JP3235908B2 - 複合繊維およびそれからなる不織布 - Google Patents
複合繊維およびそれからなる不織布Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリアミドとポリエステ
ルからなる不織布用複合短繊維であり、この複合短繊維
を用いて得られた不織布に関する。
ルからなる不織布用複合短繊維であり、この複合短繊維
を用いて得られた不織布に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、不織布が様々な分野および用途に
用いられるようになってきており、それに伴って不織布
に対して従来の取扱い性や強度等の機械的特性だけでは
なく、柔軟性等の風合の良さが求められている。そし
て、そのような要求に対して多層貼合型複合繊維等の分
割型複合繊維の使用が提案されている。
用いられるようになってきており、それに伴って不織布
に対して従来の取扱い性や強度等の機械的特性だけでは
なく、柔軟性等の風合の良さが求められている。そし
て、そのような要求に対して多層貼合型複合繊維等の分
割型複合繊維の使用が提案されている。
【0003】短繊維を用いて不織布、カ−ペット等を製
造するにはカ−ディング工程が必要であり、このカ−デ
ィングが可能な単糸繊度は一般に1デニ−ルが下限とさ
れており、それより細デニ−ルの場合には特殊なカ−デ
ィング技術や条件を採用する必要があった。互いに非相
溶性のポリマ−を複合させただけの従来の分割型複合繊
維はカ−ディング工程、またはそれより前の工程である
原綿製造工程で分割が生じ、カ−ディングが困難になる
という問題がある。このような問題を解決するために、
ポリアミドとスルホン酸の金属塩を共重合させたポリエ
ステルとの分割型複合繊維複合繊維を蒸気または熱水中
で延伸し、100〜160℃の乾熱で定長熱処理する方
法が提案されている(特開平2−169722号公
報)。しかしながら、この分割型複合繊維もカ−ディン
グ工程における分割と製品における分割のコントロ−ル
が困難であること、特定の延伸、熱処理を行う必要があ
ること等実用化には問題が多い。
造するにはカ−ディング工程が必要であり、このカ−デ
ィングが可能な単糸繊度は一般に1デニ−ルが下限とさ
れており、それより細デニ−ルの場合には特殊なカ−デ
ィング技術や条件を採用する必要があった。互いに非相
溶性のポリマ−を複合させただけの従来の分割型複合繊
維はカ−ディング工程、またはそれより前の工程である
原綿製造工程で分割が生じ、カ−ディングが困難になる
という問題がある。このような問題を解決するために、
ポリアミドとスルホン酸の金属塩を共重合させたポリエ
ステルとの分割型複合繊維複合繊維を蒸気または熱水中
で延伸し、100〜160℃の乾熱で定長熱処理する方
法が提案されている(特開平2−169722号公
報)。しかしながら、この分割型複合繊維もカ−ディン
グ工程における分割と製品における分割のコントロ−ル
が困難であること、特定の延伸、熱処理を行う必要があ
ること等実用化には問題が多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等はポリアミ
ドとポリエステルとの複合繊維を用いてステ−プルとな
し、不織布等の繊維製品を作製する際、ポリアミドとポ
リエステルとの界面での剥離が原因で生じる繊維化工程
またはカ−ディング工程の工程性不良を改良するために
検討を進めてきた。トラブル発生の原因としては、用い
るポリアミドが複合紡糸時に、用いる紡糸油剤の水分、
または紡糸後のトウをケンス取りした後該ケンスを放置
している間に大気中の水分を吸湿することにより、歪み
が生じ、膨潤または収縮の寸法変化を起こし、ポリエス
テルとの界面剥離が進行するため、次の工程である延伸
工程、捲縮工程でさらに界面剥離と分離が進行し、得ら
れた原綿のフィブリル化が極めて高く、カ−ド通過性が
不良となることが見出だされた。
ドとポリエステルとの複合繊維を用いてステ−プルとな
し、不織布等の繊維製品を作製する際、ポリアミドとポ
リエステルとの界面での剥離が原因で生じる繊維化工程
またはカ−ディング工程の工程性不良を改良するために
検討を進めてきた。トラブル発生の原因としては、用い
るポリアミドが複合紡糸時に、用いる紡糸油剤の水分、
または紡糸後のトウをケンス取りした後該ケンスを放置
している間に大気中の水分を吸湿することにより、歪み
が生じ、膨潤または収縮の寸法変化を起こし、ポリエス
テルとの界面剥離が進行するため、次の工程である延伸
工程、捲縮工程でさらに界面剥離と分離が進行し、得ら
れた原綿のフィブリル化が極めて高く、カ−ド通過性が
不良となることが見出だされた。
【0005】この問題点を解決するためにポリアミドと
複合するポリエステルにスルホン酸の金属塩を共重合さ
せることも検討したが、スルホン酸の金属塩を多量に共
重合させなければならず、コスト的に高価になるばかり
でなく、最終製品、たとえば不織布を高圧水流処理して
ポリエステルとポリアミドとを分割処理する場合、逆に
ポリエステルとポリアミドとの接着力が強すぎて分割処
理が難しいという問題が発生した。良好なカ−ド通過
性、良好な分割性という一見相反する要求を同時に満足
するためにいかなる方法があるか検討した結果、本発明
に至ったものである。
複合するポリエステルにスルホン酸の金属塩を共重合さ
せることも検討したが、スルホン酸の金属塩を多量に共
重合させなければならず、コスト的に高価になるばかり
でなく、最終製品、たとえば不織布を高圧水流処理して
ポリエステルとポリアミドとを分割処理する場合、逆に
ポリエステルとポリアミドとの接着力が強すぎて分割処
理が難しいという問題が発生した。良好なカ−ド通過
性、良好な分割性という一見相反する要求を同時に満足
するためにいかなる方法があるか検討した結果、本発明
に至ったものである。
【0006】本発明の目的は、紡糸、延伸、捲縮等の繊
維化工程、カ−ディング工程において、分割型複合繊維
を構成する非相溶性ポリマ−の貼合構造部の剥離・分離
が発生することなく、繊維化工程性およびカ−ディング
通過性が良好であり、しかも強度が高いにも拘らず柔軟
性に富んだ絡合不織布を提供することにある。
維化工程、カ−ディング工程において、分割型複合繊維
を構成する非相溶性ポリマ−の貼合構造部の剥離・分離
が発生することなく、繊維化工程性およびカ−ディング
