JP3235908B2 - 複合繊維およびそれからなる不織布 - Google Patents

複合繊維およびそれからなる不織布

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JP3235908B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリアミドとポリエステ
ルからなる不織布用複合短繊維であり、この複合短繊維
を用いて得られた不織布に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、不織布が様々な分野および用途に
用いられるようになってきており、それに伴って不織布
に対して従来の取扱い性や強度等の機械的特性だけでは
なく、柔軟性等の風合の良さが求められている。そし
て、そのような要求に対して多層貼合型複合繊維等の分
割型複合繊維の使用が提案されている。
【0003】短繊維を用いて不織布、カ−ペット等を製
造するにはカ−ディング工程が必要であり、このカ−デ
ィングが可能な単糸繊度は一般に1デニ−ルが下限とさ
れており、それより細デニ−ルの場合には特殊なカ−デ
ィング技術や条件を採用する必要があった。互いに非相
溶性のポリマ−を複合させただけの従来の分割型複合繊
維はカ−ディング工程、またはそれより前の工程である
原綿製造工程で分割が生じ、カ−ディングが困難になる
という問題がある。このような問題を解決するために、
ポリアミドとスルホン酸の金属塩を共重合させたポリエ
ステルとの分割型複合繊維複合繊維を蒸気または熱水中
で延伸し、100〜160℃の乾熱で定長熱処理する方
法が提案されている(特開平2−169722号公
報)。しかしながら、この分割型複合繊維もカ−ディン
グ工程における分割と製品における分割のコントロ−ル
が困難であること、特定の延伸、熱処理を行う必要があ
ること等実用化には問題が多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等はポリアミ
ドとポリエステルとの複合繊維を用いてステ−プルとな
し、不織布等の繊維製品を作製する際、ポリアミドとポ
リエステルとの界面での剥離が原因で生じる繊維化工程
またはカ−ディング工程の工程性不良を改良するために
検討を進めてきた。トラブル発生の原因としては、用い
るポリアミドが複合紡糸時に、用いる紡糸油剤の水分、
または紡糸後のトウをケンス取りした後該ケンスを放置
している間に大気中の水分を吸湿することにより、歪み
が生じ、膨潤または収縮の寸法変化を起こし、ポリエス
テルとの界面剥離が進行するため、次の工程である延伸
工程、捲縮工程でさらに界面剥離と分離が進行し、得ら
れた原綿のフィブリル化が極めて高く、カ−ド通過性が
不良となることが見出だされた。
【0005】この問題点を解決するためにポリアミドと
複合するポリエステルにスルホン酸の金属塩を共重合さ
せることも検討したが、スルホン酸の金属塩を多量に共
重合させなければならず、コスト的に高価になるばかり
でなく、最終製品、たとえば不織布を高圧水流処理して
ポリエステルとポリアミドとを分割処理する場合、逆に
ポリエステルとポリアミドとの接着力が強すぎて分割処
理が難しいという問題が発生した。良好なカ−ド通過
性、良好な分割性という一見相反する要求を同時に満足
するためにいかなる方法があるか検討した結果、本発明
に至ったものである。
【0006】本発明の目的は、紡糸、延伸、捲縮等の繊
維化工程、カ−ディング工程において、分割型複合繊維
を構成する非相溶性ポリマ−の貼合構造部の剥離・分離
が発生することなく、繊維化工程性およびカ−ディング
通過性が良好であり、しかも強度が高いにも拘らず柔軟
性に富んだ絡合不織布を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、実
質的に芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンからなり、
熱変形温度が80℃以上である非晶性ポリアミド2〜4
0重量%および結晶性熱可塑性ポリアミド60〜98重
量%からなるポリマ−(A)、ならびに熱可塑性ポリエ
ステル(B)とから構成された複合短繊維であって、ポ
リマ−(A)とポリエステル(B)の重量複合比率が1
5:85〜85:15の範囲であり、しかもポリマ−
(A)とポリエステル(B)との複合形状が、各単繊維
の長さ方向で実質的に同一形状でありながら、横断面形
状においては異なることを特徴とする不織布用複合短繊
