられるポリスチレン系樹脂発泡シートは、軽量性やコスト低減の観点から、見掛け密度が低いことが好ましい。しかし、見掛け密度の低いポリスチレン系樹脂発泡シートを熱成形して得られる容器を、パスタ等の食品が包装された状態で電子レンジにより加熱した場合、容器の表面に部分的な膨れ(ブリスター)やみみずばれ(3次発泡)等が発生する問題がある。これは、食品からの伝熱によって容器の表面が局所的に加熱される等が原因であると推察される。
上記のような問題を解消するため、発泡剤として、ブタンとジメチルエーテルを含む発泡剤を用いるポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法が報告されている(特許文献1)。
しかし、特許文献1に記載の製造方法においては、引火性、爆発性、および有害性の高い可燃性高圧ガスであるジメチルエーテルを用いるため、この製造方法によってポリスチレン系樹脂発泡シートを大量生産することは、極めて危険性が高い。
特開2019-210312号公報
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、ジメチルエーテルを必須に用いなくても、加熱によって表面にブリスターや3次発泡が発生し難いポリスチレン系樹脂発泡容器を熱成形し得るポリスチレン系樹脂発泡シートを提供すること、および、加熱によって表面にブリスターや3次発泡が発生し難いポリスチレン系樹脂発泡容器を提供することにある。
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シートは、
耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)とポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の積層構造を含むポリスチレン系樹脂発泡シートであって、
該耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)の発泡倍率FR1が1倍以上10倍未満であり、
該ポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の発泡倍率FR2が10倍以上20倍未満であり、
該発泡倍率FR2と該発泡倍率FR1との比(FR2/FR1)が1.5倍以上である。
一つの実施形態としては、上記耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)の連続気泡率が15%以上である。
一つの実施形態としては、上記ポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の連続気泡率が15%未満である。
一つの実施形態としては、上記耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)の表層から厚み400μmの範囲の平均気泡数が1個~5個である。
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートは、本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シートに非発泡樹脂フィルムがラミネートされてなる。
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡容器は、本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シートまたは本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートが熱成形されたものである。
本発明によれば、ジメチルエーテルを必須に用いなくても、加熱によって表面にブリスターや3次発泡が発生し難いポリスチレン系樹脂発泡容器を熱成形し得るポリスチレン系樹脂発泡シート、および、加熱によって表面にブリスターや3次発泡が発生し難いポリスチレン系樹脂発泡容器を提供することができる。
本発明のポリスチレン系樹脂発泡容器の一つの実施形態を示す概略斜視図である。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
本明細書において「(メタ)アクリル」とある場合は、アクリルおよび/またはメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とある場合は、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味する。
≪≪ポリスチレン系樹脂発泡シート≫≫
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シートは、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)とポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の積層構造を含むポリスチレン系樹脂発泡シートである。
耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)は、1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。
ポリスチレン系樹脂発泡層(A2)は、1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シートは、例えば、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)とポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の積層構造のみからなっていてもよい。
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シートは、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)とポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の積層構造を含んでいれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の層を含んでいてもよい。このような他の層としては、例えば、他のポリスチレン系樹脂発泡層が挙げられる。他のポリスチレン系樹脂発泡層は、1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。なお、本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シートからポリスチレン系樹脂発泡容器を成形する場合、代表的には、該発泡容器の内面側に耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)が配置されるようになる。
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シートにおいて、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)の発泡倍率FR1は、1倍以上10倍未満であり、好ましくは2倍~8倍であり、より好ましくは3倍~7倍であり、さらに好ましくは4倍~6倍であり、特に好ましくは5倍~6倍である。耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)の発泡倍率FR1を上記範囲内に調整することにより、本発明の効果がより発現される。
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シートにおいて、ポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の発泡倍率FR2は、10倍以上20倍未満であり、好ましくは10倍~19倍であり、より好ましくは11倍~18倍であり、さらに好ましくは12倍~18倍であり、特に好ましくは14倍~18倍である。ポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の発泡倍率FR2を上記範囲内に調整することにより、本発明の効果がより発現される。
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シートにおいて、発泡倍率FR2と発泡倍率FR1との比(FR2/FR1)は、1.5倍以上であり、好ましくは1.5倍~7倍であり、より好ましくは1.6倍~6倍であり、さらに好ましくは1.7倍~4.5倍であり、特に好ましくは1.8倍~3倍である。発泡倍率FR2と発泡倍率FR1との比(FR2/FR1)を上記範囲内に調整することにより、本発明の効果がより発現される。
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シートの厚みは、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な厚みを採り得る。本発明の効果をより発現し得る点で、本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シートの厚みは、好ましくは0.5mm~4.0mmであり、より好ましくは0.8mm~3.5mmであり、さらに好ましくは1.0mm~3.0mmであり、特に好ましくは1.1mm~2.5mmである。
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シートの坪量は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な坪量を採り得る。本発明の効果をより発現し得る点で、本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シートの坪量は、好ましくは60g/m~400g/mであり、より好ましくは70g/m~300g/mであり、さらに好ましくは80g/m~250g/mであり、さらに好ましくは90g/m~250g/mであり、さらに好ましくは100g/m~200g/mであり、特に好ましくは100g/m以上200g/m未満であり、最も好ましくは100g/m~180g/mである。
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シートの全体としての発泡倍率は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な発泡倍率を採り得る。本発明の効果をより発現し得る点で、本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シートの全体としての発泡倍率は、好ましくは5.0倍~20倍であり、より好ましくは6倍~18倍であり、さらに好ましくは7倍~17倍であり、特に好ましくは8倍~16倍である。
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シートのガラス転移温度(Tg)(中間点ガラス転移温度)は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なガラス転移温度(Tg)(中間点ガラス転移温度)を採り得る。本発明の効果をより発現し得る点で、本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シートのガラス転移温度(Tg)(中間点ガラス転移温度)は、好ましくは100℃~200℃であり、より好ましくは105℃~170℃であり、さらに好ましくは110℃~150℃であり、特に好ましくは115℃~135℃である。
