JP3236785B2 - 積層セラミック基板の製造方法 - Google Patents

積層セラミック基板の製造方法

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JP3236785B2
JP3236785B2 JP25667296A JP25667296A JP3236785B2 JP 3236785 B2 JP3236785 B2 JP 3236785B2 JP 25667296 A JP25667296 A JP 25667296A JP 25667296 A JP25667296 A JP 25667296A JP 3236785 B2 JP3236785 B2 JP 3236785B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子部品収納用キ
ャビティを有する積層セラミック基板の製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、積層回路基板としては、積層セラ
ミック基板とその表面に搭載する電子部品より構成され
ており、この積層セラミック基板は、セラミック層、内
部配線及び表面配線、更に各内部配線間を接続するため
のビアホール導体とから構成されていた。
【0003】しかしながら、積層セラミック基板上に搭
載する電子部品には、ICチップやトランジスタ、フィ
ルター素子、チップコンデンサ等があり、積層回路基板
に要求される低背化の為には、ICチップやトランジス
タ等の大型のチップ部品の搭載は障害となっていた。
【0004】そこで、積層セラミック基板の低背化の為
の構造として、積層セラミック基板の電子部品収納部に
キャビティを形成して、そこに高さのある電子部品を収
納・配置することにより解決を図っていた。
【0005】このキャビティ構造を有する積層セラミッ
ク基板を製造する為の方法の一つとしては、グリーンシ
ート多層方式がある。これは、内部配線となるパターン
やビアホール導体となる導電部材、及びキャビティ形成
用の開口部が形成された複数のセラミックグリーンシー
トを積層・圧着して積層成形体を作製し、これを焼成し
て積層セラミック基板を得る方法である。この方法の場
合、ビアホール導体形成用の貫通孔及びキャビティ形成
用の開口部の形成は、NCパンチあるいは金型による打
ち抜きにより行っていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、グリー
ンシート多層方式の場合、積層時の位置あわせの問題が
あり、キャビティの内壁面がストレートとならず段差構
造となることがあり、また一枚のシートにキャビティ形
成用の開口部として電子部品収納の為の大きな孔を開け
た場合、特に薄いシートの場合にはハンドリング性が悪
くなるという問題あった。
【0007】上記グリーンシート多層方式による問題を
解決する為の積層セラミック基板の製造方法として、本
発明者らは先に、支持基板上に光硬化可能なモノマーを
含有するセラミックスリップ材をドクターブレード法等
で塗布し、塗布したセラミック成形体に選択的な露光処
理を施した後、現像処理してビアホール導体を形成する
為の貫通孔及びキャビティ形成用の開口部を同時に形成
し、貫通孔への導体ペーストの充填及びセラミック層成
形体上への内部配線用のパターン形成を必要積層数繰り
返して積層成形体を作製し、積層成形体を一括焼成して
基板を得るという製造方法を提案した(特開平07−1
54073号公報)。この方法によれば、フォトプロセ
スを用いた積層方法を採用している為、積層時の位置精
度が向上し、また一層当たりの厚みが薄いシートに大径
の孔を開けてもハンドリング性の問題はなく、グリーン
シート多層方式における問題を解決できる。
【0008】しかしながら、この露光・現像処理により
キャビティ形成用の開口部を形成する場合、開口部の深
さが深くなるほど、精度のよい開口部の形成は困難とな
る。
【0009】即ち、キャビティ内に収納される部品は通
常200μmから500μm程度の高さを有する為、積
層回路基板のより低背化を行う為には部品高さに相当す
るだけの深さのキャビティが必要とされる。
【0010】ところが一回の露光・現像でビアホール導
