JP3233421B2 - 空気調和制御装置 - Google Patents

空気調和制御装置

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JP3233421B2 JP25959791A JP25959791A JP3233421B2 JP 3233421 B2 JP3233421 B2 JP 3233421B2 JP 25959791 A JP25959791 A JP 25959791A JP 25959791 A JP25959791 A JP 25959791A JP 3233421 B2 JP3233421 B2 JP 3233421B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両や一般建造物等に
採用するに適した空気調和制御装置に関する。
【0002】
【従来技術】従来、例えば、特開平1ー229713号
公報に示されているように、快適性を向上させるために
車両の乗員の温感情報として乗員の現実の皮膚温を検出
し車室内の空調を制御するようにしたものがある。ま
た、乗員の温感情報としての皮膚温がすべての乗員につ
いて検出されない場合には、皮膚温を検出していない乗
員や車室内全体の温熱的快適性を確保するために、特願
平3ー42632号明細書に示されているように、検出
した現実の皮膚温が目標の皮膚温に近づくにつれて人間
に向けて集中的に吹き出していた空気流を空調空間内に
拡散的に吹き出すように空気流を制御することが考えら
れる。また、皮膚温検出による快適性向上と省動力を併
せて実現するものとしては、特願平3ー43674号明
細書に示されているように、現実の皮膚温が目標の皮膚
温に近づくにつれて圧縮機の容量又は回転数を制御する
ようにしたものが考えられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の特開平
1ー229713号公報や特願平3ー42632号明細
書に示されているものは、乗員の快適性は向上されるも
のの、省動力については全く考慮されていない。また、
特願平3ー43674号明細書に示されるものでは、現
実の皮膚温と目標の皮膚温との近づき具合を指標に制御
しているため、皮膚温を検出している乗員(例えば、運
転者)の皮膚温が目標皮膚温に近づき、吹き出し状態制
御手段が空気流を拡散的に空調空間に吹き出して車室内
全体の温度を下げようとすると、同じく皮膚温の近づき
方を指標に制御される圧縮機は小容量運転となり、吹き
出し空気の吹き出し速度も遅く、空調空間の温度を下げ
る能力が不足し、乗員全員に快適な空調を提供すること
ができないという不具合がある。そこで、本発明は、上
述のようなことに対処すべく、空気調和制御装置におい
て、快適性の向上と同時に省動力をも確保しようとする
ものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題の解決にあた
り、本発明の構成は、図1にて例示するごとく、冷凍サ
イクルを作動させる可変容量型圧縮機と、被空調空間内
の現実の温度を空間温度として検出する空間温度検出手
(1)と、前記被空調空間内の目標空間温度と前記検
出空間温度との差を空間温度差として決定する空間温度
差決定手段(2)と、前記被空調空間内の人間の現実の
皮膚温を検出する皮膚温検出手段(3)と、前記検出皮
膚温に基づいて目標皮膚温を決定する目標皮膚温決定手
(4)と、前記決定目標皮膚温と前記検出皮膚温との
差を皮膚温差として決定する皮膚温差決定手段(5)
と、前記決定皮膚温差が大きくなる程、同決定皮膚温差
を減ずるように前記被空調空間内に吹き出す空気流の温
度を制御し、また前記決定皮膚温差が小さくなる程、
記空間温度差を減ずるように前記空気流の温度を制御す
る空気流温制御手段(6)と、前記決定皮膚温差が大き
くなる程、同決定皮膚温差を減ずるように前記空気流を
人間に向け集中的に吹き出し、また前記決定皮膚温差が
小さくなる程、前記空間温度差を減ずるように前記空気
流を前記被空調空間内に拡散的に吹き出すべく制御する
空気流吹き出し状態制御手段(7)と、前記決定皮膚温
差が大きくなる程、同決定皮膚温差に基づいて前記圧縮
機の作動量を制御し、また前記決定皮膚温差が小さくな
る程、前記空間温度差に基づいて前記圧縮機の作動量を
制御する作動量制御手段(8)とからなるようにしたこ
とにある。
【0005】
【作用】しかして、このように本発明を構成したことに
より、空間温度検出手段(1)が被空調空間内の現実の
温度を空間温度として検出し、皮膚温検出手段(3)
前記被空調空間内の人間の現実の皮膚温を検出し、空間
温度差決定手段(2)が前記被空調空間内の目標空間温
度と前記検出空間温度との差を空間温度差として決定
し、目標皮膚温決定手段(4)が前記検出皮膚温に基づ
いて目標皮膚温を決定し、また、皮膚温差決定手段
(5)が前記決定目標皮膚温と前記検出皮膚温との差を
皮膚温差として決定すると、空気流温制御手段(6)
が、前記決定皮膚温差が大きくなる程、同決定皮膚温差
を減ずるように前記被空調空間内に吹き出す空気流の温
度を制御し、また前記決定皮膚温差が小さくなる程、
記空間温度差を減ずるように前記空気流の温度を制御す
る。また、空気流吹き出し状態制御手段(7)が、前記
決定皮膚温差が大きくなる程、同決定皮膚温差を減ずる
ように前記空気流を人間に向け集中的に吹き出し、また