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シート中の、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)とポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の積層構造における該耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)側の表層部(表面から200μmの厚み部分)の密度(以下、表層密度ということがある)は、該積層構造全体の見掛け密度よりも大きいことが好ましい。これにより、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)とポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の積層構造の耐衝撃性が高められる。全体の見掛け密度よりも大きい密度の表層部は、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)とポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の積層構造の一方の面に形成されていてもよいし、両面に形成されていてもよい。表層密度は、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)とポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の積層構造を製造する際に、冷却用のエアーの温度や風量を調節したり、サーキュラーダイの温度やマンドレルでの冷却温度を調節したりする等により、任意の範囲に調整することができる。(表層密度/全体の見掛け密度)で表される比(以下、表層密度比ということがある)は、好ましくは1.5~2.5であり、より好ましくは1.8~2.2である。表層密度比が上記範囲内にあれば、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)とポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の積層構造の耐衝撃性が高められるとともに、成形に適した発泡性が発現できる。
≪耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)≫
耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)は、代表的には、ポリスチレン系樹脂(I)を発泡させて形成したものである。耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)は、代表的には、ポリスチレン系樹脂(I)と発泡剤を含む樹脂組成物を押出発泡させて得られる。より具体的には、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)は、代表的には、ポリスチレン系樹脂(I)と発泡剤と、必要に応じて加えられる気泡調整剤などの各種の添加剤とを、共に押出機内で加熱溶融、混練し、所定温度に冷却後、ダイからシート状に押し出すと共に発泡させ、直ちに冷却して形成される。なお、本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シートは、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)とポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の積層構造を含むポリスチレン系樹脂発泡シートであるので、該耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)は、代表的には、該ポリスチレン系樹脂発泡層(A2)とともに共押出しされることによって、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)とポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の積層構造として得られる。
耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)の厚みは、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な厚みを採り得る。耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)の厚みは、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは0.05mm~4.0mmであり、より好ましくは0.1mm~3.0mmであり、さらに好ましくは0.15mm~2.0mmであり、特に好ましくは0.2mm~1.0mmである。
耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)の坪量は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な坪量を採り得る。耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)の坪量は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは60g/m~400g/mであり、より好ましくは65g/m~300g/mであり、さらに好ましくは70g/m~200g/mであり、特に好ましくは72g/m~150g/mであり、最も好ましくは75g/m~100g/mである。
耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)の発泡倍率FR1は、前述した通り、1倍以上10倍未満であり、好ましくは2倍~8倍であり、より好ましくは3倍~7倍であり、さらに好ましくは4倍~6倍であり、特に好ましくは5倍~6倍である。耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)の発泡倍率FR1を上記範囲内に調整することにより、本発明の効果がより発現される。
耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)の見掛け密度は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な見掛け密度を採り得る。本発明の効果をより発現し得る点で、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)の見掛け密度は、好ましくは0.05g/cm~0.30g/cmであり、より好ましくは0.07g/cm~0.28g/cmであり、さらに好ましくは0.09g/cm~0.25g/cmであり、特に好ましくは0.1g/cm~0.23g/cmである。耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A)の見掛け密度は、例えば、JIS K7222:1999「発泡プラスチック及びゴム-見掛け密度の測定」に記載されている方法により測定される。
耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)の連続気泡率は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な連続気泡率を採り得る。本発明の効果をより発現し得る点で、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)の連続気泡率は、好ましくは15%以上であり、より好ましくは15%~50%であり、さらに好ましくは18%~45%であり、特に好ましくは20%~40%である。
ポリスチレン系樹脂(I)は、1種のポリスチレン系樹脂であってもよいし、2種以上のポリスチレン系樹脂の混合物であってもよい。
耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)を得ることにおいては、本発明の効果をより発現し得る点で、ポリスチレン系樹脂(I)100質量部に対する発泡剤の含有量が、好ましくは0.5質量部~3.5質量部であり、より好ましくは1.0質量部~3.4質量部であり、さらに好ましくは1.5質量部~3.3質量部であり、特に好ましくは2.0質量部~3.2質量部である。ポリスチレン系樹脂(I)100質量部に対する発泡剤の含有量が上記範囲を外れて多すぎると、本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シートを熱成形して得られるポリスチレン系樹脂発泡容器を加熱した場合に、容器表面にブリスターや3次発泡が発生するおそれがある。ポリスチレン系樹脂(I)100質量部に対する発泡剤の含有量が上記範囲を外れて少なすぎると、本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シートを熱成形して得られるポリスチレン系樹脂発泡容器の発泡状態が悪くなり、靭性低下や割れの発生などのおそれがある。
ポリスチレン系樹脂(I)としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、i-プロピルスチレン、t-ブチルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン等のスチレン系モノマーの単独重合体;上記スチレン系モノマーの共重合体;上記スチレン系モノマーとカルボン酸エステル(例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレートなど)との共重合体;上記スチレン系モノマーと二官能性モノマー(例えば、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレートなど)との共重合体;ブタジエンやイソプレンなどのゴム成分ブロックとスチレンブロックとを有するブロック共重合体、上記ゴム成分ブロックをスチレンからなる分子鎖にグラフトさせたグラフト共重合体などのハイインパクトポリスチレン(耐衝撃性ポリスチレン、HIPS);などが挙げられる。ポリスチレン系樹脂(I)は、リサイクル原料のポリスチレン系樹脂であってもよい。スチレン系モノマーは、好ましくは、少なくともスチレンを含有する。スチレン系モノマーの全量に対するスチレンの含有割合は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは95質量%以上である。
ポリスチレン系樹脂(I)としては、他の樹脂と混合された市販品を採用してもよい。他の樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