体用の貫通孔が形成可能な一層当たりのセラミック層成
形体の膜厚はせいぜい200μmである。それ以上の厚
みのセラミック層成形体を露光・現像処理しようとする
と、現像クズが残らないようにする為に過剰な現像とな
ることがあり、ビアホール導体形成用の貫通孔の形状が
導体ペースト充填に適した形状とならなくなるばかり
か、最悪の場合はセラミック層成形体が溶解してしまう
虞があった。
【0011】また、200μmを越える程度の厚いセラ
ミック層成形体に直径100〜120μmの小径の貫通
孔を露光・現像により形成するのは、感光性材料の特性
上困難であり、精度のよい貫通孔が得られなくなってし
まう。通常、直径100〜120μmの貫通孔を露光・
現像処理により形成するのに適する膜厚は150μm以
下である。
【0012】したがって、例えば、500μm程度の深
さのキャビティを本製造方法により精度よく形成する為
には、150μm以下のセラミック層成形体にキャビテ
ィ形成用の開口部を形成するという工程を繰り返すこと
が必要であり、かつキャビティ開口部となる部分に現像
クズが残らないようにする製造方法が必要となる。
【0013】ところが、上記した特開平07−1540
73号では、一旦形成したキャビティ開口部の上にさら
にスラリーを塗布しているため、キャビティ開口部内は
スラリーにより埋められ、このキャビティ開口部を含め
た2層分の現像が必要であった。この場合には、現像を
完全に行うことができず、キャビティ開口部内にスラリ
ーのセラミック成分が残存してしまうという問題があっ
た。
【0014】また、基板裏面側に、キャビティ形成用の
開口部が必要となる場合、上記したセラミックスリップ
材の塗布積層方式では、一旦形成した開口部が次の層の
セラミックスリップ材塗布時には埋められてしまう為、
基板裏面に任意の深さの開口部を形成することは不可能
であった。
【0015】本発明は、電子部品を収納する為の深い、
例えば、500μm程度のキャビティ形成用の開口部で
も精度よく容易に形成できる積層セラミック基板の製造
方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の積層セラミック
基板の製造方法は、複数のセラミック層を積層してなる
基体の表面に電子部品収納用キャビティが形成された積
層セラミック基板の製造方法であって、以下の(a)〜
(g)の工程を具備することを特徴とする積層セラミッ
ク基板の製造方法。
【0017】(a)少なくとも光硬化可能なモノマーを
含有するセラミックスリップを作製する工程 (b)前記セラミックスリップを薄層化し、乾燥してセ
ラミック層成形体を形成する工程 (c)前記セラミック層成形体に露光現像処理を施し、
前記セラミック層成形体の一部にキャビティ用開口部を
形成するとともに、該セラミック層成形体を硬化させる
工程 (d)前記セラミック層成形体における前記キャビティ
用開口部に光あるいは熱硬化可能なモノマーを含有する
樹脂ペーストを充填し、該樹脂ペーストを露光あるいは
加熱により硬化させる工程 (e)(d)工程で得られた前記セラミック層成形体お
よび前記キャビティ用開口部内で硬化された樹脂の表面
に前記セラミックスリップを塗布し、乾燥してセラミッ
ク層成形体を形成する工程 (f)前記(e)工程で形成されたセラミック層成形体
に対して、(c)、(d)、(e)を順次繰り返して前
記セラミック層成形体が複数積層された積層成形体を作
製する工程 (g)前記積層成形体を加熱してキャビティ用開口部内
の樹脂を飛散させることにより、電子部品収納用キャビ
ティを形成する工程 キャビティ用開口部に充填された樹脂は、600℃以下
の温度で分解することが望ましい。
【0018】上記(a)〜(g)工程により、積層セラ
ミック基板を厚み方向に貫く空孔を形成できる。
【0019】
【作用】本発明によれば、光硬化可能なモノマーを含む
セラミック層成形体に露光・現像処理を施して積層体に
キャビティのような深い開口部を、その深さに関係なく
精度よく任意の形状で、かつ用意に形成することがで
き、場合によっては積層体を貫く空孔を任意の形状で精
度よく形成することも可能となる。
【0020】従来の露光・現像処理によるキャビティ形
成用の開口部では、層を重ねるに従って膜破壊等を起こ