前記決定皮膚温小さくなる程、前記空間温度差を減
ずるように前記空気流を前記被空調空間内に拡散的に吹
き出すべく制御する。また、作動量制御手段(8)が、
前記決定皮膚温差が大きくなる程、同決定皮膚温差に基
づいて前記圧縮機の作動量を制御し、また、前記決定皮
膚温差が小さくなる程、前記空間温度差に基づいて前記
圧縮機の作動量を制御する。
【0006】
【発明の効果】このように、前記決定皮膚温差が大きく
なる程、この皮膚温差を減ずるように前記目標皮膚温を
指標として空気流吹き出し状態制御手段(7)が前記空
気流を人間に向け集中的に吹き出すように制御し、一
方、前記決定皮膚温小さくなる程、前記空間温度差
を減ずるように前記目標温度を指標として空気流吹き出
し状態制御手段(7)が前記空気流を前記被空調空間内
に拡散的に吹き出すように制御するので、前記被空調空
間内外の温度環境がどのように変化しても、人間の所望
の温度感覚を常に適正に確保しつつ前記被空調空間内の
空調を適正に制御できる。かかる場合、作動量制御手段
(8)が、前記決定皮膚温差が大きくなる程、同決定皮
膚温差を指標として前記圧縮機の作動量を制御し、前記
決定皮膚温差が小さくなる程、前記空間温度差を指標と
して前記圧縮機の作動量を制御するので、同圧縮機の無
駄な制御を排除して、その結果、前記圧縮機に不要な動
力消費を伴うことなく、この種装置の省動力を実現でき
る。
【0007】
【実施例】以下、本発明のー実施例を図面により説明す
ると、図2〜図4は、本発明が車両用空気調和制御装置
に適用された例を示している。この空気調和制御装置
は、当該車両のエンジンルーム10a内に装備したエア
ダクト20を有しており、このエアダクト20内には、
その上流から下流にかけて、内外気切り換えダンパ3
0、ブロワ40、エバポレータ50、エアミックスダン
パ60、ヒータコア70及び一対の吹き出しグリル8
0、90が配設されている。内外気切り換えダンパ30
は、その外気導入位置に切り換えられて、エアダクト2
0内への外気導入口21aを介する外気の空気流として
の流入を許容する。また、内外気切り換えダンパ30
は、その内気導入位置に切り換えられて、エアダクト2
0内への内気導入口21bを介する車室10b内の内気
の空気流としての流入を許容する。
【0008】ブロワ40は、駆動回路40aにより駆動
されるブロワモータMの回転速度に応じ、エアダクト2
0内への内外気切り換えダンパ30を介する空気流とし
て導入しエバポレータ50に向けて送風する。エバポレ
ータ50は、空気調和制御装置の冷凍サイクルの可変容
量型圧縮機50aの作動に応じブロワ40からの空気流
を冷却する。圧縮機50aは、当該車両のエンジンから
選択的に動力を受けて作動するもので、この圧縮機50
aの容量は容量制御機構50bの作動に応じて変化す
る。エアミックスダンパ60は、サーボモータ60aに
より駆動されて、その開度に応じエバポレータ50から
の冷却空気流をヒータコア70に流入させるとともに、
残余の冷却空気流を各吹き出しグリル80、90に向け
て流動させる。各吹き出しグリル80、90は、図3に
示すごとく、車室10b内の補助席11の左右両側に対
向してダッシュボード12の左側前部にてエアダクト2
0の各吹き出し口22、23に配設されており、吹き出
しグリル80は、サーボモータ80aにより駆動され
て、各ルーバ81〜81を左右に揺動させ、吹き出し口
22からの吹き出し空気流の方向を変える。一方、吹き
出しグリル90は、サーボモータ90aにより駆動され
て、各ルーバ91〜91を左右に揺動させ、吹き出し口
23からの吹き出し空気流の方向を変える。
【0009】操作スイッチSWは、空気調和制御装置を
作動させるとき操作されて操作信号を生ずる。温度設定
器100aは、車室10b内の温度を所望の温度に設定
するとき操作されて同所望の温度を設定温信号として発
生する。内気温センサ100bは、図2に示すごとく、
ダッシュボード12の前壁の左右中央部に配設されてい
るもので、この内気温センサ100bは、車室10b内
の現実の温度を検出し内気温検出信号として発生する。
外気温センサ100cは、当該車両の外気の現実の温度
を検出し外気温検出信号として発生する。日射センサ1
00dは、ダッシュボード12の上壁の左右中央部に配
設されているもので、この日射センサ100dは、車室
10b内に入射する現実の日射量を検出し日射検出信号
として発生する。皮膚温センサ100eは、赤外線セン
サにより構成されており、この皮膚温センサ100e
は、図2に示すごとく、車室10b内の上壁前縁左方部
にて、補助席11に着座した乗員の頭部に対向して配設
されている。しかして、この皮膚温センサ100eは、
乗員の頭部から放射する赤外線を検出し同頭部の皮膚温
を表す皮膚温検出信号を発生する。
【0010】水温センサ100fは、当該車両のエンジ
ン冷却系統内の冷却水の現実の温度を検出し水温検出信
号として発生する。出口温センサ100gは、エバポレ
ータ50の出口の吹き出し空気流の現実の温度を検出し
出口温検出信号として発生する。A−D変換器110
は、温度設定器100aからの設定温信号、内気温セン
サ100bからの内気温検出信号、外気温センサ100
cからの外気温検出信号、日射センサ100dからの日
射検出信号、皮膚温センサ100eからの皮膚温検出信
号、水温センサ100fからの水温検出信号及び出口温
センサ100gからの出口温検出信号を第1〜第7のデ
