JP3033196B2 - 空調制御装置 - Google Patents

空調制御装置

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JP3033196B2
JP3033196B2 JP2405868A JP40586890A JP3033196B2 JP 3033196 B2 JP3033196 B2 JP 3033196B2 JP 2405868 A JP2405868 A JP 2405868A JP 40586890 A JP40586890 A JP 40586890A JP 3033196 B2 JP3033196 B2 JP 3033196B2
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skin temperature
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尚 田中
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忠幸 宮脇
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は空調装置に関し、特に在
室者の皮膚温度に応じて空調装置を制御するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、室内温度を設定温度に一致さ
せるだけでなく、特開昭55−95054号公報、特開
昭57−125243号公報及び特開平1−22971
3号公報のように在室者の皮膚温度に応じて空調装置を
制御するものが一般に知られている。 特に特開平1−
229713号公報に開示されるものは皮膚温度とその
皮膚温度の変化率とに応じて乗員の温度感覚を推定し、
この温度感覚を目標温度感覚に一致させるように吹出流
量と吹出温度とを制御し、過渡的な冷暖房時の温度感覚
を快適に維持する旨開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の特開
平1−229713号公報の技術では温感を目標温感に
一致させるにあたり、まず吹出温度を制御し、この吹出
温度制御が限界に達した後に吹出流量を制御しており、
乗員の温感に大きな影響を与える吹出流量が、時々刻々
と変化する乗員の温感に応じて適切に制御されないとい
う問題点があった。
【0004】本発明は上記の如き従来の技術の問題点に
鑑み、室内温度と吹出風量との両方を適切に制御して在
室者の皮膚温度を空調の過渡時から定常時にわたって適
切に調節できる空調制御装置を提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、請求項1記載の
本発明は、図1に示す技術的手段を採用する。
【0006】在室者の皮膚表面温度を示す皮膚温度信号
を出力する皮膚温度検出手段と、在室者の目標温度感覚
を設定する目標温感設定手段と、在室者の皮膚温度が安
定した定常状態において前記目標温感設定手段による前
記目標温感を達成するために必要な定常目標皮膚温度を
演算する定常目標皮膚温度演算手段と、前記皮膚温度検
出手段による検出皮膚温度と前記定常目標皮膚温度演算
手段による定常目標皮膚温度との差に応じて、この差が
大きくなるほど送風量を大きくするように送風量を設定
する送風量設定手段と、在室者の皮膚温度が変化する過
渡状態において前記目標温感設定手段による前記目標温
感を達成するために必要な過渡目標皮膚温度を、在室者
の検出皮膚温度からの皮膚温度変化率を考慮して演算す
る過渡目標皮膚温度演算手段と、皮膚温度が前記過渡目
標皮膚温度にあるときの皮膚表面での熱収支が、前記送
風量設定手段により設定された送風量に応じた放熱のも
とで平衡する空気温度を演算する空気温度演算手段と、
前記送風量設定手段により設定された送風量を室内に供
給するとともに、前記空気温度演算手段により演算され
た空気温度を目標温度として室内温度を調節する空調装
置とを備えるという技術的手段を採用する。
