JP3405133B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

車両用空調装置

Info

Publication number
JP3405133B2
JP3405133B2 JP19289697A JP19289697A JP3405133B2 JP 3405133 B2 JP3405133 B2 JP 3405133B2 JP 19289697 A JP19289697 A JP 19289697A JP 19289697 A JP19289697 A JP 19289697A JP 3405133 B2 JP3405133 B2 JP 3405133B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temperature
overshoot
air
air conditioning
time
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP19289697A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH1134632A (ja
Inventor
幸雄 江川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP19289697A priority Critical patent/JP3405133B2/ja
Publication of JPH1134632A publication Critical patent/JPH1134632A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3405133B2 publication Critical patent/JP3405133B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Air-Conditioning For Vehicles (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、設定温度に基づい
て車室内を空調する車両空調装置に係り、詳細には、空
調運転を開始するときに車室内の温度が設定温度に対し
てオーバーシュートするように制御する車両用空調装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】車両には、冷凍サイクルによって車室内
を所望の空調状態に維持する車両用空調装置(以下「エ
アコン」と言う)が設けられている。このエアコンで
は、コンプレッサによって圧縮された冷媒がエバポレー
タを通過する空気を冷却し、この空気の一部がさらにヒ
ータコアを通過することにより加熱され、ヒータコアを
バイパスした空気と混合されて車室内へ吹き出されるこ
とにより、車室内を所望の空調温度に維持するようにな
っている。
【0003】一般に、冬場の早朝に最初に乗車するとき
に、車外は勿論、車室内の温度も低下しており、乗車す
る乗員の体も外気にさらされることによって冷えきって
いることがある。このような場合、車両に乗車してエア
コンの運転を開始したときに、車室内の温度が通常より
高くなることが好まれる。一方、車室内の温度を高くし
て長時間乗車していると、逆に暑すぎて不快感を生じさ
せることになる。
【0004】また、夏場の日中は、車外は勿論、車室内
も高温となり、車両に乗車したときに設定温度を低くし
てしまうが、設定温度を低くして長時間乗車している
と、冷え過ぎによる不快感が生じてしまう。このような
不快感を防止するためには、その都度、設定温度を変更
しなければならなくなっていた。
【0005】このような設定温度の変更を不要とする方
法としては、実開平2−124710公報に示されるよ
うに、エンジン始動後の経過時間に応じて目標室内温度
を暖房または冷房を緩和する方向へ補正する方法があ
る。これによれば、冷房時には、最初に目標とする車室
内の温度を設定温度より低くし、徐々に目標とする室内
温度を高くして設定温度に戻すようにし、暖房時には、
最初に目標とする車室内の温度を設定温度より高くし、
所定時間が経過すると徐々に車室内温度を下げて設定温
度に戻すようにしている。
【0006】すなわち、冷房時には、最初に車室内温度
が設定温度より低くなるように、また、暖房時には、最
初に室内温度が設定温度より高くなるように、設定温度
(車室温度)ないし目標とする吹出し温度をオーバーシ
ュートさせるようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
制御方法では、オーバーシュートさせる温度も時間も空
調負荷にかかわらず一定であるため、冷房負荷や暖房負
荷の違いにより、例えば冷房時には乗員が冷え過ぎ感を
感じたり、また暖房時には、暖房のききすぎ感等を感じ
させることがあり、必ずしも乗員に快適感を与えるもの
ではなかった。
【0008】本発明は上記事実に鑑みてなされたもので
あり、乗車時は勿論、長時間経過したときにも車室内を
乗員に不快感を感じさせることがない快適な温度とする
ことができる車両用空調装置を提案することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
環境条件及び設定温度を含む運転条件に基づいて車室内
へ吹出す空調風の温度を設定し、車室内が前記設定温度
となるように空調する車両用空調装置であって、気象条
件を含む環境条件を検出する環境条件検出手段と、車室
内の空調を開始してからの経過時間を計測する計測手段
と、車室内の空調を開始してから空調能力を増大するよ
う設定温度を補正する補正手段と、車室内の空調を開始
したときに前記補正手段によって補正された設定温度に
保持するオーバーシュート保持時間を、前記環境条件検
出手段の検出結果から求めた空調負荷に基づいて、空調
負荷が小さい時より空調負荷が大きいときに長くなるよ
うに設定する補正時間設定手段と、前記補正時間設定手
段の設定結果に基づいた経過時間を前記計測手段によっ
て計測しながら空調能力が増大するように補正した設定
温度に基づいて車室内の温度を制御するオーバーシュー
ト制御手段と、を含むことを特徴とする。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】この発明によれば、車室内の空調を開始す
るときに空調能力が増大するように設定温度を補正して
車室内の温度を設定温度に対してオーバーシュートさせ