ィジタル信号として発生する。マイクロコンピュータ1
20は、コンピュータプログラムを、図5、図6及び図
7に示すフローチャートに従い、A−D変換器110と
の協動により実行し、この実行中において、駆動回路4
0a、容量制御機構50b及び各サーボモータ60a、
80a、90aの駆動制御に必要な演算処理をする。但
し、上述のコンピュータプログラムは、マイクロコンピ
ュータ120のROMに予め記憶されている。また、マ
イクロコンピュータ120は、当該車両のイグニッショ
ンスイッチIGの閉成に応答してバッテリBaから給電
されて作動状態になり、操作スイッチSWからの操作信
号に応答して、コンピュータプログラムの実行を開始す
る。
【0011】以上のように構成した本実施例において、
当該車両のエンジンをイグニッションスイッチIGの閉
成に基づき始動させるものとする。また、操作スイッチ
SWから操作信号を発生させれば、マイクロコンピュー
タ120が、図5、図6及び図7のフローチャートに従
い、ステップ200にて、コンピュータプログラムの実
行を開始し、次のステップ210にて、初期化の処理を
行う。ついで、マイクロコンピュータ120が、ステッ
プ220にて、A−D変換器110からの第1〜第7の
ディジタル信号の各値(以下、設定温Tset、内気温
Tr、外気温Tam、日射量ST、皮膚温Ts、水温T
w及び出口温Teという)を受ける。
【0012】然る後、マイクロコンピュータ120が、
ステップ230にて、次の数1に基づき、乗員の暑い寒
いという温感の目標値(以下、目標温感Soという)
を、初期内気温Trint、ステップ220における外
気温Tam及び日射量STに応じ決定する。このこと
は、当該空気調和制御装置による空調制御を開始する前
に乗員がさらされた熱負荷及び車室10b内への熱負荷
状態を要因として、目標温感Soが設定されることを意
味する。
【数1】 So=K1・Trint+K2・Tam+K3・ST+K4 但し、数1において、各符号K1、K2、K3及びK4は定
数を表す。また、初期内気温Trintは操作スイッチ
SWからの操作信号の発生時(即ち、当該空気調和制御
装置の空調開始時)の内気温Trに相当し、同操作信号
の発生時にマイクロコンピュータ120のRAMに一時
的に記憶されている。また、数1は、図8に示す特性を
実現するように定められたもので、この数1は、マイク
ロコンピュータ120のROMに予め記憶されている。
かかる場合、図8の特性は、目標温感Soを初期内気温
Trintに応じ外気温Tamをパラメータとして定め
たものである。
【0013】然る後、マイクロコンピュータ120が、
同ステップ230にて、次の数2に基づき、決定目標温
感Soに応じ、同決定目標温感を達成する定常時の皮膚
温(以下、定常時皮膚温Tssという)を決定する。
【数2】Tss=(So−K7)/K5 但し、この数2は次のようにして定められている。乗員
の現実の温感と現実の皮膚温との間には強い相関性があ
るため、次の数3が成立する。
【数3】S=K5・Ts+K6・(dTs/dt)+K7 この数3で、各符号K5、K6及びK7はそれぞれ定数で
ある。また、 (dTs/dt)は皮膚温Tsの時間的
変化率(皮膚温変化率という)を表す。但し、この数3
における各定数は、数3を変形して得た次の数4で特定
される範囲の値を有する。
【0014】
【数4】 S={A(Ts−B)+C・(dTs/dt)}・α+K 但し、符号Aは、乗員の皮膚温の相違に対する温度感覚
値の相違(即ち傾き)を0.4〜1.0の範囲の係数で
表す。符号Bは、係数Aで定める温度感覚値の相違に対
し皮膚温と温度感覚とを対応させるための32.8〜3
5.0の範囲の係数を表す。定数Cは、皮膚温の変化率
の温度感覚値の対する寄与を示す10.0〜85.0の
範囲の値を表す。符号αは、隣合う温度感覚値の間隔に
対する値を表す。また、符号Kは、温度感覚値の基準値
を表す。なお、皮膚温の単位は、例えば、℃である。時
間的変化率 (dTs/dt)は、例えば、(℃/se
c.)である。
【0015】また、上述の温度感覚は、暖かくも涼しく
もない温度感覚、即ち無感状態を基準とし、このときの
基準値Kを零とし、値αを1とし、温度感覚がどちらで
もない温度感覚状態から暑い方に変化するに従って大き
くなり、逆に、温度感覚が寒い方に変化するに従って小
さくなるように定めると、温度感覚Sは、例えば、次の
ように表すことができる。即ち、「5」は非常に暑いを
表し、「4」は暑いを表し、「3」は少し暑いを表し、
「2」は暖かいを表し、「1」は少し暖かいを表し、
「0」はどちらでもないことを表す。また、「−1」は
少し涼しいを表し、「−2」は涼しいを表し、「−3」
は少し寒いを表し、「−4」は寒いを表し、「−5」は
非常に寒いを表す。なお、基準値Kは上述の温度感覚の
いずれに対応して定めてもよく、また、基準値Kは零以
外の値であってもよい。また、値αは「1」以外の値で
あってもよく、基準値Kから遠ざかるに従って大きくな
る変数で与えてもよい。そこで、この数3において、S
をSoとおき(dTs/dt)=0とおき、かつTsを
Tssとおくことにより、数2を求めマイクロコンピュ
ータ120のROMに予め記憶した。
【0016】ついで、マイクロコンピュータ120が、
同ステップ230にて、次の数5に基づき、ステップ2
20における皮膚温Ts及び定常時皮膚温Tssに応じ
て皮膚温差△Tsを決定する。