【0007】
【作用】上記請求項1記載の本発明の構成によると、
室者の皮膚温度が安定した定常状態において目標温感を
達成する定常目標皮膚温度と、在室者の皮膚温度が変化
する過渡状態において目標温感を達成する過渡目標皮膚
温度とが演算される。
【0008】すなわち、在室者の温度感覚を目標温感に
一致させるように定常目標皮膚温度と過渡目標皮膚温度
とが演算される。
【0009】そして、検出皮膚温度と定常目標皮膚温度
との差に応じて、この差が大きくなるほど送風量を大き
くするように送風量が設定され、送風量が調節される。
【0010】これにより、在室者の検出皮膚温度が定常
目標皮膚温度に接近するに従って、すなわち在室者の温
度感覚が目標温感に接近するに従って順次減少する送風
量が供給され、在室者の温感の変化に応じた快適な送風
量が供給される。
【0011】さらに、在室者の皮膚温度が変化する過渡
状態において目標温感を達成するために必要な過渡目標
皮膚温度は、在室者の検出皮膚温度からの皮膚温度変化
率を考慮して演算される。
【0012】ここで、在室者の温感はその皮膚温度と強
い関連性を有しているが、在室者の皮膚温度が変化する
過渡状態においては、在室者の温感はその皮膚温度とと
もに、その皮膚温度変化率からも大きな影響を受ける。
例えば、皮膚温度が急激に下降する時には在室者は比較
的寒いと感じやすく、また、皮膚温度が急激に上昇する
時には在室者は比較的暖かいと感じやすい。
【0013】従って、在室者の検出皮膚温度からの皮膚
温度変化率を考慮することで、在室者の皮膚温度が変化
する過渡状態においても目標温感を達成できる過渡目標
皮膚温度が演算される。
【0014】そして、皮膚温度が過渡目標皮膚温度にあ
るときの皮膚表面での熱収支が、送風量設定手段により
設定された送風量に応じた放熱のもとで平衡する空気温
度が演算され、この空気温度を目標温度として室内温度
が調節される。従って、過渡状態において送風量が検出
皮膚温度の変化にともなって順次変化し、しかも過渡目
標皮膚温度が順次変化しても、その変化に追従して過渡
目標皮膚温度が達成され、目標温感が達成される。
【0015】
【実施例】以下、本発明を適用した実施例を説明する。
図2は本発明の一実施例の構成を示す車両用空調装置の
模式断面図である。この実施例では、車両1に空調ユニ
ット2を備える。空調ユニット2は従来から一般に知ら
れた構成を有し、内外気切替装置21,送風機22,エ
バポレータ23,ヒータコア24,エアミックスダンパ
25及びベント吹出口26等を有している。
【0016】この空調ユニット2を制御する制御装置3
1はマイクロコンピュータを有する。そして外気温セン
サ32,日射センサ33,スイッチパネル34,内気セ
ンサ35,赤外線皮膚温センサ36,水温センサ37及
びエバ後温センサ38からの信号を入力する。制御装置
31は上記各センサから入力される信号を演算処理し、
送風機22及びエアミックスダンパ25を制御する。
【0017】なお、赤外線皮膚温センサ36は乗員の顔
面から非接触にて皮膚温度を検出する赤外線検出型のセ
ンサである。まず、この実施例の作動の概略を説明す
る。この実施例では、人の温感と皮膚温度との間には強
い相関があり、ほぼ下記(1)式によって温感(s)が
表されるという技術思想に基づき風量と室温とを決定
し、空調装置を制御している。
【0018】
【数1】 温感(s)=K1 ×TS +K2 ×dTS +C なお、 (1)式においてK1,K2,Cは定数、TS は皮膚温度、
dTS は皮膚温度変化である。 そして、下記(2)式で表されるΔTS に応じて送風量
を計算する。
【0019】
【数2】ΔTS =TS −TSo なお、(2)式においてTS は現在の乗員の皮膚温度、
Soは目標温感を達成する定常時の皮膚温度である。 ここで、TSoは、(1)式において、Sを目標温感So
とし、dTS =0(定常時)として下記(3)式により
求めることができる。
【0020】
【数3】TSo=(So −C)/K1 ここでΔTS に応じて計算される 送風量は、本発明の