ポリスチレン系樹脂(I)は、他の樹脂と併用して、ポリスチレン系樹脂(I)と発泡剤を含む樹脂組成物としてもよい。他の樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明の効果をより発現させ得る点で、ポリスチレン系樹脂(I)と発泡剤を含む樹脂組成物中のポリスチレン系樹脂(I)の含有割合は、好ましくは30質量%~100質量%であり、より好ましくは50質量%~100質量%であり、さらに好ましくは70質量%~100質量%であり、特に好ましくは90質量%~100質量%である。
上記のような他の樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ(2,6-ジメチルフェニレン-1,4-エーテル)、ポリ(2,6-ジエチルフェニレン-1,4-エーテル)、ポリ(2,6-ジクロルフェニレン-1,4-エーテル)等のポリフェニレンエーテル系樹脂、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体ゴム(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体ゴム(SIPS)、スチレン-ブタジエン-ブチレン-スチレン共重合体ゴム(SBBS)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体ゴム(SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体ゴム(SEPS)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体などが挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂としては、具体例には、例えば、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体、これら重合体の架橋体等のポリエチレン系樹脂;プロピレン単独重合体、プロピレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-プロピレンランダム共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、エチレン-プロピレン-ブテンランダム共重合体等のポリプロピレン系樹脂;などが挙げられる。これらのポリオレフィン系樹脂の中でも、好ましくは、エチレン-酢酸ビニル共重合体、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、およびこれらの混合物である。なお、低密度は、好ましくは0.91g/cm~0.94g/cmであり、より好ましくは0.91g/cm~0.93g/cmである。高密度は、好ましくは0.95g/cm~0.97g/cmであり、より好ましくは0.95g/cm~0.96g/cmである。中密度は、低密度と高密度との間の密度である。
ポリスチレン系樹脂(I)は、本発明の効果をより発現し得る点で、好ましくは、ビカット軟化温度が110℃以上の耐熱性ポリスチレン系樹脂(a1)を含む。したがって、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)は、本発明の効果をより発現し得る点で、好ましくは、ビカット軟化温度が110℃以上の耐熱性ポリスチレン系樹脂(a1)を含む。ビカット軟化温度は、代表的には、JIS K7206に規定されている。
ビカット軟化温度が110℃以上の耐熱性ポリスチレン系樹脂(a1)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
ビカット軟化温度が110℃以上の耐熱性ポリスチレン系樹脂(a1)としては、例えば、ポリスチレン系樹脂とポリフェニレンエーテルとの混合樹脂(例えば、サビック社製の商品名「ノリルEFN4230」など)、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-マレイミド共重合体、ポリパラメチルスチレン樹脂が挙げられる。
耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)中のビカット軟化温度が110℃以上の耐熱性ポリスチレン系樹脂(a1)の含有割合は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な含有割合を採り得る。本発明の効果をより発現し得る点で、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)中のビカット軟化温度が110℃以上の耐熱性ポリスチレン系樹脂(a1)の含有割合は、好ましくは20質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは22質量%~45質量%であり、さらに好ましくは25質量%~43質量%であり、特に好ましくは27質量%~40質量%である。
耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)の表層から厚み方向400μmの範囲の平均気泡数は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な平均気泡数を採り得る。本発明の効果をより発現し得る点で、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)の表層から厚み方向400μmの範囲の平均気泡数は、好ましくは1個~5個であり、より好ましくは1個~4個であり、特に好ましくは1個~3個である。耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)の表層から厚み方向400μmの範囲の平均気泡数が上記範囲を超えると、成型性が損なわれる。
耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)は、代表的には、ポリスチレン系樹脂(I)と発泡剤を含む樹脂組成物を押出発泡させて得られる。
発泡剤としては、発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な発泡剤を採用し得る。このような発泡剤としては、例えば、プロパン、i-ブタン、n-ブタン、i-ペンタン、n-ペンタン、N、CO、N/CO、水、水と-OH、-COOH、-CN、-NH、-OSOH、-NH、CO、NH、-CONH、-COOR、-CHSOH、-SOH、-COONHなどの基を持つ化合物との混合物、これらの混合物、から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。本発明の効果をより発現させ得る点で、発泡剤としては、好ましくは、i-ブタンおよびn-ブタンから選ばれる少なくとも1種である。
本発明においては、発泡剤がジメチルエーテルを極力含まないことが好ましい。発泡剤がジエチルエーテルを極力含まないことにより、引火性、爆発性、および有害性の高い可燃性高圧ガスであるジメチルエーテルを用いないでポリスチレン系樹脂発泡シートを安全に大量生産することが可能である。発泡剤中のジメチルエーテルの含有割合は、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下であり、特に好ましくは5質量%以下であり、最も好ましくは実質的に0質量%である。
ポリスチレン系樹脂(I)と発泡剤を含む樹脂組成物には、気泡調整剤、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤(顔料も含み)、消臭剤、発泡核剤、造核剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤が含まれていてもよい。添加剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
気泡調整剤としては、例えば、タルク、シリカ等の無機粉末;多価カルボン酸の酸性塩;多価カルボン酸と炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムとの反応混合物;などが挙げられる。
安定剤としては、例えば、カルシウム亜鉛系熱安定剤、スズ系熱安定剤、鉛系熱安定剤などが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、酸化セシウム系紫外線吸収剤、酸化チタン系紫外線吸収剤などが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、酸化セリウム、酸化セリウム/ジルコニア固溶体、水酸化セリウム、カーボン、カーボンナノチューブ、酸化チタン、フラーレンなどが挙げられる。
着色剤としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、チタンイエロー、酸化鉄、群青、コバルトブルー、焼成顔料、メタリック顔料、マイカ、パール顔料、亜鉛華、沈降性シリカ、カドミウム赤などが挙げられる。
消臭剤としては、例えば、シリカ、ゼオライト、リン酸ジルコニウム、ハイドロタルサイト焼成物などが挙げられる。
≪ポリスチレン系樹脂発泡層(A2)≫
ポリスチレン系樹脂発泡層(A2)は、代表的には、ポリスチレン系樹脂(II)を発泡させて形成したものである。ポリスチレン系樹脂発泡層(A2)は、代表的には、ポリスチレン系樹脂(II)と発泡剤を含む樹脂組成物を押出発泡させて得られる。より具体的には、ポリスチレン系樹脂発泡層(A2)は、代表的には、ポリスチレン系樹脂(II)と発泡剤と、必要に応じて加えられる気泡調整剤などの各種の添加剤とを、共に押出機内で加熱溶融、混練し、所定温度に冷却後、ダイからシート状に押し出すと共に発泡させ、直ちに冷却して形成される。なお、本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シートは、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)とポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の積層構造を含むポリスチレン系樹脂発泡シートであるので、該ポリスチレン系樹脂発泡層(A2)は、代表的には、該耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)とともに共押出しされることによって、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)とポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の積層構造として得られる。
ポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の厚みは、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な厚みを採り得る。耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の厚みは、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは0.05mm~4.0mmであり、より好ましくは0.1mm~3.0mmであり、さらに好ましくは0.3mm~2.0mmであり、特に好ましくは0.5mm~1.5mmである。
ポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の坪量は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な坪量を採り得る。ポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の坪量は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは10g/m~300g/mであり、より好ましくは20g/m~200g/mであり、さらに好ましくは30g/m~150g/mであり、特に好ましくは35g/m~100g/mであり、最も好ましくは40g/m~80g/mである。
ポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の発泡倍率FR2は、前述した通り、10倍以上20倍未満であり、好ましくは10倍~19倍であり、より好ましくは11倍~18倍であり、さらに好ましくは12倍~18倍であり、特に好ましくは14倍~18倍である。ポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の発泡倍率FR2を上記範囲内に調整することにより、本発明の効果がより発現される。
ポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の見掛け密度は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な見掛け密度を採り得る。本発明の効果をより発現し得る点で、ポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の見掛け密度は、好ましくは0.01g/cm~0.2g/cmであり、より好ましくは0.02g/cm~0.15g/cmであり、さらに好ましくは0.03g/cm~0.1g/cmであり、特に好ましくは0.04g/cm~0.08g/cmである。耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A)の見掛け密度は、例えば、JIS K7222:1999「発泡プラスチック及びゴム-見掛け密度の測定」に記載されている方法により測定される。
ポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の連続気泡率は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な連続気泡率を採り得る。本発明の効果をより発現し得る点で、ポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の連続気泡率は、好ましくは15%未満であり、より好ましくは3%~14%であり、さらに好ましくは4%~13%であり、特に好ましくは5%~12%である。
ポリスチレン系樹脂(II)は、1種のポリスチレン系樹脂であってもよいし、2種以上のポリスチレン系樹脂の混合物であってもよい。
ポリスチレン系樹脂発泡層(A2)を得ることにおいては、本発明の効果をより発現し得る点で、ポリスチレン系樹脂(II)100質量部に対する発泡剤の含有量が、好ましくは0.5質量部~10質量部であり、より好ましくは1.0質量部~8.0質量部であり、さらに好ましくは2.0質量部~7.0質量部であり、特に好ましくは3.0質量部~6.0質量部である。ポリスチレン系樹脂(II)100質量部に対する発泡剤の含有量が上記範囲を外れて多すぎると、本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シートを熱成形してポリスチレン系樹脂発泡容器を得る際の成形性や得られる発泡容器の外観が損なわれるおそれがある。ポリスチレン系樹脂(II)100質量部に対する発泡剤の含有量が上記範囲を外れて少なすぎると、本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シートを熱成形して得られるポリスチレン系樹脂発泡容器の発泡状態が悪くなり、靭性低下や割れの発生などのおそれがある。
ポリスチレン系樹脂(II)としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、i-プロピルスチレン、t-ブチルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン等のスチレン系モノマーの単独重合体;上記スチレン系モノマーの共重合体;上記スチレン系モノマーとカルボン酸エステル(例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレートなど)との共重合体;上記スチレン系モノマーと二官能性モノマー(例えば、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレートなど)との共重合体;ブタジエンやイソプレンなどのゴム成分ブロックとスチレンブロックとを有するブロック共重合体、上記ゴム成分ブロックをスチレンからなる分子鎖にグラフトさせたグラフト共重合体などのハイインパクトポリスチレン(耐衝撃性ポリスチレン、HIPS);などが挙げられる。ポリスチレン系樹脂(I)は、リサイクル原料のポリスチレン系樹脂であってもよい。スチレン系モノマーは、好ましくは、少なくともスチレンを含有する。スチレン系モノマーの全量に対するスチレンの含有割合は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは95質量%以上である。
ポリスチレン系樹脂(II)としては、他の樹脂と混合された市販品を採用してもよい。他の樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
ポリスチレン系樹脂(II)は、他の樹脂と併用して、ポリスチレン系樹脂(I)と発泡剤を含む樹脂組成物としてもよい。他の樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明の効果をより発現させ得る点で、ポリスチレン系樹脂(II)と発泡剤を含む樹脂組成物中のポリスチレン系樹脂(II)の含有割合は、好ましくは30質量%~100質量%であり、より好ましくは50質量%~100質量%であり、さらに好ましくは70質量%~100質量%であり、特に好ましくは90質量%~100質量%である。
上記のような他の樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ(2,6-ジメチルフェニレン-1,4-エーテル)、ポリ(2,6-ジエチルフェニレン-1,4-エーテル)、ポリ(2,6-ジクロルフェニレン-1,4-エーテル)等のポリフェニレンエーテル系樹脂、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体ゴム(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体ゴム(SIPS)、スチレン-ブタジエン-ブチレン-スチレン共重合体ゴム(SBBS)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体ゴム(SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体ゴム(SEPS)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体などが挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂としては、具体例には、例えば、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体、これら重合体の架橋体等のポリエチレン系樹脂;プロピレン単独重合体、プロピレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-プロピレンランダム共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、エチレン-プロピレン-ブテンランダム共重合体等のポリプロピレン系樹脂;などが挙げられる。これらのポリオレフィン系樹脂の中でも、好ましくは、エチレン-酢酸ビニル共重合体、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、およびこれらの混合物である。なお、低密度は、好ましくは0.91g/cm~0.94g/cmであり、より好ましくは0.91g/cm~0.93g/cmである。高密度は、好ましくは0.95g/cm~0.97g/cmであり、より好ましくは0.95g/cm~0.96g/cmである。中密度は、低密度と高密度との間の密度である。
ポリスチレン系樹脂(II)は、本発明の効果をより発現し得る点で、好ましくは、ビカット軟化温度が110℃以上の耐熱性ポリスチレン系樹脂(a2)を含む。したがって、ポリスチレン系樹脂発泡層(A2)は、本発明の効果をより発現し得る点で、好ましくは、ビカット軟化温度が110℃以上の耐熱性ポリスチレン系樹脂(a2)を含む。ビカット軟化温度は、代表的には、JIS K7206に規定されている。
ビカット軟化温度が110℃以上の耐熱性ポリスチレン系樹脂(a2)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
ビカット軟化温度が110℃以上の耐熱性ポリスチレン系樹脂(a2)としては、例えば、ポリスチレン系樹脂とポリフェニレンエーテルとの混合樹脂(例えば、サビック社製の商品名「ノリルEFN4230」など)、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-マレイミド共重合体、ポリパラメチルスチレン樹脂が挙げられる。
ポリスチレン系樹脂発泡層(A2)中のビカット軟化温度が110℃以上の耐熱性ポリスチレン系樹脂(a2)の含有割合は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な含有割合を採り得る。本発明の効果をより発現し得る点で、ポリスチレン系樹脂発泡層(A2)中のビカット軟化温度が110℃以上の耐熱性ポリスチレン系樹脂(a2)の含有割合は、好ましくは20質量%未満であり、より好ましくは0質量%~18質量%であり、さらに好ましくは0質量%~15質量%であり、特に好ましくは0質量%~13質量%である。
ポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の表層から厚み方向400μmの範囲の平均気泡数は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な平均気泡数を採り得る。本発明の効果をより発現し得る点で、ポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の表層から厚み方向400μmの範囲の平均気泡数は、好ましくは3個~10個であり、より好ましくは4個~9個であり、特に好ましくは5個~8個である。ポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の表層から厚み方向400μmの範囲の平均気泡数が上記範囲を超えると、成型性が損なわれる。