さない為に現像強度に制約があり、精度のよいキャビテ
ィ形成用の開口部を形成することは困難であったが、本
発明の場合、現像により形成した開口部に一旦熱分解性
良好な樹脂ペーストを充填し積層を繰り返す為、各層の
キャビティ形成用の開口部を形成するための現像強度は
同じでも、現像不足による形状精度の悪い開口部が形成
されることはない。
【0021】そして、充填された樹脂は脱バイ時や焼成
時には焼失する為容易に除去でき、任意の形状で精度良
好なキャビティ形成用の開口部または貫通の空孔を有す
る積層セラミック基板を形成することが可能となる。
【0022】さらに本発明によれば、基板裏面側にも任
意の形状、深さでキャビティ開口部を形成することも可
能となる。
【0023】
【実施例】
実施例1 以下、本発明を図面に基づいて説明する。図1は本発明
の製造方法により得られた積層セラミック基板を示すも
ので、図2は、この積層セラミック基板の焼成前の積層
成形体である。
【0024】図2の積層成形体11は、セラミック層成
形体11a〜11eと、各層間に配置された内部配線用
のパターン31、表面導体膜51、各パターン31同士
等を接続するビアホール導体となる導電部材21、積層
成形体表面側のセラミック層成形体11a〜11cを貫
き形成されたキャビティ形成用の開口部40と、この開
口部40に充填された樹脂41とから構成されており、
これを一体化焼成することにより、セラミック層1a〜
1e、内部配線3、表面配線5、ビアホール導体2、及
びキャビティ4とからなる基体1が作製される。尚、セ
ラミック層1a及び1eの表面には、必要に応じて厚膜
抵抗体膜が形成されたり、またその他の電子部品が搭載
される。
【0025】セラミック層1a〜1eは、例えば850
〜1050℃前後の温度で焼成可能なセラミック材料や
ガラスセラミック材料からなり、セラミック層1a〜1
eの厚みは各々40〜200μmである。これらのセラ
ミック層1a〜1eの厚みは各層任意に形成してよい。
そして、複数のセラミック層1a〜1eの各層間に内部
配線3、各配線3を層間で接続するビアホール導体2、
及びキャビティ4が形成されている。
【0026】ビアホール導体2は、内部配線3と同様の
金系、銀系、銅系の金属材料からなり、内部配線3間や
内部配線3と表面配線5とを接続するために、各セラミ
ック層1a〜1eを貫くように形成されている。
【0027】内部配線3及び表面配線5は、金系、銀
系、銅系の金属材料、例えば銀系導体からなっている。
これらの配線の厚みは5〜15μm程度である。
【0028】キャビティ4は、基体1の表面に凹状に形
成されており、セラミック層1a,1b,1cの厚みを
貫く開口部40を重ねることで形成される。キャビティ
4の底面部には、セラミック層1cと1dとの間に配置
した内部配線3の一部が、キャビティ4内に収容される
電子部品6との接続電極パッド3’として露出すること
になる。尚、キャビティ4の平面形状は実質的に電子部
品6が収納され得る形状、例えば矩形状、円形状、また
は電子部品6と相似した形状であり、その深さは電子部
品6が完全に収納される深さが望ましいが、電子部品6
の一部が基体1より突出しても構わない。キャビティ4
には、複数の電子部品を配置しても構わない。
【0029】次に本発明の積層セラミック基板の製造方
法を、図3(a)〜(k)に基づいて説明する。
【0030】まず、図3(a)に示すように、ガラスや
セラミックなどの支持基板7上にセラミック層1eとな
るセラミック層成形体11eを形成する。このセラミッ
ク層成形体11eは、セラミック材料、ガラス材料、光
硬化可能なモノマー、有機バインダーと、有機溶剤また
は水とを均質混練したスリップ材を乾燥後の膜厚が40
〜200μmとなるように塗布し、乾燥して形成する。
【0031】上述のセラミック材料としてはクリストバ
ライト、石英、コランダム(αアルミナ)、ムライト、
ジルコニア、コージェライト等の粉末があり、その平均
粒径は好ましくは1.0〜6.0μm、更に好ましくは
1.5〜4.0μmである。
【0032】これらのセラミック材料は2種以上混合し
て用いられてもよい。特にコランダムを用いた場合、コ
スト的に有利となる。
【0033】ここで、セラミック材料の平均粒径が1.