発明者らの実験により予め求められたパターン化された
数値である。 この実験では、ΔTS を種々に変化させ、各ΔTS にお
いて乗員が快適と感じた送風量を記録した。
【0021】この実験結果はほぼ図3のようになり、Δ
S が減少するに従って乗員は低目の送風量を好むこと
がわかる。 この実施例ではこの実験結果から、暖房時と冷房時とを
考慮し、図4に示すような送風量パターンを設定し、制
御装置に記憶させ、この送風量パターンとΔT S とから
送風量を計算させることとした。
【0022】一方、乗員の温感Sを、過渡時においても
一定に維持するために必要なt秒後の皮膚温度TS (n
+1)は、上記(1)式におけるTS をTS (n+1)
とし、dTS を(TS (n+1)−TS (n+1)/
t)として上記(1)式を変形し、下記(4)式のよう
に表すことができる。
【0023】
【数4】 なお、(4)式においてTS (n)は現在の皮膚温
度、TS (n+1)はt秒後の皮膚温度である。
【0024】この(4)式により、時々刻々与えられる
目標皮膚温度TS (n+1)を実現することができれ
ば、乗員の温感Sを一定に維持することができる。すな
わち、図5に図示されるように、温感Sを一定に維持す
るために、皮膚温度の変化を乗車時の皮膚温度が高いと
きには皮膚温度の変化を大きな変化率(一点鎖線)で与
え、また乗車時の皮膚温度が低いときには、皮膚温度の
変化を小さな変化率(破線)で与えることができる。
【0025】さらにこの実施例では、人体内部からの産
熱量と体外への放熱量との差の時間的な変化が皮膚温度
に変化を与えると考え、人体の皮膚モデルに基づいて、
t秒後の皮膚温度TS (n+1)を実現するための車室
内温度Taを求める。図6に、この実施例で用いた皮膚
モデルを図示する。この実施例では、皮膚層にn層のモ
デルを想定している。この実施例ではi番目の層の温度
をtsiとし、各層の温度を下記(5)式の差分式で表
し、この差分式を解くことにより各層の温度tS2〜t
Sn-1を求める。
【0026】
【数5】ai si=bi ×tsi+1+ci ×tsi-1+di この実施例では、境界条件としてts1にt秒後の皮膚温
度TS (n+1)を与え、tSnに体内深部温度tb を与
える。また、生成項として、di に血流による熱量qbi
と代謝産熱量qmiとの和を与える。
【0027】ここで、i(i=2〜n)番目の層には、
温度tb の血液が層の温度tsiに応じた流量Vbiで流れ
ており、血流による熱量qbiが供給されている。このq
biは下記(6)式で表される。
【0028】
【数6】qbi=K3 ×Vbi×(tb −tsi) なお、(6)式においてK3 は定数である。ここで、流
量Vbiはi番目の層の温度tsiの関数として表すことが
でき、fを関数として下記(7)式で表される。
【0029】
【数7】Vbi=f(tsi K4) なお、(7)式においてK4 は定数である。また、各層
では、生体の代謝活動により、層の温度に応じた代謝産
熱量qmiが発生する。
【0030】このqmiは下記(8)式で表される。
【0031】
【数8】qmi=K5 ×2(tsi-K6)/Kg なお、(8)式において、K5 ,K6 ,Kgは定数であ
る。上記の(6)式、(8)式により求められたqbi
miとの和を(5)式のd i に代入し、得られた連立差
分方程式を公知の解法により解して、層の温度が求めら
れる。
【0032】なお、Vbi,qmiの算出方法決定にあたっ
ては、藤正巖による、末梢循環の熱輸送モデル,医用電
子と生体工学,第23巻,第7号,pp503〜50
8,1985年12月,及び岩谷眞宏による、熱流解析
による皮膚血流量の算定,医用電子と生体工学,第20
巻,第4号,pp249〜255,1982年8月の文
献を参考にした。
【0033】次に、皮膚表面における熱の収支は、皮膚
表面とこの表面より内側の層との間の伝導熱量Qcd,日
射による入熱量Qr ,汗の蒸発による潜熱量Qe とを想
定して、下記(9)式に示すように平衡していると考え
られる。
【0034】