る時間であるオーバーシュート保持時間を、気象条件に
基づいて設定する。
【0014】すなわち、空調運転を開始したときに室内
温度をオーバーシュートさせる時間を気象条件に基づい
て設定する。例えば、暖房時に外気温度が低かったり、
冷房時に外気温度が高いときには、オーバーシュートさ
せる時間を長くし、暖房時に外気温度が比較的高かった
り、冷房時に外気温度が比較的低いときには、オーバー
シュートさせる時間を短くする。
【0015】これによって、暖房時に外気温度が比較的
高いにもかかわらず、長い時間、車室内を高い温度にし
てしまい、乗員が暖房のききすぎと感じさせてしまう等
の不快感が生じるのを防止することができる。
【0016】なお、補正時間設定手段は、補正した設定
温度を保持するオーバーシュート保持時間のみならず、
補正した設定温度を元に戻すまでの時間(オーバーシュ
ート解消時間)または、空調運転を開始してから設定温
度に基づいた空調を行うまでの時間(オーバーシュート
時間)を含めて設定しても良い。
【0017】請求項2に係る発明は、前記補正手段が、
前記環境条件検出手段の検出結果から求めた空調負荷に
基づいて空調能力を増大させるように前記設定温度を補
正する設定温度補正手段であるときに、前記オーバーシ
ュート制御手段が、前記補正時間設定手段の設定結果に
基づいた経過時間を前記計測手段によって計測しながら
前記設定温度補正手段によって補正された設定温度に基
づいて車室内の温度を制御することを特徴とする。
【0018】この発明によれば、少なくとも車室内の空
調を開始するときの設定温度の補正値と、補正した設定
温度に基づいて空調を行うオーバーシュート保持時間の
それぞれを、気象条件によって設定している。空調運転
を開始したときに室内温度をオーバーシュートさせるた
め温度である設定温度の補正値を気象条件に基づいて、
暖房時に、外気温度が低かったり、冷房時に外気温度が
高いときには、オーバーシュートさせる温度(温度差)
を大きくし、暖房時に外気温度が比較的高かったり、冷
房時に外気温度が比較的低いときには、オーバーシュー
トさせる温度を小さくする。これによって、例えば、暖
房時に外気温度が比較的低いにもかかわらず、高い温度
となるようにオーバーシュートさせてしまい、乗員に暖
房のききすぎと感じさせてしまうのを防止することがで
きる。
【0019】このように構成される本発明では、オーバ
ーシュートを終了させるときには、補正した設定温度を
元の設定温度に徐々に戻すことが好ましく、これによっ
て車室内の温度変化を抑え、急激な温度変化によって乗
員に不快感を生じさせてしまうのを防止することができ
る。
【0020】すなわち、図1に示されるように、空調運
転を開始するときには、運転条件設定手段80で設定さ
れた運転条件と、環境条件検出手段82によって検出し
た環境条件から目標吹出し温度演算手段84によって目
標吹出し温度を設定する。
【0021】これと共に、本願発明では、環境条件のう
ちの気象条件に基づいて空調負荷判定手段86によって
気象条件に基づいた空調負荷を判定し、判定した空調負
荷から補正温度設定手段88によって車室内の温度をオ
ーバーシュートさせるときの温度(補正値、オーバーシ
ュート温度)を設定し、また、補正時間設定手段90に
よって車室内の温度を補正して保持するオーバーシュー
ト保持時間を設定する。このとき、オーバーシュート保
持時間が終了して、オーバーシュートを戻すまでの時間
(オーバーシュート解消時間)を含めて設定しても良
い。
【0022】この後、空調制御手段92は、計測手段9
4によって空調運転を開始してからの時間を計測しなが
ら、設定したオーバーシュート温度ないしオーバーシュ
ート保持時間に基づいてオーバーシュート保持制御を行
い(ステップ92A)、さらに、オーバーシュート保持
時間が終了すると、徐々に設定温度に戻すオーバーシュ
ート解消制御を行う(ステップ92B)。
【0023】このようにして車室内の温度を設定温度に
対してオーバーシュートしながらの空調を終了すると、
空調制御手段は、通常の制御を行う(ステップ92
C)。
【0024】
【発明の実施の形態】図2には、本実施の形態に適用し
た車両用空調装置(以下「エアコン10」と言う)を示
している。このエアコン10は、コンプレッサ12、コ
ンデンサ14、エキスパンションバルブ16及びエバポ
レータ18を含む冷媒の循環路によって冷凍サイクルが
構成されている。
【0025】エバポレータ18は、圧縮されて液化して
いる冷媒が気化することにより、このエバポレータ18
を通過する空気(以下「エバポレータ後の空気」と言
う)を冷却する。
【0026】エバポレータ18は、両端が開口された空
調ダクト22内に設けられており、空調ダクト22の一
方の開口端には、空気取入口24、26が形成されてい
る。空気取入口24は車両外部と連通し、空調ダクト2
2内に外気を導入可能となっている。また、空気取入口
26は、 車室内と連通しており車室内の空気(内気)を
空調ダクト22内に導入可能となっている。
【0027】空調ダクト22の他方の開口端には、車室
内へ向けて開口された吹出し口28(例えばデフロスタ
吹出し口28A、VENT吹出し口28B及びHEAT
吹出し口28Cの3系統)が形成されている。
【0028】空調ダクト22内には、エバポレータ18
と空気取入口24、26との間にブロワファン30が設
けられており、空気取入口24、 26の近傍には、切替
えダンパ32が設けられている。切替えダンパ32は、
サーボモータ等のアクチュエータ(以下「サーボモータ
34」と言う)の作動によって、空気取入口24、 26
の開閉を行う。
【0029】ブロワファン30は、ブロワモータ36の
駆動によって回転して、 切替ダンパ32によって選択的
に開口された空気取入口24(外気導入モード)ないし
空気取入口26(内気循環モード)から外気ないし内気
(車室内の空気)を空調ダクト22内に吸引し、吸引し
た空気をエバポレータ18へ向けて送出する。
【0030】エバポレータ18の下流側には、エアミッ
クスダンパ38とヒータコア40が設けられている。ヒ
ータコア40は、例えば車両のエンジンの冷却水が循環
されるようになっており、この冷却水によって通過する
空気を加熱するようになっている。
【0031】エアミックスダンパ38は、サーボモータ
等のエアミックスダンパアクチュエータ(以下「サーボ
モータ42」と言う)の駆動によって回動して、ヒータ
コア40を通過する通路とヒータコア40をバイパスす
る通路を開閉する。
【0032】エバポレータを通過した空気は、エアミッ
クスダンパ38の開度に応じてヒータコア40を通過す