0μm未満の場合は、スリップ化することが困難であ
り、後述の露光時に露光光が乱反射して充分な露光がで
きなくなる。逆に平均粒径が6.0μmを超えると緻密
なセラミック層が得にくい。
【0034】ガラス材料は、複数の金属酸化物を含むガ
ラスフリットであり、850〜1050℃で焼成した後
に、コージェライト、ムライト、アノーサイト、セルジ
アン、スピネル、ガーナイト、ウィレマイト、ドロマイ
ト、ペタライト及びその置換誘導体の結晶を少なくとも
1種析出するものであれば、強度の高いセラミック層が
可能となる。特に、アノーサイトまたはセルジアンを析
出する結晶化ガラスフリットを用いると、より強度の高
いセラミック層が得られ、また、コージェライトまたは
ムライトを析出し得る結晶化ガラスフリットを用いる
と、焼成後の熱膨張率が低い為、回路基板上にIC等の
シリコンチップを配置するための回路基板としては有効
となる。
【0035】上述のセラミック層の強度、熱膨張率を考
慮した最も好ましいガラス材料としては、B2 3 、S
iO2 、Al2 3 、ZnO、アルカリ土類酸化物を含
むガラスフリットである。この様なガラスフリットは、
ガラス化範囲が広くまた屈伏点が600〜800℃付近
にある為、850〜1050℃程度で焼成する場合、低
温焼成多層セラミック回路基板に用いる内部配線、ビア
ホール導体となる銅系、銀系及び金系の導電材料の焼結
挙動に適している。夫々の成分の作用として、B
2 3 、SiO2 は、主にネットワークフォーマーとし
て、Al2 3 は、主にインターミディエイトとして、
ZnO、アルカリ土類酸化物は、主に更にネットワーク
モディファイヤーとして作用する。
【0036】このようなガラス材料は、上述の所定成分
を所定の比率で混合して加熱溶解し、これを急冷後に粉
砕することによって得られる。粉砕されたガラスフリッ
トの平均粒径は、1.0〜5.0μm、好ましくは1.
5〜3.5μmである。
【0037】ここで、平均粒径が1.0μm未満の場合
は、スリップ化することが困難であり、後述の露光時に
露光光が乱反射して充分な露光ができなくなる。逆に平
均粒径が5.0μmを超えると分散性が損なわれ、具体
的には絶縁材料であるセラミック粉末間に均等に溶解分
散できず、強度が非常に低下してしまう。
【0038】上述のセラミック材料とガラス材料との構
成比率は、セラミック材料が10wt%〜50wt%、
好ましくは20wt%〜35wt%であり、ガラス材料
が90wt%〜50wt%、好ましくは80wt%〜6
5wt%である。
【0039】ここで、セラミック材料が10wt%未
満、且つガラス材料が90wt%を越えると、セラミッ
ク層にガラス質が増加しすぎ、セラミック層の強度等か
らしても不適切であり、また、セラミック材料が50w
t%を越え、且つガラス材料が50wt%未満となる
と、後述の露光時に露光光が乱反射して充分な露光がで
きなり、焼成後のセラミック層の緻密性も損なわれる。
【0040】上述のセラミック材料、ガラス材料の他
に、スリップ材の構成材料としては、焼結によって消失
される光硬化可能なモノマー、有機バインダーと、さら
に、有機溶剤または水とを含んでいる。有機溶剤を含む
スリップ材は溶剤系スリップ材といい、また、水を含む
スリップ材は水系スリップ材といい、溶剤系スリップ材
と水系スリップ材とでは、光硬化可能なモノマー及び有
機バインダーとが若干異なる。
【0041】尚、有機溶剤または水は主にスリップの粘
度等を調整するものであり、焼成工程の脱バインダ過程
で完全に消失してしまう。
【0042】溶剤系スリップ材の光硬化可能なモノマー
は、低温短時間の焼成工程に対応するために、熱分解性
に優れたものでなくてはならない。光硬化可能なモノマ
ーとしては、スリップ材の塗布・乾燥後の露光によっ
て、光重合される必要があり、遊離ラジカルの形成、連
鎖生長付加重合が可能で、2級もしくは3級炭素を有し
たモノマーが好ましく、例えば少なくとも1つの重合可
能なエチレン系基を有するブチルアクリレート等のアル
キルアクリレートおよびそれらに対応するアルキルメタ
クリレートが有効である。また、テトラエチレングリコ
ールジアクリレート等のポリエチレングリコールジアク
リレートおよびそれらに対応するメタクリレートも有効
である。光硬化可能なモノマーは、露光で硬化され、現
像で露光以外部分が容易に除去できるような範囲で添加
され、例えば、固形分100重量部に対して5〜15重
量部以下である。
【0043】溶剤系スリップ材の有機バインダは、光硬
化可能なモノマー同様に熱分解性の良好なものでなくて
はならない。同時にスリップの粘性を決めるものである
為、固形分との濡れ性も重視せねばならず、本発明者等
の検討によればアクリル酸もしくはメタクリル酸系重合
体のようなカルボキシル基、アルコール性水酸基を備え
たエチレン性不飽和化合物が好ましい。添加量としては
固形分100重量部に対して25重量部以下が好まし
い。
【0044】また、水系スリップ材の光硬化可能なモノ
マー及び有機バインダは、水溶性である必要があり、モ
ノマー及び有機バインダには、親水性の官能基、例えば
カルボキシル基が付加されている。その付加量は酸価で
表せば2〜300あり、好ましくは5〜100である。
付加量が少ない場合は水への溶解性、固形成分の粉末の
分散性が悪くなり、多い場合は熱分解性が悪くなるた
め、付加量は、水への溶解性、分散性、熱分解性を考慮
して、上述の範囲で適宜付加される。
【0045】何れの系のスリップ材における光硬化可能
なモノマー及び有機バインダは上述したように熱分解性
の良好なものでなくてはならないが、具体的には600
℃以下で熱分解が可能でなくてはならない。更に好まし
くは500℃以下である。熱分解温度が600℃を越え
ると、セラミック層内に残存してしまい、カーボンとし
てトラップし、基板を灰色に変色させたり、セラミック
層の絶縁抵抗までも低下させてしまう。またボイドとな
りデラミネーションを起こすことがある。
【0046】また、スリップ材として、増感剤、光開始
系材料等を必要に応じて添加しても構わない。例えば、
光開始系材料としては、ベンゾフェノン類、アシロイン
エステル類化合物などが挙げられる。
【0047】上述のように、セラミック材料、ガラス材
料、光硬化可能なモノマー、有機バインダさらに、有機
溶剤または水とともに混合、混練して、セラミック層と
なる溶剤系スリップ材または水系スリップ材が構成され
る。混合・混練方法は従来より用いられている方法、例
えばボールミルによる方法を用いればよい。スリップ材
の薄層化方法は、例えば、ドクターブレード法(ナイフ
コート法)、ロールコート法、印刷法などにより形成さ
れ、特に塗布後のセラミック成形体の表面が平坦化する
ことが容易なドクターブレード法などが好適である。
尚、塗布方法に応じて所定粘度に調整される。
【0048】乾燥方法としては、バッチ式乾燥炉、イン
ライン式乾燥炉を用いて行われ、乾燥温度は100℃以
下が望ましい。急激な乾燥は、表面にクラック等を発生
させる可能性があるため、急加熱は避ける必要がある。
【0049】次に、図3(b)、(c)に示すように、
セラミック層成形体11eに露光処理及び現像処理を施
して、所定位置にビアホール導体21を形成するための
貫通孔20を形成する。
【0050】具体的には、露光処理は、セラミック層成
形体11e上に、貫通孔20が形成される領域が遮光さ
れるようなフォトターゲットを載置して、超高圧水銀灯
(10mW/cm2 )を光源として用いて露光を行な
う。スリップ材に含まれる光硬化性モノマーはネガ型で
ある為、これにより、貫通孔20が形成される領域のセ
ラミック層成形体11eにおいては、光硬化可能なモノ
マーの光重合反応がおこらず、貫通孔20が形成される
領域以外のセラミック層成形体11eにおいては、光重
合反応が起こる。ここで光重合反応が起こった部位を不
溶化部xといい、光重合反応が起こらない部位を溶化部
yという。尚、厚み100μm程度のセラミック層成形
体11eは、超高圧水銀灯(10mW/cm2 )を10
〜15秒程度照射すれば露光を行うことができる。
【0051】現像処理は、セラミック層成形体11eの
溶化部yを現像液で除去するもので、具体的には1,
1,1−トリクロロエタンをスプレー法で現像を行う。
その後、セラミック層成形体11eを現像によって生じ
る不要なカスなどを洗浄、乾燥工程により完全に除去す
る。
【0052】次に、図3(d)に示すように、貫通孔2
0内に導体ペーストをスクリーン印刷方式にて充填し乾
燥して導電部材21を形成するとともに、セラミック層
1dとセラミック層1eとの層間に配置される内部配線
3となるパターン31をスクリーン印刷後乾燥してして
形成する。
【0053】内部配線やビアホール導体となる導体材料
の導電性ペーストは、金、銀、銅もしくはその合金のう
ち少なくとも1つの金属材料の粉末と、低融点ガラス成
分と、有機バインダーと有機溶剤とを均質混練したもの
が使用される。特に、焼成温度が850〜1050℃の
場合には、金属材料としては、比較的低融点であり、且
つ低抵抗材料が選択され、また、低融点ガラス成分も、
セラミック層となるセラミック層成形体(スリップ材を
塗布、乾燥したもの)との焼結挙動を考慮して、その屈
伏点が700℃前後となるものが使用される。
【0054】次に、図3(b)〜(d)を再度繰り返し
て図3(e)に示すように、ビアホール導体2となる導
電部材21及びパターン31が形成されたセラミック層
1dとなるセラミック層成形体11dを形成する。
【0055】次に、キャビティ4となるキャビティ形成
用の開口部40を含むセラミック層成形体11cを形成
する。
【0056】まず、セラミック層成形体11c上に、ビ
アホール導体2用の貫通孔20及びキャビティ形成用の
開口部40となる部分が遮光されたフォトターゲットを
載置して超高圧水銀灯(10mW/cm2 )を光源とし
て用いて露光を行い、溶化部yを1,1,1−トリクロ
ロエタンでスプレー現像を行い、更に洗浄、乾燥を行っ
て、図3(f)に示されるような貫通孔20及び開口部
40を形成する。
【0057】次に、図3(g)に示されるように、開口
部40に光硬化可能なモノマーあるいは熱硬化可能なモ
ノマーを含有する樹脂ペーストをスクリーン印刷法等に
より充填する。
【0058】樹脂ペーストに含まれる光硬化性モノマー
は、セラミック層を形成するためのスリップ材に含まれ
る光硬化性モノマーと同様のアルキルメタクリレート等
から成る熱分解性の良好な樹脂を用いる。また熱硬化性
モノマーを使用する場合は、アクリレート系の不飽和ポ
リエステル樹脂が望ましい。
【0059】次に開口部40に充填した樹脂ペーストに
露光処理あるいは加熱処理を施して、樹脂ペーストを硬
化させる。光硬化性モノマーを含む樹脂ペーストを硬化
させる場合は、貫通孔20を形成すると同様の露光装置
により、樹脂ペースト全体に露光処理を施して樹脂ペー
ストを硬化させる(露光量は、10mW/cm2 の光源
を10〜20秒照射)。また熱硬化性モノマーを含む樹
脂ペーストを硬化させる場合は、バッチ式乾燥炉等で1
20℃で10分間の加熱を行って樹脂ペーストを硬化さ
せる。ここで、樹脂ペーストを硬化させる理由は、充填
樹脂の上に次の層のスリップ材を塗布した際にその成分
の樹脂41内への浸透を防ぐ為である。
【0060】実際、樹脂ペーストを硬化させずに次層の
スリップ材を塗布した場合にはスリップ材中のセラミッ
ク粉末とバインダーの混合物が樹脂ペースト内部にまで
深く浸透してしまい、浸透した成分はその後の現像処理
では除去されず、また焼成時に充填した樹脂を焼失させ
ても除去されず、形成された開口部40内部に残存して
しまい、基板特性に悪影響を与えるからである。
【0061】この後、セラミック層成形体11cの貫通
孔20に導体ペーストを充填してビアホール導体2とな
る導電部材21を形成し、更に内部配線となるパターン
31を形成して、図3(h)に示されるような積層成形
体を作製する。
【0062】続いて図3(i)(j)に示すように、セ
ラミック層成形体11c上に、セラミック層1bとなる
セラミック層成形体11b及びセラミック層1aとなる
セラミック層成形体11aに対してもセラミック層成形
体11cと同じ処理を繰り返して、図3(k)に示され
るような3層分の深さに樹脂41が充填されたキャビテ
ィ形成用の開口部40を有する積層成形体を得る。尚、
本実施例では、積層数は5層となっているが、積層数及
びキャビティ形成用の開口部の深さは任意である。開口
部の深さはセラミック層2層分であっても良い。
【0063】次に、支持基板7を取り外し、図3に示す
積層成形体11が完成する。そして、必要に応じて、積
層成形体11をプレスで形状を整えたり、分割溝を形成
したりする。
【0064】次に、焼成を行う。焼成は、脱バインダー
工程と、本焼成工程からなる。脱バインダー工程は、概
ね600℃以下の温度領域であり、セラミック層成形体
11a〜11e及びパターン31、導電部材21に含ま
れている有機バインダー、光硬化可能なモノマー、及び
開口部40に充填した樹脂41を消失させる過程であ
り、本焼成工程は、ピーク温度850〜1050℃、例
えば、900℃30分ピークの焼成過程である。
【0065】これにより、図1に示したように5層のセ
ラミック層1a〜1e間にビアホール導体2、内部配線
3及びキャビティ4が形成され、更に表面配線5が形成
された基体1が完成する。その後、表面処理として、さ
らに、厚膜抵抗膜8や厚膜保護膜の印刷・焼きつけ、メ
ッキ処理、さらにICチップを含む電子部品6の接合を
行う。
【0066】また、表面配線5は、セラミック層成形体
11a〜11eの焼成された基体1の表面に、印刷・乾
燥し、所定雰囲気で焼きつけを行っても構わない。例え
ば、内部配線3にAg系導体を用い、表面配線5として
Cu系導体を用いる場合、セラミック層成形体11a〜
11eと内部配線3の導体膜からなる積層体を、酸化性
雰囲気又は中性雰囲気で焼成し、焼成された積層体の表
面に、Cu系導体の印刷・乾燥を行い、中性雰囲気又は
還元性雰囲気・780℃(AgとCuの共晶点)以下の
温度で焼成する。
【0067】支持基板7がアルミナセラミック基板を用
いた場合には、焼成前に取り外すことなく、積層セラミ
ック基板の下部層としてそのまま残存させてもよい。こ
の場合支持基板7であるアルミナセラミック基板にビア
ホール導体や内部配線パターンを予め形成してもよい。
【0068】実施例2 上述の実施例では、キャビティ開口部を表面側から3層
分形成したが、裏面側に1〜3層分のキャビティ開口部
を形成してもよい。この場合は、例えば、図4(a)〜
(i)に示されるように、セラミック層成形体11eに
貫通孔20及びキャビティ形成用の開口部40部分を遮
光して露光処理を施した後、現像処理を施し、キャビテ
ィ形成用の開口部40には上述の樹脂ペーストを、貫通
孔20には導電性ペーストを充填し、更にパターン31
を印刷してセラミック層成形体11c、11d及び11
eを作製し、さらにセラミック層成形体11a、11b
に、実施例1と同様にして開口部40、パターン31、
導電部材21を形成し、積層成形体11を作製する。最