【数9】Qcd+Qr +Qe +QCV=0 そして、対流による放出熱量QCVは、空気の熱伝達率を
α,空気温度をTa ,皮膚温度をTS (n+1)とし
て、下記(10)式により表すことができる。
【0035】
【数10】QCV=α×(Ta −TS (n+1)) ここでαは気流速度をVとして、このVのK7 乗の関数
として下記(11)式で表される。
【0036】
【数11】α=f(VK7) なお、(11)式においてK7 は定数である。この(1
0)式を上記(9)式に代入し変形すると、空気温度T
a は下記(12)式により表すことができる。
【0037】
【数12】Ta =TS (n+1)−(Qcd+Qr
e )/α この(12)式は、Qcd,Qr ,Qe の下で、皮膚温度
をTS (n+1)にするには空気温度をTa とすればよ
いことを示している。従ってこの(12)式を解くこと
により、上記(4)式で求めたt秒後の目標皮膚温度T
S (n+1)を実現するための空気温度Ta を求めるこ
とができる。
【0038】まず、皮膚表面とこの表面より内側の層と
の間の伝導熱量Qcdは、上記(5)式に示した連立差分
方程式を解いて得られる2番目の層の温度tS2と皮膚温
度(1番目の層の温度)TS (n+1)とを用いて下記
(13)式から求められる。
【0039】
【数13】Qcd=K8 ×(tS2−TS (n+1)) なお、(13)式において、K8 は定数である。 次に、日射による入熱量Qr は、日射センサ33の出力
信号に応じて与えられる。
【0040】また、汗の蒸発による潜熱量Qe は、下記
(14)式で表される。
【0041】
【数14】Qe =0.7×mrsw ×{2(ts-34.1)/3 } ここでmrsw は下記(15)式で表され、さらにこの
(15)式の中ΣSK,Σ Crはそれぞれ下記(16)式、
(17)式で表される。
【0042】
【数15】mrsw =250×ΣCr+100(ΣCr)×
(ΣSK
【0043】
【数16】
【0044】
【数17】 なお、(16),(17)式において、C1 ,C2
定数である。
【0045】ここで、ΣSKは、皮膚表面からL番目の層
までの平均温度を示し、ΣCrはL番目の層から最深部ま
での平均温度を示すものとし、Qe は飽和蒸発量を超え
ないものとする。 なお、この潜熱量Qe の演算方法を決定するにあたって
は、A.P.Gagge,J.A.J.Stolwij
k,Y.NishiによるAn Effect ive Temperature Scale Bas
ed on a Simple Model of H
uman Physiological Req ulatory Response.ASHRAE t
rans Vol.77,Part 1,P247−2
62,1971の文献を参考にした。
【0046】以上のようにして求められたQcd,Qr
e を上記(12)式に代入し、(12)式のTS
(4)式で求めた目標皮膚温度TS (n+1)を代入す
ることで、空気温度Ta が求められる。 そして、この実施例では、(12)式から求められた空
気温度Ta を車室内温度制御の設定温度Tset とし、必
要吹出温度Ta0を演算してエアミックスダンパ 25を制御する。
【0047】次に、この実施例の実際の作動を図7,図
9のフローチャートに従って説明する。 制御装置31は車両の図示せぬバッテリから電源供給を
受け、図示せぬキースイッチのオン操作に応答して図7
に図示するフローチャートを実行し、車室内温 度と送風量とを制御する。
【0048】まず、ステップ110では各センサから検
出信号及び設定信号を入力する。次にステップ120で
は、上述の(3)式に基づいて、目標皮膚温度Ts0
演算される。 なお、ここで目標温感S0 は“暖かい”、“寒い”とい
った温度感覚を数値に対応させたもで、下記(18)式
により、図8に示すような特性となるように演 算される。
【0049】
【数18】S0 =K9 ×Trint+K10×Tam+K11×S
r +K12 なお、(18)式において、K9 ,K10,K11,K12