ポリスチレン系樹脂発泡層(A2)は、代表的には、ポリスチレン系樹脂(II)と発泡剤を含む樹脂組成物を押出発泡させて得られる。
発泡剤としては、発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な発泡剤を採用し得る。このような発泡剤としては、例えば、プロパン、i-ブタン、n-ブタン、i-ペンタン、n-ペンタン、N、CO、N/CO、水、水と-OH、-COOH、-CN、-NH、-OSOH、-NH、CO、NH、-CONH、-COOR、-CHSOH、-SOH、-COONHなどの基を持つ化合物との混合物、これらの混合物、から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。本発明の効果をより発現させ得る点で、発泡剤としては、好ましくは、i-ブタンおよびn-ブタンから選ばれる少なくとも1種である。
本発明においては、発泡剤がジメチルエーテルを極力含まないことが好ましい。発泡剤がジエチルエーテルを極力含まないことにより、引火性、爆発性、および有害性の高い可燃性高圧ガスであるジメチルエーテルを用いないでポリスチレン系樹脂発泡シートを安全に大量生産することが可能である。発泡剤中のジメチルエーテルの含有割合は、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下であり、特に好ましくは5質量%以下であり、最も好ましくは実質的に0質量%である。
ポリスチレン系樹脂(II)と発泡剤を含む樹脂組成物には、気泡調整剤、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤(顔料も含み)、消臭剤、発泡核剤、造核剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤が含まれていてもよい。添加剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
気泡調整剤としては、例えば、タルク、シリカ等の無機粉末;多価カルボン酸の酸性塩;多価カルボン酸と炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムとの反応混合物;などが挙げられる。
安定剤としては、例えば、カルシウム亜鉛系熱安定剤、スズ系熱安定剤、鉛系熱安定剤などが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、酸化セシウム系紫外線吸収剤、酸化チタン系紫外線吸収剤などが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、酸化セリウム、酸化セリウム/ジルコニア固溶体、水酸化セリウム、カーボン、カーボンナノチューブ、酸化チタン、フラーレンなどが挙げられる。
着色剤としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、チタンイエロー、酸化鉄、群青、コバルトブルー、焼成顔料、メタリック顔料、マイカ、パール顔料、亜鉛華、沈降性シリカ、カドミウム赤などが挙げられる。
消臭剤としては、例えば、シリカ、ゼオライト、リン酸ジルコニウム、ハイドロタルサイト焼成物などが挙げられる。
≪他のポリスチレン系樹脂発泡層≫
本発明のポリスチレン系樹脂発泡シートは、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)とポリスチレン系樹脂発泡層(A2)以外に、他のポリスチレン系樹脂発泡層を含んでいてもよい。
他のポリスチレン系樹脂発泡層は、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)とポリスチレン系樹脂発泡層(A2)とは別の発泡層であれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なポリスチレン系樹脂発泡層を採用し得る。
≪≪ポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法≫≫
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シートは、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法によって製造し得る。
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シートは、本発明の効果をより発現し得る点で、代表的には、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)を構成する原料を、発泡剤、必要に応じて加えられる気泡調整剤などの各種の添加剤と共に第一の押出機内で加熱溶融、混練し、ポリスチレン系樹脂発泡層(A2)を構成する原料を、発泡剤、必要に応じて加えられる気泡調整剤などの各種の添加剤と共に第二の押出機内で加熱溶融、混練し、合流金型へ供給するなどして積層し、発泡させ、必要に応じて所定温度に冷却後、ダイから共押出すると共に直ちに冷却する工程を含む方法によって製造し得る。製造後のポリスチレン系樹脂発泡シートは、好ましくは、しばらく放置し、残存する発泡ガスを空気置換する。
本発明のポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法としては、より具体的な好ましい形態として、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)を構成する原料を、発泡剤、必要に応じて加えられる気泡調整剤などの各種の添加剤と共に第一の押出機に供給し、ポリスチレン系樹脂発泡層(A2)を構成する原料を、発泡剤、必要に応じて加えられる気泡調整剤などの各種の添加剤と共に第二の押出機に供給し、第一の押出機から押出される溶融樹脂と第二の押出機から押出される溶融樹脂とを合流ダイで合流させ、合流ダイで合流された溶融樹脂を外周側と内周側とに分けて筒状に押出発泡させ、サーキュラーダイなどを用いて2層構造の筒状発泡体を形成させ、サーキュラーダイの円環状の吐出口から押出発泡させた円筒状の発泡体をサーキュラーダイの下流側(押出方向前方)に配した直径が吐出口よりも径大な冷却用マンドレルに供し、発泡体の内面を冷却用マンドレルの外周面に摺接させつつ発泡体に引取りをかけ、冷却用マンドレルで発泡体を拡径するとともに発泡体を内側から冷却し、冷却用マンドレルの下流側に設けたカッターで発泡体を押出方向に向けて連続的に切断して平坦なシートとなるように展開し、長尺帯状となるようにして、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)とポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の積層構造を得る工程を含む方法によって製造し得る。製造後のポリスチレン系樹脂発泡シートは、好ましくは、しばらく放置し、残存する発泡ガスを空気置換する。
≪≪ポリスチレン系樹脂積層発泡シート≫≫
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートは、本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シートに非発泡樹脂フィルムがラミネートされてなる。
非発泡樹脂フィルムとしては、例えば、非発泡耐衝撃性ポリスチレン系樹脂フィルム、熱可塑性樹脂を含む非発泡フィルムなどが挙げられる。
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートは、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法で製造し得る。このような製造方法としては、代表的には、本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シートに非発泡樹脂フィルムをラミネートすることにより製造し得る。本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートは、具体的には、例えば、非発泡樹脂フィルムを構成する原料を、必要に応じて加えられる各種の添加剤と共に押出機に供給し、加熱溶融、混練し、所定温度に冷却後、ダイからフィルム状に押し出し、冷却しきらないうちに、本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シートの表面に積層し、該積層の際に熱処理を行う。これにより、本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シートに非発泡樹脂フィルムがラミネートされる。
非発泡樹脂フィルムを構成する原料に必要に応じて加えられる各種の添加剤としては、例えば、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤(顔料も含み)、消臭剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤などが挙げられる。添加剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。これらの説明については、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)やポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の製造において添加し得る添加剤の説明を援用し得る。
≪非発泡耐衝撃性ポリスチレン系樹脂フィルム≫
非発泡耐衝撃性ポリスチレン系樹脂フィルムの厚みは、目的に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な厚みを採り得る。耐衝撃性ポリスチレン系樹脂フィルムの厚みは、各種目的を鑑みると、好ましくは80μm~180μmであり、より好ましくは80μm~170μmであり、さらに好ましくは80μm~150μmであり、特に好ましくは100μm~145μmである。非発泡耐衝撃性ポリスチレン系樹脂フィルムの厚みは、好ましくは、本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートの厚みよりも小さい。
非発泡耐衝撃性ポリスチレン系樹脂フィルムは、代表的には、ポリスチレン系樹脂(III)とゴム変性ポリスチレン系樹脂を含む樹脂組成物から形成される。
ポリスチレン系樹脂(III)については、本発明の効果を損なわない範囲で、前述の耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)を形成するポリスチレン系樹脂(I)や前述のポリスチレン系樹脂発泡層(A2)を形成するポリスチレン系樹脂(II)と同様のポリスチレン系樹脂を採用することができる。なお、ポリスチレン系樹脂(III)は、ポリスチレン系樹脂(I)やポリスチレン系樹脂(II)と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
ポリスチレン系樹脂(III)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
ゴム変性ポリスチレン系樹脂としては、分子自身を変性したものであってもよいし、バルクの状態で変性させたものであってもよい。このようなゴム変性ポリスチレン系樹脂としては、例えば、スチレン系モノマーの1種以上とゴム成分モノマーの1種以上との共重合体や、ポリスチレン系樹脂の1種以上とゴムの1種以上とのブレンド品が挙げられる。