通過性が良好であり、しかも強度が高いにも拘らず柔軟
性に富んだ絡合不織布を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、実
質的に芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンからなり、
熱変形温度が80℃以上である非晶性ポリアミド2〜4
0重量%および結晶性熱可塑性ポリアミド60〜98重
量%からなるポリマ−(A)、ならびに熱可塑性ポリエ
ステル(B)とから構成された複合短繊維であって、ポ
リマ−(A)とポリエステル(B)の重量複合比率が1
5:85〜85:15の範囲であり、しかもポリマ−
(A)とポリエステル(B)との複合形状が、各単繊維
の長さ方向で実質的に同一形状でありながら、横断面形
状においては異なることを特徴とする不織布用複合短繊
維であり、該複合短繊維を10重量%以上含む不織布で
あって、該不織布を構成する繊維が三次元的に絡合して
おり、縦方向の裂断長が3km以上である不織布であ
る。
質的に芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンからなり、
熱変形温度が80℃以上である非晶性ポリアミド2〜4
0重量%および結晶性熱可塑性ポリアミド60〜98重
量%からなるポリマ−(A)、ならびに熱可塑性ポリエ
ステル(B)とから構成された複合短繊維であって、ポ
リマ−(A)とポリエステル(B)の重量複合比率が1
5:85〜85:15の範囲であり、しかもポリマ−
(A)とポリエステル(B)との複合形状が、各単繊維
の長さ方向で実質的に同一形状でありながら、横断面形
状においては異なることを特徴とする不織布用複合短繊
維であり、該複合短繊維を10重量%以上含む不織布で
あって、該不織布を構成する繊維が三次元的に絡合して
おり、縦方向の裂断長が3km以上である不織布であ
る。
【0008】本発明の複合短繊維は、構成する一成分と
して用いられるポリマ−(A)に非晶性ポリアミドを用
いることに特徴を有する。この非晶性ポリアミドは、実
質的に芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンからなるポ
リアミドである。
して用いられるポリマ−(A)に非晶性ポリアミドを用
いることに特徴を有する。この非晶性ポリアミドは、実
質的に芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンからなるポ
リアミドである。
【0009】芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル
酸、イソフタル酸、2,6−ナフタリンジカルボン酸等
が挙げられ、本発明においてはテレフタル酸とイソフタ
ル酸の混合が好ましく、その混合割合はテレフタル酸が
10〜50モル%、とくに20〜40モル%、イソフタ
ル酸が90〜50モル%、とくに80〜60モル%の範
囲であることが好ましい。テレフタル酸の混合割合が5
0モル%を越えると非晶性ポリアミドが結晶性となり、
結晶性熱可塑性ポリアミドと相分離を生じ、混合性が不
良となり、複合紡糸性が低下する場合がある。また、脂
肪族ジアミンとしてはテトラメチレンジアミン、ヘキサ
メチレンジアミン、1,10−ジアミノデカン等が挙げ
られ、本発明においてはヘキサメチレンジアミンが好ま
しい。上記の非晶性ポリアミドはアジピン酸、アゼライ
ン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、p−オキシ
安息香酸等のヒドロキシカルボン酸、m−フェニレンジ
アミン、p−フェニレンジアミン等のを芳香族ジアミン
を非晶性を阻害しない範囲内で含んでいても良い。
酸、イソフタル酸、2,6−ナフタリンジカルボン酸等
が挙げられ、本発明においてはテレフタル酸とイソフタ
ル酸の混合が好ましく、その混合割合はテレフタル酸が
10〜50モル%、とくに20〜40モル%、イソフタ
ル酸が90〜50モル%、とくに80〜60モル%の範
囲であることが好ましい。テレフタル酸の混合割合が5
0モル%を越えると非晶性ポリアミドが結晶性となり、
結晶性熱可塑性ポリアミドと相分離を生じ、混合性が不
良となり、複合紡糸性が低下する場合がある。また、脂
肪族ジアミンとしてはテトラメチレンジアミン、ヘキサ
メチレンジアミン、1,10−ジアミノデカン等が挙げ
られ、本発明においてはヘキサメチレンジアミンが好ま
しい。上記の非晶性ポリアミドはアジピン酸、アゼライ
ン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、p−オキシ
安息香酸等のヒドロキシカルボン酸、m−フェニレンジ
アミン、p−フェニレンジアミン等のを芳香族ジアミン
を非晶性を阻害しない範囲内で含んでいても良い。
【0010】このようにして得られた非晶性ポリアミド
は、絶乾状態でのガラス転移温度が高く、さらに熱変形
温度が80℃以上である。熱変形温度はASTM D−
648試験法に準拠し、両端自由支持にて18.5kg
/cm↑2の荷重を加え、2℃/分にて昇温し、1/1
00インチたわんだ時の温度を示す。
は、絶乾状態でのガラス転移温度が高く、さらに熱変形
温度が80℃以上である。熱変形温度はASTM D−
648試験法に準拠し、両端自由支持にて18.5kg
/cm↑2の荷重を加え、2℃/分にて昇温し、1/1
00インチたわんだ時の温度を示す。
【0011】ポリマ−(A)を構成する結晶性熱可塑性
ポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン66、メタ
キシレンジアミンナイロン、ナイロン12等を挙げるこ
とができ、これらは1種あるいは2種以上混合、または
共重合して用いることができる。また該結晶性熱可塑性
ポリアミドは繊維化が可能である重合度を有していれば
よい。
ポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン66、メタ
キシレンジアミンナイロン、ナイロン12等を挙げるこ
とができ、これらは1種あるいは2種以上混合、または
共重合して用いることができる。また該結晶性熱可塑性
ポリアミドは繊維化が可能である重合度を有していれば
よい。
【0012】上記の非晶性ポリアミドおよび結晶性熱可
塑性ポリアミドは、安定剤、紫外線吸収剤、蛍光増白