【数5】△Ts=Ts−Tss 但し、この数5は、マイクロコンピュータ120のRO
Mに予め記憶されている。
【0017】このようにしてステップ230における演
算処理が終了すると、マイクロコンピュータ120が、
次のステップ240にて、図9にて示すブロワ40から
の目標送風量Vと皮膚温差△Tsとの間の関係を階段状
に特定するV−△Tsパターンデータに基づきステップ
230における皮膚温差△Tsに応じて目標送風量Vを
決定する。但し、V−△Tsパターンデータは以下のよ
うにして得られたものである。△Tsを種々に変化させ
ることにより各△Tsにおいて乗員が快適と感じる送風
量を実験的に調べたところ、図10に示すような結果が
得られた。これによれば、△Tsが減少するに従って乗
員は低めの送風量を好むことが認められる。しかして、
この図10に示すような実験結果に基づき上述のV−△
Tsパターンデータを設定してマイクロコンピュータ1
20のROMに予め記憶した。
【0018】上述のようにステップ240における演算
処理が終了すると、マイクロコンピュータ120が、次
のステップ250にて、図11の特性曲線Ldにて示す
両吹き出しグリル80、90の各吹き出し方向Grと皮
膚温差△Tsと間の関係を表すGr−△Tsパターンデ
ータに基づきステップ230における皮膚温差△Tsに
応じて吹き出し方向Grを決定する。ここで、Gr−△
Tsパターンデータの導出根拠について説明する。皮膚
温差△Tsの減少に伴う乗員の現実の温感Sの目標温感
Soへの接近に応じて、乗員が上述のように吹き出し空
気流の減少を好むようになる。このため、皮膚温差△T
sが大きい間は、両吹き出しグリル80、90の各吹き
出し方向Grを乗員に向け、皮膚温差△Tsが小さくな
ると、両吹き出しグリル80、90の各吹き出し方向G
rを乗員の位置からずらせて車室10b内に向けるよう
にする。このことは、皮膚温差△Tsが大きいときには
皮膚温差△Tsを減ずるように吹き出し空気流を乗員に
向け集中的に吹き出し、また、皮膚温差△Tsが小さい
ときには車室10b内の空間温度差を減ずるように吹き
出し空気流を被空調空間内に拡散的に吹き出すように両
吹き出しグリル80、90の各吹き出し方向Grが制御
されることを意味する。
【0019】但し、両吹き出しグリル80、90の各吹
き出し方向Grが、補助席11の左右中央に向く方向を
INで表し、補助席11の左右両側から外側へずれた方
向をOUTで表す。また、両吹き出しグリル80、90
の各吹き出し方向Grが急変すると、乗員に違和感を与
えることとなるため、INとOUTとの間に、HALF
という吹き出し方向Grの中間方向を定めた。しかし
て、図11の特性曲線Ldにて示す吹き出し方向Grと
皮膚温差△Tsとの間の関係をGrー△Tsパターンデ
ータとして決定しマイクロコンピュータ120のROM
に予め記憶した。なお、特性曲線Ldのヒステリシスは
吹き出し方向GrのOUTからINへの変化或いはその
逆の変化のときのハンチングの発生を防止するものであ
る。また、両吹き出し方向IN及びOUTの一方から他
方への変化の決定は吹き出し方向HALFを介してなさ
れる。
【0020】次に、ステップ255において、吹き出し
方向GrがOUT以外(IN或いはHALF)であると
判別された場合、マイクロコンピュータ120が、ステ
ップ260にて、次の数6に基づき乗員の温感Sを一定
に維持するために必要なサンプリング時間間隔△t(s
ec.)後の皮膚温Ts(n+1)をステップ220におけ
る皮膚温Ts及びステップ230における目標温感So
に応じて決定する。
【数6】Ts(n+1)={(So−K7)△t +K6・Ts(n)}/(△t・K5+K6) 但し、この数6は、数3におけるTsをTs(n+1)と
し、(dTs/dt)を[{Ts(n+1)−Ts(n)}/
△t]として数3を変形して求めたもので、この数6は
マイクロコンピュータ120のROMに予め記憶されて
いる。但し、この数6において、Ts(n)は、現在の皮
膚温を示し、また、Ts(n+1)は、t(sec.)後の
皮膚温を表す。
【0021】然る後、マイクロコンピュータ120が、
各ステップ270及び280において、目標車室温Ta
及び目標吹き出し温Taoを以下のようにして順次演算
する。数6により、時々刻々与えられる目標皮膚温Ts
(n+1)を実現できれば、乗員の温感Sを一定に維持する
ことができる。即ち、図12に示すように、温感Sを一
定にするために、乗員の皮膚温が高いときには皮膚温の
変化を大きな変化率(図12にて一点鎖線で示す)で与
え、また、乗車時の皮膚温が低いときには、皮膚温の変
化を小さな変化率(図12にて破線で示す)で与えるこ
とができる。
【0022】ついで、乗員の身体内部からの産熱量と体
外への放熱量との差の時間的な変化が皮膚温に変化を与
えると考えて、乗員の身体の皮膚モデルに基づいて、t
(sec.)後の皮膚温Ts(n+1)を実現するための車
室内温度を目標車室温Taとして求める。かかる場合、
本実施例で採用した皮膚モデルは、図13にて示すよう
に、皮膚層として、n層のモデルを想定してなるもので
ある。しかして、i番目の層の温度をTsiとし、各層
の温度を次の数7の差分式で表し、この差分式を解くこ
とにより各層の温度Ts2〜Tsn-1を求める。
【数7】 Ai・Tsi=Bi・Tsi+1+Ci・Tsi-1+Di 本実施例では、境界条件としてTsiにt(sec.)