定数、Trintは空調開始時の車室内温度(初期温度)、
Tamは外気温度、Sr は日射量である。 なお、Trintは、この実施例ではキースイッチのオン操
作時の車室内温度が記憶されている。
【0050】この(18)式により、空調を開始する前
に乗員がさらされた熱負荷、及び室内への熱負荷状態を
要因として目標温感S0 が設定される。また、この目標
温感は、乗員によるスイッチパネル34からの入力によ
り“暑く”あるいは“寒く”といった方向性をもって補
正される。そして、ステップ110で入力された皮膚温
度TS と定常時の目標皮膚温度T s0との差ΔTS
(2)式により求められる。
【0051】ステップ130では、ステップ120で求
められたΔTS と図4に示す送風機パターンとに基づい
て送風量Vを決定する。次にステップ140では、上述
の(4)式の温感Sに目標温感S0 を代入し、t秒後の
目標皮膚温度TS (n+1)を演算する。ステップ15
0では、t秒後の目標皮膚温度TS (n+1)をステッ
プ130で決定された送風量Vの下で生じさせるための
目標車室温度Ta が(5)〜(17)式に基づく演算に
より求められる。
【0052】このステップ150を図9に基づき詳細に
説明する。まずステップ151ではtS1を目標皮膚温度
S (n+1)とし、ts10 を深部温度tb とし、ts2
〜t s9を未知数として、(5)式の差分式から得られる
連立差分方程式を解いてts1〜ts10 を求める。なお、
(5)式の右辺第3項のdi には、tsiを未知数とした
biとqmiとの和、すなわち(6)式と(8)式との和
が代入されている。
【0053】次にステップ152では、上述のステップ
130において決定された風量Vに応じて(11)式か
ら空気の熱伝達率αを演算する。また、ステップ151
において求められた皮膚内各層の温度ts1〜ts10 及び
日射センサ33の出力によってQcd,Qr ,Qe を求
め、(12)式から目標空気温度Ta を演算する。
【0054】ステップ160では、ステップ150で演
算された空気温度Ta を設定温度T set に代入する。ス
テップ170では、t秒後に車室内温度Tset を実現す
るために必要な吹出空気温度Ta0を下記(19)式から
演算する。
【0055】
【数19】Ta0=K13×Tset +K14×Tr +K15×T
am+K16×ST +K17 なお、(19)式において、K13,K14,K15,K16
17は定数である。ステップ180では、エバポレータ
直後の空気温度TE 及びヒータ24の温水温度TW に応
じて上記必要吹出温度Ta0を実現するエアミックスダン
パ25の開度SWを下記(20)式から演算する。
【0056】
【数20】 ステップ190ではステップ130で決定された風量V
を供給するようにブロワモータ22の駆動指令を出力す
る。
【0057】ステップ200ではステップ180で決定
されたエアミックスダンパ開度SWをエアミックスダン
パ25を駆動するサーボモータに目標値として指令す
る。ステップ210では、サンプリングタイムt秒が経
過するまでステップ170ないしステップ200の演算
処理を繰り返して待機し、サンプリングタイムt秒が経
過すると再びステップ110に戻り、上述の作動を繰り
返す。
【0058】なお、(19)式に示した必要吹出温度T
a0の演算式において、各定数K13,K14,K15,K16
17は、サンプリングタイムt秒の間に車室内温度Tr
を設定温度Tset に接近させるために、Tset の変化に
対してTr が速く応答するように設定されている。以上
述べた実施例によると、乗員の皮膚温度に応じた乗員に
とって快適な送風量を供給できる。
【0059】しかもこの送風量の下で目標温感を達成で
きる目標皮膚温度を演算し、この目標皮膚温度に実際の
皮膚温度を調節しているから、乗員の温感を所望の温感
に一致させることができる。また、この目標皮膚温度を
実現するのに必要な目標空気温度を求め、この目標空気
温度を設定温度として車室内の温度制御を行うから、従
来の空調装置の制御方式を利用して簡単な構成で目標皮