維であり、該複合短繊維を10重量%以上含む不織布で
あって、該不織布を構成する繊維が三次元的に絡合して
おり、縦方向の裂断長が3km以上である不織布であ
る。
【0008】本発明の複合短繊維は、構成する一成分と
して用いられるポリマ−(A)に非晶性ポリアミドを用
いることに特徴を有する。この非晶性ポリアミドは、実
質的に芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンからなるポ
リアミドである。
【0009】芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル
酸、イソフタル酸、2,6−ナフタリンジカルボン酸等
が挙げられ、本発明においてはテレフタル酸とイソフタ
ル酸の混合が好ましく、その混合割合はテレフタル酸が
10〜50モル%、とくに20〜40モル%、イソフタ
ル酸が90〜50モル%、とくに80〜60モル%の範
囲であることが好ましい。テレフタル酸の混合割合が5
0モル%を越えると非晶性ポリアミドが結晶性となり、
結晶性熱可塑性ポリアミドと相分離を生じ、混合性が不
良となり、複合紡糸性が低下する場合がある。また、脂
肪族ジアミンとしてはテトラメチレンジアミン、ヘキサ
メチレンジアミン、1,10−ジアミノデカン等が挙げ
られ、本発明においてはヘキサメチレンジアミンが好ま
しい。上記の非晶性ポリアミドはアジピン酸、アゼライ
ン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、p−オキシ
安息香酸等のヒドロキシカルボン酸、m−フェニレンジ
アミン、p−フェニレンジアミン等のを芳香族ジアミン
を非晶性を阻害しない範囲内で含んでいても良い。
【0010】このようにして得られた非晶性ポリアミド
は、絶乾状態でのガラス転移温度が高く、さらに熱変形
温度が80℃以上である。熱変形温度はASTM D−
648試験法に準拠し、両端自由支持にて18.5kg
/cm↑2の荷重を加え、2℃/分にて昇温し、1/1
00インチたわんだ時の温度を示す。
【0011】ポリマ−(A)を構成する結晶性熱可塑性
ポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン66、メタ
キシレンジアミンナイロン、ナイロン12等を挙げるこ
とができ、これらは1種あるいは2種以上混合、または
共重合して用いることができる。また該結晶性熱可塑性
ポリアミドは繊維化が可能である重合度を有していれば
よい。
【0012】上記の非晶性ポリアミドおよび結晶性熱可
塑性ポリアミドは、安定剤、紫外線吸収剤、蛍光増白
剤、変性剤、着色剤、顔料等の添加剤を必要に応じて含
有していても良い。
【0013】ポリマ−(A)において、非晶性ポリアミ
ドの混合割合は2〜40重量%の範囲内である。2重量
%未満では本発明の効果が十分に発現せず、一方40重
量%を越えると本発明の効果は十分に発現するが、繊維
物性、とくに強度が低くなる。さらに紡糸時に単繊維間
の膠着が生じ、延伸性、カット性が不良となる。好まし
い混合割合は2〜30重量%の範囲内である。
【0014】非晶性ポリアミドと結晶性熱可塑性ポリア
ミドとを特定量混合してなるポリマ−(A)を一成分と
する複合繊維が、カ−ド通過性に優れ、さらに最終製品
である不織布の高圧水流による分割性に優れる理由は定
かではないが、以下のように推察される。すなわち、非
晶性ポリアミドはガラス転移温度が高く、かつ吸湿によ
る寸法変化がほとんど生じないため、たとえば紡糸後ケ
ンス取りされたトウが放置されていても大気中の水分に
よる寸法変化が起こらず、したがってポリエステル
(B)との界面の剥離が生じないため、延伸時、捲縮
時、カ−ディング時に繊維のフィブリル化が発生せず、
カ−ド通過性が良好となる。しかしながら不織布作製後
の高圧水流処理等の物理的な力に対抗する程にはポリマ
−(A)とポリエステル(B)間の接着性が強くないの
で容易に分割が可能であると考えられる。また、非晶性
ポリアミドが結晶性熱可塑性ポリアミドと非常に相溶性
が良く、分子混合できることも理由の一つと考えられ
る。
【0015】本発明の複合短繊維を構成する一成分とし
て用いられるポリエステル(B)としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、2,6−ナフタリンジカルボン酸、
フタル酸、α,β−(4−カルボキシフェノキシ)エタ
ン、4,4−ジカルボキシジフェニル、5−ナトリウム
スルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;アジピン
酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン
酸;またはそれらのエステル形成性誘導体、エチレング
リコ−ル、ジエチレングリコ−ル、1,4−ブタンジオ
−ル、ネオペンチルグリコ−ル、1,6−ヘキサンジオ
−ル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノ−ル、ポリエ
チレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル等の
ジオ−ル化合物から形成された繊維形成性ポリエステル
を挙げることができる。なかでも、ポリエステルの構成
単位の80モル%以上、とくに90モル%以上がエチレ
ンテレフタレ−ト単位および/またはブチレンテレフタ
レ−ト単位であるポリエステルが好ましい。該ポリエス
テルは、安定剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、変性剤、
着色剤、顔料等の添加剤を必要に応じて含有していても
良い。
【0016】ポリマ−(A)とポリエステル(B)との
複合比率は(A)/(B)=15/85〜85/15
(重量比)、とくに20/80〜80/20であること
が好ましい。該複合比率外の場合、紡糸性が不良とな
る。
【0017】本発明においては、ポリマ−(A)とポリ
エステル(B)との複合形状にも特徴を有する。すなわ
ち、各単繊維の長さ方向で実質的に同一形状でありなが
ら、横断面形状においては異なる複合短繊維である。
「各単繊維の横断面形状において異なる」とは、ポリマ
−(A)とポリエステル(B)との複合形状が繊維の長
さ方向には実質的に同一形状でありながら、単繊維間に
おいてランダムに異なり、木目状多層混合構造、非円形
状の海島混合構造等の混合構造を有することを示す。た
とえば、図1にポリマ−(A)とポリエステル(B)と
からなり複合比が(A):(B)=1:1の複合繊維束
の繊維断面を示す。ポリマ−(A)とポリエステル
(B)との複合形状が単繊維間でランダムに異なり、ポ
リマ−(A)が層状分割層を形成している場合もあれ
ば、独立の島状分割層を形成している場合もある。ま
た、図2に単繊維断面の複合形状を示すが、(イ)はポ
リマ−(A)とポリエステル(B)が極端に偏在化して
貼合わせ構造に似た断面形状を形成している例であり、
(ロ)はポリマ−(A)とポリエステル(B)が多層状
に貼合わされた断面形状を形成している例であり、
(ハ)はポリマ−(A)とポリエステル(B)のどちら
か一方が非円形の島状独立層を形成している例である。
【0018】本発明の複合短繊維はこのような断面形状
を有していることにより、天然繊維に似た自然な斑と風
合、とくに嵩高さと柔軟な触感を有しており、そして不
織布にした時の全体の柔軟さを発現させることが可能に
なった。また、カ−ディング工程において、ポリマ−
(A)とポリエステル(B)との界面剥離がわずかに見
られても、繊維集合体としてシリンダ−に巻き付いた
り、ネップが発生したりすることもなく、カ−ド通過性
が良好であるのもこのような繊維断面形状に起因すると
推定される。
【0019】本発明の複合短繊維の製造方法は、通常、
複合紡糸法が適用される。その最も好ましい方法に用い
られる紡糸装置の口金部を図3に示す。以下、図3によ
り紡糸法を説明する。別々の押出機により溶融され押し
出されたポリマ−(A)およびポリエステル(B)の溶
融流は、各々の計量機により所定量計量された後、サン
ドボックス3の濾過部1で濾過された後、各々の金属フ
ィルタ−2を経た後、ミキシングプレ−ト4に設けられ
た静止型混合器5で所定条件下混合され、分配板6の分
配路7を経て放射状に分配した後、紡糸口金の紡糸孔よ
り流出される。
【0020】上記静止型混合器5の混合素子の数は目的
とする繊維構造に応じて適宜設定することができるが、
現在実用化されているものとして、Kenics社の1
80度左右ねじった羽を90度ずらせて配列したnエレ
メントを通過させると2↑n層分割するタイプのスタチ
ックミキサ−等があるが、該スタチックミキサ−を使用
した場合はエレメント数を3〜8の範囲にすることが好
ましい。エレメント数が8を越えると、ポリマ−(A)
とポリエステル(B)との混合性がよくなりすぎて均一
混合に近くなり、繊維化しても本発明でいう、各単繊維
の長さ方向で実質的に同一形状でありながら、横断面形