後の皮膚温Ts(n+1)を与え、かつ、Tsnに体内深部
温度Tbを与える。
【0023】また、生成項として、Diに血流による熱
量Qbiと代謝産熱量Qmiとの和を与える。ここで、
i(i=2〜n)番目の層には、温度Tbの血液が層の
温度Tsiに応じた流量Vbiで流れており、血流によ
る熱量Qbiが供給されている。但し、このQbiは次
の数8で表される。
【数8】Qbi=K8・Vbi・(Tb−Tsi) 但し、数8において、符号K8は定数を表す。ここで、
流量Vbiは、i番目の層の温度Tsiの関数として表
すことができ、次の数9により表される。
【数9】 但し、符号K9は定数を表す。
【0024】また、各層では、生体の代謝活動により、
層の温度に応じた代謝産熱量Qmiが発生し、次の数1
0により表される。
【数10】 但し、数10において、各符号K10、K11、Kgは、そ
れぞれ、定数を表す。しかして、上述の数8及び数10
により求めたQbiとQmiとの和を数9のDiに代入
し、得られた連立差分方程式を公知の解法により解いて
層の温度が求められる。なお、Vbi及びQmiの算出
方法決定にあたっては、藤正厳による末梢循環の熱輸送
モデル、医用電子と生体工学、第23巻、第7号、pp
503〜508、1985年12月、及び岩谷真広によ
る、熱流解析による皮膚血流量の算定、医用電子と生体
工学、第20巻、第4号、pp249〜255、198
2年8月の文献を参考にした。
【0025】次に、皮膚表面における熱の収支は、皮膚
表面とこの表面より内側の層との間の伝導熱量Qcd、
日射による入熱量Qr、汗の蒸発による潜熱量Qeとを
想定して、次の数11により示すように平衡していると
考えられる。
【数11】Qcd+Qr+Qe+Qcv=0 そして、対流による放出熱量Qcvは、空気の熱伝達率
をαとし、目標車室温をTaとし、皮膚温をTsとし
て、次の数12により表される。
【数12】Qcv=α・{Ta−Ts(n+1)} 但し、この数12におけるαは、気流速度をVとし、こ
のVのK12乗の関数として次の数13により表される。
【0026】
【数13】 但し、この数13において、符号K12は定数を表す。し
かして、数12を数11に代入して変形すると、目標車
室温Taは、次の数14により表される。
【数14】Ta=Ts−(Qcd+Qr+Qe)/α かかる場合、数14はQcd、Qr及びQeのもとで皮
膚温をTs(n+1)にするには目標車室温をTaとすれば
よいことを示している。従って、この数14を解くこと
により、数6で求めた△t(sec.)後の目標皮膚温
Ts(n+1)を実現するための目標車室温Taを求めるこ
とができる。
【0027】まず、皮膚表面とこの表面より内側の層と
の間の伝導熱量Qcdは、数7に示した連立差分方程式
を解いて得られる第2番目の層の温度Ts2と皮膚温
(第n−1番目の層の温度)Ts(n-1)とを用い次の数
15に基づいて求められる。
【数15】Qcd=K13・{Ts2−Ts(n+1)} 但し、この数15において、符号K13は定数を表す。次
に、日射による入熱量Qrは、ステップ220における
日射量STに応じて与えられる。また、汗の蒸発による
潜熱量Qeは、次の数16により与えられる。
【数16】 但し、この数16における符号Mrswは次の数17に
より表される。
【0028】
【数17】 Mrsw=250・Σcr−100・(Σcr)・(Σsk) また、この数17におけるΣsk及びΣcrは、それぞ
れ、次の数18及び数19によりそれぞれ表される。
【数18】
【数19】 但し、数18において符号C1は定数を表す。また、数
19において符号C2は定数を表す。また、Σskは、
皮膚表面からL番目の層までの平均温度を示し、Σcr
は、L番目の層から最深部までの平均温度を示すものと
し、Qeは飽和蒸発量を超えないものとする。なお、こ
の潜熱量Qeの演算方法を決定するにあたっては、A.
P.Gagge,J.A.J.Stolwijk,Y.
NishiによるAn Effective Temp
erature Scale Based on a Simple Model o
f Human Physiologycal Regulatory
Respose ASHRAE Trans Vol.77,Part
1,P247−262,1971の文献を参考にした。
【0029】以上のようにして求められたQcd、Q
r、Qeを上記数14に代入し、同数14のTsに数6
で求めた目標皮膚温Ts(n+1)を代入することで目標車
室温Taが求められる。そして、本実施例では、数14
から求められた目標車室温Taを車室内温度制御の設定
温度Tsetとし、必要吹き出し温度Taoを演算し、
かつステップ220における水温Tw及び出口温Teを
も考慮してエアミックスダンパ60の目標開度を決定す
る。
【0030】このようにしてステップ270、280に
おける演算処理が終了すると、マイクロコンピュータ1
20が、次のステップ290において、△Ts、(dT
s/dt)、(TsーTsamp)及びTsを指標とし
て用い以下のような制御を行った後、ステップ300に
て、ステップ280、290での演算結果に基づくエア
ミックスダンパ60の目標開度、ステップ240での決
定結果に基づくブロワ40の送風量及びステップ290
での演算結果に基づく圧縮機50aの容量等を出力す
る。但し、(TsーTsamp)において、Tsamp
は、サンプリング時間△t後に作り出すべき皮膚温を表
す。従って、(TsーTsamp)は、−(dTs/d
t)・△tに一致する。これらの指標の変化を冷房時や
暖房時で考えると、図14(A)にて示すように、△T
s、(dTs/dt)及び(TsーTsamp)は、時
間と共に零に近づくような変化をし、また、図14
(B)に示すように、TsはTsoに近づくように変化
する。