膚温度を得ることができる。
【0060】また、目標皮膚温度を実現するのに必要な
目標空気温度を求めるにあたっては、皮膚表面における
熱収支の平衡に基づいて目標空気温度を演算している。
このため、皮膚温度に影響し温感を変化させる皮膚外部
からの入熱と、皮膚外部への放熱と、皮膚内部からの発
熱とに応じた目標空気温度を求めることができ、環境条
件が変化した場合にも目標皮膚温度を確実に得ることが
できる。
【0061】さらに、この実施例では、皮膚構造を複数
層にモデル化し、各層間の影響を差分式により表し、各
層の温度を求めている。そして、皮膚内部からの熱伝達
を含めた皮膚表面での熱収支に応じて目標皮膚温度を実
現できる目標空気温度を求めている。このため、皮膚の
熱容量に起因して、皮膚内部の温度が皮膚表面の温度よ
りも遅れをもって変化するような過渡時にも、その過渡
的に変化する皮膚内部の温度の皮膚表面への影響を打ち
消す目標空気温度を求めることができる。
【0062】即ち、皮膚の熱容量による皮膚内部の温度
変化に応じて、目標皮膚温度を達成するための目標空気
温度が変化する。このため、冷房開始時、あるいは目標
温感の変更に伴う目標皮膚温度の変更直後等の非定常時
に皮膚内部の温度が遅れて変化しても皮膚温度を目標皮
膚温度に維持し、温感を目標温感に維持できる。このよ
うに本実施例では、皮膚温度に影響を与える皮膚内部の
温度変化に応じて、目標皮膚温度を実現する目標空気温
度が変化するようにしたから、非定常時にも目標皮膚温
度を実現することができる。
【0063】例えば、冷房時の目標皮膚温度が変化した
場合を図10及び図11により説明する。図10は目標
皮膚温度を低下させた場合の皮膚内部の温度変化を時刻
t=0から時刻t=9へ向かって示したグラフであり、
図11は図10のように温度が変化した場合に演算され
る目標空気温度の変化を示したものである。
【0064】図10及び図11に図示するように、空調
開始前の時刻t=0において空気温度T0 ,皮膚温度T
10,第2層温度T20で安定しているものとする。この状
態から、空調開始時刻t=1において、t秒後即ちt=
2における目標皮膚温度がT 11に変化すると、この目標
皮膚温度を境界条件として求められる第2層温度はT 21
として求められる。このとき(13)式で求められるQ
cdは最大値をとるから、目標空気温度はT1 まで急低下
し、皮膚温度もT11まで急低下する。
【0065】以後、時間の経過につれて第2層温度はT
21からT22,T23と順次低下し、目標空気温度はT1
らT2 ,T3 と順次上昇する。そして、所定時間後の例
えば時刻t=9になると、目標空気温度T9 ,皮膚温度
11,第2層温度T29で安定する。なお、ここでは説明
のために目標皮膚温度が時刻t=1〜9までT11で一定
としたが、(4)式により目標皮膚温度が変化しても皮
膚内部の温度、送風量を考慮した目標空気温度が求めら
れる。
【0066】このようにこの実施例では非定常時にも皮
膚温度を目標皮膚温度に一致させ乗員の温感を所望の温
感に一致させることができる。なお、上記実施例におい
ては赤外線皮膚温センサ36を使用したが、車室内の人
体に直接に皮膚温度を検出するセンサを付着させてもよ
い。また、模擬皮膚温センサを用いてもよい。ここで、
模擬皮膚温センサは一般に多くの構造が知られており、
車室内の温度、気流、幅射、湿度の環境下での皮膚温度
の推定値を出力するもので、人体の発熱と放熱を模擬す
る構造を有するセンサである。
【0067】また、上記実施例では、温感と、皮膚温度
と、皮膚温度変化率との密接な関係に基づいて、目標温
感S0 を達成するための定常時の目標皮膚温度Tsoを求
め、そして皮膚温度偏差ΔTs に応じて実験的に求めた
快適な送風量を提供している。そして、さらに過渡時の
目標皮膚温度Ts (n+1)を求め、この送風量のもと
で過渡時の目標皮膚温度Ts (n+1)を達成できる空
気温度を求め、室内温度を調節している。即ち、上記実
施例は温感を一定に保つためにその指標として皮膚温度
を用いている。しかし、温感を考慮せず、乗員が手動操
作により目標皮膚温度を設定してもよい。この場合に
も、皮膚温度が目標皮膚温度にあるときの皮膚表面での
熱収支が、送風量に応じた放熱のもとで平衡する空気温
度を求める構成を採用することで、送風量の変化に追従
して、目標皮膚温度が実現される。
【0068】また、上記実施例では、(2)式によるΔ
S に基づいて送風量を決定したが、これは人体の温感
の変化に応じて変化を伴う値であればよい。例えば、他
の形式の送風量制御の指標として、皮膚温変化率dTS
を用い、下記(21)式から送風量Vを演算してもよ
い。
【0069】
【数21】V=K19×dTS なお、(21)式において、K19は定数である。ここ
で、dTSは、ステップ120において(1)式を変形
した計算を行い求める。この指標における送風量のパタ
ーンは図12に示す如く基準が0となり、これに近づく
程送風量を下げていく特性となる。
【0070】また、現在の皮膚温度Ts (n)と次のサ
ンプリング時までに作り出すべき皮膚温度Ts (n+
1)を用い、下記(22)式により送風量Vを決定して
もよい。
【0071】
【数22】V=K20×(Ts (n)−TS (n+1))
=K20×(−dTS ×ΔT) なお、(22)式において、K20は定数、ΔTはサンプ
リング時間である。なお(22)式は、(Ts (n)−
S (n+1))は(−dTS ×ΔT)と同じ値をとる
ことを示している。
【0072】この指標による制御ではステップ120に
おいて、(1)式を変形した計算を行いdTS を求め
る。次に(−dTS ×ΔT)を演算し、これを(T
s (n)−TS (n+1))の値とし、指標とする。こ
の指標の特性は、図13に示す如く、基準が0でこれに
近づく程、送風量を下げるものとなる。更に、検出する
皮膚温度TS をそのまま用いて下記(23)式より送風
量Vを決定してもよい。
【0073】
【数23】V=K21×TS なお、(23)式において、K21は定数である。この指
標においてはステップ120において、Tsoが求めら
れ、TS がTsoになるまで皮膚温度が基準となって送風
量が決定される。その特性を図14に示す。
【0074】また、目標温感S0 の設定は、下記(2
4)式に基づいて行われてもよい。
【0075】
【数24】S0 =K22×Tsint+K23×Tam+K24×S
r +K25 なお、(24)式において、K22,K23,K24,K25
定数、Tsintは空調開始時の皮膚温度(初期皮膚温
度)、Tamは外気温度、Sr は日射量である。この(2
4)式では、初期温度Trintに代えて初期皮膚温度Tsi
ntを用いるが、空調開始前に在室者がさらされた熱負
荷、運動量、及び室内への熱負荷を考慮した目標温感S
0 の設定ができる。
【0076】また、上述(18)式あるいは(24)式
以外にも、目標温感S0 の設定にあたってはTrint,T
sint,Tam,Sr のすべてを用いてもよい。例えば、乗
車前に乗員がさらされた熱負荷、乗員の運動量、乗車直
後の車室内環境、及び車室内への熱負荷状態の結果とし
て決まる空調開始時の皮膚温度を基本として、これに初
期温度Trint、外気温度Tam、及び日射量Sr による補
正を加えるようにして目標温感S0 を設定してもよい。
【0077】また、目標温感S0 は、室内温度、皮膚温
度が安定した後も終始一定値をとりつづける必要はな
く、周期的あるいは乱数的に変化させて温感にゆらぎを
生じさせ快適性を向上するようにしてもよい。また、図
2に図示した実施例ではベント吹出口26からの吹出風
により乗員の顔面付近の温度を制御するものを説明した
が、ヒート吹出口からの吹出風により、乗員の足元付近
の温度を制御するものにも本発明は適用できる。
【0078】また、上記実施例は車両用空調装置に本発
明を適用したものを説明したが、本発明は家庭用の空調
装置にも適用することができる。
【0079】
【発明の効果】以上に述べた請求項1記載の本発明の構
成および作用によると在室者の皮膚温度が定常目標皮
膚温度に接近するに従って、すなわち、在室者の温感が