る空気とヒータコア40をバイパスする空気に分けら
れ、ヒータコア40によって加熱された空気とヒータコ
ア40をバイパスした空気が、吹出し口28の近傍で混
合される。
【0033】吹出し口28の近傍で混合された空気は、
サーボモータ46等のアクチュエータによって駆動され
て吹出し口28を開閉するモード切換えダンパ44に選
択された(開かれた)吹出し口28から車室内へ向けて
吹き出される。すなわち、吹出し口28から吹き出され
る空気の温度は、主にエアミックスダンパ38に制御さ
れる。
【0034】エアコン10には、マイクロコンピュータ
を備えた制御装置(以下「エアコンECU50」と言
う)が設けられている。このエアコンECU50には、
切替えダンパ32、エアミックスダンパ38及びモード
切換えダンパ44を操作するサーボモータ34、42、
46がそれぞれ接続され、また、前記したブロワモータ
36がファン速度コントローラ52を介して接続されて
いる。
【0035】エアコン10には、図示しないインストル
メントパネルに操作パネル54が設けられており、この
操作パネル54がエアコンECU50に接続されてい
る。車室内の乗員は、この操作パネル54上で種々の設
定操作を行うことができ、エアコン10は、設定された
条件(設定条件)に基づいて空調運転を開始するように
なっている。
【0036】一方、エアコン10には、 エバポレータ後
の空気の温度(以下「エバポレータ後温度」と言う)を
検出するエバポレータ後温度センサ56と共に、車外の
温度(外気温)を検出する外気温センサ58、車室内の
温度を検出する車室温度センサ62及び日射量を検出す
る日射センサ62が設けられており、これらがエアコン
ECU50に接続されている。
【0037】また、エアコンECU50には、計測手段
としてタイマー回路64が設けられている。このタイマ
ー回路64は、基準となる周波数のパルスを発振する水
晶発振回路66、水晶発振回路66によって発生された
基準周波数のパルスを所定の周波数に分周する分周回路
68及び分周回路68から出力されたパルスをカウント
することにより時間を計測するカウンタ70によって構
成されている。また、分周回路68とカウンタ70の間
には、AND回路72が設けられている。このAND回
路72には、エアコン10をオンして運転が開始される
ことにより、エアコンECU50から計測開始信号(オ
ン信号)が入力される。AND回路72は、このオン信
号が入力されることにより分周回路68から入力される
パルスをカウンタ70へ出力する。これによって、カウ
ンタ70による時間の計測が開始される。
【0038】エアコンECU50は、このカウンタ70
の出力を読込むことにより、エアコン10の運転を開始
してからの経過時間を判断することができるようになっ
ている。なお、タイマー回路64は計測手段の一例を示
すものであり、計測手段の構成を限定するものではな
い。
【0039】ファン速度コントローラ52は、ブロワフ
ァン30の回転数を制御することにより、ファン速度を
制御するものであり、このファン速度によって吹出し口
28から車室内へ吹き出される空調風の風量が定まる。
このようなファン速度コントローラ52としては、例え
ばパワートランジスタを用い、パルスデューティー制御
によってブロワファン30の回転数を変化させる機構を
用いることができる。
【0040】エアコンECU50は、操作パネル54で
設定された運転条件に基づいて、ブロワファン30、切
替えダンパ32、エアミックスダンパ38及びモード切
換えダンパ44を制御し、環境条件によって定まる冷房
負荷(空調負荷)から目標吹出し温度を決定し、この決
定結果に基づいて運転することにより車室内を所望の空
調状態に維持するようにしている。
【0041】すなわち、エアコンECU50では、車室
内を設定温度とするための吹出し口28から吹出す空調
風の温度である目標吹出し温度TAOを演算によって求め
る。この目標吹出し温度TAOは、一般に(1)式で求め
られる。
【0042】
【数1】
【0043】一方、実際の吹出し温度は、ヒータコア4
0を通過した温風と、ヒータコア40をバイパスした冷
風の混合比rによって定まる。この混合比rは、全風量
に対する温風の風量(ヒータコア40を通過した風量)
の割合である。実際の吹出し温度を目標吹出し温度TAO
にするための目標とする混合比rは、(2)式から求め
られる。
【0044】
【数2】
【0045】ここで、TE は、エバポレータ後温度セン
サ56によって検出したエバポレータ後温度であり、T
H は、ヒータコアを通過した空気の温度(ヒータコア後
温度)である。
【0046】ヒータコア後温度TH は、温度センサによ
って検出することもできるが、ヒータコア40には、車
両のエンジン冷却水が供給されるので、水温センサによ
って検出したエンジン冷却水温度TW を用い、(3)式
から求めることができる。
【0047】また、エンジン冷却水の温度は、サーモス
タットによって略一定に保たれているので、このサーモ
スタットの設定温度からヒータコア後温度TH を定数と
して設定してもよい。
【0048】エアミックスダンパ38の開度Sは、混合
比rの関数(S=f(r))となるので、ここからエア
ミックスダンパ38の開度Sを演算し、この演算結果に
基づいてサーボモータ42を制御する。これによって、
吹出し口28から目標吹出し温度TAOとなった空調風が
車室内へ吹き出される。
【0049】ところで、エアコンECU50は、エアコ
ン10の運転開始時に気象条件を含む環境条件を検出し
て、冷房負荷ないし暖房負荷を判定し、判定した空調負
荷に応じて、暖房運転または冷房運転を開始する。この
とき、エアコンECU50では、暖房負荷が大きいとき
には、室内温度Tr が高くなるように目標吹出し温度T
AOを補正し、この後、時間をかけながら徐々に室内温度
r が設定温度TSETとなるように、目標吹出し温度T
AOをオーバーシュートさせる。また、冷房負荷が大きい
ときには、室内温度Tr が低くなるように目標吹出し温
度TAOを補正し、徐々に室内温度Tr が、設定温度T
SET に近づくように目標吹出し温度TAO、をオーバーシ
ュートさせる。
【0050】すなわち、エアコンECU50では、空調
負荷から目標吹出し温度TAOをオーバーシュートさせる
ための設定温度TSET の補正量ΔTを設定し、設定した
ΔTに基づいて(4)式を用いて目標吹出し温度TAO
演算し、この演算結果に基づいて車室内の空調を行う。
【0051】
【数3】
【0052】なお、ΔTは、暖房時に正となり冷房時に