【0031】空調装置の必要能力を同じく各指標で整理
すると、△Ts、(dTs/dt)、(TsーTsam
p)は、図15(A)に示すように、零を中心に変化
し、また、Tsは、図15(B)に示すように、Tso
を中心に変化する。かかる場合、図15(A)、(B)
に示すように、△Ts、(dTs/dt)、(TsーT
samp)及びTsがプラス側に大きくなる程冷房能力
が大きく、一方、△Ts、(dTs/dt)、(Tsー
Tsamp)及びTsがマイナス側に大きくなる程暖房
能力が大きくなる形となる。この乗員の温感を達成する
ための必要能力を作り出すときの動力に関係する要因に
は圧縮機50aの容量と回転数がある。しかして、ステ
ップ220における乗員の現実の皮膚温が快適な目標温
感を達成する目標皮膚温に近づくにつれて圧縮機50a
の容量又は回転数を減少させる。つまり、皮膚温が快適
性の要因である温感と強い相関があり、温感と相関の強
い皮膚温を指標として用いることにより、図15
(A)、(B)に示すように、その時々に乗員が必要と
する能力(温感を一定にするための必要能力)が分か
り、空調として無駄をなくすことができる。その結果、
快適性の要因である温感が省動力にて達成される。
【0032】また、マイクロコンピュータ120のRO
Mには、図16に示すようなマップが予め記憶されてい
る。つまり、△Tsによる制御では、横軸に△Ts(現
在の皮膚温Tsと温感を作り出す定常時の目標皮膚温T
soとの差)をとり、縦軸にエアミックスダンパ60の
開度と圧縮機50aの容量及び回転数をとり、△Tsが
5つの領域に分けられている。△Tsが零を挟んで(△
Ts)a〜(△Ts)bのエアミックスダンパ制御領域
Z1では圧縮機50aの容量が最小値で、かつ、圧縮機
50aの回転数が最小値で、さらに、エアミックスダン
パ60の開度が目標吹き出し温度を達成する値をとる。
【0033】また、△Tsがエアミックスダンパ制御領
域 Z1よりも冷房側で大きい(△Ts)b〜(△Ts)
cの容量制御領域では、圧縮機50aの回転数が最小値
で、かつ、エアミックスダンパ60の開度が冷房側最大
値で、さらに、圧縮機50aの容量が△Tsに正比例し
た値をとる。また、△Ts が容量制御域Z2よりも冷房
側で大きい(△Ts)c〜(△Ts)dの回転数制御領
域Z3 では圧縮機50aの容量が最大値で、かつエアミ
ックスダンパ60の開度が冷房側最大値で、さらに、圧
縮機50aの回転数が△Tsに正比例した値をとる。さ
らに、△Tsが回転数制御領域Z3よりも冷房側で大き
い領域Z4では、圧縮機50aの回転数が最大値で、か
つ、圧縮機50aの容量が最大値で、さらに、エアミッ
クスダンパ60の開度が冷房側最大値をとる。なお、エ
アミックスダンパ60が冷房側最大値よりも暖房側での
領域 Z5では、冷媒の循環が不要であるので圧縮機50
aの停止状態となる。
【0034】このように、図16のマップは、例えば、
圧縮機50aが80(%)容量で回転数最大の場合と、
100(%)容量で回転数80(%)の場合とで同じ能
力に違いがあったとしても各指標ではこの動力差を判定
できないため、回転数、容量の要因を単独で制御する領
域Z2、Z3を作成し、その領域で最大になったときに、
他の要因と併用して使い能力アップを図るようにしてい
る。他方、ステップ255において、吹き出し方向Gr
がOUTであると判別された場合、マイクロコンピュー
タ120が、ステップ310にて、次の数20に基づ
き、A−D変換器110からの設定温Tset、内気温
Tr、外気温Tam及び日射量STに応じて目標吹き出
し温度Taooutを演算する。
【数20】Taoout=K13・Tset−K14・Tr −K15・ST−K16・Tam−K17 但し、数20にて、各符号K13、K14、K15、K16及び
K17は定数である。ついで、マイクロコンピュータ12
0が、次のステップ320にて、数21に基づき、A−
D変換器110からの設定温Tsetと内気温Trとの
差を演算する。
【数21】△Tr=Tr−Tset
【0035】マイクロコンピュータ120のROMに
は、図17にて示すようなマップが予め記憶されてい
て、マイクロコンピュータ120が、次のステップ33
0にて、同マップに基づき前記△Trに応じて圧縮機5
0aの運転状態を決定する。図17は、横軸に△Trを
とり、縦軸にエアミックスダンパ60の開度と圧縮機5
0aの容量と回転数をとり、△Trが5つの領域に分け
られている。△Trが零を挟んで(△Tr)a〜(△T
r)bのエアミックスダンパ制御領域 Z1では圧縮機5
0aの容量が最小値で、かつ、圧縮機50aの回転数が
最小値で、さらに、エアミックスダンパ60の開度が目
標吹き出し温度を達成する値をとる。また、△Trがエ
アミックスダンパ制御領域Z1よりも冷房側で大きい
(△Tr)b〜(△Tr)cの容量制御領域では圧縮機
50aの回転数が最小値で、かつ、エアミックスダンパ
60の開度が冷房側最大値で、さらに、圧縮機50aの
容量が△Trに正比例した値をとる。
【0036】また、△Tsが容量制御域Z2よりも冷房
側で大きい(△Tr)c〜(△Tr)dの回転数制御領
域 Z3では圧縮機50aの容量が最大値で、かつ、エア
ミックスダンパ60の開度が冷房側最大値で、さらに、
圧縮機50aの回転数が△Trに正比例した値をとる。
さらに、△Trが回転数制御領域Z3よりも冷房側で大
きい領域Z4では、圧縮機50aの回転数が最大値で、
かつ、圧縮機50aの容量が最大値で、さらに、エアミ
ックスダンパ60の開度が冷房側最大値をとる。なお、
エアミックスダンパ60が冷房側最大値よりも暖房側で
の領域 Z5では、冷房の循環が不要であるので、圧縮機
50aの停止状態となる。
【0037】このように、図17のマップは、例えば、
圧縮機50aが80(%)容量で回転数最大の場合と、
100(%)容量で回転数80(%)の場合とで同じ能