剤、変性剤、着色剤、顔料等の添加剤を必要に応じて含
有していても良い。
塑性ポリアミドは、安定剤、紫外線吸収剤、蛍光増白
剤、変性剤、着色剤、顔料等の添加剤を必要に応じて含
有していても良い。
【0013】ポリマ−(A)において、非晶性ポリアミ
ドの混合割合は2〜40重量%の範囲内である。2重量
%未満では本発明の効果が十分に発現せず、一方40重
量%を越えると本発明の効果は十分に発現するが、繊維
物性、とくに強度が低くなる。さらに紡糸時に単繊維間
の膠着が生じ、延伸性、カット性が不良となる。好まし
い混合割合は2〜30重量%の範囲内である。
ドの混合割合は2〜40重量%の範囲内である。2重量
%未満では本発明の効果が十分に発現せず、一方40重
量%を越えると本発明の効果は十分に発現するが、繊維
物性、とくに強度が低くなる。さらに紡糸時に単繊維間
の膠着が生じ、延伸性、カット性が不良となる。好まし
い混合割合は2〜30重量%の範囲内である。
【0014】非晶性ポリアミドと結晶性熱可塑性ポリア
ミドとを特定量混合してなるポリマ−(A)を一成分と
する複合繊維が、カ−ド通過性に優れ、さらに最終製品
である不織布の高圧水流による分割性に優れる理由は定
かではないが、以下のように推察される。すなわち、非
晶性ポリアミドはガラス転移温度が高く、かつ吸湿によ
る寸法変化がほとんど生じないため、たとえば紡糸後ケ
ンス取りされたトウが放置されていても大気中の水分に
よる寸法変化が起こらず、したがってポリエステル
(B)との界面の剥離が生じないため、延伸時、捲縮
時、カ−ディング時に繊維のフィブリル化が発生せず、
カ−ド通過性が良好となる。しかしながら不織布作製後
の高圧水流処理等の物理的な力に対抗する程にはポリマ
−(A)とポリエステル(B)間の接着性が強くないの
で容易に分割が可能であると考えられる。また、非晶性
ポリアミドが結晶性熱可塑性ポリアミドと非常に相溶性
が良く、分子混合できることも理由の一つと考えられ
る。
ミドとを特定量混合してなるポリマ−(A)を一成分と
する複合繊維が、カ−ド通過性に優れ、さらに最終製品
である不織布の高圧水流による分割性に優れる理由は定
かではないが、以下のように推察される。すなわち、非
晶性ポリアミドはガラス転移温度が高く、かつ吸湿によ
る寸法変化がほとんど生じないため、たとえば紡糸後ケ
ンス取りされたトウが放置されていても大気中の水分に
よる寸法変化が起こらず、したがってポリエステル
(B)との界面の剥離が生じないため、延伸時、捲縮
時、カ−ディング時に繊維のフィブリル化が発生せず、
カ−ド通過性が良好となる。しかしながら不織布作製後
の高圧水流処理等の物理的な力に対抗する程にはポリマ
−(A)とポリエステル(B)間の接着性が強くないの
で容易に分割が可能であると考えられる。また、非晶性
ポリアミドが結晶性熱可塑性ポリアミドと非常に相溶性
が良く、分子混合できることも理由の一つと考えられ
る。
【0015】本発明の複合短繊維を構成する一成分とし
て用いられるポリエステル(B)としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、2,6−ナフタリンジカルボン酸、
フタル酸、α,β−(4−カルボキシフェノキシ)エタ
ン、4,4−ジカルボキシジフェニル、5−ナトリウム
スルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;アジピン
酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン
酸;またはそれらのエステル形成性誘導体、エチレング
リコ−ル、ジエチレングリコ−ル、1,4−ブタンジオ
−ル、ネオペンチルグリコ−ル、1,6−ヘキサンジオ
−ル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノ−ル、ポリエ
チレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル等の
ジオ−ル化合物から形成された繊維形成性ポリエステル
を挙げることができる。なかでも、ポリエステルの構成
単位の80モル%以上、とくに90モル%以上がエチレ
ンテレフタレ−ト単位および/またはブチレンテレフタ
レ−ト単位であるポリエステルが好ましい。該ポリエス
テルは、安定剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、変性剤、
着色剤、顔料等の添加剤を必要に応じて含有していても
良い。
て用いられるポリエステル(B)としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、2,6−ナフタリンジカルボン酸、
フタル酸、α,β−(4−カルボキシフェノキシ)エタ
ン、4,4−ジカルボキシジフェニル、5−ナトリウム
スルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;アジピン
酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン
酸;またはそれらのエステル形成性誘導体、エチレング
リコ−ル、ジエチレングリコ−ル、1,4−ブタンジオ
−ル、ネオペンチルグリコ−ル、1,6−ヘキサンジオ
−ル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノ−ル、ポリエ
チレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル等の
ジオ−ル化合物から形成された繊維形成性ポリエステル
を挙げることができる。なかでも、ポリエステルの構成
単位の80モル%以上、とくに90モル%以上がエチレ
ンテレフタレ−ト単位および/またはブチレンテレフタ
レ−ト単位であるポリエステルが好ましい。該ポリエス
テルは、安定剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、変性剤、
着色剤、顔料等の添加剤を必要に応じて含有していても
良い。
【0016】ポリマ−(A)とポリエステル(B)との
複合比率は(A)/(B)=15/85〜85/15
(重量比)、とくに20/80〜80/20であること
が好ましい。該複合比率外の場合、紡糸性が不良とな
る。
複合比率は(A)/(B)=15/85〜85/15