ゴム変性ポリスチレン系樹脂としては、具体的には、例えば、いわゆる耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS)、耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS:ハイインパクトポリスチレン)と汎用ポリスチレン樹脂(GPPS)などと呼ばれるスチレンホモポリマーとの混合樹脂が挙げられる。
ゴム変性ポリスチレン系樹脂として耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS)と汎用ポリスチレン樹脂(GPPS)との混合樹脂を採用する場合には、耐衝撃性付与の観点等から、該混合樹脂中に耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS)を40質量%以上含有させることが好ましい。
耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS)としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS)を採用し得る。このような耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS)としては、例えば、スチレン-ブタジエン共重合体がサラミ構造状に分散し、その粒径が0.3μm~10μmのものを含むものが挙げられる。さらに、ポリスチレン系樹脂層を形成するポリスチレン系樹脂(II)としては、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、プロピレンホモポリマー、エチレン・プロピレンランダムポリマー、エチレン・プロピレンブロックポリマー、エチレン・プロピレン-ブテン-ターポリマー、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-不飽和カルボン酸エステル共重合体(例えば、エチレン-メチルメタクリレート共重合体)、エチレン-不飽和カルボン酸金属塩共重合体(例えば、エチレン-アクリル酸マグネシウム(又は亜鉛)共重合体)、プロピレン-塩化ビニルコポリマー、プロピレン-ブテンコポリマー、プロピレン-無水マレイン酸コポリマー、プロピレン-オレフィン共重合体(プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-ブテン-1共重合体)ポリエチレン又はポリプロピレンの不飽和カルボン酸(例えば、無水マレイン酸)変性物、エチレン-プロピレンゴム、アタクチックポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、これらの混合物などが挙げられる。
≪熱可塑性樹脂を含む非発泡フィルム≫
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートは、本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートから見て非発泡耐衝撃性ポリスチレン系樹脂フィルムと反対側に熱可塑性樹脂を含む非発泡フィルムを備えていてもよい。また、本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートは、非発泡耐衝撃性ポリスチレン系樹脂フィルムから見て本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートと反対側に熱可塑性樹脂を含む非発泡フィルムを備えていてもよい。
熱可塑性樹脂を含む非発泡フィルムを積層することで、本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートの表面がより美麗になり、また剛性がより高くなり、また耐熱、耐油性がより向上する。
熱可塑性樹脂を含む非発泡フィルムを積層する方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法を採用し得る。このような方法としては、例えば、熱可塑性樹脂を含む非発泡フィルムを共押出して積層する方法や、加熱ロール、バインダー、接着剤等を用いて熱可塑性樹脂を含む非発泡フィルムを積層する方法などが挙げられる。
熱可塑性樹脂を含む非発泡フィルムを形成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン系樹脂、耐衝撃性ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂等が挙げられる。これらは1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
熱可塑性樹脂を含む非発泡フィルムは、1層であっても2層以上であってもよい。2層以上の場合、例えば、各層をドライラミネート等で積層したものであってもよい。
熱可塑性樹脂を含む非発泡フィルムは、着色料(顔料、染料など)が添加されていてもよい。着色料(顔料、染料など)が添加されることで、様々な色調に着色しでき、表面に印刷を施すなどを行うことで様々な模様やデザインを表示できる。
熱可塑性樹脂を含む非発泡フィルムの厚みは、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な厚みを採用し得る。このような厚みとしては、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは10μm~150μmであり、より好ましくは10μm~100μmである。熱可塑性樹脂を含む非発泡フィルムの厚みが上記範囲を外れて薄すぎると、加熱成形時にフィルムが伸びにくくなるおそれがあり、欠損が生じやすくなるおそれがある。熱可塑性樹脂を含む非発泡フィルムの厚みが上記範囲を外れて厚すぎると、コストアップとなるおそれがあり、フィルム積層時に低温で積層できずに光沢性が失われるおそれがある。
≪≪ポリスチレン系樹脂発泡容器≫≫
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡容器は、本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シートまたは本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートが熱成形されたものである。
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡容器を製造するには、ロール状に巻き取られた本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シートまたは本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートを成形機の加熱ゾーンで一定温度に加熱した後、成形ゾーンで所望の容器形状に成形して製造される。この容器形状としては、例えば、丼形、コップ形、箱形、トレー形などの種々の形状とすることができる。
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡容器は、代表的には、図1に示すように、本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートが、ポリスチレン系樹脂発泡シートが内側、非発泡ポリスチレン系樹脂フィルムが内側となるように容器形状に成形されたものである。図1において、ポリスチレン系樹脂発泡容器1000の容器内側が200、容器外側が300である。
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡容器においては、発泡容器中の発泡剤含有量が、容器内側において、好ましくは3.0質量%未満であり、より好ましくは0.5質量%以上2.5質量%未満であり、さらに好ましくは0.8質量%~2.4質量%であり、さらに好ましくは1.0質量%~2.2質量%であり、特に好ましくは1.1質量%~2.0質量%であり、最も好ましくは1.2質量%~1.8質量%である。発泡容器中の発泡剤含有量が、容器内側において上記範囲内にあれば、本発明の効果がより発現し得る。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各特性の測定方法および評価方法は以下の通りである。
<厚み>
幅方向(押出流れ方向に直交する方向)における任意の21箇所の位置を測定点とした。この測定点を厚み測定器(株式会社テクロック社製、型式:SM-125)で、0.01mm単位で測定した。この測定値の相加平均を厚みとした。また、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)及びポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の厚みは、各層の境界線をスライサー(フォーチュナ社(ドイツ)製スプリッティングマシン、型式AB-320-D)にてスライスし、上記の測定方法で測定した。
<坪量>
幅方向(押出流れ方向に直交する方向)の両端20mmを除き、幅方向に等間隔に、10cm×10cmの切片10個を切り出し、各切片の質量(g)を0.001g単位まで測定した。各切片の質量(g)の平均値を1m当たりの質量に換算した値を、坪量(g/m)とした。また、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)及びポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の坪量は、各層の境界線をスライサー(フォーチュナ社(ドイツ)製スプリッティングマシン、型式AB-320-D)にてスライスし、上記の測定方法で測定した。
<見掛け密度>
気泡構造を変えないように、50cmのシートを切り出して試験片とし、この試験片の質量と体積を測定し、下記式により全体の見掛け密度を算出した。ただし、試験片は、製造後72時間以上経過(最大90日間)したシートから切り出され、23℃±2℃、50RH%±5RH%の雰囲気条件に24時間放置されたものとした。
見掛け密度(g/cm)=試験片の質量(g)÷試験片の体積(cm
<表層密度>
スライサー(フォーチュナ社(ドイツ)製スプリッティングマシン、型式AB-320-D)にて、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)及びポリスチレン系樹脂発泡層(A2)のそれぞれの表面から200μmの厚みにスライスし、これを幅25mm、長さ150mmにカットして、表層を得た。得られた表層の質量および体積を測定し、下記式により表層密度を算出した。ただし、表層は、製造後72時間以上経過(最大90日間)した発泡シートから切り出され、23℃±2℃、50RH%±5RH%の雰囲気条件に24時間放置されたものとした。
表層密度(g/cm)=表層の質量(g)÷表層の体積(cm
<連続気泡率>
発泡層の連続気泡率は、JIS K7138:2006「硬質発泡プラスチック-連続気泡率及び独立気泡率の求め方」に記載の方法により測定した。
