JP3232849B2 - バリスタの製造方法 - Google Patents

バリスタの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化亜鉛を主成分とす
るバリスタの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】酸化亜鉛バリスタは、酸化亜鉛を主成分
とし、副成分としてコバルト、マンガン、アンチモンな
どを添加したものを成形し成形体を得ていた。次に、こ
の成形体を1150〜1350℃で焼成した後、電極ペ
ーストを焼結体の表面に塗布し、焼き付けたり、または
成形体と電極とを一体焼成してバリスタを得ていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記構成によると、バ
リスタ特性を安定化させるために添加するアンチモンな
どの副成分は著しく焼結を妨げ、焼結体密度を低下させ
るので、十分な特性を得ようとすると、焼成温度を高く
しなければならなかった。そのため、電極材料としてA
g等低融点の金属を用いた場合、成形体と電極との一体
焼成ができないという問題点を有していた。
【0004】本発明は、低温焼成可能なバリスタを提供
することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明は主成分酸化亜鉛に副成分として、少なくと
も硼素をB 2 3 に換算して0.01〜0.1mol%、
ビスマスをBi 2 3 に換算して0.1〜4.0mol
%、アンチモンをSb 2 3 に換算してBi 2 3 との比が
(Sb 2 3 (mol%)/Bi 2 3 (mol%))≦
1.0となるように添加して成形体を作製する第1の工
程と、次に前記成形体表面に銀を主成分とする電極ペー
ストを塗布する第2の工程と、その後前記成形体と前記
電極ペーストを一体焼成する第3の工程とを有するもの
である。
【0006】
【作用】この方法によると、焼成時硼素が液相焼結を促
進すると思われる。その結果、成形体とAgを主成分と
する電極と一体焼成することができる。このように成形
体と電極とが一体焼成できることにより、従来必要であ
った電極焼付工程が不要となり、工程を削減できるた
め、生産性を向上させることができる。
【0007】
【実施例】図1は本発明の一実施例におけるバリスタの
側面図である。
【0008】(実施例1)以下、本発明の第1の実施例
について説明する。
【0009】まず、ZnOに、Bi23(0.5mol%)、
Co23(0.5mol%)、MnO2(0.15mol%)、Sb23
(0.25mol%)、Al23(0.005mol%)、B23(0〜0.
1mol%)を混合後、例えばPVA(ポリビニルアルコー
ル)のような有機バインダを加えて造粒し、この造粒粉
に1ton/cm2の圧力をかけて、直径10mm、厚
さ1.2mmの円板状のバリスタ素子1を成形した。次
に、この成形体の上下両面に、Ag粉末と有機ビヒクル
とからなる電極2a,2bペーストを塗布し、(表1)
に示す温度で焼成した。
【0010】
【表1】
【0011】(表1)にバリスタ素子1の焼成温度と焼
結体密度の関係を示す。焼結体密度は、低温での焼結に
おける最も大きな課題の一つである焼結性の目安とな
る。
【0012】(表1)より、バリスタ素子1の焼成温度
を上昇させていくにつれて、焼結体密度は大きくなって
いることがわかる。また、800℃より低い焼成温度で
は、Bi23の融点より低いということもあり、十分に
焼結していないことがわかる。
【0013】なお、本実施例ではB23の含有量が0.