負となる設定温度TSET の補正量である(以下「オーバ
ーシュート温度ΔT」とする)。
【0053】一方、目標吹出し温度TAOをオーバーシュ
ートさせるための空調負荷Qとしては、エンジンを始動
させたとき(エアコン10の運転を開始したとき)の目
標吹出し温度TAOを用いても良い。
【0054】また、外気温度TO と日射量STから空調
負荷Qが判るので、(5)式に示されるように、目標吹
出し温度TAOを演算するときの気象条件に影響される外
気温度TO と日射量STの項(−k3 ・ To −k4 ・ S
T+C)を用いても良く、(6)式に示されるように、
外気温度To と日射量STに基づいて空調負荷Qを求め
る演算式を用いてもよい。
【0055】
【数4】
【0056】さらに、車両に進入する熱量を空調負荷Q
としても良い。この場合においても(7)式及び(8)
式に示されるように、空調負荷Qは、気象条件である外
気温度TO 及び日射量STから求めることができる。
【0057】
【数5】
【0058】エアコンECU50では、車両のエンジン
を始動したとき(エアコン10の運転を開始したとき)
に、空調負荷Qに基づいたオーバーシュート温度ΔTを
考慮して目標吹出し温度TAOをオーバーシュートさせ
る。
【0059】オーバーシュート温度ΔTは、外気温度T
O が低かったり日射量STが少なかったりして暖房負荷
が大きいときには、設定温度TSET を補正するときのオ
ーバーシュート温度ΔTが高くなるように設定し、外気
温度TO が高かったり日射量STが多く冷房負荷が大き
いと判断されるときには、設定温度TSET が低くなるよ
うに設定される。
【0060】すなわち、図3(A)に示されるように、
空調負荷Qが予め設定している負荷Q1 より低く、暖房
負荷が大きいと判断されたときには、空調負荷Q(暖房
負荷)に応じてオーバーシュート温度ΔTを高くする。
また、空調負荷Qが予め設定している負荷Q2 (Q1
2 )より大きく冷房負荷が大きいと判断されてときに
は、空調負荷Q(冷房負荷)に応じてオーバーシュート
温度ΔTを低くする。
【0061】なお、オーバーシュート温度ΔTが極端に
大きくなってしまうのを防止するためには、上限値ΔT
MAX (Q≦QMIN )及び下限値ΔTMIN (Q≧QMAX
を設けることが好ましいが、上限値ΔTMAX 及び下限値
ΔTMIN を設けずに空調負荷Qが大きくなるのに応じて
オーバーシュート温度ΔTも大きくなるように設定して
も良い。
【0062】一方、エアコンECU50では、オーバー
シュート温度ΔTと共にこのオーバーシュート温度ΔT
を保持するオーバーシュート保持時間tK を設定する。
オーバーシュート保持時間tK は、設定温度TSET にオ
ーバーシュート温度ΔTを加算した温度に基づいて車室
内を空調する時間であり、エアコンECU50では、空
調負荷Qが大きくなるのに応じてオーバーシュート保持
時間tK が長くなるように設定される。
【0063】すなわち、図3(B)に示されるように、
オーバーシュート保持時間tK は、暖房負荷または冷房
負荷が所定の負荷Q1 またはQ2 より大きくなると、そ
の大きさに応じて長くなるように設定される。このオー
バーシュート保持時間tK も、長時間車室内の温度が
設定温度より高くなったり低くなってしまうのを防止す
るために、前記したオーバーシュート温度ΔTと同じよ
うに上限値tKMAXを設定しているが、上限値tKMAXを設
定せずにオーバーシュート保持時間tK を空調負荷Qに
応じて設定するようにしても良い。
【0064】また、エアコンECU50では、設定した
オーバーシュート保持時間tk が経過すると、車室内が
最初に設定した設定温度TSET となるようにする。この
とき、車室内の温度を急激に変化させると、乗員に不快
感を生じさせる恐れがある。このために、エアコンEC
U50では、オーバーシュート温度ΔTを徐々に小さく
することにより、目標吹出し温度TAOが、設定温度T
SET に基づいた温度となるようにする。すなわち、目標
吹出し温度TAOによってオーバーシュートされている室
内温度Tr を徐々に設定温度TSET に近づけるようにし
ている。
【0065】このオーバーシュートの解消は、例えば所
定時間間隔(例えば約5分から10分間隔)でオーバー
シュート量ΔMを段階的(例えば約0.5°Cずつ)に
減少させるようにすることができる。この場合、目標吹
出し温度TAOのオーバーシュートが終了するまでの時
間、言い換えれば、室内温度Tr が設定温度TSET とな
るまでの時間をオーバーシュート解消時間tC とする
と、このオーバーシュート解消時間tC は、図3(C)
に示されるように、空調負荷Qがが大きくなるにつれて
長くなる。すなわち、オーバーシュート解消時間t
C は、オーバーシュート温度ΔTの絶対値が大きくなる
のにしたがって長くなるようにしている。
【0066】この場合、オーバーシュート温度ΔTが上
限値ΔTMAX または下限値ΔTMINに達するとオーバー
シュート解消時間tC も上限値tCMAXに達する。
【0067】また、予め空調負荷Qに応じてオーバーシ
ュート解消時間tC を設定し、オーバーシュート温度Δ
T、オーバーシュート保持時間tK 及びオーバーシュー
ト解消時間tC に基づいて、所定の時間間隔でオーバー
シュート温度ΔTを補正しながら減少させる(ΔTを0
に近づける)ようにしても良い。この方法の一例として
は、所定の時間間隔で、(9)式ないしは(10)式に
基づいてオーバーシュート温度ΔTを補正する方法があ
る。
【0068】
【数6】
【0069】ここで、ΔTm は補正したオーバーシュー
ト温度であり、ΔTm-1 は前回のオーバーシュート温
度、時間tはエアコン10の運転を開始してからの経過
時間(現在時間)であり、tm-1 は前回の補正までの経
過時間、tO はオーバーシュート保持時間tk にオーバ
ーシュート解消時間tC を加えた時間(オーバーシュー
ト時間)である。
【0070】次に、本実施の形態の作用を図4に示され
るフローチャートに沿って説明する。このフローチャー
トは、空調開始時の気象条件でオーバーシュート温度Δ
Tとオーバーシュート保持時間tK を決める一例を示し
ている。
【0071】エアコン10は、電源がオンされることに
より、パワー・オン・リセットで図示しないRAMメモ
リの中の初期フラグがオンセットされる。初期フラグ
は、このフローチャートの実行が1回目であるか2回目
以降であるかを示すものである。また、エアコン10
は、操作パネル54のスイッチ操作によって、設定温度
SET と共に内気循環か外気導入モードか、風量及び吹