後にこれを焼成して、両面にキャビティ4を有する積層
セラミック基板を完成させる。
【0069】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、任意の
深さ、形状のキャビティを精度良く容易に形成すること
ができ、積層セラミック基板への電子部品の実装精度が
向上する。また基板裏面にも精度の高いキャビティを形
成することができ、積層セラミック基板の設計の自由度
を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る積層セラミック基板の断面図であ
る。
【図2】本発明に係る積層成形体の断面図である。
【図3】本発明の積層セラミック基板の製造方法を説明
する工程流れ図である。
【図4】基板の両面にキャビティを有する本発明の積層
セラミック基板の製造方法を説明する工程流れ図であ
る。
【符号の説明】 1・・・・・・基体 11・・・・・積層成形体 1a〜1e・・・セラミック層 11a〜11e・・・セラミック層成形体 2・・・・・・・ビアホール導体 20・・・・・・貫通孔 21・・・・・・導電部材 3・・・・・・・内部配線 31・・・・・・パターン 4・・・・・・・キャビティ 40・・・・・・キャビティ形成用の開口部 41・・・・・・開口部に充填された樹脂 5・・・・・・・表面配線 6・・・・・・・電子部品 7・・・・・・・支持基板 x・・・・不溶化部 y・・・・・溶化部
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−154073(JP,A) 特開 平5−21958(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05K 3/46 H01L 23/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数のセラミック層を積層してなる基体の
    表面に電子部品収納用キャビティが形成された積層セラ
    ミック基板の製造方法であって、以下の(a)〜(g)
    の工程を具備することを特徴とする積層セラミック基板
    の製造方法。 (a)少なくとも光硬化可能なモノマーを含有するセラ
    ミックスリップを作製する工程 (b)前記セラミックスリップを薄層化し、乾燥してセ
    ラミック層成形体を形成する工程 (c)前記セラミック層成形体に露光現像処理を施し、
    前記セラミック層成形体の一部にキャビティ用開口部を
    形成するとともに、該セラミック層成形体を硬化させる
    工程 (d)前記セラミック層成形体における前記キャビティ
    用開口部に光あるいは熱硬化可能なモノマーを含有する
    樹脂ペーストを充填し、該樹脂ペーストを露光あるいは
    加熱により硬化させる工程 (e)(d)工程で得られた前記セラミック層成形体お
    よび前記キャビティ用開口部内で硬化された樹脂の表面
    に前記セラミックスリップを塗布し、乾燥してセラミッ
    ク層成形体を形成する工程 (f)前記(e)工程で形成されたセラミック層成形体
    に対して、(c)、(d)、(e)を順次繰り返して前
    記セラミック層成形体が複数積層された積層成形体を作
    製する工程 (g)前記積層成形体を加熱してキャビティ用開口部内
    の樹脂を飛散させることにより、電子部品収納用キャビ
    ティを形成する工程
  2. 【請求項2】キャビティ用開口部に充填された樹脂は、
    600℃以下の温度で分解することを特徴とする請求項
    1記載の積層セラミック基板の製造方法。
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