目標温感に接近するに従って順次減少するという、在室
者の温感の変化に一致した快適な送風量の変化を与える
ことができる。
【0080】さらに、過渡状態から定常状態にわたっ
て、皮膚温度変化率および送風量が変化しても、過渡目
標皮膚温度を達成でき、過渡状態から定常状態にわたっ
て在室者の温度感覚を目標温感に維持することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を示すブロック構成図である。
【図2】本発明を適用した一実施例である車両用空調装
置の模式断面図である。
【図3】実験結果を示すグラフである。
【図4】一実施例による送風量の決定パターンを示すグ
ラフである。
【図5】温感と皮膚温度との変化の関係を説明するグラ
フである。
【図6】一実施例における皮膚構造モデルを示す模式図
である。
【図7】一実施例の作動を説明するフローチャートであ
る。
【図8】一実施例の目標温感の設定特性を示すグラフで
ある。
【図9】第7図のフローチャートのステップ150の詳
細な作動を説明するローチャートである。
【図10】一実施例の作動を説明するための皮膚温度分
布の変化を示すグラフである。
【図11】一実施例の作動を説明するための空気温度の
変化を示すグラフである。
【図12】他の実施例の送風特性を示すグラフである。
【図13】他の実施例の送風特性を示すグラフである。
【図14】他の実施例の送風特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 空調ユニット 31 制御装置 32 外気温センサ 33 日射センサ 34 スイッチパネル 35 内気温センサ 36 赤外線皮膚温センサ 37 水温センサ 38 エバ後温センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮脇 忠幸 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 品川 勉 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1 株式会社豊田中央研究所内 (56)参考文献 特開 平2−109715(JP,A) 特開 平2−296527(JP,A) 特開 平1−229713(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60H 1/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 在室者の皮膚表面温度を示す皮膚温度信
    号を出力する皮膚温度検出手段と、 在室者の目標温度感覚を設定する目標温感設定手段と、 在室者の皮膚温度が安定した定常状態において前記目標
    温感設定手段による前記目標温感を達成するために必要
    な定常目標皮膚温度を演算する定常目標皮膚温度演算手
    段と、 前記皮膚温度検出手段による検出皮膚温度と前記定常目
    標皮膚温度演算手段による定常目標皮膚温度との差に応
    じて、この差が大きくなるほど送風量を大きくするよう
    に送風量を設定する送風量設定手段と、 在室者の皮膚温度が変化する過渡状態において前記目標
    温感設定手段による前記目標温感を達成するために必要
    な過渡目標皮膚温度を、在室者の検出皮膚温度からの皮
    膚温度変化率を考慮して演算する過渡目標皮膚温度演算
    手段と、 皮膚温度が前記過渡目標皮膚温度にあるときの皮膚表面
    での熱収支が、前記送風量設定手段により設定された送
    風量に応じた放熱のもとで平衡する空気温度を演算する
    空気温度演算手段と 前記送風量設定手段により設定された送風量を室内に供
    給するとともに、前記空気温度演算手段により演算され
    た空気温度を目標温度として室内温度を調節する空調装
    置とを備えることを特徴とする空調制御装置。
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