状においては異なる繊維は得られにくくなる。
【0021】静止型混合器の混合素子数が最適であって
も、ポリマ−(A)とポリエステル(B)とが接触を開
始してから紡糸孔より流出されるまでの滞留時間が長す
ぎると、各ポリマ−の加熱による分解が進み、紡糸時の
粘度低下、得られる繊維の着色が生じる場合がある。し
たがって、上記滞留時間は5分、とくに3分以内が好ま
しい。
【0022】このようにして得られた未延伸複合繊維を
60℃以上かつ繊維相互が融着しない温度で熱延伸を行
なう。熱延伸は通常の水浴延伸装置を用いて行なうこと
ができる。熱延伸温度が60℃未満の場合、ポリエステ
ル(B)の複合比率が高くなると繊維化収縮率が大きく
なるので好ましくない。一方繊維相互が融着しない温度
を越えて延伸した場合、繊維相互が融着を始め、延伸工
程で糸切れが発生して操業性が低下し、製品の均一性が
低下するので好ましくない。好ましくは60〜95℃の
範囲である。
【0023】ついで、得られた延伸複合繊維に捲縮付与
処理を施す。捲縮付与処理は、通常のスタッファ型捲縮
付与装置等の捲縮付与装置を用いて行なうことができ
る。捲縮付与処理に引き続き、繊維に仕上げ油剤を付与
して乾燥した後、所定の長さに切断して短繊維とする。
短繊維長が20〜100mmの範囲のものは乾式用不織
布として、また3〜10mmの範囲のものは湿式用不織
布として好適である。
【0024】上記短繊維からなる不織布について説明す
る。本発明の不織布は、上記複合短繊維10重量%以上
からなる。10重量%以上が上記複合短繊維からなるた
め、後述の分割処理により複合短繊維が分割して絡合し
やすく、強度がありしかも風合の柔らかい不織布を得る
ことができる。この不織布を構成する複合短繊維が10
重量%未満の場合、繊維間の絡合が不十分であり、本発
明において目的とする不織布を得ることができない。本
発明の不織布において、複合短繊維と混合する他の短繊
維として通常の熱可塑性ポリマ−からなる短繊維、軟化
温度の比較的低い熱バインダ−繊維、レ−ヨン等の再生
繊維、あるいは木綿等の天然繊維を用いることができ、
また、上記複合短繊維のカ−ドウエッブと他素材のカ−
ドウエッブとの積層ウエッブとしてもよい。
【0025】本発明の不織布の製造方法として、例えば
上記複合短繊維を用いてカ−ドウエッブを作成し、高圧
流体噴流により前記ウエッブに流体絡合処理を施して、
複合短繊維相互を三次元的に絡合させる方法、上記複合
短繊維と熱バインダ−繊維とを混綿し、カ−ド機により
カ−ディングして所定目付のウエッブを得た後、加熱し
て熱バインダ−繊維を溶融させ複合短繊維間を相互に接
着させる方法、上記複合短繊維と通常の熱可塑性ポリマ
−からなる短繊維あるいは天然繊維と混綿し、カ−ド機
によりカ−ディングして所定目付のウエッブを得た後、
高圧水流パンチング処理またはニ−ドルパンチング処理
する方法等、通常の方法が用いられる。
【0026】流体噴流処理は液体または気体を噴き当
て、絡合処理を施すことであり、通常、絡合、分散を同
時に行なわせる点、かつ安全性において液体が好ましく
用いられる。液体中には、膨潤剤、溶剤等を混入させて
複合短繊維を分割化、絡合処理を行なってもよい。
【0027】カ−ドウエッブは、通常、構成繊維の配合
割合によって異なり、カ−ド機の進行方向に配列したパ
ラレルウエッブ、ランダムに配列したランダムウエッ
ブ、両者の中間程度に配列したセミランダムウエッブ、
クロスラップウエッブ等があり、本発明の不織布はこれ
らのいずれであってもよい。
【0028】本発明において、不織布を構成する複合短
繊維の分割は、上記の流体噴流処理により繊維の絡合と
同時に行なうことができる。また、複合短繊維と熱バイ
ンダ−繊維とを混綿した不織布、あるいはパンチング処
理を施した不織布はさらに高圧流体噴流を当てることに
より分割処理を施すことができる。
【0029】高圧流体噴流は孔径の小さいノズルまたは
間隔の狭いスリットから噴射して、高速の柱状流または
カ−テン流として噴き当てる。流体噴流としては水が好
ましく、常温の水、35〜80℃程度に加温した水が使
用でき、繊維の分割を促進させるための処理剤を含んで
いてもよい。圧力条件は複合短繊維の分割のし易さで決
定するが、通常、5〜300Kg/cm↑2程度の範囲
内で使用できる。5Kg/cm↑2未満では絡合・分割
効果が少なく、300Kg/cm↑2を越えると、打撃
欠点や変形が生じ好ましくない。この流体噴流処理は不
織布の片面あるいは両面に行なうことができる。目付は