出し口を手動で設定するマニュアルモードか自動設定す
るオートモードか、などの運転モード(運転条件)が設
定される。
【0072】このフローチャートでは、最初のステップ
100で気象条件としてに日射センサ60によって測定
する日射量ST、外気温センサ58によって測定する外
気温度To を読込む。また、ステップ102では、初期
フラグがオンセットされているかを判定する。
【0073】ここで、初期フラグがオンセットされてい
るときには、このフローチャートの実行が1回目である
ので、このときには、ステップ104からステップ11
8を実行してオーバーシュート温度ΔT、オーバーシュ
ート保持時間tK 等を決定する。また、2回目以降であ
るときには、迂回してステップ120へ移行し、ステッ
プ104からステップ118、すなわち、既にオーバー
シュート量が決定されているので、オーバーシュート量
を決定するための処理の実行を省略する。
【0074】ステップ102で、初期フラグがオンセッ
トされているとき(肯定判定)には、ステップ104へ
移行して初期フラグをオフにセットする。これによっ
て、次にこのフローチャートが実行されるときには、ス
テップ104からステップ118の処理が省略される。
【0075】次に、ステップ106及びステップ108
では、外気温度TO 、日射量ST及び運転条件に基づい
て決定される空調負荷Qの判定を行う。先ず、ステップ
106では、空調負荷Qが暖房負荷でありかつ所定の負
荷Q1よりも大きいか否か(空調負荷Qが所定の負荷Q
1 よりも小さいか否か)を判断する。また、ステップ1
08では、空調負荷Qが冷房負荷でありかつ所定の負荷
2 よりも大きいか否かを判断する。
【0076】ここで、空調負荷Qが所定の負荷Q1 より
大きな暖房負荷であると判断されたとき(ステップ10
6で肯定判定)には、ステップ110へ移行し、空調負
荷Q(暖房負荷)と図3(A)に基づいてオーバーシュ
ート温度ΔTを設定する。また、次のステップ112で
は、空調負荷Q(暖房負荷)と図3(B)及び図3
(C)に基づいて、オーバーシュート保持時間tK ない
しオーバーシュート保持時間tK とオーバーシュート解
消時間tC (オーバーシュート時間tO =tK +t C
を設定する。
【0077】また、空調負荷Qが大きな冷媒負荷である
ときには、ステップ108で肯定判定されて、ステップ
114へ移行する。このステップ114では、空調負荷
Q(冷房負荷)と図3(A)に基づいてオーバーシュー
ト温度ΔTを設定し、次のステップ116では、オーバ
ーシュート保持時間tK ないしオーバーシュート保持時
間tK とオーバーシュート解消時間tC を設定する。
【0078】すなわち、エアコンECU50は、図3
(A)乃至図3(C)をマップとして記憶しているか、
図3(A)乃至図3(C)に相当する演算式(空調負荷
Qの関数としての演算式)が記憶されており、気象条件
から求めた空調負荷Qに基づいて、暖房負荷が大きいと
きには、ウォームアップ時のオーバーシュート温度ΔT
とオーバーシュート保持時間tK 等を決定し、冷房負荷
が大きいときには、クールダウン時のオーバーシュート
温度ΔTとオーバーシュート保持時間tK を決定する。
【0079】また、暖房負荷も冷房負荷も小さいときに
は(ステップ106、108で否定判定)、ステップ1
18へ移行してオーバーシュート温度ΔTを「0」に設
定する(ΔT=0)。
【0080】これによって、外気温度が低く暖房負荷が
大きいときには、暖房負荷に応じて目標吹出し温度TAO
が高く設定され、また、外気温度が高く冷房負荷が大き
いときには、冷房負荷に応じて目標吹出し温度TAOが低
く設定されて、車室内の空調が開始される。また、空調
負荷Qが小さく、負荷Q1 、Q2 の間のとき(Q1 <Q
<Q2 )には、オーバーシュートさせずに通常の空調制
御が行われる。
【0081】一方、エアコンECU50は、空調運転を
開始するときにタイマー回路64のAND回路72へ運
転開始信号(オン信号)を出力する。これによって、タ
イマー回路64では、カウンタ70によってエアコン1
0の運転を開始してからの時間t(経過時間)のカウン
トを開始する。
【0082】ステップ120では、このタイマー回路6
4がカウントしている経過時間tを読込み、次のステッ
プ122では、読み込んだ経過時間tが、オーバーシュ
ート時間t0 に達したか否か、すなわち、オーバーシュ
ートを終了する時間に達したか否かを判断する。また、
ステップ124では、経過時間tが、オーバーシュート
保持時間tK (tK <t0 )に達したか否かを判断して
いる。
【0083】ここで、経過時間tがオーバーシュート保
持時間tK に達するまで(ステップ122及びステップ
124で肯定判定)は、ステップ126へ移行して、決
定されたオーバーシュート温度ΔTに基づいて目標吹出
し温度TAOを演算し、この演算結果に基づいてエアミッ
クスダンパ38の開度を演算し(ステップ128)、エ
アミックスダンパ38の開度が演算した開度となるよう
にサーボモータ42を制御する(ステップ130)。こ
れによって、演算された目標吹出し温度TAOの空調風が
車室内へ吹出され、車室内が空調される。
【0084】一方、タイマー回路64によって計測して
いる経過時間tがオーバーシュート保持時間tK に達す
ると(t>tK 、ステップ124で否定判定)、ステッ
プ132へ移行して、オーバーシュート温度ΔTの補正
を行う。すなわち、オーバーシュートの解消を行う。
【0085】オーバーシュートの解消は、例えば、
(9)式または(10)式に基づいて設定したオーバー
シュート温度ΔTm を新たなオーバーシュート温度とし
て補正する。
【0086】
【数7】
【0087】なお、(10)式は、最初に設定したオー
バーシュート温度ΔTを、経過時間tに応じて補正す
る。
【0088】ステップ126では、このようにして補正
したオーバーシュート温度に基づいて目標吹出し温度T
AOを演算することにより、目標吹出し温度TAOが、設定
温度TSET に基づいた目標吹出し温度TAOに戻される。
すなわち、経過時間tに応じて徐々にオーバーシュート
温度Δtが下げられ、この補正されたオーバシュート温
度ΔT(ΔTm )に基づいて目標吹出し温度が演算され
ることにより、徐々に室内温度が設定温度TSET となる
ように空調される。
【0089】この後、経過時間tがオーバーシュート時
間t0 を越えると(t>tO )、ステップ122で否定
判定されて、ステップ134へ移行する。このステップ
134では、オーバーシュート温度ΔTを「0」に設定