05mol%と0.1mol%の場合のみ示したが、
0.01〜0.1mol%の範囲であれば、燃焼性の向
上に効果がある。
【0014】(実施例2)以下、本発明の第2の実施例
について説明する。
【0015】まず、ZnOに、Bi23(0.5mol%)、
Co23(0.5mol%)、MnO2(0.15mol%)、Sb23
(0.25mol%)、Al23(0.005mol%)、B23(0.05m
ol%)を加え、さらに、Y23(0〜1.0mol%)、Ln2
3(Ln=La、Ce、Pr、Nd、Sm)(0〜1.0mol%)、Cr23(0
〜1.0mol%)の中から一種類を加え、混合後、例えばP
VA(ポリビニルアルコール)のような有機バインダを
加えて造粒した。この造粒粉に1ton/cm2の圧力
をかけて、直径10mm、厚さ1.2mmの円板状のバ
リスタ素子1を成形した。次に、この成形体の上下両面
に、Ag粉末と有機ビヒクルとからなる電極2a,2b
ペーストを塗布し、930℃で焼成してバリスタを得
た。このバリスタ素子1のY23、Ln23およびCr
23の含有量と制限電圧比との関係を、(表2)、(表
3)に示す。
【0016】
【表2】
【0017】
【表3】
【0018】ここで制限電圧比は、高電圧領域でのバリ
スタ特性の尺度で、サージ電流(本実施例では25Aと
する)が流れたときの電圧V25AとV1mAとの比とする。
(表2)、(表3)より、Y23、Ln23およびCr
23の含有量を増加させていくと、制限電圧比特性は良
好になっていき、含有量が0.05〜0.5mol%の
時に最良の値となっているが、0.01〜0.5mol
%の含有量であれば効果がみられる。
【0019】なお、本実施例においては、酸化ランタノ
イドとして、La23、Ce23、Pr23、Nd
23、Sm23の場合のみ示したが、他のランタノイド
(Pm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、
Yb、Lu)の酸化物を0.01〜0.5mol%含有
させたとしても、同様の効果が得られる。また、イット
リウム、ランタノイドそれぞれ一種類のみ含有させた場
合を示したが、この中から2種類以上含有させる場合、
その含有量の合計が0.01〜0.5mol%であれ
ば、本実施例と同様の効果が得られる。また、バリスタ
の焼成温度は930℃の場合のみ示したが、Bi23
融点より高く、銀(電極)の融点より低い温度(800
〜960℃)であれば構わない。さらに、本実施例では
23の含有量を0.05mol%としたが、0.01
〜0.1mol%の範囲の含有量であれば構わない。
【0020】(実施例3)以下、本発明の第3の実施例
について説明する。
【0021】まず、ZnOに、Bi23(0.5mol%)、
Co23(0.5mol%)、MnO2(0.15mol%)、Sb23
(0.25mol%)、Al23(0.005mol%)、B23(0.05m
ol%)を加え、さらにSnO2(0〜1.0mol%)、PbO
(0〜1.0mol%)、NiO(0〜2.0mol%)、P25(0〜
1.0mol%)の中からいずれか一種類加えて、実施例2と
同様にして、バリスタを得た。
【0022】このバリスタ素子1のSnO2、PbO、
NiO、P25の含有量とサージ電流による破壊値との
関係を(表4)に示す。
【0023】
【表4】
【0024】ここで、サージ電流波形は8*20μSで
ある。(表4)より、SnO2、PbO、NiO、P2
5の含有量が増加していくにつれて、サージ電流耐量も
増加していき、SnO2では0.05〜0.1mol
%、PbOでは、0.01mol%、NiOでは、0.
5mol%、P25では、0.1〜0.5mol%の
時、最良の値を取ることがわかる。しかし、SnO 2
PbO、P25は0.01〜0.5mol%、NiOは
0.01〜1.0mol%の含有量であれば、サージ電
流耐量特性に効果がみられる。
【0025】なお、バリスタの焼成温度は930℃の場
合のみ示したが、Bi23の融点より高く、銀(電極)
の融点より低い温度(800〜960℃)であれば構わ
ない。また、本実施例ではB23の含有量を0.05m
ol%としたが、0.01〜0.1mol%の範囲の含
有量であれば構わない。さらに、SnO2、PbOを単
独で含有させた場合のみ示したが、両方を含有させる場
合、その含有量の合計が0.01〜0.5mol%の範
囲であれば、本実施例と同様の効果がみられる。
【0026】(実施例4)以下、第4の実施例について
説明する。
【0027】まず、ZnOに、Bi23(0.5mol%)、
Co23(0.5mol%)、MnO2(0.15mol%)、Sb23
(0.25mol%)、Al23(0.005mol%)、B23(0.05m
ol%)、Nb25(0〜1.0mol%)を加え、実施例2と同
様にして、バリスタを得た。このバリスタ素子1のNb
25の含有量と、25℃におけるバリスタ電圧に対する
125℃におけるバリスタ電圧の変化率との関係を(表
5)に示す。
【0028】
【表5】
【0029】(表5)より、Nb25の含有量が増加し
ていくにつれて、バリスタ電圧の変化率は小さくなって
いることがわかる。このようにNb25の含有量が0.