力に違いがあったとしても各指標ではこの動力差を判定
できないため、回転数、容量の要因を単独で制御する領
域Z2、Z3を作成し、その領域で最大になったときに、
他の要因と併用して使い能力アップを図るようにしてい
る。なお、本発明の実施にあたっては、皮膚温センサ1
00eとしては、赤外線センサに限ることなく、乗員の
皮膚に付着して現実の皮膚温を直接検出するセンサを採
用して実施してもよく、また、模擬皮膚温センサを採用
して実施してもよい。かかる場合、同模擬皮膚温センサ
は、車室10b内の温度、気流、輻射や湿度のもとでの
皮膚温の推定値を出力するもので乗員の発熱と放熱を模
擬する構造を有するセンサである。また、皮膚温を測定
する乗員は、助手席の者に限らず、その他の席の乗員で
もよく、また、複数の乗員でもよい。
【0038】また、本発明の実施にあたっては、図9に
示したような送風量パターンは、階段状のものに限ら
ず、連続的なパターンとしてもよい。また、前記実施例
においては、数5による△Tsに基づいて送風量を決定
したが、これに代えて、乗員の身体の温感の変化に応じ
て変化を伴う値であればよい。例えば、他の形式の送風
量制御の指標として、皮膚温変化率(dTs/dt)を
用いて次の数22に基づき送風量Vを演算してもよい。
【数22】V=K18・(dTs/dt) 但しこの数22において、符号K18は定数を表す。ここ
で、(dTs/dt)は、数3を変形し温感Sを目標温
感Soとした次の数23によって求められる。
【数23】 dTs/dt={So−(K5・Ts+K7)}/K6 但し、この指標における送風量のパターンは、図18
(A)に示すごとく基準が零となり、これに近づくにつ
れて送風量を下げていく特性となる。
【0039】また、前記実施例においては、数5による
△Tsに基づいて送風量を決定したが、これに代えて、
現在の皮膚温と△t時間後ののサンプリング時までに作
り出すべき皮膚温Tsampを用いて、次の数24によ
り送風量Vを決定してもよい。
【数24】 V=K19・(Ts−Tsamp)=K19・(−Ts・△t) 但し、符号K19は定数を表す。また、この指標では、数
22において(dTs/dt)を求め、次に、(−(d
Ts/dt)・△t)を演算して(Ts−Tsamp)
の値とし指標とする。この指標の特性では、図18
(B)に示すごとく、基準が零でこれに近づく程、送風
量を下げるものとなる。
【0040】さらに、皮膚温Tsをそのまま用いて次の
数25により送風量Vを決定してもよい。
【数25】V=K20・Ts 但し、この指標では、数2を用いて求めたTssをも合
わせて用いることにより、TsがTssになるまで皮膚
温Tsが基準となって送風量が決定される(図18
(C)参照)。また、本発明の実施にあたっては、適宜
な目標温感設定器を採用して、この目標温感設定器によ
り暑く或いは寒くといった方向性をもって目標温感So
を補正するようにしてもよい。また、本発明の実施にあ
たっては、目標温感Soの設定は、次の数26に基づい
て行うようにしてもよい。
【数26】 So=K16・Tsint+K17・Tam+K18・ST+K19 但し、この数26において、符号Tsintは、空調開
始時の乗員の皮膚温を表す。しかして、この数26に基
づいて、空調開始前に乗員がさらされた熱負荷、運動
量、及び車室内への熱負荷を考慮した目標温感Soを設
定できる。
【0041】なお、目標温感の設定にあたり、Trin
t、Tsint、Tam及びSTの全てを用いてもよ
い。例えば、乗車前に乗員がさらされた熱負荷、乗員の
運動量、乗車直後の車室内環境及び車室内への熱負荷状
態の結果として決まる空調開始時の皮膚温を基本とし
て、これにTrint、Tam及びSTによる補正を加
えるようにして目標皮膚温Soを設定してもよい。ま
た、目標皮膚温Soは、車室内温度、皮膚温が安定した
後も始終一定値をとり続ける必要はなく、周期的或いは
乱数的に変化させて温感にゆらぎを生じさせて快適性を
向上させるようにしてもよい。また、前記実施例におい
ては、車両用空気調和制御装置に本発明を適用した例に
ついて説明したが、これに代えて、家庭用の空気調和制
御装置に本発明を適用して実施してもよい。
【0042】また、本発明の実施にあたり、各吹き出し
グリル80、90の吹き出し方向Grは、前記実施例に
述べたように3段階に限ることなく、直線的に変化する
ようにして実施してもよい。また、本発明の実施にあた
っては、各吹き出しグリル80、90の吹き出し方向G
rを、INからOUTへ変化させることなく、吹き出し
空気流を拡散させるように制御してもよい。また、本発
明の実施にあたっては、各吹き出しグリル80、90の
吹き出し方向Grの変更制御に代えて、空気調和制御装
置の吹き出しモードを、皮膚温差△Tsfの大きいとき
にはベンティレーションモードにし、皮膚温差△Tsf
の小さいときにはバイレベルモード或いはヒートモード
にするようにして実施してもよい。また、前記実施例の
ように集中制御から拡散制御に切り換えるにあたって
は、当該車両の後席側にエアダクト20の吹き出し口を
設け、この吹き出し口から優先的に空気流を吹き出すよ
うにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】特許請求の範囲の記載に対する対応図である。
【図2】本発明に係る車両用空気調和制御装置の一実施
例の機械的構成部分の概略断面図である。
【図3】各吹き出しグリルの吹き出し方向と補助席との
関係を示す概略断面図である。
【図4】前記車両用空気調和制御装置の電気回路構成図
である。
【図5】図4におけるマイクロコンピュータの作用を示
すフローチャートの前段部である。
【図6】図4におけるマイクロコンピュータの作用を示
すフローチャートの中段部である。
【図7】図4におけるマイクロコンピュータの作用を示