(重量比)、とくに20/80〜80/20であること
が好ましい。該複合比率外の場合、紡糸性が不良とな
る。
【0017】本発明においては、ポリマ−(A)とポリ
エステル(B)との複合形状にも特徴を有する。すなわ
ち、各単繊維の長さ方向で実質的に同一形状でありなが
ら、横断面形状においては異なる複合短繊維である。
「各単繊維の横断面形状において異なる」とは、ポリマ
−(A)とポリエステル(B)との複合形状が繊維の長
さ方向には実質的に同一形状でありながら、単繊維間に
おいてランダムに異なり、木目状多層混合構造、非円形
状の海島混合構造等の混合構造を有することを示す。た
とえば、図1にポリマ−(A)とポリエステル(B)と
からなり複合比が(A):(B)=1:1の複合繊維束
の繊維断面を示す。ポリマ−(A)とポリエステル
(B)との複合形状が単繊維間でランダムに異なり、ポ
リマ−(A)が層状分割層を形成している場合もあれ
ば、独立の島状分割層を形成している場合もある。ま
た、図2に単繊維断面の複合形状を示すが、(イ)はポ
リマ−(A)とポリエステル(B)が極端に偏在化して
貼合わせ構造に似た断面形状を形成している例であり、
(ロ)はポリマ−(A)とポリエステル(B)が多層状
に貼合わされた断面形状を形成している例であり、
(ハ)はポリマ−(A)とポリエステル(B)のどちら
か一方が非円形の島状独立層を形成している例である。
エステル(B)との複合形状にも特徴を有する。すなわ
ち、各単繊維の長さ方向で実質的に同一形状でありなが
ら、横断面形状においては異なる複合短繊維である。
「各単繊維の横断面形状において異なる」とは、ポリマ
−(A)とポリエステル(B)との複合形状が繊維の長
さ方向には実質的に同一形状でありながら、単繊維間に
おいてランダムに異なり、木目状多層混合構造、非円形
状の海島混合構造等の混合構造を有することを示す。た
とえば、図1にポリマ−(A)とポリエステル(B)と
からなり複合比が(A):(B)=1:1の複合繊維束
の繊維断面を示す。ポリマ−(A)とポリエステル
(B)との複合形状が単繊維間でランダムに異なり、ポ
リマ−(A)が層状分割層を形成している場合もあれ
ば、独立の島状分割層を形成している場合もある。ま
た、図2に単繊維断面の複合形状を示すが、(イ)はポ
リマ−(A)とポリエステル(B)が極端に偏在化して
貼合わせ構造に似た断面形状を形成している例であり、
(ロ)はポリマ−(A)とポリエステル(B)が多層状
に貼合わされた断面形状を形成している例であり、
(ハ)はポリマ−(A)とポリエステル(B)のどちら
か一方が非円形の島状独立層を形成している例である。
【0018】本発明の複合短繊維はこのような断面形状
を有していることにより、天然繊維に似た自然な斑と風
合、とくに嵩高さと柔軟な触感を有しており、そして不
織布にした時の全体の柔軟さを発現させることが可能に
なった。また、カ−ディング工程において、ポリマ−
(A)とポリエステル(B)との界面剥離がわずかに見
られても、繊維集合体としてシリンダ−に巻き付いた
り、ネップが発生したりすることもなく、カ−ド通過性
が良好であるのもこのような繊維断面形状に起因すると
推定される。
を有していることにより、天然繊維に似た自然な斑と風
合、とくに嵩高さと柔軟な触感を有しており、そして不
織布にした時の全体の柔軟さを発現させることが可能に
なった。また、カ−ディング工程において、ポリマ−
(A)とポリエステル(B)との界面剥離がわずかに見
られても、繊維集合体としてシリンダ−に巻き付いた
り、ネップが発生したりすることもなく、カ−ド通過性
が良好であるのもこのような繊維断面形状に起因すると
推定される。
【0019】本発明の複合短繊維の製造方法は、通常、
複合紡糸法が適用される。その最も好ましい方法に用い
られる紡糸装置の口金部を図3に示す。以下、図3によ
り紡糸法を説明する。別々の押出機により溶融され押し
出されたポリマ−(A)およびポリエステル(B)の溶
融流は、各々の計量機により所定量計量された後、サン
ドボックス3の濾過部1で濾過された後、各々の金属フ
ィルタ−2を経た後、ミキシングプレ−ト4に設けられ
た静止型混合器5で所定条件下混合され、分配板6の分
配路7を経て放射状に分配した後、紡糸口金の紡糸孔よ
り流出される。
複合紡糸法が適用される。その最も好ましい方法に用い
られる紡糸装置の口金部を図3に示す。以下、図3によ
り紡糸法を説明する。別々の押出機により溶融され押し
出されたポリマ−(A)およびポリエステル(B)の溶
融流は、各々の計量機により所定量計量された後、サン
ドボックス3の濾過部1で濾過された後、各々の金属フ
ィルタ−2を経た後、ミキシングプレ−ト4に設けられ
た静止型混合器5で所定条件下混合され、分配板6の分
配路7を経て放射状に分配した後、紡糸口金の紡糸孔よ
り流出される。
【0020】上記静止型混合器5の混合素子の数は目的
とする繊維構造に応じて適宜設定することができるが、
現在実用化されているものとして、Kenics社の1
80度左右ねじった羽を90度ずらせて配列したnエレ
メントを通過させると2↑n層分割するタイプのスタチ
ックミキサ−等があるが、該スタチックミキサ−を使用
した場合はエレメント数を3〜8の範囲にすることが好
ましい。エレメント数が8を越えると、ポリマ−(A)
とポリエステル(B)との混合性がよくなりすぎて均一
混合に近くなり、繊維化しても本発明でいう、各単繊維
の長さ方向で実質的に同一形状でありながら、横断面形
状においては異なる繊維は得られにくくなる。
とする繊維構造に応じて適宜設定することができるが、
現在実用化されているものとして、Kenics社の1
80度左右ねじった羽を90度ずらせて配列したnエレ
メントを通過させると2↑n層分割するタイプのスタチ
ックミキサ−等があるが、該スタチックミキサ−を使用
した場合はエレメント数を3〜8の範囲にすることが好
ましい。エレメント数が8を越えると、ポリマ−(A)
とポリエステル(B)との混合性がよくなりすぎて均一
混合に近くなり、繊維化しても本発明でいう、各単繊維
の長さ方向で実質的に同一形状でありながら、横断面形
状においては異なる繊維は得られにくくなる。
【0021】静止型混合器の混合素子数が最適であって
も、ポリマ−(A)とポリエステル(B)とが接触を開
始してから紡糸孔より流出されるまでの滞留時間が長す
ぎると、各ポリマ−の加熱による分解が進み、紡糸時の
粘度低下、得られる繊維の着色が生じる場合がある。し
たがって、上記滞留時間は5分、とくに3分以内が好ま
しい。
も、ポリマ−(A)とポリエステル(B)とが接触を開
始してから紡糸孔より流出されるまでの滞留時間が長す
ぎると、各ポリマ−の加熱による分解が進み、紡糸時の
粘度低下、得られる繊維の着色が生じる場合がある。し
たがって、上記滞留時間は5分、とくに3分以内が好ま
しい。
【0022】このようにして得られた未延伸複合繊維を
60℃以上かつ繊維相互が融着しない温度で熱延伸を行
なう。熱延伸は通常の水浴延伸装置を用いて行なうこと
ができる。熱延伸温度が60℃未満の場合、ポリエステ
ル(B)の複合比率が高くなると繊維化収縮率が大きく
なるので好ましくない。一方繊維相互が融着しない温度
を越えて延伸した場合、繊維相互が融着を始め、延伸工
程で糸切れが発生して操業性が低下し、製品の均一性が
低下するので好ましくない。好ましくは60〜95℃の
範囲である。
60℃以上かつ繊維相互が融着しない温度で熱延伸を行
なう。熱延伸は通常の水浴延伸装置を用いて行なうこと
ができる。熱延伸温度が60℃未満の場合、ポリエステ
ル(B)の複合比率が高くなると繊維化収縮率が大きく
なるので好ましくない。一方繊維相互が融着しない温度
を越えて延伸した場合、繊維相互が融着を始め、延伸工
程で糸切れが発生して操業性が低下し、製品の均一性が
低下するので好ましくない。好ましくは60〜95℃の
範囲である。
【0023】ついで、得られた延伸複合繊維に捲縮付与
処理を施す。捲縮付与処理は、通常のスタッファ型捲縮
付与装置等の捲縮付与装置を用いて行なうことができ
る。捲縮付与処理に引き続き、繊維に仕上げ油剤を付与
して乾燥した後、所定の長さに切断して短繊維とする。
短繊維長が20〜100mmの範囲のものは乾式用不織
布として、また3〜10mmの範囲のものは湿式用不織
布として好適である。
処理を施す。捲縮付与処理は、通常のスタッファ型捲縮
付与装置等の捲縮付与装置を用いて行なうことができ
る。捲縮付与処理に引き続き、繊維に仕上げ油剤を付与
して乾燥した後、所定の長さに切断して短繊維とする。
短繊維長が20〜100mmの範囲のものは乾式用不織
布として、また3〜10mmの範囲のものは湿式用不織
布として好適である。
【0024】上記短繊維からなる不織布について説明す
る。本発明の不織布は、上記複合短繊維10重量%以上
からなる。10重量%以上が上記複合短繊維からなるた
め、後述の分割処理により複合短繊維が分割して絡合し
やすく、強度がありしかも風合の柔らかい不織布を得る
ことができる。この不織布を構成する複合短繊維が10
重量%未満の場合、繊維間の絡合が不十分であり、本発
明において目的とする不織布を得ることができない。本
発明の不織布において、複合短繊維と混合する他の短繊
維として通常の熱可塑性ポリマ−からなる短繊維、軟化
温度の比較的低い熱バインダ−繊維、レ−ヨン等の再生
繊維、あるいは木綿等の天然繊維を用いることができ、
また、上記複合短繊維のカ−ドウエッブと他素材のカ−
ドウエッブとの積層ウエッブとしてもよい。
る。本発明の不織布は、上記複合短繊維10重量%以上
からなる。10重量%以上が上記複合短繊維からなるた
め、後述の分割処理により複合短繊維が分割して絡合し
やすく、強度がありしかも風合の柔らかい不織布を得る
ことができる。この不織布を構成する複合短繊維が10
重量%未満の場合、繊維間の絡合が不十分であり、本発
明において目的とする不織布を得ることができない。本
発明の不織布において、複合短繊維と混合する他の短繊
維として通常の熱可塑性ポリマ−からなる短繊維、軟化
温度の比較的低い熱バインダ−繊維、レ−ヨン等の再生
繊維、あるいは木綿等の天然繊維を用いることができ、
また、上記複合短繊維のカ−ドウエッブと他素材のカ−
ドウエッブとの積層ウエッブとしてもよい。
【0025】本発明の不織布の製造方法として、例えば
上記複合短繊維を用いてカ−ドウエッブを作成し、高圧
流体噴流により前記ウエッブに流体絡合処理を施して、
複合短繊維相互を三次元的に絡合させる方法、上記複合
短繊維と熱バインダ−繊維とを混綿し、カ−ド機により
カ−ディングして所定目付のウエッブを得た後、加熱し
て熱バインダ−繊維を溶融させ複合短繊維間を相互に接
着させる方法、上記複合短繊維と通常の熱可塑性ポリマ
−からなる短繊維あるいは天然繊維と混綿し、カ−ド機
によりカ−ディングして所定目付のウエッブを得た後、
高圧水流パンチング処理またはニ−ドルパンチング処理
する方法等、通常の方法が用いられる。
上記複合短繊維を用いてカ−ドウエッブを作成し、高圧
流体噴流により前記ウエッブに流体絡合処理を施して、
複合短繊維相互を三次元的に絡合させる方法、上記複合
短繊維と熱バインダ−繊維とを混綿し、カ−ド機により
カ−ディングして所定目付のウエッブを得た後、加熱し
て熱バインダ−繊維を溶融させ複合短繊維間を相互に接
着させる方法、上記複合短繊維と通常の熱可塑性ポリマ
−からなる短繊維あるいは天然繊維と混綿し、カ−ド機
によりカ−ディングして所定目付のウエッブを得た後、
高圧水流パンチング処理またはニ−ドルパンチング処理
する方法等、通常の方法が用いられる。
【0026】流体噴流処理は液体または気体を噴き当
て、絡合処理を施すことであり、通常、絡合、分散を同
時に行なわせる点、かつ安全性において液体が好ましく
用いられる。液体中には、膨潤剤、溶剤等を混入させて
複合短繊維を分割化、絡合処理を行なってもよい。
て、絡合処理を施すことであり、通常、絡合、分散を同
時に行なわせる点、かつ安全性において液体が好ましく
用いられる。液体中には、膨潤剤、溶剤等を混入させて
複合短繊維を分割化、絡合処理を行なってもよい。
【0027】カ−ドウエッブは、通常、構成繊維の配合
割合によって異なり、カ−ド機の進行方向に配列したパ
ラレルウエッブ、ランダムに配列したランダムウエッ
ブ、両者の中間程度に配列したセミランダムウエッブ、
クロスラップウエッブ等があり、本発明の不織布はこれ
らのいずれであってもよい。
割合によって異なり、カ−ド機の進行方向に配列したパ
ラレルウエッブ、ランダムに配列したランダムウエッ
ブ、両者の中間程度に配列したセミランダムウエッブ、
クロスラップウエッブ等があり、本発明の不織布はこれ
らのいずれであってもよい。
【0028】本発明において、不織布を構成する複合短
繊維の分割は、上記の流体噴流処理により繊維の絡合と
同時に行なうことができる。また、複合短繊維と熱バイ
ンダ−繊維とを混綿した不織布、あるいはパンチング処
理を施した不織布はさらに高圧流体噴流を当てることに
より分割処理を施すことができる。
繊維の分割は、上記の流体噴流処理により繊維の絡合と
同時に行なうことができる。また、複合短繊維と熱バイ
ンダ−繊維とを混綿した不織布、あるいはパンチング処
理を施した不織布はさらに高圧流体噴流を当てることに
より分割処理を施すことができる。
【0029】高圧流体噴流は孔径の小さいノズルまたは
間隔の狭いスリットから噴射して、高速の柱状流または
カ−テン流として噴き当てる。流体噴流としては水が好
ましく、常温の水、35〜80℃程度に加温した水が使
用でき、繊維の分割を促進させるための処理剤を含んで
いてもよい。圧力条件は複合短繊維の分割のし易さで決
定するが、通常、5〜300Kg/cm↑2程度の範囲
内で使用できる。5Kg/cm↑2未満では絡合・分割
効果が少なく、300Kg/cm↑2を越えると、打撃
欠点や変形が生じ好ましくない。この流体噴流処理は不
織布の片面あるいは両面に行なうことができる。目付は
約20g/m↑2〜約300g/m↑2まで任意に可能
であるが、流体噴流による分割交絡を不織布の内部まで
行うためには約150g/m↑2以下が好ましい。
間隔の狭いスリットから噴射して、高速の柱状流または
カ−テン流として噴き当てる。流体噴流としては水が好
ましく、常温の水、35〜80℃程度に加温した水が使
用でき、繊維の分割を促進させるための処理剤を含んで
いてもよい。圧力条件は複合短繊維の分割のし易さで決
定するが、通常、5〜300Kg/cm↑2程度の範囲
内で使用できる。5Kg/cm↑2未満では絡合・分割
効果が少なく、300Kg/cm↑2を越えると、打撃
欠点や変形が生じ好ましくない。この流体噴流処理は不
織布の片面あるいは両面に行なうことができる。目付は
約20g/m↑2〜約300g/m↑2まで任意に可能
であるが、流体噴流による分割交絡を不織布の内部まで
行うためには約150g/m↑2以下が好ましい。
【0030】分割後の細分化した複合短繊維の繊度はと
くに限定されるものではないが、通常、1.0デニ−ル
以下であることが好ましい。絡合・分割処理を施した不
織布は、繊維が密に交絡した面にカレンダ−処理、エン
ボス処理、染色・捺染等の着色処理などを施すことがで
きる。
くに限定されるものではないが、通常、1.0デニ−ル
以下であることが好ましい。絡合・分割処理を施した不
織布は、繊維が密に交絡した面にカレンダ−処理、エン
ボス処理、染色・捺染等の着色処理などを施すことがで
きる。
【0031】本発明の不織布は、裂断長が3km以上
と、強度が高いうえに柔軟性をも有する。この不織布は
柔軟性を重視する人工皮革衣料分野はもちろんのこと、
ワイピングクロス、各種フィルタ−、タオル、フェ−シ
ング材等の衛生材料などに好ましく用いられる。
と、強度が高いうえに柔軟性をも有する。この不織布は
柔軟性を重視する人工皮革衣料分野はもちろんのこと、
ワイピングクロス、各種フィルタ−、タオル、フェ−シ
ング材等の衛生材料などに好ましく用いられる。
【0032】以下、実施例により本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例になんら限定されない。
なお、実施例において、不織布の強度は、不織布を巾1
cm、長さ10cmに裁断し、引張試験機(島津製作所
製、島津オ−トグラフ2000A)を用いて引張強度を
測定し、裂断長(km)で示した。また、熱変形温度は
ASTM D−648試験法に準拠して測定し、ガラス
転移温度は示差走査熱量計(メトラ−社製、TA−30
00型)を用い、窒素雰囲気中急冷非晶状態の試料に対
し、10℃/分の昇温速度により測定した。
するが、本発明はこれら実施例になんら限定されない。
なお、実施例において、不織布の強度は、不織布を巾1
cm、長さ10cmに裁断し、引張試験機(島津製作所
製、島津オ−トグラフ2000A)を用いて引張強度を
測定し、裂断長(km)で示した。また、熱変形温度は
ASTM D−648試験法に準拠して測定し、ガラス
転移温度は示差走査熱量計(メトラ−社製、TA−30
00型)を用い、窒素雰囲気中急冷非晶状態の試料に対
し、10℃/分の昇温速度により測定した。
【0033】実施例1 非晶性ポリアミドとして、テレフタル酸25モル%、イ
ソフタル酸75モル%、ヘキサメチレンジアミン100
モル%からなり、絶乾状態でのガラス転移温度が125
℃、熱変形温度が100℃のポリアミドを使用し、結晶
性ポリアミドとしてナイロン6(宇部興産(株))を使
用し、混合比が、非晶性ポリアミド/結晶性ポリアミド
=20/80(重量比)のポリマ−(A)を得た。ポリ
エステル(B)として極限粘度[η]=0.63(フェ
ノ−ルとテトラクロロエタンの当重量混合溶液を用いて
30℃で測定した。)のポリエチレンテレフタレ−トを
使用した。ポリマ−(A)とポリエステル(B)とが5
0/50(重量比)になるように、各ポリマ−をギアポ
ンプで計量した後、紡糸パックに供給し、紡糸パック内
の5エレメントスタティックミキサ−(ケニックス社
製)で両ポリマ−による層状分割型重合体流を形成させ
て、1000ホ−ルの丸孔ノズルから口金温度285℃
で吐出し、800m/分の紡糸速度で溶融紡糸し、単糸
約7デニ−ルの未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を浴
温75℃で3.8倍に延伸し、ついで機械捲縮を施した
後、100℃の熱処理を行ない、38mmに切断して単
糸2デニ−ルである、図1に示す断面形状の複合短繊維
からなる原綿を得た。
ソフタル酸75モル%、ヘキサメチレンジアミン100
モル%からなり、絶乾状態でのガラス転移温度が125
℃、熱変形温度が100℃のポリアミドを使用し、結晶
性ポリアミドとしてナイロン6(宇部興産(株))を使
用し、混合比が、非晶性ポリアミド/結晶性ポリアミド
=20/80(重量比)のポリマ−(A)を得た。ポリ
エステル(B)として極限粘度[η]=0.63(フェ
ノ−ルとテトラクロロエタンの当重量混合溶液を用いて
30℃で測定した。)のポリエチレンテレフタレ−トを
使用した。ポリマ−(A)とポリエステル(B)とが5
0/50(重量比)になるように、各ポリマ−をギアポ
ンプで計量した後、紡糸パックに供給し、紡糸パック内
の5エレメントスタティックミキサ−(ケニックス社
製)で両ポリマ−による層状分割型重合体流を形成させ
て、1000ホ−ルの丸孔ノズルから口金温度285℃
で吐出し、800m/分の紡糸速度で溶融紡糸し、単糸
約7デニ−ルの未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を浴
温75℃で3.8倍に延伸し、ついで機械捲縮を施した
後、100℃の熱処理を行ない、38mmに切断して単
糸2デニ−ルである、図1に示す断面形状の複合短繊維
からなる原綿を得た。
【0034】得られた原綿80重量%と、ポリエチレン
/ポリエステル芯鞘型複合繊維(ソフィットN−710
タイプ、単糸2デニ−ル、長さ51mm:(株)クラレ
製)20重量%とを混綿し、目付量50g/m↑2のウ
エッブを作製した。このウエッブに50kg/cm↑2
の高圧水流をあて交絡処理を施した後、140℃で熱風
処理して不織布を製造した。複合短繊維は高圧水流によ
り分割していた。複合繊維製造時の工程性、不織布製造
時の工程性はいずれも良好であり、しかも得られた不織
布はそれを構成する複合繊維の細分化が進み、風合が柔
軟であり、天然繊維である綿からなる不織布に風合が近
似していた。そのうえ強度も強いものであった。結果を
表1に示す。
/ポリエステル芯鞘型複合繊維(ソフィットN−710
タイプ、単糸2デニ−ル、長さ51mm:(株)クラレ
製)20重量%とを混綿し、目付量50g/m↑2のウ
エッブを作製した。このウエッブに50kg/cm↑2
の高圧水流をあて交絡処理を施した後、140℃で熱風
処理して不織布を製造した。複合短繊維は高圧水流によ
り分割していた。複合繊維製造時の工程性、不織布製造
時の工程性はいずれも良好であり、しかも得られた不織
布はそれを構成する複合繊維の細分化が進み、風合が柔
軟であり、天然繊維である綿からなる不織布に風合が近
似していた。そのうえ強度も強いものであった。結果を
表1に示す。
【0035】実施例2 ポリマ−(A)とポリエステル(B)との複合比を前者
/後者=30/70(重量比)にした以外は、実施例1
と同様にして複合短繊維からなる混綿を得、ついで不織
布を作製した。得られた不織布は風合が柔軟なうえ、強
度も兼ね備えたものであった。
/後者=30/70(重量比)にした以外は、実施例1
と同様にして複合短繊維からなる混綿を得、ついで不織
布を作製した。得られた不織布は風合が柔軟なうえ、強
度も兼ね備えたものであった。
【0036】実施例3 ポリマ−(A)を構成する非晶性ポリアミドと結晶性ポ
リアミドとの混合比を前者/後者=10/90(重量
比)にした以外は、実施例1と同様にして複合短繊維か
らなる混綿を得、ついで不織布を作製した。得られた不
織布は風合が柔軟なうえ、強度も兼ね備えたものであっ
た。
リアミドとの混合比を前者/後者=10/90(重量
比)にした以外は、実施例1と同様にして複合短繊維か
らなる混綿を得、ついで不織布を作製した。得られた不
織布は風合が柔軟なうえ、強度も兼ね備えたものであっ
た。
【0037】実施例4〜5 ポリマ−(A)を構成する非晶性ポリアミドと結晶性ポ
リアミドとの混合比(重量比)を前者/後者=5/95
(実施例4)、10/90(実施例5)とし、ポリエス
テル(B)として5−ナトリウムスルホイソフタル酸
2.5モル%共重合したポリエチレンテレフタレ−ト
(極限粘度[η]=0.55)を用いた以外は、実施例
1と同様にして複合短繊維からなる混綿を得、ついで不
織布を作製した。得られた不織布はいずれも風合が良好
で強度も有していた。
リアミドとの混合比(重量比)を前者/後者=5/95
(実施例4)、10/90(実施例5)とし、ポリエス
テル(B)として5−ナトリウムスルホイソフタル酸
2.5モル%共重合したポリエチレンテレフタレ−ト
(極限粘度[η]=0.55)を用いた以外は、実施例
1と同様にして複合短繊維からなる混綿を得、ついで不
織布を作製した。得られた不織布はいずれも風合が良好
で強度も有していた。
【0038】比較例1 ポリマ−(A)として、結晶性ポリアミドであるナイロ
ン6のみを用いた以外は実施例1と同様にして複合短繊
維からなる混綿を得、ついで不織布を作製した。不織布
作製時、カ−ドで綿がシリンダ−に巻き付き、カ−ディ
ング性が非常に不良であった。また、得られた不織布は
ネップが多発しており、製品としての価値のないもので
あった。
ン6のみを用いた以外は実施例1と同様にして複合短繊
維からなる混綿を得、ついで不織布を作製した。不織布
作製時、カ−ドで綿がシリンダ−に巻き付き、カ−ディ
ング性が非常に不良であった。また、得られた不織布は
ネップが多発しており、製品としての価値のないもので
あった。
【0039】比較例2 ポリエステル(B)として5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸が5モル%共重合されたポリエチレンテレフタレ
−ト(極限粘度[η]=0.45)を用いた以外は比較
例1と同様にして複合短繊維からなる混綿を得、ついで
不織布を作製した。カ−ディング性等の工程性は良好で
あったが、高圧流体処理においてポリマ−(A)とポリ
エステル(B)とがほとんど分割せず、柔軟な風合を有
する不織布は得られなかった。
タル酸が5モル%共重合されたポリエチレンテレフタレ
−ト(極限粘度[η]=0.45)を用いた以外は比較
例1と同様にして複合短繊維からなる混綿を得、ついで
不織布を作製した。カ−ディング性等の工程性は良好で
あったが、高圧流体処理においてポリマ−(A)とポリ
エステル(B)とがほとんど分割せず、柔軟な風合を有
する不織布は得られなかった。
【0040】比較例3〜4 ポリマ−(A)とポリエステル(B)との複合比(重量
比)を前者/後者=95/5(比較例3)、5/95
(比較例4)とした以外は実施例1と同様にして複合短
繊維からなる混綿を作製しようとしたが、いずれも紡糸
時に毛羽、断糸が頻発し、満足な混綿を作製することが
できなかった。
比)を前者/後者=95/5(比較例3)、5/95
(比較例4)とした以外は実施例1と同様にして複合短
繊維からなる混綿を作製しようとしたが、いずれも紡糸
時に毛羽、断糸が頻発し、満足な混綿を作製することが
できなかった。
【0041】比較例5 ポリマ−(A)を構成する非晶性ポリアミドと結晶性ポ
リアミドとの混合比を前者/後者=1/99(重量比)
にした以外は実施例1と同様にして複合短繊維からなる
混綿を得、ついで不織布を作製した。カ−ディング性等
の工程性が不良であり、不織布にネップが多く見られ、
外観不良であった。
リアミドとの混合比を前者/後者=1/99(重量比)
にした以外は実施例1と同様にして複合短繊維からなる
混綿を得、ついで不織布を作製した。カ−ディング性等
の工程性が不良であり、不織布にネップが多く見られ、
外観不良であった。
【0042】比較例6 ポリマ−(A)を構成する非晶性ポリアミドと結晶性ポ
リアミドとの混合比を前者/後者=50/50(重量
比)にした以外は実施例1と同様にして複合短繊維から
なる混綿を得、ついで不織布を作製した。紡糸後のトウ
において単繊維間に膠着が見られ、延伸性、カ−ディン
グ性が不良であった。
リアミドとの混合比を前者/後者=50/50(重量
比)にした以外は実施例1と同様にして複合短繊維から
なる混綿を得、ついで不織布を作製した。紡糸後のトウ
において単繊維間に膠着が見られ、延伸性、カ−ディン
グ性が不良であった。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】本発明の複合短繊維は、繊維化工程性が
良好であり、さらに該複合短繊維を含む不織布はその製
造時の工程性、とくにカ−ド通過性が良好であり、複合
短繊維が細分化されているため、柔軟な風合を有し、し
かも高い強度をも有する。
良好であり、さらに該複合短繊維を含む不織布はその製
造時の工程性、とくにカ−ド通過性が良好であり、複合
短繊維が細分化されているため、柔軟な風合を有し、し
かも高い強度をも有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合短繊維の繊維断面を示す模式図で
ある。
ある。
【図2】本発明の複合短繊維の繊維断面を示す他の模式
図である。
図である。
【図3】本発明に使用する紡糸装置の口金部断面を示す
図である。
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−91224(JP,A) 特開 平4−333693(JP,A) 特開 平4−257357(JP,A) 特開 平2−169722(JP,A) 特開 平3−19917(JP,A) 特開 平5−51818(JP,A) 特開 平5−25705(JP,A) 特開 平5−25762(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 8/14
Claims (2)
- 【請求項1】実質的に芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジア
ミンからなり、熱変形温度が80℃以上である非晶性ポ
リアミド2〜40重量%および結晶性熱可塑性ポリアミ
ド60〜98重量%からなるポリマ−(A)、ならびに
熱可塑性ポリエステル(B)とから構成された複合短繊
維であって、ポリマ−(A)とポリエステル(B)の重
量複合比率が15:85〜85:15の範囲であり、し
かもポリマ−(A)とポリエステル(B)との複合形状
が、各単繊維の長さ方向で実質的に同一形状でありなが
ら、横断面形状においては異なることを特徴とする複合
短繊維。 - 【請求項2】請求項1記載の複合短繊維を10重量%以
上含む不織布であって、該不織布を構成する繊維が三次
元的に絡合しており、縦方向の裂断長が3km以上であ
る不織布。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12932693A JP3235908B2 (ja) | 1993-05-31 | 1993-05-31 | 複合繊維およびそれからなる不織布 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12932693A JP3235908B2 (ja) | 1993-05-31 | 1993-05-31 | 複合繊維およびそれからなる不織布 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06341018A JPH06341018A (ja) | 1994-12-13 |
JP3235908B2 true JP3235908B2 (ja) | 2001-12-04 |
Family
ID=15006829
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12932693A Expired - Fee Related JP3235908B2 (ja) | 1993-05-31 | 1993-05-31 | 複合繊維およびそれからなる不織布 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3235908B2 (ja) |
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---|---|---|---|---|
JPH08218227A (ja) * | 1995-02-13 | 1996-08-27 | Kuraray Co Ltd | 分割型複合繊維 |
KR100988976B1 (ko) * | 2005-09-22 | 2010-10-20 | 주식회사 효성 | 폴리에스터/폴리아미드 분할형 복합사 및 그 제조방법 |
KR100729957B1 (ko) * | 2006-03-23 | 2007-06-19 | 한국바이린주식회사 | 자동차용 부직포 내장재 및 그 제조방법 |
CN103789928A (zh) * | 2014-01-28 | 2014-05-14 | 嘉兴学院 | 一种卷曲型纤维弹性无纺布及其制造方法 |
WO2017221713A1 (ja) * | 2016-06-22 | 2017-12-28 | 東レ株式会社 | 高熱収縮性ポリアミド複合繊維および加工糸およびそれらを一部に用いた織編物 |
-
1993
- 1993-05-31 JP JP12932693A patent/JP3235908B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06341018A (ja) | 1994-12-13 |
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