具体的には、第1発泡層、第2発泡層それぞれの連続気泡率を、スライサー(フォーチュナ社(ドイツ)製スプリッティングマシン、型式AB-320-D)にて、各層のシートを表面から200μmの厚みにスライスし、これを幅25mm、長さ150mmにカットして、これをJIS K7138:2006「硬質発泡プラスチック-連続気泡率及び独立気泡率の求め方」に記載の方法により測定した。
<ガラス転移温度(Tg)>
(前処理)
ガラス転移温度の測定に先立ち、発泡層を5~6g天秤で量り取り、2枚のポリテトラフロロエチレンシートの間に挟みこんで下記の要領でプレスして脱泡する前処理を実施した。
プレス装置:東洋精機社製、小型プレス装置「ラボプレス10T」
上ヒータ温度:180℃
下ヒータ温度:180℃
プレス工程:0.54MPaで3分間プレスし、「0.54MPaで2秒間プレス」および「圧力開放2秒間」を1サイクルとして5サイクルのプレスを実施し、その後、15.5MPaで2分間プレスした。
(ガラス転移温度:Tg)
上記のようにして脱泡を行った試料に対するガラス転移温度(中間点ガラス転移温度)(Tg)の測定は、JIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」に記載されている方法で測定した。
ただし、サンプリング方法と温度条件に関しては以下のように行った。
示差走査熱量計装置としてDSC6220型(エスアイアイナノテクノロジー社製)を用い、アルミニウム製測定容器の底にすきまのないよう試料を約6mg充てんして、窒素ガス流量20mL/minのもと、20℃/minの昇温速度で30℃から220℃まで昇温し、10分間保持後速やかに取出し、25±10℃の環境下にて放冷させた後、20℃/minの昇温速度で30℃から220℃まで昇温した時に得られたDSC曲線より、中間点ガラス転移温度を算出した(9.3「ガラス転移温度の求め方」)。基準物質としてはアルミナを用いた。
<平均気泡数>
シートの原反の幅方向中央部からMD方向(押出流れ方向)およびTD方向(シートの表面におけるMD方向と直交する幅方向)に沿ってシートの原反の表面に垂直に切リ出した。
断面を走査型電子顕微鏡(SU1510、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、50倍に拡大して撮影した。このとき、顕微鏡画像は、横向きのA4用紙1枚に縦横2画像(合計4画像)並んだ状態で印刷した際に所定の倍率となるように撮影した。
具体的には、画像上に、MD方向、TD方向の各方向に平行する60mmの任意の直線および各方向に直交する方向(VD方向)に60mmの直線を描き、MD方向に沿って切断した断面(MD断面)およびTD方向に沿って切断した断面(TD断面)のそれぞれに対し、2視野ずつ合計4視野の顕微鏡画像を撮影し、A4用紙に印刷した。MD断面の1つの画像とTD断面の1つの画像とにVD方向に平行な3本の直線(60mm)を描いた。なお、任意の直線はできる限り気泡が接点でのみ接しないように書いた。VD方向の各方向の6本の任意の直線について表層部から400μmの範囲内にある気泡数を数えそれを平均し平均気泡数とした。
<パスタ容器の成形>
巾方向4個×流れ方向5個で、口径φ200、高さ45mmの内嵌合蓋を嵌め込み可能な形状のパスタ容器成形型が配置された、標準的なパスタ容器の金型を用いて、2ゾーン加熱、4.5秒/1ショットの条件(合計加熱時間9秒)で、パスタ容器を成形した。加熱ヒータは上下ともに280℃とした。
<成型性(成型時不具合、割れやなきの外観悪化)の評価>
◎:全く不具合が発生しなかった。
〇:不具合の発生があるが外観も許容範囲内であった。
×:不具合の発生があり外観も悪かった。
<ブリスター評価、3次発泡評価>
パスタ容器に「スパゲッティナポリタン(内容量:約350g)」を入れて、専用蓋で容器を蓋い、1600W、90秒の条件で電子レンジにより加熱した。加熱後の容器底部について、下記の基準で評価を行った。
(ブリスター評価)
◎:全くブリスターが発生しない
〇:ブリスターの発生はほぼないとみなせ外観も許容範囲内である。
×:ブリスターの発生があり、外観も悪い。
(3次発泡評価)
◎:全く3次発泡が発生しない。
〇:3次発泡の発生はほぼないとみなせ外観も許容範囲内である。
×:3次発泡の発生があり、外観も悪い。
<容器中の発泡剤含有量>
容器の底部から切り出した試験片10~20mgを20ml専用ガラスバイアルに精秤密封し、パーキンスエルマー社製ヘッドスペースサンプラー「TurboMatrix HS40」にセットし、160℃で20分間加熱後、パーキンスエルマー社製ガスクロマトグラフ「Clarus500GC」(検出器:FID)を用いてMHE法にて定量した(単位:質量%)。非発泡フィルムが含まれる場合は、非発泡フィルムの質量の影響を避けるため、発泡シートに対する濃度に換算した。
なお、容器内側の発泡剤含有量は、容器内面から非発泡フィルムの厚みを除いた1000μmを切り出し部として測定し、容器外側の発泡剤含有量は、容器外面から非発泡フィルムの厚みを除いた1000μmを切り出し部として測定した。
ヘッドスペースサンプラーにおける測定条件は、ニードル温度160℃、試料導入時間0.8分、トランスファーライン温度180℃とした。ガスクロマトグラフにおける測定条件は、カラムをJ&W社製のDB-1(0.25mmφ×60m、膜厚1μm、カラム温度:50℃で6分間、40℃/分で270℃まで昇温、270℃で1分間)、キャリアガスをヘリウム(導入条件:18psiで10分間、0.5psi/分で24psiまで増量)、注入口温度を200℃、検出器温度を250℃、レンジ=20、Att=1とした。
<第1発泡層(耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1))、第2発泡層(ポリスチレン系樹脂発泡層(A2))のベースポリマーの材料の一覧>
商品名「EFN4230」:サビック社製、ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE)とポリスチレン系樹脂(PS)との混合物、正式商品名「ノリルEFN4230」、PPE/PS=70/30(質量比)、ゴム分:0質量%
商品名「XC-515」:DIC社製、ポリスチレン樹脂(PS)、ゴム分:0質量%
商品名「T080」:東洋スチレン社製、スチレン-メタクリル酸共重合体樹脂、スチレン単量体含有量=92質量%、メタクリル酸単量体含有量=8質量%
商品名「タフプレン125」:旭化成ケミカルズ社製、スチレン-ブタジエンブロック共重合体樹脂(SBS)
商品名「HRM12」:東洋スチレン社製、汎用ポリスチレン系樹脂(GPPS)
商品名「E641N」:東洋スチレン社製、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)
[実施例1~4、比較例1~4]
第1発泡層の形成材料として、ベースポリマーとして、商品名「EFN4230」を30質量部、商品名「XC-515」を70質量部の質量割合で混合した混合樹脂を用意するとともに、そのベースポリマーとは別に、タルク(気泡調整剤)練り込みマスターバッチ(商品名「DSM1401A」、東洋スチレン社製)0.4質量部を準備し、ブレンドしてバッチ式連続混合装置に投入し、十分に混合した後に、スクリュー径90とスクリュー径115mmとのタンデム押出機の内の上流側押出機(スクリュー径90mm)のホッパーに供給した。
上流側の押出機では、シリンダー温度の最高設定温度を315℃とし、発泡剤として混合ブタン(イソブタン:ノルマルブタン=70:30(質量比))約2.3質量部(対混合樹脂100質量部)を途中で加え、混合樹脂などとともに溶融混練し、下流側の押出機に供給するようにした。
下流側の押出機では、上流側の押出機から供給された溶融混練物を表1に記載の連続気泡率と平均気泡数になるように樹脂温度と気泡調整剤の量を調整し、120kg/hの割合で合流金型へと供給させるようにした。
その一方で、別の、スクリュー径90mとスクリュー径115mmとのタンデム押出機において、第2発泡層の形成材料を溶融混練し、上記の合流金型へと供給させた。
第2発泡層の形成材料として、ベースポリマーとして、商品名「EFN4230」を10質量部、商品名「XC-515」を90質量部の質量割合で混合した混合樹脂を用意するとともに、そのベースポリマーとは別に、タルク(気泡調整剤)練り込みマスターバッチ(商品名「DSM1401A」、東洋スチレン社製)0.3質量部を準備し、ブレンドしてバッチ式連続混合装置に投入し、十分に混合した後に、スクリュー径90mmとスクリュー径115mmとのタンデム押出機の内の上流側押出機(スクリュー径90mm)のホッパーに供給した。
上流側の押出機では、シリンダー温度の最高設定温度を300℃とし、発泡剤として混合ブタン(イソブタン:ノルマルブタン=70:30(質量比))約4.2質量部(対混合樹脂100質量部)を途中で加え、混合樹脂などとともに溶融混練し、下流側の押出機に供給するようにした。
下流側の押出機では、上流側の押出機から供給された溶融混練物を表1に記載の連続気泡率と平均気泡数になるように樹脂温度と気泡調整剤の量を調整し、120kg/hの割合で合流金型へと供給させるようにした。
合流金型に供給された上記2種類の溶融混練物を当該合流金型内で合流、積層した後に発泡後の混合物を直径160mmの環状ダイに供給し、ダイのスリットを通して円筒状の発泡体を形成した。その直後に、円筒状の発泡体にエアー(30℃)をかけて調整して冷却するとともに、冷却装置(マンドレル)の外面に沿って引取り、さらに押出方向に沿って2枚に切り開き、幅1050mmの、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡シート(1)の原反を得た。
発泡ガスの置換のため、得られた耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡シート(1)の原反は、製造後14日間保管した。
この耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡シート(1)の原反の第2発泡層に、CPSフィルム(厚み20μm)をラミネートし、その後、積層する耐衝撃性ポリスチレン系樹脂フィルムとして、ハイインパクトポリスチレン樹脂(商品名「E-641」、東洋スチレン社製)100質量部を、最高温度240℃に設定された直径120mm押出機で溶融し、Tダイよりフィルム状に押出し、冷却しきらないうちに、上記耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡シート(1)の原反の第1発泡層側に厚み100μmで積層し、直後に、CPPフィルム(厚み25μm)とCPSフィルム(厚み20μm)がドライラミネートによって積層されたフィルム「CPP/PS45μm無地」をラミネートし、ポリスチレン系樹脂積層発泡シート(1)を作製した。
このポリスチレン系樹脂積層発泡シート(1)を使用してパスタ容器を成型し、ポリスチレン系樹脂発泡容器(1)を得た。
結果を表1に示した。
[実施例2]
発泡剤含有割合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に行い、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡シート(2)の原反、ポリスチレン系樹脂積層発泡シート(2)、ポリスチレン系樹脂発泡容器(2)を得た。
結果を表1に示した。
[実施例3]