する(ΔT=0)。これによって、暖房負荷が大きいと
きのウォームアップ時や冷房負荷が大きいときのクール
ダウン時に行われるオーバーシュートが終了し、この後
は、通常の空調制御が実行される。
【0090】すなわち、図5(A)及び図5(B)に示
されるように、車両の運転開始時(エアコン10の運転
開始時)に、外気温度が低く暖房負荷が大きいと判断さ
れたときには、暖房負荷の大きさに応じて、オーバーシ
ュート温度ΔT、オーバーシュート保持時間tK 及びオ
ーバーシュート保持時間tC (またはオーバーシュート
時間tO )を設定し、この設定結果に基づいて車室温度
r を設定温度TSETに対してオーバーシュートさせ
る。
【0091】このとき、図3(A)乃至図3(C)に示
されるように、暖房負荷が大きいときには、オーバーシ
ュート温度ΔTが大きくなるように設定し、また、オー
バーシュート保持時間tK やオーバーシュート解消時間
C が長くなるように設定する。これによって、外気温
度To が低いにもかかわらずウォームアップ時にオーバ
ーシュートさせる温度が低かったり、オーバーシュート
が短時間で終了したために、乗員に暖房不足と感じさせ
てしまうことがない。
【0092】また、暖房負荷が小さいときには、オーバ
ーシュート温度ΔTは勿論、オーバーシュート保持時間
K やオーバーシュート解消時間tC が短くなるように
設定するため、外気温度が比較的高かったり日射量が多
いために比較的暖房負荷が小さいにもかかわらず車室温
度Tr が長時間高い温度に保たれてしまうことによっ
て、乗員に暖房のききすぎと感じさせることがない。
【0093】一方、図6(A)及び図6(B)に示され
るように、クールダウン時に、外気温度TO が高かった
り、さらに日射量STが多いと判断されたときには、冷
房負荷の大きさに応じて、オーバーシュート温度ΔT、
オーバーシュート保持時間t K 及びオーバーシュート保
持時間tC (またはオーバーシュート時間tO )を設定
し、この設定結果に基づいて車室温度Tr を設定温度T
SET に対してオーバーシュートさせる。
【0094】このとき、図3(A)乃至図3(C)に示
されるように、冷房負荷が大きいときには、オーバーシ
ュート温度ΔTが大きくなるように設定し、また、オー
バーシュート保持時間tK やオーバーシュート解消時間
C が長くなるように設定する。したがって、外気温度
O が高いにもかかわらずオーバーシュートさせる温度
が低かったり、オーバーシュートが短時間で終了したた
めに、乗員に冷房不足と感じさせてしまうことがない。
また、冷房負荷が小さいときには、オーバーシュート温
度ΔTは勿論、オーバーシュート保持時間tK やオーバ
ーシュート解消時間tC が短くなるように設定するた
め、外気温度が比較的低かったり日射量が少ないために
冷房負荷が小さいにもかかわらず、車室温度Tr が長時
間低い温度に保たれてしまうことによって、乗員が冷え
過ぎと感じてしまうのを確実に防止できる。
【0095】このように、車両の運転開始時(エアコン
10の運転開始時)の気象条件に基づいてオーバーシュ
ートさせる温度やオーバーシュートさせる時間等のオー
バーシュート量を設定し、この設定結果に応じて車室温
度がオーバーシュートされるように空調を行うことによ
り、常に車室内を快適な空調状態に保つことができ、乗
員に不快感を生じさせることがない。
【0096】なお、本実施の形態では、予め設定した所
定の負荷Q1 、Q2 と演算した空調負荷Qを比較して、
空調負荷Qが負荷Q1 、Q2 の間のとき(Q1 <Q<Q
2 )には、オーバーシュートさせずに通常の空調制御を
行うようにしたが、これに限らず、図7(A)乃至図7
(C)に示されるように、所定の負荷Q0 を境にして、
暖房負荷に応じたオーバーシュートか冷房負荷に応じた
オーバーシュートかの何れかのオーバーシュートを行う
ようにしても良い。この場合でも、空調負荷Qによって
オーバーシュート温度ΔT、オーバーシュート保持時間
K 及びオーバーシュート解消時間tC 等のオーバーシ
ュート量を決定するため、空調の不足や効きすぎがな
く、車室内の快適性を損なうことはない。
【0097】また、本実施の形態では、車両の運転開始
時(車室内の空調開始時)の気象条件等に基づいて、最
初にオーバーシュート温度ΔT、オーバーシュート保持
時間tK 及びオーバーシュート解消時間tC 等のオーバ
ーシュート量を決定したが、これに限らず、気象条件に
応じてオーバーシュート温度ΔT、オーバーシュート保
持時間tK 及びオーバーシュート解消時間tC 等のオー
バーシュート量を調整(変更)しながらオーバーシュー
トを行うようにしても良い。
【0098】この場合、日射量等の気象条件の急変でオ
ーバーシュート量が急変しないように外気温度センサ5
8や日射センサ60の検出結果を積算して平均値を求
め、この平均値に基づいてオーバーシュート温度ΔT、
オーバーシュート保持時間tK及びオーバーシュート解
消時間tC 等のオーバーシュート量を決定することが好
ましい。このことで、オーバーシュート量が滑らかに変
化する。
【0099】このときには、その都度決定されるオーバ
ーシュート温度ΔT、オーバーシュート保持時間tK
びオーバーシュート解消時間tC 等のオーバーシュート
量に基づいて、目標吹出し温度TAOの演算及び経過時間
tの判定等を行えば良い。
【0100】図8には、空調運転中の気象条件の変化に
応じてオーバーシュート温度ΔTや、オーバーシュート
保持時間tK 、オーバーシュート解消時間tC (または
オーバーシュート時間tO )を制御する一例を示してい
る。
【0101】このフローチャートは、エアコン10の運
転が開始されると実行され、最初のステップ100で
は、気象条件として外気温度センサ58、日射センサ6
0等の検出結果を読み込む。次に、ステップ140、1
42では、日射量ST及び外気温度TO の平均値を演算
する。
【0102】次にステップ144へ移行して、この日射
量ST及び外気温度TO に基づいて空調負荷Qを演算す
る。
【0103】また、ステップ106以降では、オーバー
シュート温度ΔT、オーバーシュート保持時間tK 等を
決定するときにステップ140、142で求めた日射量
ST、外気温度TO を用いる。
【0104】このように時間経過に応じて変化する気象
条件を、時系列で計測したN1個の計測値から平均値を
求め、この平均値に基づいて、オーバーシュート温度Δ
T、オーバーシュート保持時間tK 等を決定することに
より、急激に気象条件が変化したり、計測誤差が生じて
も、車室内の空調状態が急激に変化して、乗員が不快感