01〜0.5mol%の時、温度特性に優れたバリスタ
が得られる。
【0030】なお、バリスタの焼成温度は930℃の場
合のみ示したが、Bi23の融点より高く、銀(電極)
の融点より低い温度(800〜960℃)であれば構わ
ない。また、本実施例ではB23の含有量を0.05m
ol%としたが、0.01〜0.1mol%の範囲の含
有量であれば構わない。
【0031】(実施例1)〜(実施例4)においては、
ビスマスをBi23に換算して、0.5mol%添加の
場合のみ示したが、ビスマスをBi23に換算して0.
1〜4.0mol%、アンチモンをSb23に換算して
Bi23との比が(Sb23(mol%)/Bi2
3(mol%))≦1.0となるように含有させるので
あれば構わない。
【0032】また、本発明のバリスタ素子の材料を用い
て、積層型のバリスタを形成したとしても同様の効果が
得られる。
【0033】
【発明の効果】以上本発明によると、焼成時硼素が液相
焼結を促進すると思われる。その結果、成形体とAgを
主成分とする電極と一体焼成することができる。このよ
うに成形体と電極とが一体焼成できることにより、従来
必要であった電極焼付工程が不要となり、工程を削減で
きるため、生産性を向上させることができる。
【0034】その結果、低温で焼成しても、優れたバリ
スタ特性を有するバリスタを得ることができる。また、
このバリスタは電極にAg等融点の低い金属を用いたと
しても、成形体と電極とを一体焼成することができる。
そのため、電極焼き付けの工程が不要となり、工程を削
減でき、生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるバリスタの側面図
【符号の説明】
1 バリスタ素子 2a 電極 2b 電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−76504(JP,A) 特開 昭51−67995(JP,A) 特開 昭54−108297(JP,A) 特開 昭54−108296(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01C 7/02 - 7/22

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主成分酸化亜鉛に副成分として、少なく
    とも硼素をB 2 3 に換算して0.01〜0.1mol
    %、ビスマスをBi 2 3 に換算して0.1〜4.0mo
    l%、アンチモンをSb 2 3 に換算してBi 2 3 との比
    が(Sb 2 3 (mol%)/Bi 2 3 (mol%))≦
    1.0となるように添加して成形体を作製する第1の工
    程と、次に前記成形体表面に銀を主成分とする電極ペー
    ストを塗布する第2の工程と、その後前記成形体と前記
    電極ペーストを一体焼成する第3の工程とを有するバリ
    スタの製造方法。
  2. 【請求項2】 成形体の副成分として、イットリウム
    と、ランタノイドとを、それぞれY 2 3 、Ln 2 3 (ラ
    ンタノイドをLnと表す。)に換算して、少なくとも一
    種類0.01〜0.5mol%添加する請求項1に記載
    のバリスタの製造方法。
  3. 【請求項3】 成形体の副成分として、クロムをCr 2
    3 に換算して0.01〜0.5mol%添加する請求
    項1に記載のバリスタの製造方法。
  4. 【請求項4】 成形体の副成分として、錫と鉛をそれぞ
    れSnO 2 とPbOに換算して、少なくとも一種類0.
    01〜0.5mol%添加する請求項1に記載のバリス
    タの製造方法。
  5. 【請求項5】 成形体の副成分として、ニッケルをNi
    Oに換算して0.01〜1.0mol%添加する請求項
    1に記載のバリスタの製造方法。
  6. 【請求項6】 成形体の副成分として、リンをP 2 5
    換算して、0.01〜0.5mol%添加する請求項1
    に記載のバリスタの製造方法。
  7. 【請求項7】 成形体の副成分として、ニオブをNb 2
    5 に換算して0.01〜0.5mol%添加する請求
    項1に記載のバリスタの製造方法。
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