すフローチャートの後段部である。
【図8】目標温感Soと初期温度Trintとの関係を
示すグラフである。
【図9】送風量Vと皮膚温差△Tsとの関係を示すグラ
フである。
【図10】送風量Vと皮膚温差△Tsとの関係を示すグ
ラフである。
【図11】吹き出し方向Grと皮膚温差△Tsとの関係
を示すパターン図である。
【図12】皮膚温Ts及び温感Sの時間的変化を示すグ
ラフである。
【図13】乗員の皮膚モデルを表す図である。
【図14】△Ts、(dTs/dt)及び(Ts−Ts
amp)の冷房時或いは暖房時における時間的な変化を
表すグラフ並びにTsの暖房時或いは冷房時における時
間的な変化を表すグラフである。
【図15】空調必要能力の△Ts、(dTs/dt)、
(Ts−Tsamp)及びTsとの関係を表すグラフで
ある。
【図16】圧縮機の回転数及び容量並びにエアミックス
ダンパの開度と△Tsとの関係を表すマップである。
【図17】圧縮機の回転数及び容量並びにエアミックス
ダンパの開度と△Trとの関係を表すグラフである。
【図18】送風量と(dTs/dt)、(Ts−Tsa
mp)及びTsとの間の関係を表すグラフである。
【符号の説明】
10b…車室、40…ブロワ、40a…駆動回路、50
…エバポレータ、50a…圧縮機、50b…容量制御機
構、60…エアミックスダンパ、70…ヒータコア、8
0、90…吹き出しグリル、100a…温度設定器、1
00b…内気温センサ、100d…日射センサ、100
e…皮膚温センサ、120…マイクロコンピュータ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷口 洋介 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 宮脇 忠幸 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1 株式会社豊田中央研究所内 (56)参考文献 特開 平2−193709(JP,A) 実開 平1−145812(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60H 1/00 101

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】冷凍サイクルを作動させる可変容量型圧縮
    機と、 被空調空間内の現実の温度を空間温度として検出する空
    間温度検出手段と、 前記被空調空間内の目標空間温度と前記検出空間温度と
    の差を空間温度差として決定する空間温度差決定手段
    と、 前記被空調空間内の人体の現実の皮膚温を検出する皮膚
    温検出手段と、前記被空調空間内にて目標温感を得るための 目標皮膚温
    を決定する目標皮膚温決定手段と、前記検出皮膚温と前記目標皮膚温の差が大きいとき同皮
    膚温差を減ずるように前記被空調空間に吹き出す空気流
    の温度を制御すると共に同空気流の前記人体に対する吹
    き出し状態を制御し、前記検出皮膚温と前記目標皮膚温
    の差が小さいとき前記空間温度差を減ずるように前記空
    気流の温度を制御すると共に同空気流の前記人体に対す
    る吹き出し状態を制御する空気流制御手段と、 前記検出皮膚温と前記目標皮膚温の差が大きいとき同皮
    膚温差に応じて前記圧縮機の作動量を制御し同皮膚温差
    が小さいとき前記圧縮機の作動量を前記空間温度差に応
    じて制御する圧縮機の制御手段を備えた 空気調和制御装
    置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の空気調和制御装置におい
    て、前記空気流制御手段が、前記検出皮膚温と前記目標
    皮膚温の差が大きいとき前記空気流が前記人体に向けて
    集中的に吹き出し同皮膚温差が小さいとき前記空気流が
    前記被空調空間内に拡散的に吹き出すように制御する手
    段を備えていることを特徴とする空気調和制御装置。
  3. 【請求項3】 冷凍サイクルを作動させる可変容量
    型圧縮機と、 被空調空間内の現実の温度を空間温度として検出する空
    間温度検出手段と、 前記被空調空間内の目標空間温度と前記検出空間温度と
    の差を空間温度差として決定する空間温度差決定手段
    と、 被空調空間内の人体の現実の皮膚温を検出する皮膚温検
    出手段と、 前記被空調空間内にて目標温感を得るための目標皮膚温
    を決定する目標皮膚温決定手段と、 前記検出皮膚温と前記目標皮膚温の差が大きくなる程、
    同皮膚温差を減ずるよ うに前記被空調空間内に吹き出す
    空気流の温度を制御し、前記皮膚温差が小さくなる程、
    前記空間温度差を減ずるように前記空気流の温度を制御
    する空気流温制御手段と、 前記皮膚温差が大きくする程、同皮膚温差を減ずるよう
    に前記空気流が前記人体に向けて集中的に吹き出し、前
    記皮膚温差が小さくなる程、前記空間温度差を減ずるよ
    うに前記空気流を前記被空調空間内に拡散的に吹き出す
    ように制御する空気流の吹き出し状態制御手段と、 前記皮膚温差が大きくなる程、同皮膚温差に基づいて前
    記圧縮機の作動量を制御し、前記皮膚温差が小さくなる
    程、前記空間温度差に基づいて前記圧縮機の作動量を制
    御する制御手段とを備えた空気調和制御装置。
  4. 【請求項4】請求項1又は3に記載の空気調和制御装置
    において、前記目標皮膚温を被空調空間内の温度、外部
    の温度及び日射量を考慮して決定するようにしたことを
    特徴とする空気調和制御装置。
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