を感じてしまうのを確実に防止することができる。ま
た、気象条件の変化に応じて車室内の空調状態を緩やか
に変化させて、車室内を気象条件に応じた快適な空調状
態に維持することができる。
【0105】図9(A)には、日射量STを例にした平
均値の演算を行うフローチャートを示している。ここ
で、このフローチャートを例に、オーバーシュート温度
ΔT、オーバーシュート保持時間tK 等のオーバーシュ
ート量を決定するための気象条件の平均値の演算の一例
を説明する。
【0106】このフローチャートは、エアコン10の運
転が開始されて実行されると、最初にステップ160で
初期設定を行う。なお、この初期設定は、エアコン10
の運転が開始されて、最初にこのフローチャートが実行
されたときに、1回だけ実施され、この後は、このフロ
ーチャートを実行するときに、ステップ150を飛ばし
て、次のステップ152から実行される。
【0107】このステップ150では、日射量の和ST
SUM 及びカウンタNをそれぞれリセットする(STSUM
=0、N=0)。
【0108】ステップ152では、計測回数のカウント
値Nをインクリメント(N=N+1)して、次にステッ
プ154では、日射量センサ60によって検出した日射
量stを読み込んで記憶する。
【0109】また、ステップ156では、カウント値N
が予め設定した回数N1に達しているか否かを確認し、
カウント値Nが回数N1に達していないとき(ステップ
156で否定判定)には、ステップ158へ移行し、今
回まで計測して記憶しているN個の計測値から平均値
(平均日射量STMEAN)演算する。
【0110】
【数8】
【0111】すなわち、前回までの日射量の総和ST
SUM に今回の日射量ST(N) を加算する。この後、算出
した日射量STの総和を、カウント値Nで除算すること
により平均日射量STMEANを算出する。
【0112】一方、カウント値Nが、予め設定している
回数N1に達すると、ステップ156では、否定判定さ
れる。これによって、ステップ156からステップ16
0へ移行する。
【0113】このステップ160では、メモリのデータ
変換を行う。このメモリのデータ変換は、図9(B)に
示されるように、既に記憶されているN1個の計測値の
うち、最も古い計測値を消去すると共に、残った計測値
を順にずらして、新たにN1番目に最新の計測値を記憶
させる。
【0114】この後、図9(A)に示されるフローチャ
ートでは、ステップ162で、メモリに記憶している最
新のN1個の計測値から平均日射量STMEANを求める。
すなわち、(11)式に示されるように時系列的に記
憶している最新のN1個の計測値を用いて平均日射量S
MEANを演算している。
【0115】
【数9】
【0116】このようにして、演算した平均日射量ST
MEANを、図8に示されるフローチャートに日射量STと
して用いる。これによって、気象状態の変化に応じた適
切な計測値が得られる。なお、本実施の形態では、単純
平均として演算したが、加重平均等の種々の平均値を用
いることができる。
【0117】なお、本実施の形態では、外気温度TO
日射量ST等の気象条件に基づいて、オーバーシュート
温度ΔT、オーバーシュート保持時間tK 及びオーバー
シュート解消時間tC をそれぞれ設定したが、少なくと
もオーバーシュート温度ΔTかオーバーシュート保持時
間tK の一方を設定するだけでも良い。すなわち、オー
バーシュート保持時間tK を一定にして、空調負荷Qに
基づいてオーバーシュート温度ΔTを補正するようにし
ても良く、また、オーバーシュート温度ΔTを一定にし
て、オーバーシュート保持時間tK を空調負荷Qに応じ
て設定するようにしても良い。
【0118】また、以上説明した本実施の形態は、本発
明及び本発明を適用した車両用空調装置の一例を示すも
のであり、本発明の構成及び本発明を適用する車両用空
調装置の構成を限定するものではない。本発明は、設定
温度と気象条件を含む環境条件に基づいて目標吹出し温
度TAOを演算して、車室内を設定温度TSET に維持する
任意の構成の車両用空調装置に適用することができる。
【0119】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明によれば、空
調運転を開始時に、車室内の温度を設定温度に対してオ
ーバーシュートさせときの、オーバーシュート保持時間
あるいはオーバーシュート温度オーバーシュート保持
時間を気象条件に基づいて設定する。これによって、空
調運転を開始したときは勿論、長時間経過しても車室内
を快適な空調状態に保つことができ、乗員に暖冷房のき
きすぎ感や、暖冷房の不足感を感じさせることがないと
言う優れた効果が得られる。また、気象条件に応じた適
切なオーバーシュート温度とオーバーシュート保持時間
で制御するため過剰なオーバーシュートが無くなり、省
動力にもなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成の概略を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態に適用したエアコンを示す概略構
成図である。
【図3】(A)は空調負荷に対するオーバーシュート温
度を示す線図、(B)は空調負荷に対するオーバーシュ
ート保持時間を示す線図、(C)は空調負荷に対するオ
ーバーシュート解消時間を示す線図である。
【図4】空調負荷に応じたオーバーシュートを行う一例
を示すフローチャートである。
【図5】(A)は暖房時の空調を開始してからの経過時
間に対する設定温度の変化を示す線図、(B)は図5
(A)に基づいてオーバーシュートさせたときの経過時
間に対する室内温度の変化の概略を示す線図である。
【図6】(A)は冷房時の空調を開始してからの経過時
間に対する設定温度の変化を示す線図、(B)は図5
(A)に基づいてオーバーシュートさせたときの経過時
間に対する室内温度の変化の概略を示す線図である。
【図7】(A)乃至(C)は空調負荷に基づいたオーバ
ーシュートを制御を行うときの図3(A)乃至図3
(C)と異な他の一例を示す線図であり、(A)は空調
負荷に対するオーバーシュート温度を示し、(B)は空
調負荷に対するオーバーシュート保持時間を示し、
(C)は空調負荷に対するオーバーシュート解消時間を
示す。
【図8】その都度検出される気象条件に基づきながら空
調負荷に応じたオーバーシュートを行う一例を示すフロ
ーチャートである。
【図9】(A)は、気象条件の平均値の算出の一例を示
すフローチャート、(B)は、図9(A)のフローチャ