約20g/m↑2〜約300g/m↑2まで任意に可能
であるが、流体噴流による分割交絡を不織布の内部まで
行うためには約150g/m↑2以下が好ましい。
【0030】分割後の細分化した複合短繊維の繊度はと
くに限定されるものではないが、通常、1.0デニ−ル
以下であることが好ましい。絡合・分割処理を施した不
織布は、繊維が密に交絡した面にカレンダ−処理、エン
ボス処理、染色・捺染等の着色処理などを施すことがで
きる。
【0031】本発明の不織布は、裂断長が3km以上
と、強度が高いうえに柔軟性をも有する。この不織布は
柔軟性を重視する人工皮革衣料分野はもちろんのこと、
ワイピングクロス、各種フィルタ−、タオル、フェ−シ
ング材等の衛生材料などに好ましく用いられる。
【0032】以下、実施例により本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例になんら限定されない。
なお、実施例において、不織布の強度は、不織布を巾1
cm、長さ10cmに裁断し、引張試験機(島津製作所
製、島津オ−トグラフ2000A)を用いて引張強度を
測定し、裂断長(km)で示した。また、熱変形温度は
ASTM D−648試験法に準拠して測定し、ガラス
転移温度は示差走査熱量計(メトラ−社製、TA−30
00型)を用い、窒素雰囲気中急冷非晶状態の試料に対
し、10℃/分の昇温速度により測定した。
【0033】実施例1 非晶性ポリアミドとして、テレフタル酸25モル%、イ
ソフタル酸75モル%、ヘキサメチレンジアミン100
モル%からなり、絶乾状態でのガラス転移温度が125
℃、熱変形温度が100℃のポリアミドを使用し、結晶
性ポリアミドとしてナイロン6(宇部興産(株))を使
用し、混合比が、非晶性ポリアミド/結晶性ポリアミド
=20/80(重量比)のポリマ−(A)を得た。ポリ
エステル(B)として極限粘度[η]=0.63(フェ
ノ−ルとテトラクロロエタンの当重量混合溶液を用いて
30℃で測定した。)のポリエチレンテレフタレ−トを
使用した。ポリマ−(A)とポリエステル(B)とが5
0/50(重量比)になるように、各ポリマ−をギアポ
ンプで計量した後、紡糸パックに供給し、紡糸パック内
の5エレメントスタティックミキサ−(ケニックス社
製)で両ポリマ−による層状分割型重合体流を形成させ
て、1000ホ−ルの丸孔ノズルから口金温度285℃
で吐出し、800m/分の紡糸速度で溶融紡糸し、単糸
約7デニ−ルの未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を浴
温75℃で3.8倍に延伸し、ついで機械捲縮を施した
後、100℃の熱処理を行ない、38mmに切断して単
糸2デニ−ルである、図1に示す断面形状の複合短繊維
からなる原綿を得た。
【0034】得られた原綿80重量%と、ポリエチレン
/ポリエステル芯鞘型複合繊維(ソフィットN−710
タイプ、単糸2デニ−ル、長さ51mm:(株)クラレ
製)20重量%とを混綿し、目付量50g/m↑2のウ
エッブを作製した。このウエッブに50kg/cm↑2
の高圧水流をあて交絡処理を施した後、140℃で熱風
処理して不織布を製造した。複合短繊維は高圧水流によ
り分割していた。複合繊維製造時の工程性、不織布製造
時の工程性はいずれも良好であり、しかも得られた不織
布はそれを構成する複合繊維の細分化が進み、風合が柔
軟であり、天然繊維である綿からなる不織布に風合が近
似していた。そのうえ強度も強いものであった。結果を
表1に示す。
【0035】実施例2 ポリマ−(A)とポリエステル(B)との複合比を前者
/後者=30/70(重量比)にした以外は、実施例1
と同様にして複合短繊維からなる混綿を得、ついで不織
布を作製した。得られた不織布は風合が柔軟なうえ、強
度も兼ね備えたものであった。
【0036】実施例3 ポリマ−(A)を構成する非晶性ポリアミドと結晶性ポ
リアミドとの混合比を前者/後者=10/90(重量
比)にした以外は、実施例1と同様にして複合短繊維か
らなる混綿を得、ついで不織布を作製した。得られた不
織布は風合が柔軟なうえ、強度も兼ね備えたものであっ
た。
【0037】実施例4〜5 ポリマ−(A)を構成する非晶性ポリアミドと結晶性ポ
リアミドとの混合比(重量比)を前者/後者=5/95
(実施例4)、10/90(実施例5)とし、ポリエス
テル(B)として5−ナトリウムスルホイソフタル酸
2.5モル%共重合したポリエチレンテレフタレ−ト
(極限粘度[η]=0.55)を用いた以外は、実施例
1と同様にして複合短繊維からなる混綿を得、ついで不
織布を作製した。得られた不織布はいずれも風合が良好
で強度も有していた。
【0038】比較例1 ポリマ−(A)として、結晶性ポリアミドであるナイロ
ン6のみを用いた以外は実施例1と同様にして複合短繊
維からなる混綿を得、ついで不織布を作製した。不織布
作製時、カ−ドで綿がシリンダ−に巻き付き、カ−ディ
ング性が非常に不良であった。また、得られた不織布は
ネップが多発しており、製品としての価値のないもので
あった。
【0039】比較例2 ポリエステル(B)として5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸が5モル%共重合されたポリエチレンテレフタレ
−ト(極限粘度[η]=0.45)を用いた以外は比較
例1と同様にして複合短繊維からなる混綿を得、ついで
不織布を作製した。カ−ディング性等の工程性は良好で
あったが、高圧流体処理においてポリマ−(A)とポリ
エステル(B)とがほとんど分割せず、柔軟な風合を有
する不織布は得られなかった。
【0040】比較例3〜4 ポリマ−(A)とポリエステル(B)との複合比(重量
比)を前者/後者=95/5(比較例3)、5/95
(比較例4)とした以外は実施例1と同様にして複合短
繊維からなる混綿を作製しようとしたが、いずれも紡糸
時に毛羽、断糸が頻発し、満足な混綿を作製することが
できなかった。
【0041】比較例5 ポリマ−(A)を構成する非晶性ポリアミドと結晶性ポ
リアミドとの混合比を前者/後者=1/99(重量比)
にした以外は実施例1と同様にして複合短繊維からなる
混綿を得、ついで不織布を作製した。カ−ディング性等
の工程性が不良であり、不織布にネップが多く見られ、
外観不良であった。
【0042】比較例6 ポリマ−(A)を構成する非晶性ポリアミドと結晶性ポ
リアミドとの混合比を前者/後者=50/50(重量
比)にした以外は実施例1と同様にして複合短繊維から
なる混綿を得、ついで不織布を作製した。紡糸後のトウ
において単繊維間に膠着が見られ、延伸性、カ−ディン
グ性が不良であった。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】本発明の複合短繊維は、繊維化工程性が
良好であり、さらに該複合短繊維を含む不織布はその製
造時の工程性、とくにカ−ド通過性が良好であり、複合
短繊維が細分化されているため、柔軟な風合を有し、し
かも高い強度をも有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合短繊維の繊維断面を示す模式図で
ある。
【図2】本発明の複合短繊維の繊維断面を示す他の模式
図である。
【図3】本発明に使用する紡糸装置の口金部断面を示す
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−91224(JP,A) 特開 平4−333693(JP,A) 特開 平4−257357(JP,A) 特開 平2−169722(JP,A) 特開 平3−19917(JP,A) 特開 平5−51818(JP,A) 特開 平5−25705(JP,A) 特開 平5−25762(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 8/14

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】実質的に芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジア
    ミンからなり、熱変形温度が80℃以上である非晶性ポ
    リアミド2〜40重量%および結晶性熱可塑性ポリアミ
    ド60〜98重量%からなるポリマ−(A)、ならびに
    熱可塑性ポリエステル(B)とから構成された複合短繊
    維であって、ポリマ−(A)とポリエステル(B)の重
    量複合比率が15:85〜85:15の範囲であり、し
    かもポリマ−(A)とポリエステル(B)との複合形状
    が、各単繊維の長さ方向で実質的に同一形状でありなが
    ら、横断面形状においては異なることを特徴とする複合
    短繊維。
  2. 【請求項2】請求項1記載の複合短繊維を10重量%以
    上含む不織布であって、該不織布を構成する繊維が三次
    元的に絡合しており、縦方向の裂断長が3km以上であ
    る不織布。
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