第1発泡層の形成材料としてのDSM1401Aの使用量を表1に示すように変更し、発泡剤含有割合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に行い、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡シート(3)の原反、ポリスチレン系樹脂積層発泡シート(3)、ポリスチレン系樹脂発泡容器(3)を得た。
結果を表1に示した。
[実施例4]
第1発泡層の形成材料を表1に示すように変更し、発泡剤含有割合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に行い、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡シート(4)の原反、ポリスチレン系樹脂積層発泡シート(4)、ポリスチレン系樹脂発泡容器(4)を得た。
結果を表1に示した。
[実施例5]
第1発泡層のベースポリマーとしてスチレン-メタクリル酸共重合体樹脂(スチレン単量体含有量=92質量%、メタクリル酸単量体含有量=8質量%)(商品名「T080」、東洋スチレン社製)と、スチレン-ブタジエンブロック共重合体樹脂(SBS:スチレンブロック共重合体)(商品名「タフプレン125」、旭化成ケミカルズ社製)とを、92:8(T080:タフプレン125)の質量割合で混合した混合樹脂を用意するとともに、そのベースポリマーとは別に、タルク(気泡調整剤)練り込みマスターバッチ(商品名「DSM1401M」)を用意した。
表1に記載した平均気泡数となるようにマスターバッチの量を設定し、ブレンドしてバッチ式連続混合装置に投入し、十分に混合した後に、スクリュー径90mmとスクリュー径115mmとのタンデム押出機の内の上流側押出機(スクリュー径90mm)のホッパーに供給した。
上流側の押出機では、シリンダー温度の最高設定温度を280℃とし、発泡剤として混合ブタン(イソブタン:ノルマルブタン=70:30(質量比))約2.5質量部(対混合樹脂100質量部)を途中で加え、混合樹脂などとともに溶融混練し、下流側の押出機に供給するようにした。
下流側の押出機では、上流側の押出機から供給された溶融混練物を表1に記載の連続気泡率と平均気泡数になる樹脂温度と気泡調整剤の量を調整し、120kg/hの割合で合流金型へと供給させるようにした。
その一方で、別の、スクリュー径90mmとスクリュー径115mmとのタンデム押出機において、第2発泡層の形成材料を溶融混練し、上記の合流金型へと供給させた。
第2発泡層の形成材料として、ベースポリマーとして、GPPS(商品名「HRM12」、東洋スチレン社製)を用意するとともに、そのベースポリマーとは別に、タルク(気泡調整剤)練り込みマスターバッチ(商品名「DSM1401M」)を用意した。
表1に記載した平均気泡数になるようにマスターバッチの量を設定し、ブレンドしてバッチ式連続混合装置に投入し、十分に混合した後に、スクリュー径90mmとスクリュー径115mmとのタンデム押出機の内の上流側押出機(スクリュー径90mm)のホッパーに供給した。
上流側の押出機では、シリンダー温度の最高設定温度を260℃とし、発泡剤として混合ブタン(イソブタン:ノルマルブタン=70:30(質量比))約4.5質量部(対GPPS100質量部)を途中で加え、上記GPPSなどとともに溶融混練し、下流側の押出機に供給するようにした。
下流側の押出機では、上流側の押出機から供給された溶融混練物を表1に記載の連続気泡率と平均気泡数になる樹脂温度と気泡調整剤の量を調整し、120kg/hの割合で合流金型へと供給させるようにした。
合流金型に供給された上記2種類の溶融混練物を当該合流金型内で合流、積層した後に発泡後の混合物を直径175mm、スリットクリアランス0.5mmの環状ダイに供給し、ダイのスリットを通して円筒状の発泡体を形成した。その直後に、円筒状の発泡体にエアー(30℃)をかけて調整して冷却するとともに、直径675mmの冷却装置(マンドレル)の外面に沿って引取り、さらに押出方向に沿って2枚に切り開き、幅1050mm、表1に記載の耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡シート(5)の原反を得た。
発泡ガスの置換のため、得られた耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡シート(5)の原反は、製造後14日間保管した。
この耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡シート(5)の原反の第2発泡層に、CPSフィルム(厚み20μm)をラミネートし、その後、積層する耐衝撃性ポリスチレン系樹脂フィルムとして、ハイインパクトポリスチレン樹脂(商品名「E-641」、東洋スチレン社製)100重量部を、最高温度240℃に設定された直径120mm押出機で溶融し、Tダイよりフィルム状に押出し、冷却しきらないうちに、上記耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡シート(5)の原反の第1発泡層側に厚み100μmで積層し、直後に、CPPフィルム(厚み25μm)とCPSフィルム(厚み20μm)がドライラミネートによって積層されたフィルム「CPP/PS45μm無地」をラミネートし、ポリスチレン系樹脂積層発泡シート(5)を作製した。
このポリスチレン系樹脂発泡積層シート(5)を使用してパスタ容器を成型し、ポリスチレン系樹脂発泡容器(5)を得た。
結果を表1に示した。
[比較例1]
発泡剤含有割合を表1に示すように変更し、押し出し条件として、表1に記載の連続気泡率と平均気泡数になるように樹脂温度と気泡調整剤の量を調整した以外は、実施例1と同様に行い、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡シート(C1)の原反、ポリスチレン系樹脂積層発泡シート(C1)、ポリスチレン系樹脂発泡容器(C1)を得た。
結果を表1に示した。
[比較例2]
第1発泡層の形成材料としてのDSM1401Aの使用量を表1に示すように変更し、発泡剤含有割合を表1に示すように変更し、押し出し条件として、表1に記載の連続気泡率と平均気泡数になるように樹脂温度と気泡調整剤の量を調整した以外は、実施例1と同様に行い、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡シート(C2)の原反、ポリスチレン系樹脂積層発泡シート(C2)、ポリスチレン系樹脂発泡容器(C2)を得た。
結果を表1に示した。
[比較例3]
発泡剤含有割合を表1に示すように変更し、押し出し条件として、表1に記載の連続気泡率と平均気泡数になるように樹脂温度と気泡調整剤の量を調整した以外は、実施例1と同様に行い、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡シート(C3)の原反、ポリスチレン系樹脂積層発泡シート(C3)、ポリスチレン系樹脂発泡容器(C3)を得た。
結果を表1に示した。
[比較例4]
第1発泡層の形成材料を表1に示すように変更し、発泡剤含有割合を表1に示すように変更し、押し出し条件として、表1に記載の連続気泡率と平均気泡数になるように樹脂温度と気泡調整剤の量を調整した以外は、実施例1と同様に行い、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡シート(C4)の原反、ポリスチレン系樹脂積層発泡シート(C4)、ポリスチレン系樹脂発泡容器(C4)を得た。
結果を表1に示した。
[比較例5]
第1発泡層の形成材料を表1に示すように変更し、第2発泡層を設けず、すなわち、第1発泡層のみを耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層とし、発泡剤の含有割合を2.3質量部(対ポリスチレン系樹脂100質量部)とし、押し出し条件として、表1に記載の連続気泡率と平均気泡数になるように樹脂温度と気泡調整剤の量を調整した以外は、実施例1と同様に行い、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡シート(C5)の原反、ポリスチレン系樹脂積層発泡シート(C5)、ポリスチレン系樹脂発泡容器(C5)を得た。
結果を表1に示した。
[比較例6]
発泡剤含有割合を表1に示すように変更し、押し出し条件として、表1に記載の連続気泡率と平均気泡数になるように樹脂温度と気泡調整剤の量を調整した以外は、比較例5と同様に行い、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡シート(C6)の原反、ポリスチレン系樹脂積層発泡シート(C6)、ポリスチレン系樹脂発泡容器(C6)を得た。
結果を表1に示した。
Figure 2023050545000002
本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂発泡シートまたは本発明の実施形態によるポリスチレン系樹脂積層発泡シートを熱成形して得られる容器は、トレー、弁当箱、丼、カップ等の各種容器として、コンビニエンスストア等で広く利用でき、例えば、レンジアップ容器に好適に利用できる。
1000 発泡容器
200 容器内側
300 容器外側

Claims (6)

  1. 耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)とポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の積層構造を含むポリスチレン系樹脂発泡シートであって、
    該耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)の発泡倍率FR1が1倍以上10倍未満であり、
    該ポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の発泡倍率FR2が10倍以上20倍未満であり、
    該発泡倍率FR2と該発泡倍率FR1との比(FR2/FR1)が1.5倍以上である、
    ポリスチレン系樹脂発泡シート。
  2. 前記耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)の連続気泡率が15%以上である、請求項1に記載のポリスチレン系樹脂発泡シート。
  3. 前記ポリスチレン系樹脂発泡層(A2)の連続気泡率が15%未満である、請求項1または2に記載のポリスチレン系樹脂発泡シート。
  4. 前記耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡層(A1)の表層から厚み400μmの範囲の平均気泡数が1個~5個である、請求項1から3までのいずれかに記載のポリスチレン系樹脂発泡シート。
  5. 請求項1から4までのいずれかに記載のポリスチレン系樹脂発泡シートに非発泡樹脂フィルムがラミネートされてなる、ポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
  6. 請求項1から4までのいずれかに記載のポリスチレン系樹脂発泡シートまたは請求項4に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シートが熱成形された、ポリスチレン系樹脂発泡容器。
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