ートを実行するときのデータ変換を示す概略図である。
【符号の説明】
10 エアコン(車両用空調装置) 50 エアコンECU(設定温度補正手段、補正時間
設定手段、制御手段) 54 操作パネル 58 外気温センサ(環境条件検出手段) 60 日射センサ(環境条件検出手段) 64 タイマー回路(計測手段) 82 環境条件検出手段(環境条件検出手段) 86 空調負荷判定手段 88 補正温度設定手段(設定温度補正手段) 90 補正時間設定手段 92 空調制御手段 94 計測手段

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 環境条件及び設定温度を含む運転条件に
    基づいて車室内へ吹出す空調風の温度を設定し、車室内
    が前記設定温度となるように空調する車両用空調装置で
    あって、 気象条件を含む環境条件を検出する環境条件検出手段
    と、 車室内の空調を開始してからの経過時間を計測する計測
    手段と、 車室内の空調を開始してから空調能力を増大するよう設
    定温度を補正する補正手段と、車室内の空調を開始したときに前記補正手段によって補
    正された 設定温度に保持するオーバーシュート保持時間
    、前記環境条件検出手段の検出結果から求めた空調負
    荷に基づいて、空調負荷が小さい時より空調負荷が大き
    いときに長くなるように設定する補正時間設定手段と、 前記補正時間設定手段の設定結果に基づいた経過時間を
    前記計測手段によって計測しながら空調能力が増大する
    ように補正した設定温度に基づいて車室内の温度を制御
    するオーバーシュート制御手段と、 を含むことを特徴とする車両用空調装置。
  2. 【請求項2】 前記補正手段が、前記環境条件検出手段
    の検出結果から求めた空調負荷に基づいて空調能力を増
    大させるように前記設定温度を補正する設定温度補正手
    であるときに、前記オーバーシュート制御手段が、
    記補正時間設定手段の設定結果に基づいた経過時間を前
    記計測手段によって計測しながら前記設定温度補正手段
    によって補正された設定温度に基づいて車室内の温度を
    制御することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調
    装置。
JP19289697A 1997-07-17 1997-07-17 車両用空調装置 Expired - Fee Related JP3405133B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19289697A JP3405133B2 (ja) 1997-07-17 1997-07-17 車両用空調装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19289697A JP3405133B2 (ja) 1997-07-17 1997-07-17 車両用空調装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1134632A JPH1134632A (ja) 1999-02-09
JP3405133B2 true JP3405133B2 (ja) 2003-05-12

Family

ID=16298787

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19289697A Expired - Fee Related JP3405133B2 (ja) 1997-07-17 1997-07-17 車両用空調装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3405133B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010126029A (ja) * 2008-11-28 2010-06-10 Pioneer Electronic Corp 温度制御システム及び温度制御方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH1134632A (ja) 1999-02-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3185854B2 (ja) 車両用空調装置
US7647786B2 (en) Automotive air-conditioning system
JP3931634B2 (ja) 車両用空調装置
US7028493B2 (en) Vehicle air conditioner having a seat air conditioning unit
US6705098B2 (en) Vehicle air conditioner with automatic air-conditioning control
JP3180306B2 (ja) 車両用空調装置
JP2010030435A (ja) 車両用空調装置
JP3405133B2 (ja) 車両用空調装置
JP2596813B2 (ja) 車両用空調制御装置
JP2575846B2 (ja) 車両空調用制御装置
JP2768177B2 (ja) 自動車用空調装置
JP2001310610A (ja) 車両用空調装置
JP2003127633A (ja) 車両用空調装置およびそのプログラム
JP2674391B2 (ja) 車両用空調装置
JP2002144849A (ja) 車両用空調装置
JPH05243B2 (ja)
JP2891000B2 (ja) 自動車用空調装置
JPH0629052Y2 (ja) 車両用空調装置
JP2003080919A (ja) 車両用空調装置
JP3518053B2 (ja) 車両用空調装置
JP2921290B2 (ja) 自動車用空調装置
JP2522215B2 (ja) 車両用空気調和制御装置
JP3417249B2 (ja) 自動車用空調装置
JP3021615B2 (ja) 車両用空調装置
JP3319163B2 (ja) 車両用空調装置

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090307

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100307

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees